友「ちょっと戦争行ってくる。」
Part221:緑メ:10/11/1 20:50 ID:cSpAHp.McE
男「鎮台主力を我国本島に逃がすには少なくとも13日を要する」
下官「は、ここから本島まで10日では」
上官「馬鹿者、海に敵がいないとでも?」
下官「……」
男「海にも、俺達同じ立場に立たされている友軍がいるようだね。」
男達がいる所は日本でいう北海道にあたる。だけどそんなに寒くはない。
22:緑メ:10/11/1 20:53 ID:SFi0c66N7.
男「村があるな。」
下官「…しかし…」
男「我々の軍規では、戦地近郊の村からの略奪は禁止されている。」
下官「は、あ…ならば、無視して逆行を。」
男「しかし、奴らの軍規はいかがかな?」
下官「…」
男「下官、君だけが気付く点ではない、諦めたまえ。」
下官「…しかし!」
男「敵軍からの略奪は、村人が失うのではなく、敵軍に力を与える物として捉えよ。それが軍人の頭だ。」
上官「ならば、阻止せんと。なあ。」
下官「…上官殿…。」
上官「下官、君に任務だ。」
男「…」
上官「我々はこの村を解体する。村人は出来る限りの手助けをして逃がし、異論あらば、敵軍の迫りを示唆し威す。よろしいか。」
男「(上官殿も、お人が悪い。)」
下官は村民出なのだ。
23:緑メ:10/11/1 20:55 ID:SFi0c66N7.
村人「うらむよ。」
男「我々とて、このくにの一庶民でありました。苦しみは判ります…どうかご理解を。」
下官「…」
上官「この村は、今晩の伏撃の拠点だ。わかっているな?」
下官「はい。」
……………
上官「今宵、追い縋る敵軍はこの村の糧秣、資材を狙い襲う事だろう。恐らく小隊級…それを返り討ちにする…伏撃だ。それを、君の小隊にまかせる。我々は後に援護を。」
24:緑メ:10/11/1 20:58 ID:FM94wc4.O6
下官「中隊長殿、これは、私の正義に背くと思うのです」
男「…」
下官「だけど、戦争に正義などない…あってはいけないのはわかります。私は軍人です。」
男「うん。」
下官「私の正義は、死した戦友共に、暫し預かっていただく事にします。」
男「……、ああ。それでは、」
下官「村中伏撃作戦、魁け、第六小隊。尖兵隊と共に任務を遂行いたします。」
男「(こいつは、膿すらも薬に変えた。もう、大丈夫だ)」
敬礼で見送る。
25:緑メ:10/11/1 20:59 ID:FM94wc4.O6
下官「…騎兵の音がする、じきだ…」
尖兵「おかしい…まさか、小隊長!」
下官「…!!」
尖兵「おそらく気付かれています…!敵軍、少なくとも大隊以上!」
下官「くそ、火計か…っ!尖兵隊、火にまかれる前に、大隊主力へ走り援軍を呼べ!!敵軍に気付かれてもいい!
君達の脚に、私達の命預ける!」
村に火が放たれました
26:緑メ:10/11/1 21:01 ID:cSpAHp.McE
上官「なん、だと…!?」
男「…!!」
尖兵「小隊長以下第六小隊、応戦中!援護を…!」
上官「了解した…第二大隊、火に怯えぬ馬と全速力で戦場へ!!
戦友を助けるのだ!!」
……………
男「君、この距離をあの短時間で走って来たのか…ありがとう、待っていたまえ。」
尖兵「…は!」
27:緑メ:10/11/1 21:03 ID:FM94wc4.O6
下官「(くそ、相手は少なくとも大隊、我ら遅滞部隊はたかが小隊一つ…これは、棄てられる覚悟を。)」
下官「第六小隊、回り込むように村を囲え!敵隊列の乱れ立て直しが早い場所を狙い、火のついた家屋を崩せ!巻き込まれるなよ!!」
上官「第六小隊諸君…待たせた!!」
下官「上官殿!?…いや…第二大隊!!!!」
男「我等血盟の友!いかなる状況でも、第二大隊は戦友を見捨てやしない…死なば諸共だ…!!」
下官「…!は、ははは…!第六小隊…引き続き、戦友と共に作戦を実行せよ…!」
第六小隊、勇気が込み上げて来ました。
敵軍は突然上がる異様な鬨の声に腰が引けてきました。
28:緑メ:10/11/1 21:05 ID:FM94wc4.O6
男「今回の伏撃は、形としては奇襲になったわけだが…」
同期「糧秣、資材を渡さずに終えたという事は、遅滞という仕事にはなった。」
男「随分死なせたが、まだ易しい数字」
同期「あと何回交戦するかな、」
男「それによっては」
同期「生き残る数人が。」
男「しかし、相手も我らが遅滞部隊という事に気付いているのが厄介だな。」
同期「はは、まあ…あって無いような命だ。大胆にいける。」
男「これは、知恵がいる。」
第二大隊、今宵の戦闘にて、小隊三一個分が消失。編成がまた変わる事になる。
伏撃作戦は、実質の成功だった。
29:緑メ:10/11/1 21:06 ID:XUvetU6So.
中間報告書
第二大隊(特別遅滞独立大隊)
大隊
含中隊(4個)
含小隊(12個)
将校17名
総勢…600名
伏撃作戦後
大隊
含中隊(3個)
含小隊(10個)
将校12名(新隊長任命2名)
総勢…516名
大隊は中隊の集まり、中隊は小隊の集まりと考えていただいて間違いないです。伏撃後は各隊の人数変動してます。
30:緑メ:10/11/1 21:07 ID:XUvetU6So.
下官「中隊長殿は、幼年学校上がりなのでしたよね?」
男「ん?ああ。」
下官「大隊長殿は下士官上がりと聞いたのですが…本当ですか?」
男「ああ…あの人の軍才は、ホンモノだからな。ただ才能も無く金で幼年学校を上がっただけの将校より、何千倍も信頼できるよ。」
下官「はは、間違いありません。」
男「さて、もう良いだろう。」
下官「は。」
男「そのぼんくら将校と、大隊長殿を助けに行こうか。」
31:緑メ:10/11/1 21:09 ID:XUvetU6So.
男・中隊長・中尉
下官・小隊長・少尉
上官・大隊長・少佐
下士官(かしかん)
少尉と兵卒の間。
兵卒=平の兵士
32:緑メ:10/11/1 21:10 ID:XUvetU6So.
下官「川を渡りきった所に壕がありますね」
上官「むろん、使わぬ手はない。」
男「大隊を半数に割るとしては、坂で分が悪い…3分の1が敵軍後方の林、それが一番かと。」
上官「うむ、林には猛獣隊をあてよう」
男「この場合、指揮官殿も下にいた方がいい…」
上官「そうだな、敵はどのくらいか?」
下官「は、少なくとも中隊級。早くとも半日後。猛獣隊を行かせているので、撹乱が上手く行けば2日後、ですね。」
上官「よし、決定だ。ここは、死守する。」
伏撃より東に移動しています。
この川を越えられると敵軍同士が合流し、聯隊級になってしまいます。
鎮台主力の脱出までは後7日
33:緑メ:10/11/1 21:12 ID:.F.3lH/78g
同期「ち、だから俺が林に下ると言ったんだ。」
男「同期、お前の隊は上からの攻めに強いんだろう?今更だ。」
同期「弓使いは、大隊長殿を危険に曝しかねないと思っていた。」
男「あくまで『死守』を優先したまでだ、しかし…少数精鋭で、戦場を突っ切り林へ。指揮官たる大隊長殿が今いなくなると、まずい事には違いないのだから!下官、把握は任せたぞ」
下官「任されました、御武運を!」
男「第二中隊!これより指示は第四中隊長に従え!!大隊長殿の元へ向かう者、直ちに集合!突っ切るぞ、陣を展開する!」
同期「第一中隊は尖兵隊を伴い全員集合!救援隊を援護しろ!向かって来る敵以外はかまうな!」
死守とは、そういうことなのだ。
34:緑メ:10/11/1 21:14 ID:.F.3lH/78g
上官「怯懦は罪ではないが、この場合…罪だな。」
男「猛獣隊…大隊長殿!!」
上官「お前達…!!」
同期「これだから『弓』は…血の海じゃないか。」
上官「馬鹿者!!上はどうした!!」
同期「信頼できる部下に任せました!」
男「ええ!俺達は馬鹿者なので、貴方がいないと困るのです!!」
上官「…!」
救援隊員「隊長殿、ここはあまり長く持ちません…急いで下さい…!」
上官「…馬鹿者共が…これより第二大隊は統合する、第二大隊、壕に向けて進軍!!挟撃体制からから真っ向勝負、白兵戦へ移れ!!」
男「は!」
同期「魁は尖兵隊が…第一中隊、行くぞ!」
猛獣の咆哮が響き渡る!
35:緑メ:10/11/1 21:15 ID:Ams6nMNmjg
中間報告書
第二大隊(特別遅滞独立大隊)
含中隊(2個)
含小隊(6個)
戦況と将校の損害を考慮し、小隊に有する人員を50名強に拡大、故に隊数自体は減少。
将校9名
総勢…336名
挟撃作戦にで人員移動。
同期は第一中隊長のまま
男は第二中隊長のまま
下官は第三小隊長へ。
挟撃の損害は、第二大隊があと少しで大隊を名乗れなくなる程に厳しいものだった。
36:緑メ:10/11/1 21:17 ID:.F.3lH/78g
下官「ここからが、ヤマですね。」
男「ああ…向こうは未だ聯隊級…」
同期「骨だな、頭をつかう。」
上官「我々が生き残りつつ、遅滞する頭かね?」
下官「!!」
男「上官、殿…何故ここに」
上官「死して護国の英雄となる事が、軍人の基本だ」
同期「…」
上官「だが、まあ、死にたくないな。」
下官「…?」
上官「わからんかね」
上官殿は少年のように歯を見せて皮肉らしく笑ったのだ!
上官「我々は、出来うるかぎりの遅滞をした後、背を向けて逃げた卑怯者の尻尾らしく、降参をする。」
37:緑メ:10/11/1 21:19 ID:FM94wc4.O6
上官「我々はあと五日の遅滞をする必要がある…がしかし、逆に五日以上の遅滞は必要ないという事だ。そして、国がこの北府を棄てたのなら。どういう事かわかるかね?」
男「我々遅滞部隊がいなければ、敵軍は五日で港まで攻め込んでくる…それは阻止せねばなりません。しかし、港を守る、穀倉を抑える…それ以上の抑止は不必要…と。」
上官「いかにも」
同期「敵軍がどう進軍してくるかによって前後はあるが、概ね2回の開戦で済みそうで。」
上官「しかしあくまでも、任務5日間のうちは、我々第二大隊は軍人という事を忘れてはならない。敵に背を向ける事は、隊長であるワシが許さん。いいかね。」
よろしいか、我々は軍人なのだよ。
38:緑メ:10/11/1 21:21 ID:FM94wc4.O6
下官「酷い熱だ」
兵卒「…置いて行ってください」
下官「しかし」
兵卒「一人で歩くこともままなりません…」
男「一人の為に行軍を遅らせるわけにはいかない」
下官「…」
兵卒「ああ…中隊長殿の言う通りです。」
男「覚悟はあるか?」
兵卒「お気遣い有り難く思います…敵兵に捕縛されるような事態来たら、自分で。」
下官「兵卒…」
兵卒「勘違いするなよ、俺は、国の為に死ぬんじゃない…お前や第二大隊と共に、戦って死んだんだ。怨むなら戦争を。」
下官「…ああ。(敬礼)」
男「わかった、『くにのため』だな」
兵卒「その、とおりです。」
連れていけない病人や怪我人は、この五日間の間は棄てていかねばなりません。
39:緑メ:10/11/1 21:23 ID:cSpAHp.McE
上官「再び、挟撃の形をとる。」
同期「…これは…!!」
男「大きく出ましたね…」
下官「遂行完了時間は二日間…A隊に負担が行きますが…」
上官「ここはあえて敵軍を合流させる…」
男「半数のA隊はその場で迎撃…半数のB隊は、敵軍後方2kmを維持しつつ進軍し…敵軍が合流した時点で開戦開始の一撃を。」
下官「脚がいりますね」
上官「無論」
同期「はは、走るのは俺達尖兵隊の仕事ですね、わかります。」
上官「すまない、君達にはいつも無理をさせる…」
同期「しかし、大隊長殿もこちらでしょう?」
上官「その間、A隊の総括は男に任せる事とする。私に何かがあった時には、その任を続行。よろしいか。」
男「は。」
因みにA隊が3分の2
後撃のB隊が3分の1の人員
今回は3倍の軍を相手にします。
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