神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」
Part10
315: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:21:53 ID:VNUkHObs
ヒュゥ
男「(風が気持ちいい)」
ザワザワザワ
男「(草原に吹く風の様な音が聞こえる)」
シャワシャワ
男「(ここだけは蝉の声が聞こえる)」
――――――
ザァーッ
男「(広い草原のような音が聞こえる…まるであたり一面が…)」
316: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:24:07 ID:VNUkHObs
――――――
シャワシャワシャワ
男「(蝉が煩い)」
――――――
ザザァー…
男「(草が揺れている)」
―――――
シャワシャワ…
男「(木漏れ日が眩しい)」
―――――
ザブッ ザザァ…
男「(波の音が聞こえる)」
317: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:27:43 ID:VNUkHObs
―――――
ビュゥゥゥッ
男「(突風が)」
――――――
娘「人の子」
ザブン ザザン
男「(ああ、またここに来たのか)」
娘「また会ったな」
男「また会ったね」
318: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:28:16 ID:VNUkHObs
娘「……また会ったのか?」
男「分からん」
娘「お前は行かんのか」
男「どこに」
娘「…お前は”違う”な」
男「なにが」
娘「いや、ならば行かなくても良い…そう言う事なんだろうな」
男「お前は…」
娘「…ただの神様だよ」
319: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:30:26 ID:VNUkHObs
男「神様って特別な存在だと思うけどね」
娘「そんなことは無い、神なんて大した存在じゃない」
男「でも、力がある」
娘「それだけだ、力があってもそれが望んでいた物とは限らない」
男「……そうか」
娘「なあ、一緒にここの海を見ないか」
男「喜んで」
娘「座れ、そこに」
男「はいはい」
320: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:32:20 ID:VNUkHObs
男「……荒い海だな」
娘「いつもよりは穏やかだ」
男「そうなのか」
娘「そうだ、まるでここに沈んでいる者たちの様だ」
男「沈んでいる?」
娘「数多の命がここに沈んだ、何千何万と沈んだ、だから私はここに居る」
男「…そうか」
娘「そうだ」
321: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:44:55 ID:VNUkHObs
男「なあ神様」
娘「なんだ」
男「これからあんたはどうするつもりだ」
娘「…分からん」
男「そうか」
娘「ただ永劫の時間があって…私はその中で生きていく」
男「うん」
娘「私には永過ぎる…疲れてしまった」
男「…そうか」
娘「ああ、疲れた」
322: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 14:43:47 ID:VNUkHObs
娘「…お前は」
男「うん?」
娘「いや、なんでもない」
男「…気になるんだが」
娘「知らないなら、知らないままでもいい」
男「そうか」
娘「もうすぐ帰るんだろう?」
男「そうかもしれない」
娘「…じゃあ、また」
男「またな」
――――――
神娘「起きたか、人の子」
男「…うん、まあ」
神娘「どうした?そんなうかない顔をして」
323: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 15:00:01 ID:VNUkHObs
男「(…考えてもしょうがない事か)」
神娘「なあ、最近学校で疲れたとか無いか?」
男「いや?」
神娘「いかんぞ、顔色が悪い」
男「(多分違う理由だと思うがな)」
神娘「全く…ちょっとこっちこい」
男「うん?」
神娘「……」ギュゥ
男「…なんで急に抱きしめられてるんだ」
神娘「力を供給してるからな」
男「密着してるんだが、気になるんだが(主に胸が)」
神娘「気にするな人の子、お前に倒れられると困る」
男「ありがとう…と言うべきなのか?」
神娘「そうしておけ」
324: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 15:08:10 ID:VNUkHObs
男「確かに元気が出た気がする」
神娘「だろう?」ドヤッ
男「(…顔色悪かった理由が夢だとは言えない)」
神娘「あれほど不養生はいかんと言っておるのに全く…」
男「すまんな」
神娘「さて、今日は帰るがよい」
男「なんか随分早いな、いつもはあと一時間ぐらい居るが」
神娘「ふっふっふ…ちょっと試したい事があってな」
男「うん?」
神娘「と言う訳で帰れ、さっさと帰れ」
男「なんか追い返されてる気が…」
325:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/22(日) 18:17:41 ID:hSj.Ltqg
わたしは一生帰りません!
326: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 19:58:57 ID:VNUkHObs
男「……暇だ」
男「なんか、この時間に帰ってくるのは久しぶりだな」
男「……暇だ」
神娘「暇か?」
男「おぅっ!?」
神娘「そんな驚かんでもいいだろう」
男「いや、いくらなんでも部屋に行き成り出られたら驚くんだが」
神娘「ドッキリ大成功…というべきか?」
男「そんなサプライズは要らないんだが」
327: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:10:34 ID:VNUkHObs
男「んで、なんでこんなとこに居んのさ」
神娘「我の精神体をそちに憑依させただけ…簡単じゃろ?」
男「あー…あの神宮に来たのと同じようにか」
神娘「大分力も回復してきたからこの程度は容易にできる様になったぞ」
男「おめでたい事で、寝る」
神娘「もうちっと驚かんかい」
男「えー…」
328:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/22(日) 20:17:10 ID:z7ibbFGE
夜這か!
329: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:26:09 ID:VNUkHObs
神娘「女と部屋で二人きりってのは興奮しない?」
男「だって神様だし」
神娘「そうだな…うむ、失言だったか」
男「……神様」
神娘「うん?」
男「いつまでそこに居る気だ」
神娘「別にいつまでも居られるわけだが」
男「プライベートはどこに行ったんだ」
神娘「そっちも我の調子を見れるではないか、お相子だお相子」
男「そうかもなー…」
330: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:44:18 ID:VNUkHObs
男「そう思えば両方筒抜けだな、もう」
神娘「困る事でもあるまい」
男「良く考えたら、確かに困らん」
神娘「一心同体ってやつかね」
男「そうかもしれない、違うかもしれない…結局神様と人間だし、違うかも」
神娘「…そうかもな」
331: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:02:39 ID:VNUkHObs
神娘「……」
男「……」
神娘「神主」
男「んだよ」
神娘「そっち、入っていいか?」
男「別にいいけど、実態はないだろう?」
神娘「……」ゴソゴソ
男「(うわっ、なんか入ってきた?)」
神娘「仮組み程度だから薄い体しか作れんが…これでも十分だろう」
男「(なんか居る、後ろになんか入ってきてる)」
332: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:06:11 ID:VNUkHObs
神娘「どうだ?」
男「…別に」
神娘「そうか…なあ神主よ」
男「なんだ?」
神娘「お前、我をどう思っている?」
男「どうって」
神娘「こんな性格だとか、こういうのが好きだとか…そんなの」
男「人間が好きで、優しくて…腹に一物抱えてるみたいで、いつも何かに耐えてるみたいな顔をする」
神娘「……そうか」
男「ああ」
333: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:20:37 ID:VNUkHObs
神娘「なあ、かんぬ…人の子」
男「ああ」
神娘「私とお前があそこで会ったのは、運命じゃないかな」
男「運命?」
神娘「しかるべき時に、しかるべき理由があって…いや、蛇足か」
男「神様」
神娘「ともかく、私はあの時お前があの階段を昇ってこなければきっと消滅の道をたどっていただろう」
男「聞いたよ、何度も」
神娘「言ったさ、何度も何度も…言っても言いきれない」
男「その度に考えてることがあるんだ」
神娘「なんだ」
334: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:30:37 ID:VNUkHObs
男「例えばあの時に戻ったとして、またこの森への階段を見つけたとする」
神娘「ああ」
男「何度戻っても…何度やりなおしたとしても、多分その度に階段を昇るんだと思う」
神娘「……」
男「何度やり直しても、その度にあの森に戻って来る、きっとそうするんだと思う」
神娘「そうか、しかしなぜだ?なぜそう言いきれる?」
男「…きっと、神様がいるからだと思う」
神娘「…ほぉ?」
335: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:55:14 ID:VNUkHObs
男「多分…なんとなく神様の事が分かるようになる以前から、神様をどこかで探して居たのかもしれない」
神様「続けよ」
男「だって何の迷いも無しにあんな不気味な所に入っていくなんてできない、少なくとも…いつもだったらしないさ」
神娘「……」
男「だから…何を言っているんだろうな」
神娘「いや、いい」
男「…まあ、それだけだ」
336: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:18:15 ID:yGdevo2Y
神娘「なあ、神主」
男「ああ」
神娘「随分長い間、お前と付き合っていた気がする」
男「そういえば、そんな気がする」
神娘「お前の事を大事に思っている…無論信者は大事だが、それとは別に特別に思っている」
男「なんでだろうな、こっちもなんか…そんな気分なんだ」
神娘「そうか?」
男「神様の事が大事だ、でもなんだか普通にそう感じる…勿論恋じゃない、なんなんだろうなこれは」
337: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:32:42 ID:yGdevo2Y
神娘「別に、なんでもいい」
男「気になるがな」
神娘「お前が私を信じ、信仰を捧げている…私にとって大事なのはそれぐらいだ」
男「なんだ、その…言葉に出すとえらく事務的だな」
神娘「その結果私が居る、私が居られるのはお前の信仰のおかげだ」
男「まあ、悪い気はしない」
神娘「だから、怖い」
男「怖い?」
338:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/23(月) 00:40:12 ID:MooVVHJA
次にお前は「お前がいなくなる事が」と言うッ!
339: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:59:55 ID:yGdevo2Y
神娘「私の本性がお前に知られてしまうのが、怖い」
男「本性ってなんだよ」
神娘「お前が考えるより私の本性は薄暗く、冷たい」
男「……」
神娘「別に私は誰に後ろ指を指されようといいんだ、私は神なんだからそれも背負わなくちゃいけないんだ」
男「……」
神娘「でも、私は知られるのが怖い…お前にだけは知られたくない」
男「神様」
神様「神が聞いて呆れる、その程度も怖れるなんて」
男「神様?」
神様「…私は、どうしたら」
男「神様」
340: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:10:29 ID:yGdevo2Y
男「神様はさ、少し疲れちゃったんだよ」
神娘「疲れた?」
男「今までいろんなものを背負い続けてさ、一人の時も考えてただろ?」
神娘「…まあ」
男「別に考えなくていいんじゃないかな、その時で考えれば」
神娘「それでも、お前に信じてもらえなくなることが嫌だ」
男「…でも、それでも信じられるかもしれないだろ?知れば確実に嫌われるとは限らないんだろ?」
神娘「それは」
男「だったら、そんな顔するのやめなよ」
神娘「……」
341: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:24:04 ID:yGdevo2Y
神娘「…決めた」
男「なにを」
神娘「明日、お前に私の全てを見せよう」
男「急すぎないか?」
神娘「遅すぎた、お前の信仰にむくいるには余りにも…」
男「なにも、遅いなんてことは無いさ」
神娘「一つ言っておく」
男「ああ」
神娘「私の全てを知ったとしても…お前は自由だ、神主をやめるなり私を罵倒するなりしていい、それだけは分かっておいてくれ」
男「…分かった」
342: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:27:24 ID:yGdevo2Y
神娘「それでは神主、おやすみ」
男「おやすみ」
神娘「しっかり寝るんだぞ」
男「分かってるよ」
神娘「……」
男「(もう居ないのか)」
ザワ ザワザワ
男「(…ああ、また聞こえる)」
ザブゥン ザブッ
男「(波の声が、風の音が)」
ザザザザザ…
男「…そこに居るんだろう?」
娘「久しぶり?それとも初めまして?」
男「また会ったねだと思うよ」
ヒュゥ
男「(風が気持ちいい)」
ザワザワザワ
男「(草原に吹く風の様な音が聞こえる)」
シャワシャワ
男「(ここだけは蝉の声が聞こえる)」
――――――
ザァーッ
男「(広い草原のような音が聞こえる…まるであたり一面が…)」
316: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:24:07 ID:VNUkHObs
――――――
シャワシャワシャワ
男「(蝉が煩い)」
――――――
ザザァー…
男「(草が揺れている)」
―――――
シャワシャワ…
男「(木漏れ日が眩しい)」
―――――
ザブッ ザザァ…
男「(波の音が聞こえる)」
317: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:27:43 ID:VNUkHObs
―――――
ビュゥゥゥッ
男「(突風が)」
――――――
娘「人の子」
ザブン ザザン
男「(ああ、またここに来たのか)」
娘「また会ったな」
男「また会ったね」
318: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:28:16 ID:VNUkHObs
娘「……また会ったのか?」
男「分からん」
娘「お前は行かんのか」
男「どこに」
娘「…お前は”違う”な」
男「なにが」
娘「いや、ならば行かなくても良い…そう言う事なんだろうな」
男「お前は…」
娘「…ただの神様だよ」
319: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:30:26 ID:VNUkHObs
男「神様って特別な存在だと思うけどね」
娘「そんなことは無い、神なんて大した存在じゃない」
男「でも、力がある」
娘「それだけだ、力があってもそれが望んでいた物とは限らない」
男「……そうか」
娘「なあ、一緒にここの海を見ないか」
男「喜んで」
娘「座れ、そこに」
男「はいはい」
男「……荒い海だな」
娘「いつもよりは穏やかだ」
男「そうなのか」
娘「そうだ、まるでここに沈んでいる者たちの様だ」
男「沈んでいる?」
娘「数多の命がここに沈んだ、何千何万と沈んだ、だから私はここに居る」
男「…そうか」
娘「そうだ」
321: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 13:44:55 ID:VNUkHObs
男「なあ神様」
娘「なんだ」
男「これからあんたはどうするつもりだ」
娘「…分からん」
男「そうか」
娘「ただ永劫の時間があって…私はその中で生きていく」
男「うん」
娘「私には永過ぎる…疲れてしまった」
男「…そうか」
娘「ああ、疲れた」
322: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 14:43:47 ID:VNUkHObs
娘「…お前は」
男「うん?」
娘「いや、なんでもない」
男「…気になるんだが」
娘「知らないなら、知らないままでもいい」
男「そうか」
娘「もうすぐ帰るんだろう?」
男「そうかもしれない」
娘「…じゃあ、また」
男「またな」
――――――
神娘「起きたか、人の子」
男「…うん、まあ」
神娘「どうした?そんなうかない顔をして」
323: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 15:00:01 ID:VNUkHObs
男「(…考えてもしょうがない事か)」
神娘「なあ、最近学校で疲れたとか無いか?」
男「いや?」
神娘「いかんぞ、顔色が悪い」
男「(多分違う理由だと思うがな)」
神娘「全く…ちょっとこっちこい」
男「うん?」
神娘「……」ギュゥ
男「…なんで急に抱きしめられてるんだ」
神娘「力を供給してるからな」
男「密着してるんだが、気になるんだが(主に胸が)」
神娘「気にするな人の子、お前に倒れられると困る」
男「ありがとう…と言うべきなのか?」
神娘「そうしておけ」
324: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 15:08:10 ID:VNUkHObs
男「確かに元気が出た気がする」
神娘「だろう?」ドヤッ
男「(…顔色悪かった理由が夢だとは言えない)」
神娘「あれほど不養生はいかんと言っておるのに全く…」
男「すまんな」
神娘「さて、今日は帰るがよい」
男「なんか随分早いな、いつもはあと一時間ぐらい居るが」
神娘「ふっふっふ…ちょっと試したい事があってな」
男「うん?」
神娘「と言う訳で帰れ、さっさと帰れ」
男「なんか追い返されてる気が…」
325:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/22(日) 18:17:41 ID:hSj.Ltqg
わたしは一生帰りません!
326: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 19:58:57 ID:VNUkHObs
男「……暇だ」
男「なんか、この時間に帰ってくるのは久しぶりだな」
男「……暇だ」
神娘「暇か?」
男「おぅっ!?」
神娘「そんな驚かんでもいいだろう」
男「いや、いくらなんでも部屋に行き成り出られたら驚くんだが」
神娘「ドッキリ大成功…というべきか?」
男「そんなサプライズは要らないんだが」
327: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:10:34 ID:VNUkHObs
男「んで、なんでこんなとこに居んのさ」
神娘「我の精神体をそちに憑依させただけ…簡単じゃろ?」
男「あー…あの神宮に来たのと同じようにか」
神娘「大分力も回復してきたからこの程度は容易にできる様になったぞ」
男「おめでたい事で、寝る」
神娘「もうちっと驚かんかい」
男「えー…」
328:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/22(日) 20:17:10 ID:z7ibbFGE
夜這か!
329: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:26:09 ID:VNUkHObs
神娘「女と部屋で二人きりってのは興奮しない?」
男「だって神様だし」
神娘「そうだな…うむ、失言だったか」
男「……神様」
神娘「うん?」
男「いつまでそこに居る気だ」
神娘「別にいつまでも居られるわけだが」
男「プライベートはどこに行ったんだ」
神娘「そっちも我の調子を見れるではないか、お相子だお相子」
男「そうかもなー…」
330: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 20:44:18 ID:VNUkHObs
男「そう思えば両方筒抜けだな、もう」
神娘「困る事でもあるまい」
男「良く考えたら、確かに困らん」
神娘「一心同体ってやつかね」
男「そうかもしれない、違うかもしれない…結局神様と人間だし、違うかも」
神娘「…そうかもな」
331: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:02:39 ID:VNUkHObs
神娘「……」
男「……」
神娘「神主」
男「んだよ」
神娘「そっち、入っていいか?」
男「別にいいけど、実態はないだろう?」
神娘「……」ゴソゴソ
男「(うわっ、なんか入ってきた?)」
神娘「仮組み程度だから薄い体しか作れんが…これでも十分だろう」
男「(なんか居る、後ろになんか入ってきてる)」
332: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:06:11 ID:VNUkHObs
神娘「どうだ?」
男「…別に」
神娘「そうか…なあ神主よ」
男「なんだ?」
神娘「お前、我をどう思っている?」
男「どうって」
神娘「こんな性格だとか、こういうのが好きだとか…そんなの」
男「人間が好きで、優しくて…腹に一物抱えてるみたいで、いつも何かに耐えてるみたいな顔をする」
神娘「……そうか」
男「ああ」
333: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:20:37 ID:VNUkHObs
神娘「なあ、かんぬ…人の子」
男「ああ」
神娘「私とお前があそこで会ったのは、運命じゃないかな」
男「運命?」
神娘「しかるべき時に、しかるべき理由があって…いや、蛇足か」
男「神様」
神娘「ともかく、私はあの時お前があの階段を昇ってこなければきっと消滅の道をたどっていただろう」
男「聞いたよ、何度も」
神娘「言ったさ、何度も何度も…言っても言いきれない」
男「その度に考えてることがあるんだ」
神娘「なんだ」
334: ◆lwQY2qw84A:2013/09/22(日) 23:30:37 ID:VNUkHObs
男「例えばあの時に戻ったとして、またこの森への階段を見つけたとする」
神娘「ああ」
男「何度戻っても…何度やりなおしたとしても、多分その度に階段を昇るんだと思う」
神娘「……」
男「何度やり直しても、その度にあの森に戻って来る、きっとそうするんだと思う」
神娘「そうか、しかしなぜだ?なぜそう言いきれる?」
男「…きっと、神様がいるからだと思う」
神娘「…ほぉ?」
男「多分…なんとなく神様の事が分かるようになる以前から、神様をどこかで探して居たのかもしれない」
神様「続けよ」
男「だって何の迷いも無しにあんな不気味な所に入っていくなんてできない、少なくとも…いつもだったらしないさ」
神娘「……」
男「だから…何を言っているんだろうな」
神娘「いや、いい」
男「…まあ、それだけだ」
336: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:18:15 ID:yGdevo2Y
神娘「なあ、神主」
男「ああ」
神娘「随分長い間、お前と付き合っていた気がする」
男「そういえば、そんな気がする」
神娘「お前の事を大事に思っている…無論信者は大事だが、それとは別に特別に思っている」
男「なんでだろうな、こっちもなんか…そんな気分なんだ」
神娘「そうか?」
男「神様の事が大事だ、でもなんだか普通にそう感じる…勿論恋じゃない、なんなんだろうなこれは」
337: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:32:42 ID:yGdevo2Y
神娘「別に、なんでもいい」
男「気になるがな」
神娘「お前が私を信じ、信仰を捧げている…私にとって大事なのはそれぐらいだ」
男「なんだ、その…言葉に出すとえらく事務的だな」
神娘「その結果私が居る、私が居られるのはお前の信仰のおかげだ」
男「まあ、悪い気はしない」
神娘「だから、怖い」
男「怖い?」
338:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/23(月) 00:40:12 ID:MooVVHJA
次にお前は「お前がいなくなる事が」と言うッ!
339: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 00:59:55 ID:yGdevo2Y
神娘「私の本性がお前に知られてしまうのが、怖い」
男「本性ってなんだよ」
神娘「お前が考えるより私の本性は薄暗く、冷たい」
男「……」
神娘「別に私は誰に後ろ指を指されようといいんだ、私は神なんだからそれも背負わなくちゃいけないんだ」
男「……」
神娘「でも、私は知られるのが怖い…お前にだけは知られたくない」
男「神様」
神様「神が聞いて呆れる、その程度も怖れるなんて」
男「神様?」
神様「…私は、どうしたら」
男「神様」
340: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:10:29 ID:yGdevo2Y
男「神様はさ、少し疲れちゃったんだよ」
神娘「疲れた?」
男「今までいろんなものを背負い続けてさ、一人の時も考えてただろ?」
神娘「…まあ」
男「別に考えなくていいんじゃないかな、その時で考えれば」
神娘「それでも、お前に信じてもらえなくなることが嫌だ」
男「…でも、それでも信じられるかもしれないだろ?知れば確実に嫌われるとは限らないんだろ?」
神娘「それは」
男「だったら、そんな顔するのやめなよ」
神娘「……」
341: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:24:04 ID:yGdevo2Y
神娘「…決めた」
男「なにを」
神娘「明日、お前に私の全てを見せよう」
男「急すぎないか?」
神娘「遅すぎた、お前の信仰にむくいるには余りにも…」
男「なにも、遅いなんてことは無いさ」
神娘「一つ言っておく」
男「ああ」
神娘「私の全てを知ったとしても…お前は自由だ、神主をやめるなり私を罵倒するなりしていい、それだけは分かっておいてくれ」
男「…分かった」
342: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:27:24 ID:yGdevo2Y
神娘「それでは神主、おやすみ」
男「おやすみ」
神娘「しっかり寝るんだぞ」
男「分かってるよ」
神娘「……」
男「(もう居ないのか)」
ザワ ザワザワ
男「(…ああ、また聞こえる)」
ザブゥン ザブッ
男「(波の声が、風の音が)」
ザザザザザ…
男「…そこに居るんだろう?」
娘「久しぶり?それとも初めまして?」
男「また会ったねだと思うよ」
神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」
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