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レイ「フィフス。…ちょっと」カヲル「?」

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Part4
57 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:30:48.19 ID:GoAnnook0
カヲル「ミートボール…とりあえず、これで完成としようか」
レイ「味の方は…どう?」
カヲル「うん、悪くはないと思うよ。ちゃんと火も通っているし」
レイ「そう」
カヲル「次は唐揚げだったね。伊吹二尉に貰った唐揚げ粉を使おう」
レイ「これを…鶏肉にまぶして揚げるだけでいいのね」
カヲル「そのようだね」
レイ「…うまく…できるかしら」
カヲル「……。揚げる時に上手くやれば、きっと大丈夫さ」
レイ「…やってみる」
…ポチャン
パチッ!パチパチパチパチ
レイ「………………」
カヲル「ファースト…。…努力は認めるけれど、油が跳ねてきた時は我慢するより素直に逃げた方が安全だと思うよ」
レイ「…」
数分後。
レイ「…揚がったわ」
カヲル「やぁ、いい色だね」
レイ「味見」
カヲル「うん。頂くよ」カリッ
レイ「…」
カヲル「……」サクサク
レイ「…」
カヲル「へぇ、驚いたね。揚げ方ひとつでこんなに変わるなんて」
レイ「それは…、……美味しい、ということ?」
カヲル「うん、おいしいよ。これならシンジくんもきっと喜んでくれる」
レイ「……。二度揚げ、成功ね」
カヲル「今度、日向二尉たちにお礼を言いに行かないといけないね」
レイ「…うん」

58 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:32:01.84 ID:GoAnnook0
カヲル「さぁ、ようやく最後のメニューだ」
レイ「…卵焼き」
カヲル「溶き卵、フライパン、調味料…、材料は揃った」
レイ「……」
カヲル「ファースト」
レイ「…。ええ、大丈夫。…やれるわ」
カヲル「もしも、…万が一失敗したときは、僕が新しい溶き卵の用意をするから」
レイ「…ええ」
カヲル「………」
レイ「…」バッ
ジュウウウウウウ
カヲル「…端の方が焦げているよ」
レイ「……!」
カヲル「ファースト、焦る気持ちは僕にも分かる。でも落ち着くんだ。まだ内側に全く火が通っていないから今返したらーーー」
ベシャッ
カヲル「…」
レイ「…」
カヲル「…やり直そう。最初から」
レイ「…」
カヲル「失敗したものは…2人で食べよう。大丈夫、何度も繰り返せばいつかは上手くいくはずさ」
レイ「…」
カヲル「…きっと、料理も反復練習さ。シンジくんの喜ぶ顔が見たいんだろう?僕だって、君と同じだよ」
レイ「………。…私、…やるわ」
カヲル「その意気だよ。ファースト」

59 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:34:46.68 ID:GoAnnook0
………。
カヲル「…」
レイ「…」
カヲル「…日が落ちてきたね」
レイ「……」
カヲル「さすがに、そろそろ胃の中が卵焼きの成り損ないだらけになっている感じがするよ」
レイ「……」
カヲル「…」
レイ「…今頃、碇くん…何をやっているかしら」
カヲル「そうだね、この時間帯なら…台所で夕飯の用意をしているんじゃないかな」
レイ「…。………葛城一尉や、セカンドのために…」ボソッ
カヲル「…ファースト?」
レイ「いいえ。…なんでも、ないわ」
カヲル「……。そういえば戦闘訓練の時から様子がおかしかったね。セカンドに嫉妬しているのかい?」
レイ「? しっと…?」
カヲル「羨ましいんだね、いつもシンジくんからお弁当や食事を作ってもらえるセカンドが」
レイ「……」
カヲル「そんな感情を抱いてしまうのは仕方がないことさ。ヒトは誰でも、些細な事で誰かを羨んだり憎んだりせずにはいられない生き物だからね。大切な誰かが居れば、尚更」
レイ「……」
カヲル「…僕にはよくわからないけれど、そういった感情はあまり表に出さない方が利口だと思うよ。シンジくんは優しいから、君がセカンドに対してそんな感情を抱いていると知ればきっと悲しむ。結果としてそれは結局シンジくんを傷つけるだけだよ」
レイ「……………」
カヲル「…何か言いたそうな目をしているね?」

60 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:35:34.51 ID:GoAnnook0
レイ「…私は、セカンドについて何も言っていないわ」
カヲル「そうだね。だけど…」
レイ「全てあなたが勝手に言い出したこと」
カヲル「…」
レイ「…あなたの方こそ、どうなの」
カヲル「僕? …まさか僕がセカンドに対してそんな浅ましい感情を抱いているとでも言いたいのかい?」
レイ「…」
カヲル「笑えない冗談だね?」
レイ「…シンクロ技能訓練の時と、戦闘訓練の時、動きが悪かったのは…あなたも同じ」
カヲル「だからと言ってーーー」
レイ「碇くんを、傷つける可能性。…私にあるなら、あなたも同じ」
カヲル「僕が?シンジくんを?」
レイ「………」
カヲル「………」
レイ「………」
カヲル「心外だね」
レイ「先に喧嘩を売ってきたのは、あなたの方よ」
カヲル「……………」
レイ「……………」
カヲル「…………………」
レイ「……………………」
カヲル「………………………」
レイ「…………………………」

61 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:36:36.57 ID:GoAnnook0
カヲル「…このまま君と話していても埒があかないね。悪いけど僕はもう帰らせてもらうよ」
レイ「そう」
カヲル「…」
レイ「…」
………コン、コン
レイ・カヲル「!」
ゲンドウ「…レイ、私だ。中に居るか」
カヲル「碇司令か…見つかると面倒な事になりそうだ。…ファースト、少しの間浴室に身を潜めさせてもらうよ」
レイ「…?」
ガラガラガラ…ピシャッ
ゲンドウ「…レイ、居るか」
レイ「はい。…どうぞ」
ガチャッ
ゲンドウ「……」
レイ「…」
ゲンドウ「…話し声が聞こえた気がしたが、1人か?」
レイ「…はい」
ゲンドウ「そうか…。…赤木博士から今週分の薬を預かってきた。受け取れ」
レイ「はい」


62 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:37:15.09 ID:GoAnnook0
ゲンドウ「…どうした。随分と焦げ臭いようだが」
レイ「…すみません。料理を、作っていました」
ゲンドウ「料理?」
レイ「はい。…食べてもらいたい人が…いるんです」
ゲンドウ「………………。そうか…」
レイ「…」
ゲンドウ「…私は、揚げ物を良く食べるぞ」
レイ「? …そうですか」
ゲンドウ「…フッ…。…邪魔したな」
レイ「??」
ガチャッ
…パタン
レイ「…フィフス。もういいわ」
カヲル「…。碇司令…良く君のところへ来るのかい?」
レイ「ええ」
カヲル「そう。…そんな暇があるのなら、たまにはシンジくんと接してあげれば良いのに…」
ーーガチャッ
カヲル「!」
ゲンドウ「レイ。言い忘れた事がーー…」
カヲル「…」
ゲンドウ「……」
カヲル「…こんばんは」

63 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:39:02.16 ID:GoAnnook0
ゲンドウ「フィフス・チルドレンか。…ここで、何をしている」
カヲル「…少々事情がありまして」
ゲンドウ「………。なるほどな。突然料理などと…何を言い出すのかと思えば。…ふん、そういうことか…くだらん」
レイ「?」
カヲル「碇司令。どうやら何か誤解をされているようですが、僕たちはただーー…」
ゲンドウ「フィフス・チルドレン。今月分から貴様の給与を20%カットする」
レイ「碇司令…?」
カヲル「碇司令、あの…」
ゲンドウ「口答えをするつもりならば、貴様のフィフス・チルドレンとしての登録を抹消する」
カヲル「………」
ゲンドウ「異論は無いな」
カヲル「……わかりました。司令の決定ですから、従いましょう」
ゲンドウ「…ふん。…邪魔したな」
ガチャッ
ーバタン!
レイ「…」
カヲル「…」
レイ「…あの」
カヲル「いいさ、君が気にする事ではないよ。それほど物欲というものも無いし、特に困りはしない」
レイ「……。碇司令、何か怒っていたようだったわ」
カヲル「…そうだね」
レイ「ああなるのをわかっていたから、あなたはさっき隠れたの?」

64 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:40:06.74 ID:GoAnnook0
カヲル「嫉妬に狂ったリリンというものはあんな風に、他人の気持ちや主張を一切受け入れなくなり暴走してしまうんだね。…漠然と、知識としては知っていたけれど…実際に目の当たりにしたのは初めてだよ」
レイ「…嫉妬……」
カヲル「…。あながち、君がさっき言っていた事も間違いでは無かったのかも知れない」
レイ「?」
カヲル「僕が僕自身の気持ちに気付いていなかっただけ…か。ヒトの心というものは難しいね」
レイ「……」
カヲル「ファースト。さっきはつい感情的になってしまって、悪い事をしたね」
レイ「…いいえ。私の方こそ」
カヲル「もう一度やり直そう。卵はまだ残っているよ」
レイ「……うん」
カヲル「一度台所を片付けてからの方がいいね」
レイ「…フィフス。少し、聞きたいことがあるの」
カヲル「何だい?」
レイ「…碇司令がフィフスの給与額を減らし、結果としてあなたが傷ついた事はわかった。でも…、碇司令は、誰に…何に対して、嫉妬をしていたの?」
カヲル「…」
レイ「嫉妬。…誰かを羨ましく思ったり、憎んだりすることだと…、さっきあなたは言っていたわ」
カヲル「そうだね。でも今回の碇司令の件は、わからなければわからないままでも良いと思うよ」
レイ「…? 碇司令もあなたも、…よく、わからない…」

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/22(月) 23:41:00.44 ID:nWTiv+Mw0
ゲンドウェ…

66 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:41:47.87 ID:GoAnnook0
カヲル「…」
レイ「…また、失敗ね」
カヲル「卵も残り僅か、か…」
レイ「………。…だめなのかしら、もう」
カヲル「…。諦めるにはまだ早いよ」
レイ「でも…。…私には碇くんみたいに、綺麗な卵焼きは作れない」
カヲル「………」
レイ「………」
カヲル「…ファースト」
レイ「何…?」
カヲル「スクランブルエッグにしよう」
レイ「すくらんぶる……?」
カヲル「この本に、きっと作り方が載っているはずだ」ペラッ
レイ「……」
カヲル「……あった。ほら、これだよ」
レイ「…。これ、見た事があるわ。ネルフの食堂で、サラダに時々付いてくる…」
カヲル「これなら巻かなくても大丈夫だからね、多少は楽に作れるんじゃないかな」
レイ「…………。そうね。…やってみるわ」
カヲル「【卵・塩・こしょう・マヨネーズを混ぜる】」
レイ「…」ガシャガシャ
カヲル「【熱したフライパンにバターを溶かす】」
レイ「…」ジュウウウ
カヲル「ーーそう。そこまで終わったら一度弱火にして…」
レイ「……」
カヲル「そこに、最初に混ぜた卵を入れるんだ。入れたらすぐに混ぜるんだよ」
レイ「…わかった」

67 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:44:50.91 ID:GoAnnook0
レイ「…」
カヲル「…」
レイ「…………おいしい…」
カヲル「…良かったね」
レイ「ええ。…卵焼きではなくなってしまったけれど、…これなら次に作る時も、失敗せずにできそう」
カヲル「うん」
レイ「…明日朝一番にご飯を炊いて、おにぎりも作るわ」
カヲル「そうだね。午後からの授業のためにもお米は必要だからね」
レイ「…そういえば…、お弁当につけるデザートのことなのだけれど」
カヲル「うん」
レイ「…皮を剥かなくても良いし、おいしいから…これを付けようと思うの」
カヲル「さくらんぼ?…今日の買い物の時に買ったんだね。いいんじゃないかな、美味しそうだ」
レイ「…」
カヲル「ともかくこれで僕の役目は終わりだね。すっかり暗くなってしまったし、そろそろ失礼するよ」
レイ「…」
カヲル「こんなに君が頑張ったんだ。シンジくん、きっと喜んでくれると思うよ」
レイ「……」
カヲル「それじゃあね」
レイ「フィフス」
カヲル「…何?」
レイ「これ。…昨日買ったリンゴ、…もし良ければ」
カヲル「僕にくれるのかい?ふふ、ありがとう」
レイ「…」
カヲル「君なりのお礼の気持ちだね。わかっているよ」
レイ「……。…さよなら」
カヲル「うん、また明日」

68 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/22(月) 23:47:29.38 ID:GoAnnook0
とりあえずここまでです

69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/23(火) 01:49:46.03 ID:xY3+JfTi0
ゲンドゥー鬼畜すぎるだろw
つうか喧嘩の原因までシンジなのなこいつらはwww
カヲルと綾波って実際誰かと喧嘩になったら静かに言い争った後に黙りこみそうなイメージあるわ

70 : ◆sIVlz2/mNs :2013/04/24(水) 00:21:34.68 ID:y/55mjzU0
翌朝。
通学路。
カヲル「やぁ。おはようシンジくん」
シンジ「あっ、カヲルくん。おはよう」
カヲル「嬉しいな、朝から君に会えるなんて。…今朝はセカンドは一緒じゃないのかい?」
シンジ「うん、アスカは今日日直だから先に行ったんだ。おかげで弁当の用意も早くしなくちゃならなくて、ちょっと寝不足だよ…ふあぁ」
トウジ「よっ!おはよーさん!」
シンジ「あ、おはよう」
ケンスケ「よぉ!…なぁなぁ、碇も渚もこれ見てくれよ」
シンジ「何?」
ケンスケ「へへ、こないだの学園祭ん時の写真だよ。現像終わったから持ってきたんだ」
カヲル「へぇ、さすが相田くんだね。良く撮れてる」
トウジ「お前ら気ぃつけえ、こいつツレでも容赦なく金取る気やからな」
ケンスケ「うーん…。ま、碇と渚には1枚ずつくらいタダでやってもいいぜ」
トウジ「はぁ?なんやねんそれ、ワシにはびた一文まけん言うたくせに」
ケンスケ「渚や惣流の写真は特に高く売れるからなー。…碇と綾波にも学校内に割とファンがいるから、そこそこ稼がせてもらってるし。…ほら、2人とも好きなの選べよ」
シンジ「いいの?なんか悪いなぁ。…ええっと、じゃあ僕は学園祭の後にみんなで撮ったこれを…」
カヲル「僕はシンジくんと一緒に映っている写真がいいな」
トウジ「ケッ…おもんない話聞いてもーたわ」
ケンスケ「まぁまぁトウジ、そう拗ねるなよ。みんなどう?お前たちには特別に、女子の写真半額にしとくけど」
トウジ「ほんま、お前は懲りん奴やのぉ…。ワシ先行くでー」
シンジ「ぼ、僕も別にいいや…。そんなの買って、後でアスカに何言われるかわかんないし…」
カヲル「行こうか、シンジくん」
ケンスケ「なんだよ。…ちぇ、まぁいいか」

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