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ミサト「発想を逆転させるのよ!」シンジ「!」

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Part4
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:12:34.45 ID:ZUl0lSUS0
ミサト「シンジ君、ここまで来たのよ!諦めてはダメ」
シンジ「で、でもそんな事言ったって……」
ミサト「今分かっている証拠で彼を追い詰められないなら、新しい証拠を見つけ出すしかないわ」
シンジ「新しい証拠……この場で?」
ミサト「そうよ。もう1度考えてみて。今一つだけ謎に包まれているものがあるでしょう?」
シンジ「謎に包まれているもの?」
シンジ「……そうだ、一つ目の刃物」
ミサト「そう。考えてみるの、事件現場にあの包丁の他に凶器になり得たものを」
シンジ「凶器になり得たもの……」
ミサト「ええ。その近道は、発想を逆転させることよ」
ミサト「そもそも『犯人が何故二度刺したか』『何故別の凶器を使ったか』なんて考えても分からないなら」
ミサト「いっそのこと、『その凶器を使ってどうなったのか』を考えるの」
シンジ「その凶器を使ってどうなったか……」
シンジ「もう一つの凶器を使って、犯人は何か……」
シンジ「そういえば、張手さんは最近手を怪我したって……」

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:19:37.46 ID:ZUl0lSUS0
シンジ(これはグウゼンなのか……?)
シンジ(思い出すんだ、当時の状況は……)
シンジ「……ああ!!そうか!!」
ミサト「見えたかしら、真実が?」
シンジ「はい、ようやっと分かりました。……この事件の真相が」
シンジ「弁護側には証拠提出の用意があります」
サキエル「なんと!?」
バルディ「な、ナニィ……!」
シンジ(よし、これが最後の証拠品だ!)
シンジ「くらえ!」

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:25:31.11 ID:ZUl0lSUS0
事件ファイル
『割れたガラス』
裁判長「それは……先程の写真、ですか?」
シンジ「はい。やっとわかりました。謎に包まれていたもう一つの凶器」
シンジ「被害者を最初に傷つけたものはなんだったのかが」
シンジ「張手さん、あなたは確か最近手を怪我されたそうですね」
バルディ「な、そ、それがどうかしたのか、でございます」
シンジ「事件当時現場に存在したあの包丁の他に凶器になり得たもの。包丁より小さくて、咄嗟に人を傷つけられるもの」
シンジ「それがこちらなんです」
裁判長「……ガラス片、ということですか?」
バルディ「!!」

67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:32:02.71 ID:ZUl0lSUS0
シンジ「そうです。張手さんはこのガラス片を掴んで洞木さんを刺した」
シンジ「ギュッと握りしめてね」
サキエル「な、そ、そんなことをすれば……」
シンジ「そう、手が傷だらけになってしまう」
シンジ「ちょうど今の張手さんのようにね」
バルディ「こ、これは、その……!」
シンジ「……咄嗟に相手を刺してしまった張手さんは驚きました。そして、このままでは凶器であるガラスに証拠が残ってしまうと思い」
シンジ「慌てて指紋が残らない方法で、目に入った包丁を使い、相手を刺し直して凶器をカクランしようとしたのでしょう」
シンジ(ここでやめておけば、被害者は亡くならなかったわけだよな……)

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:38:22.83 ID:ZUl0lSUS0
シンジ「それからガラスについた指紋を拭き取り、被害者の血が溜まった床に置いて誤魔化せば目立たない」
シンジ「大方そんなことを考えていたのでしょう」
シンジ「そして、後は自分が目撃者になったフリをして被告人に罪を着せようとしたのです」
シンジ(偶然、トウジの指紋が包丁に残ってしまってたのは不運だったけど)
シンジ「ですが、調べれば被害者の衣服や現場からあなたの血液が微量に検出されるはずだ!」
シンジ「ガラスを握りしめた時に出血した血痕を完全に消し去ることなんて出来ない!まだ残っているはずなんだ!現場に残るはずのないあなたの痕跡がね!」
シンジ「さあ、今度こそ言い逃れできるものならしてみて下さい!!」
バルディ「な、な、な……」
バルディ「ぐ、ぐぐぐぐぐ」
バルディ「ぐおおおおおおああああああああえええええええええ!!!!」
バルディ「ええええええええいいいいいいいいいいいいい!!」
バルディ「いいいうううううう…………」ドサッ


69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:42:43.02 ID:ZUl0lSUS0
…………
裁判長「……それで、張手イエルは?」
サキエル「さ、先程犯行を自白しましたので緊急逮捕いたしました」
サキエル「その、彼の手の傷も確かに現場に落ちていたガラス片による切り口と一致したようで」
裁判長「ふむ、なるほど分かりました」
裁判長「弁護人……いや、確か碇君でしたかな?」
裁判長「どうやら君の名前を覚えることになりそうですぞ」
シンジ「い、いやぁ。はは……」
裁判長「まさか依頼人を救い出しただけでなく、真犯人を見つけてしまうとは」
シンジ「こ、光栄です」
裁判長「では、今さらになってしまいましたが、被告人には判決を言い渡しましょう」
無 罪
ヒューヒュー
シンジ(張手 イエルは不動産と偽った空き巣や不法侵入の常習犯だったらしい)
シンジ(トウジの外出を目にした張手は洞木さんの部屋に侵入、そこへ買い物を終えた洞木さんが帰ってきた)
シンジ(逆上した彼は目に入ったガラス片で彼女を刺したものの致命傷には至らず、証拠隠滅のため、ハンカチの上から目についた包丁を咄嗟に手に取り洞木さんを再び刺した)
シンジ(……ということらしかった)

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:45:36.95 ID:ZUl0lSUS0
同日 14:20分 地方裁判所 被告人控え室
ミサト「いやーお見事だったわ、シンジ君!」
ミサト「まさか初の法廷でここまでやってくれるなんて!」
シンジ「は、ははは」
シンジ(ミサトさんまで、まるで僕のことみたいに喜んでくれる)
トウジ「うぅ」
シンジ「と、トウジ?」
トウジ「シンジ、ワシ、死ぬから!」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:50:09.46 ID:ZUl0lSUS0
シンジ「い、いやいや、トウジは無罪になったじゃないか!」
トウジ「でもワシ、ヒカリのいない人生なんて、もう……」
シンジ「トウジ……」
トウジ「ワシな、あの日の前にヒカリと喧嘩したやろ?」
トウジ「それであの時謝りに行ってな、でも結局伝えられずにヒカリは……」
トウジ「ヒカリはどう思ってたんやろな。「すまん」の一時も言えず、もしヒカリがショックを受けたまま死んでしもたんやとしたら、ワシは……」
トウジ「なあ、シンジ。ヒカリはワシのこと恨んでるやろか?」
ミサト「あたしはそうは思わないわね」
トウジ「へ?」
ミサト「ねえ、そうでしょシンジ君?証拠、見せてあげたら?」
シンジ「あ、は、はい!」
シンジ「あの、トウジ、これなんだけど」

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:54:10.00 ID:ZUl0lSUS0
事件ファイル
『特注バッグ』
トウジ「ワシがプレゼントしたバッグ、か?」
シンジ「うん。洞木さん、あの日もこれを持って買い物にいってたんだよ」
シンジ「きっとトウジとひどい喧嘩をしたって気にせず使えるくらい、このバッグいつも持ち歩いてたんじゃないかな?」
トウジ「……」
シンジ「あの日も多分同じだったんだよ。そんなのなんとでも言えるけど、トウジは洞木さんが恨んでるって思う?」
トウジ「……センセ」
トウジ「ワシ、今回のことお前に頼んで……良かったわ」
トウジ「ありがとな」
シンジ「うん。トウジの力になれて良かったよ」
トウジ「ワシも、頑張らんとな……」

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 23:58:34.51 ID:ZUl0lSUS0
ミサト(シンジ君、証拠品ってこういうものよ)
ミサト(人間と同じで、見方によっていくつもの意味があるの)
ミサト(強くなりなさい。弁護士として、人として)
トウジ「じゃあその、これ。一応依頼料な」
シンジ「あ、そっか、ありがとう。なんか変な感じだね」
ミサト「ふふっ、シンジ君の初ものね。じゃああたしもお祝いよ」
ミサト「これを渡しておくわね」
シンジ「……え、これ、十字架の首飾り?」
シンジ「確かミサトさんの大事なものなんじゃ」
ミサト「そうよ。だから今、あなたに預けておくの」
ミサト「いつか一人前の立派な弁護士になったら、あたしに返しなさい」
シンジ「ミサトさん……」
シンジ「……分かりました。必ず返しに行きますよ!」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:03:35.43 ID:v9jg+r2X0
ミサト「ん。それにしても最初の事件に殺人事件を選ぶなんて驚きだったわよ」
シンジ「僕もですよ。でも、トウジの力になりたかったんです」
ミサト「鈴原君の?」
シンジ「はい。僕がこうして弁護士になったのも、トウジのお陰、みたいなところありますから」
ミサト「……へえ、なんか面白そうな話ね!」
ミサト「いい話なら今度聞かせてもらおうかな。お酒のおつまみにね!」
シンジ「は、はは……」

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:08:56.30 ID:v9jg+r2X0
ミサト「……じゃあ、そろそろ行きましょうか。今日はシンジ君のデビュー記念だし、パーっと飲むわよ!」
シンジ「ほ、ほどほどにしておいてくださいよ!また事務所で暴れられても困りますから!」
ミサト「はいはーい、善は急げってね!!」タッタッタ
シンジ「まったくもう……」
シンジ(こうして僕の初めての裁判は終わった)
シンジ(心臓が止まるかと思ったけれど、なんとか僕は親友を助けることができた)
シンジ(この裁判の記憶は、ミサトさんがくれた十字架の首飾りと共に僕の中に残り続けるだろう)
シンジ(ただしそれは、「この首飾りをミサトさんに返す」という約束を永遠に果たせなくなってしまう、あの辛い事件と共に、という意味なのだけれど)

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:13:24.25 ID:LTijtte8O
チヒロさんが隣にいると心強いけどミサトさんが隣にいると逆に不安になりそう

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:16:01.67 ID:v9jg+r2X0
プルルルルル ピッ
???『はい?』
ミサト「久しぶりね、元気してたかしら?」
???『葛城さん!もう、最近全然連絡くれなかったじゃないですか!』
ミサト「ごみんごみん、ちょっち今取り扱ってる事件のことで立て込んでてね」
???『それで、またうちに頼みですか?』
ミサト「うん、悪いわね。お世話になっちゃって」
???『はぁ、もうほんと勘弁してほしいわ……』
ミサト「ふふふ、じゃあ明日の夜、こっちで待ってるわね」
???『また何か美味しいものごちそうしてくださいよ』
ミサト「そうねぇ、じゃあステーキ……いや、ラーメンなんてどうかしら?」
???『わー、ごちそうになります!じゃあ明日の夜でいいんですよね!』

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:26:06.31 ID:v9jg+r2X0
ミサト「ん。あと、そうそう」
???『?』
ミサト「聞いたかしら、あなたのお兄さんのこと?」
???『ああ、はい。なんでも友達の弁護士さんに弁護してもらったとか。うち、直接は見に行けなかったんですけど』
ミサト「ふふふ、実はその弁護士ね、うちの子なのよ」
???『ええ!そうやったんですか!?』
ミサト「ええ、そうよ。最初の法廷で殺人事件をひっくり返してしまうなんて、彼は天才ね。間違いないわ。まるで成歩堂リュウイチみたいだったわ」
???『へぇ、じゃあうちも困ったことがあったらその弁護士さんに弁護にきてもらおうかな』
ミサト「おっと、ダメダメ。命が惜しかったら、彼に弁護を依頼するのはあと十四年待ちなさい」
ミサト「今日だってあたし内心、心臓が止まるかとおもったんだから」
???『わ、手のかかる部下なんですね』
ミサト「ふふ、間違ってないわ。それじゃ、明日よろしくね?」
???『わかりました、なんでもお伺いしますよ』
ミサト「センキュー!じゃ、またね、サクラ」

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 00:31:01.20 ID:v9jg+r2X0
『逆転、襲来 完』
ミサト「人生で初めての裁判を見事に乗り切った碇シンジ」
ミサト「しかし運命は彼に喜びの時を与えなかった」
ミサト「倒れるミサト、疑われる少女、そして彼女の弁護を決意するシンジ」
ミサト「鈴原サクラと名乗る少女。綾波レイと名乗る弁護士。真希波マリと名乗る刑事」
ミサト「そして、海外からやって来た無敗の天才検事が彼の前に立ちふさがるのだった」
ミサト「次回新世紀逆転裁判『逆転チルドレン』。お楽しみにね!」

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 03:14:35.15 ID:AZdahRTz0

霊媒の代わりが何になってしまうんだ……

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 08:08:46.86 ID:k+4YIS1to

期待

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/03(火) 12:45:18.99 ID:4LvGrlpSO
アスカアアアアアア!!!!
逆転裁判本家とも繋がるのか

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