のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
Part4
182 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)18:12:12 ID:p47Ruh7JC
舞さんは僕の言葉を無視し、長い髪を指にくるくる巻き付かせながら、猫なで声を続ける。
「だってのび太ったらぁ、あんなに情熱的に詰め寄るんだも〜ん。私ぃ、凄くドキドキしちゃったぁ」
「じょ、情熱的ーーッ!?」
「つ、詰め寄るーーッ!?」
「舞さん。一度こっちに……」
「ああん!のび太ったらぁ!乱暴!」
とりあえず、一時中断しよう。ていうか、いつまでそんな声出してるんですか。
ジャイアン達に背を向け、こそこそと話す。
「ちょっと舞さん!どういうつもりなんですか!」ヒソヒソ…
「くくく……!見てよの顔!ポカーンってしてるよ!」ヒソヒソ…
「あれは引いてる顔です。やり過ぎですって!」ヒソヒソ…
「そんなことないと思うけどなぁ……」ヒソヒソ…
「とりあえず、軌道修正して下さい!」ヒソヒソ…
「もう……分かったよ……」ヒソヒソ……
密談を終えた僕達は、再びジャイアン達の方を見る。
そして、舞さんは口を開いた。
「……もう……のび太ったら、Sなんだからぁ……私にあれこれ指示してぇ……」
「あ、あれこれーーッ!?」
「指示ーーッ!?」
「ちょっとおおおお!?」
……これは、お礼なのだろうか……
183 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)18:30:54 ID:p47Ruh7JC
「……のび太……やっぱりお前も、男だったんだなぁ……」
ジャイアンは、感慨深そうに呟いた。片やスネ夫は、呟くことすら出来ず、凍りついたままだった。
「……ちょっと舞さん、これ、どうするつもりなんですか……」
「う〜ん……まさか、こんなに純情くんとは思わなかったなあ……」
舞さんは困ったように頬を指でかく。
しかしまあ、一番困ってるのは、僕だったりするんですが……
「ーーああ!こんなところに!……課長!探しましたよ!
「うん?……あちゃー。見つかったか……」
突然、背後から声が聞こえた。そして振り返った舞さんは、残念そうに舌を出す。
(課長って……もしかして、舞さんのこと……)
後ろを振り返ると、今度は、僕が固まった。
「ーーッ!!」
「えーーッ!?」
「……ん?二人とも、どうしたの?」
固まった僕と、同じく固まったその人を見て、舞さんは不思議そうに顔を交互に見る。
だが僕は、それどころではない。何しろその人はーー
「……し、しずかちゃん……!?」
「……の、のび太さん……?」
ーーまさかの、再会だった。
184 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)18:33:37 ID:9TNwAzFhf
何!?
185 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)18:40:32 ID:3CQCb5qZ4
すごい流れだな
186 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)18:49:26 ID:p47Ruh7JC
「ーーいやいや、さすがに驚いたね……。まさか、のび太としずかが知り合いとはね……」
海の家に移動した後、舞さんは中ジョッキのビールをグビグビ飲みながらそう話す。
「本当っすねぇ。世間って本当に狭いもんすね」
「ほんとほんと」
それに続き、ジャイアンとスネ夫も言葉を漏らす。
「……それにしても、あの二人は、なんで黙りこんでるんだ?」
舞さんの言葉に、ジャイアンとスネ夫はこちらを向いた。
「……」
「……」
僕としずかちゃんは、隣同士に座ったまま、顔を隠すように俯いていた。
何か話さなきゃとは思う。だけど、言葉が出ない。それはしずかちゃんも同じようで、楽しそうに話す舞さん達とは違い、重苦しい空気が、僕としずかちゃんを包んでいた。
そんな僕らを見たジャイアンは、舞さんに耳打ちをする。
「……まあ、色々あるんすよ……」
「ふ〜ん……」
187 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)18:50:38 ID:HxpnDP7CI
昨日旧ドラを観た私にはタイムリーなスレ
191 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:29:36 ID:p47Ruh7JC
「……ねぇねぇのび太ぁ」
「は、はい?」
いきなり、舞さんが這いながら近づいてきた。そしてなぜかまた猫なで声。
「あ、あの……舞、さん?」
「……」
「ねぇねぇ、二人でどっか行こうよぉ」
「ちょっと舞さん、何言って……」
「いいからさぁ。ねぇねぇ」
「ちょっと舞さんーー!!」
しずか「ーーッ!!」
突然、しずかちゃんは席を立った。急な出来事に、僕らはただしずかちゃんを見つめる。視線が集まるなか、しずかちゃんは、そのまま海の家を出ていった。
(な、なんなの……)
呆然としていると、舞さんは突然肩を叩いてきた。
振り返れば、僕を見つめる舞の目。その目は、とても優しいものだった。
「……行ってやれ、のび太。お膳立ては、してやったからな」
「……え?」
「いいから。ーーお前も、男なんだろ?」
「……」
舞さんは、変わらない瞳で僕を見ている。これに、応えなきゃいけない。
そう、思った。
「ーーはい……!」
そして僕も席を立ち、海の家を飛び出す。そのまま砂浜を駆け出した。
遠くに見える、あの背中を追ってーー
193 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:33:19 ID:odTYWmExS
咲子エンドが遠退いていく
194 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:38:02 ID:p47Ruh7JC
「ーーし、しずかちゃん!待ってよ!しずかちゃん!」
「……」
僕の呼び掛けに、彼女はようやく足を止める。いつの間にか海水浴場からは離れてしまい、 人の姿なんてなくて、波の音、カモメの声、小さく聞こえる人々の喧騒だけが響いていた。
「……し、しずかちゃん……」
「……なに?」
「どうしたの、いきなり飛び出して……」
「……のび太さんの……バカ……」
「……え?」
「……何でもないわよ……」
「う、うん……」
「……」
……たった数言、そう話しただけで、僕達はまたも黙りこんでしまった。
195 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:40:24 ID:znd4nPhC0
リアル静香ちゃんてどんな感じなんだろ
全く想像できん
CMのやつは除外で
196 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:42:08 ID:a0FZCQp48
この話みたいに会社員になってるとすると、薄口の綾瀬はるか辺りかなと思った
197 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:42:37 ID:1HGzp8vlL
リアルだと解らんがマンガやアニメ中のしずかちゃんはウザい女筆頭な印象しかないわ
198 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:47:51 ID:p47Ruh7JC
誰かキャスティングしてみては?
さて、続き続き
199 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:51:43 ID:odTYWmExS
じゃあ俺は
しずかちゃん 堀北真希
咲子 桐谷美玲
でいっときます
200 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:55:49 ID:IM7DaUkxk
>>199 のび太羨ましすぎww
205 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:59:31 ID:p47Ruh7JC
>>199
採用
たそれより、予想以上に長引きそうで、少しばかり動揺を隠せない
201 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:56:54 ID:p47Ruh7JC
そのまま立ち尽くして僕らだったが、少し時間が経ったころに、ようやく波止場に移動することになった。
二人並んで座り、海を見る。
波は白い轍を作り、外から内へとさざ波の音と共に近付いてくる。陽射しは強いが、海風が吹いてるからか、そこまで暑さは感じない。その風に運ばれてくる潮の香りは、なんとも言えない心地よさを演出する。
「……海、綺麗だね」
「……ええ。そうね」
ようやく出たその言葉に、しずかちゃんは静かに言葉を返す。
少しだけ、昔に戻った気分だった。
あの頃の僕らは、こうして二人並び、色々なことをした。絵本の中に入ったり、過去や未来に行ったり……時には危険なこともあったけど、最後には必ず笑いあっていた。
ーー未来から来た、彼と共に……
206 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:21:19 ID:p47Ruh7JC
彼のことを思い出すと、閉ざされていた僕の口は開き、自然と言葉が出た。
「……ねえ、最近どう?仕事忙しい?」
「……うん。やっぱり忙しいわね」
「大変だね。でも、今日は休みとれたんだ」
「取れたって言うのかな……課長がね、言ったの。働くことも仕事なら、休むこともまた仕事だって。それでもなかなか休めなくていたら、この通り。無理やり連れてこられちゃった」
「ハハハ……」
……舞さん、やっぱ課長なんだ……全然見えない……
「ほんと、課長には感謝してるわ。いつも私をサポートしてくれるし、優しいし……」
そう話すしずかちゃんは、とても生き生きとしていた。本当に、今の仕事が好きなのだろう。
そこで僕は、とても気になることを口にした。
「……出来杉は?」
「え?」
「出来杉は……一緒に仕事してるわ。彼ね、今度のプロジェクトのリーダーになったのよ。とても、張り切ってるわ」
「……そう、なんだ……」
……出来杉は、やっぱり凄かった。
二人が働くのは大手企業。その、プロジェクトリーダーなんて、なかなかなれるものではない。しかも、あの若さで……
出来杉は、僕なんかとは全然違う。
そのことが、酷く惨めに思えていた……
207 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:26:10 ID:a0FZCQp48
この間たまたま見たアニメでも未来のしずかちゃん結構きつめだったね
堀北真希の会社員てあのcmのイメージか
208 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:36:09 ID:p47Ruh7JC
「ーーさて、そろそろ帰らなきゃ」
彼女は、その場を立ち上がる。そして、一度大きく体を伸ばした。
「え?もう帰るの?」
彼女は、困ったような笑みを浮かべる。
「……うん。仕事が残ってるの」
「今日くらいは、ゆっくりしたら?」
「そうなんだけどね……」
「ストレスだって、溜まってると思うよ?無理しなくても……」
「大丈夫よ、のび太さん。確かに、ちょっと疲れてはいるけど」
「だったらーー」
「ーーでも、気分はいいの。とっても……」
そう話すと、彼女は遠くの海を眺めた。まるで海風に全身で触れるように目を閉じる。
とても、穏やかな顔で……
その顔を見たら、それ以上のことを言えなくなってしまった。
だから僕も、同じように海を見た。
遠くに見える入道雲が、ふわふわと風になびかれ形を変える。
「ーーのび太さん、あの雲、笑ってるみたい……」
「えーー?……あ、ホントだ……」
大きな白い雲は、僕らを見守るように、空から優しく微笑みかけていた。
209 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:42:19 ID:sF5Qjy2dP
のび太の射撃技術は誰に向かうのか
210 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:42:42 ID:tFdviQk6w
追いついた
211 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:44:57 ID:p47Ruh7JC
それから、しずかちゃんと舞さんは帰っていった。
『感謝するよ、のび太。おかげで、しずかはリフレッシュ出来たみたいだ』
最後に、舞さんはそう言った。
でも、正直僕は何もしていない。話だって少ししか出来なかったし。
それで持ち直したのなら、それはきっと、しずかちゃん本人の力なんだと思う。
ちなみに、ジャイアンとスネ夫は、完全に酔いつぶれていた。
何でも、酒に酔わせて舞さんの連絡先を聞こうとしたらしいが、逆に潰されたとか。
確か、ジャイアンはかなり酒が強い。
それをも上回る酒豪とは……舞さん、恐るべし。
二人が酔いつぶれていたこともあり、その日僕らは帰らず、近くの民宿に一泊した。
その日の夜、二人は地獄を見ていたが。
酒は、ほどほどに。
212 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:58:01 ID:D7cnq5IfX
スネ夫は酒癖悪くなかったっけ
めちゃ強気になるはず
214 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:07:21 ID:sF5Qjy2dP
>>212
酒癖ちゃう、コーラ癖や
215 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)21:08:21 ID:p47Ruh7JC
民宿を出るころには、ジャイアン達もようやくなんとか回復していた。少しまだフラフラしてるけど、夜よりは何倍もましのようだ。
しかしながら、人生とは難しいものだ。
地獄を見ていた二人を介抱したのが僕。だが家に帰ってから、今度は僕に地獄が訪れていた。
「……あぅぅ……し、死ぬ……」
帰宅した僕は、なんとなく体の怠さを感じ、その日は早く寝た。次の日が仕事でもあったし、体調管理に万全を期すことこそ、一人前の企業戦士だからだ。
……だが、翌朝、あまりの気怠さに目を冷まし、水銀の温度計を使用したところ、なんと数値は39度オーバーを叩き出していた。
どうやら、相当疲れていたようだ。
仕方なく会社に連絡を入れ、その日は休むこととした。
本日の企業戦士は、しばしの休息となった。
ーーピンポーン
寝ていた僕は、玄関から鳴り響くチャイムの音に目を覚ます。
時刻は夕方。
こんな時間に来るのは、大抵新聞の勧誘であることを、僕は知っている。
フラフラとしながら玄関に向かい、ガチャリとドアを開けた。
「ーー新聞ならいりませんよ」
「……新聞?なんのこと?」
「…………へ?」
目の前にいた人物は、キョトンとしていた。まあいきなり新聞の勧誘と間違えられたわけだし、無理もないわけで……
ーーいやいや。そうじゃなくて、その前に……
「さ、咲子さん?なんでここに……」
僕の問いにニッコリと笑みを浮かべた咲子さんは、手に持っていた膨らんだスーパーのビニール袋見せる。
そして……
「ーー晩ごはん、作りに来たの。……おじゃま、してもいい?」
216 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:10:54 ID:sF5Qjy2dP
咲子さん射撃ルートか!?
217 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:14:58 ID:H3jGlo8fM
咲子さんキター
218 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:28:37 ID:pQh54wxMu
オレは咲子推し
219 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)21:29:14 ID:p47Ruh7JC
「ーー少し散らかってるけど、気にしないで」
「おかまいなく。……うわぁ。ここが男の人の部屋かぁ……」
「あ、あんまりじろじろみないで欲しいかも……」
「んん?じろじろ見られたくないものでもあるの?」
咲子さんは、意地悪な笑みを浮かべていた。僕はそれに失笑を返す。
来たことに驚いたが、さすがに追い返すのは可哀想と思い、彼女を部屋に招き入れた。
実のところ、女の人を家に入れるのは、彼女が初めてだ。しずかちゃんも入れたことない。
少しだけ片付けをしたあと、僕は布団に戻る。彼女はそんな僕の横にちょこんと座り、引き続き部屋の中をきょろきょろと見渡していた。
その目は、好奇心旺盛な子供のようだった。
「……よくここが分かったね」
「うん。上司に聞いたの」
「……教えてくれたんだ」
……上司よ。個人情報とはなんぞや。
「……じゃあさっそく、キッチン借りるね。のび太くんは寝てて」
「あ、うん……」
そう言うと、咲子さんは持ってきていた花柄の赤いエプロンを身に付けた。
そして、軽快なリズムで、包丁の音を響かせ始めた。
220 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:32:40 ID:IM7DaUkxk
咲子さんに惚れた
221 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:33:55 ID:9yZGBHYgl
俺は舞さんに逆ナンされたい
舞さんは僕の言葉を無視し、長い髪を指にくるくる巻き付かせながら、猫なで声を続ける。
「だってのび太ったらぁ、あんなに情熱的に詰め寄るんだも〜ん。私ぃ、凄くドキドキしちゃったぁ」
「じょ、情熱的ーーッ!?」
「つ、詰め寄るーーッ!?」
「舞さん。一度こっちに……」
「ああん!のび太ったらぁ!乱暴!」
とりあえず、一時中断しよう。ていうか、いつまでそんな声出してるんですか。
ジャイアン達に背を向け、こそこそと話す。
「ちょっと舞さん!どういうつもりなんですか!」ヒソヒソ…
「くくく……!見てよの顔!ポカーンってしてるよ!」ヒソヒソ…
「あれは引いてる顔です。やり過ぎですって!」ヒソヒソ…
「そんなことないと思うけどなぁ……」ヒソヒソ…
「とりあえず、軌道修正して下さい!」ヒソヒソ…
「もう……分かったよ……」ヒソヒソ……
密談を終えた僕達は、再びジャイアン達の方を見る。
そして、舞さんは口を開いた。
「……もう……のび太ったら、Sなんだからぁ……私にあれこれ指示してぇ……」
「あ、あれこれーーッ!?」
「指示ーーッ!?」
「ちょっとおおおお!?」
……これは、お礼なのだろうか……
183 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)18:30:54 ID:p47Ruh7JC
「……のび太……やっぱりお前も、男だったんだなぁ……」
ジャイアンは、感慨深そうに呟いた。片やスネ夫は、呟くことすら出来ず、凍りついたままだった。
「……ちょっと舞さん、これ、どうするつもりなんですか……」
「う〜ん……まさか、こんなに純情くんとは思わなかったなあ……」
舞さんは困ったように頬を指でかく。
しかしまあ、一番困ってるのは、僕だったりするんですが……
「ーーああ!こんなところに!……課長!探しましたよ!
「うん?……あちゃー。見つかったか……」
突然、背後から声が聞こえた。そして振り返った舞さんは、残念そうに舌を出す。
(課長って……もしかして、舞さんのこと……)
後ろを振り返ると、今度は、僕が固まった。
「ーーッ!!」
「えーーッ!?」
「……ん?二人とも、どうしたの?」
固まった僕と、同じく固まったその人を見て、舞さんは不思議そうに顔を交互に見る。
だが僕は、それどころではない。何しろその人はーー
「……し、しずかちゃん……!?」
「……の、のび太さん……?」
ーーまさかの、再会だった。
184 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)18:33:37 ID:9TNwAzFhf
何!?
185 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)18:40:32 ID:3CQCb5qZ4
すごい流れだな
186 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)18:49:26 ID:p47Ruh7JC
「ーーいやいや、さすがに驚いたね……。まさか、のび太としずかが知り合いとはね……」
海の家に移動した後、舞さんは中ジョッキのビールをグビグビ飲みながらそう話す。
「本当っすねぇ。世間って本当に狭いもんすね」
「ほんとほんと」
それに続き、ジャイアンとスネ夫も言葉を漏らす。
「……それにしても、あの二人は、なんで黙りこんでるんだ?」
舞さんの言葉に、ジャイアンとスネ夫はこちらを向いた。
「……」
「……」
僕としずかちゃんは、隣同士に座ったまま、顔を隠すように俯いていた。
何か話さなきゃとは思う。だけど、言葉が出ない。それはしずかちゃんも同じようで、楽しそうに話す舞さん達とは違い、重苦しい空気が、僕としずかちゃんを包んでいた。
そんな僕らを見たジャイアンは、舞さんに耳打ちをする。
「……まあ、色々あるんすよ……」
「ふ〜ん……」
昨日旧ドラを観た私にはタイムリーなスレ
191 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:29:36 ID:p47Ruh7JC
「……ねぇねぇのび太ぁ」
「は、はい?」
いきなり、舞さんが這いながら近づいてきた。そしてなぜかまた猫なで声。
「あ、あの……舞、さん?」
「……」
「ねぇねぇ、二人でどっか行こうよぉ」
「ちょっと舞さん、何言って……」
「いいからさぁ。ねぇねぇ」
「ちょっと舞さんーー!!」
しずか「ーーッ!!」
突然、しずかちゃんは席を立った。急な出来事に、僕らはただしずかちゃんを見つめる。視線が集まるなか、しずかちゃんは、そのまま海の家を出ていった。
(な、なんなの……)
呆然としていると、舞さんは突然肩を叩いてきた。
振り返れば、僕を見つめる舞の目。その目は、とても優しいものだった。
「……行ってやれ、のび太。お膳立ては、してやったからな」
「……え?」
「いいから。ーーお前も、男なんだろ?」
「……」
舞さんは、変わらない瞳で僕を見ている。これに、応えなきゃいけない。
そう、思った。
「ーーはい……!」
そして僕も席を立ち、海の家を飛び出す。そのまま砂浜を駆け出した。
遠くに見える、あの背中を追ってーー
193 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:33:19 ID:odTYWmExS
咲子エンドが遠退いていく
194 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:38:02 ID:p47Ruh7JC
「ーーし、しずかちゃん!待ってよ!しずかちゃん!」
「……」
僕の呼び掛けに、彼女はようやく足を止める。いつの間にか海水浴場からは離れてしまい、 人の姿なんてなくて、波の音、カモメの声、小さく聞こえる人々の喧騒だけが響いていた。
「……し、しずかちゃん……」
「……なに?」
「どうしたの、いきなり飛び出して……」
「……のび太さんの……バカ……」
「……え?」
「……何でもないわよ……」
「う、うん……」
「……」
……たった数言、そう話しただけで、僕達はまたも黙りこんでしまった。
195 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:40:24 ID:znd4nPhC0
リアル静香ちゃんてどんな感じなんだろ
全く想像できん
CMのやつは除外で
196 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:42:08 ID:a0FZCQp48
この話みたいに会社員になってるとすると、薄口の綾瀬はるか辺りかなと思った
197 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:42:37 ID:1HGzp8vlL
リアルだと解らんがマンガやアニメ中のしずかちゃんはウザい女筆頭な印象しかないわ
198 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:47:51 ID:p47Ruh7JC
誰かキャスティングしてみては?
さて、続き続き
199 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:51:43 ID:odTYWmExS
じゃあ俺は
しずかちゃん 堀北真希
咲子 桐谷美玲
でいっときます
200 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)19:55:49 ID:IM7DaUkxk
>>199 のび太羨ましすぎww
205 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:59:31 ID:p47Ruh7JC
>>199
採用
たそれより、予想以上に長引きそうで、少しばかり動揺を隠せない
201 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)19:56:54 ID:p47Ruh7JC
そのまま立ち尽くして僕らだったが、少し時間が経ったころに、ようやく波止場に移動することになった。
二人並んで座り、海を見る。
波は白い轍を作り、外から内へとさざ波の音と共に近付いてくる。陽射しは強いが、海風が吹いてるからか、そこまで暑さは感じない。その風に運ばれてくる潮の香りは、なんとも言えない心地よさを演出する。
「……海、綺麗だね」
「……ええ。そうね」
ようやく出たその言葉に、しずかちゃんは静かに言葉を返す。
少しだけ、昔に戻った気分だった。
あの頃の僕らは、こうして二人並び、色々なことをした。絵本の中に入ったり、過去や未来に行ったり……時には危険なこともあったけど、最後には必ず笑いあっていた。
ーー未来から来た、彼と共に……
206 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:21:19 ID:p47Ruh7JC
彼のことを思い出すと、閉ざされていた僕の口は開き、自然と言葉が出た。
「……ねえ、最近どう?仕事忙しい?」
「……うん。やっぱり忙しいわね」
「大変だね。でも、今日は休みとれたんだ」
「取れたって言うのかな……課長がね、言ったの。働くことも仕事なら、休むこともまた仕事だって。それでもなかなか休めなくていたら、この通り。無理やり連れてこられちゃった」
「ハハハ……」
……舞さん、やっぱ課長なんだ……全然見えない……
「ほんと、課長には感謝してるわ。いつも私をサポートしてくれるし、優しいし……」
そう話すしずかちゃんは、とても生き生きとしていた。本当に、今の仕事が好きなのだろう。
そこで僕は、とても気になることを口にした。
「……出来杉は?」
「え?」
「出来杉は……一緒に仕事してるわ。彼ね、今度のプロジェクトのリーダーになったのよ。とても、張り切ってるわ」
「……そう、なんだ……」
……出来杉は、やっぱり凄かった。
二人が働くのは大手企業。その、プロジェクトリーダーなんて、なかなかなれるものではない。しかも、あの若さで……
出来杉は、僕なんかとは全然違う。
そのことが、酷く惨めに思えていた……
207 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:26:10 ID:a0FZCQp48
この間たまたま見たアニメでも未来のしずかちゃん結構きつめだったね
堀北真希の会社員てあのcmのイメージか
208 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:36:09 ID:p47Ruh7JC
「ーーさて、そろそろ帰らなきゃ」
彼女は、その場を立ち上がる。そして、一度大きく体を伸ばした。
「え?もう帰るの?」
彼女は、困ったような笑みを浮かべる。
「……うん。仕事が残ってるの」
「今日くらいは、ゆっくりしたら?」
「そうなんだけどね……」
「ストレスだって、溜まってると思うよ?無理しなくても……」
「大丈夫よ、のび太さん。確かに、ちょっと疲れてはいるけど」
「だったらーー」
「ーーでも、気分はいいの。とっても……」
そう話すと、彼女は遠くの海を眺めた。まるで海風に全身で触れるように目を閉じる。
とても、穏やかな顔で……
その顔を見たら、それ以上のことを言えなくなってしまった。
だから僕も、同じように海を見た。
遠くに見える入道雲が、ふわふわと風になびかれ形を変える。
「ーーのび太さん、あの雲、笑ってるみたい……」
「えーー?……あ、ホントだ……」
大きな白い雲は、僕らを見守るように、空から優しく微笑みかけていた。
のび太の射撃技術は誰に向かうのか
210 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:42:42 ID:tFdviQk6w
追いついた
211 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)20:44:57 ID:p47Ruh7JC
それから、しずかちゃんと舞さんは帰っていった。
『感謝するよ、のび太。おかげで、しずかはリフレッシュ出来たみたいだ』
最後に、舞さんはそう言った。
でも、正直僕は何もしていない。話だって少ししか出来なかったし。
それで持ち直したのなら、それはきっと、しずかちゃん本人の力なんだと思う。
ちなみに、ジャイアンとスネ夫は、完全に酔いつぶれていた。
何でも、酒に酔わせて舞さんの連絡先を聞こうとしたらしいが、逆に潰されたとか。
確か、ジャイアンはかなり酒が強い。
それをも上回る酒豪とは……舞さん、恐るべし。
二人が酔いつぶれていたこともあり、その日僕らは帰らず、近くの民宿に一泊した。
その日の夜、二人は地獄を見ていたが。
酒は、ほどほどに。
212 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)20:58:01 ID:D7cnq5IfX
スネ夫は酒癖悪くなかったっけ
めちゃ強気になるはず
214 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:07:21 ID:sF5Qjy2dP
>>212
酒癖ちゃう、コーラ癖や
215 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)21:08:21 ID:p47Ruh7JC
民宿を出るころには、ジャイアン達もようやくなんとか回復していた。少しまだフラフラしてるけど、夜よりは何倍もましのようだ。
しかしながら、人生とは難しいものだ。
地獄を見ていた二人を介抱したのが僕。だが家に帰ってから、今度は僕に地獄が訪れていた。
「……あぅぅ……し、死ぬ……」
帰宅した僕は、なんとなく体の怠さを感じ、その日は早く寝た。次の日が仕事でもあったし、体調管理に万全を期すことこそ、一人前の企業戦士だからだ。
……だが、翌朝、あまりの気怠さに目を冷まし、水銀の温度計を使用したところ、なんと数値は39度オーバーを叩き出していた。
どうやら、相当疲れていたようだ。
仕方なく会社に連絡を入れ、その日は休むこととした。
本日の企業戦士は、しばしの休息となった。
ーーピンポーン
寝ていた僕は、玄関から鳴り響くチャイムの音に目を覚ます。
時刻は夕方。
こんな時間に来るのは、大抵新聞の勧誘であることを、僕は知っている。
フラフラとしながら玄関に向かい、ガチャリとドアを開けた。
「ーー新聞ならいりませんよ」
「……新聞?なんのこと?」
「…………へ?」
目の前にいた人物は、キョトンとしていた。まあいきなり新聞の勧誘と間違えられたわけだし、無理もないわけで……
ーーいやいや。そうじゃなくて、その前に……
「さ、咲子さん?なんでここに……」
僕の問いにニッコリと笑みを浮かべた咲子さんは、手に持っていた膨らんだスーパーのビニール袋見せる。
そして……
「ーー晩ごはん、作りに来たの。……おじゃま、してもいい?」
216 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:10:54 ID:sF5Qjy2dP
咲子さん射撃ルートか!?
217 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:14:58 ID:H3jGlo8fM
咲子さんキター
218 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:28:37 ID:pQh54wxMu
オレは咲子推し
219 :◆9XBVsEfN6xFl :2014/08/11(月)21:29:14 ID:p47Ruh7JC
「ーー少し散らかってるけど、気にしないで」
「おかまいなく。……うわぁ。ここが男の人の部屋かぁ……」
「あ、あんまりじろじろみないで欲しいかも……」
「んん?じろじろ見られたくないものでもあるの?」
咲子さんは、意地悪な笑みを浮かべていた。僕はそれに失笑を返す。
来たことに驚いたが、さすがに追い返すのは可哀想と思い、彼女を部屋に招き入れた。
実のところ、女の人を家に入れるのは、彼女が初めてだ。しずかちゃんも入れたことない。
少しだけ片付けをしたあと、僕は布団に戻る。彼女はそんな僕の横にちょこんと座り、引き続き部屋の中をきょろきょろと見渡していた。
その目は、好奇心旺盛な子供のようだった。
「……よくここが分かったね」
「うん。上司に聞いたの」
「……教えてくれたんだ」
……上司よ。個人情報とはなんぞや。
「……じゃあさっそく、キッチン借りるね。のび太くんは寝てて」
「あ、うん……」
そう言うと、咲子さんは持ってきていた花柄の赤いエプロンを身に付けた。
そして、軽快なリズムで、包丁の音を響かせ始めた。
220 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:32:40 ID:IM7DaUkxk
咲子さんに惚れた
221 :名無しさん@おーぷん :2014/08/11(月)21:33:55 ID:9yZGBHYgl
俺は舞さんに逆ナンされたい
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
Part1 Part2 Part3 Part4 Part5 Part6 Part7 Part8 >>Part11
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