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のび太(31)「いらっしゃいませ。」

Part1
2 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:39:54.42 ID:LtwPAmmAO


2013年 東京某所の靴屋

トコトコトコッ

新人「すいません、野比店長!」オロオロ

のび太「ん? どうしたの?」

新人「あの、いま私が接客してるお客様なんですが・・・」ヒソヒソ

のび太「うんうん。」

新人「こちらの靴をご希望なんです。」サッ

のび太「ローファーか。」

新人「普段は25.5センチだとおっしゃるので25.5をお出ししたんですが、それだと少しサイズがキツいみたいで。でも・・・・・・」

のび太「26だとちょっと大きいんでしょ?」ニコッ


3 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:40:47.39 ID:LtwPAmmAO


新人「えっ? あっ、はい。そうなんです。えっ・・・なんで分かったんですか?」

のび太「ローファーはそういう物だからだよ。ローファーは前が浅いでしょ・・・・・・って、“前が浅い”って分かる?」

新人「・・・すいません、分からないです。」ショボン

のび太「良いよ良いよ。仕方ない。“前が浅い”ってのは、足を覆う面積が少ないって事さ。例えばスニーカーだったら爪先から足首の付け根までスッポリ覆ってくれるけど、ローファーは甲の部分までしか覆いがないでしょ?」

新人「はい。」


4 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:41:45.15 ID:LtwPAmmAO


のび太「って事は、足を上げた時に引っ掛かる面積が少ないワケだから、スニーカーとかに比べると脱げやすいよね?」

新人「あっ、はい。」

のび太「尚且つ、ヒモも付いてないから締め付けを調節する事もできない。だからあらかじめ甲を低くする事で足を締め付けて、それで足が靴から抜けないようにしてるんだ。」

新人「なるほど!」

のび太「だから、あのお客様は25.5でサイズは合ってるよ。ローファーはちょっとキツめで履くのが正解なんだ。」

新人「分かりました! ありがとうございます!」ダッ

のび太「あっ、ストップ!」


5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/17(日) 22:43:15.61 ID:OIR+SpJHo
お、懐かしい。靴屋のび太か。
前スレ結構好きだよ。がんばれ。


6 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:43:38.98 ID:LtwPAmmAO


新人「はい?」クルッ

のび太「履き慣らしていけば革が少しずつ伸びてくるから後でもっと楽になりますってちゃんと伝えてね。それと、もしどうしても痛い時は機械を使って痛い箇所を伸ばす事もできますってね。」

新人「はいっ! 分かりました!」タタタタタッ



オキャクサマオマタセイタシマシター

コノオクツハカクカクシカジカデー



のび太「ふふふっ。」

のび太(思い出すなぁ。僕も初めてローファーを接客した時は面食らったっけ。)



野比のび太。

現在31歳。

靴屋の店長に就任し、1年の歳月が経過していた。







7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/17(日) 22:43:41.01 ID:ClFzvAOHo
需要めっちゃあるで!
期待


8 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:47:34.99 ID:LtwPAmmAO
>>5
>>7

うわっ、レスが早い!
どうもすみません。
温かく迎えていただけて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。


9 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:49:05.25 ID:LtwPAmmAO


その夜 しずかのダイニングバー

のび太「って事があってさぁ。」

しずか「・・・。」シャカシャカシャカ

のび太「あの新人の女の子、かなり見込みがあると思うなぁ。」

しずか「・・・。」シャカシャカシャカ

のび太「ちょっと気はキツけどすっごい真面目だし、何より仕事が好きって気持ちが溢れてるんだよね。」

しずか「・・・。」シャカシャカシャカ

のび太「・・・。」

しずか「・・・。」シャカシャカシャカ

のび太「・・・しずかちゃん?」

しずか「えっ? 何か言った?」クルッ


10 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:49:44.72 ID:LtwPAmmAO


のび太「何かって・・・・・・聞いてなかったの?」

しずか「ご、ごめんなさい! シェイカーを振ってると周りの声が聞こえなくて!」アタフタ

のび太「あっ、そっか。耳元でそんなにシャカシャカ鳴ってたら当然だね。」

しずか「本当にごめんなさい。何の話だったの?」

のび太「いや、職場の新人の女の子がすごくやる気があって将来有望だって話なんだけど。ところで、何でシェイカー振ってたの?」

しずか「あっ、これ? これはね、新作カクテルの試作品よ。」

のび太「へぇ、新作かぁ。研究熱心だね。」


12 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:51:29.87 ID:LtwPAmmAO
しずか「それはのび太さんも一緒でしょ。そんなに靴に詳しい人が研究熱心じゃなければ何なの?」

のび太「はははっ。まぁ、仕事だからね。」

しずか「ふふふっ。のび太さん、良ければこの試作品、飲んでみてくれない?」

のび太「えっ? 良いの?」

しずか「えぇ。お客様の率直な感想を聞きたいのよ。もちろん、お代はいらないわ。」

のび太「ありがとう。喜んでいただくよ。」

しずか「助かるわ。はい、どうぞ。」トクトクトクッ

のび太「わぁ、綺麗な色だねぇ。いただきます。」グイッ

のび太「・・・。」


13 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:52:25.38 ID:LtwPAmmAO


しずか「・・・どう?」

のび太「いや、サッパリしてて美味し・・・・・・辛っ!!!!」

しずか「ふふふっ。」

のび太「辛っ!!!! 何!!!? 何これ!!!? うぇっ辛っ!!!!」

しずか「あははははっ!」

のび太「辛ぁ!!!!」

しずか「あはははっ。はい、飲むヨーグルトどうぞ。」コトッ

のび太「!!」ガシッ

グビグビグビッ

のび太「ぷはぁ~。あ~、まだ辛い。何なのこれ?」

しずか「キッス・オブ・ファイアーっていうウォッカベースのカクテルよ。本来は甘酸っぱくて美味しいカクテルなんだけど、それは普通のウォッカじゃなくてトウガラシ浸けのウォッカを使ってみたの。」


16 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:54:00.36 ID:LtwPAmmAO


のび太「な、何だってそんな殺人兵器みたいな物を・・・」

しずか「最近、若いお客様が増えてきたの。だから、若い人が集まって飲む時に何か盛り上がるようなメニューが欲しいなぁと思って。罰ゲームに使う時なんかにね。」

のび太「も~。だからって僕を実験台にしないでよぉ。あ~、舌痛い。」ヒリヒリ

しずか「ふふふっ。ごめんなさい。のび太さんだったら絶対に良いリアクションしてくれると思ったの。お詫びに何か一品おごるわ。何が良い?」

のび太「えっ? 良いの? ん~、じゃあタコの唐揚げで。」


17 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:54:44.51 ID:LtwPAmmAO


しずか「分かったわ。ちょっと待っててね。」スタスタ



ウェスタンドアをくぐり、厨房へと入ってゆくしずかの背中をのび太は黙って見つめていた。



のび太「はぁ。」



このところ、のび太には一つ気掛かりな事があった。

自分としずかはいつ結婚するのかという事である。

本来の未来では学業の成績が芳しくなく、就職にあぶれ、ジャイアンの圧力によってジャイ子と強引に結婚させられ、挙げ句起業した会社を火災で失うという惨憺たる生涯を送る事となる。

その未来を変えるべく、ドラえもんはやってきた。


18 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 22:55:52.68 ID:LtwPAmmAO


実際、ドラえもんのお陰で自分は変われたと思う。

それは単に学業に関する事だけではない。

もとい、学業に関してドラえもんから受けた恩恵はそんなに多くなかったと言えなくもない。

確かに暗記パンのように学力を向上させる道具を借りて難局を乗り切った事はある。

しかし、それはあくまで幼少時代の話。

高校の頃から道具に頼らなくなって以降、大学受験で合格を勝ち取るにまで至ったその学力は、明らかに自らの努力によるものだという自負がのび太にはあった。

では、ドラえもんと出会い、一体何が変わったのか。


19 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 23:00:09.47 ID:LtwPAmmAO


それは心ではないかとのび太は考えていた。

ドラえもんと共に過ごし、揺るぎない友情を共有した日々。

そこから得られた安息こそが、のび太を大きく変えた原動力だったのではないだろうか。

のび太は思った。

もしかすると、ドラえもんと出会わなかった本来の僕には友達らしい友達なんていなかったんじゃないだろうか。

例えば、今ののび太にはジャイアンとの間に確固たる友情がある。

ジャイアンも同じ感情を抱いてくれているという自信もある。

だから友達なのだ。


20 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 23:00:45.80 ID:LtwPAmmAO


もし今、ジャイアンからジャイ子との縁談を持ち掛けられたなら、膝を付き合わせてじっくり話し合い、丁重に断るだろう。

男女の好意を持ち得ない相手との婚姻など、自分だけでなく相手をも不幸にしてしまう。

確かにワガママで強引なところのあるジャイアンだが、友達が心の底から発する本音を無下にあしらうほど愚鈍ではない。

だが、史実上ののび太はジャイアンの圧力に屈し、伴侶を選ぶ権利すら放棄している。

Noと言えない関係。

そんな関係のどこに友情があると言うのか。


22 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 23:02:36.08 ID:LtwPAmmAO


ドラえもんから学んだ心の豊かさ。

それがあったから、今の自分には友達がいる。

安らぎがある。

だから変わる事ができた。

のび太はそう思っていた。

しかし、自分にはまだまだ変えなければならない課題があった。

もとい、真っ先に変えなければならない最優先課題を、よりにもよって一番後回しにしてしまっていたらしい。

それがしずかとの関係である。



のび太「“さぁ、お前ならどうする。決して往復できない人生の洞窟。”」ボソッ

しずか「えっ? なぁに?」


23 : ◆51UnYd7yHM [saga]:2013/03/17(日) 23:03:52.72 ID:LtwPAmmAO


のび太「あっ、いや。何でもないよ。独り言。」



徳島県出身のMC、CO-KEYの「WHAT'CHA GONNA DO?」の一節である。

ジャイアンのメジャーデビューシングルに背中を押されて以来、のび太は少しずつヒップホップを聴くようになっていった。

ある時、ジャイアンがブログでCO-KEYを絶賛しているのを目にし、彼のミニアルバムを購入した。

そこに収録されていたのが「WHAT'CHA GONNA DO?」である。

夢見る若者を応援しつつも、夢を叶えるまでの過酷さと挫折の恐怖を赤裸々に綴った同曲はのび太とお気に入りだった。

しかしここ最近、しずかとの関係に頭を悩ませていると、この曲のフックがのび太の心に重くのしかかってくるようになってきた。



『さぁ。お前ならどうする。決して往復できない人生の洞窟。幸福我で掴み取るか、降伏してなるのか敗北者。』





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