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知り合いの男の子が、男の子じゃなかった話

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Part4
187 :ゆき :2014/06/22(日)09:05:22 ID:zy3QIeERz
次の日、起きたのはいつもよりずっと遅くの時間でした。
迷った末に、ゆきに「昨日のなに?」とメールを送ってみましたが、返信が何時間待っても来ない。
ああ、部活だわ。と気付きました。
しかし、気になって気になってしかたなかった。
謎でした。なんでこんな、派手でもなければ色気もない幼馴染にキスなんかしたのでしょうか。
男子特有のあれだったのでしょうか。それにしても妥協しすぎじゃないか…

188 :ゆき :2014/06/22(日)09:05:43 ID:zy3QIeERz
こんなことをぐるぐる考えていると、昼頃にメールが来ました。
「会って話したいんだけど、いいですか?」
警戒心は十分にあったので、公民館の近くに呼び出しました。
木の下で、いらいらしながら待っていると、奴が走ってきました。

189 :ゆき :2014/06/22(日)09:06:17 ID:zy3QIeERz
ゆき「ごめん、遅くなった」
1「メールしたほうが遅れるとか」
ゆき「申し訳ないです。お詫びです、1様」
ゆきはコンビニの袋を渡してきました。なんと、ハーゲンダッツのバニラが入っていました!
少し気をよくして、アイスをいただいていると、ゆきがじっと見てきました。

190 :ゆき :2014/06/22(日)09:06:41 ID:zy3QIeERz
ゆき「それでさ」
1「何すか」モグモグ
ゆき「昨日のこと…」
1「ああ、メダパニ」
ゆき「メダパニって…。一応、本気だったんだけど」
1「きもい」モグモグ
ゆき「酷い…」

191 :ゆき :2014/06/22(日)09:07:01 ID:zy3QIeERz
しばらく放置し、アイスを頬張っていると、ゆきが隣に腰掛けました。
あーん、と口を開けてきたので、アイスを掬って、口に入れる
ふりをして、抜いた雑草をぶちこみました。


192 :ゆき :2014/06/22(日)09:07:23 ID:zy3QIeERz
ゆき「くぁwせdrftgyふじこ」
1「wwwwwwwwwww」
ゆき「はにふんだよ!!!」
ゆきは涙目で、口を濯いでいました。

193 :ゆき :2014/06/22(日)09:07:44 ID:zy3QIeERz
しばらくハーゲンダッツを見つめていましたが、空になると諦めたように
ゆき「昨日のメール、ちゃんと読んだの」
1「ううん」
ゆき「!な、なんで」
1「うそ。読んだ」
ゆき「え、じゃあ、じゃあ返事は…?」
ゆきは今にも泣きそうな顔でこっちを見てきました。

194 :ゆき :2014/06/22(日)09:08:10 ID:zy3QIeERz
何も言えませんでした。
1「…いやー、釣り合わないよ」
ゆき「1ちゃんに俺が?」
1「逆だよ馬鹿か」
ゆき「なんで。そんなことない」
1「いーや、あるね。ゆきの顔と性格なら、もっと可愛い子彼女にできるって」
我ながらひねくれた返事でした。

195 :ゆき :2014/06/22(日)09:08:55 ID:zy3QIeERz
ゆき「1ちゃんは可愛いもん」
1「そういうお世辞がいっちばん嫌い」
ゆき「俺から見たら、可愛い」
1「眼科行け眼科」
ゆき「俺視力AA。1ちゃんと違って」
1「とにかく無理、ってかダメ」

196 :ゆき :2014/06/22(日)09:11:34 ID:zy3QIeERz
ゆき「どうして…」
1「だから、ゆきと私じゃレベルが違いすぎるから」
ゆき「…」
ゆき「俺が、女装趣味だから?」
ハーゲンダッツ噴出するかと思った。
1「そういう理由じゃない、絶対違う!」
ゆき「そっか。何か安心したw」

197 :ゆき :2014/06/22(日)09:11:58 ID:zy3QIeERz
1「…」
ゆき「それじゃあ、あの理由じゃ納得できないんだけど」
ゆき「レベル云々とかじゃなくて、こう、違うでしょ。上手くいえないけど」
1「…んー」
ゆき「1ちゃんは、俺の事嫌い?」
1「…普通」
ゆき「普通かー…。じゃあ、これから何をすれば好きになってくれる?」
1「必死か」
ゆき「当たり前じゃん。本当に、本当に好きなんだもん」
1「…」
なにこいつ、恥ずかしい。

198 :ゆき :2014/06/22(日)09:12:20 ID:zy3QIeERz
最初はもちろん、笑いながら断るつもりでした。けどゆきは、こんな私に、可愛そうなくらい必死でした。
ゆき「…やっぱ、嫌?」
1「…」
かわいいなー、と思いました。犬みたいで。
ゆきはしょんぼりして、うつむいてしまいました。
胸が痛くなるくらい、その顔が切なげで、どうしていいか分からなくなりました。

199 :ゆき :2014/06/22(日)09:12:47 ID:zy3QIeERz
慰めようと、ゆきの頭に手を載せ、わしゃわしゃしていました。
ゆき「ちょww犬ですかww」
1「うん、犬みたいww」
ゆきは笑いながら、おふざけに付き合ってくれました。その顔は、絶対無理して笑っていました。

200 :ゆき :2014/06/22(日)09:13:37 ID:zy3QIeERz
気付いた時には、私はゆきを抱きしめていました。
ゆきは、私の腕の中で硬直していました。ゆきの、汗と制汗剤の匂いがしました。
ゆきはその硬直もつかの間、すぐに私の背中に手を回してきました。
苦しそうに荒く息をしながら、ぎゅーっと抱きしめてきました。
ゆきは何度も、私の名前を呼んできました。
ゆきの声は掠れていて、情けなかった。

201 :ゆき :2014/06/22(日)09:14:17 ID:zy3QIeERz
私は、ゆきの頭をぽんぽんしながら、ゆきの呼ぶ声に返事をしていました。
やがてゆきは、焦れたように言いました。
ゆき「1…」
1「はい」
ゆき「俺、好きなんだけど…」
1「ど、どうも」
ゆき「…付き合って。ね?」
その言い方が、すごく甘えん坊なかんじがして、正直萌えました。
もういいや、ままよ、と思って、しょうがないな!いいよ!と叫びました。
ゆきは、顔を真っ赤にして「くぅううううう」と耳元で声を絞り出していました。

202 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)09:14:17 ID:AwCiT6AC1
wktk

205 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:00:01 ID:zy3QIeERz
ゆきは何度も私の手を握ってぶんぶんして、ありがとうを連発していました。
私は恥ずかしくて、苦笑いしながらそれに付き合いました。
その日は、二人で手を繋いで帰りました。
ゆきは、スキップでもしそうな浮つきようでしたw
これが、夏休み2週間目くらいのことです。だらだら書いてますが、結構展開が早かったような。
余談ですが、その日の夜おばちゃんとご飯を食べてると、何故か赤飯が出てきました。
嫌な予感がしました。

206 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:00:19 ID:zy3QIeERz
おば「あんた、ゆきと付き合うことになったのねwww」
1「」
おば「ゆきのばーちゃんが、近所中に触れ回ってたわwww」
1「」
何故言う、ゆき。そして何故広める、お婆ちゃん。
おば「ってか、まだ付き合ってなかったのねwww」
1「…」
おば「まあ、お幸せにねwwwww」
死にたかった。

207 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:00:36 ID:zy3QIeERz
そんなハプニングもありましたが、まあ、順調にゆきと私の交際は始まりました。
かといって、ゆきの女装癖は止みませんでした。
二人でおしゃれをして、お出かけするという奇妙なデートもありましたねw
大体、ゆきの方に視線が集まっていて嫉妬しましたww
トイレから帰ってきたとき、ゆきがナンパされていたこともありました。
ゆきは顔を真っ白にしてキョドってましたw

208 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:01:07 ID:zy3QIeERz
面白いので、遠くからニヤニヤしながら見てると、ゆきがこっちに気づいて
めちゃくちゃ情けない顔で、助けてーという合図を送ってきました。
お腹を抱えて笑っていると
ゆき「す、すみません!あっちに、あの、彼氏、彼氏待たせてるので、行きます、はいっ」
と大声でまくしたて、こっちへダッシュしてきましたw
彼氏って何だコラ。 ナンパ集団は不思議そうにこっちを見てたなw


209 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:01:28 ID:zy3QIeERz
そんな感じで、ゆきと過ごす時間はこれまでよりももっと楽しいものになっていきました。
が、一つ問題が。
私は、どちらかというと、まだゆきのことを「男」として見ていませんでした。
彼氏というより、「女装好きの友達」といった位置づけに近かった気がします。
今思えば、ゆきに申し訳ないです。

210 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:02:13 ID:zy3QIeERz
一方ゆきは、やっぱり男の子でした。二人きりで部屋にいると、そわそわしてきます。
いきなり手を握ってきたり、くっついてきたりといって落ち着きがない。
1「なにw邪魔なんだけどw」
ゆき「うん…」
1「暑いから離れてよ」
ゆき「いや…」
1「何?」
ゆき「…1ちゃん、好きです」
1「何だいきなりww」

211 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:02:31 ID:zy3QIeERz
だいたいこういう流れになると、私は逃げるようにトイレに行ったり、台所に逃げたりしていました。
付き合い始めてから、ゆきは私の手を握る以上のことは、できていませんでした。
なんとなく、私とゆきの間には、そういうことをしてはいけないような雰囲気が流れ始めました。
ゆきはとてつもなく我慢してたんだと思います。
ある日、私は暇だったので、またゆきの部活の見学に行きました。

212 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:03:03 ID:zy3QIeERz
ある男子が、顔の汗をシャツで拭きました。腹筋ばきばきのお腹がちらっと見えて、
おもわず「おー」と感心していると、ゆきが、見たこともないような暗い目でこっちを睨んできました。
部活の帰り、ゆきは私を置いてすたすた帰ろうとしました。

213 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:03:21 ID:zy3QIeERz
1「おーい、ちょっと待って」
ゆき「…」
1「早い早い、普通に歩いて」
ゆき「…」
1(えっ、キレてる?)
ゆきに、ここまで露骨に無視されるのは初めてだったので、怖くなりました。
無言のまま、ゆきの少し後ろを歩いていると
ゆきが、前を向いたまま言いました。

214 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:03:38 ID:zy3QIeERz
ゆき「1ちゃんさぁー」
1「は、はい」
ゆき「…俺の事、本当に好きなの?」
1「はww」
いきなりの質問に、あたふたしていると、ゆきはイライラしたように頭をかきました。
やっとの思いで、「好きだけど」と呟くと

215 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:03:55 ID:zy3QIeERz
ゆき「本当に?」
1「うん」
ゆき「じゃあ、態度で示してほしいんだけど」
1「態度って」
ゆき「だってさ、1の俺に対する対応って、友達のころと変わらないじゃん」
1「そ、そんなことないわ」
ゆき「あるし」
ゆき「…なんか、そういう雰囲気にもならないし…」

216 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:04:14 ID:zy3QIeERz
全身が熱くなりました。私は、ゆきが思ってる以上に子供だったんだと思います。
ゆきのことは素直に好きでした。ただ、なんとなく、踏み入った事をするのが怖い気持ちがありました。

217 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:11:49 ID:JJGRXiZJ6
ハッピーエンドであってくれ…!

218 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:15:56 ID:AwCiT6AC1
Bad ENDでも俺は嬉しいぞよw

219 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:22:33 ID:zy3QIeERz
家に帰っても、ゆきはいつものように私の家に遊びに来ませんでした。
モヤモヤして、ゆきにメールをしてみました。
1「ゆき、今日はなんか怒らせちゃってごめん」
ゆき「怒ってない」
1「いや、怒ってたじゃん」
ゆき「怒ってたっていうか、悲しくなった」

220 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:22:49 ID:zy3QIeERz
1「だから、ごめんなさい」
ゆき「理由分かってないのに謝るの?」
1「いや」
ゆき「やっぱり1ちゃん、俺より△△先輩みたいなタイプが好みなんじゃない?」
1「は?何いきなり」
ゆき「だってそうじゃん。今日なんかずっと見てたし」
1「見てないよ」
ゆき「見てた」

221 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:23:10 ID:zy3QIeERz
1「それで怒ってるの?見てないよ」
ゆき「ほら、やっぱり分かってない。何も分かってない」
1「もうなんなの」
いつもはふざけてるメールの文面が、めちゃくちゃ殺伐としていました。
だんだん私も、いらいらしてきて口調が攻撃的になりました。

222 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:26:04 ID:zy3QIeERz
1「だから好きって言ってるじゃん」
ゆき「信じられない」
1「なんで!?」
ゆき「だって、付き合ってるなら、もっとベタベタしあうじゃん」
1「どういうこと」
ゆき「分かってるくせに聞くなよ、そういうとこ嫌い」

223 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:26:46 ID:zy3QIeERz
1「は?あんただっていつも遠まわしじゃん、男のくせに女々しいんだけど」
1「確かに、△△先輩のほうがさっぱりして男らしいよね」
この一言に、ゆきは傷ついたようでした。
メールがぴたっととまりました。
私はむしゃくしゃして、携帯を放って泣きました。
罪悪感でいっぱいでした。でも、ゆきにどう対応していいか分かりませんでした。

225 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:29:55 ID:PE3dziqKg
やっぱ女ってクズだわ

226 :ゆき :2014/06/22(日)10:31:00 ID:zy3QIeERz
>>225
可愛そうなことをしたと思っています。今でも申し訳ないです

228 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:37:30 ID:JJGRXiZJ6
>>226
おいまさか…

229 :名無しさん@おーぷん :2014/06/22(日)10:39:07 ID:8z13qIhLr
>>226
まさか…
やめてくれ

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