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百物語2015

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Part2
26 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 19:52:41.93 ID:uO4SmEpe0
【6話】川瀬 ◆/dSdUme0iM 様
『霊がしつこい』
うちの市内に大手堀という掘割があって、普段から薄気味悪い場所だった
大学時代に帰省した時、地元の友人と一緒に興味本位で大手堀の近くに遊びに行ったのだが
そのとき堀の水面に丸い物が浮いているのを見た
初めは何だか分らなかったが段々それはこちらに近づいてきた、なんとそれは
水死体のようにむくんで白目をむいた女の首だった。
慌てて友人にも教えたが、友人にはどうしても見えないようだった
10秒ぐらいして突如その首は水中に沈んでしまった
俺は見間違いだったと思う事にしたが、しばらくして妙な事に気づいた
地面に映る自分の影が、なぜか友人の影よりずっと長いのだ
身長がほぼ同じなのになんで自分の影だけが長いのか
そのとき偶然 堀の水面に映る自分の姿をみて驚いた
水に映る俺の肩の上には年とった女が肩車のように乗っているのだ!
その顔は白目をむい膨れあがり水死体のよう、さっき見たやつだ!
俺の影が長くなっていたのはこいつが肩の上に乗ってたせいだった

27 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 19:53:32.59 ID:uO4SmEpe0
憑かれた!?、と俺は焦ったが、ともかくも友人と共に近くの神社に行き、頼み込んでお祓いをしてもらった
お払いの最中に神主さんが険しい顔をしていたので、恐ろしくて教わった印を真剣に結んでいた
20分ほどでお祓いは終わり、脱力したような気分で神主さんに礼を言い、料金を払った
外で待ってた友人とともに外に出た
地面に映る自分の影は友人と同じくらいの長さになっていた
神社の池に自分の姿を映してみたが、もうあの女は乗っていない
改めて安堵したが、なんか神主さんと女の人がこっちを相変わらず険しい顔で見ている
不思議に思って池を振り返ったら、背中の方にあの女が張り付いてるのが映っていた
自分と友人は神主さんに食ってかかり、料金とっておいてそれは無いだろと抗議した
神主さんも困ったらしく、隣の市の大きな神社を紹介してくれた
車で隣の市まで行ったら、そこの神主さんに「大変でしたね」と言われて涙が出た
1時間半ほど待たされてお祓いが始まり、こんども30分くらいで終わった
神社にあった池で今度こそ後ろに前にもあの女が映ってない事を確認し、来た甲斐があったと喜んだ。

28 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 19:55:45.18 ID:uO4SmEpe0
神主さんに礼を言い、神社を出ようとして、自分の影が前と後ろに2つあるのに気づいた
もしやと思い、さっきの池に足もとまで映したら、足首を掴んでいる腕がある
あの女は足首にしがみついていたのだ
神主め俺が足先までは確認しないとタカをくくってたな〜
またも文句を言ったが、どうにもならないと言われて家に帰った
帰って寝る前に般若心経をネットで1時間ほど流しまくって寝たら次の日から不思議とあの女は見えなくなった
何のかんので退散したのかもしれない
しかし今でも風呂などで水面にあの女が映るのではないかと時々心配になる
それにしても、こっちの神明宮の神主はいいかげんなヤツだった


30 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:03:33.58 ID:uO4SmEpe0
【7話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『療養所』
私は持病があり、幼少期から入退院をくりかえしていました。
あまりに入院が長期になることが多くて学校にもいけない状態になってしまったので養護学校の隣接する療養所に入院することになりました。
その療養所は戦時中からあるとても古い病院でしたので色々な噂がありました。
看護学生寮に出る、など。
養護学校があった場所は兵隊の施設だったのか、学校の敷地内にかつて処刑場だったといわれている場所もありました。
子どもが遊ぶにはもってこいな環境だったのですが噂が噂だけに誰もはいらず、怖い雰囲気だけはみちていたと記憶しています。
その療養所は学校の長期休みに入ると帰省という、1〜2週間家に帰れるシステムがありました。
しかし私は家に帰るとすぐ体調を崩し、仕方なく帰省を中断して療養所に戻るということが度々あったのです。

31 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:07:02.99 ID:9PgS3cT70
丁度夏休みのお盆のときでした。
その時も体調を崩してしまい療養所に戻るハメに。8月15日だったのは確かです。
17日にはみんな戻ってくるから、という理由で普段の6人部屋で一人寂しく寝かされました。
また戻ってきてしまった、寂しいとぐすぐす泣きながら寝ようとしたとき、ある噂を思い出してしまったのです。
終戦記念日には夜中0時に廊下を兵隊さんが歩く足音が聞こえると・・・・。
よくあるような怪談ですが、場所が場所なだけにリアルさがありました。
寂しいのと怖いのとで目がぱっちりねむれそうにありません。
刻々と近づく0時。ナースセンターに逃げ込めばよかったのかもしれませんが、廊下で会ったらどうしようとへやを出ることもできない。
ずっと耳をふさいでいました。
しかし、やはり・・・・ざっざっざっざっ・・・・・聞こえます。
確実に看護師さんではない足音。
怖い怖い怖い怖い怖い・・・・・
頭もパニックになりすぎたせいか気を失ったのか気づけば朝でした。
気づかぬうちに漏らしてしまっていた私は本当の理由も看護師さんにはいえませんでした。
怖すぎてみんなが帰ってきたあともいえなかったですね。嘘つきよばわりされるのも目に見えていたので。
今や、入院患者も少なくなりその病棟もなくなり更地になったと聞いていますが15日に歩く彼らはまだそこを歩いているのでしょうか・・・・
おわり


33 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:10:23.97 ID:uO4SmEpe0
【8話】セキ ◆OCtDMhDM/s 様
『版画の傷』
私の通っていた小学校は、モナリザのレプリカもベートーベンの肖像画も飾られてはいなかったけれど、やはり七不思議というものはあってね。
私は全部は知らないけれど、たぶんあの学校独自の怪談だろうと思う話を今からしようと思う。
まずはその学校について説明しなきゃならない。
今思うと変わった造りじゃないかと思うんだけど、特別教室棟の2階が体育館になってた。
1階は真ん中を廊下が通っていてその両側に理科室、家庭科室、図工室、視聴覚室、突き当たりが音楽室。
各教室の引き戸についた小さなガラス窓しかないその廊下は、昼間でも薄暗くて、一人で通るのは少し躊躇われた。
廊下の電気はひどく曇った日とか、冬の夕方とか、それくらい暗い日じゃないとつけられていなかったから、本当にいつも薄暗かったんだ。
さらにそこが不気味に思えたのは、壁に飾られた大きな版画のせいもあったと思う。
ずっと前の卒業生の、たぶん卒業制作か何かだろうと思うけれど、特に小柄だった私のこととはいえ、両腕を目一杯広げてもその幅には足りないほどに大きな版画。それが6枚ほども飾られていただろうか。
学校行事を模したその版画は、一枚だけ大きな傷がついていた。
それは大縄跳びの様子を表したもので、その傷はあろうことか、描かれたうちの一人の児童の頭を両断していた。
しかも、その版画は緑の色で刷られているのに、なぜかその傷のところはいつも、赤茶色に汚れていたんだ。
今から話すのは、その版画の傷の話。

34 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:12:53.46 ID:9PgS3cT70
学校行事の一つに縄跳び大会というのがあった。全学年全クラスが大縄跳びを跳んでその回数を競うというもの。
低学年は左右に揺れる縄を跳ぶけれど、高学年になると回した縄を跳ぶ。高学年くらいになると、100回くらいは大体跳べた。
数週間前から練習が本格化して、体育館でも、外でも、大繩が回るのがよく見られた。
そんな頃、あの版画の傷が見つかったそうだ。最初は悪質ないたずらだと思われたらしい。版画とはいえ、児童の頭を傷つけて、しかもそこに赤の絵の具で血みたいな落書きをした者がいると、相当な問題になったと聞く。
汚れた部分はきれいに拭われたけれど、犯人は見つからなかった。
その翌朝また、版画は汚されていた。やはり傷の部分に、赤で。
きれいにしても、きれいにしても、翌朝にはまた汚されている。いつやっているのか、誰がやっているのか、それは誰にもわからなかった。
そんな中で、縄跳び大会の本番の日が来た。
その日は版画の傷の部分から、たらりと赤い液体が滴っていた。ふき取った用務員さんは、やけに鉄くさい絵の具だと思ったそうだ。

35 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:15:47.53 ID:9PgS3cT70
縄跳び大会は滞りなく進んだ。1学年は大体1クラス、たまに2クラスあるくらいの小さな学校だったから、クラスごとに順番を回してもさほど長い時間がとられるわけでもなかった。
5年生の順番になって、事故は起こった。100回を越えて少しした頃に、一人の児童が足をもつれさせて転んだのだ。その子はうまく手を付けずに、頭を床に強打した。
今でこそ体育館の床は板張りだけれど、その頃はリノリウムというのか、廊下と同じ固い床材がむき出しの状態だったんだそうだ。
児童は流血こそしたものの幸い命に別条はなく、数日の入院で済んだ。
それを機に体育館は改装されて、衝撃を吸収できる木の床になった。
全てが終わってから、誰かが気付いた。
怪我をした子は縄の中で、傷つけられた版画の中の子とちょうど同じ場所を跳んでいたのだ。
その後もたびたび、傷に赤がにじむことがあった。そういう日に限って、児童の中に流血を伴う怪我を負う者が出る。赤がにじむせいで怪我人が出るのか、
怪我人が出ることを教えようとして赤がにじむのか、それは誰にもわからなかったけれど、敢えてその赤い汚れに触れようとする人はいなくなった。
私が卒業してから、もう二十年近くは経つけれど、今もきっと、あの版画は血を流しているんだろうと思う。


37 :松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY :2015/08/29(土) 20:20:12.84 ID:CHH62SdA0
【お宮籠り】
(1/3)
自分の地区には毎年立秋の間に行われる肝試しみたいな行事があります。
お宮籠りとよばれる行事ですが その内容は、「夜中に神社の境内に籠る」というものです。
いわれは分かりませんが、毎年、20歳を迎えた男性がひと晩「神社警備員」になります。
過疎った地区なので今年は自分が一人で籠ることとなり、先月からワクテカ状態でした。
神社は、北関東に多い○○神社で、普段は無人の山の中の小さい社です
立秋の日、ここでひと晩すごし、深夜の10時、12時、2時、4時に見廻りと称して拝殿と
本殿の周囲を蝋燭1本持って巡回を行います
それ以外は拝殿の横にある天幕小屋で控えています(寝たら駄目)。
やることはそれだけです。神社の建物には入りません(入るほどの広さもない)。
まともな神事と言うより、昔の肝試しを形式化したみたいに見えますが、大正時代から
続く伝統ある行事という話なのです。
境内は真っ暗らしく、過去にやったことのある年上の人からは
「真夜中に誰もいないのに拝殿の扉が開く」とか「3時過ぎに幽霊が出る」とか聞かさ
れてましたが、自分的には暑さと虫と眠気が心配でした。
以下は今年8月9日(立秋初日)に自分がお宮籠りをした体験談です。
当日、夕飯食べて家を出て、神社に到着したのが午後7時過ぎ
山の中の境内は既にかなり暗く、携帯で家族に到着を連絡したあと、床にタオルを敷い
て今晩の準備をしてました。
準備が終わった頃には8時すぎで既に真っ暗でした。
夏とは思えないほど空気が冷たく心配していた暑さと虫は問題なかったのですが
周囲に強い風が渦巻き「うおおぉぉぉ」と人の叫び声のような音が響きます。
あと、どこからかたまに拍子木のような音がカシーンと鳴ります。

38 :松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY :2015/08/29(土) 20:22:08.25 ID:CHH62SdA0
(2/3)
そして10時、最初の見廻りです 蝋燭一本持って小屋を出て拝殿の前へ
拝殿で一礼した後、左回りで廻る決まりです、逆に廻ると祟られるそうです
目の前は真っ暗で、さすがに恐る恐るでしたが何もなく、ただ真っ暗なだけでした
しかし12時の2度目の見廻りの時、慣れてきて退屈してきた自分は 決まりとは逆に
右回りに廻ってみようとしました。
何もあるはずがない、そう思って本殿の裏まで来たとき、向こうから誰かが見ている
感じがします。
この場に人などいるはずもないのですが真っ暗な向こう側から強い視線を感じました
蝋燭をかざしてみたり、呼んでみたりもしましたが、当然返事はありません
しかも、その視線が段々と自分に近づいてくる気配がします
自分は怖くなって走って拝殿前まで戻り、拝殿で謝ったのち、左から廻り直しました、
すると今度は何事もありませんでした
2時になって三回目の見廻り
先ほどの事が気になった自分は、もう一度確認したくてまたも右から廻ってみました。
そろりそろりと歩いて本殿の裏を曲がると、またも強い視線を感じます!
怖ろしいのを我慢して用意していた携帯で奥の暗闇を写し、すぐ引き返しました
拝殿で謝り倒してのち、小走りで左から廻り直しました
自業自得とはいえ ここまでで精神的にかなりテンパった感じだったのですが、3時頃
ウトウトしていたら拝殿の方でバン!!と大きな音がして何かが参道から鳥居の方へ
走りぬけたような気配がしました。
慌てて拝殿を確認に行きましたが扉は閉じたままでした。
これで帰りたいモードMAXになった自分は、最後の見廻りは素直にささっと廻って
5時になったら早々に帰宅しました。

39 :松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY :2015/08/29(土) 20:23:32.94 ID:CHH62SdA0
(3/3)
帰宅すると、お宮籠りを達成したことでお酒を飲まされ、9時ごろに寝ました。
午後に起きてから、携帯で撮った写真を見てみましたが、ただ真っ暗なだけでした。
実は帰ってから、前に親から聞いたことを思い出したのですが
神社に祀られている○○様は夜には本殿で西の方角(京の方角)を睨んでいるそうです。
あの神社を右まわりに廻ると本殿の裏で西を睨む○○様と鉢合わせの形になりますが
そうならないように左まわりに廻っていたのかもしれません
とすれば、あのとき2度感じた強い視線は○○様だったのかもしれません
実は、帰った後で少々 変なことが続いたり体調を崩したりもするので少し怖いです
拝殿奥の路地で撮った写真を貼っておきます(真っ暗で見えません!)。
http://s1.gazo.cc/up/150699.jpg
http://s1.gazo.cc/up/150700.jpg
【おわり】

41 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:26:18.60 ID:9PgS3cT70
【10話】キツネ様◆8yYI5eodys 様
『笑顔』
医療とは生と死の狭間。
とりわけ病院にまつわる怪異の数は知れず。
このお話は残念ながら病院が舞台ではございません。
病院の傍に佇む、町の薬局にて起きた出来事にございます。
薬局に勤務する薬剤師のUさん。
来局する患者さんも落ち着き、子供たちが読んでいた絵本を片付けていた時のことでした。
パタパタ、と足音に気付いたUさん。
目を遣ると、そこには見知った女の子がジッ、と絵本の棚を見つめておりました。
数日前に来局し、感冒症状の薬が処方された女の子。
確か、薬局に置いてある迷路の本を気に入って、手放そうとせずにお母さんを困らせた子です。
あ、風邪が治って絵本の続きが気になったのかな?
そう思った彼女は笑顔で件の絵本を手渡しました。
椅子に座って静かに絵本に没頭する女の子。
お母さんは一緒じゃないのかな?
そう気にはなりましたが、患者さんが来局したので彼女は仕事に戻ったそうでございます。
患者さんに薬を渡した時。
ふと、女の子の傍らに初老の男の人が立っているのに気付きました。
目を細めてニコニコと女の子を見ている男性。
ーーーそうか、今日はお爺ちゃんと一緒なのね。
そうこうしている内に絵本を読み終えたのでしょう。
女の子はちらりとUさんを一瞥すると、外へ駆け出して行きました。

42 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:28:46.07 ID:uO4SmEpe0
それから数日後。
そろそろ辺りが暗くなり、閉局の時間に差し掛かった頃。
1人の患者さんが来局いたしました。
入院して暫くお会いしていなかったお婆ちゃん。
いつも取り留めの無い話をしては笑っているような常連さんです。
恐らく退院されたのでしょう。
スッとカウンターまで歩いて来ると、Uさんの方をじっと見つめます。
まだ体調が優れないのかな。
そう感じたUさんは、
「お加減はどうです?」
「近所の○○のお婆ちゃんも寂しがっていましたよ?」
などと気さくに声を掛けますが、何も答えてくれません。
単に無表情でUさんをじっと見つめるだけ。
その背後を見て、Uさんはギョッとしました。
いつの間にそこに居たのでしょうか?
若い男性がお婆さんの背後で目を細め、笑顔を浮かべておりました。
不自然に白い歯を見せ、ニタニタと。
介護士かな?
何とか驚きを隠しながらも、
「あのー……今日は処方箋は?」
そう問いかけたと同時に、お婆ちゃんは寂しそうに出口に向かって行きました。

43 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:31:50.17 ID:9PgS3cT70
そして去り際に、
「貴女なら、助けてくれると思ったんだけどねえ」
それだけを呟き、お婆ちゃんの姿は見えなくなりました。
その背後には、相変わらずニタニタ笑いの男を伴って。
何か不自然なものを感じたものの、顔見知りの患者さんが退院して嬉しかったのでしょう。
Uさんは薬局の奥にいる年配の薬剤師に、
「さっき××さんの家のお婆ちゃんが見えましたよ。退院できたみたいで安心しました」
「××さんって、あの?いやいやいや!」
年配の薬剤師もそのお婆ちゃんと顔馴染みだった筈ですが……どうも様子がおかしい。
首を傾げるUさんに、年配の薬剤師は今日の新聞を渡しました。
ほら、ここ……
そう言って指差した先には通夜・お葬式の案内。
そこにハッキリと件のお婆さんの名前。
「Uちゃん、××さんの話、よく親身になって聞いてあげてたからねえ。きっとお別れが言いたかったんだよ」
そうしんみりと年配の薬剤師に言われましたが、
どう考えてもお別れとは別の意味を持った最後の言葉が頭から離れなかったそうでございます。
それから暫くして。
いつものように絵本を整頓していた時のことでした。
Uさんの手が、ふと迷路の絵本に触れました。

44 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/29(土) 20:34:20.04 ID:uO4SmEpe0
あの女の子が読んでいた絵本だ。
何気なく手に取ってページを捲っていると、
「ひぃッ!?」
Uさんは悲鳴ともつかない声をあげました。
迷路の絵本の最後のページ。
そこには爪で何度も引っ掻いたような文字でこう、削られておりました。
 お ね え さ ん
   た す け て
後に彼女が聞いた話では、その女の子は既に亡くなっていたのだそうで。
それも、あの絵本を読みに来た前日のことだったそうでございます。
果たして、あのニタニタと笑う者たちは何だったのでしょう。
女の子とお婆さんは何から助けて欲しかったでしょうか?
皆様もお知り合いにお会いする際にはお気を付けくださいまし。
もし、その傍らに目を細めてニタニタと笑う誰かが見えたとしたら……
そのお知り合いは既に、この世の者ではないかもしれません。
そして、あなたに何某かの助けを求めているのかもしれませんよ?
【完】

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