あらすじ
永遠の命。その鍵となる救い主、カロル。
欲望に目覚めた西の国。狂気は果てしなく蠢く
遂に勃発してしまった戦争
強大な西の国に立ち向かうべく王国、東国、南国は6ヶ国同盟から成る平和協定を破り、3国連合軍を結成する
南国は多大な犠牲を払い、国王ローレンの命と引き換えに西帝国軍の主力を削った
東国は張り巡らされた罠を果敢に打破するも圧倒的な力の前に粉砕される
敵地にて孤軍となった王国軍
総指揮官フィクサーの戦略采配が功を奏し、帝都本拠地の制圧を完了した
一方で吉報を待ち、国内に留まる王国の国王ヒメ
迫り来る侵略の魔の手を退ける為、東国のホビット族と手を結ぶ
彼らによって明かされた最後の真実
アピシナの大樹の成り立ち
かつて癒しの力は破滅を導いた
人もホビットも共通する願い
永遠の命が野心をくすぐる
穢れなき無垢な愛情は火種となって注がれ、混沌とした世界を象徴するように大樹を巡る争いは止まなかった
忘れ去られた無残な過去
300年もの月日を経てなお繰り返される歴史
誰も止めることは叶わない
友情を取るか、安寧を取るか
時を追う毎に取捨選択を強いられる
捨てていいものなど一つもないのに
80: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/14(日) 21:55:00 ID:GOHZ5LrNmo
>>79
勢い任せにあんなの投下するんじゃなかったと激しく後悔していましたが、そう言っていただけて何よりですw
一場面の改変なので読んでない人には不親切ですし状況とかネタ振りが分かりづらいですが、ちょこっとでも過去スレの描写を思い出していただけたら幸いです!
ヒメにはまだまだ苦労してもらう予定です!
まだ終わりが見えませんがお付き合いくださると嬉しいです!
支援ありがとうございました!
81: 名無しさん@読者の声:2017/5/15(月) 16:31:24 ID:N4KlrDl3c2
>>80
楽しく読ませてもらいましたよ!
読んでて思い出したし面白かったですwww
ヒメの苦労はまだまだ続くんですね、ならもっと苦労してもらいましょうw(このSSは愛と成長を描いた物語だと思ってるのでヒメには悩んだり苦労してかっこいい青年へとなってもらいましょー!w)
以前、作者への質問スレだったかな?でだいたい骨組みは出来てる、みたいなことをおっしゃってたのでそれに向かって展開していってください、応援してます!
この物語もキャラたちも作者さんのことも大好きなので、もちろんおわりとかかれるそのときまでついていきます!!
82: お返事遅れてごめんなさい! ◆WEmWDvOgzo:2017/5/17(水) 22:33:00 ID:1dMW/jb7SY
>>81
よかったです!w
番外編じゃないですけど、自分の書いたSSからこういうのを投稿する機会はなかなか無いので反応を貰えて本当に嬉しかったです!
いつも最高のタイミングでヤル気スイッチを押していただけて感謝のしようもありません!
おかげさまで今はとても捗ってます!いつもありがとうございます!
愛と成長…!深いテーマですね!自分に描けるか不安ですが頑張ります!
でもどんどんヒメが主人公街道を突き進むので最近はカロルの動かし方がめっちゃ難しくなっちゃいましたw
ヒメが愛と成長を経ていくたびにカロルの出番が無くなるような…どっちが主人公だか分からなくなりますねw
応援ありがとうございます!
読み手様にも納得いただけるエンドでおわりと書けるよう頑張ります!
83: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:54:34 ID:mpOxahS5ac
〜〜〜夜〜〜〜
―――北の領土(雪原の隠れ里)―――
バッバッ ドサッドサッ
プチョリスフ「よーしよし、こっちだ。ガンガン積み込めー!こぼすなよー!」
部下1「ケェー!すっげぇ!ぶっ飛びそうな匂いがプンプンするぜ!」
部下2「こりゃあ入りきらねぇな。もちっと人手が要るぜ」
プチョリスフ「いいよ。どうせ急ぐもんでもねぇから」
部下1「つかあの話は本当なんすか?」
プチョリスフ「ん?」
部下1「北国と東国が一戦交えるっつーの」
プチョリスフ「わかんねぇ。多分そうなんじゃね?」
部下1「た、多分って…俺ら多分で密輸しようとしてんすか?」
プチョリスフ「情報屋から出回ってるネタじゃ貴族が大量のブツをダシに北国の連中と仲良くしたがってるとよ」
部下1「んなことしてなんになるんだか?偉いさんの考えるこたぁ分かりやせんね」
プチョリスフ「分からなくていいんだよ。俺達が頭使うことじゃねぇし」
部下2「一旦運び出しやしょうや!いっぺんにゃ無理だコレ!」
部下1「運ぶったって関門はどうすんすか?」
プチョリスフ「どうもしねーよ」
部下1「え?」
プチョリスフ「俺達はただ品を運ぶだけ。受け渡しまでは向こうが手配するこった」
部下1「うーん…大丈夫っすかねぇ」
プチョリスフ「んな事よか業者にしっかり口止めしとけよ。一匹間抜けがいたら、せっかくの儲け話がおじゃんだぜ」
部下1「うっす!」
84: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:55:15 ID:gQj8L.R5T.
―――王宮(ダンスホール)―――
シャララララン
ワイワイガヤガヤ
貴族1「良ければ私と踊っていただけませんか?」スッ
令嬢1「まぁ嬉しい?」パシッ
ポロロロロン
ヒューヒュー! ピーピー!
公爵「ご機嫌麗しゅう、大后陛下…今宵もお楽しみいただけておりますかな?」カランッ
大后「こんばんは、ハリアンス公爵。本日も贅沢な夜会ね。心安らぎますわ?」ニコッ
公爵「素晴らしい演奏。美しい舞踊。芸術性溢れる装飾。絵になり肥やしともなる料理の数々。そしてなにより…素敵な貴婦人と堪能する上品な美酒。今夜はわたくし達の為にある」スッ
大后「あら…お上手ですこと?」カンッ
公爵「この一時が永遠となればどれほど報われましょうか」クイッ
大后「同感致しますわ。それこそ本来のあるべき形…」クスッ
公爵「んぅむ。大后陛下。やはり貴女様のお考えはわたくし共に通ずるようだ」
大后「公爵殿こそ、あたくしをよく理解しておいでよ?」クスクス
公爵「…今宵も国王は参られませぬか」
大后「えぇ、とても愉快な会ですのに…相も変わらず筆を取っておられますわ。お父上に似たのかしら」
公爵「まさか。先代はわたくしも知るところですが、ああも諦めの悪い御仁ではなかった」
大后「左様ね。名を上げるのは良い事だけれども…やり方がよろしくないわ?」
公爵「まさしく…」
85: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:55:49 ID:gQj8L.R5T.
大后「王族とは何か…陛下は思い違いをしてらっしゃいますのよ」
公爵「大后陛下の心中を思えばわたくしも胸が痛みます。これではこの先、王国の未来は陰りを深めるばかり…」
大后「どうしたものでしょうねぇ」
公爵「大后陛下から説得なされてはいかがか?」
大后「そうしたいところですが困ったことにあたくしの忠告も聞き入れてはもらえませんの…」
公爵「それは益々、苦労されますな」
大后「王族…それは爵位の最上位であり、貴族の頂点に君臨する者。
所詮、民など貴族によって生かされる奴隷に過ぎませんわ?」
公爵「まことおっしゃる通り…」
大后「それなのに今の体制と言えば貴族を蔑ろにした品のない慈善事業の真似事ばかり。
まるでわたくし達が民の奴隷と成り果ててしまっているような…不愉快極まりない腐敗ぶりですこと?」フンスッ
公爵「然りも然り。この上ない屈辱に御座います…」
大后「されどもわたくしとて母の情がございますわ。願わくは荒事にならぬよう陛下に正しき道を諭して差し上げたいの」
公爵「…お話の途中、失礼致します。あれを」チラッ
執事「はっ…」バサッ
大后「……?」
ジャラララララ
大后「ま、マァァア!!」キラキラ
86: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:56:24 ID:mpOxahS5ac
大后「なんて透明な輝き…!色とりどりの光沢が眩しく瞳を焦がしますわ…!?」キラキラ
公爵「以前に西国より買い付けた宝石類にございます。これはほんの一部でしかありませんが」
大后「……!」チラッチラッ
公爵「…僭越ながら、これらを大后陛下に献上致したく存じます」
大后「あぁらマァ〜!なんてこと!?そんなわたくしにだなんて!気が咎めますわ〜!?」ウヒョー
公爵「どうかお近付きの印に。確かな審美を知る大后陛下にこそ相応しく思います」
大后「え〜そうかしらぁ〜?そこまで仰っていただいたらぁ〜?受け取らないと失礼に当たりますわよねぇ〜?」ニヤァァ
公爵「わたくしにお気遣いなど滅相も…されど大后陛下に身に付けていただければ、それらの宝飾もなおのこと輝きましょう」
大后「そ、そぉう?」フンスッ
公爵「はい。次の夜会が待ち遠しく…美しく着飾った大后様のお姿を一刻も早くお目にかかりたいと」
大后「ま、まぁ〜?そんな大仰にお世辞を並べていただかなくともよろしくてよ!」ニタニタ
公爵「いえいえ、本心から…。先日、贈らせていただいたお召し物に合わせてくだされば、より栄えるというもの」
大后「うっふふ〜!次の夜が楽しみですわねぇ!」ルンルン
公爵「」ニヤリ
87: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:58:15 ID:mpOxahS5ac
〜〜〜朝〜〜〜
―――城下町(バックヤード)―――
ワイワイガヤガヤ
宣教師「ふむふむ、この辺りの治安も安定してきたようですね」スタスタ
司教「はい。ミシング殿が筆頭となって興した慰霊活動や司祭様が積極的に発する融和の声が民衆に響いたのでしょう。喜ばしい限りです」スタスタ
宣教師「教団を任されて数年足らずですが…ようやく進歩を実感できた気がします」クスッ
司教「最近では孤児院への出資者も増加し、里親を願い出る声も多くなっているそうですぞ」
宣教師「それ以上に孤児が増えましたけどね…」
司教「む、うぅん……」オホンッ
宣教師「里親を名乗り出てくださった方々の多くが先日までの争いで実際に家族を失われ、それぞれに思うところがあったのでしょう…」
司教「…手放しに喜んでもいられませんな」
宣教師「良い変化の後には暗い陰が伴うものですよ…。以前の差別にしても、今回の件にしても」
司教「……」
宣教師「ですが変えようとしなければ何も変えられません。
私達はきっと…こうやって少しずつ正しい未来を歩んでいるのだと思います」ニコッ
司教「良きお考えかと」ニコッ
宣教師「それに何より今は民も国も一丸となって、あらゆる活動に前向きな姿勢を見せています」ニコニコ
司教「ほほほ!これからの王国には明るい兆しが見えますな」
宣教師「えぇ、国への信頼によるものでもありますが…何より誠実な王がいてこそ成り立つ期待でしょうね」
司教「ホビットと人間の差別意識を取り払い、真の平和を実現する…決して夢ではないと言えるところまで差し掛かりましたな」
宣教師「夢ではありませんよ。私達はずっとそこに向かって進んできたのですから」
88: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:59:09 ID:gQj8L.R5T.
宣教師「おや…?あれは?」ピタッ
司教「んぅ?」
ゾロゾロ ゾロゾロ
宣教師「掲示板の前に人だかりが出来てますが…どうしたんでしょうか?」
司教「また何か発表が出たのでは?」
裏通りのホビット1「あ、司祭様!司教様!」オロオロ
宣教師「こんにちは。そんなに慌ててどうしたのですか?」
裏通りのホビット1「あそこに書いてある内容って本当なんですか!?」
宣教師「? 何が書いてあるのです?」
裏通りのホビット1「ば、バックヤードを取り潰して貴族専用の高級街にするって!?」
宣教師「はい?」
司教「き、貴族専用…?」
裏通りのホビット1「それにホビットは王都から追い出すとか!教団と国王は不正に繋がってるとか好き放題書かれてますよ!?」
宣教師「……」
司教「し、司祭様!これはどういう…!?」アセアセ
宣教師「行きましょう」スタスタ
司教「は!?い、行くとは…?あっ!お、お待ちくだされ!」アセアセ
89: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 21:59:49 ID:mpOxahS5ac
ザワザワ ザワザワ
裏通りのホビット2「なんだよ、これ!あんまりじゃないか!」
裏通りのホビット3「僕達の居住区を取り潰すってなに!?」
裏通りのホビット4「どうして急に!?何も悪いことなんかしてないのに!」
裏通りのホビット5「教団と国王が繋がってる…?なんなんだろ?この件と関係あるのかな?」
裏通りのホビット6「とにかくこんなの絶対に反対だ!ただでさえ、こっちに追いやられて窮屈してるのにさ!」
裏通りのホビット7「俺なんて仲間とお金を貯めて、やっとお店を出せたばかりなんだぞ!困るよ!」
裏通りのホビット8「この前の争いにも協力したのに!俺たちだって戦ったんだぞ!」
裏通りのホビット9「そうだよ!しかも司祭様は戦いが終わったら僕達も王国民として認めてもらえるって言ったんだ!嘘だったのか!?」
宣教師「嘘なんかではありませんよ」ザッ
裏通りのホビット's「わぁぁ!?」ビクッ
90: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:02:30 ID:gQj8L.R5T.
裏通りのホビット10「し、司祭様だ!」
裏通りのホビット11「これはなんなんですか!?」
裏通りのホビット12「僕達どうなっちゃうんだよ!?」
司教「お、落ち着きなさい!そんなに詰め寄るんじゃない!」アセアセ
裏通りのホビット13「いいから答えてくださいよ!」
裏通りのホビット14「教団!?王国!?どっちが決めたの!?」
宣教師「ここに書いてある内容は全くのデタラメです!」
裏通りのホビット's「え…?」
宣教師「おそらく誰かの悪戯でしょう。本気にしてはいけません」
裏通りのホビット2「じや、じゃあ居住区がなくなるっていうのは…?」
宣教師「ありえません」キッパリ
裏通りのホビット3「で、でもこれにはそう書いて…」
宣教師「ですからデタラメです。そんな話は聞いていません」
裏通りのホビット4「だ、だけど!」
宣教師「安心してください。もしそれが本当だとしたら私が許しませんから」
裏通りのホビット5「こ、ここには王国と教団が繋がってるって書いてあるぞ!裏でなんか企んでるんじゃ…」
宣教師「いいでしょう。この話が真実かどうか城に赴いて尋ねてみます」
裏通りのホビット's「……」
宣教師「教団と王国の繋がりは決して不正な物などではありません。これまで皆さんには隠し事のない活動を示してきたつもりです」
裏通りのホビット7「司祭様がそこまで言うんなら…」
裏通りのホビット8「うん…。司祭様は信用してる」
宣教師「ありがとうございます」ニコッ
司教「…いったいどうした事でしょうか?」
宣教師「今からそれを確かめに行くんです。付いてきてください!」ダッ
司教「は、走らずとも…!」ダッ
91: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:03:17 ID:gQj8L.R5T.
―――城下町(表通り)―――
宣教師「」タタタッ
司教「い、急ぎすぎっ…です。も、もう少し…ペースを……」フラフラ
宣教師「急ぐべき事態です!皆さんの信用に関わるのですから!」タタタッ
司教「ひぃ!ひぃ…!し、司祭様…戦に出られてから、体力が尋常ではない…!」ゼェゼェ
ヒューヒュー! ピーピー!
宣教師「ん?」ピタッ
司教「も、もう…走れん…」バタッ
宣教師「」チラッ
町民1「見たか?このビラ?」ペラッ
町民2「おう!北国と戦争だってな!」
宣教師「……!?」
町民3「きっとまた国王様がなんとかしてくださるさ!」
町民4「そうだそうだ!俺達にはあの恐ろしい西の国を撃退した国王様が付いてるんだぜ!」
町民5「北の国がなんぼのもんよ!あんな奴らルフィアス団長を始めとした最強の軍がちょこっと摘まんでポイッてな具合だぁ!」
町民6「こいつはいい!早速前祝いに宴といこうぜ!」
町民7「王国バンザーイ!ヒメ様バンザーイ!」
町民8「このまま大陸まるごと王国にしちまえーい!」
ヒューヒュー! ピーピー!
宣教師「…司教さん。すみませんが先に行ってますよ」ダッ
司教「お、お気をつけて…」グッタリ
92: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:04:37 ID:gQj8L.R5T.
―――城(応接間)―――
宣教師「……」
ガチャッ
宣教師「」ピクッ
ネバル「お、お待たせしてすみませんです!ネバルと申しますです!な、何とぞよろしくしますです!」ペコッ
宣教師「…はじめまして」ペコッ
ネバル「え、えっと!本日のご用件はなんですだか…?」
宣教師「このようなビラが城下で配られてました」ピラッ
ネバル「はいです…?」パシッ
宣教師「ご説明いただいてもよろしいですか?」
ネバル「な、なんです?これ…!?」ギョギョッ
宣教師「なんですって…あなた方が出されたのでは?」
ネバル「し、知らねーですだよ、こったらもん!オイラ聞いてねーです!」オロオロ
宣教師「…他の役人の方は?」
ネバル「ないです!役人は合議で動くから…オイラが知らねーってのはありえないです!」アセアセ
宣教師「確認を取れませんか?」
ネバル「そ、そりゃもちろん!すぐにご報告するです!」コクコク
93: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:04:58 ID:mpOxahS5ac
宣教師「それからもう一件」
ネバル「ま、まだあるです!?」
宣教師「裏通りに作ったホビットの居住区を取り潰し、貴族の歓楽街にするとの話を耳にしました。これについても返答願います」
ネバル「ひょえー!?そ、そんなぶったまげた話…どこで!?」
宣教師「裏通りの掲示板に貼り出されていましたよ」
ネバル「〜〜〜!!」
宣教師「どういう事なのか、きちんと納得のいく説明をしていただけますか?」
ネバル「あわわ…お、オイラじゃなんとも…!リルラ様も出払ってるですし!」アワアワ
宣教師「国王はどうしているのです?」
ネバル「へ、陛下は…」
宣教師「?」
ネバル「と、とにかくオイラもその!じ、事情が分かり次第、連絡しますです!」
宣教師「…お願いします」
94: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:05:45 ID:mpOxahS5ac
ネバル「わ、わざわざ教えてくださってありがとうございますです!教団の司祭様にご足労させちゃって!」アセアセ
宣教師「いえいえ、城下の騒ぎは知らされていなかったのですか?」
ネバル「は、はいです。そんなでっかい報せが打ち上がったなんて全く知らないです…」
宣教師「……」
ネバル「あ、もしかしたら…」ハッ
宣教師「心当たりが?」
ネバル「い、いやぁ!なんでもないですだよ!あ、あとはこっちでやっときますですから!あはは!」アワアワ
宣教師「そうですか…」
ネバル「じゃ、じゃあオイラはこの辺でおいとましますです!」ガタッ
宣教師「あ、待ってください!」
ネバル「は、はい!?」
宣教師「カロルくんの様子はどうですか?」
ネバル「…か、カロルくん?」キョトン
宣教師「はい。こちらにお泊まりしてる筈なのですが」
ネバル「あ、あ〜救い主様ですだね!え、え〜…元気ですよ!」
宣教師「それは良かった。来たついでにご挨拶に伺いたいのですが」
ネバル「え!?」
宣教師「はい?」
ネバル「い、今はちょっと!また今度じゃダメですか!?」アセアセ
宣教師「何か会わせられない理由でも?」
ネバル「そ、そうじゃ…ないですけど」モゴモゴ
宣教師「……」ジッ
ネバル「あ、いや…」オロオロ
宣教師「……」ジーッ
ネバル「うぅ〜…ご案内するですぅ」ショボン
宣教師「ありがとうございます」ニコッ
95: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:06:42 ID:mpOxahS5ac
―――王宮(客室)―――
ネバル「こ、ここです…」シブシブ
宣教師「(先日、泊まった部屋ですね…)」
ネバル「お、オイラが会わせたって絶対言わないでくださいですよ!?」
宣教師「やはり会わせられない理由が?」
ネバル「あっ」
宣教師「今の発言はそうとしか取れませんが」
ネバル「あ、あ〜!もうこんな時間です!忙しい忙しい!じゃあ後はお任せしますです!」ピュー
タタタッ………
宣教師「……役人と思えないくらい素直な方ですね」
96: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:07:18 ID:gQj8L.R5T.
宣教師「」コンコン
シーン
宣教師「カロルくん?」コンコン
シーン
宣教師「(…どうしたんでしょう?)」
宣教師「カロルくーん!私です!宣教師ですよー!」コンコン
ガチャッ
カロル「宣教師さま…?」オソルオソル
宣教師「はい」ニコッ
カロル「」キョロキョロ
宣教師「? どうかしましたか?」
カロル「う、ううん!なんでもないよ!」ニコッ
宣教師「……?入ってもいいですか?」
カロル「うん!入って!」アセアセ
宣教師「は、はぁ」スッ
97: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:10:37 ID:mpOxahS5ac
宣教師「改めて見ても広い部屋ですね。一人ではもて余すでしょう?」
カロル「うん…でも慣れたよ!」
宣教師「ふふ。どうですか?お城での生活は?」
カロル「すごいよ!お城の人たちが毎日お部屋をキレイにしてくれるし、ごはんも見たことないのばっかり!」
宣教師「ふむふむ。居心地は悪くなさそうですね」ニコニコ
カロル「お風呂もね、こーんなに広いんだ!泳いでもぶつからないくらい!」
宣教師「それは楽しそうですね」ニコニコ
カロル「…た、楽しいよ。とっても!」
宣教師「?」
カロル「宣教師さまはどう?お仕事うまくいってる?」
宣教師「えぇ、順調ですよ。ホビット族との仲も良好になってます」ニコニコ
カロル「そっか!よかった!お母さまも大喜びするよ!」ニコニコ
宣教師「…それはそうと先ほど呼び掛けた時に応答がありませんでしたが何かしていたのですか?」
カロル「……!」ドキッ
宣教師「(分かりやすい)」
98: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:12:07 ID:gQj8L.R5T.
カロル「あ、あの…えと…」シドロモドロ
宣教師「見たところ…こざっぱりしていますし退屈しそうですね?」キョロキョロ
カロル「…ほ、本があるよ!こんなに!」ビッ
宣教師「読書ですか。しかしこの棚にある本は難しい物ばかりですよ」
カロル「お母さまに教えてもらってるから読み書きはできるよ!ちょっぴりだけど…」モジモジ
宣教師「…歴史書に医学書、純文学ですか。キミにはまだ早いのでは?」
カロル「そ、そうかな?読んでみるとおもしろいよ!」アタフタ
宣教師「ではこの『氷の丘』という本はどんな内容でした?」スッ
カロル「え?こ、こおり……か、かき氷のお話だっけ!」メダパニ
宣教師「いいえ、これは身分ゆえに結ばれなかった男女の恋愛模様を文字に起こした物語です」
カロル「えっ」
宣教師「平民の男がどれだけ想いを成就しようともがいても、あらゆる障害が立ちはだかって、ささやかな逢瀬さえも叶わない」
宣教師「貴族の娘は抗うこともせず、ただ報われない恋を悲しみ、運命に翻弄されるまま咽び泣く」
宣教師「まるで氷の丘を這いずるように滑り落ちていく二人の男女…それがこの本の大まかな筋書きです」
カロル「……か、かき氷は?」
宣教師「出てきません」キッパリ
カロル「!?」ガーン
99: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/19(金) 22:14:21 ID:mpOxahS5ac
カロル「あう…」ズーン
宣教師「その様子では何かあったんですね」
カロル「うぅ…ウソついてごめんなさい…」シュン
宣教師「怒りませんよ。叱るまでもなくウソは良くないものだと分かっているでしょうから」
カロル「はい…」
宣教師「問題は…キミがウソをついてまで隠したいと思っている事です」
カロル「……」キュッ
宣教師「話したくないですか?それなら、それで構いませんよ?」
カロル「……」
宣教師「ただし…キミが打ち明けられず思い悩んでいるなら、いつでも相談してください」ニコッ
カロル「宣教師さま…!」ウルッ
宣教師「はい…?」ニコニコ
カロル「ボクね、ボク…!」ウルウル
宣教師「(彼が私に隠そうとした悩み…。あの一件から間もないですし、きっと重大なことなのでしょう)」
カロル「ヒメくんとケンカしちゃったの!」ブワッ
宣教師「」ズルッ
カロル「どうしよう!?宣教師さまぁ!?」ダキッ
宣教師「(そ、そうでした…。こういう子でしたね…!)」ヒクヒク
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