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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





385: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:47:08 ID:XyGysoL/oU
>>384
結局書き始めちゃいましたw
もう少しお付き合いください。
386: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:47:39 ID:XyGysoL/oU
山神「ふぅ、到着よ。やっぱりこの方が早かったわね」

巫女「わ…わ…私生きてる…生きて…」ガクガク

山神「…巫女〜?」

巫女「あ、あんな事するなら先に言ってくださいよ!」

山神「ごめんなさいね。少しは耐性付いたかと思って」

巫女「確かに騎乗には慣れましたけど、あんなのは無理です!」

山神「分かったわよ〜」

巫女「まったく…」

山神「それよりほら、目の前の光景をちゃんと見なさいな」

巫女「それよりって…えっ?」

ザザーン…!

巫女「うわあぁぁぁ〜っ!」パアア

タタッ

山神「ふぅ、誤魔化せたわ」
387: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:07 ID:XyGysoL/oU
巫女「きゃー!すごいすごい!」

巫女「辺り一面砂!そして水!」

巫女「それになんだか不思議な匂いがします!」

山神「それは潮風の匂いね。海の香りよ」

巫女「へぇ〜!でも近くで見ると本当に広いですね〜!」

山神「巫女、あんまりはしゃぐと砂で服が汚れるわよ」

巫女「あっ、そ、そうでした…」

山神「ふふっ。それっ!」フウッ

巫女「えっ?」

フワアアッ…

ポンッ!

巫女「わっ!い、いつもの服になりました!」アセッ

山神「その格好の方がここでは動きやすいわよ」

巫女「さすが神様ですね!」

山神「流木とか貝殻とかを踏まないようにね」

巫女「はい、気を付けます」
388: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:27 ID:XyGysoL/oU
巫女「ん〜っ、このおにぎり美味しいです」モグモグ

山神「良かったわね、昨日寄った村で貰えて」

巫女「はい。でも私、巫女らしい事なんか何もしてないのに…」

巫女「行く先々でありがたがられて、何だか罪悪感が」

山神「良いじゃない。あなたを介して人間たちと触れ合う事で、私が皆に福を授けられるのよ」

巫女「まあ、そうですけど…私がやったみたいになるのが複雑で」

山神「あなたはあなたの役割を果たしているのだから、問題ないわよ」

山神「それよりどうかしら?これまでの『寄り道』は」

巫女「色んな人とお話しできて楽しいです」

巫女「それに鍾乳洞に湖、富士の山にこの海」

巫女「本当に見た事も聞いた事もないものがたくさんあるんですね〜」

山神「うふふ、楽しめてるなら良かったわ」

巫女「でも山神様はお疲れじゃないですか?」

山神「私を誰だと思ってるのよ。気を回さなくていいわ」
389: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:51 ID:XyGysoL/oU
ザザー…ン…

巫女「…でも不思議です。水ばっかりで何も見えないなんて…」

山神「向こうには何があると思う?」

巫女「まったく見当もつかないです」

山神「想像してごらんなさい」

巫女「ん〜っと…」ムムム…

巫女「きっと、ずっと遠く向こうにも村があって、人や神様がいて…」

巫女「遊んだり、畑仕事をしたり、ご飯を食べたりしてるんじゃないでしょうか?」

山神「うふふ」

巫女「あっ、ちょっと小馬鹿にしましたね!」

山神「一生懸命考えてて微笑ましいなぁって思っただけよ」

巫女「やっぱり小馬鹿にしてる…。本当はどうなんですか!」

山神「さあて?どうかしらね?」

巫女「ええ〜…教えてくれてもいいじゃないですか」

山神「私が答えを教えてしまったらつまらないでしょう?」

山神「知りたければ、自分の目で確かめてみなさいな」

巫女「む〜っ、なら舟でも造って行きます」

山神「本当に造り始めそうだから一応止めておくわね」
390: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:49:17 ID:XyGysoL/oU
巫女「あれっ」

山神「どうしたの?」

巫女「あそこで何か動いてません?」

山神「ん〜…馬の姿だとどうも視力がね」

巫女「そんなところも動物化するんですか…」

山神「…」

巫女「山神様?」

山神「…あれはもしかして…」ボソッ

巫女「どうかしたんですか?」

山神「う〜ん…ちょっとまずいかも…」

山神「巫女、海辺散策はおしまい。山道に戻るわよ」

巫女「えっ?」

山神「いいから。早く背中に…」

ヒュッ

「…これこれ。挨拶くらいせんかい」

巫女「わっ!いつの間に後ろに!?」ビクッ

山神「あらら、気付かれちゃったわね」
391: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:49:49 ID:XyGysoL/oU
巫女「おっきな亀さん…」

亀「ただの亀ではないぞ。海亀じゃ」

巫女「しかも喋るなんて。もしかして神様ですか?」

海亀「うむ。儂は海神という。見知りおけ、人の子よ」

巫女「海神様…」

巫女「海亀さんも海神様もあんまり変わりませんね」

海神「やかましい奴じゃい」

山神「お久しぶりですわ、海神様」

海神「うむ。それにしても山神よ、何故立ち去ろうとしたのじゃ?」

山神「…私は余所者です。海神様の領域に長居するのも悪いかと思いまして」

海神「何を言う。侵略しに来たわけでもあるまいに」

山神「…」

海神「それとも、昔の事を気にしておるのか?」

山神「いえ…しかし」

海神「もう済んだ事じゃ。おぬしとまた会えたこと、喜ばしい」

山神「海神様…」

巫女(何の話かな…?)
392: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:51:03 ID:XyGysoL/oU
海神「ときに、そちらの人の子は何者じゃ?」

巫女「あっ、私は…山神様のお社で巫女をしています」

海神「ほう、ほう。神職の家系かの?」

巫女「いえ、違いますけど…」

海神「む?どういう事じゃ?」

山神「この子は普通の村人ですわ。私が偶然知り合ったこの子を巫女に任命したのです」

海神「…ふぅむ。村人とな」

巫女「あの、何か?」

海神「いや、正直適性があるとは思えぬでな」

巫女「むっ」

山神「海神様。今は適正はさほど関係ありませんわ」

海神「まあ、おぬしが決めた事に口出しをする気はないが…」

海神「しかしあまり深入りをさせない方が賢明じゃぞ」

巫女(好き放題言ってくれちゃって…!)ギュッ

山神「…分かっております」

巫女(山神様…?)
393: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:51:29 ID:XyGysoL/oU
山神「では、私たちはこれにて…」

海神「そうか。山神よ、東の方角に村がある」

山神「村ですか?」

海神「このまま歩いては日が暮れよう。今日はそこに行くとよい」

山神「分かりました。ありがとうございます」

海神「うむ、達者でな」

山神「海神様もお元気で。行くわよ、巫女」パカッパカッ

巫女「えっ?あ、はい!」ザッザッ





海神「…」

海神「…やはり幾百年経とうとも…変わらぬか」

海神「あの娘っ子が、枷にならぬとよいが…」

ザザーン…
394: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:52:13 ID:XyGysoL/oU
山神「…」パカパカッ

巫女「…」

巫女(山神様…海神様に会ってからあんまり喋らなくなっちゃった…)

山神「…巫女」

巫女「えっ、あ、はい?」

山神「ごめんなさいね。海神様も悪い方ではないのだけれど…」

巫女「はい…」

山神「あの方は私よりずっと古くからこの辺りの海を司っている神様なの」

山神「だけど昔の信仰や神職の在り方に拘りすぎなのよね」

巫女「…海神様は、高名な神様でいらっしゃるんですか?」

山神「ん、そうね。少なくとも私よりはずっと」

巫女「そんな方に巫女は向いてないって言われちゃったんだ…」

山神「巫女…」

巫女「山神様、私…」

山神「気にする必要ないわよ」

巫女「…」
395: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:54:20 ID:XyGysoL/oU
山神「家系とか…血筋とか…そんなのは生まれ持った肩書に過ぎないわ」

山神「もっと大事なのは、それに成りたいと思うこと。成るために行動すること」

巫女「…」

山神「あなたは巫女になりたいと思っていたのでしょう?」

巫女「そうですけど…」

山神「じゃあそれ以外に素質なんかいらないわ」

山神「あなたを選んだ私を信じて。前を向きなさい、巫女」

巫女「は、はいっ…!」

山神「うふふ」

巫女「私、頑張りますっ!」

山神「その調子よ、巫女」

山神「…ん?この先に人間の気配がするわね」

巫女「海神様が言ってた村でしょうか」

山神「そうでしょうね。行ってみましょう」

巫女「はい!」
396: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:55:01 ID:XyGysoL/oU



巫女(でも…深入りするなってどういう事なんだろう…?)



巫女(山神様、昔何かあったのかな)



巫女(…う〜ん、あんまり聞いちゃいけないような気がする)



397: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:10:04 ID:tJRyJOqWbw



・・・・・・・・・・



398: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:10:42 ID:tJRyJOqWbw
山神「それにしても珍しいわね。海辺の村なんて」パカッパカッ

巫女「そうですね。おさかなさんとかいっぱい獲れるんでしょうか?」

山神「言っておくけど、それ目当てで来たわけじゃないからね」

巫女「わ、分かってますよぅ…」

シーン…

巫女「でも誰も見かけませんね…」

山神「そうね。ちょっと静か過ぎるかしら」

トボトボ…

村人「…はぁ…」

巫女「あっ、誰か歩いてますよ」

村人「…んぁ?」チラッ

村人「お、おおお…!その格好、もしや巫女様では!?」

巫女「えっ?あ、はい。一応…」

村人「こりゃちょうど良かった!一緒に来てください!さあさあ!」ガシッ

巫女「あ、ちょっ…あ〜れ〜」グイッ

タタタタタッ!

山神「…あらら、連れてかれちゃったわね」

ポンッ!
399: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:11:07 ID:tJRyJOqWbw
村長「…」

一同「はぁ…」ドンヨリ

村長「…致し方ない、か…」

ドタドタドタッ!

村人「村長!村長〜!」

村長「何じゃ、まさか彼奴らが…!」

村人「み、巫女様が来てくださった!」ズイッ

村長「なにっ!?」

巫女「あ、えっと…皆さん、こんにちは」

「おお、巫女様だと…!?」ザワッ

「神様の救いがあるのか!?」ザワザワ

村長「これ、落ち着け皆の衆!」

村長「巫女様、よくいらっしゃった。どうぞこちらへ」

巫女「ええっと、じゃあ失礼します…」

巫女(すごい、こんなに村人さんたちが集まって)

巫女(でもなんか皆落ち込んでる…?)

巫女「何かあったんですか?」

村長「よくぞ聞いてくださった。お話をさせていただいても?」

巫女「はい、もちろんです」
400: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:11:48 ID:tJRyJOqWbw
村長「ここは主に漁で生計を立てておる村ですじゃ」

村長「山と海に挟まれて、地形が悪いのを除けば恵みの多い住みよい場所です」

巫女「はい、とても素敵な場所ですね」

村長「ところが近頃、裏手にある山に賊が住み着きはじめましてな」

巫女「賊…?」

村長「左様。山を駆け回り、近くの村々を荒らして回る山賊どもですじゃ」

巫女「そんな恐ろしい人たちが…」

村長「その賊どもが今朝方、とうとうこの村にやって来ましてな」

村長「村を襲撃されたくなければ、貢ぎ物をせよと言ってきたのです」

巫女「何を差し出せと言われたんですか?」

村長「ありったけの食料と…」

村長「若い娘を三人ほど…ですじゃ」

巫女「!」

巫女「ひどい…!」

村長「そうなのです。しかし、彼奴らを力尽くで追い出すなどわしらにはできません」

村長「このままでは夕刻に彼奴らが再びやってきて…村を滅茶苦茶にされるやも…」

巫女「…」ギリッ
401: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:12:10 ID:tJRyJOqWbw
村長「お頼み申します巫女様!」

村長「この非力なわしらに、神様の加護を恵んでくださらんじゃろうか?」

「お、お願いします巫女様!」

「巫女様〜!」

巫女「もちろんです!」

巫女「そんなひどい人たち、許せません!」

村長「おお、ありがたやありがたや…!」

巫女「その山賊の人たちは夕刻に来るんですね?」

村長「そうですじゃ」

巫女「という事は、あんまり時間がありませんね…」

巫女「分かりました。皆さん、少し待っていてください」スクッ

村長「ははーっ」
402: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:13:05 ID:tJRyJOqWbw
タタタ…

巫女(ふぅ。さて、山神様は…っと)

バサバサッ

山神「ここよ」

巫女「あっ、山神様。からすさんに戻ったんですね」

山神「屋根の上から話は聞いたわ」

巫女「ひどい人たちもいるもんですね!」

山神「山賊ね…困ったものだわ」

巫女「山神様のお力でさっさとやっつけちゃいましょうよ!」

山神「う〜ん、そうしたいところなのだけれど…」

巫女「?」

山神「私は手を貸せないわ」

巫女「な、なんでですか!」

山神「ここは私の領域ではない。他の神の領域で勝手な振る舞いはできないの」

山神「ここの土地神に喧嘩を売ることになるわ」

巫女「そんな…でも山神様、私の事はどこでも助けてくれたじゃないですか!」

山神「それはあなたが私の領域の人間だからよ。土地神が干渉できるのはそこまで」

山神「掟なのよ。ここの村の人間たちを助ける事はできないの」

巫女「また例の、神様の掟ですか…!」
403: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:13:28 ID:tJRyJOqWbw
巫女「あっ、じゃあここの神様にお願いしに行きましょうよ!」

山神「…それも難しいでしょうね」

巫女「えっ」

山神「土地神にもいろいろいてね」

山神「自分のいる地の管理に興味がない神もいるのよ」

山神「恐らく、ここの神もその類ね」

巫女「えぇ〜…」

山神「山賊なんかが好き放題しているという事自体、その証拠よ」

山神「もし私の山でそんな連中がいたらすぐに処理しているわ」

巫女「処理って…」

巫女「じゃ、じゃあここの人たちを見捨てろって言うんですか!?」

山神「仕方ないわ。そもそも私たち神は人間同士のいざこざに無闇に干渉しない」

山神「そんな事ばかりしていたら、人間自体が進歩しなくなるものね」

巫女「むぅ〜っ…」
404: ◆WjgYlacz.c:2017/1/1(日) 21:14:09 ID:tJRyJOqWbw
巫女「どうしようもないって言うんですか…」

山神「この村の人たちには気の毒だけれど…」

山神「自分たちでどうにかしてもらうしかないわね」

巫女「…」

山神「巫女、気持ちは分かるけどここは…」

巫女「嫌です!」

山神「巫女…」

巫女「ここまで首を突っ込んでおいて見捨てるなんてできません!」

巫女「何ですか!掟、掟って…そればっかり!」

山神「巫女、それは…」

巫女「もういいです!私と村の人たちで山賊さんをやっつけますから!」プイッ

スタスタ

山神「…」

『…掟がそれほど大事なのですか?』

山神「っ」ズキン

山神「…嫌なこと、思い出しちゃったわね…」
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名前:
sage:


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