ーむか〜しむかし、とある場所で
373: ◆WjgYlacz.c:2016/12/5(月) 23:47:39 ID:PCMkvc5MOA
>>372
お読みいただきありがとうございました。
その「別のお話」については…検討します(汗)
374: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:37:21 ID:/cvA3b7ixo
・・・・・・・・・・
375: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:38:14 ID:/cvA3b7ixo
ザッザッ…
「…」
(けっこう山の上まで来ちゃったなぁ)
(お散歩しに来たのはいいけど…)
(何もないし、そろそろ引き返そうかな)
(…ん?)
「あれっ?」
「わぁ〜、すごい…!」
「こんなところにお社なんてあったんだ…」
「せっかくだしちょっとお参りでもしていこうかな」
「それに一度こういう所、見てみたかったんだよね」
「おじゃましま〜す」
376: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:38:38 ID:/cvA3b7ixo
「…」スタスタ
(けっこう立派だなぁ)
(誰もいないのかな?)
(でもこんな場所があったなんて)
(もしかして、私が初めて見つけたのかも!)
(…あ、でもここを造った人がいるんだ)
(何言ってるんだろう、私)
(わっ!お堂もおっきい…)
(さすがに入ったら駄目かな)
(…)
(ま、まあ、誰かいたら謝ればいいよね…?)
(少し見るだけ!少し!)
ギシッ
377: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:39:02 ID:/cvA3b7ixo
「ごめんくださ〜い」
シーン…
(やっぱり誰もいない…かな?)
(なんだか静か過ぎて不気味。外に出よう)
(うん、それじゃあ失礼して…)
(…ん?)
(あそこに掛かってるのって…)
ギッギッ
(やっぱり)
(巫女様の服だ…)
378: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:39:26 ID:/cvA3b7ixo
(綺麗…)
(まるで、最近まで誰かが着てたみたいに)
(なんだか不思議)
(やっぱり誰かいるんじゃ…)
「…」
「…」キョロキョロ
(着てみちゃったりなんかしたら…罰当たりかな?)
「…」
(ちょっとだけ…ちょっとだけ、なら良いよね?)
「…」ゴクッ
(えいっ、ままよ!)
シュルルッ、シュルッ
379: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:40:00 ID:/cvA3b7ixo
「…」
「えへへ〜」ニヤニヤ
(すごい、大きさもぴったり…)
(いいなぁ、巫女様のお仕事って憧れちゃう)
(お社を綺麗にして…)
(お参りに来る人たちのお話を聞いて…)
(神娘様みたいな神様のお手伝いをして…)
(…)
(うぅ、神娘様…)
(今、どこで何をしてるんだろう…)
(…そういえば)
(このお社にも、神様っているのかな?)
(どうしよう、こんなところ見られてたら…)
「…」キョロキョロ
(いるわけ…ないか。いたらとっくに怒られてる…)
380: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:40:50 ID:/cvA3b7ixo
巫女…
「!?」ビクッ
巫女…!
(だっ、誰!?誰の声!?)
巫女、起きなさい…!
(うぅ…)
着いたわよ…!
(誰なの!?)
「巫女!」
「ふぇっ!?」パチッ
381: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:42:10 ID:/cvA3b7ixo
巫女「…」ボーッ
山神「ほら、着いたわよ。しゃんとしなさい」
巫女「や、山神様…」
山神「どうしたの?」
巫女「あれ、私、ええっと…」
山神「何を寝ぼけているのよ。よく馬の背中に乗ったまま寝られるわね」
山神「落とさないようにするのも大変なのよ?」
巫女「ああ…なんだかいつの間に…」
巫女「そう、私、山神様のお社に初めて行った時の夢を見たんですよ!」
山神「へえ〜、あの巫女服を着てはしゃいでた時のこと?」
巫女「うぅ…やっぱり見られてた」
山神「微笑ましかったわねぇ、とっても」
巫女「もうそれ以上言わないでください…」
山神「うふふ。さて巫女、崖の下を見てご覧なさい」
巫女「崖の下…?」ヒョコッ
巫女「わぁぁっ…!」
382: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:42:48 ID:/cvA3b7ixo
山神「どう?すごいでしょう」
巫女「何ですかこれ!?おっきな川ですか!?」
山神「違うわよ。これは海」
巫女「うみ…?」
山神「大きな、それはもう大きな水たまりみたいなものね」
巫女「へええ〜…」ポカーン
山神「口が開きっぱなしよ」
巫女「えへへ、あんまり驚き過ぎちゃって…」
山神「さて。じゃあ巫女、この崖下を降りるわよ」
巫女「はい!じゃあ降りる道を…」
山神「そんなの探すの面倒よ。さあ行くわよ〜!」パカラッパカラッ
巫女「ちょっ、こんな斜面を…!?山神様〜!?」
ドザザザザアッ…!!
383: ◆WjgYlacz.c:2016/12/19(月) 23:43:39 ID:/cvA3b7ixo
番外編 巫女「巫女として」山神「神として」
ーはじまりはじまりー
※作中の巫女は本編の村娘です。
384: 名無しさん@読者の声:2016/12/20(火) 01:17:31 ID:2X7Sn7osMQ
番外編キタ━━(゚∀゚)━━!
ありがとうございます!(土下座)
385: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:47:08 ID:XyGysoL/oU
>>384
結局書き始めちゃいましたw
もう少しお付き合いください。
386: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:47:39 ID:XyGysoL/oU
山神「ふぅ、到着よ。やっぱりこの方が早かったわね」
巫女「わ…わ…私生きてる…生きて…」ガクガク
山神「…巫女〜?」
巫女「あ、あんな事するなら先に言ってくださいよ!」
山神「ごめんなさいね。少しは耐性付いたかと思って」
巫女「確かに騎乗には慣れましたけど、あんなのは無理です!」
山神「分かったわよ〜」
巫女「まったく…」
山神「それよりほら、目の前の光景をちゃんと見なさいな」
巫女「それよりって…えっ?」
ザザーン…!
巫女「うわあぁぁぁ〜っ!」パアア
タタッ
山神「ふぅ、誤魔化せたわ」
387: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:07 ID:XyGysoL/oU
巫女「きゃー!すごいすごい!」
巫女「辺り一面砂!そして水!」
巫女「それになんだか不思議な匂いがします!」
山神「それは潮風の匂いね。海の香りよ」
巫女「へぇ〜!でも近くで見ると本当に広いですね〜!」
山神「巫女、あんまりはしゃぐと砂で服が汚れるわよ」
巫女「あっ、そ、そうでした…」
山神「ふふっ。それっ!」フウッ
巫女「えっ?」
フワアアッ…
ポンッ!
巫女「わっ!い、いつもの服になりました!」アセッ
山神「その格好の方がここでは動きやすいわよ」
巫女「さすが神様ですね!」
山神「流木とか貝殻とかを踏まないようにね」
巫女「はい、気を付けます」
388: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:27 ID:XyGysoL/oU
巫女「ん〜っ、このおにぎり美味しいです」モグモグ
山神「良かったわね、昨日寄った村で貰えて」
巫女「はい。でも私、巫女らしい事なんか何もしてないのに…」
巫女「行く先々でありがたがられて、何だか罪悪感が」
山神「良いじゃない。あなたを介して人間たちと触れ合う事で、私が皆に福を授けられるのよ」
巫女「まあ、そうですけど…私がやったみたいになるのが複雑で」
山神「あなたはあなたの役割を果たしているのだから、問題ないわよ」
山神「それよりどうかしら?これまでの『寄り道』は」
巫女「色んな人とお話しできて楽しいです」
巫女「それに鍾乳洞に湖、富士の山にこの海」
巫女「本当に見た事も聞いた事もないものがたくさんあるんですね〜」
山神「うふふ、楽しめてるなら良かったわ」
巫女「でも山神様はお疲れじゃないですか?」
山神「私を誰だと思ってるのよ。気を回さなくていいわ」
389: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:48:51 ID:XyGysoL/oU
ザザー…ン…
巫女「…でも不思議です。水ばっかりで何も見えないなんて…」
山神「向こうには何があると思う?」
巫女「まったく見当もつかないです」
山神「想像してごらんなさい」
巫女「ん〜っと…」ムムム…
巫女「きっと、ずっと遠く向こうにも村があって、人や神様がいて…」
巫女「遊んだり、畑仕事をしたり、ご飯を食べたりしてるんじゃないでしょうか?」
山神「うふふ」
巫女「あっ、ちょっと小馬鹿にしましたね!」
山神「一生懸命考えてて微笑ましいなぁって思っただけよ」
巫女「やっぱり小馬鹿にしてる…。本当はどうなんですか!」
山神「さあて?どうかしらね?」
巫女「ええ〜…教えてくれてもいいじゃないですか」
山神「私が答えを教えてしまったらつまらないでしょう?」
山神「知りたければ、自分の目で確かめてみなさいな」
巫女「む〜っ、なら舟でも造って行きます」
山神「本当に造り始めそうだから一応止めておくわね」
390: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:49:17 ID:XyGysoL/oU
巫女「あれっ」
山神「どうしたの?」
巫女「あそこで何か動いてません?」
山神「ん〜…馬の姿だとどうも視力がね」
巫女「そんなところも動物化するんですか…」
山神「…」
巫女「山神様?」
山神「…あれはもしかして…」ボソッ
巫女「どうかしたんですか?」
山神「う〜ん…ちょっとまずいかも…」
山神「巫女、海辺散策はおしまい。山道に戻るわよ」
巫女「えっ?」
山神「いいから。早く背中に…」
ヒュッ
「…これこれ。挨拶くらいせんかい」
巫女「わっ!いつの間に後ろに!?」ビクッ
山神「あらら、気付かれちゃったわね」
391: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:49:49 ID:XyGysoL/oU
巫女「おっきな亀さん…」
亀「ただの亀ではないぞ。海亀じゃ」
巫女「しかも喋るなんて。もしかして神様ですか?」
海亀「うむ。儂は海神という。見知りおけ、人の子よ」
巫女「海神様…」
巫女「海亀さんも海神様もあんまり変わりませんね」
海神「やかましい奴じゃい」
山神「お久しぶりですわ、海神様」
海神「うむ。それにしても山神よ、何故立ち去ろうとしたのじゃ?」
山神「…私は余所者です。海神様の領域に長居するのも悪いかと思いまして」
海神「何を言う。侵略しに来たわけでもあるまいに」
山神「…」
海神「それとも、昔の事を気にしておるのか?」
山神「いえ…しかし」
海神「もう済んだ事じゃ。おぬしとまた会えたこと、喜ばしい」
山神「海神様…」
巫女(何の話かな…?)
392: ◆WjgYlacz.c:2016/12/23(金) 19:51:03 ID:XyGysoL/oU
海神「ときに、そちらの人の子は何者じゃ?」
巫女「あっ、私は…山神様のお社で巫女をしています」
海神「ほう、ほう。神職の家系かの?」
巫女「いえ、違いますけど…」
海神「む?どういう事じゃ?」
山神「この子は普通の村人ですわ。私が偶然知り合ったこの子を巫女に任命したのです」
海神「…ふぅむ。村人とな」
巫女「あの、何か?」
海神「いや、正直適性があるとは思えぬでな」
巫女「むっ」
山神「海神様。今は適正はさほど関係ありませんわ」
海神「まあ、おぬしが決めた事に口出しをする気はないが…」
海神「しかしあまり深入りをさせない方が賢明じゃぞ」
巫女(好き放題言ってくれちゃって…!)ギュッ
山神「…分かっております」
巫女(山神様…?)
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