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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





352: ◆WjgYlacz.c:2016/11/25(金) 22:56:25 ID:p94zDc5KUg
神娘「お前も同じ気持ちだと言うのか?」

男「はい」

神娘「むむ…なんと」

男「はは、滑稽な顔をしておられます」

神娘「からかうでない」

男「神様の真似をしただけですよ」

神娘「まったくこやつは…」

男「愚かな事だとは分かっております」

神娘「いいや。単純に嬉しいぞ。それ以外の言葉が見当たらぬ」

男「そうですか…!」

神娘「思い出した。先ほど目覚める時、お前の声を聞いた」

『お慕いしていたのです』

神娘「お前のその言霊が私を呼び戻したのだな」

男「…聞いていたのですか」

神娘「山神殿が言っていた、特別に強い想いとはこの事だったのか」

男「恥ずかしいのでお止めください」

神娘「わはは」

神娘「…ありがとうな、男。お前のおかげで今ここに私がいるというわけだ」

男「神様…」
353: ◆WjgYlacz.c:2016/11/25(金) 22:56:56 ID:p94zDc5KUg
神娘「…だが」

男「?」

神娘「私にも私の立ち位置というものがある」

神娘「お前の村につく神としての立場が…な」

男「はい」

神娘「私は村の者に対し中立でなくてはならぬ」

神娘「お前だけを…特別扱いするわけにはいかんのだ、男」

男「…」

神娘「つまりだな、ええと……何と言えばよいのか…」

男「分かっておりますよ、神様」

神娘「…」

男「私は神様の心中をお聞かせいただき、嬉しかった」

男「神様がこれから先、いつでも近くにおられる」

男「それだけで私は…満足ですよ」

神娘「男…」

男「神様は存分に修行にお励みください」

男「今まで通りに。それが一番なのですから」

神娘「……すまんな」
354: ◆WjgYlacz.c:2016/11/25(金) 22:57:22 ID:p94zDc5KUg
男「では参りましょう。私の村へ」

神娘「うむ」

神娘「…なぁ、男」

男「はい」

神娘「その…村に着くまででよいのだが…」

神娘「この手を離さないでいてくれ。頼む」

男「…勿論ですとも。何があろうと」

神娘「では行こう」

男「はい」

ザッザッ…

………

……


355: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:30:36 ID:BDOoSr5JZ.



・・・・・・・・・・



356: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:31:10 ID:BDOoSr5JZ.



・・・・・・・数ヶ月後



357: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:31:40 ID:BDOoSr5JZ.
神娘「………」

神娘「……んんっ」

神娘「朝か…」ムクッ

神娘「んんっ…」ブルルッ

スタスタ

ガララッ

神娘「おお…」

シンシンシン…

神娘「やけに寒いと思ったら…雪が積もったか」

神娘「見事な銀世界だな。美しい」

神娘「だが、こういう日は引きこもっているのが一番だな」

神娘「こんな日では皆も生業はできまい」
358: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:32:12 ID:BDOoSr5JZ.
神娘(あれから数ヶ月が経ち、すっかり冬となった)

神娘(今は村の近くにあった廃寺で寝泊まりしている)

神娘(村の皆は私を快く迎えてくれた)

神娘(おかげで神力もかなり回復してきている)

神娘(まとまった信仰がある場所だと、こうも回復が早いとはな)

神娘(ありがたい事だ。この信仰を早くあやつらに返していかなければ)

神娘(…だが、寒いので今日は休む事にしよう)

神娘(急ぐことはないな、うん)

チリーン…

神娘「む?」

チリリーン…

神娘「鈴の音…男に持たせている物か」

神娘「何か用があれば鳴らすよう伝えておいたが…」

神娘「この雪だしな。何かあったか?」

神娘「休むと決めた傍から…落ち着かんな」

スタンッ!
359: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:32:34 ID:BDOoSr5JZ.
ヒュウウウ…

スタッ

神娘「ふぅ、到着」

百姓二「あっ!神娘様だぁ!」

百姓一「おはようごぜえます、神娘様」

村人たち「「「おはようございます!」」」

神娘「ああ、おはよう」

神娘「…ってどうした、皆揃って」

百姓一「へえ、実は…」

男「あ、神様。来てくださいましたか」

神娘「男。何かあったのか?」

男「はい、一大事です」

神娘「聞こう」

男「雪が積もりました」

神娘「うむ」

男「珍しいので村は大騒ぎです」

神娘「皆慌ててしまっているか。まあ無理も…」

男「大騒ぎで皆遊んでおります」

男「神様も是非ご一緒にと思いまして」

神娘「は?」
360: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:32:57 ID:BDOoSr5JZ.
神娘「大騒ぎってそういう意味か」

男「ええ」

神娘「というか遊んでおるだと?この雪の中を?」

男「はい。雪合戦に雪だるま作りなど」

神娘「わんぱくか」

男「たまには皆、童心に帰るものです」

神娘「それは別に構わんけどな」

男「では神様も…」

神娘「断る」

男「えっ」

神娘「今日は引きこもっていると決めた」

男「そんな」

神娘「こんな寒い日に外にいたら死んでしまう」

男「神様も寒さで死んでしまわれるのですか」

神娘「いや、死にはせんな。うん」

男「ですよね」
361: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:33:26 ID:BDOoSr5JZ.
神娘「ともかく、今日は有事以外では外に出ん」

神娘「私は戻るぞ」

百姓二「ええ〜?神様戻っちまうのかぁ?」

神娘「お前たちもほどほどにしておけ。体に障るぞ」

神娘「この時分の風邪は長引くからな」

男「神様、そう堅い事を仰らずに」

神娘「うるさい。戻ると言ったら戻るのだ」

男「お待ちくださ」ツルッ

男「うわ、足が滑っ…!」ヨロッ

神娘「えっ」

ドンッ

神娘「わっ」ボスッ

神娘「ゆ…雪が柔らかくてよかったが…」

神娘「急に押し倒すな!」

男「申し訳ありません」

神娘「…」

男「…」

神娘「い、いつまで馬乗りになっているのだ!」ブンッ!

男「いてっ!」ベシャッ!
362: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:33:53 ID:BDOoSr5JZ.
神娘「いい気味だ」

男「やりましたね、神様」

神娘「ん?」

男「えいっ」ブンッ!

ベシャッ

神娘「うわっ!?」

男「雪合戦の開始ですよ」

神娘「ぬぬ…こやつ…!」

神娘「よかろう。神相手に戦を挑んだ事、後悔するがいいぞ!」バッ

ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!

男「あわわっ!すごい数の雪玉が…へぶっ!」ベシャベシャベシャッ!

神娘「わはは、どうだ参ったか」

男「この程度で私は参りませんよ。それそれっ!」ヒュンヒュンッ!

神娘「なんのこれしき!」ババッ

百姓二「…あ〜あ。また二人でおっ始めちまったなぁ」

百姓一「本当に仲が良いもんだぜ」

百姓二「さっさとくっ付けばいいのになぁ、あの二人」

百姓一「がっはっは、まったくだな」
363: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:34:28 ID:BDOoSr5JZ.
神娘「わはは、手も足も出まい!」

男「ぐぬぬ」

神娘「さあて、これでしまいだ」ババッ!

男「うわわ〜」

ベシャアッ!

神娘「うっ!?」

百姓二「今日は無礼講だなぁ?神娘様!」

百姓一「よ〜し、俺たちも混ざるとするか!」

村人たち「「「おおお〜!」」」

男「皆…」

神娘「なんと」

百姓一「さて…我らが村の団結力、お見せしやすぜ神娘様!」

神娘「わはは、ならば私も更なる神の力を見せてやろう!」ゴゴゴ…

男「よし…行こう、皆!」

村人たち「「「うおおお〜!」」」

神娘「来い!」
364: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:34:47 ID:BDOoSr5JZ.



・・・・・・・・・・



365: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:35:18 ID:BDOoSr5JZ.
シンシンシンシン…

男「はぁ、はぁ…」ノビー

村人たち「「「ぜぇ…ぜぇ…」」」ノビー

ザッザッ

神娘「ふぅ…さすがに村人全員相手は骨が折れるぞ…」

男「いや〜、流石神様。なかなか当たりませんね」

神娘「そりゃあ神だしな」

男「結局しっかり遊んでいきました」

神娘「おかげ様でな。上手く乗せられてしまった」

神娘「そして何故途中から私がすごい悪役みたくなっていたのだ?」

男「場の雰囲気というものですかね」

神娘「納得いかん」

男「ははは」

神娘「ほら皆!本当に風邪をひくぞ。起きろ」

百姓一「神娘様は元気ですなあ」

百姓二「おら…一歩も動けねぇ〜」
366: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:36:28 ID:BDOoSr5JZ.
「昼飯だよー!」

神娘「ん、あれは農婦たちの声か」

男「もうそんな時間ですか」

百姓二「うひょ〜!昼飯かぁ!」ガバッ

ヒュンッ!

男「うわ、速っ…」

神娘「あやつ、動けないと言ったばかりなのに…」

百姓一「はっはっは、食い意地の張った奴だぜ」

村人たち「「「わっはっは!」」」

神娘「ふふふっ」

男「ははは」

百姓一「いよ〜し、俺たちも飯食いに行くぞ!」

村人「お〜っ!」

村人「あ〜、腹減った腹減った…」

ゾロゾロ…

男「さて、乗り遅れてしまいますよ。我々も…」

神娘「…」

男「神様?」
367: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:37:29 ID:BDOoSr5JZ.
神娘(…共に遊び)

神娘(共に畑を耕し)

神娘(共に収穫し)

神娘(共に飯を食い)

神娘(共に笑い、泣くこと)

神娘(素晴らしいな)

神娘(ありふれた日常が、これほど素晴らしい)

神娘(私はこれからも生きる)

神娘(この地で、この村と)

神娘(…そして、こやつとも)

神娘「…ふっ」

男「どうかなさいましたか?」

神娘「あ、いや、なんでもない」

男「そうですか。では神様、我々も行きましょう」

神娘「ああ」
368: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:38:01 ID:BDOoSr5JZ.


ーこうして元・人間嫌いの神様は





ー本神になる修行に励みながら





ー村で、人間たちと仲良く暮らしましたとさ
369: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:38:37 ID:BDOoSr5JZ.



ーめでたし、めでたしー
370: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:39:48 ID:BDOoSr5JZ.
一年近くかかりましたが、これにて完結です。
読んでくださった方々、支援くださった方々、本当にありがとうございました。
願わくば、再びSS板がもっと賑わいますように!
371: ◆WjgYlacz.c:2016/12/4(日) 21:47:26 ID:BDOoSr5JZ.
主要キャラ4人の紹介をSS板キャラ名鑑に載せました。
併せて読んでいただけると嬉しいです。
364.64 KBytes

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