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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか~しむかし、とある場所で





2: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:07:27 ID:I.XMW0eHSk
ーとある山中、洞窟内ー

神娘「…で、なんでまたここに来たのだ」

男「神様がお腹を空かしているのではないかと思いまして」

神娘「ふん、私は神であるぞ。腹など…」グウウ

男「……」

神娘「……」

神娘「…今のは神力が弾けた音だ。決して、決して腹の虫の音などではない」

男「分かりました。では先ほど狩った野兎の肉、ここに置いていきますね」ドサッ

神娘「あっ、お前信じておらんな。私をあまり馬鹿にするなよ」

男「馬鹿になどしておりません」ニヤニヤ

神娘「いいや、しておる。その面で分かるぞ」

男「もともとこういう顔つきですから」

神娘「適当なことばかり言いおって…」

男「ではまた来ます」

神娘「ふん、もう来るな」
3: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:07:51 ID:I.XMW0eHSk
神娘「…と言ったのに凝りもせずまた来たか」

男「駄目でしたか?」

神娘「何度も言っているつもりだが。もうここへは来るな、と」

男「しかし、やはり気にはなりまして…」

神娘「お前に気にかけられることなど何一つない」

男「とりあえず、今日のところはこの山菜でご勘弁ください」トサッ

神娘「まるで無理に私が取り立てているような言い方はよせ」

男「本当は神様にはもっと精のつくものを差し上げたいのですが…」

神娘「…ふ、ふん。その心遣いだけはありがたく受け取っておいてやる」

男「育ち盛りでしょうからね」

神娘「育ち盛りて。こんななりだがもう成長せぬ」

男「見た目だけなら私よりも年下に見えます」

神娘「分かった。やはりお前、私を馬鹿にしているな?」

男「滅相もない」
4: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:08:15 ID:I.XMW0eHSk
男「神様、いらっしゃいますか?」ザッ

神娘「また来たのか…」

男「今日はこんな物をお持ちしました」

神娘「なんだこれは。漬物か?」

男「村で採れた大根を塩漬けにしたものにございます」

神娘「なんでわざわざ持ってくるのだ…」

男「村で初めて採れた野菜ですから。神様にも食べていただきたいのです」

神娘「人間の作った物などいらぬ」

男「それでも結構です。置いていきますから、どうぞご自由に」ドサッ

神娘「あっ、待て。…あやつめ、さっさと行ってしまった」

神娘「…ふん、誰が手を付けるものか」ゴロン

神娘「……」

神娘「…」

神娘「…」ゴソッ

ポリポリ

神娘「…なかなか美味い」

男「……」ジーッ

神娘「お、お前っ!いたのか!?」ビクッ

男「あ、ばれた」
5: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:08:53 ID:I.XMW0eHSk
男「神様~」ザッ

神娘「…」

男「か~み~さ~ま~!」

神娘「聞こえとるわっ!昼寝の邪魔するな!」ガバッ

男「あ、生きてた。よかったです」

神娘「人間に生死を心配される神など聞いた事がない」

男「まあまあ、たまには神様のお話でもお聞かせください」

神娘「暇なのか?お前」

男「いえ。村に帰ればまた畑仕事三昧です」

神娘「大事な事ではないか。とっとと行け」

男「ですが、今日は神様のお話を聞きたい気分なのです」

神娘「自由人か」

男「村では真面目な好青年で通っております」

神娘「自分で言うのか?それ…」

男「でも実際は人知れずこうして遊んでおります」

神娘「いるわな。こういう怠け方が上手い奴」
6: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:09:37 ID:I.XMW0eHSk
神娘「とにかく、人間に話す事などない」ゴロン

男「神様は何の神様なのですか?」

神娘「……」ムシ

男「どうしてこんな洞窟においでで?」

神娘「……」ムシ

男「…神様のお好きな食べ物は?」

神娘「……」

神娘「……餅」

男「あっ、喋った」

神娘「うるさいっ!昼寝の邪魔だと言っておろう!」ガバッ

男「餅がお好きでしたか。ちょうど村ではもち米を作っているところです」

神娘「なにっ、そうなのか?…ではなくて!早く失せろと言っているのだ!」

男「では、来年の年明けには餅を搗いてお持ち致します」

神娘「なんと、それは楽しみ…ではなくてだなっ!」

男「それでは今日は失礼致します」スタコラ

神娘「言いたい事だけ言って逃げるなぁっ!」ドカーン!
7: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:10:10 ID:I.XMW0eHSk
男「神様!」ザッ

神娘「…なんだ」

男「強い雨が降りましたが、雨漏りはありませんでしたか?」

神娘「ここ、洞窟だぞ」

男「地盤が緩むと洞窟も崩れやすくなります。ご注意を」

神娘「いっそ崩れてくれんかな」

男「何を仰います!?それだけ悲観なさるほど何かが…」

神娘「そうすれば誰もここに来れなくなるからな」

男「掘ってでも開通させます」

神娘「何なのだ、お前のその頑張りは」

男「流石にここが崩れれば神様とて無事では済まないでしょう?」

神娘「大丈夫だぞ」

男「本当ですか?」

神娘「なにせ神だからな」

男「納得しました」

神娘「そうだ、もっと崇めよ」

男「御見それしました」

神娘「ふふん」エッヘン

男「…胸を張ってもやはり色々小さいですね」ボソッ

神娘「聞こえたぞ」
8: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:10:39 ID:I.XMW0eHSk
男「ふう…」ザッ

神娘「もはや挨拶も無しか」

男「あ、お邪魔します神様」

神娘「遅いし。それに挨拶すればいいというものでもないぞ」

男「いや~、最近暑いですね。神様」

神娘「都合の悪いことを聞き流すな」

神娘「それに今は夏だ。当然のこと」

男「でもこの洞窟内は比較的涼しいです」

神娘「陽が当たらんからな」

男「えっ、神様のお力ではないのですか?」

神娘「神とてそんな便利能力持っておらん」

男「そうなのですか…」ショボン

神娘「何故かすごく落胆された」
9: ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:11:24 ID:I.XMW0eHSk
男「水浴びでもしとうございます」

神娘「そこらに小川があっただろう。行ってくればいい」

男「足を取られて流されたらどうするのですか」

神娘「そんなに急な流れでもなかろう。泳げばいい」

男「私は泳げないのです」

神娘「情けないな」

男「神様が一緒に来てくだされば安心なのですが」

神娘「まず村の者と一緒に行く発想はないのか」

男「たまには神様も外に出ませんと」

神娘「…できるならそうしておるわ」ボソッ

男「えっ?」

神娘「なんでもない。私はここにいるのがいい」

男「閉じこもってばかりでは不健康にございます」

神娘「やかましい奴だな。お前は私の親か」

男「もう保護者のようなものだと思っておりますが」

神娘「何を言っておるのだこやつは」
10: 名無しさん@読者の声:2015/12/10(木) 15:27:39 ID:P/e0w/9NA6
しえん
11: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:02:32 ID:ORtSgFaG7A
男「では村の者たちと行って参ります」

神娘「そうしろ」

男「神様は置いていきますからね」

神娘「放っておいてくれ」

男「本当によろしいのですか?」

神娘「しつこい」

男「後悔しませんね?」

神娘「さっさと出ていけっ!」ドカーン!

男「う~ん、残念だなあ」スタコラ

神娘「ついでに二度と来るなぁ!」





神娘「…まったく、残念って何がだ」

神娘「どうにも調子が狂う。やはり人間と関わって良い事などない」

神娘「…そもそも、あの時に上手くあいつを追い払えていれば…」

神娘「そうすれば、今も平穏に過ごせていただろうに」
12: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:03:07 ID:ORtSgFaG7A
ーー回 想ーー

チリーン…

神娘「…しかしこれは本当に何なのだろうな」

神娘「ああ、暇だ。今日はどうしようか…」チリンチリン

「…ん?今、奥から鈴の音が…」

ザッザッ

神娘「むっ!」ピクッ

神娘(しまった、誰かいたのか…?)

男「うわ、なんとも薄暗い洞窟だなあ…ん?」

神娘「!」

男「!」

神娘「やはり人間…っ!」バッ

男「君は誰だ?」

神娘「去れっ!」

男「へっ?」

神娘「人間など嫌いだ!顔も見とうない!」

男「何を言っているの。君も人間だろう」

神娘「私は人間などではない。神だ」

男「はい?」
13: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:00 ID:ORtSgFaG7A
神娘「お前、難聴か?もう一度言う、私は神だ」

男「そういうのいいからさ、どこから来たの?君…」

神娘「君とはなんだ。人間ごときが失敬だぞ」

男「はいはい。どこかの村から出てきたの?」

神娘「だから、私は…」

男「こんな所に一人でいては野犬に襲われるよ」

神娘「…落ち着いて聞け、人間。私は八百万の神。今はここに腰を落ち着けているのだ」

男「……」

神娘「私はお前たち人間は嫌いだ。ここに立ち入る事を許さぬ。今すぐここを出ていけ」

男「またまた。何の事情があるかは知らないが、そんな見え透いた嘘を吐くなって」

神娘「は?」

男「私はこの山の麓の村に住んでいる。行くあてがないなら一緒に来ないか?」

神娘「人間の村に!?冗談ではない!」

男「なんだ、まったく我儘だなあ」

神娘「いいから放っておいてくれ。人間の世話になどならん」

男「放っとけないよ。後から君の屍が見つかったりしたら後味が悪い」

神娘「ぐぬぬ…」イライラ
14: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:37 ID:ORtSgFaG7A
神娘「…信じぬというのだな?私が神であるという事を」

男「うん」

神娘「即答とは良い度胸だ。ならば見せてやろう。神のみが使える術、神技をな」パンッ

男「えっ」

神娘「…んんっ」ググッ

男「なんだ、周りの石が浮いてる…!?」オロオロ

神娘(ふふ、この石をぶつけて追い払ってくれる)ニヤリ

神娘「さあて…その身をもって味わうがいい」ゴゴゴ

神娘「私を信じず、あまつさえ無礼千万働いた天罰を!」ヒュッ

ヒュヒュヒュンッ!!

男「あわわ…っ!」

神娘(さあ、これで…)

ドクンッ!

神娘「!?」フラッ

神娘(しまっ……まだ駄目であったか…っ!)

ドサッ

男「あっ…」

神娘(く…っ、意識…が……)

神娘「……」
15: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:10 ID:ORtSgFaG7A
神娘「………」

神娘「……う…ううっ…」

神娘「ん…」ムクッ

神娘(…誰もいない。さすがにあの人間も去ったか)

神娘(それにしても、あの程度の神技でも体に支障をきたすとは…)

神娘(まだまだ当分、ここにいなくてはならんな)

神娘(…あ、まずい。あの人間、麓の村の人間だと言っていた)

神娘(きっとここの事を村の仲間にも話すに違いない)

神娘(そうすれば、また他の人間どもがここに来るかもしれん)ゾッ

神娘(急いでここから移動せねば…!)スクッ

フラッ

神娘「っ!」ドサッ

神娘「うう…」

神娘(か、体が言う事を聞かん…)

神娘(くうぅ…情けない、情けない…)グスッ

「だ、大丈夫…ですか?」

神娘「ん?」

グイッ

神娘「おっとっと」
16: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:33 ID:ORtSgFaG7A
男「……」

神娘「お、お前っ!何故ここに!?」アセッ

男「目の前で急に倒れたので村に気付け薬を取りに行ってたんですよ」

神娘「人間の薬など私には効かぬ」

男「そうですか…あ、それよりも」スッ

神娘「?」

男「神様、先ほどは大変な失礼を致しました」ガバッ

神娘「お、おう?」

男「どうかお許しください」

神娘「なんだ、どうして急に信じる気になった」

男「あの術はとても人の為せる技とは思えません」

神娘「…まあ、信じてもらえたなら何よりというもの」

男「しかし、どうして倒れたりなど…」

神娘「お前には関係のない事だ。心配はいらん」

男「…それなら良かったです」

神娘「とにかく、お前に言いたい事はただ一つ」

男「はい」

神娘「ここから出ていけ。今すぐに」

男「えっ」
17: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:06:57 ID:ORtSgFaG7A
神娘「最初に言ったな?私は人間が嫌いだ」

男「……」

神娘「すぐに出ていき、ここへは二度と近寄るでない」

男「……」

神娘「あと、お前の村の者たちにも決してここの事を話すな」

神娘「もし禁を破れば…今度こそ天罰を下す」

男「…分かりました。ここの事は誰にも言いません」

神娘「よろしい」

男「ですが神様、私は困っている者を放っておけない性格でして」

神娘「…は?」

男「先ほどの様子を見るに、神様は弱っておいでの様子」

男「せめて、神様のお加減が良くなるまで時折様子を見に参ります」

神娘「いらん。弱ってなどおらん」

男「顔色が悪うございますが」

神娘「…も、元々だ」

男「またまた。何か食べ物でも持って参りましょう」

神娘「いらぬと言うておろうが!」

男「ではまた来ますね」

神娘「お前、本当にどうかしているんじゃないのか!?」

ーー回想終了ーー
18: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:08:52 ID:ORtSgFaG7A
神娘(…というような訳の分からぬやりとりがあったが)

神娘(結局、それからあの人間がここに通うようになった)

神娘(他の者を連れてこない所を見ると、本当に誰にも口外していないようだが)

神娘(やれ何が狩れただの、やれ何が採れただの…)

神娘(うっとおしくて敵わん)

神娘(あの時倒れるような事が無ければ…)

神娘(力が戻れば、今度は岩でもぶつけてくれようか)

神娘(力が戻れば…な)

神娘(……)
19: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:10:14 ID:ORtSgFaG7A
>>10
支援ありがとうございます。
昔話の雰囲気でのんびりやっていきたいと思います。
20: 名無しさん@読者の声:2015/12/17(木) 23:47:44 ID:k3dbX4oWXs
つ紫煙
やりとりかわいい
21: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:19 ID:L58MV1qlVg
男「神様、失礼しますよ」

神娘「…なんだ、その網は」

男「ああ、これですか」ドサッ

ビチビチッ

神娘「魚ではないか」

男「あの後川に皆で行き、釣りをしたのです」

神娘「本当に行ったのか」

男「なかなか大漁でございました」

神娘「それを持ってくるのはいいが、まだ活き活きしておるぞ」

男「はい。多少困るほどに」

神娘「これを食えというのか?」

男「まさか。ただ見せに来ただけです」

神娘「」

男「いやあ、いっぱい獲れました。ありがたい事です」

神娘「」

男「…冗談です。ちゃんと焼いてきましたのがこちらに」

神娘「べ、別に期待などしとらんわ!」

男「若干涙目ですが」

神娘「うるさいうるさいっ!」
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sage:


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