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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





11: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:02:32 ID:ORtSgFaG7A
男「では村の者たちと行って参ります」

神娘「そうしろ」

男「神様は置いていきますからね」

神娘「放っておいてくれ」

男「本当によろしいのですか?」

神娘「しつこい」

男「後悔しませんね?」

神娘「さっさと出ていけっ!」ドカーン!

男「う〜ん、残念だなあ」スタコラ

神娘「ついでに二度と来るなぁ!」





神娘「…まったく、残念って何がだ」

神娘「どうにも調子が狂う。やはり人間と関わって良い事などない」

神娘「…そもそも、あの時に上手くあいつを追い払えていれば…」

神娘「そうすれば、今も平穏に過ごせていただろうに」
12: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:03:07 ID:ORtSgFaG7A
ーー回 想ーー

チリーン…

神娘「…しかしこれは本当に何なのだろうな」

神娘「ああ、暇だ。今日はどうしようか…」チリンチリン

「…ん?今、奥から鈴の音が…」

ザッザッ

神娘「むっ!」ピクッ

神娘(しまった、誰かいたのか…?)

男「うわ、なんとも薄暗い洞窟だなあ…ん?」

神娘「!」

男「!」

神娘「やはり人間…っ!」バッ

男「君は誰だ?」

神娘「去れっ!」

男「へっ?」

神娘「人間など嫌いだ!顔も見とうない!」

男「何を言っているの。君も人間だろう」

神娘「私は人間などではない。神だ」

男「はい?」
13: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:00 ID:ORtSgFaG7A
神娘「お前、難聴か?もう一度言う、私は神だ」

男「そういうのいいからさ、どこから来たの?君…」

神娘「君とはなんだ。人間ごときが失敬だぞ」

男「はいはい。どこかの村から出てきたの?」

神娘「だから、私は…」

男「こんな所に一人でいては野犬に襲われるよ」

神娘「…落ち着いて聞け、人間。私は八百万の神。今はここに腰を落ち着けているのだ」

男「……」

神娘「私はお前たち人間は嫌いだ。ここに立ち入る事を許さぬ。今すぐここを出ていけ」

男「またまた。何の事情があるかは知らないが、そんな見え透いた嘘を吐くなって」

神娘「は?」

男「私はこの山の麓の村に住んでいる。行くあてがないなら一緒に来ないか?」

神娘「人間の村に!?冗談ではない!」

男「なんだ、まったく我儘だなあ」

神娘「いいから放っておいてくれ。人間の世話になどならん」

男「放っとけないよ。後から君の屍が見つかったりしたら後味が悪い」

神娘「ぐぬぬ…」イライラ
14: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:37 ID:ORtSgFaG7A
神娘「…信じぬというのだな?私が神であるという事を」

男「うん」

神娘「即答とは良い度胸だ。ならば見せてやろう。神のみが使える術、神技をな」パンッ

男「えっ」

神娘「…んんっ」ググッ

男「なんだ、周りの石が浮いてる…!?」オロオロ

神娘(ふふ、この石をぶつけて追い払ってくれる)ニヤリ

神娘「さあて…その身をもって味わうがいい」ゴゴゴ

神娘「私を信じず、あまつさえ無礼千万働いた天罰を!」ヒュッ

ヒュヒュヒュンッ!!

男「あわわ…っ!」

神娘(さあ、これで…)

ドクンッ!

神娘「!?」フラッ

神娘(しまっ……まだ駄目であったか…っ!)

ドサッ

男「あっ…」

神娘(く…っ、意識…が……)

神娘「……」
15: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:10 ID:ORtSgFaG7A
神娘「………」

神娘「……う…ううっ…」

神娘「ん…」ムクッ

神娘(…誰もいない。さすがにあの人間も去ったか)

神娘(それにしても、あの程度の神技でも体に支障をきたすとは…)

神娘(まだまだ当分、ここにいなくてはならんな)

神娘(…あ、まずい。あの人間、麓の村の人間だと言っていた)

神娘(きっとここの事を村の仲間にも話すに違いない)

神娘(そうすれば、また他の人間どもがここに来るかもしれん)ゾッ

神娘(急いでここから移動せねば…!)スクッ

フラッ

神娘「っ!」ドサッ

神娘「うう…」

神娘(か、体が言う事を聞かん…)

神娘(くうぅ…情けない、情けない…)グスッ

「だ、大丈夫…ですか?」

神娘「ん?」

グイッ

神娘「おっとっと」
16: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:33 ID:ORtSgFaG7A
男「……」

神娘「お、お前っ!何故ここに!?」アセッ

男「目の前で急に倒れたので村に気付け薬を取りに行ってたんですよ」

神娘「人間の薬など私には効かぬ」

男「そうですか…あ、それよりも」スッ

神娘「?」

男「神様、先ほどは大変な失礼を致しました」ガバッ

神娘「お、おう?」

男「どうかお許しください」

神娘「なんだ、どうして急に信じる気になった」

男「あの術はとても人の為せる技とは思えません」

神娘「…まあ、信じてもらえたなら何よりというもの」

男「しかし、どうして倒れたりなど…」

神娘「お前には関係のない事だ。心配はいらん」

男「…それなら良かったです」

神娘「とにかく、お前に言いたい事はただ一つ」

男「はい」

神娘「ここから出ていけ。今すぐに」

男「えっ」
17: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:06:57 ID:ORtSgFaG7A
神娘「最初に言ったな?私は人間が嫌いだ」

男「……」

神娘「すぐに出ていき、ここへは二度と近寄るでない」

男「……」

神娘「あと、お前の村の者たちにも決してここの事を話すな」

神娘「もし禁を破れば…今度こそ天罰を下す」

男「…分かりました。ここの事は誰にも言いません」

神娘「よろしい」

男「ですが神様、私は困っている者を放っておけない性格でして」

神娘「…は?」

男「先ほどの様子を見るに、神様は弱っておいでの様子」

男「せめて、神様のお加減が良くなるまで時折様子を見に参ります」

神娘「いらん。弱ってなどおらん」

男「顔色が悪うございますが」

神娘「…も、元々だ」

男「またまた。何か食べ物でも持って参りましょう」

神娘「いらぬと言うておろうが!」

男「ではまた来ますね」

神娘「お前、本当にどうかしているんじゃないのか!?」

ーー回想終了ーー
18: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:08:52 ID:ORtSgFaG7A
神娘(…というような訳の分からぬやりとりがあったが)

神娘(結局、それからあの人間がここに通うようになった)

神娘(他の者を連れてこない所を見ると、本当に誰にも口外していないようだが)

神娘(やれ何が狩れただの、やれ何が採れただの…)

神娘(うっとおしくて敵わん)

神娘(あの時倒れるような事が無ければ…)

神娘(力が戻れば、今度は岩でもぶつけてくれようか)

神娘(力が戻れば…な)

神娘(……)
19: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:10:14 ID:ORtSgFaG7A
>>10
支援ありがとうございます。
昔話の雰囲気でのんびりやっていきたいと思います。
20: 名無しさん@読者の声:2015/12/17(木) 23:47:44 ID:k3dbX4oWXs
つ紫煙
やりとりかわいい
21: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:19 ID:L58MV1qlVg
男「神様、失礼しますよ」

神娘「…なんだ、その網は」

男「ああ、これですか」ドサッ

ビチビチッ

神娘「魚ではないか」

男「あの後川に皆で行き、釣りをしたのです」

神娘「本当に行ったのか」

男「なかなか大漁でございました」

神娘「それを持ってくるのはいいが、まだ活き活きしておるぞ」

男「はい。多少困るほどに」

神娘「これを食えというのか?」

男「まさか。ただ見せに来ただけです」

神娘「」

男「いやあ、いっぱい獲れました。ありがたい事です」

神娘「」

男「…冗談です。ちゃんと焼いてきましたのがこちらに」

神娘「べ、別に期待などしとらんわ!」

男「若干涙目ですが」

神娘「うるさいうるさいっ!」
22: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:43 ID:L58MV1qlVg
神娘「…まっはふ、はみをはははうほははんとはひははひな」モグモグ

男「???」

神娘「…」ゴクンッ

神娘「…まったく、神をからかうとはなんと罰当たりなと言った」

男「そうでしたか」

男「まあ、そう言いながら結局食べているんですけどね」

神娘「文句あるのか?」ギロッ

男「いえ」

神娘「わはひがほほろのひほいはみでほはっはな」モグモグ

神娘「もっほわはひをおほれふがひい」モグモグ

男「あの、喋るか食べるかどっちかにしてくれませんかね」





※「私が心の広い神で良かったな」「もっと私を畏れるがいい」
23: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:10 ID:L58MV1qlVg
神娘「…陽気だ。とても穏やかな」

神娘「うむ…どうも眠くなる……ぞ…」コクンコクン

神娘「……」zzz

…………
………
……

『神様〜!今年も良き米が採れましてございます!』

「おお、そうか」

『これも全て神様のおかげでございますな!』

「何を言う。お前たちの努力が全てだ」

『これからもこの村を守ってくだされ!』

『神様!』

『神様!』

「わはは、任せておくがよいぞ!」



「…生きるために頑張る人間の姿は好きだ」

「これからも、この村で共に…」

……
………
…………

神娘「……っ!」ハッ

神娘「…いかん、うとうとしていた。しかし…」

神娘(懐かしい夢を見たな。ふん、何を今さら…)

男「…神様」

神娘「わあっ!?」ビクッ
24: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:36 ID:L58MV1qlVg
神娘「い、いたのかお前…」

男「眠っておいででしたか」

神娘「少しだけな」

神娘「…というより何で勝手に入ってきているのだ。今さらだが」

男「そろそろ慣れてくださいよ」

神娘「馬鹿者。そもそも立ち入りを許可しておらぬ」

男「まあまあ。それより、何か良い夢でも?」

神娘「へっ?」

男「神様、眠りながら少し笑っておりました」

神娘「…」

男「そういえば神様が笑っておられるところは初めて見ました」

神娘「…お前には関わりない事だ」

男「そう言うと思いました。でも、そのお顔が見れただけで少し嬉しいです」

神娘「な、何を言っておる」

男「いえいえ。こちらの話です」

神娘「仕返しのつもりか?」

男「滅相もない」

神娘(また何か企んでるのか?こやつ…)
25: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:04:56 ID:L58MV1qlVg
男「神様!」ザッ

神娘「おう、よく来たな!」ニコーッ

男「…えっ」

神娘「待ち侘びておったぞ。さあ、そこに座れ」ニコニコ

男「あの、神様…」

神娘「ん?」ニコニコ

男「どうしたのですか。またお加減でも…」

神娘「…大事ない。たまには趣向を違えて歓迎してみたのだ」フウ

男「何故そのような事を…」

神娘「逆に気味悪がって寄り付かなくなるかと思って」

男「それなら何故あっさり白状してしまったのですか…」

神娘「自分で自分に耐え切れなくなった」

男「左様ですか」

神娘「押して駄目なら引いてみる手筈だったのだが」

男「たしかに何だか気持ち悪うございました」

神娘「…狙い通りなのだがもう少し歯に衣着せよ」

男「ですが、そのくらいでは来なくなりません」

神娘「」
26: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:06:45 ID:L58MV1qlVg
男「はあ、はあ…」ザッ

神娘「…なんだそれは」

男「…ふう」ドサッ

男「ああ、重たかった…先ほど狩った猪でございます」

神娘「ほう、なかなかに大きいな」

男「苦労致しました」

神娘「…まさか、お前一人で狩ったのか?」

男「そうでなければ村に持って帰らなければならないでしょう」

神娘「それはそうだろうが…」

神娘(何者なのだ?こやつ…)

男「どうぞ、お召し上がりください」

神娘「あのな、それをそのまま持ってきて私にどうせよと言うのだ」

男「え?食べていただきたく思います」

神娘「そのまま食えというのか!?」

男「神様ならきっとできるかと思いまして」

神娘「…むむ」

男「できないのですか…そうですか」シュン

神娘「なに?私が悪いのか?」
27: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:25 ID:L58MV1qlVg
パチパチ…

神娘「まさかここで火を焚くとは思わなかったぞ」

男「風通しは良い洞窟ですから。煙も籠りませんし」

神娘「まあ実は生肉で食えない事もないのだがな」

男「そうなのですか?」

神娘「神だからな」

男「納得しました」

神娘「しかし焼いた方が美味いのは間違いない」

男「まったくです」

神娘「山の恵みには感謝せねばな」

男「はい、焼けました」スッ

神娘「うむ」スッ

はむっ

神娘「……」モグモグ

男「…」ジーッ

神娘「…何を見ておる」

男「いえ」

神娘「おかしな奴だ」モグモグ
28: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:58 ID:L58MV1qlVg
神娘「……」モグモグ

男「……」モグモグ

神娘「…おい」

男「はい」

神娘「何故お前も普通に食べているのだ」

男「お腹が空いてございます故」

神娘「本能に忠実か!」

男「猪など滅多に狩れませんから」

神娘「これ、私への供え物だろう」

男「そうです」

神娘「お前が今やっているのは罰当たりな事ではないか」

男「しかし神様一人でこれ全て召し上がれるとは思えません」

神娘「う、うむ…」

男「この時期、肉などすぐに腐ってしまいますからね」

男「ここで食べてしまう方が得策でしょう」

神娘「正論なのだが釈然とせぬな」

男「ご安心を。普段は節度を守り、道端の地蔵に供えられた饅頭などにも手を付けません」

神娘「今のお前はそれとほぼ同義だと言っているのだが」
29: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:08:36 ID:L58MV1qlVg
男「…」モグモグ

神娘「…なあ」

男「はい」

神娘「正直に言え。何か企んでおるのか?」

男「?」

神娘「よく考えればおかしいぞ。何の目的もなくここに来るなど…」

男「目的ならありますよ。神様にこうして美味しいものを食べていただき、早く元気になっていただきたいのです」

神娘「何故お前が私の世話を焼くのだ」

男「…責任を感じております」

神娘「責任?」

男「あの時倒れたのは、神様がそのお力を使ったからでしょう?」

男「私が素直に神様の言う事を信じていれば、ああはならなかった筈です」

神娘「……」

男「だから、こうしているのは一種の罪滅ぼしなのです」

男「もし神様に何かあれば目覚めが悪いですから」

神娘「…本当にそんな理由か?」

男「それだけです」

神娘「馬鹿馬鹿しい。私の調子が悪いのはあれが原因ではない」

神娘「よってお前に責任などない。分かったか」

男「そうですか…しかし、調子が悪いのは確かなのですね」

神娘「あっ…」

男「ならば、私は神様を放っておくことはできません」ニコッ

神娘「もうやだこの人間」
30: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:09:12 ID:L58MV1qlVg
男「…あの、神様」

神娘「む?」

男「今度は神様の事を少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」

神娘「……」モグモグ

神娘「ふぅ、食った食った」ポンポン

男「……」

神娘「…何故聞きたがる。お前に利は無いぞ?」

男「利など要りませんが」

神娘「では何なのだ?」

男「ただの興味本意です」

神娘「…」

神娘「お前は馬鹿なのか何なのか分からん」

男「馬鹿でも何でもいいです」

神娘「分かったよ。美味い肉の礼だ」

男「おお、ありがたや」

神娘「とは言っても、何から話せばいいものか…」
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