ーむか〜しむかし、とある場所で
10: 名無しさん@読者の声:2015/12/10(木) 15:27:39 ID:P/e0w/9NA6
しえん
11: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:02:32 ID:ORtSgFaG7A
男「では村の者たちと行って参ります」
神娘「そうしろ」
男「神様は置いていきますからね」
神娘「放っておいてくれ」
男「本当によろしいのですか?」
神娘「しつこい」
男「後悔しませんね?」
神娘「さっさと出ていけっ!」ドカーン!
男「う〜ん、残念だなあ」スタコラ
神娘「ついでに二度と来るなぁ!」
神娘「…まったく、残念って何がだ」
神娘「どうにも調子が狂う。やはり人間と関わって良い事などない」
神娘「…そもそも、あの時に上手くあいつを追い払えていれば…」
神娘「そうすれば、今も平穏に過ごせていただろうに」
12: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:03:07 ID:ORtSgFaG7A
ーー回 想ーー
チリーン…
神娘「…しかしこれは本当に何なのだろうな」
神娘「ああ、暇だ。今日はどうしようか…」チリンチリン
「…ん?今、奥から鈴の音が…」
ザッザッ
神娘「むっ!」ピクッ
神娘(しまった、誰かいたのか…?)
男「うわ、なんとも薄暗い洞窟だなあ…ん?」
神娘「!」
男「!」
神娘「やはり人間…っ!」バッ
男「君は誰だ?」
神娘「去れっ!」
男「へっ?」
神娘「人間など嫌いだ!顔も見とうない!」
男「何を言っているの。君も人間だろう」
神娘「私は人間などではない。神だ」
男「はい?」
13: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:00 ID:ORtSgFaG7A
神娘「お前、難聴か?もう一度言う、私は神だ」
男「そういうのいいからさ、どこから来たの?君…」
神娘「君とはなんだ。人間ごときが失敬だぞ」
男「はいはい。どこかの村から出てきたの?」
神娘「だから、私は…」
男「こんな所に一人でいては野犬に襲われるよ」
神娘「…落ち着いて聞け、人間。私は八百万の神。今はここに腰を落ち着けているのだ」
男「……」
神娘「私はお前たち人間は嫌いだ。ここに立ち入る事を許さぬ。今すぐここを出ていけ」
男「またまた。何の事情があるかは知らないが、そんな見え透いた嘘を吐くなって」
神娘「は?」
男「私はこの山の麓の村に住んでいる。行くあてがないなら一緒に来ないか?」
神娘「人間の村に!?冗談ではない!」
男「なんだ、まったく我儘だなあ」
神娘「いいから放っておいてくれ。人間の世話になどならん」
男「放っとけないよ。後から君の屍が見つかったりしたら後味が悪い」
神娘「ぐぬぬ…」イライラ
14: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:04:37 ID:ORtSgFaG7A
神娘「…信じぬというのだな?私が神であるという事を」
男「うん」
神娘「即答とは良い度胸だ。ならば見せてやろう。神のみが使える術、神技をな」パンッ
男「えっ」
神娘「…んんっ」ググッ
男「なんだ、周りの石が浮いてる…!?」オロオロ
神娘(ふふ、この石をぶつけて追い払ってくれる)ニヤリ
神娘「さあて…その身をもって味わうがいい」ゴゴゴ
神娘「私を信じず、あまつさえ無礼千万働いた天罰を!」ヒュッ
ヒュヒュヒュンッ!!
男「あわわ…っ!」
神娘(さあ、これで…)
ドクンッ!
神娘「!?」フラッ
神娘(しまっ……まだ駄目であったか…っ!)
ドサッ
男「あっ…」
神娘(く…っ、意識…が……)
神娘「……」
15: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:10 ID:ORtSgFaG7A
神娘「………」
神娘「……う…ううっ…」
神娘「ん…」ムクッ
神娘(…誰もいない。さすがにあの人間も去ったか)
神娘(それにしても、あの程度の神技でも体に支障をきたすとは…)
神娘(まだまだ当分、ここにいなくてはならんな)
神娘(…あ、まずい。あの人間、麓の村の人間だと言っていた)
神娘(きっとここの事を村の仲間にも話すに違いない)
神娘(そうすれば、また他の人間どもがここに来るかもしれん)ゾッ
神娘(急いでここから移動せねば…!)スクッ
フラッ
神娘「っ!」ドサッ
神娘「うう…」
神娘(か、体が言う事を聞かん…)
神娘(くうぅ…情けない、情けない…)グスッ
「だ、大丈夫…ですか?」
神娘「ん?」
グイッ
神娘「おっとっと」
16: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:05:33 ID:ORtSgFaG7A
男「……」
神娘「お、お前っ!何故ここに!?」アセッ
男「目の前で急に倒れたので村に気付け薬を取りに行ってたんですよ」
神娘「人間の薬など私には効かぬ」
男「そうですか…あ、それよりも」スッ
神娘「?」
男「神様、先ほどは大変な失礼を致しました」ガバッ
神娘「お、おう?」
男「どうかお許しください」
神娘「なんだ、どうして急に信じる気になった」
男「あの術はとても人の為せる技とは思えません」
神娘「…まあ、信じてもらえたなら何よりというもの」
男「しかし、どうして倒れたりなど…」
神娘「お前には関係のない事だ。心配はいらん」
男「…それなら良かったです」
神娘「とにかく、お前に言いたい事はただ一つ」
男「はい」
神娘「ここから出ていけ。今すぐに」
男「えっ」
17: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:06:57 ID:ORtSgFaG7A
神娘「最初に言ったな?私は人間が嫌いだ」
男「……」
神娘「すぐに出ていき、ここへは二度と近寄るでない」
男「……」
神娘「あと、お前の村の者たちにも決してここの事を話すな」
神娘「もし禁を破れば…今度こそ天罰を下す」
男「…分かりました。ここの事は誰にも言いません」
神娘「よろしい」
男「ですが神様、私は困っている者を放っておけない性格でして」
神娘「…は?」
男「先ほどの様子を見るに、神様は弱っておいでの様子」
男「せめて、神様のお加減が良くなるまで時折様子を見に参ります」
神娘「いらん。弱ってなどおらん」
男「顔色が悪うございますが」
神娘「…も、元々だ」
男「またまた。何か食べ物でも持って参りましょう」
神娘「いらぬと言うておろうが!」
男「ではまた来ますね」
神娘「お前、本当にどうかしているんじゃないのか!?」
ーー回想終了ーー
18: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:08:52 ID:ORtSgFaG7A
神娘(…というような訳の分からぬやりとりがあったが)
神娘(結局、それからあの人間がここに通うようになった)
神娘(他の者を連れてこない所を見ると、本当に誰にも口外していないようだが)
神娘(やれ何が狩れただの、やれ何が採れただの…)
神娘(うっとおしくて敵わん)
神娘(あの時倒れるような事が無ければ…)
神娘(力が戻れば、今度は岩でもぶつけてくれようか)
神娘(力が戻れば…な)
神娘(……)
19: ◆WjgYlacz.c:2015/12/11(金) 22:10:14 ID:ORtSgFaG7A
>>10
支援ありがとうございます。
昔話の雰囲気でのんびりやっていきたいと思います。
20: 名無しさん@読者の声:2015/12/17(木) 23:47:44 ID:k3dbX4oWXs
つ紫煙
やりとりかわいい
21: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:19 ID:L58MV1qlVg
男「神様、失礼しますよ」
神娘「…なんだ、その網は」
男「ああ、これですか」ドサッ
ビチビチッ
神娘「魚ではないか」
男「あの後川に皆で行き、釣りをしたのです」
神娘「本当に行ったのか」
男「なかなか大漁でございました」
神娘「それを持ってくるのはいいが、まだ活き活きしておるぞ」
男「はい。多少困るほどに」
神娘「これを食えというのか?」
男「まさか。ただ見せに来ただけです」
神娘「」
男「いやあ、いっぱい獲れました。ありがたい事です」
神娘「」
男「…冗談です。ちゃんと焼いてきましたのがこちらに」
神娘「べ、別に期待などしとらんわ!」
男「若干涙目ですが」
神娘「うるさいうるさいっ!」
22: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:43 ID:L58MV1qlVg
神娘「…まっはふ、はみをはははうほははんとはひははひな」モグモグ
男「???」
神娘「…」ゴクンッ
神娘「…まったく、神をからかうとはなんと罰当たりなと言った」
男「そうでしたか」
男「まあ、そう言いながら結局食べているんですけどね」
神娘「文句あるのか?」ギロッ
男「いえ」
神娘「わはひがほほろのひほいはみでほはっはな」モグモグ
神娘「もっほわはひをおほれふがひい」モグモグ
男「あの、喋るか食べるかどっちかにしてくれませんかね」
※「私が心の広い神で良かったな」「もっと私を畏れるがいい」
23: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:10 ID:L58MV1qlVg
神娘「…陽気だ。とても穏やかな」
神娘「うむ…どうも眠くなる……ぞ…」コクンコクン
神娘「……」zzz
…………
………
……
『神様〜!今年も良き米が採れましてございます!』
「おお、そうか」
『これも全て神様のおかげでございますな!』
「何を言う。お前たちの努力が全てだ」
『これからもこの村を守ってくだされ!』
『神様!』
『神様!』
「わはは、任せておくがよいぞ!」
「…生きるために頑張る人間の姿は好きだ」
「これからも、この村で共に…」
……
………
…………
神娘「……っ!」ハッ
神娘「…いかん、うとうとしていた。しかし…」
神娘(懐かしい夢を見たな。ふん、何を今さら…)
男「…神様」
神娘「わあっ!?」ビクッ
24: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:36 ID:L58MV1qlVg
神娘「い、いたのかお前…」
男「眠っておいででしたか」
神娘「少しだけな」
神娘「…というより何で勝手に入ってきているのだ。今さらだが」
男「そろそろ慣れてくださいよ」
神娘「馬鹿者。そもそも立ち入りを許可しておらぬ」
男「まあまあ。それより、何か良い夢でも?」
神娘「へっ?」
男「神様、眠りながら少し笑っておりました」
神娘「…」
男「そういえば神様が笑っておられるところは初めて見ました」
神娘「…お前には関わりない事だ」
男「そう言うと思いました。でも、そのお顔が見れただけで少し嬉しいです」
神娘「な、何を言っておる」
男「いえいえ。こちらの話です」
神娘「仕返しのつもりか?」
男「滅相もない」
神娘(また何か企んでるのか?こやつ…)
25: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:04:56 ID:L58MV1qlVg
男「神様!」ザッ
神娘「おう、よく来たな!」ニコーッ
男「…えっ」
神娘「待ち侘びておったぞ。さあ、そこに座れ」ニコニコ
男「あの、神様…」
神娘「ん?」ニコニコ
男「どうしたのですか。またお加減でも…」
神娘「…大事ない。たまには趣向を違えて歓迎してみたのだ」フウ
男「何故そのような事を…」
神娘「逆に気味悪がって寄り付かなくなるかと思って」
男「それなら何故あっさり白状してしまったのですか…」
神娘「自分で自分に耐え切れなくなった」
男「左様ですか」
神娘「押して駄目なら引いてみる手筈だったのだが」
男「たしかに何だか気持ち悪うございました」
神娘「…狙い通りなのだがもう少し歯に衣着せよ」
男「ですが、そのくらいでは来なくなりません」
神娘「」
26: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:06:45 ID:L58MV1qlVg
男「はあ、はあ…」ザッ
神娘「…なんだそれは」
男「…ふう」ドサッ
男「ああ、重たかった…先ほど狩った猪でございます」
神娘「ほう、なかなかに大きいな」
男「苦労致しました」
神娘「…まさか、お前一人で狩ったのか?」
男「そうでなければ村に持って帰らなければならないでしょう」
神娘「それはそうだろうが…」
神娘(何者なのだ?こやつ…)
男「どうぞ、お召し上がりください」
神娘「あのな、それをそのまま持ってきて私にどうせよと言うのだ」
男「え?食べていただきたく思います」
神娘「そのまま食えというのか!?」
男「神様ならきっとできるかと思いまして」
神娘「…むむ」
男「できないのですか…そうですか」シュン
神娘「なに?私が悪いのか?」
27: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:25 ID:L58MV1qlVg
パチパチ…
神娘「まさかここで火を焚くとは思わなかったぞ」
男「風通しは良い洞窟ですから。煙も籠りませんし」
神娘「まあ実は生肉で食えない事もないのだがな」
男「そうなのですか?」
神娘「神だからな」
男「納得しました」
神娘「しかし焼いた方が美味いのは間違いない」
男「まったくです」
神娘「山の恵みには感謝せねばな」
男「はい、焼けました」スッ
神娘「うむ」スッ
はむっ
神娘「……」モグモグ
男「…」ジーッ
神娘「…何を見ておる」
男「いえ」
神娘「おかしな奴だ」モグモグ
28: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:58 ID:L58MV1qlVg
神娘「……」モグモグ
男「……」モグモグ
神娘「…おい」
男「はい」
神娘「何故お前も普通に食べているのだ」
男「お腹が空いてございます故」
神娘「本能に忠実か!」
男「猪など滅多に狩れませんから」
神娘「これ、私への供え物だろう」
男「そうです」
神娘「お前が今やっているのは罰当たりな事ではないか」
男「しかし神様一人でこれ全て召し上がれるとは思えません」
神娘「う、うむ…」
男「この時期、肉などすぐに腐ってしまいますからね」
男「ここで食べてしまう方が得策でしょう」
神娘「正論なのだが釈然とせぬな」
男「ご安心を。普段は節度を守り、道端の地蔵に供えられた饅頭などにも手を付けません」
神娘「今のお前はそれとほぼ同義だと言っているのだが」
29: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:08:36 ID:L58MV1qlVg
男「…」モグモグ
神娘「…なあ」
男「はい」
神娘「正直に言え。何か企んでおるのか?」
男「?」
神娘「よく考えればおかしいぞ。何の目的もなくここに来るなど…」
男「目的ならありますよ。神様にこうして美味しいものを食べていただき、早く元気になっていただきたいのです」
神娘「何故お前が私の世話を焼くのだ」
男「…責任を感じております」
神娘「責任?」
男「あの時倒れたのは、神様がそのお力を使ったからでしょう?」
男「私が素直に神様の言う事を信じていれば、ああはならなかった筈です」
神娘「……」
男「だから、こうしているのは一種の罪滅ぼしなのです」
男「もし神様に何かあれば目覚めが悪いですから」
神娘「…本当にそんな理由か?」
男「それだけです」
神娘「馬鹿馬鹿しい。私の調子が悪いのはあれが原因ではない」
神娘「よってお前に責任などない。分かったか」
男「そうですか…しかし、調子が悪いのは確かなのですね」
神娘「あっ…」
男「ならば、私は神様を放っておくことはできません」ニコッ
神娘「もうやだこの人間」
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