http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
887: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:37:45 ID:AAS5HN/OAk
カロル「(なにがなんだかわからないよ……)」ボーッ
カロル「(ボクはなんで……ここにいるんだろう)」グワングワン
カロル「(差別がなくなって…仲直りして……お母さまとみんな……しあわせ、だったのに)」
カロル「(宣教師さまが起きない…ヒメくんも団長さん、ケガしてた)」
カロル「(ラムくん、どこ…?ルーボイくんは…なにしてるんだろう……)」
カロル「(ナラ、元気かな…ミシングさんも二人もお母さまと待ってくれてるかな……)」
カロル「(パッチくんに…また、会いたいなぁ)」
カロル「(どうして…どうしてボクは大切なともだちと…一緒にいられない、の)」
カロル「(もう…ひとりぼっちはいやだ……)」フッ
888: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:39:35 ID:AAS5HN/OAk
ファルージャ「フン……事切れたか」スッ
ファルージャ「あっけないものじゃ」
ドシャッ
団長「」ダラァァン
ラム「」グチャッ
ファルージャ「……」チラッ
魔導師「んふふ…終わったよ、女王」
フィクサー「ザイギョウのヂガラ…!!わだしごそザイギョウ…!!」フシューフシュー
ファルージャ「フフン……」
魔導師「安心しておくれ。残りの敵もまとめて片付けてあげるから」ニィィッ
フィクサー「グフ…ヴハハハハハ!!!」ゲラゲラ
ファルージャ「そなたらに問う」
魔導師「?」
ファルージャ「この世で最も美しいのは誰じゃ?」
魔導師「…聞くまでもないよ」ニィィッ
フィクサー「ぎみごそが…ウヅクシイ」フシューフシュー
ファルージャ「…誉めて遣わす」ニタァァァ
魔導師「はっ…」ザッ
フィクサー「ハハァッ!!」ザッ
ファルージャ「フン……素直に我が美を崇めておればよかったものを」チラッ
宣教師「」ドクドク
ファルージャ「口ほどにもなく……」
カロル「」ダラァァン
ファルージャ「憐れむ価値さえない……」
ファルージャ「馬鹿は死ななければ治らぬ、か」クスッ
889: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:44:03 ID:Rbp1gb8IvI
―――王国・辺境地(ミラルドの町)―――
ルーボイ「はぁ〜…今日もつまんなかったなぁ。学習院なんか行きたくねーっつの」スタスタ
ナラ「せっかくミシングさんたちがかよわせてくれてるのに、もんくいっちゃダメだよ」
ルーボイ「そんなことしてる場合かよ…」ケッ
ナラ「……」
ルーボイ「あいつらが帰ってこねーのに……宣教師さまだって何してっか分かんねーし」
ナラ「まつしかないよ…」
ルーボイ「もうどんだけ経ってんだよ。ナラは心配じゃねーのかよ?」
ナラ「しんぱいだよ。しんぱいだけど…」
ルーボイ「いつまで待てばいいんだよ」
ナラ「わたしにきかれたって…」
ルーボイ「…俺はもう待ちたくねぇ」
ナラ「じゃあどうするの?わたしたちになにができるの?」
ルーボイ「なんにもできねーよ…」
ナラ「…ならやめてよ。そういうの」
ルーボイ「けっ…」
890: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:46:35 ID:Rbp1gb8IvI
ルーボイ「昔、俺の親友がいなくなった時もよ」
ナラ「……?」
ルーボイ「こうやってヤキモキしてばっかだった」
ナラ「……」
ルーボイ「大きくなっても変わんねぇな。ダチの一人も助けてやれねぇ」
ナラ「かえってこないっておもうなら、まっててもしょうがないよ」
ルーボイ「はぁ…!?べ、別にそういうことじゃねーし!」
ナラ「ならまとうよ…かえってくるって、しんじて」ニコッ
ルーボイ「っ…分かってるっつの!ちょっと言ってみただけだろ!」
ナラ「そう…」ニコニコ
ルーボイ「はぁ…ま、そうだな!俺がくよくよしてたらダメだよな」
ナラ「うん…」ニコニコ
ルーボイ「…あいつら帰ってきたらビックリさせてやっか!俺のが勉強出来んぞってな!」ニカッ
ナラ「そうだよ。ビックリさせよ?」ニコニコ
ルーボイ「おう!そうと決まったら復習だ!早く行こうぜ!」ダッ
ナラ「もう!せっかちなんだから」ダッ
タタタタッ………
891: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:48:28 ID:Rbp1gb8IvI
―――ミラルドの町(孤児院)―――
孤児1「ねーママ!ぼくの宝物あげるね」スッ
母「まぁドングリ?宝物なのにもらっていいの?」ニコッ
孤児1「うんー!」ニパッ
母「ありがとう。大切にするわね!」ナデナデ
孤児1「えへへー」テレテレ
母「うふふ……」ニコニコ
パキッ
母「あら……」ハッ
孤児1「どーしたの?」
母「ううん、なんでもないのよ」ニコニコ
孤児1「ふーん、あそんでこよーっと」タタタッ
母「いってらっしゃい」ニコニコ
ガチャッ バタンッ
母「……」ジッ
母「(ひとりでに殻が割れた……)」コロッ
母「(……)」ギュッ
母「…大丈夫。なにも心配してないわ」
母「(あの子はいつでも笑顔で戻ってきてくれた。あたしを悲しませないでくれた…だから大丈夫)」
母「そろそろ暖炉が恋しい季節ね…。薪を買ってこなくちゃ」スクッ
892: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:50:02 ID:gTRPXbGnWE
―――大聖堂―――
司教「司祭様はまだ戻られんのか…」
教徒「しばらくの間、活動を離れると言い残してから未だ姿を見せないままですね…」
修道女「司祭様、どうしちゃったんだろう…」
司教「またも戦争の兆しが浮き上がり、国内もばたついているというのに…」
教徒「教団の方でも民衆に冷静を保つよう働きかけてますが、なかなか収まりませんもんね」
修道女「ここにも戦争反対を訴える人たちが連日やってきてごった返すし…」
司教「うーむ、一刻も早く司祭様に戻っていたたかねば……」
ミシング「どーもー!遅くなってすみませーん!もうすんごい賑わいで!」スタスタ
司教「おぉ、ミシング殿!ようこそおいでくださった!」
ミシング「もー司教のおじさんったら!そんな堅苦しくしなくても呼び捨てでいいのに?」
司教「いやいや、そうもいきませぬよ。ミシング殿は司祭様と共に国の窮地を救われた功労者の一人ですからな」
ミシング「だーかーら!あたしはなんにもしてませんってば!ただあそこにいただけです!」
893: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:51:31 ID:gTRPXbGnWE
教徒「お久しぶりです!」
ミシング「およ?教徒くんじゃん!おっきくなったねー」
教徒「ミシングさんもお元気そうで?」
ミシング「にしし!それだけが取り柄だもんねー!」
教徒「ははは、またまた」
ミシング「あ、そっちのお嬢さんは?」
修道女「は、はじめまして!私は修道女です!以後お見知りおきください!」ペコッ
ミシング「あはは!緊張しすぎ。あたしなんか偉くもないんだから気楽にしていいんだよ?」ポンポン
修道女「す、すみません。司祭様のご友人と伺っていたので」
ミシング「ま、付き合いはそこそこ長いかも。よく叱られちゃうけどね」テヘペロ
修道女「ふふ…」クスッ
教徒「お、おい!笑ったら失礼だろ」アセアセ
修道女「あ、ごめんなさい!」ハッ
ミシング「いーのいーの!人生笑ってなんぼ!せっかく生きてるのに楽しまなきゃ損じゃん?」
教徒「み、ミシングさんがそうおっしゃるなら…」
修道女「なんだか思ってたより、ずっと親しみやすい人だね」コショコショ
教徒「だからそーゆーこと言うなって…」コショコショ
ミシング「」ジーッ
修道女&教徒「?」キョトン
ミシング「なんか耳打ちしあってるけど…もしかして二人はそういう感じなのかにゃ?」ニヤッ
修道女「えぇっ!?」ボンッ
教徒「ち、違いますよ!」アセアセ
894: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:53:39 ID:Rbp1gb8IvI
ミシング「ひゅー!見せつけちゃってぇこのこのぅ!」ニヤニヤ
教徒「か、からかわないでください!」カァァ
修道女「そうですよ!そういうんじゃないですから!」カァァ
ミシング「怪しいにゃー?」ニヤニヤ
司教「おほん!ミシング殿、よろしいか?」
ミシング「あ、ごめんなさい!なんでしたっけ?」
司教「司祭様の件なのですが…」
ミシング「あーそれでしたら前に話した通りですよ!もう少し待っててください」
司教「せめて詳しい事情だけでもお聞かせ願えないか」
ミシング「んー…そう言われてもあたしもよく知りませんし」
司教「それではこちらが困るのです。司祭様の導きなく不用意に動く訳には…」
ギャーギャー ギャーギャー
ミシング「ほよ?」
教徒「また反対運動か、僕達に頼っても仕方ないのに…」
修道女「再び戦争を決断された国王様は城に籠ってますし、役人の方々は各地を沈静化なされようと尽力してて…私達にできることなんてあるのかな」
司教「ご覧の通りでしてな。我々も頭を悩ませるばかりです…」
ミシング「ほほーん!ちょっといいこと思い付いちゃったかも」ニシシ
司教「は…?」
ミシング「皆さんにも協力してほしいんですけどいいですかー?」
司教「それは構いませぬが…」
教徒「僕達にできることならなんでもします!」
修道女「でもいったい何を?」
ミシング「んーとね、愉快なこと!」
司教&教徒&修道女「???」
895: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:18:19 ID:4a/V8q7lfc
―――王都(議場)―――
政務官「陛下不在の中、諸君の働きは実に懸命であると言えるだろう。
まだまだ改善の余地は多分に見られるがひとまずは良い結果が出せた」
ネバル「いやいやそんな」テレテレ
政務官「お前はまだ畜産業の再生計画を練り直してる最中だろうが!いい加減にまとめ案を提出しろ!何度言わせる気だ!?」
ネバル「ひっ…現地の皆さんとよく話し合って農耕地分配の段取りは固めましたです…!」
政務官「ふん…そちらは概ね好調か。再来年には市場まで持ち込めるんだろうな?」
ネバル「え、いやそれは実際に取り組んで土の質や出来栄えを見ない限りは…」
政務官「見込みはあるのか伺っているんだ。事前調査はしてあるんだろう」
ネバル「も、もちろんです。夏と冬さえ持ち越せば果物類から順々に!」
政務官「よろしい。引き続き農耕促進に励め。気を抜くなよ!」
ネバル「は、はいです…」
ネバル「(なんでオラばっかし怒られるですか…)」ズーン
896: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:20:40 ID:4a/V8q7lfc
政務官「さて、ここで諸君に一つ伝えねばならぬ事がある」
ザワッ
政務官「各地で頻発していた民衆による反対運動だが…非常にまずい状態だ」
シーン
政務官「既に耳には入っているかもしれないが先日、城の警備に当たっていた衛兵が襲撃に遭い、数名が重体に陥った」
ネバル「やっぱり混乱は解けないですか…」
政務官「一部の話ではない。城下の住民は危機的状況に我を失い、城そのものを襲撃しようという声も出ている」
高官1「ダィール子爵、ソメリア卿、ロードホズ軍長が先頭に立って民衆を煽り、反乱者の支持を得ようとする動きが見られます」
高官2「このままでは陛下の帰還を待たずして内乱が勃発する可能性も大いにありうる!」
高官3「もとより貴族はあらゆる制限を課され、現在の体制に不満を抱いている。これを機に……ということは十分考えられますぞ」
高官4「こうしてはいられませんな。我々もすぐさま兵を……」
政務官「逸るな。我々が挙兵など企てればあちらに大義を持たせてしまう。事態が泥沼化するだけだ」
高官1「しかし早々に手を打たねば…!」
政務官「焦ってはいけない。我々までもが取り乱しては誰が城を守れる?」
高官1「それはそうでしょうが……」
政務官「まずは民衆の不安を取り除くのが先決だ。その為には教団の協力が不可欠になるだろう」
高官2「ですが司祭も陛下に伴って不在にしておりますぞ!」
政務官「問題ない。治安維持を任せるに値する適任者が名乗り出てくれた」
高官2「ほう!いったい誰が!?」
政務官「司祭の孤児院を預かるミシング院長だ」
ザワザワ ザワザワ
897: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:24:54 ID:4a/V8q7lfc
政務官「彼女は司祭から全幅の信頼を置かれる優れた指導者だ。
陰ながら教団の活動を支えてきた功労者としても名高い」
高官3「ミシング……聞いたこともございませんな」
ネバル「おいら一回会ったことあるです!すごい陽気で愉快な人だったですよ!」
高官3「おほん!陽気で愉快はさておき…本当に任せられるのでしょうな」
政務官「あぁ、教団内の意見も彼女が司祭代理を務める方向で合致している」
高官3「…かしこまりました。そうまでおっしゃるなら手並みの程を拝見させていただこう」
898: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:26:29 ID:4a/V8q7lfc
ネバル「でもそれだけで治まるですか?」
高官1「ふむ、民衆の理解を求めるのも然り。貴族の方々との接触が必要でしょうな」
高官2「ならば由緒ある血筋に掛け合ってみるのがよろしいかと」
高官3「だがダィール子爵も名家ハリアンス家の血族、ソメリア卿もまた名の知れた大御所です。その手の繋がりとなれば我々では及びますまい」
高官4「と、すれば買収か」
政務官「そのような無駄金にはたく予算はない」
高官4「は…?」
政務官「貴族との交渉はひとまず後回しでいい」
高官1「それはつまり…?」
政務官「民衆の信用を取り戻しさえすればダィール共は丸裸だ。今の内に好き勝手喋らせてやろう」
ネバル「???」
政務官「支持を得ていようと所詮は貴族、真に民の心など理解出来ていない」
政務官「勢い付いている今だからこそ付け入る隙が生まれるだろう」
政務官「それらの失言や過激な暴言を徹底的に記録し、いつでも追及出来るよう手元に置くのだ」
高官1「なるほど!うまくいけば自然に決着させられますな!」
高官2「結局は民衆の心を傾けた方に軍配が上がる訳ですか」
ネバル「おいらがやらしてもらった選挙とそっくりです!」
高官3「もし成功すれば貴族側は失墜し、発言力を失う…。だが敗れれば今後、貴族による政への介入を許してしまう…か」
高官4「そうなれば、またも王族と貴族に別れ、対立は激を増すことになりそうですねぇ」
政務官「それだけに失敗は断じて許されん。心して掛かれ」
高官's「ははぁっ!!」
政務官「(…まずは教団の出方次第だ。ここで一人でも多くの民を王国側に寄せてもらわなければな)」
899: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:28:48 ID:4a/V8q7lfc
―――城下町―――
ワイワイガヤガヤ
修道女「はーい、ただいま混み合っております!列を乱さず順番にお並びくださーい」スッ
教徒「本日限定!青花の刺繍が入った衣服を配布してます!お越しの方は記念にどうぞ!」スッ
ゾロゾロ ゾロゾロ
ミシング「んー!やったね!大盛況!」
司教「ふむ、慰霊碑への参拝とは考えましたな」
ミシング「結局のとこ、みんなの不安はそこですからね。平和的に戦争を否定するには他にないかなーって」
司教「素晴らしい機転かと。おかげで過激思想を巡らせる者も減ったようで」
ミシング「それもですけど…未だに遺族の人たちは色々受け入れられない部分があるだろうから、ちゃんとお別れの日を決めておいた方がいいと思うんです」
司教「…そうですな。たとえ傷は癒えずとも、こうした行事があれば多少は割りきれる」
ミシング「そうしたからって何も変わらないけど気の持ちようですからね」
司教「ですがこれで民衆の不満は軽減し、教団の意向を示せましょう。それだけで大きな意味がある」
ミシング「…戦うか戦わないかで争うなんてバカみたいですもん。平和を望むなら、そういうやり方をしなきゃ」
司教「おっしゃる通り…では私は演説を控えているので」
ミシング「ビシッとお願いしますね!」
司教「私に務まるか不安だが」
ミシング「平気ですって!気持ちを込めて話すだけですから!」
司教「ほほ…なんとかやってみましょう」ニコッ
900: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:36:05 ID:4a/V8q7lfc
司教「今日お集まりの皆様に教団を代表してお伝えしたい事がございます。どうか暫しの間、お付き合い頂けますでしょうか」
パチパチ パチパチ
司教「我々、民の願いは平穏無事に過ごす日々……それは決して破られてはならないものです」
ゾロゾロ ゾロゾロ
司教「しかし現在の方針は如何か。国は我らを戦場へ導こうとなさるおつもりだ」
司教「多くの血を流し、多くの死者を生み、多くの涙が滲んだ……あの悪夢に再び魘されようとしておられる」
ソーダソーダ!ソノトーリ!
司教「これは教団と致しましても由々しき事態と捉え、皆様の後押しもあり、此度は反対運動に力を尽くす運びとなりました」
司教「今こそ真の平穏を勝ち取る時!もはや種族や貧富になど構っておれません!」
司教「この国を愛する民である!!それ以上の絆がございましょうか!?」
オォォォオオオオッ!!!
司教「教団は戦争を許しません!尊き命を授かりし民の血を一滴も流させないと、ここに誓いましょう!!」
ワァァァアアアアアア!!!
901: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:40:00 ID:4a/V8q7lfc
―――城(応接間)―――
政務官「実に見事だった!感謝のしようもない!!」ガバッ
司教「そ、そのような!政務官様に頭を下げられてはかないません!」アセアセ
ミシング「そうですよー!別に大したことしてないですし!」
政務官「いや、十分だ!我々の期待を上回る働きだった!」
ミシング「えーでも皆さんを敵に回すような発言しちゃいましたよ、司教のおじさんが」
司教「わ、私はただミシング殿に言われるまま喋っただけで!」アセアセ
政務官「あれでいい。民衆の心が貴族と役人の対立から外れ、第三の手に渡った事が重要なのだ」
ミシング「そうなんですか?」
政務官「あぁ、おかげで揉める事なく問題が解消された。暫くは国内の乱れも治まりそうだ」
司教「おぉ!それは実に喜ばしい!」
政務官「…然るにこの一件、深い遺恨を残したホビットと人との調和を取りなす意味もあったのだろう?」
ミシング「……見破られちゃいました?」テヘッ
司教「は?そうだったのですか!」
政務官「そこも含めて陛下共々、最も頭を悩ませてきた課題だけにありがたい」
ミシング「和睦は成立しても差別を無くすってとこが難しかったですもんね。
でもこうやって少しずつ一体感を覚えていけば、いつか実を結ぶんじゃないかなと!」
司教「ほほう…そこまで見越しての…!」
ミシング「ま、思いつきなんで…そう上手くいくか分からないですよ」
政務官「そんなことはない。今日という日は王国の平穏に結び付く歴史的日となる」
ミシング「…だといいんですけどね」
政務官「その為にも…一刻も早く西国との戦争を決着させ、陛下に帰還いただかねばな」
司教「帰還…?陛下は城内におられるのでは?」
政務官「……そうだな。言葉を間違えた」
ミシング「……」
司教「……?」
902: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/14(水) 22:06:09 ID:Jfx4ihZFO.
―――東の国(王宮)―――
ミリア「もう一度、読み上げてくださる?」
東の大臣「はっ…!親愛なる盟友、東国のお妃ミリア様へ……」ペラッ
ミリア「…内容のみで結構です」
東の大臣「失礼しました…!」バサッ
ミリア「いえ……」
東の大臣「此度の戦争、盟約を結びし友好国としてまことに遺憾……」
東の大臣「平和協定の名を汚した罪は重く、盟の意に反する争乱を糾弾せねばならない」
東の大臣「同盟国の代表として北国より命ずる。三国連合を破棄し、条約の改正を受け入れよ」
東の大臣「東、南の両国は禁を破りし大罪を認め、自国の保有する財産を以て平和協定加盟国へと賠償すること」
東の大臣「領地の一部を没収とする。両国代表ならびに両国民の権利を一部剥奪する」
東の大臣「軍の解散を命じる。貯蔵する武具の始末を命じる。戦争に関わった兵及び役人の処刑を命じる…」
ミリア「……」
903: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/14(水) 22:08:39 ID:HRmJsGwD6k
東の大臣「くっ……」クシャッ
ミリア「どうぞ読み上げてください…」ニコッ
東の大臣「東国を代表するミリア様の王位を返上せよとのこと……!」ギリッ
東の騎士「実質、追放ではないか…!」
ミリア「そうですか…」
東の大臣「くそっ…!くそっ!!」グシャグシャ
東の騎士「なぜだ!!平和を取り戻すべく死に物狂いで戦った我らがなぜこのような仕打ちを受けねばならぬ!?」ダンッ
ミリア「……」
東の大臣「北国め!さんざん西国の危険を訴えたにも関わらず静観に徹し、よもや味方を背後から刺してきおったわ!!」
東の騎士「奴らはいったい何を見てきたのだ!分からぬ物でもなかろうに……なんたる醜さよ!!」
ミリア「…憤慨なさるお気持ちは重々。ですが落ち着いて」
東の大臣「いいえ落ち着けませぬ!!なぜ落ち着けましょうか!?」
東の騎士「王国も南国も世の秩序を保つ為に血を流したのです!それを奴らは……奴らは裏切りで返したのでござるぞ!?」
ミリア「…分かっています。私も悲しく……怒りさえ覚えました」
東の大臣「……!」
ミリア「しかしこの条件を呑まなければ北国は軍を差し向け、弱りきった我が国を民もろとも容赦なく殺戮するでしょう」
東の騎士「ぐ、グヌゥ…!」ワナワナ
ミリア「これは現実……避けられない運命なのですよ」
「お邪魔するよー!」ザッ
ミリア「……?」
904: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/14(水) 22:10:13 ID:HRmJsGwD6k
ミリア「あ、あなた方は…」
ルイ「ども!」ニカッ
酋長「ふん…無駄に広い場所に住みおって」ジロジロ
東の大臣「な、なぜここに…!?」
東の騎士「里へ帰ったのではなかったのか!?」
酋長「うぬらがいつまでも約束を先延ばしにするから、こうして出向いてやったんだ」
ルイ「お城にはヒメから貰った証書があったから楽に入れちゃったよ!」
東の大臣「あ、あの証書は私がヒメ国王にお譲りした…!?」
東の騎士「か、勝手に渡したのか…!」
ミリア「ヒメくんったら…お茶目さんですのね」クスッ
酋長「ふん…ホビット族の独立を認めん気じゃないだろうな」
ミリア「話は伺っておりますわ。回答を遅らせて申し訳ありません…」
酋長「チッ!とろい…!これだから人間は……」
東の大臣「なっ…!」
東の騎士「聞き捨てならぬぞ!」
酋長「やかましい!」
ルイ「まーまーそう喧嘩腰にならないでよ、お爺ちゃん」
東の大臣「だいたいこちらはそれどころじゃ……」
酋長「それどころだと!?誰のおかげでぬくぬく生き延びてられると思っているんだ!?」イラッ
東の大臣「くっ!」
ルイ「もー…すぐカッカしちゃうんだから」
ミリア「ふふ……」
905: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/14(水) 22:11:49 ID:HRmJsGwD6k
酋長「土地を早く明け渡せ!いつまで待たせるつもりだ!」
ミリア「そうして差し上げたいのは山々なのですが……」
酋長「なにぃ…?」
東の大臣「そうもいかなくなってな…」
東の騎士「う、ぅむ…」モゴモゴ
酋長「…貴様ら、そんな言い分が通用すると思っているのか?」ギロッ
ミリア「……申し訳ありません」キュッ
酋長「ふざけるなぁ!!!」ガァーッ
ルイ「お、お爺ちゃん!」アセアセ
酋長「これは立派な裏切りだ!!儂らだけではない……ホビット族への侮辱としか思えぬわ!?」ビキビキィッ
ルイ「な、なにか事情があるんだよ!話だけでも……」
酋長「話す余地などない!!こいつらなど所詮…どう足掻いても人間なのだ!!」
ミリア「……」
酋長「己らが窮地に立たされれば甘え、平気で利用し、切り捨てる!!それが人間だ!!」
ルイ「……!お、王妃様もなんとか言ってよ!」
ミリア「弁明のしようもございません…」
東の大臣「確かに……仰る通りだ」
東の騎士「うむ…今なら貴公らの言葉も頷けよう」
酋長「あぁん…!?どういうつもりだ!開き直りか!?」
ルイ「やっぱり何かあったんだよ…。じゃなきゃ、こんなに辛そうな顔しないよ」
酋長「チッ……分からん奴らだ。事情があるなら曖昧にするな!はっきりせい!!」
906: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/14(水) 22:14:02 ID:HRmJsGwD6k
東の騎士「〜〜〜といった次第でござる」
酋長「ふん…内輪揉めか。くだらん」
ミリア「大恩ある皆さんにはきちんとお礼申し上げたいと思っていましたが……このままではお約束を果たせそうにありませんの」シュン
ルイ「な、なんでよ!そんな理不尽な要求断っちゃえばいいじゃん!」
東の大臣「断れるものか…。力を失った我々に……」
酋長「情けない…。先の戦いで少しは骨のある人間もいるものだと感心したが結局は腑抜けの集いか」
東の騎士「っ…!!」ギリッ
ルイ「う、ウチらも戦うよ!それなら……」
ミリア「お気持ちだけ……」ニコッ
ルイ「どうしてさ!前の戦いで活躍したじゃない!」
東の騎士「以前の戦いとは訳が違う…!」
ルイ「へ?」
東の騎士「あの戦いはあくまで王国軍と西国軍の衝突が主であり、我々は伏兵とした形で敵の虚を突いたからこそなし得た勝利…!!」
酋長「むぅ……」
東の騎士「今回は欺きようもない真っ向からの戦いとなる…!貴公らを活かす策も地の利もない!闇雲に立ち会えば確実に負けるぞ!!」
ルイ「う……!」
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