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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
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1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


835: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:05:54 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「戦争が終結したとして、その後の未来をきちんと見据えているのか!?
そこに住まう一人一人が戦争は正しかったと言えるような国家がおまえに創れるのか!?」

フィクサー「そんな物を抱える気はない」キッパリ

ヒメ「……!?」

フィクサー「これより時代は荒れ果てた戦乱の世に突入する。それが何十年続くかは分からんが……」

フィクサー「いかなる敵が立ちはだかろうとも捩じ伏せ、勝利の栄冠を勝ち取ってみせよう」

フィクサー「わたしの予測では15年もあれば国家を統一し、大陸の覇者となれる」

フィクサー「そこが一段落すれば海を渡り、更なる開拓を目指すとしようか」

フィクサー「わたしの治める世界は無限に広がる…。貴様のように縮こまった思想しか持てぬ愚か者には成せぬ所業だ」

フィクサー「ゆくゆくは万民がひれ伏す王となりて世界統一の創世記を飾ろうではないか?」

ヒメ「この…救いようのない大馬鹿が…!」ワナワナ

フィクサー「これを成し遂げられるは力ある者のみ……ふ!まさしくわたしにこそ託された天命であろう!」

ヒメ「狂ってるな…!いつからそんな夢見がちになったんだ…!?」

フィクサー「これは預言……そう、神々が与えし命題。語りかけてくる…。わたしは神の導きに尽くそう」

ヒメ「(自己陶酔が過ぎて、とうとう妄想まで持ち込んできた…。こうなったら何を言っても無駄だ!)」
836: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:09:24 ID:1.Ek.8qzag
フィクサー「クク……全てを手にした暁には妃の心も染まることだろう。
わたしだけにとらわれ…わたしだけを見つめ…わたしの物となる」ボソッ

ヒメ「りゃあっ!!」シュバッ

フィクサー「!」キィンッ

ヒメ「」ビュンッ

フィクサー「ちっ!」ガィンッ

ヒメ「」シュタッ

フィクサー「無粋な…まだ会話の途中だろうが?」シュタッ

ヒメ「おまえの痛々しい妄想話をいつまでも聞いてられるほど寛容じゃないんだよ!」イラッ

フィクサー「なんとでも言え。実現させれば誰もが我が前に控える。
恩恵にあやかれると感じれば憎悪さえ忘れてしまうのが人という生き物なのだから」

ヒメ「ふん!もう遅いさ!」

フィクサー「なに…?」

ヒメ「おまえが来る前に先手を打たせてもらった!既に勝利は確定してるんだ!」

フィクサー「話が読めんな…?」

ヒメ「レジスタンスと西の帝国側に合議を持ち掛けて休戦を成立させた」ニッ

フィクサー「……!」ピクッ

ヒメ「腐っても名だたる軍長を押さえて王国軍の総指揮を務めた知将だ。当然、この意味が分かるよな?」

フィクサー「なるほど、そうきたか…」

ヒメ「軍略家のおまえには思いもよらなかったか?」

フィクサー「いや、この程度の画策は常套手段だ。開戦後に打つ手としては諸刃だがな」

ヒメ「踏み切るのは容易いさ。政略の点では立場上、僕の方が何枚も上手だからな」

フィクサー「だが休戦を成立させるには女王の言質が要るだろう。勿論、直接の交渉は済ませてあるのだろうな?」

ヒメ「……あぁ、双方の合意は取ってある」

フィクサー「そうか…」
837: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:13:23 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「これで分かっただろ。もはや争いは無用だ。僅かでも武人としての誇りが残ってるなら兵士達の命を尊重してやれ」

フィクサー「わたしに降伏を受け入れろと?」

ヒメ「そうだ!今なら、まだ内々に処理できる。無駄に命を散らさなくてもいいんだ!」

フィクサー「ほうほう、なるほど…」チャッ

ヒメ「男らしく腹を決めろ…!くだらない野心にとらわれるな!?」

フィクサー「断る」ザウッ ビュンッ

ヒメ「えっ……」ピッ

ヒメ「ふ…ぐっ……」プシャッ

ヒメ「う…ぁぁぁああああ!!」ブシャァァ

フィクサー「貴様こそくだらぬ嘘はよせ?」ニヤッ

ヒメ「いった…い…!あう……ぐぅぅぅ!!!」ボタボタ

フィクサー「おめおめと負けを認め、申し出を受け入れるなど…気高く美しい我が妃に限ってありえまい?」

ヒメ「お、まえ…!なにを…!?」ガシッ

フィクサー「彼女こそが唯一わたしと並び立つに相応しい女性なのだから」

ヒメ「〜〜〜!?」ギュウウ

フィクサー「しがみつくな」ドンッ

ヒメ「うあっ!?」ドタッ

フィクサー「クク…おおかた女王の親衛隊を言いくるめ、西国側の代理として進言させようとでも企んでいたのだろう?」

ヒメ「う……」ヨロッ

フィクサー「悪くない策だ。賭けとしては十分に成立するが…とんだ誤算が生じたな?」

ヒメ「はぁ!くそ…くそ…くそぉ…!!」ギリッ
838: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:15:57 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「丁度いい。貴様の首を持ち帰り、女王自らに訂正の旨を伝えさせれば苦労して案じた計略も雲散霧消するだろう」

ヒメ「ハァァッ!!」ヒュンッ

フィクサー「おっと」サッ

ヒメ「うぐ…!」バタッ

フィクサー「多少は健闘したが詰めが甘かったな」ズシッ

ヒメ「ぎぃ…くぅぅ」ズリッ

フィクサー「貴様の始末を優先して正解だった…。預言者の勘もまだまだ衰えていなかったようだ」グリグリ

ヒメ「ぎ、あぁぁぁ…!!」ジャリッ

フィクサー「が、何より単純に腸が煮えくり返っていたのだが…な!!」グンッ

ベシャアッ!!

ヒメ「」ピクピク

フィクサー「じっくりといきたかったが、もはや猶予をもたせるゆとりもなし…これまでにしよう」ジャキッ

フィクサー「さらば…幼き国王よ、平和にしがみついた惰弱として歴史の狭間に埋もれるがいい」バッ

フィクサー「」ヒュオンッ

ガシュッ!
839: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:19:47 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「……」

フィクサー「ぶ……」ゴポッ

フィクサー「……!?」ドロッ

フィクサー「な…んだ、と」ヒクッ

フィクサー「うっぐ……かだぁぁ!!?」クルッ ブンッ

ガキィィンッ!

フィクサー「ぎ、さまぁ…!?」ギンッ

団長「ふぅ…う!間に合ったな!」ギギギッ

フィクサー「がぁぁっ!!」ギャリンッ

団長「うぬ…!」タンッ

フィクサー「なぜだ…!?」ゼェゼェ

団長「はぁ…!陛下の身を最優先するは家臣たる……いや、忠臣たる務めよ!!」ググッ

フィクサー「足止めを命じた兵は…!?」プルプル

団長「大義を見失った者らにワシが止められると思うか!?」

フィクサー「ぐ、く……たかが私兵の分際で…よくも、げぅふっ…!」ゴフッ

団長「背中を切るのは武人の名折れだがやむを得まい…!陛下の命には代えられんからな!」ゼェゼェ

フィクサー「ちぃっ!!くそっ…がはあぁっ!!」ゴホゴホ

団長「今こそ成敗してくれるぞ!!覚悟は決まったか、フィクサー!?」
840: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:23:44 ID:1.Ek.8qzag
フィクサー「はぁぁああ!!!」ヒュオンッ

団長「ぬぅりゃあああああ!!」ブォンッ

ガァンッ ギンッ ガッ キキンッ

フィクサー「ふっ!はぁぁ!う゛う゛あ゛あ゛あ゛!!!」ガガッ ガガンッ

団長「ぐぬ…!だぁぁああ!!!」ガィンッ キキンッ

フィクサー「うぐ!?」ザシュッ

団長「ぬぅ…!!」プシャッ

フィクサー「はぁぐ…!」ボタボタ

フィクサー「(血が…止まらん…!)」

団長「傷の度合いは五分といったところか…!これでようやく…正々堂々とやり合えるな?」ニィィッ

フィクサー「(まず、い…まずい!このままでは……このまま……では)」ハァハァ
841: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:28:00 ID:g5X5idGIPQ
団長「これまでだっ!!」ブォンッ

フィクサー「邪魔立てするなぁっ!!」ヒュオンッ

団長「っ…粗いわぁ!!」ガキンッ

フィクサー「く……」シュタッ

フィクサー「(弾かれた…!やはり腕力の上では分が悪い…!)」ジンジン

フィクサー「(身体が思うように動かん…!!速度が…足りない!)」ズキッ

フィクサー「(やられる…!このままこの男とやり合うのは得策ではない…!だが今やらねば……ヒメを討ち取る機会が…!?)」

団長「神妙にせいっ!!」ブォンッ

フィクサー「っ!?」ピシャッ

団長「しぶとい奴め…!」ジリッ

フィクサー「がはっはぁっ!!」ゴホゴホ

フィクサー「〜〜〜!!」タラー

フィクサー「おぅぐ!!な、ぜだ…!!なぜ…!!」ゴホッ

フィクサー「なぜ…思い通りにいかない…!?」ブチィッ

団長「なおも足掻くか…!?」

フィクサー「ウアァァァアガアァァアアアアア!!!!」ブンッブンッ

団長「なっ…!?」ビクッ
842: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:29:36 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「アァァァ!!なんだ!これは!?なんなんだ、これはぁぁ!?」ボタボタ

団長「な、なんだ…!?」メダパニ

フィクサー「預言にはなかった!!あってはならない!!」ググッ

フィクサー「ごんな…無様な……わだしが…世界の中心にあるわらじが……ボヘァッ」ゴパァッ

フィクサー「きざまぁ……なにをしたかわがっでいるのが…!?」ギロォッ

団長「……?」ゼェゼェ

フィクサー「損失だ!!ごの才能が使い果たされるごとなぐ終わるのは……大いなる損失だぁっ!!」ガァーッ

団長「……なにを、言っとるんだ、お前は…?」ゼェゼェ

フィクサー「はぁっ…ゔばぁっ…!!馬鹿ばかりだ!!なんにもわがっでない!!なぜわがらない!?」ギリッ

フィクサー「戦争は必要だ!!改革が必要だ!!わたしが必要なんだぁ!!」ヨロッ

フィクサー「わたしが世の覇者となり……世を手にする!!それが真理だろうがぁ!?ちがうかぁ!?」

団長「……」

フィクサー「国も民も論も法も資本も必要ない…!わたしが…わたしによる、わたしの為の……わたしで、いいんだ……ウブッ!!」ゴホッゴホッ

団長「…始末におえん。本物の馬鹿だ」
843: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:32:42 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「グェッ!!ゲェフッエフッ!!」ゴボゴボ

団長「いいか、馬鹿者が?これだけは言っておくぞ?」

フィクサー「フゥ…グフゥ〜…!」ゴホッゴホッ

団長「民が真に欲している物……それらを誰より理解しておられる方は我が王を置いて他にない!!」

フィクサー「〜〜!?」ビキィィッ

団長「私欲に溺れ、不用意に混沌を招いた貴様ごとき国賊の出る幕などないわぁっ!!」

フィクサー「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」ブンッ

団長「貴様のツラは見飽きたぁ!往生際よく討たれろ!外道があぁぁあっ!!」ブォンッ

ズバァァァッ!!

フィクサー「ア゛…あ……がふっ!!」ブバァッ

フィクサー「ぐ……がはぁ」ドシャッ

団長「…陛下の下された苦渋の決断、民の心に渦巻く喪失、そしてワシの怒りをとくと味わえ!!」カッ
844: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:34:20 ID:1.Ek.8qzag
ヒメ「」ダラァァァン

団長「」ハッ

団長「陛下!!」ガバッ

ヒメ「」ピクピク

団長「……!なんとむごい!許せん…!?」ギリッ

団長「一刻も早く小童に癒してもらわねば!いったいどこに…!?」キョロキョロ

団長「えぇいっ!仕方あるまい!!」グワッ

ヒメ「」ポスッ

団長「うっ…!」ボタボタ

団長「なんの…これしき!!」ギュゥゥッ

団長「死ねん…!陛下を…お救いするのだ…!ワシは……」フラッ

団長「ど、こだ…!小童ぁ…!?」ヨロヨロ


タッタッタッ………
845: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:37:40 ID:1.Ek.8qzag
フィクサー「」ピクッピクッ

フィクサー「う、ごぉぇ……」ジャリッ

フィクサー「ま、だ……ぐふぉっ」ゴパァッ

ビチャッビチャッ

フィクサー「わ、たし……は、わたし…こそが…えらばれ、し……もの!」ググッ

フィクサー「っ……!」ズシャッ

フィクサー「(ば、かな……死ぬのか…こんな、ところで…潰える…のか)」ハァハァ

ジャッ

フィクサー「」ピクッ

魔導師「お困りかい?」

フィクサー「お、まえは……」

魔導師「なぁに?通りすがりの大魔導師様さ?」ニヤニヤ

フィクサー「きさきの…そっきんか」ゼェゼェ

魔導師「妃?なに勘違いしてんの?女王は誰の物でもない。女王自身の物さね」

フィクサー「ぐっ…!」

魔導師「見たとこぼろ負けしてへたばっちゃってる感じかい?
自慢気に武勇を語ってたクセに情けない。女王の気を惹けないわけだよ」

フィクサー「あざ、わらいに…きたのか……それ、とも」

魔導師「んふ…死にかけでも、そのくらいの予測はつくか。まぁご名答」

フィクサー「さっ…さと、よ、けん…を……いえ」

魔導師「うん、今にもくたばりそうだし、そうしようかね」ゴソゴソ
846: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:41:41 ID:g5X5idGIPQ
魔導師「そう悪い話でもないから心配は……ん、あったあった」ゴソッ

フィクサー「……?」

魔導師「これはキヌプスの根を素にあらゆる動植物の効能を配合して作った秘薬」ジャーン

魔導師「それをこの治癒の魔溶液と組み合わせて飲むと……」キュポッ

魔導師「ちょっとした延命効果が期待できる優れものなんだよねぇ…」ポチャッポチャッ

魔導師「さてさて、さてさて、さてさてと……どうす」

フィクサー「つかえっ!!」

魔導師「即答かぁ…大声出すからビクッとしたよ」

フィクサー「ごへぇっ!!う゛っふ!!はやく、しろ……」ゲホゲホ

魔導師「はいはい、そう急かすんじゃないよ……口、あけて」クイッ

フィクサー「あ……」カパッ

魔導師「よしよし、いい子だねぇ…?たーんとお飲みよ?」ドボドボ

フィクサー「ばっぶ!ぶぐぐ!!」ゴキュゴキュ

魔導師「ちょっとしたら、えげつない苦痛が襲うだろうけど…まぁ辛抱強くね?」ドボドボ

フィクサー「」ズシャッ

魔導師「君なんかすこぶるどうでもいいんだけど…女王が危ない訳だから」ポイッ

パリンッ

魔導師「せいぜい役に立ってもらうよ?どーせ後遺症に苦しんで死んじゃうけども?」

魔導師「んふふ…待っていておくれ、女王。今、行くから…」

魔導師「ぜんぶ終わったら、ずっと、ずっとそばにいてあげる…」ニィィッ
847: ◆WEmWDvOgzo:2016/9/20(火) 21:40:23 ID:loRd6VWyX.
自主的に保守!
まだ待っていてくださってる方がいたら申し訳ございません
必ず完結させますm(__)m
848: 名無しさん@読者の声:2016/10/2(日) 20:14:33 ID:YLpMofwbjo
保守!頑張れ作者!
849: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/3(月) 22:20:14 ID:1xWFuB2HZQ
>>848
遅れてすみません!ありがとうございます!
もう少しでまとまりそうなので、あとちょっとだけお付き合いいただけたら幸いです!
850: お待たせしてすみません! ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 21:38:31 ID:6FAwtITC1A
―――地下迷宮(隠し部屋)―――

ファルージャ「」スゥー

ファルージャ「」パッパッ

モワモワモワ

ファルージャ「……」ジュッ

シュウウウウ………

ファルージャ「…」ガッ

サクッ クルクル キュポンッ

トクトクトク

ファルージャ「ンッ……」グビッ

ファルージャ「」ゴキュッゴキュッ

ファルージャ「フゥ〜…」カランッ

ファルージャ「」ポイッ

パリンッ!

ファルージャ「……」
851: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 21:40:56 ID:EZ0/NsJFHM
ザッ

ファルージャ「ン…」チラッ

カロル「やっぱりここにいたんだね…」

ラム「やっと見つけた」

宣教師「もう逃げ場はありませんよ」

ファルージャ「…生きておったか」クスッ

ラム「ケホッ!煙た……密室でなに焚いてんの?」コホッ

ファルージャ「はてさて……庶民には手の届かぬ旨味であろうな」

宣教師「有害な煙と無造作に転がる酒瓶があなたの贅沢ですか…。荒みきってますね」

ファルージャ「美意識のない者にこれらの価値は分かるまい…。やはりそなたとは気が合いそうにないわ」

宣教師「そうでしょうか?少なくともその意見のみで言えば……私とあなたはとても通じ合えていると感じますよ」

ファルージャ「フ……皮肉がお上手だこと」クスッ
852: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 21:42:46 ID:EZ0/NsJFHM
宣教師「あまり時間がないので簡潔に言います」

ファルージャ「ほう…地位も持たぬ他国民風情が帝に何を申し付けようというのか」

宣教師「今、ここで敗北を認め、投降しなさい」

ファルージャ「またそれか…。そなたの執念には畏れ入るぞ」

宣教師「西の国が降伏を受け入れた暁には王国軍はこれを無条件で承諾し、軍を撤退させると誓いましょう」

ファルージャ「フゥン…さようか…」

宣教師「聞き流すのは勝手ですが…これは最後通告ですよ」

ファルージャ「(爪の塗料が薄まっておるな。後でシャルウィンに……ああ、もうおらぬのだったか)」ボーッ

宣教師「帝都を押さえられ、宮殿まで攻め込まれ、地下に追いやられ、隠れ蓑さえ暴かれた現状……そろそろ窮地だと理解した方がいいですよ」

ファルージャ「如何様にでもなろうさ…」

宣教師「過信は身を滅ぼしますよ…」

ファルージャ「フン…なんの権限があって妾に指図しておるのだえ?」

宣教師「…私はただ国王の意向に基づいて停戦を促しているまでですが」

ファルージャ「しからば国王を呼ぶがいい。そなたでは話にならぬ」

宣教師「そんな時間はないと申し上げた筈です」

ファルージャ「なぜ妾がそちらの事情に付き合わねばならぬのじゃ?」

宣教師「……」

ファルージャ「下がれ、目障りよ」シッシッ

宣教師「失敬…言葉を間違えました」

ファルージャ「ハァン…?」

宣教師「これは要望などではありません。命令です!」

ファルージャ「ほぉ…?」ニヤニヤ

ラム「」スチャッ

カロル「」オロオロ
853: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 21:44:30 ID:EZ0/NsJFHM
宣教師「あまり手荒な真似はしたくなかったのですが…まともな対話は難しそうですね」

ラム「最初から話の通じる奴だなんて、これっぽっちも思わなかったけどね」

カロル「ら、乱暴はよくないよ!ちゃんと話せば分かってくれるかも!」オロオロ

ラム「……」ジロッ

カロル「」ビクッ

ラム「宣教師さんも言ってただろ。時間がないんだよ」

カロル「あう……」

宣教師「少し気を失わせるだけです。身柄を確保出来れば交渉は十分に成立するそうですから」ポンッ

カロル「……」シュン

ファルージャ「クスス…滑稽さな」クスッ
854: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 21:46:00 ID:6FAwtITC1A
ラム「僕と同じで死なないんだろ。じゃあ痛くしても平気だよね」チャキッ

ファルージャ「フゥ…」ムニュッ

宣教師「(胸に手を入れた…?)」

ファルージャ「煩わしい…」スッ

ラム「なにそれ?」

ファルージャ「可愛い配下より護身用にと渡された邪香よ」

ラム「ジャコウ…?」

宣教師「……!」ハッ

ファルージャ「ひとたび嗅げば香りを確かめる間もなく息を引き取る程の殺傷力だそうな」ニィィィ

宣教師「(最奥の拷問部屋で使われた毒と同じモノ…!)」ゾクッ
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sage:


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うpろだ
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