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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


685: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:21:05 ID:cv36kIUfMA
宣教師「創造と破壊は表裏一体…確かにそれも一種のサダメなのかもしれませんね」

王国兵48「やっと分かったか…」

宣教師「ですが…その悪循環こそが進歩を妨げる最大の要因」ジッ

王国兵48「…まだ馬鹿げたことを」

宣教師「積み木遊びをしたことはありますか?」

王国兵48「ガキの頃にやったきりだが…それがどうした?」

宣教師「いくつもの型からなる積み木細工をより高く精巧に積み上げる満足感はたまらなく誇らしいものですよね」

王国兵48「なんの話だ…?」イラァッ

宣教師「裏腹に…丹念に組み上げた積み木を自らの手でバラバラに崩す瞬間もまた恐ろしい充足感を得られます」

王国兵48「……?」

宣教師「私達は生み出す喜びと破滅への憧れを同時に秘めた種族…それゆえに何度、平和を掴もうとも長続きする事がない」

王国兵48「哲学…ってやつか。俺には当たり前のことを難しく話してるようにしか見えんね」

宣教師「…私達、人間とホビットの違いはそこにあります」

王国兵48「は?」

宣教師「変化を望む人間と変化を拒むホビット。どちらも正しく、どちらも間違っている」

王国兵48「…あんた、さっきから何言ってんだ?」

宣教師「この両極端な属性がすんなり交わるとは思えません。
それでも『出来ないからやらない』では済ませられないのです」

王国兵48「……」
686: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:22:37 ID:cv36kIUfMA
宣教師「つまるところ、あなた方のしている事は単なる責任放棄です。
大陸総支配などど浮わついた理想を口にしても…その先の破滅は目に見えてます!」

王国兵48「あぁ!?」

宣教師「国の文句を言う前に自分たちが変わりなさい!ヒメく…国王は何度もその挫折を乗り越えてあなた方を含めた全国民を守ろうとしていたんですよ!!」

王国兵48「…あーそうか。よーく分かったよ」

宣教師「……」

王国兵48「実のところ…浅はかだったのは否めない」ジリッ

団長「……!」ジロッ

王国兵48「女を斬るのに気が引けて説得を試みたが…そういうことじゃないんだよな」グッ

宣教師「……」

王国兵48「いずれにしたって分かり合えないモン同士……何を語っても虚しいだけだぁ!!」バッ

団長「さ、させるかぁぁ!!」ダッ

ズバッ プシャアアアアアア
687: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:24:23 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……!?」

王国兵48「うっ…が…!」バタッ

王国兵50「すまん…」ブシュッ

宣教師「な、なぜ…?」

王国兵50「…いくら俺たちが庶民と言ったってあんたの事ぐらいは知ってる」

宣教師「……?」

王国兵50「俺の妻が病に掛かって寝込んだ時に娘が教会に助けを求めようと駆け込んだ事がある」

宣教師「……」

王国兵50「そん時にたまたま来ていたあんたが立場を顧みず妻を手厚く治療してくれたと娘が喜んで話してた」

宣教師「あの時の母子の…」

王国兵50「軍の宿舎に閉じ籠る俺たち兵士はなかなか家族の元に帰ってやれない。
だからなんだが…無償で何かと援助してくれる教団にはかなり助けられてる」

王国兵51「俺んとこもだ…。ヨボヨボのお袋を故郷に残して出ていっちまったから不安だったが…。
教団に相談したら僅かな寄付金と引き換えに世話役を付けてもらえた。おかげでお袋は今も元気だ」

王国兵52「…大恩ある司祭様を手に掛けるなんて、とてもじゃないが出来ない」

王国兵53「俺も…そこまで落ちぶれたくはないな」

宣教師「皆さん…」

王国兵48「げぐぐ…ぞぉっ……じにたぐ…ない…じにたぐ…ないぃ……」ズリッズリッ

宣教師「」ズキンッ

王国兵48「な…にが…し、さいだ…ひとご、ろし……ぐふっ」フッ

宣教師「………」ギュッ
688: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:26:32 ID:cv36kIUfMA
王国兵's「……」

宣教師「で、では…もう」

副官「なにをやってるんだ!?」

宣教師「」ビクッ

団長「や、奴は…貧民街で出くわした!?」

副官「いつまでも捜索を再開しないと思って来てみれば…戦いもせずにノロノロと!?」

宣教師「もう彼らは戦いませんよ!」

副官「なに!?」

宣教師「そうですよね!皆さ……」

王国兵50「オドアイル副官!!」

副官「……?」

王国兵50「これにおわすのは教団の司祭様にござる!」

副官「…だからどうした?」

王国兵50「どうか司祭様の命だけは保証してくださらぬか!?」

宣教師「え?」

副官「血迷ったか?情にほだされたか知らんが私情を持ち込むな、アホ共が!?」

王国兵's「……」

副官「そんな女…わざわざ生かしてやる価値などあるものか!
つべこべ言わずにさっさとそいつらを殲滅してヒメの行方を追うんだよ!!分かったか!?」

王国兵's「」ジロッ

副官「うっ…なんだ、その反抗的な態度は?」タジッ

王国兵50「副官殿!今一度お尋ね申す!!」ザッ

副官「き、貴様ら…兵の分際で…!」ギリッ

王国兵50「これなる要望はここに集いし全兵の総意にござる!!今一度ご検討願いたい!!」

副官「(うんぬぅぅぅ…!!ひ、非常に腹立たしいが…ここで統制力を弱める愚は避けたい…!)」ワナワナ
689: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:28:54 ID:cv36kIUfMA
副官「や、や、いいだろう?確かに彼女は失うには惜しい存在だ?副官の権限において保護を許可する!」ヒクッヒクッ

王国兵50「ありがたく!!」ザッ

宣教師「あ、あの…それって…?」オロオロ

王国兵50「これで心置きなく戦えますな」

宣教師「え?たたか……」

団長「ぬんっ!!」ザウッ

王国兵50「ぐばぶっ!!」ガシュッ

宣教師「団長さん!なにを!?」アセアセ

団長「下がっていろ!!」ブォンッ

王国兵51「げぉっ!!」ズガッ

宣教師「な、なんで…どうしたんですか!?もう…戦わなくたっていいじゃないですか!?」ウルッ

団長「無駄だ!!」

宣教師「」ピタッ

団長「訴えかけて止められるのなら陛下もそうしていた!!」

宣教師「……!?」

団長「たとえここで改心したとして…反逆に荷担した兵は皆、極刑は免れん!!」

宣教師「そ、そんな…」

団長「これだけの事態を招いた罪人が裁かれなければ司法は機能しなくなる!!
咎のない空間でまともにいられる者などおらん!誰もが簡単に許されていい国など存在しないのだ!!」

宣教師「……!」

団長「たとえ陛下が許されたとしても…こいつらを許せない者たちが新たな反乱分子となって膨れ上がるだろう。
自らが犯した罪の意識と他者に向けられる憎悪を背負って生きる道など選べる筈もない!」

宣教師「それは…そうかも、しれませんけど」
690: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:31:40 ID:CoIvnYpYEw
団長「切り伏せろぉぉ!!」ダッ

護衛's&賊徒's「りゃあああああ!!!」ダダダッ

副官「たかだか200にも満たない少数部隊だ!蹂躙してしまえ!!」

王国兵's「ぜぁぁああああ!!」ダダダッ

ガガンッ ギキンッ ズバッ ザシュッ ドバッ

宣教師「(許し合えないなら…この争いの果てに何が残ると言うのだろう?)」ツツー

宣教師「(私達は…どこを目指して戦っているの…?)」ポロッ

宣教師「」グシッ

宣教師「(…かつてアピシナもここで挫けてしまった。痛いほど…分かる)」

宣教師「(でも私は諦めない…諦めてたまるもんですか!)」キッ

宣教師「(せめて…この争いを目に焼き付けましょう…。いずれまた起きるであろう時に備えて…!)」ジーッ

宣教師「(この世界から争いをなくす為にも…私が真実を伝える宣教師となるっ…!)」ポロポロ
691: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:39:25 ID:KyQ3C7cIb6
―――帝都(駐屯所)―――

ドゴォッ

クンバヤ「いっでぇ!」ズサァァァ

大佐「雑魚が!口ほどにもないわ!?」ニヤリ

クンバヤ「オッサン強いねぇ〜。びっくらこいたよ」ムクリ

大佐「今さらだな…」ジリッ

クンバヤ「…こりゃ確かに素人の俺じゃ勝負にならないわ」パッパッ

大佐「悟ったところで命乞いは聞かんぞっ!!」バウンッ

クンバヤ「うおっ!!」ゴロンッ

大佐「ちぃっ!往生際が…わるっ……!?」ガクッ

クンバヤ「ククッ!」ニヤリ

大佐「な、なんだ…!目が…霞んで…身体が支え…きれん!?」ブルブル

クンバヤ「効いてきたみたいだな?」ニヤニヤ

大佐「貴様の…仕業かぁ!?」プルプル

クンバヤ「真っ向勝負じゃやられることは分かってた。だから…仲間を通じて軍の中枢が集う駐屯所の飲み水に毒を混ぜといたんだよ」

大佐「ひ、ひきょ…ものめぇぇぇ!!!」グワッ

クンバヤ「なけなしの材料で作ったお手製の毒なんで効くまで時間が掛かったが…新参に腕のいい薬師がいてね。威力は抜群だとよ?」ニヤニヤ
692: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:40:14 ID:ZIBx4oG0hk
大佐「あっぐ…つぅぅ!!」バタッ

クンバヤ「わりーな。俺らはお高く止まった軍人様じゃねぇんだ?」

クンバヤ「カビや泥のこびりついた生の芋をきたねぇ手でひっ掴んで必死に頬張って生き抜いてきたドブネズミにゃ……」グッ

大佐「……!?」ブルッ

クンバヤ「誇りなんて安い感情は持ち合わせちゃいねーんだよ…っと!!」ブンッ

ザクッ

大佐「がふぅっ…!!」ブバッ

クンバヤ「…西の野蛮人をナメんじゃねーや!ぺっ!」ズボッ

ドサァァッ

クンバヤ「いよいしょっと…いい装備してんじゃねぇか。やっば上級職は違うねぇ」ムンズッ

賊徒's「しゃあっ!!こっちもあらかた終わったぜぇ!?」

クンバヤ「おうテメェらぁ!!奪うモン奪ったら一気に城攻めだぁ!!気合い入れろよぉぉ!!?」

オォォォオオォォォオオオオオ!!!!!
693: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:42:09 ID:ZIBx4oG0hk
―――後宮(回廊)―――

ガンッ キンッ ギャリィィンッ

ヒメ「せやっ!!」ビュンッ

フィクサー「ぬっ!」ガィンッ

ヒメ「ハァァッ!!」ビュバッ

フィクサー「」サッ

ヒメ「なぜ仕掛けてこない!?」シュタッ

フィクサー「…その必要はない、とでも申しましょうか」

ヒメ「なんだと…!?」

フィクサー「付け加えるなら、その首にはまだ幾らかの価値がある?切り落としてしまうのは実に惜しい?」ニヤリ

ヒメ「ナメるなと…言うんだぁ!?」ブンッ

フィクサー「ふんっ……」ザウッ ビュバッ

ガッキィィィン

剣「」カランカラン

ヒメ「……!?」ビリビリ

フィクサー「」シャッ

ヒメ「わっ!?」ゴロッ

フィクサー「そちらこそ…見くびるなよ、小僧が?」ピタッ

ヒメ「うっ…!」ゾクッ

フィクサー「お遊戯に付き合ってやるのもここまでだ?」ツンッツンッ

ヒメ「こ、この…!」ギリッ
694: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:43:50 ID:KyQ3C7cIb6
フィクサー「ふっ…カカドゥーラを討ち取った事で慢心なされたか?」ニヤリ

ヒメ「殺すなら殺せっ!?」ブルブル

フィクサー「上擦った震え声で言われても説得力に欠けるがな…?」ニヤニヤ

ヒメ「だま…れ!」キッ

フィクサー「素直にわたしの傀儡となれ。さすれば栄えある未来を約束しよう」

ヒメ「おまえになんか従うものか…!」

フィクサー「強情な…?これだから王族というのは…?」

ヒメ「……!」

フィクサー「自尊心ばかり拗らせた救いようのない阿呆だ…」フンッ

ヒメ「悪かったな…!不器用な生き方しか出来なくて…!?」

フィクサー「なればこそ治世も立ち行きならず、政も遅らせ、ひいては国家形成に支障をきたす…。百害あって一理なしとはまさにこの事?」

ヒメ「逆賊に蔑まれる謂れはない…!」

フィクサー「…逆賊、か?大いに結構?」

ヒメ「はぁ…!?」

フィクサー「歴史は常に勝者の栄華に彩られるものだ。アーディス・フィクサーの名は逆賊に始まり、果ては英雄へと昇華する?」

ヒメ「まだおまえが勝つと決まった訳じゃないぞ!」

フィクサー「生まれてこの方、勝負事に負けた経験はない」

ヒメ「大した自信だな…」

フィクサー「わたしの二つ名は預言者……すべてのあらましはこの目に見据えている」

ヒメ「……」

フィクサー「ふっ…殺しはしない。ただ…ほんの少し痛いだけだ?」グッ

ヒメ「っ…!」キュッ

「なにをしておる?」

フィクサー「」ピタッ

ヒメ「……!?」
695: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:46:56 ID:ZIBx4oG0hk
フィクサー「…寝室で休まれていたのでは?」

ヒメ「え?」チラッ

ファルージャ「妾の宮にてかような振る舞い……無礼と心得よ?」ヒタヒタ

フィクサー「…申し訳ございません」ペコッ

ヒメ「」ボーッ

ファルージャ「それなる童は?」

フィクサー「我らが国王陛下にござる」

ファルージャ「ほう?そなたが王国の…」ジッ

ヒメ「」ハッ

ファルージャ「クスス…なかなか良い面構えではないか」クスッ

ヒメ「(な、なんだ…この感覚は?まるで時間が止まってたような……)」ボーッ

ファルージャ「妾こそ西の国を統べる唯一無二の帝なり?」スッ

ヒメ「え…?」キョトン

ファルージャ「そうら…妾の手を握ってごらんな?」クスクス

ヒメ「っ……」ゴクリ

ファルージャ「ン?」

ヒメ「し、つれい……」パシッ

ファルージャ「よきにはからえ?」ギュッ

ヒメ「!!!」ドキンッ

ファルージャ「フフ…指を絡めてみせただけでその有り様……耳まで真っ赤じゃぞ?」ツンッ

ヒメ「ひっ!?」バッ

ファルージャ「ン…もうよいのかえ?妾の手に触れられる機会などそうそう無いと言うに?」パッ

ヒメ「(な、んなんだ…知らない…こんなの……)」ゾクゾク

ファルージャ「」ニヤニヤ
696: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:50:21 ID:ZIBx4oG0hk
ヒメ「(無理やり体ごと吸い込まれるような危うさ…本能から支配されていく凄まじい欲求の波……)」ドキドキ

ヒメ「(魔性の通り名なんて、どうせ大袈裟に誇張されただけで先入観を持って見るから目を奪われるんだと…そう思ってた)」

ヒメ「(けどこいつから漂う何かは…そんな単純なものじゃない!)」

ヒメ「(今、まさに生死を分かつ戦いの最中で…不覚にも見惚れてしまった…!)」プルプル

ヒメ「(…くそっ!惑わされるな……)」ワナワナ

西兵's「女王!!」ザザザッ

ヒメ「」ハッ

フィクサー「ふん…」

西兵108「でめぇら女王に何しやがる!?」ズイッ

ファルージャ「よいよい。コレらは客人よ」

西兵108「さ、さいでっか!」デレー

ファルージャ「付いて参れ、国王よ。ささやかながら妾が自らもてなしてやろう」

フィクサー「女王殿…」

ファルージャ「ン?」

フィクサー「ご冗談もほどほどに…?」

ファルージャ「妬いておるのかえ?」クスッ

フィクサー「何をおっしゃいますやら…わたしはただ国家間で不義があってはならぬと配慮し……」

ファルージャ「ふあぁ…しかし先ほどから城内が慌ただしゅうて眠れぬわ。はよう静まらぬものか?」チラッ

フィクサー「は…?」

ファルージャ「国王の安全は妾が責任を持って保証しよう。そなたはやかましい騒音を早急に鎮めてまいれ?」

フィクサー「」ジロッ

ヒメ「」プイッ

フィクサー「…なるほど、では致し方ありますまい…?」

ファルージャ「さ、おいでなさいな」ヒタヒタ

ヒメ「(気を引き締めないと…この女に取り込まれかねない。集中を保て…!)」グッ

スタスタ スタスタ………
697: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:52:36 ID:KyQ3C7cIb6
―――後宮(地下の隠し部屋)―――

ファルージャ「ここであれば見つかる心配はない。暫し寛がれよ?」ポスッ

ヒメ「…どういうつもりだ」

ファルージャ「?」

ヒメ「なぜ敵である僕を助けた?」

ファルージャ「はて…敵とな?」

ヒメ「ぼ、僕は敵対国の王でおまえらを打倒するべく……」

ファルージャ「」ドロォォン チュピッ

ヒメ「」ドキッ

ファルージャ「ンゥ〜…甘美なる舌触り?そなたも舐めてみるか?」ペロッ

ヒメ「く、クリーム…?」ドキドキ

ファルージャ「ローヤルゼリーよ。濃厚な甘味と微かな酸味がクセになる珍味さな」チャプッ

ヒメ「…蜂蜜か」

ファルージャ「ほれ?」スッ

ヒメ「!?」ビクッ

ファルージャ「遠慮はいらぬのだぞ?」ニッ

ヒメ「た、他人の指に着いた蜜なんか舐められるか!?」プイッ

ファルージャ「ほう?口移しがよいか?」レロォォ

ヒメ「っ……ふ、ふしだらな発言は慎め!淑やかさの欠片もないな!?」

ファルージャ「クスス…」

ヒメ「も、目的を言え!僕をどうする気だ!?」

ファルージャ「さぁ…?」

ヒメ「なに…!?」

ファルージャ「面白そうなので連れてきたまでよ。暇潰しくらいにはなりそうじゃしな?」

ヒメ「な、なに言ってるんだ、おまえ…?」
698: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:55:42 ID:KyQ3C7cIb6
ヒメ「事の重大さを分かってるのか…?僕とおまえは戦ってるんだぞ!?」

ファルージャ「そうなのかえ?」

ヒメ「城内の騒動に気付いてたんだろ!分からないとは言わせないぞ!?」

ファルージャ「ハァン…?あれはそなたが?」

ヒメ「そうだよ…!おまえたちを止める最後の手段だ!」

ファルージャ「もうそなたの国に興味はないぞ?欲しい物は手に入れたでな」

ヒメ「だ、騙されるか!フィクサーと組んで軍拡を……」

ファルージャ「アレが勝手にやっていることよ。妾は関わっておらぬ?」

ヒメ「だ、だとしても奴に協力してるなら同じ事だ!」

ファルージャ「協力…?」ジッ

ヒメ「な、なんだよ…?」タジッ

ファルージャ「よしておくれな?なぜ妾から手を差し伸べてやらねばならぬのか?」

ヒメ「は…?」

ファルージャ「フゥ〜…」スラリ

ヒメ「(し、仕草がいちいち目に付くな)」ドキッ

ファルージャ「あやつが妾を欲し、妾はそれに応えてやった…。それだけよ」シラー

ヒメ「どういう意味だ?」

ファルージャ「世界制服でも大陸総支配でもどうでもよいが妾に尽くそうというのなら殊勝なこと。拒む理由はあるまい?」

ヒメ「…その為に他の国々がどうなるのか考えないのか」

ファルージャ「なぜそのような考えに至る?」

ヒメ「……」

ファルージャ「己に利あらば、それでよかろうな。見知らぬ誰ぞの為に頭を悩ませるような無駄はせぬ?」

ヒメ「……今、はっきり分かった」ボソッ

ファルージャ「……?」

ヒメ「やはりおまえは僕たちの敵だ!」キッ

ファルージャ「フフッ…さようか」サラッ
699: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:00:42 ID:KyQ3C7cIb6
ヒメ「カロルとラムはどこにやった?」ジロッ

ファルージャ「はて…聞かぬ名じゃな」

ヒメ「シラを切っても無駄だ!おまえが拐ったことは分かってる!」

ファルージャ「あ〜…アレらか」

ヒメ「二人をどうする気だ!?」

ファルージャ「それを聞いてなんとする?」

ヒメ「あいつらを取り戻して王国に帰る!」

ファルージャ「」ニタァァァ

ヒメ「」ビクッ

ファルージャ「そうまで望むのなら会わせてやってもよいぞ?」

ヒメ「ホントか…!?」

ファルージャ「そろそろ…あやつも限界であろうさ」ニヤニヤ

ヒメ「……?」

ファルージャ「クスス!さ、参ろうぞ?」スクッ

ヒメ「あ、あぁ……」スクッ
700: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:02:09 ID:KyQ3C7cIb6
―――宮殿2階(大階段)―――

バシュッ ドバッ ズギャンッ ゴカァッ

クンバヤ「ウラァァアア!!!包囲してやがる連中をぶっ叩くぞぉ!?」ブンッ

王国兵54「ぐおぉ!?こ、こいつらどこから……」バタッ

王国兵55「新手か!くそっ!せっかく包囲したのに逆に挟まれてしまった!」ギリッ

団長「よし…!これならば階下に気を取られずに済む!蹴散らして階段を駆け上がるぞぉ!!」ダッ

護衛's「今度はこっちが反撃する番だぁぁ!!!」ドドドドッ

宣教師「はぁっ…くっ!ぜぇっぜぇっ!」タタタッ

王国兵56「ぬあああああ!!」ダッ

宣教師「っ…!?」ハッ

王国兵56「死ねぇぇぇえ!!!」ブンッ

賊徒3「ヒャッハー!!」ゴシャッ

王国兵56「ぐぇっ!?」ドサァッ

宣教師「……!」バックンバックン

賊徒3「無理して走らんでも階下に守備陣張って拠点確保しといたから、そっちでおとなしく守られてなよ〜?」ニヤニヤ

宣教師「よ、余計なお世話ですよ!」ダッ

賊徒3「お!じゃじゃ馬だね〜!まぁそこが可愛いんだがよ!」ダッ
701: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:04:29 ID:ZIBx4oG0hk
護衛8「きぇい!!」ブンッ ザシュッ

宣教師「(…皆、がむしゃらになっていて何も目に入らなくなってますね。目の前に立った相手をひたすら斬っているような…)」タタタッ

プシャアアアアアア

宣教師「きゃっ…」ピシャッピシャッ

賊徒3「ぎゃはは!血飛沫浴びちまったか?」ヘラヘラ

宣教師「……」ヌルッ

賊徒3「おいおいおお!?立ち止まったら死ぬよ!?」ガキンッ

宣教師「分かってます…」ダッ

宣教師「(…こんな惨劇の末に私達はまともな日々を受け入れられるのでしょうか)」タタタッ

宣教師「(たとえ平和な未来が訪れて次の世代が生まれこようとも…同じ歩幅で進める気がしない)」

宣教師「(私達は平和を取り戻そうともがきながら…恐ろしく底深い闇へ沈んでいるだけなのかもしれない)」

宣教師「(それでも……希望があると信じて戦い続ける他にない…)」

宣教師「(なんと無力で…なんと救えないのだろう)」シュン
702: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:06:00 ID:ZIBx4oG0hk
副官「や…や…ややや!?」ヒクッヒクッ

王国兵57「オドアイル様ぁ!!包囲陣を敷いていた増援部隊が外から入ってきた新手に背を討たれましたぁ!!」

副官「さ、さ、さらに増援を!」アセアセ

王国兵57「城内の兵は皆、召集してしまいました!残りの兵は帝都で交戦中です!」

副官「(な、なんでだぁ〜!!あれが帝都を抜けてきた隊であれば外の兵は突破された事になる…!)」

副官「(なぜあんな虫けら共に…!駐屯所に待機していた部隊は何をやってるんだ!?)」

副官「(そ、そもそもこいつらはどうやって帝都に侵入したのか…!あの数の大群が移動すれば確実に見張りが気付いていた筈だ!)」

副官「(ま、まさか以前から既に内通者を潜ませていたのか!?)」

副官「(や、しかし総指揮もそこは危惧し、検閲を徹底させてきた!集めた民衆の管理も怠ってはいない!)」

副官「(ともなれば誤算はどこ……に…)」ハッ

副官「こ、くお…う」ボソッ

王国兵57「オドアイル様!!」オロオロ

副官「うるさぁい!?」シュバッ

王国兵57「どはぁ!?」ズバッ バタッ

副官「ヒメか…!そうだ…あのガキがこの国に入った時から…予定とはだいぶ食い違った事態が発生した…!?」ブルッ

副官「我々はあのガキの使い道ばかりに集中し、城内も奴の噂で持ちきりに……」ブルブル

副官「あいつは敢えて自分の身を差し出すことで…我々に大きな隙を作らせたんだ!」ギリッ

副官「だとしたら…ドレッド軍長の死も…我々を信じ込ませる為の策!?」ドクンッ

副官「総指揮に真っ向から反論し、言い合ってみせたのも自らが一方的に追い込まれていると錯覚させる為の演技ということになる!」

副官「は、は、ハハハ…は……なんて恐ろしい試みを実践するんだ。まったく笑えない話だよ…」ガクッ

副官「一連の騒動があんなガキによって仕組まれ、我々はその通りに踊らされたと…!?」ワシャワシャ

ザッ

副官「だがいくらなんでも無謀すぎる賭けだ!!こんな運頼みの強行が罷り通る訳がない!?なのになぜ我々が追い詰められているぅぅ!!?」アワアワ

「オドアイル」

副官「」ビクッ
703: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:08:18 ID:ZIBx4oG0hk
副官「」オソルオソル

フィクサー「速やかに報告せよ。なぜこうなった」ジッ

副官「!!!」ゾクッ

フィクサー「わたしの許しなく兵を動員させるに至った経緯は?」

副官「〜〜〜!!」ガクガク

フィクサー「被害総数、敵の規模、先導者の名、味方の配置、補給線の確保状況、これら全ての質問に答えろ」

副官「や、や……」アワアワ

フィクサー「貴様…!?」ビキィッ

副官「あ、あぁぁ!あぁぁ!!申し訳ありませぇぇん!!!」ガバッ

フィクサー「よくも兵を無駄に散らしてくれたものだな…!わたしが指揮していれば、このような連中は一瞬で消し去れたものを…!」ギリッ

副官「……!」ブルブル

フィクサー「すでに城内まで侵食されていたか…。これでは帝都に配置しておいた主力との連絡手段も絶たれたと見てよさそうだな」

副官「て、帝都の方は熟練のゲリュラ大佐がご承知おきくださってまして…」

フィクサー「ならばなぜこれだけの敵兵が城内に集まっている?」

副官「そ、そそ…それ、は」

フィクサー「下がれ…役立たずが」ギロッ

副官「」ガーン
704: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:11:41 ID:ZIBx4oG0hk
フィクサー「全兵に告ぐ!!」

ザワッ

王国兵58「お、おぉ!フィクサー総指揮だ!」パァァ

王国兵59「フィクサー総指揮が来てくれたぞぉ!!」バッ

フィクサー「ここからはわたしが一切の指揮を執る!!死に急いだ愚かな蛮人共に引導を渡してやろうぞ!?」

王国兵60「よぉし!!あのお方に従ってさえいれば勝利は決まったようなものだぁ!!」

王国兵61「うおおおおおお!!!」バッ

オォォォォオオオオオ!!!

フィクサー「(見る限り難しい盤面でもない、が)」ジーッ

フィクサー「(ちっ…この失態で野望への道は何歩も遠ざかった…。計画を練り直さなければな)」イライラ
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うpろだ
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