http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
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3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
665: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:22:59 ID:ZdCmVadIqU
―――宮殿(通路)―――
ダダダダダッ
「探せ探せ!草の根掻き分けてでも見つけ出せ!!」
「ヒメを捕らえたら褒美が出るぞ!」
「うらぁ!!どこだぁ!?」
「生け捕りだぁ!!間違っても殺すなよぉ!?」
「中だけじゃなく庭や広場も隈無く調べろ!!」
ワァーワァーギャーギャー
副官「ちぃっ!まだ見つからんのか?」イライラ
王国兵39「お、オドアイル様!大変です!」
副官「はぁ?なんだ、今はそれどころじゃ……」
王国兵39「て、帝都が攻め込まれております!!」
副官「な、なにぃ!?」ギョギョッ
王国兵39「い、いかがなさいましょう…?帝都に兵を送り……」
副官「ならんっ!!」ドガッ
王国兵39「ウゲェッ!?」ドタッ
副官「すぐに帝都の駐屯所へ連絡しろ!?熟練者のゲリュラ大佐ならば小蝿の奇襲ごとき物の数分で払い落とせるはずだ!!」
王国兵39「ば、ばび…!」ダラダラ
副官「くぅ〜そぉ〜……ガァァァアアアア!!!」ワシャワシャ
666: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:24:19 ID:ZdCmVadIqU
―――帝都(居住地)―――
ダダダダダッ
ワァーワァーギャーギャー!
ガキンッ ギギンッ ズガッ ギャリィィンッ
王国兵40「どはっ!?」ズブッ
賊徒's「ウヒャヒャヒャヒャ!!」ドドドッ
クンバヤ「聞いてた通りだな。指示がなけりゃからっきしだ、こんな奴ら?」ビュンッ
王国兵41「く、くそっ!貴様らどこからぶげぇっ!?」ズバッ
クンバヤ「こちとらいっぺん攻め入ってんだ。地理は頭にしっかりとあらぁ?」
王国兵42「ぬぅ…!鼠賊共めがぁ…!」ジャキッ
クンバヤ「たとえば…警備が手薄な侵入経路も伝達が遅れやすい守備領域も宮殿までの道筋も余さず把握済みさ?」ニヤリ
王国兵42「…こ、このような奇襲で浮かれるな!すぐさま騒動が宮殿にまで知れ渡り、全兵総動員で駆逐しに来るぞ!そうなれば貴様らごとき……」
賊徒1「ごちゃごちゃうるせーんだよ!?」ブンッ
王国兵42「ごはぁ!?」バキッ
クンバヤ「野郎どもっ!!俺達の国を取り戻すぞぉ!!」バッ
オォォォオオオオオ!!!
667: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:25:37 ID:ZdCmVadIqU
―――帝都(駐屯所)―――
大佐「火急を要する事態だ!総員、装備を整え、迎撃に向かえ!?」
王国兵's「おぉう!!」
王国兵?「急報!!急報!!ただちに宮殿の警備を増員せよとのお達し!」
大佐「な、なにぃ!?帝都に万を越す大軍が雪崩れ込んできたんだぞ!俺たちとて余裕はないんだ!?」
???「しからば我々にお任せあれ」
大佐「んあぁ!?なんだぁ…!?」
???「後方支援に回され、これまで燻ってきた補給班の者です」
大佐「ほ、補給班…?雑魚が進言とは大した度胸だなぁ!?」
???「このままでは我々は手柄なく戦いを終えることになります。これが最後の機会なのです…!」
大佐「雑兵にも満たない弱小戦力で何ができる?戦に関わってこなかったんだろうが?」
???「だからこそ混濁した市街戦に紛れるよりも守備隊系の整った城内に配置してもらった方が我々もやりやすい」
王国兵43「……お前、妙に詳しいな?」
???「一つでも手柄を得るべく息を潜め、虎視眈々と総指揮の戦略采配を研究してまいりましたので」
大佐「…兜を外してみろ」
???「は…?」
大佐「その訛りない饒舌さと言い、圧力を感じさせる佇まい…何より勘の鋭さが気になる?」
???「………」
大佐「俺は長年、フィクサー様の下で働いてきたが…ここまで察しよく的確な戦況把握が出来る奴は初めて見た?」
???「お褒めに預かり、光栄です」
大佐「しかも一介の民間兵が…だ?」ジロジロ
???「……」
668: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:28:40 ID:ZdCmVadIqU
大佐「囲め!」バッ
王国兵's「」ザザザッ
???「………」
大佐「貴様…何者だ?」ジロッ
???「見抜かれたか…やはり一筋縄ではいかんな。敵ながら天晴れだ!」スッ ポイッ
カランカラン
王国兵?「あっ…!?」
大佐「……!?」ハッ
団長「小細工はよそう。指揮官の首が目の前にある…成果は十分だ」スラッ
大佐「…ルフィアス!!」ギッ
団長「ほう?軍部の者がワシを見知っておったか?」
大佐「貴様は我ら軍部にとって目の上のコブだ…!」
団長「……?」
大佐「お前の成した数々の偉業が…我らを霞ませ、最大的守護者である国軍の必要性を忘れさせた!?」
大佐「6ヶ国協定などという束縛の憂き目に遭い、戦いを禁じられ、我ら軍人は税収悪化の根源だと嘲られてきたのだ!?」
大佐「許さん…!軍人を蔑ろにした国王も…我々を葬った歴史も…すべての借りは戦で返す!!」
大佐「フィクサー様は我々、軍人の夢を思い起こさせた偉大なるお方!!」
大佐「平穏など切り払い、フィクサー様と新たな時代を造り上げる!!何人たりとも邪魔はさせん!!」カッ
団長「…愚かな!独りよがりな貴様らに平和を信じる民の心は分かるまい!?」
大佐「かかれ!?」
バババババッ
団長「…ここを落とせば帝都戦は決着する!!持てる力を余さずぶつけてやれぃ!!」ジャキッ
護衛's「オォォォオオ!!!!」ジャキッ
669: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:30:45 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿(後宮)―――
ヒメ「(さすがに女王に所有権が残された城だけあって…ウチの兵が出入りしてる様子はないな)」スタスタ
西兵108「ぐぉらぁ!!ぎさまぁ!?だぁれに断って入ってぎやがっだ!?」ノソノソ
ヒメ「!」ササッ
王国兵43「い、いや、実はこちらの不手際で後宮に侵入者を入れてしまったかもしれぬのだ。悪いが捜索を……」
西兵108「ダメだ!!ごこに入っでいいなぁ女王の許したヤツだけだ!?」
王国兵43「そ、そこをなんとか…」
西兵108「ネズミはごっちで片付ける!!失せろ!?」
王国兵43「し、しかし…」
王国兵44「お、お前ら敗戦国の分際で俺達に指図すんのか!?」
西兵108「あ゙ぁ゙!?」ギロッ
王国兵44「ひっ!?」
西兵108「勘違いずんな!!俺たちゃでめぇらに手ぇ貸じてやっだだけだ!?」
王国兵43「わ、分かった…。兵も引き下げる…だが国王を見つけたら我らに報せを……」
西兵108「じゃかあしい!?ネズミは殺す!!それだけだ!?」
王国兵43「うっ…」
西兵108「消えろっでんだぁよ!!!」ガァーッ
王国兵's「ヒィー!!!」ピュー
西兵108「けっ…クソが?」ペッ
ヒメ「(警備が強化される前に辿り着かないとな…)」
670: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:33:37 ID:LdYq8qibu2
―――女王の寝室―――
フィクサー「…華燭の典には北国と他2国の重鎮が列席される予定だ。これで正式に我々の新国家を認められるだろう」
ファルージャ「手際のよいこと?」
フィクサー「彼らもわたし達を心から祝福してくれているんだ。喜ばしいとは思わないか?」
ファルージャ「腹の探り合いは嫌いじゃ」
フィクサー「ほう?君ほどの洞察眼の持ち主が?」
ファルージャ「読めてしまうからイヤなのよ。意地汚い腹の虫が聴こえてくるようで耳障りさな」
フィクサー「なるほど…」
ファルージャ「いっそなにもかも偽りにほだされていられたら…かような幸福はあるまいにのう?」
フィクサー「偽り、か…。ふっ…わたしは君を本気で愛しているがね」
ファルージャ「それは…妾が女王でなかったとしてもかえ?」
フィクサー「……」
ファルージャ「クスス…戯れ言よ?」
フィクサー「運命の日を楽しみにしているよ」チュッ
ファルージャ「ンッ…妾も同じ気持ち?」クスッ
フィクサー「では…また明晩に」スタスタ
ファルージャ「楽しみにしておるぞ?」ニコニコ
ガチャッ バタンッ
ファルージャ「フゥ〜……つまらぬわ?」ポスッ
671: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:34:59 ID:LdYq8qibu2
―――帝都(駐屯所)―――
ズバッ ザシュッ ガキンッ ドバァッ
護衛2「ぐあっ…」ドサッ
護衛3「団長!追い詰められました!このままでは全滅します!?」キンッ
団長「諦めるなぁ!!死力を尽くして立ち向かえ!!」ブォンッ
王国兵45「ぎあ!?」ズバッ
大佐「これ以上、足止めを喰わされるな!!帝都市街の戦況を立て直す為にも速やかに始末せよ!?」
ドガガガガガガガッ
大佐「」ピクッ
王国兵46「う、うおっ!なんぶはぁっ!?」ザシュッ
クンバヤ「まぁ〜だ手こずってんのかい!?オッサン!!」ダダダッ
賊徒's「ヘヒャハハハハ!!」ドドドッ
大佐「す、すでにここまで侵攻されていたのか…!?」イラァッ
団長「くっ…遅れを取るな!!奴らより先に敵を殲滅するのだ!?」
護衛's「ははぁっ!!」ドドドッ
大佐「ぬ…ぐ…くぅ…!」ギリィッ
672: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:37:28 ID:ZdCmVadIqU
大佐「どぉあああああ!!!」バウンッ
賊徒1「ぐぎゃあ!?」バシュッ
大佐「笑止!笑止!笑止なりぃ!!軍人相手に素人の出る幕なぞないわぁ!?」ジャキッ
団長「ふん…とうとう大将のお出ましか」ジロッ
クンバヤ「はぁ〜…イビツな鎌だな?」
大佐「斧も知らぬとはふざけた輩だ…!この俺がやるまでもないが…早々に屠ってくれよう!!」ビキッビキッ
クンバヤ「ここは俺に任せなよ」ザッ
団長「む?」
クンバヤ「どうせ坊っちゃんがかき回してくれてっから増援は来ねぇし心配いらねーさ。
それよりも早いとこ助けに行ってやんねーと城内が厳しいだろ?」
団長「うむ…ヒメ様を危険にさらす訳にはいかんな。ならば頼めるか?」
クンバヤ「あんまり多くても邪魔くせーだろうから腕利きを100人ばかし貸してやらぁ?」
団長「ありがたい!では行かせてもらうぞ!」ダッ
大佐「待てぃ!ルフィアスぅぅ!?」バッ
クンバヤ「どこ見てんだ、オラァ!?」ヒュッ
大佐「っ…!?」ガァンッ
クンバヤ「雑魚に構ってられねーんだよ。脇役は脇役らしく……」
大佐「」バウンッ
クンバヤ「ぐっ……ぬお!?」ガギッ
ズサァァァ
大佐「…軍人をナメるなよ」ギロッ
クンバヤ「や、やるじゃないの…?」ヒクッヒクッ
673: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:38:48 ID:ZdCmVadIqU
―――後宮(回廊)―――
フィクサー「」スタスタ
バッ
フィクサー「ん…?」
ヒメ「伴も連れずに密会か…。婚前交渉を重ねる、ふしだらな男だったなんてガッカリだ」ジッ
フィクサー「陛下……このような場所で何をなされておられる?女王に夜這いでも掛けようと?」
ヒメ「おまえと一緒にするな」
フィクサー「…お戻りあそばせ。今なら見なかったことに……」
ヒメ「秘密を知られたのはおまえだろ?他国の女王と淫らに通じた現場を…」
フィクサー「なんのことやら……わたしはただ後宮の夜景を眺めに散歩していたまで?」
ヒメ「……」
フィクサー「お気は済みましたか?では部屋に……」
ヒメ「おまえ程の男が気付いていないのか?」
フィクサー「は…?」
ヒメ「耳を澄ましてみろ」
フィクサー「……」
674: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:41:28 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「……なにも聴こえませぬが」
ヒメ「女に狂って自分の置かれた状況さえ読めなくなったみたいだな?」
フィクサー「? 先ほどからおっしゃられている意味が……」
ヒメ「おまえの野望を断ちに来た」スラッ
フィクサー「……気は確かか?」
ヒメ「ファルージャとの婚姻を認めさせれば…もうおまえを止める術はなくなる」ジャキッ
フィクサー「忠告しておきますが…わたしどもは貴方と敵対する立場にはござらん」
ヒメ「心に秘めているのなら同じことだろ…」
フィクサー「…様々な試練が続き、不安定に陥ってしまわれるのは察しましょう。しかし貴方は間違った結論を出されている」
ヒメ「……」
フィクサー「焦ってはなりません。逸る気持ちを抑え、先行きに目を向けませぬと?」
ヒメ「そんな時間はないぞ」
フィクサー「は?」
ヒメ「…僕もおまえも」
フィクサー「……」
675: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:43:07 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「どうやら話を聞いてもらえそうにないようだ…」
ヒメ「抜け、フィクサー」ジリッ
フィクサー「不意討ち紛いな真似をしておきながら……あくまで正々堂々にこだわりますか?」
ヒメ「抜けぇっ!!」バッ
フィクサー「!」シュバッ
ガキィィンッ!
フィクサー「今ならば…まだ戻れますぞ…?」ギギギッ
ヒメ「最後の最後で失態を演じたな…!」ギギギッ
フィクサー「……!?」ギンッ
ヒメ「僕を……侮るなぁっ!!」ビュンッビュンッ
フィクサー「っ……」ガィンッキキンッ
ヒメ「…民を支配するのが国の在り方?笑わせるなっ!!」
フィクサー「……」イラァッ
ヒメ「僕がおまえを御せなかったように…おまえが僕を御せる道理はないっ!?」
フィクサー「……」ジャキッ
ヒメ「人の心を簡単に考えるなっ!?おまえなんかの煽動に…民の心は動かない!!」キッ
フィクサー「ふん…しばし眠っていただこうか!」グッ
676: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:44:34 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿(通路)―――
副官「ヒメはまだ見つからないのかぁっ!?」ダンッ
王国兵43「も、申し訳ございません!鋭意捜索中です!!」
副官「鋭意だろうが一生懸命だろうが見つけ出さなきゃ意味がないんだよっ!!」ブンッ
ガシャンッ
王国兵43「うわっ!?」ビクッ
副官「…さっさとしろぉ!?」
王国兵44「あ、あの!オドアイル様!!」
副官「はぁ!?」
王国兵44「せ、正門が突破されましたぁ!!」
副官「なにぃっ!?」
王国兵44「城内に侵入してくるのも時間の問題ですよ!?」
副官「あぁわてるなあぁぁああ!!!」ジダンダ
王国兵47「(オドアイル副官が一番慌ててる…)」
677: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:46:52 ID:ZdCmVadIqU
副官「…ゲフンゲフン!!」ゴホゴホ
王国兵48「いかがされますか…」
副官「…フィクサー総指揮の影に隠れてはいるが私も超一流の指揮官ですからね。何も案ずることはない!」
王国兵48「……」
副官「戦力を2階に集結させなさい。各階段を封鎖し、徹底的に迎え撃つんだ」
王国兵48「ははっ!!」
王国兵44「そ、装備は!?」
副官「弓が確実だな…」
王国兵43「ゆ、弓は城外の武器庫に……」
副官「…くそっ!被害は増えるが白兵戦を仕掛けるしかないか。数は!?」
王国兵44「150ほどです!!」
副官「…150?なんだ、余裕じゃないか?」
王国兵48「では…」
副官「あぁ、存分にやっちゃいなさい。ひとまず捜索は打ち切る」
王国兵's「はっ!!」
678: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:48:41 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿2階(大階段)―――
団長「ぬりゃあっ!!」ブォンッブォンッ
王国兵's「っ〜〜!!」ドババババッ
護衛's「がぁぁあああ!!!」ドドドッ
賊徒's「ウハハハハハ!!!」ドドドッ
王国兵43「こ、こいつら…!」タジッ
王国兵44「か、数じゃ圧倒してる筈なのに…なぜ止められないんだぁ!?」ギンッ
王国兵47「先頭の奴が仕切ってるんだ…!あいつさえ殺れば…!」
王国兵48「…無理だな」ボソッ
王国兵47「あ…?」
王国兵48「気迫が違う…」
王国兵47「な、なんだと!?」
679: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:49:39 ID:ZdCmVadIqU
王国兵48「俺は副官と侵略を進めていた時、実際に国王と対面した」
王国兵47「ひ、ヒメがどうしたってんだ!」
王国兵48「分からないのか?このタイミングの良さ…偶然じゃない。すべては国王の差し金だろうさ!」
王国兵47「あ、あのガキが仕組んだってのか?」
王国兵48「先頭の男は国王の懐刀、ダパーシ・ルフィアス団長だ」
王国兵47「あ、あれが…王国最強の…!?」
王国兵48「…ヒメは子供だが立派な国王だ」
王国兵47「なっ…おまえ…!」
王国兵48「…だが俺たちは深く考えずに疑ってしまった。
口車に流されて…なあなあなまま良いとこに乗り換えたツケが回ったんだ」
王国兵47「……!」
王国兵48「それでもやるしかない。乗り換えた事を悔やむより、自分たちの選択は正しかったんだと証明するしかないんだ!」グッ
王国兵47「……」
王国兵48「ここで負ければ俺たちが犯した過ちの代償が…国に残した家族にまで降りかかる!!」
王国兵48「負けられないんだ!!俺たちだって…!」
王国兵47「っ…」ゴクリ
王国兵48「なあなあはもうやめだ!他人任せ?くそ食らえっ!!」
王国兵48「ヒメの言葉を借りるのは癪だが、そんな事も言ってられない!!」
王国兵48「自分たちで未来を切り開くんだ!!」
王国兵47「目が覚めたぜ…!」
王国兵48「いくぞぉぉ!!」ダッ
王国兵47「うおおおおお!!」ダッ
ガガンッ キキンッ ズカァァン ギャリンッ
680: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:01:36 ID:cv36kIUfMA
団長「ずりゃあっ!!」ブォンッ
王国兵44「んがばっ!!」ドシャッ
護衛2「う……ぐはっ」バタッ
王国兵47「ざ、ざまぁねぇな!」ハァッハァッ
王国兵48「怯むなぁ!!勝つのは俺たちだぁ!!」バッ
オォォォオオオオオ!!!
護衛3「くそっ…!裏切り者の逆賊共がぁあああ!!」ダッ
ワァーワァーギャーギャー!!
団長「ちぃっ…!予想外に城内の守備が堅いな…!」ギリッ
賊徒2「ぶっ!!」ベシャッ
団長「む…?」ジロッ
ドドドドドッ
賊徒3「やべぇ…!別経路からも来やがった!挟み撃ちにする気だ…!?」
王国兵48「俺たちの勝ちだな!?」ザッ
団長「くっ…おのれぇ…!!」ワナワナ
「お待ちなさい!!」バッ
681: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:04:30 ID:cv36kIUfMA
団長「お、おい!何をやっとる!下がれ!?」アセアセ
王国兵48「女…?」
宣教師「…!」キッ
団長「……!?」
宣教師「皆、争いを止めて聞きなさい!!私は教団の司祭です!!」カッ
ザワッ
王国兵48「し、司祭…だと」ボーゼン
宣教師「更なる争いを生むと分かっていながら、なぜそうまでして戦うのですか!?」
宣教師「あなた方が守ろうとしている物はなんですか!?」
宣教師「ここにある大勢の命を散らしてまで得るべき物とは…なんなんですかっ!!!」
王国兵's「っ…」タジッ
宣教師「答えなさい!!それさえも考えないまま闇雲に戦うなど愚か者のする事です!!」
王国兵48「か、構うなぁ!!続けるぞ!?」
王国兵's「」ジャキッ
護衛's「くっ!」ジャキッ
団長「もうよかろう!ワシらの背に隠れておけ!」
宣教師「っ…ならば私を殺しなさい!!」
王国兵48「は…!?」
682: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:06:17 ID:cv36kIUfMA
宣教師「さぁ!?」ザッ
団長「いい加減にせんか!」ガシッ
宣教師「離してください!」バッ
団長「なっ…?」
宣教師「どうしたのですか?私を殺して争いを続けてみせなさい!?」
王国兵47「な、なに言ってんだ、あの女は…?」
王国兵49「し、司祭様って本当なのか?」
王国兵50「小汚ない格好をしているが…あの金髪はまさしくそうだ!」
王国兵51「だ、だとしたら、なんでここにいる!?」
王国兵50「わ、分からん!だがあれは司祭様だ!俺も何度か城下の催しで見た事があるから間違いない!」
王国兵48「……掛かるぞ!!」
王国兵's「!!?」ピクッ
王国兵48「あいつが誰であろうと関係ない!!俺たちは負けられないんだ!?」
王国兵's「」オロオロ
王国兵48「行くぞぉ!!」ザッ
683: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:08:31 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……」ジーッ
王国兵48「……!どけっ!?本当に殺すぞ!?」ジャキッ
宣教師「やれるものなら、どうぞ!私は一歩も退きませんから!」ズイッ
王国兵48「ぐ…うぅっ!女の分際で出しゃばるな!!おとなしくしていれば生かしてやっても……」
宣教師「黙りなさい!!」
王国兵48「う……」ビリビリ
宣教師「殺すのか殺さないのか、はっきりしなさい」
王国兵48「な…ん、だとぉ…!?」ビキッビキッ
宣教師「この戦いを正しいと信じる、あなた方の覚悟に問いかけています」
王国兵48「……!?」
宣教師「あなたが正しいのなら、あなたに背く私は間違いを信じている事になる。間違っている者を裁く事にためらいなどいらないでしょう?」
王国兵48「そ、そんな単純な理屈じゃねぇんだ!もうどうにもならないんだよ!?」
宣教師「どうにもならない事など一つとしてありませんよ」
王国兵48「うるせぇ!?今さら遅いんだ!!」
宣教師「そうやって諦めて流されるから同じ事が繰り返されるのではないのですか!?」
王国兵48「じゃあどうすりゃいい!?信じた物がことごとく灰になるような虚しさを味わってもまだ…何かを信じなきゃならないのか!?」
王国兵48「俺たちは国王を信じてた!だが国王は俺たちをチェスの駒のように戦場に送り出して…その背景にあったのはホビットの取り合いだったと言うじゃないか!?」
宣教師「……」
王国兵48「救い主だかなんだか知らないが…民をないがしろにしてまで庇ってきたのがホビットだと!?バカにするのも大概にしろ!!」
684: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:12:33 ID:CoIvnYpYEw
宣教師「それはこっちのセリフです」
王国兵48「なに!?」
宣教師「民をないがしろにしてまで…?ホビットは民ではないと言うのですか?」
王国兵48「そ、それは…!」
宣教師「そこから抜け出せていないのであれば信じる物を見失ったとしてもおかしくはありませんね」
王国兵48「…そうさ。本当のところは誰もホビットなんか認めちゃいない」
宣教師「それはなぜ…?」
王国兵48「ホビットとの和平なんざ国が決めたことだ。俺たちがそう望んだんじゃない!」
宣教師「……」
王国兵48「俺たちの暮らしが豊かになっていくなら、まだしも…あんな奴らがいたとこで食い扶持が増えて民はますます凌ぎを削り合うだけだ!」
王国兵48「大陸総支配にしてもそうだ!牽制しながら水面下で奪い合う、この世界には必要で…いずれやらなきゃならない事なんだ!」
王国兵48「どんな形にしろ平和を目指して戦う以上、意義はある!お前たちこそ我々の邪魔をするな!?」
宣教師「今ある平和を壊して新たな平和を望むと?」
王国兵48「そうだとも…!これが最後の忠告だ!どけぇっ!!」
宣教師「……」
王国兵48「……!」
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