http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
671: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:34:59 ID:LdYq8qibu2
―――帝都(駐屯所)―――
ズバッ ザシュッ ガキンッ ドバァッ
護衛2「ぐあっ…」ドサッ
護衛3「団長!追い詰められました!このままでは全滅します!?」キンッ
団長「諦めるなぁ!!死力を尽くして立ち向かえ!!」ブォンッ
王国兵45「ぎあ!?」ズバッ
大佐「これ以上、足止めを喰わされるな!!帝都市街の戦況を立て直す為にも速やかに始末せよ!?」
ドガガガガガガガッ
大佐「」ピクッ
王国兵46「う、うおっ!なんぶはぁっ!?」ザシュッ
クンバヤ「まぁ〜だ手こずってんのかい!?オッサン!!」ダダダッ
賊徒's「ヘヒャハハハハ!!」ドドドッ
大佐「す、すでにここまで侵攻されていたのか…!?」イラァッ
団長「くっ…遅れを取るな!!奴らより先に敵を殲滅するのだ!?」
護衛's「ははぁっ!!」ドドドッ
大佐「ぬ…ぐ…くぅ…!」ギリィッ
672: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:37:28 ID:ZdCmVadIqU
大佐「どぉあああああ!!!」バウンッ
賊徒1「ぐぎゃあ!?」バシュッ
大佐「笑止!笑止!笑止なりぃ!!軍人相手に素人の出る幕なぞないわぁ!?」ジャキッ
団長「ふん…とうとう大将のお出ましか」ジロッ
クンバヤ「はぁ〜…イビツな鎌だな?」
大佐「斧も知らぬとはふざけた輩だ…!この俺がやるまでもないが…早々に屠ってくれよう!!」ビキッビキッ
クンバヤ「ここは俺に任せなよ」ザッ
団長「む?」
クンバヤ「どうせ坊っちゃんがかき回してくれてっから増援は来ねぇし心配いらねーさ。
それよりも早いとこ助けに行ってやんねーと城内が厳しいだろ?」
団長「うむ…ヒメ様を危険にさらす訳にはいかんな。ならば頼めるか?」
クンバヤ「あんまり多くても邪魔くせーだろうから腕利きを100人ばかし貸してやらぁ?」
団長「ありがたい!では行かせてもらうぞ!」ダッ
大佐「待てぃ!ルフィアスぅぅ!?」バッ
クンバヤ「どこ見てんだ、オラァ!?」ヒュッ
大佐「っ…!?」ガァンッ
クンバヤ「雑魚に構ってられねーんだよ。脇役は脇役らしく……」
大佐「」バウンッ
クンバヤ「ぐっ……ぬお!?」ガギッ
ズサァァァ
大佐「…軍人をナメるなよ」ギロッ
クンバヤ「や、やるじゃないの…?」ヒクッヒクッ
673: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:38:48 ID:ZdCmVadIqU
―――後宮(回廊)―――
フィクサー「」スタスタ
バッ
フィクサー「ん…?」
ヒメ「伴も連れずに密会か…。婚前交渉を重ねる、ふしだらな男だったなんてガッカリだ」ジッ
フィクサー「陛下……このような場所で何をなされておられる?女王に夜這いでも掛けようと?」
ヒメ「おまえと一緒にするな」
フィクサー「…お戻りあそばせ。今なら見なかったことに……」
ヒメ「秘密を知られたのはおまえだろ?他国の女王と淫らに通じた現場を…」
フィクサー「なんのことやら……わたしはただ後宮の夜景を眺めに散歩していたまで?」
ヒメ「……」
フィクサー「お気は済みましたか?では部屋に……」
ヒメ「おまえ程の男が気付いていないのか?」
フィクサー「は…?」
ヒメ「耳を澄ましてみろ」
フィクサー「……」
674: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:41:28 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「……なにも聴こえませぬが」
ヒメ「女に狂って自分の置かれた状況さえ読めなくなったみたいだな?」
フィクサー「? 先ほどからおっしゃられている意味が……」
ヒメ「おまえの野望を断ちに来た」スラッ
フィクサー「……気は確かか?」
ヒメ「ファルージャとの婚姻を認めさせれば…もうおまえを止める術はなくなる」ジャキッ
フィクサー「忠告しておきますが…わたしどもは貴方と敵対する立場にはござらん」
ヒメ「心に秘めているのなら同じことだろ…」
フィクサー「…様々な試練が続き、不安定に陥ってしまわれるのは察しましょう。しかし貴方は間違った結論を出されている」
ヒメ「……」
フィクサー「焦ってはなりません。逸る気持ちを抑え、先行きに目を向けませぬと?」
ヒメ「そんな時間はないぞ」
フィクサー「は?」
ヒメ「…僕もおまえも」
フィクサー「……」
675: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:43:07 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「どうやら話を聞いてもらえそうにないようだ…」
ヒメ「抜け、フィクサー」ジリッ
フィクサー「不意討ち紛いな真似をしておきながら……あくまで正々堂々にこだわりますか?」
ヒメ「抜けぇっ!!」バッ
フィクサー「!」シュバッ
ガキィィンッ!
フィクサー「今ならば…まだ戻れますぞ…?」ギギギッ
ヒメ「最後の最後で失態を演じたな…!」ギギギッ
フィクサー「……!?」ギンッ
ヒメ「僕を……侮るなぁっ!!」ビュンッビュンッ
フィクサー「っ……」ガィンッキキンッ
ヒメ「…民を支配するのが国の在り方?笑わせるなっ!!」
フィクサー「……」イラァッ
ヒメ「僕がおまえを御せなかったように…おまえが僕を御せる道理はないっ!?」
フィクサー「……」ジャキッ
ヒメ「人の心を簡単に考えるなっ!?おまえなんかの煽動に…民の心は動かない!!」キッ
フィクサー「ふん…しばし眠っていただこうか!」グッ
676: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:44:34 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿(通路)―――
副官「ヒメはまだ見つからないのかぁっ!?」ダンッ
王国兵43「も、申し訳ございません!鋭意捜索中です!!」
副官「鋭意だろうが一生懸命だろうが見つけ出さなきゃ意味がないんだよっ!!」ブンッ
ガシャンッ
王国兵43「うわっ!?」ビクッ
副官「…さっさとしろぉ!?」
王国兵44「あ、あの!オドアイル様!!」
副官「はぁ!?」
王国兵44「せ、正門が突破されましたぁ!!」
副官「なにぃっ!?」
王国兵44「城内に侵入してくるのも時間の問題ですよ!?」
副官「あぁわてるなあぁぁああ!!!」ジダンダ
王国兵47「(オドアイル副官が一番慌ててる…)」
677: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:46:52 ID:ZdCmVadIqU
副官「…ゲフンゲフン!!」ゴホゴホ
王国兵48「いかがされますか…」
副官「…フィクサー総指揮の影に隠れてはいるが私も超一流の指揮官ですからね。何も案ずることはない!」
王国兵48「……」
副官「戦力を2階に集結させなさい。各階段を封鎖し、徹底的に迎え撃つんだ」
王国兵48「ははっ!!」
王国兵44「そ、装備は!?」
副官「弓が確実だな…」
王国兵43「ゆ、弓は城外の武器庫に……」
副官「…くそっ!被害は増えるが白兵戦を仕掛けるしかないか。数は!?」
王国兵44「150ほどです!!」
副官「…150?なんだ、余裕じゃないか?」
王国兵48「では…」
副官「あぁ、存分にやっちゃいなさい。ひとまず捜索は打ち切る」
王国兵's「はっ!!」
678: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:48:41 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿2階(大階段)―――
団長「ぬりゃあっ!!」ブォンッブォンッ
王国兵's「っ〜〜!!」ドババババッ
護衛's「がぁぁあああ!!!」ドドドッ
賊徒's「ウハハハハハ!!!」ドドドッ
王国兵43「こ、こいつら…!」タジッ
王国兵44「か、数じゃ圧倒してる筈なのに…なぜ止められないんだぁ!?」ギンッ
王国兵47「先頭の奴が仕切ってるんだ…!あいつさえ殺れば…!」
王国兵48「…無理だな」ボソッ
王国兵47「あ…?」
王国兵48「気迫が違う…」
王国兵47「な、なんだと!?」
679: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:49:39 ID:ZdCmVadIqU
王国兵48「俺は副官と侵略を進めていた時、実際に国王と対面した」
王国兵47「ひ、ヒメがどうしたってんだ!」
王国兵48「分からないのか?このタイミングの良さ…偶然じゃない。すべては国王の差し金だろうさ!」
王国兵47「あ、あのガキが仕組んだってのか?」
王国兵48「先頭の男は国王の懐刀、ダパーシ・ルフィアス団長だ」
王国兵47「あ、あれが…王国最強の…!?」
王国兵48「…ヒメは子供だが立派な国王だ」
王国兵47「なっ…おまえ…!」
王国兵48「…だが俺たちは深く考えずに疑ってしまった。
口車に流されて…なあなあなまま良いとこに乗り換えたツケが回ったんだ」
王国兵47「……!」
王国兵48「それでもやるしかない。乗り換えた事を悔やむより、自分たちの選択は正しかったんだと証明するしかないんだ!」グッ
王国兵47「……」
王国兵48「ここで負ければ俺たちが犯した過ちの代償が…国に残した家族にまで降りかかる!!」
王国兵48「負けられないんだ!!俺たちだって…!」
王国兵47「っ…」ゴクリ
王国兵48「なあなあはもうやめだ!他人任せ?くそ食らえっ!!」
王国兵48「ヒメの言葉を借りるのは癪だが、そんな事も言ってられない!!」
王国兵48「自分たちで未来を切り開くんだ!!」
王国兵47「目が覚めたぜ…!」
王国兵48「いくぞぉぉ!!」ダッ
王国兵47「うおおおおお!!」ダッ
ガガンッ キキンッ ズカァァン ギャリンッ
680: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:01:36 ID:cv36kIUfMA
団長「ずりゃあっ!!」ブォンッ
王国兵44「んがばっ!!」ドシャッ
護衛2「う……ぐはっ」バタッ
王国兵47「ざ、ざまぁねぇな!」ハァッハァッ
王国兵48「怯むなぁ!!勝つのは俺たちだぁ!!」バッ
オォォォオオオオオ!!!
護衛3「くそっ…!裏切り者の逆賊共がぁあああ!!」ダッ
ワァーワァーギャーギャー!!
団長「ちぃっ…!予想外に城内の守備が堅いな…!」ギリッ
賊徒2「ぶっ!!」ベシャッ
団長「む…?」ジロッ
ドドドドドッ
賊徒3「やべぇ…!別経路からも来やがった!挟み撃ちにする気だ…!?」
王国兵48「俺たちの勝ちだな!?」ザッ
団長「くっ…おのれぇ…!!」ワナワナ
「お待ちなさい!!」バッ
681: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:04:30 ID:cv36kIUfMA
団長「お、おい!何をやっとる!下がれ!?」アセアセ
王国兵48「女…?」
宣教師「…!」キッ
団長「……!?」
宣教師「皆、争いを止めて聞きなさい!!私は教団の司祭です!!」カッ
ザワッ
王国兵48「し、司祭…だと」ボーゼン
宣教師「更なる争いを生むと分かっていながら、なぜそうまでして戦うのですか!?」
宣教師「あなた方が守ろうとしている物はなんですか!?」
宣教師「ここにある大勢の命を散らしてまで得るべき物とは…なんなんですかっ!!!」
王国兵's「っ…」タジッ
宣教師「答えなさい!!それさえも考えないまま闇雲に戦うなど愚か者のする事です!!」
王国兵48「か、構うなぁ!!続けるぞ!?」
王国兵's「」ジャキッ
護衛's「くっ!」ジャキッ
団長「もうよかろう!ワシらの背に隠れておけ!」
宣教師「っ…ならば私を殺しなさい!!」
王国兵48「は…!?」
682: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:06:17 ID:cv36kIUfMA
宣教師「さぁ!?」ザッ
団長「いい加減にせんか!」ガシッ
宣教師「離してください!」バッ
団長「なっ…?」
宣教師「どうしたのですか?私を殺して争いを続けてみせなさい!?」
王国兵47「な、なに言ってんだ、あの女は…?」
王国兵49「し、司祭様って本当なのか?」
王国兵50「小汚ない格好をしているが…あの金髪はまさしくそうだ!」
王国兵51「だ、だとしたら、なんでここにいる!?」
王国兵50「わ、分からん!だがあれは司祭様だ!俺も何度か城下の催しで見た事があるから間違いない!」
王国兵48「……掛かるぞ!!」
王国兵's「!!?」ピクッ
王国兵48「あいつが誰であろうと関係ない!!俺たちは負けられないんだ!?」
王国兵's「」オロオロ
王国兵48「行くぞぉ!!」ザッ
683: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:08:31 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……」ジーッ
王国兵48「……!どけっ!?本当に殺すぞ!?」ジャキッ
宣教師「やれるものなら、どうぞ!私は一歩も退きませんから!」ズイッ
王国兵48「ぐ…うぅっ!女の分際で出しゃばるな!!おとなしくしていれば生かしてやっても……」
宣教師「黙りなさい!!」
王国兵48「う……」ビリビリ
宣教師「殺すのか殺さないのか、はっきりしなさい」
王国兵48「な…ん、だとぉ…!?」ビキッビキッ
宣教師「この戦いを正しいと信じる、あなた方の覚悟に問いかけています」
王国兵48「……!?」
宣教師「あなたが正しいのなら、あなたに背く私は間違いを信じている事になる。間違っている者を裁く事にためらいなどいらないでしょう?」
王国兵48「そ、そんな単純な理屈じゃねぇんだ!もうどうにもならないんだよ!?」
宣教師「どうにもならない事など一つとしてありませんよ」
王国兵48「うるせぇ!?今さら遅いんだ!!」
宣教師「そうやって諦めて流されるから同じ事が繰り返されるのではないのですか!?」
王国兵48「じゃあどうすりゃいい!?信じた物がことごとく灰になるような虚しさを味わってもまだ…何かを信じなきゃならないのか!?」
王国兵48「俺たちは国王を信じてた!だが国王は俺たちをチェスの駒のように戦場に送り出して…その背景にあったのはホビットの取り合いだったと言うじゃないか!?」
宣教師「……」
王国兵48「救い主だかなんだか知らないが…民をないがしろにしてまで庇ってきたのがホビットだと!?バカにするのも大概にしろ!!」
684: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:12:33 ID:CoIvnYpYEw
宣教師「それはこっちのセリフです」
王国兵48「なに!?」
宣教師「民をないがしろにしてまで…?ホビットは民ではないと言うのですか?」
王国兵48「そ、それは…!」
宣教師「そこから抜け出せていないのであれば信じる物を見失ったとしてもおかしくはありませんね」
王国兵48「…そうさ。本当のところは誰もホビットなんか認めちゃいない」
宣教師「それはなぜ…?」
王国兵48「ホビットとの和平なんざ国が決めたことだ。俺たちがそう望んだんじゃない!」
宣教師「……」
王国兵48「俺たちの暮らしが豊かになっていくなら、まだしも…あんな奴らがいたとこで食い扶持が増えて民はますます凌ぎを削り合うだけだ!」
王国兵48「大陸総支配にしてもそうだ!牽制しながら水面下で奪い合う、この世界には必要で…いずれやらなきゃならない事なんだ!」
王国兵48「どんな形にしろ平和を目指して戦う以上、意義はある!お前たちこそ我々の邪魔をするな!?」
宣教師「今ある平和を壊して新たな平和を望むと?」
王国兵48「そうだとも…!これが最後の忠告だ!どけぇっ!!」
宣教師「……」
王国兵48「……!」
685: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:21:05 ID:cv36kIUfMA
宣教師「創造と破壊は表裏一体…確かにそれも一種のサダメなのかもしれませんね」
王国兵48「やっと分かったか…」
宣教師「ですが…その悪循環こそが進歩を妨げる最大の要因」ジッ
王国兵48「…まだ馬鹿げたことを」
宣教師「積み木遊びをしたことはありますか?」
王国兵48「ガキの頃にやったきりだが…それがどうした?」
宣教師「いくつもの型からなる積み木細工をより高く精巧に積み上げる満足感はたまらなく誇らしいものですよね」
王国兵48「なんの話だ…?」イラァッ
宣教師「裏腹に…丹念に組み上げた積み木を自らの手でバラバラに崩す瞬間もまた恐ろしい充足感を得られます」
王国兵48「……?」
宣教師「私達は生み出す喜びと破滅への憧れを同時に秘めた種族…それゆえに何度、平和を掴もうとも長続きする事がない」
王国兵48「哲学…ってやつか。俺には当たり前のことを難しく話してるようにしか見えんね」
宣教師「…私達、人間とホビットの違いはそこにあります」
王国兵48「は?」
宣教師「変化を望む人間と変化を拒むホビット。どちらも正しく、どちらも間違っている」
王国兵48「…あんた、さっきから何言ってんだ?」
宣教師「この両極端な属性がすんなり交わるとは思えません。
それでも『出来ないからやらない』では済ませられないのです」
王国兵48「……」
686: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:22:37 ID:cv36kIUfMA
宣教師「つまるところ、あなた方のしている事は単なる責任放棄です。
大陸総支配などど浮わついた理想を口にしても…その先の破滅は目に見えてます!」
王国兵48「あぁ!?」
宣教師「国の文句を言う前に自分たちが変わりなさい!ヒメく…国王は何度もその挫折を乗り越えてあなた方を含めた全国民を守ろうとしていたんですよ!!」
王国兵48「…あーそうか。よーく分かったよ」
宣教師「……」
王国兵48「実のところ…浅はかだったのは否めない」ジリッ
団長「……!」ジロッ
王国兵48「女を斬るのに気が引けて説得を試みたが…そういうことじゃないんだよな」グッ
宣教師「……」
王国兵48「いずれにしたって分かり合えないモン同士……何を語っても虚しいだけだぁ!!」バッ
団長「さ、させるかぁぁ!!」ダッ
ズバッ プシャアアアアアア
687: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:24:23 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……!?」
王国兵48「うっ…が…!」バタッ
王国兵50「すまん…」ブシュッ
宣教師「な、なぜ…?」
王国兵50「…いくら俺たちが庶民と言ったってあんたの事ぐらいは知ってる」
宣教師「……?」
王国兵50「俺の妻が病に掛かって寝込んだ時に娘が教会に助けを求めようと駆け込んだ事がある」
宣教師「……」
王国兵50「そん時にたまたま来ていたあんたが立場を顧みず妻を手厚く治療してくれたと娘が喜んで話してた」
宣教師「あの時の母子の…」
王国兵50「軍の宿舎に閉じ籠る俺たち兵士はなかなか家族の元に帰ってやれない。
だからなんだが…無償で何かと援助してくれる教団にはかなり助けられてる」
王国兵51「俺んとこもだ…。ヨボヨボのお袋を故郷に残して出ていっちまったから不安だったが…。
教団に相談したら僅かな寄付金と引き換えに世話役を付けてもらえた。おかげでお袋は今も元気だ」
王国兵52「…大恩ある司祭様を手に掛けるなんて、とてもじゃないが出来ない」
王国兵53「俺も…そこまで落ちぶれたくはないな」
宣教師「皆さん…」
王国兵48「げぐぐ…ぞぉっ……じにたぐ…ない…じにたぐ…ないぃ……」ズリッズリッ
宣教師「」ズキンッ
王国兵48「な…にが…し、さいだ…ひとご、ろし……ぐふっ」フッ
宣教師「………」ギュッ
688: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:26:32 ID:cv36kIUfMA
王国兵's「……」
宣教師「で、では…もう」
副官「なにをやってるんだ!?」
宣教師「」ビクッ
団長「や、奴は…貧民街で出くわした!?」
副官「いつまでも捜索を再開しないと思って来てみれば…戦いもせずにノロノロと!?」
宣教師「もう彼らは戦いませんよ!」
副官「なに!?」
宣教師「そうですよね!皆さ……」
王国兵50「オドアイル副官!!」
副官「……?」
王国兵50「これにおわすのは教団の司祭様にござる!」
副官「…だからどうした?」
王国兵50「どうか司祭様の命だけは保証してくださらぬか!?」
宣教師「え?」
副官「血迷ったか?情にほだされたか知らんが私情を持ち込むな、アホ共が!?」
王国兵's「……」
副官「そんな女…わざわざ生かしてやる価値などあるものか!
つべこべ言わずにさっさとそいつらを殲滅してヒメの行方を追うんだよ!!分かったか!?」
王国兵's「」ジロッ
副官「うっ…なんだ、その反抗的な態度は?」タジッ
王国兵50「副官殿!今一度お尋ね申す!!」ザッ
副官「き、貴様ら…兵の分際で…!」ギリッ
王国兵50「これなる要望はここに集いし全兵の総意にござる!!今一度ご検討願いたい!!」
副官「(うんぬぅぅぅ…!!ひ、非常に腹立たしいが…ここで統制力を弱める愚は避けたい…!)」ワナワナ
689: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:28:54 ID:cv36kIUfMA
副官「や、や、いいだろう?確かに彼女は失うには惜しい存在だ?副官の権限において保護を許可する!」ヒクッヒクッ
王国兵50「ありがたく!!」ザッ
宣教師「あ、あの…それって…?」オロオロ
王国兵50「これで心置きなく戦えますな」
宣教師「え?たたか……」
団長「ぬんっ!!」ザウッ
王国兵50「ぐばぶっ!!」ガシュッ
宣教師「団長さん!なにを!?」アセアセ
団長「下がっていろ!!」ブォンッ
王国兵51「げぉっ!!」ズガッ
宣教師「な、なんで…どうしたんですか!?もう…戦わなくたっていいじゃないですか!?」ウルッ
団長「無駄だ!!」
宣教師「」ピタッ
団長「訴えかけて止められるのなら陛下もそうしていた!!」
宣教師「……!?」
団長「たとえここで改心したとして…反逆に荷担した兵は皆、極刑は免れん!!」
宣教師「そ、そんな…」
団長「これだけの事態を招いた罪人が裁かれなければ司法は機能しなくなる!!
咎のない空間でまともにいられる者などおらん!誰もが簡単に許されていい国など存在しないのだ!!」
宣教師「……!」
団長「たとえ陛下が許されたとしても…こいつらを許せない者たちが新たな反乱分子となって膨れ上がるだろう。
自らが犯した罪の意識と他者に向けられる憎悪を背負って生きる道など選べる筈もない!」
宣教師「それは…そうかも、しれませんけど」
690: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:31:40 ID:CoIvnYpYEw
団長「切り伏せろぉぉ!!」ダッ
護衛's&賊徒's「りゃあああああ!!!」ダダダッ
副官「たかだか200にも満たない少数部隊だ!蹂躙してしまえ!!」
王国兵's「ぜぁぁああああ!!」ダダダッ
ガガンッ ギキンッ ズバッ ザシュッ ドバッ
宣教師「(許し合えないなら…この争いの果てに何が残ると言うのだろう?)」ツツー
宣教師「(私達は…どこを目指して戦っているの…?)」ポロッ
宣教師「」グシッ
宣教師「(…かつてアピシナもここで挫けてしまった。痛いほど…分かる)」
宣教師「(でも私は諦めない…諦めてたまるもんですか!)」キッ
宣教師「(せめて…この争いを目に焼き付けましょう…。いずれまた起きるであろう時に備えて…!)」ジーッ
宣教師「(この世界から争いをなくす為にも…私が真実を伝える宣教師となるっ…!)」ポロポロ
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