2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


596: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:10:01 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「ならおまえは具体的にどうするんだ?」

王国兵27「は?」

ヒメ「おまえが国王であったなら、まず何を第一に掲げるのかと聞いてるんだ?」

王国兵27「え?だ、だから良い国作るって……」アタフタ

ヒメ「はぁ……もう一度、質問するぞ?良い国を作るにあたって何をどうする?」

王国兵27「う…ぐっ…!あ、商いだ!商いをどんどんしてく!!金が流れなきゃ国は成り立たないからな!?」ムッ

ヒメ「へぇ…なかなか的を射てるな?」

王国兵27「あ、あたりめぇだ!大人を馬鹿にしてんじゃ……」

ヒメ「で、どうやって?」

王国兵27「あぁ!?」

ヒメ「民がおおらかに独立した商売をやっていける環境を作るにはどうすればいいのかと聞いてる?」

王国兵27「だ、だから!そりゃお前!か、金を…国が渡して……」アタフタ

ヒメ「補助金制度はとっくに導入してるよ。積極的に取り入れてもらう為にも城下の民間施設で定期的に新制度の説明会を開いてる。
それでもなかなか商売に踏み切れない者は多いし、その制度を悪用して不当に利益を得ようとする動きも見受けられる。
そういった悪意ある行動、無関心な民意を改善、抑止する為にはどうしたらいい?」ペラペラ

王国兵27「うぅ…」

ヒメ「それに商売をするにも資金だけじゃなく土地の確保や人員の募集、健全な就労条件、業務内容の見合わせ、そもそも需要があるかどうか、検討する事案を挙げればキリがないよな?」

王国兵27「く、く、くくぅ…!」ギリッ

ヒメ「ちなみに言っておくが商売人を志す者を後押し出来るよう学習院の高等科で商業学科の受講が可能になってる。
ゆくゆくはこれを全国的に増設して商業発展の要とし、経済的な影響が見込めるよう取り計らっていくつもりだ?
予算案は未だ協議の最中にあるが、そこは度外視してくれて構わないから、ここまでの説明を参考に意見を頂戴したい?」

王国兵27「あぐぅ…き、共通語で喋れや……何を言ってんだかさっぱりだ!?」ギリギリ

ヒメ「なんだ、この程度で?地位と名声が欲しくないのか?
国作りなんか簡単なんだろ?王たらしめる素晴らしい提案を聞かせてくれよ?」

王国兵27「こ、このクソガキィ…!!」ビキッビキッ
597: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:12:18 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「他にいないのか?我こそは国王に相応しいと唱える候補者は?」キョロキョロ

ザワザワ ザワザワ

ヒメ「僕に代わって出来ると断言するなら王座なんかいつでも明け渡してやるよ」

王国兵's「っ……」ゴクリ

ヒメ「そうすれば僕は憧れの平民になって好きなだけ自由な時間を堪能できるし、気兼ねなく友人も作れる?」

団長「……」ググッ

ヒメ「自分で選んだ職業にだって就けるし、行ってみたかった場所にも気の向くままに行ける」

護衛's「へ、陛下……」

ヒメ「寝る間も惜しんで思案する必要もなくなるし剣術の稽古や政治学の勉強もやめられる。
趣味を作って、夢を追って、年相応に自分の人生を楽しんで……」

ヒメ「ふふ。恋もしてみたいな?きっと素敵な人がどこかにいる…。
狭い城の中で着飾った女達や当て付けられた許嫁から自由に選ぶより、なにげなく出会った人とふれあいながら自然に生まれる感情に委ねたい?」キラキラ

副官「ぅっ…くっくっく!純情なことで?」プゥークスクス

王国兵's「(こ、国王って、そんな制限される立場なのか…?)」
598: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:15:01 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「ここまで聞いてなんとなく分かるだろうけど…おまえらが思うほどいいものじゃないぞ?」

ヒメ「責任は重いし、常に試され、疑われ、嫌われながらも期待に応えるという重圧に耐えて悩み抜かないといけない。
納得しきれない決断を迫られる場面も多くあるし、今みたいな裏切りにだって何度でも遭う?」

王国兵's「……!」タジッ

ヒメ「もし今、おまえ達が僕に向ける怒りや憎しみの感情を、その身で受ける事になっても…『自分が国王になった方が良い国作りが出来る』と無責任にのたまえるか?」

王国兵27「あ、いや……」

ヒメ「幾万もの人心に訴えかけようとすれば、そこに協調性なんて一欠片もない。
正解の分からない議論を不毛とも思えるほど繰り返し、吟味し、やっと実らせた結論を起こしても…結果が追い付かなければ全て白紙に戻して、また0からやり直しになる」

ヒメ「人が人の上に立つにはそれ相応の努力と覚悟が必要だ。
百人の上に立つなら百人分、千人なら千人分、1万人なら1万人分の働きをする気概がなければ到底務まらない役目だ」

王国兵's「」プルプル

ヒメ「この西国のように民を人として扱わず、武力にものを言わせて弾圧し、強制的に労働を強いて、対価も与えずに己の贅沢に充て、公務の一切を放棄するような独裁者なら誰にでも代わりが務まるさ?」

ヒメ「だけどそれは民の代表なんかじゃない!民を脅かす敵だ!」

王国兵's「」ピクッ
599: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:19:21 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「いいか?僕の政治に不満があるなら遠慮なく主張を通せ!」

王国兵's「!?」

ヒメ「その為に民間から役人に立候補出来る投票制度も作ったし、役所で意見投書も出来るようにしてあるだろ!?」

ヒメ「僕がいくら頑張ったところでやれる事なんか限られてるんだよ!
本気で自分たちの生活を豊かにしたいなら、なりふり構わず声を挙げろ!
デモでもストライキでもなんでもいい!国はおまえ達の物でもあるんだ!」

ヒメ「自由に叫べ!実行しろ!誰かをあてにしたら、その時点で望む変化は得られなくなるぞ!自分の望む未来を全力で開け!!」

ヒメ「王の為じゃなく国の為に戦え!!民は奴隷じゃないということを自らの行動で示せ!!」

ヒメ「僕の描く理想は民と造り上げる国家だ!僕はおまえ達の敵じゃない!」

ヒメ「たとえ全国民が僕を憎んでいたとしても…僕は国王の責務に殉じて民の味方であり続けると約束する!!
だから…僕個人を非難するも破滅に追いやるも好きにすればいい!!ただ…これだけは聞いてくれ!!」

ヒメ「同じ国に生きる民の間で殺し合うような真似だけはするな!!
おまえ達が戦うべき相手は僕だ!!不満も意見も何もかも僕にぶつけろ!!」

ヒメ「解決出来なくても、望んだ結果にならなくても、力不足でも…おまえ達が出した声を決して無駄にはしない!!」

王国兵's「〜〜〜!!!」ジワァァ

団長「ヒメ様…!」ウルウル

護衛's「陛下…」
600: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:22:30 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「…だからもう、こんな事はやめてくれ。
弱った西の国民を弄んで虐げる王国民の醜い姿を…長々と歴史に晒してほしくないんだ」

王国兵's「うっ…く、ぐふぅ…!!」ガチガチ

ヒメ「長く国を離れて戦ってきた、おまえ達の苦労はよく分かるよ…。
本当に感謝してるし、大変な役目を担わせて申し訳なかった…」

王国兵's「……」ブルブル

ヒメ「…出来ることなら王国の地で凱歌を挙げ、民衆の面前に英雄として立たせ、誇らしい気持ちでおまえ達を讃えてやりたかったよ」シュン

王国兵's「!!!」ブワァッ

団長「!?」

王国兵's「うおぉぉおお…おおぉぉおおぉぉおお……!!!」ポロポロ

ヒメ「……」

団長「こ、これは…」

護衛2「泣いて…いますな?」オロオロ

副官「はい、シャラーップ!!」ガンッ

王国兵's「」ビクッ

ヒメ「……」ジロッ
601: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:27:25 ID:3wYAsB3RjM
副官「ふんふん、あーそうですか。ご立派、ご立派。はい!国王陛下の素晴らしい御高説に惜しみ無い拍手を!」パチパチ

王国兵's「」オロオロ

ヒメ「……」

副官「や、しかし…あまっちょろい理想論は残忍な本性を包むベールでしかない?」

ザワザワ ザワザワ

副官「だいたいにして戦争を引き起こしてしまった張本人が何を口にしても説得力に欠けますなぁ?
意見だ、投書だ、平和ボケしたノンキな言論も血塗られた歴史の後ではなんと傲慢に映るものでしょうか?」

副官「いくらきれいごとにすり替えたところで本質的な部分は変わりませぬよ?
貴方は力で平和を勝ち取り、都合の悪い者を抹殺することで政を企てる為政者です?」

ヒメ「……」

副官「ですがそれは何も間違っておりませぬ?いやいや、むしろ正しい?国王としてあるべき姿と言えましょう!」

団長「おのれぇ…陛下を侮辱するかぁ!?」ズイッ

副官「やや、鼻息の荒い?私はお褒め差し上げてるのですよ?」

団長「なにぃ…!?」

副官「なんと言っても結局は力が全てを決する?いくら時代が流れても争いが尽きることはありえませぬ?」

副官「なればこそ我々は…平和などというおためごかしで、その事実を曲げてはならぬのですよ?」ニヤァァァ

団長「なんだと…?」
602: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:30:12 ID:lBZMgJx./k
副官「なぜなら、この広い大陸!魅力に溢れすぎている!
西の金山然り!南の心地よい気候然り!東の石膏技術然り!北の雪原然り!
王国の雄大な国土然り!!世界は常に我々を誘惑している!?」

副官「ともすれば我々の欲望が尽きるのはいつか!?そう!
全てを手にした時……ずばり大陸の総支配こそが真の平穏に繋がるのですよ!?」

団長「た、大陸の…総支配…!?」ワナワナ

副官「不可能と笑うかね?だが私は確信しておりますよ!
フィクサー総指揮の才知は易々とこれを実現されるであろうとねぇ!?」ニヤニヤ

ヒメ「そんなことをすれば……」

副官「おぉっとお待ちを!反論される前にご一考くださいませ?」

ヒメ「?」

副官「貴方はそれを既にやっているんですよ!?
西、東、南、王国、いったいどれほどの命を散らしたやら!?」

ヒメ「っ…!」

副官「敗者に語る言葉無し!正義は勝者の気心次第!
貴方の戯言はまさしく勝者の理屈ではございませぬかな?」ニヤニヤ

ヒメ「……!」
603: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:41:14 ID:3wYAsB3RjM
副官「どうです?ご自身を正当化する素敵なきれいごとは思い浮かびましたか?」

ヒメ「っ…!」

副官「ふっふっ…何を執着されておられたか知りませんが救い主を辺境地に隠したのは失敗でしたなぁ?
さっさと始末しておけば、ここまでの大事には至らなかったでしょうに?」

ヒメ「は!?」ピクッ

副官「ん…?」

ヒメ「なんで軍部のおまえがカロルの居場所を知ってるんだ?」

副官「や、以前から政務官殿にいろいろとお話を伺って……」

ヒメ「…まさかおまえら……」

副官「おやおや、なにやら思い付かれましたか?」ニヤニヤ

ヒメ「カロルが東領のミラルドにいた事を西国に流したのはおまえらだな!?」

副官「馬鹿げたことを…?ご自分の失敗を棚に挙げて責任転嫁ですか?」

ヒメ「ふざけるな!!僕が戦争を回避する為にどれだけ手を尽くしたか…!
おまえらが…おまえらが余計な真似をしたから…!?」ワナワナ

副官「存じませんなぁ?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったぞ…!フィクサーは最初から、こうなる事を見越してたんだな…!?」

副官「……」

団長「は…?ど、どういうことですか?」

ヒメ「さっきから聞いてれば、こいつの発言は戦争を肯定するものだ…!だとしたら……」

副官「だとしたら…?」ニヤニヤ
604: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:46:38 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「戦争を拡大するのが目的か…!だから王国を切り捨てたんだろ!?」

副官「んぅ……どうでしょうかねぇ?」ニヤニヤ

ヒメ「王国に戻れば戦争は終着し、徴兵に駆り出された兵は解散する…。
だからおまえらは西の国に留まり、確保した兵力と共に平定を進めて軍備の強化と国土の統治に重きを置いたんだな?」

王国兵's「え…?」ザワッ

ヒメ「自由意思で戦争を仕掛けられる国家を立ち上げるのが狙いだったんだろ!?」

副官「さすがお坊っちゃま。子供らしく想像力がたくましくていらっしゃる?だいぶ飛躍的ですがね?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったよ…。リルラがアントリアに促されて戦争に行き着く流れを作ったんだと思ってたけど…その裏で暗躍してたのはフィクサーだったんだ!」

団長「な、なんと…!?それはまことか!?」

副官「まぁまぁ…ね。もうお話はいいでしょう」ニヤリ

ヒメ「は…!?」
605: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:13:55 ID:3wYAsB3RjM
副官「さぁて、兵士の諸君にはお節介な説得なんていらんだろう?彼らに引導を渡してしまおうか?」

王国兵's「……」

副官「情にほだされてしまったら、それまでだよ?」

王国兵's「……!」

副官「それに諸君はまざまざと実感したんじゃないかなぁ?
その手で濡らした血が力の証明とするならば…何者もねじ伏せる力こそが正義を示す唯一の方法だと?」

ヒメ「踊らされるな!おまえたちは利用されてるだけだ!?」

副官「ハッハッハ!やぁ利用だなんて…ハッハッハ!いやいやいや……」ニヤニヤ

団長「黙れ!!貴様らの下卑た企みなど見え透いておるわ!?」

副官「現実的にねぇ…考えてもみましょうよ?」

団長「なにぃ…!?」

副官「そもそも王国にはお先がない?なにせ犠牲を払いすぎた?
国力を再生するには最低でも10年近くかかるでしょうが……それまでのんびり待ってもらえますかな?」

ヒメ「……!」

副官「加えて言うなら我々が勝利を手土産に王国に戻っていたと仮定してもね…。
政略に尽くして、ぐちゃぐちゃになった同盟関係の修復。共闘して弱まった東国、南国の面倒も見なきゃならない。
西国に講和条約を突き付け、統治もしてやらなきゃならない訳ですよ?」

ヒメ「……!」

副官「はっきり申し上げますとねぇ…。自国の復権さえままならない状況下で、これだけのことを平行していくなど不可能です?」

ヒメ「くっ…」ギリッ
606: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:15:38 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「そ、それでも…抑止力となる軍が戻っていれば時間を稼げたんだ…!」ワナワナ

副官「えぇ、でしょうね?ですがこちらからしますと…そんな面倒で時間の掛かる事をするより軍拡を進めた方が楽なんですよ?」

ヒメ「狂ってる…!平和を捨てて混沌とした戦乱の世に進ませるなんて…!?」ギリッ

副官「ハッハッハ……時代を造るのは国王だけじゃない。軍人は軍人らしく…戦いにロマンを求めないと?」ニヤニヤ

ヒメ「守るものを持たないで何が軍人だ…!おまえらが振りかざすのは単なる暴力じゃないか!」

副官「正解!」ビッ

ヒメ「……!」プルプル

副官「そろそろいいかなぁ…?」チラッ

王国兵's「」ブルブル

副官「お人好しのお坊っちゃまと心中するか、共に大陸総支配を目指し、世界の頂点に君臨する新国家を旗揚げするか…はたしてどちらがより夢のある現実かなぁ?」ニヤニヤ

王国兵's「……」ザザザッ

副官「賢い選択だ?」ウンウン

ヒメ「っ……」

団長「腐れ外道め…!?」
607: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:22:32 ID:lBZMgJx./k
副官「…さぁて、楽しい楽しい議論は閉幕。という訳で国王を生け捕りにし、存分に殺戮の限りを尽くしましょうか?」

王国兵's「」ジャキッ

ヒメ「おまえら……」

団長「…まだ分からんのか!?陛下がどれほど民を想い、努力されてきたか…!!」

王国兵's「」ギロッ

ヒメ「……」

副官「あ〜そうそう。国王を人質に取って交渉すれば王国に残した君らの親類演者は傷一つなく取り戻せるからね。張り切っていこー!」

王国兵27「国王陛下、申し訳ありません…」ジリッ

王国兵22「我々は引き際を見失いました…」ジリッ

王国兵30「弱肉強食…自然の理に習わせていただきましょう」ジリッ

王国兵31「大人になるとね…きれいごとだけではままならん事も分かってしまうのですよ」ジリッ

王国兵32「心苦しいが、ね」ジリッ

ヒメ「それがおまえらの答えか…!」

副官「かかれ!?」バッ

オォォォオオオオ!!!

ヒメ「団長!!」

団長「はっ!」

ヒメ「住民の避難は済んだ!時間稼ぎは十分だ!!退くぞ!!」

団長「ははっ!!ワシに続けぇ!!」ダッ

護衛's「おぉう!!」ダダダッ
608: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:25:10 ID:lBZMgJx./k
ガガァンッ! ギキンッ ギャリンッ

副官「ハッハッハ!!あがきますなぁ?」ニヤニヤ

王国兵33「お、オドアイル様!」

副官「ん?」

王国兵33「なにやら見知らぬ大群が迫ってるとの報告が……」

副官「は?」クルッ

ドドドドドドッ

王国兵33「あ、あれはいったい…」

副官「…な、なんだと?」ヒクッヒクッ

???「かかれぇ!!」ドドドッ

賊徒's「おぉおおお!!」ドドドッ

ドガァンッ!!

副官「なんの真似だぁ!?」カッ

王国兵33「急襲に備えられず陣形が崩されました!!」

王国兵34「覆っていた隊が蹴散らされたぞ…!」

副官「ちぃっ!!何をやってるぅ!?絶対にヒメを取り逃がすな!!
首一つにしても構わん!!奴だけはなにがなんでも…!」バッバッ

ワァーワァーギャーギャー!
609: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:30:23 ID:lBZMgJx./k
賊徒's「ウオラァァァ!!!」ドドドッ

ガガァンッ!

王国兵26「な、なんだこいつらは…どっから現れた…!?」アセアセ

ヒメ「何が起きてるんだ…!?」ギギッ

団長「分かりませんが…好機であることは確か!!」ブォンッ ザシュッ

護衛1「陛下!!」ザッ

ヒメ「お、おまえは…!逃げたんじゃなかったのか!?」ガィンッ

護衛1「陛下を救出しに参りました!」

ヒメ「なっ…どういうことだ!?」

護衛1「どうか速やかに避難を!?事情は追って説明します!!」

ヒメ「わ、分かった!!走るぞ!?」ダッ

団長「ははぁっ!!」ダッ

王国兵35「逃がすかぁ!!」ダッ

護衛1「邪魔するな!!」ヒュンッ

王国兵35「ぶほっ!?」ズドッ

護衛1「陛下は大道を歩まれるお方だ…!俺達ごときの為に立ち止まっていただく訳にはいかない!!」ブシュッ

王国兵36「おぉりゃああ!!!」ブンッ

護衛1「がはっ!」ズバッ

バタッ
610: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:31:31 ID:3wYAsB3RjM
王国兵36「追うぞっ!!……あん?」ググッ

護衛1「ゔ……ぐぎぎ…!」ガシッ

王国兵36「な、なんだこの…!しがみつくな!離せ!?」ガッガッ

護衛1「(陛下は尊いお方だ…!俺達なんかより…ずっと…!)」ギュウウ

王国兵36「な、なんなんだよ…!しつけぇな…!死に損ないのくせに…気味が悪いぞ!?」ゾゾゾッ

護衛1「(それなのに…それなのに…一介の護衛に過ぎない俺を……怯えて腰抜かした情けない俺を……身を挺して救おうとなさった…!!)」ウルウル

王国兵37「おらぁアンデッド野郎!?地べたに寝やがれ!?」ヒュンッ

護衛1「ごふっ!!」ズンッ

王国兵36「た、たすか……あ!?は、離れねぇ…!?」グッグッ

護衛1「(死んだって…いぃ……陛下に生き延びていただけるなら…)」フッ

王国兵36「死んでるよなぁ!?死んでんだよなぁ!?なぁ!?なんで全然離れねぇんだよ、こいつはよぉ!?」アワアワ

王国兵37「も、もう知るか!自分でなんとかしろ!?」ダッ

王国兵36「どうなってんだよ!こえー!こえーよ!?」ジタバタ
611: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:34:50 ID:3wYAsB3RjM
ザシュッ ドバッ ズドッ ガガァンッ

ギャアアアアアアアア

副官「どうなっているんだ…!何がどうなっているんだぁ!?あいつらはなんなんだぁ!?」

王国兵34「分かりません!!全く分かりません!!」アタフタ

???「よう、オドアイル?」ザッ

副官「はぁ!?……あ、貴方は!?」ギョギョッ

王国兵34「ドレッド軍長…!?」ギョギョッ

???(ドレッド)「久しぶりだなぁ?元気してたかよ?」ニィィッ

副官「な、なぜあんたが…!」

ドレッド「クックッ!なんでだろうなぁ?」

副官「(こ、こいつは確かに殺したはず…!?なぜ生きている…!?)」

ドレッド「さぁ…数はどっこいってとこだ?再会を祝して存分にやり合ってみようか?」ジャキッ

副官「で、出直すぞ!退けぃ!?」パカラッパカラッ

王国兵34「はっ!」パカラッパカラッ

ドレッド「けっ…フィクサーの腰巾着が?」ペッ

パカラッパカラッ………

ドレッド「しっかし…まさかこんな巡り合わせがあるとはな?俺の運も捨てたもんじゃねぇや?」ニヤリ

ドレッド「まずはここをケリ着けて国王陛下のツラでも拝んでみるか?」パシンッ

ワァーワァーギャーギャー
612: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:03:15 ID:m4Uz9RrgRI
―――西の国(街道沿いの窪地)―――

ヒメ「ぜぇっ…はっ…あぁ……」グッタリ

団長「陛下…!大事ござらんか!?」サスサス

ゾロゾロ ゾロゾロ

賊徒1「」クチャクチャ

賊徒2「かぁ〜…ぺっ」ビチャッ

団長「む!?貴様ら…何者だ!?」ジャキッ

???「まぁまぁそう凄むなよ?」ザッ

団長「……!」ジッ

???(クンバヤ)「俺の名はクンバヤ。ここにいるのはイアマンに命を捧げる穢れなき戦士達だ」

団長「い、イアマン…?」

宣教師「あ、ヒメくん!団長さん!怪我はありませんでしたか!?」タッタッ

団長「ぬ…宣教師!ひ、避難はどうした!?」

宣教師「住民の皆さんは、この方々が保護してくださいました!」

団長「なに…?敵ではないのか…?」

ヒメ「っ…うぅ…」ムクッ

団長「へ、陛下…!激しい切り合いを脱して間もないのですから、どうか御身を休めなさいませ…!?」

ヒメ「僕の…判断で……皆を死なせ、すべて台無しにしてしまうところだった…!」ギリッ

団長「な、何をおっしゃるか!ヒメ様の判断は正しゅうございましたぞ!?」

宣教師「そうですよ。むしろあのような惨劇さえ見放すようであれば私はキミに失望していました?」

ヒメ「いや、軽率だった…すまない……」
613: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:06:38 ID:UdCBQzYwOk
クンバヤ「息は整ったかい?」

ヒメ「あ、あぁ…」

クンバヤ「ま、いろいろと気掛かりだろうが、とりあえず俺達の活動拠点まで案内しようかい。話はそこでゆっくりと聞かせてもらう」

ヒメ「……」ジッ

クンバヤ「あぁ王様だったか?恭しくおもてなししてやったほうがいいかい?」

ヒメ「え…?」

クンバヤ「なんで知ってるか…ってぇツラだね?そう怪しむなよ?」ニヤニヤ

団長「ま、まさかフィクサーの手の者か!?」ジャキッ

宣教師「あ、すみません…話したの私です」オドオド

ヒメ&団長「!?」ガクッ

クンバヤ「んじゃ早速だが馬を貸してやろう。ちょいと荒っぽいが…あいにくと馬車なんて上等な品はねぇ。ケツを痛めるだろうが辛抱してもらえるかい?」

ヒメ「…」コクッ

クンバヤ「そんじゃ追っ手が来る前にさっさと移動しちまおう。付いてきな?」スタスタ

団長「むぅ…よろしいのですか?」

ヒメ「ここはおとなしく従おう…。さっきの戦いに割って入ったのがこいつらだとしたら…目的は僕じゃないかもしれない」

団長「そ、そもそもどういう経緯で奴らに助けを求めたのだ?」

宣教師「わ、私も街の外れまで住民の皆さんを避難誘導していたら彼らに出くわしまして…詳しいことは何も?」

クンバヤ「おい!なにモタモタしてんだ!来い!?」

宣教師「」ビクッ

ヒメ「なにしろ行ってみるしかないな…」スタスタ

団長「くっ…」スタスタ
614: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:09:02 ID:UdCBQzYwOk
〜〜〜夜〜〜〜

―――廃村―――

グルルルルル グルルルルル

クンバヤ「野良犬共が……っせぇおらぁ!?失せろ!?」ブンッ

キャンキャン! タタタッ

ヒメ「……」ゾクッ

ガッガッ ムシャムシャ

負傷者1「がちゅっ…ごりっ……ぐしょっ…」ムシャムシャ

団長「か、彼らは何を食べているのだ…?ずいぶん臭うが……」

クンバヤ「人の屍肉」スタスタ

団長&ヒメ&宣教師「」ビクッ

クンバヤ「食い物がほとんどねぇからな。なんでも再利用するんだよ」

ヒメ「よく平気で食えるな…!」

クンバヤ「食わなきゃ自分が食われる身になる。うちの国じゃ常識だ」

宣教師「ま、まさか…貧民街の人々も屍肉を食べて…」ゾワッ

ヒメ「そういえば人が死んだような話はたくさんあったけど…街には骨の一つもなかったな」ブルッ

団長「普通ではない…!」ゾゾゾッ
615: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:11:25 ID:m4Uz9RrgRI
クンバヤ「お、そうだ。知ってるか?人の骨ってよ、白くないんだぜ?」

宣教師「え…?」

クンバヤ「取り出したばっかだと、まだ血がたっぷり染み込んでるから肌色なんだよ。
そうだな…あんたの肌なんか陽に焼けてないからそっくりだ?」

宣教師「っ……うぶっ」ガクッ

ヒメ「お、おい!大丈夫か!?」ガシッ

クンバヤ「ふん…」ニヤリ

宣教師「〜〜〜!!」ウルウル

ヒメ「おまえ…!」キッ

クンバヤ「上品なあんたらにゃ聞いてられねぇか?最底辺の世間話はよ?」ニヤニヤ

ヒメ「くっ…!」

宣教師「おぇ…うぐぅ…!」

団長「しっかりせんか…!」サスサス

クンバヤ「ハハハ……」ニヤニヤ
973.18 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字