http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
356: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:15:42 ID:UavECGF.sw
宣教師「命惜しさに13歳の子供の尊い命を差し出すなんて…絶対に許されません!」
ヒメ「…いや、今14歳だから。もう大人だから」
宣教師「14歳なんて思春期じゃないですか!子供以外の何者でもありませんよ!」
ヒメ「僕の立場も考えろよ。一応、王様なんだからさぁ…?子供扱いされたら威厳とか無くなっちゃうだろ?」
宣教師「そんな事を気にしてる場合ですか!?」
ヒメ「一つの提案だろ?決定は別にして…意見としてはまともじゃないか?」
団長「な、なな…なにをおっしゃる!?」ギョギョッ
ラキア「へ、陛下…まさか自分を犠牲に全員を救おうと…せ、正義の鑑だ!?」ワナワナ
ヒメ「は?やだよ?死にたくないし?」キョトン
ラキア「えぇ!?で、ですが今まともな意見だと…!?」
ヒメ「意見は認めるよ。でもなるべくなら死にたくない」
外交官「もももも申し訳……申し訳ございませんぅぅ!!そ、そこまで頭が回らず…!」ビクビク
ヒメ「別にいいよ。皆も命懸けて戦おうとしてくれてるんだ。僕だけが優先されていい訳がない?」
外交官「そ、それは違います!陛下のお命こそ何より重要視されなければ…!?」
ヒメ「いいや、違わない。僕だって戦う為にここへ来たんだぞ?」
外交官「た、戦う!?陛下がですか!?いけません!いけませんぞ!?」
団長「そ、そうですぞ!戦闘は我らにお任せを!?」
ヒメ「ふん、やだね」プイッ
団長「や、やだねって…わがままは困りまするぞ!」アタフタ
ヒメ「オレは王様だからワガママ言っていいんだよ?」ツーン
団長「(ま、また始まった…!いざとなれば気を失わせてでも、お止めしなくては…)」ハァッ
357: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:21:15 ID:UavECGF.sw
アーダコーダ アージャナイコージャナイ
ヒメ「……だいたい意見は出揃ったか」
団長「うむ!やはりここは……」
宣教師「ホビット族に助けを求めるのが最善と言えるでしょうね」
ラキア「ホビットは心優しい種族です!きっと俺達の正義に応えてくれる!」
外交官「陛下の身柄を差し出す訳にはいきませんからな…はぁ……」
レーグ「た、頼んだからって助けてくれるとは限らないですが……しょうがないか」
ヒメ「じゃあ決定だな!宣教師、団長、外交官、頼んだぞ?」
宣教師&団長&外交官「えっ」
レーグ「最大戦力であるルフィアス団長を出払わせるのでございますか!?」
外交官「た、大変恐縮なのですが、どういった選定基準で…?」
ヒメ「ホビット族を説得するなら宣教師以上の適任者はいないし、外交官だって交渉術には長けてる筈だ?
二人だけで行かすのは危険だから団長を護衛に付けて守らせる。完璧な人選だろ?」
ラキア「陛下はどうされるんですか?」
ヒメ「ん?ここに残って戦うって言っただろ?」
ラキア「さすが勇敢だなぁ!それでこそ俺の命を預けるに相応しい!」
ヒメ「そんな重いの預かれるか?自分で管理しろよ?」
団長「…承知しました」
ヒメ「お?珍しく素直だな!」
団長「ワシが残りますゆえ、陛下が行ってくだされ?」
ヒメ「はぁ?おまえ、ちゃんと話聞いてたか?」
団長「対等な条件で交渉するのならば陛下が王国の代表として権威を示すべきです。
ワシらが説得を試みてもホビット族にしてみれば下っ端を使いに寄越されたようで気を悪くされるやもしれませぬ」
ヒメ「うーん…それもそうかもな」
宣教師「さりげなく私まで下っ端呼ばわりされて気分が悪いのですが…」
外交官「……」
358: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:30:13 ID:YvuzyYVhZU
ヒメ「僕から漂う気品に圧倒されてホビットたちが緊張してしまわないか心配だけどな!」エッヘン
宣教師「背丈が近いから親しみやすいんじゃないですか?」
ヒメ「は…!?」イラッ
宣教師「目線が同じ方が話しやすいでしょうし?」
ヒメ「僕の身長が低いって言いたいのか…!?」ヒクヒク
宣教師「私より小さいじゃないですか?」
ヒメ「おまえがでかすぎるんだよ!?僕は普通だ!?」
宣教師「そんなに大きくありませんけど?170cmくらいしかないですし?」
ヒメ「十分でかいよ!女のクセになんなんだよ!?」
宣教師「見たところ……150cm…?」ジーッ
ヒメ「そんな小さい訳あるか!?163cmだ!!」
宣教師「厚底は身長に含まれませんよ?」
ヒメ「」ギクッ
ラキア「自慢じゃないけど俺は185cmあります!」フフンッ
ヒメ「…身長を自慢した奴は禁固刑にする法律でも作ってやろうか?」ヒクッヒクッ
宣教師「自慢してませんよ?ただキミの背を指摘しただけです?」
ラキア「俺も自慢じゃないと断りました!」
ヒメ「だぁぁもう!じゃあ問答無用で死刑だぁ!?」ムキーッ
団長「お、おい!今はそんな話はよかろうが!?あまりヒメ様をからかうな!?」アセアセ
359: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:34:34 ID:YvuzyYVhZU
団長「では陛下と宣教師と外交官殿で東の国に向かっていただくという決定で問題ござらんな?」
宣教師「私は喜んで行きますよ。他国のホビット族とも交流をはかりたいですから?」
外交官「わたくしも異存ありませぬ……(戦場に留まるよりは安全だろうしな…)」
ヒメ「…しかたないな。やっぱり僕がいないとダメか」
団長「(ほっ…)」
ラキア「陛下たちが戻ってくるまで俺達が、ここを守り抜いてみせます!」
ヒメ「ふふ!おまえに似て頼もしい奴だな?」ニコッ
団長「! い、いやぁ…まだまだ未熟でござるが…?」デレデレ
ラキア「むむ…!」ジロッ
ヒメ「ま、おまえらに任せておけば僕も気兼ねなく東の国に行けるよ?」
団長「ふっ…!ふっふっふ…!」ニヤニヤ
ラキア「なにだらしない顔してんですか…。気持ち悪い?」シラー
団長「や、やかましい!」
レーグ「(私も戦場から離れて東の国に行きたい…)」ズーン
360: 爆発的に投下します! ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:22:51 ID:UdCBQzYwOk
―――西の国(帝都)―――
ガガッガガッ ガガッガガッ
ザスッザスッ ザスッザスッ
ドレッド「見えたな…」
副官「ほうほう!あれが本拠地ですか。やや、壮観だ!」
フィクサー「女帝の首は目前だ…。全兵に告げよ?ここを取れば我々の勝利だとな?」
副官「承知しました?」ニヤリ
ドレッド「なんだかんだとあんたの采配で俺達は連戦連勝ときたもんだ?
最初はビビりまくってた連中も自信がみなぎってイイ顔してやがるぜ?」ニヤリ
フィクサー「喜べ、ドレッド?」
ドレッド「……?」
フィクサー「間もなく我々の時代がやってくるぞ…?」ニヤリ
ドレッド「はぁ…?」
361: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:23:56 ID:UdCBQzYwOk
ゾロゾロ ゾロゾロ
副官「やあやあ諸君!今まで、よく尽くしてくれた?
おかげで被害は最小限に留まり、なおかつ数々の栄えある勝利を収められましたよ?」
王国兵's「……」キリッ
副官「ふんふん…どれも精悍な顔付きだ!もはや諸君らは疑うまでもなく兵士の眼差しを宿しているよ!」
副官「それはそうと、あれが見えるかな?そう、敵の本拠地…つまり最終決戦の舞台だ!」
王国兵's「……!」ググッ
副官「ここを勝ち抜けば、いよいよ長かった戦いは終わり、君たちの頑張りが大いに評価されるだろう?
勇猛果敢なる王国軍の兵士として惜しみ無い功績を残した全員に漏れ無く報酬が行き渡るという訳だ!」
王国兵's「おぉ…!」パァァ
副官「楽しみにしてるといい!見たこともない金銀財宝の雨霰が諸君らの頭上に降り注ぐ!
それだけじゃない!君たちは救国の勇士として母国の地を踏む事になるんだ!」
副官「すなわち英雄の凱旋!守られた家族、友人、恋人、見知らぬ人々まで君たちの無事に歓喜し、誇り、奮い起つ!!」
副官「生涯、噛み締めたらいいさ!皆を守ったのは誰か?国を救ったのは誰か?讃えられるべきは誰なのか!?」
副官「それは君だ!君だ!君だ!君だ!君だ!君だ!……君たちだ!?」ビシィッ
副官「国王も役人も関係ない!揺るぎない意思を持って命の限り、剣を振るった君たちこそが真の勝利者なのだ!?」
ウオォォオオオオオ!!!
副官「さぁさぁさぁ!!いよいよ以て我々の番が巡ってきた!ここに新たなる歴史を造り出す礎となろう!」
ドレッド「……は?」ポカーン
362: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:24:44 ID:m4Uz9RrgRI
副官「ここまでに一城を陥落せしめ、援軍を屠り、計10万にも昇る敵に打ち勝った諸君ならば…高まった士気に乗じて女帝を討つ事、容易いものと思われる!!」
副官「だがそれで満足してはいかん!いかんよ!?」
ザワワッ
副官「何故ならば今も再び争いの火種が各国に散り、禍々しく燃え移ろうとしているのだよ!」
副官「人は争う!懲りずに驕り、恐怖を忘れ、怒りのままに!何度も!何度でもだ!?」
副官「あぁ〜なんと愚かだろう!でも仕方ないさ!人間だもの!」
副官「そうなる以上、我々は戦い続け、勝利を掴まなければならない!
たとえ一部の国が滅び、数多の人々が病んでも…区別ある限り、人の世に平和は訪れないんだよ!」
副官「分かる!分かるよね?分かるだろう!?つまり真の最終目標は何かというと……」
副官「我が王国軍による大陸全土の総支配!!これによって争いは完結し、終わりなき平穏が約束される!!」
ドレッド「な、なに言ってんだ、あいつ?止めさせ……」
フィクサー「構うな」スッ
ドレッド「はぁ…!?あんな支離滅裂な演説、聞いてられるか!?」
フィクサー「わたしの決定に逆らうなと言った筈だ?」
ドレッド「け、決定だぁあ…?あんたの指示で、んなハチャメチャな演説をしてんのか…!?」
363: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:25:30 ID:m4Uz9RrgRI
ザワザワ ザワザワ
副官「だがしかぁし!!そこに理解を示せない者達がいる!それは果たして何者か!?」
王国兵's「???」
副官「そう!ご存知の通り…国王以下、従属する穢らわしき俗物達!
主は民としながら国政を維持し続ける意地汚い権力者共だよぉぉお!!!」
王国兵's「」オロオロ
副官「例えば…現国王、ヒメ!彼は幼くして即位し、人格、品性共に足る素晴らしき賢者であると謡われている?」
副官「だが実際、どうかなぁ?諸君らが満足するだけの安息を与えられているだろうか?」
副官「否!奴は本質を見失い、偉大なる王国の歴史を踏みにじるような政策を執り行う為政者である!!」
副官「あの雄大な国土がいかにして王国と名付けられたか?
我々が当たり前に感じてきた日々の中にどれだけの血と汗と涙が滲んできたか!」
副官「今は亡き、崇高な先駆者達が多岐に渡って造り上げた文明の叡知!!
尊い先人達が犠牲を投じてなお諦めず守り育てた豊かな土地の恵み!!」
副官「これらを築き上げたのは他ならぬ我々、人間である!!」
副官「だが国王……いや、奴はそれを何一つ理解せず蔑ろにしてしまっている!?」
ドレッド「(な、なに言ってやがる…?これから最後の戦いが控えてるってのに全く関係ない事を…?)」
364: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:28:18 ID:m4Uz9RrgRI
副官「全国民の共有財産である土地をあっけなく手放し、他種族に差し出してしまう軽薄な思考回路は、とうに知れ渡っているだろうさ?
大事な大事な血税をあろうことかホビットへの保証に充ててしまっている事もよくご存知の筈だ!?」
ザワザワ ヒソヒソ
副官「人材派遣と称し、各地の新事業に難民や職にあぶれた人々を斡旋しているが…。
それはつまりホビットにかまけた分の消費を人民による負担で補填しようとする馬鹿げた政策だ!」
副官「ホビットは働かずして王都のバックヤードを始めとした、あらゆる生活拠点に根付いている!!」
副官「そのバックヤードの開発費、住居や施設の改築費、建造費、維持費は甚大!
そして人の働きで生産された貴重な食料、生活用品、家具、衣類、水、火種、娯楽、諸々の資財が全て我々の税で賄われている現実!!」
副官「なぜ我々の納めた税が我々の為に使われないのか?私は不思議でしょうがない!」
副官「何が平等か!?何が差別廃止だ!?これではまるで人間差別じゃないか!?
笑わせる!笑わせるよ!さぁ笑え!ギャハハハハハ!!!」ゲラゲラ
シーン
副官「………ぅほん!えー…まぁ私が言いたいのはだね?
かのお坊ちゃま国王は決して人格者などではなく、ひたすらホビットに奉仕する事に喜びを覚える異常者であると」
副官「兵士となる前は善良な民として労働に身を捧げていた諸君なら、きっと分かってくれるものと思う!」
王国兵's「……」
副官「え?」アルェー
365: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:29:07 ID:m4Uz9RrgRI
王国兵1「…僭越ながら国王はお優しい方であるとお見受けします」
王国兵2「少なくとも我々は…以前の王政に比べ、心の暖かみや豊かさを一層感じられるようになりました」
王国兵3「半年に一度、無料で提供される国王専属農園の完熟苺を私も家族も楽しみにしております」
王国兵4「国王の意向により設立された民間の報道機関から発行される紙面を読む限りでは、とても好感の持てる発言、提案を数多く拝見しましたが…」
王国兵5「正直に申しますと我々は…国王に信頼を寄せています」
王国兵6「ホビットに対する手厚い待遇も優しさ故なのでは…?」
王国兵7「それに国民投票で選抜された役人の意見も身分に左右されず積極的に取り上げて下さっているそうですし…」
副官「………おやおやおやおや、呆れる。呆れるよ!呆れますねぇ!?」
王国兵's「」ビクッ
366: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:30:40 ID:m4Uz9RrgRI
副官「じゃあこの戦争はなんだね!?発端である国王はのんびり城で寛ぎ、ホビットは1割も参戦せず、戦場に駆り出されるのは僅かな軍人と寄せ集めの民間人ばかりときた!?」
副官「教団は後方支援と偽って安全な医療、補給班に回り、団員や難民を半強制的に徴兵に駆り出しておいて…参戦してすらいない司祭は大金をもらって自国でぬくぬくホビットのお世話だ!!」
王国兵's「……!」
副官「民間の広報?そんな物は圧力でいくらでも捏造出来るんだよ!!
無料で配られる苺なんて肥溜めから掬われた糞尿を撒き散らして毒物紛いの薬品をべちゃべちゃ染み込ませた腐敗栽培地の汚染物その物だ!?」
王国兵8「な、なぜオドアイル副官はそのように言い切れるのですか!?」
王国兵9「いくらなんでも非難の内容が不当に聞こえます!」
副官「なぜか?愚問だよ?我々、軍上層部は国政の真実を身近に体感しているのさ?」
王国兵's「……!?」
副官「何を隠そう今回の作戦において総指揮に任命されたフィクサー軍事指揮官は全役人を束ね、国政を揺り動かす最高官、リルラ政務官と密接に通じ合っておられた?」
副官「それがどういう事か分かるかね?なんなら余さず打ち明けてやってもいいんだよ?
我が国の闇を?君たちの知らない実情を?役人らの作り替えた事実を?そして国王の裏の顔も…?」
王国兵's「」ブルッ
367: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:32:10 ID:m4Uz9RrgRI
副官「君らは何も分かってなかったのか?そうやって都合良く騙された挙げ句の報われない仕打ちを先代の執政時に散々味わって…まだ気付かないと!?」
王国兵10「そう…かもな」ボソッ
王国兵11「お、おい!お前…!」
王国兵12「きゅ、急に言われても…何がなんだか…」オロオロ
副官「ならば決定的な事実を教えよう?」
王国兵's「」ピクッ
副官「此度の戦争が起こるに至った経緯は実に単純…救い主を巡ってヒメ陛下と女帝ファルージャがいがみ合ったからだ?」
王国兵's「……はい?」ポカーン
副官「救い主は知っているだろうね?そう!国王の親友であり、人とホビットの和睦を助けた救世主だ!」
副官「なんとその救い主が一部では癒しの力を有していると囁かれ、実際に目撃者も多数いると噂されているんだよ」
副官「もちろんそんな力は存在しないだろうが…最悪な事に国外へ漏れ伝わった噂はファルージャの耳に届き、驚くほどにあっさりと信じてしまった?」
副官「もう大体把握出来たかなぁ?そう、これは有りもしないおとぎ話に魅せられた暴君女帝と私的な感情で動く未熟な国王の巻き起こした…極めて個人的な喧嘩に過ぎないんだよ?」
王国兵's「……!」フツフツ
368: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:33:25 ID:m4Uz9RrgRI
副官「そろそろ怒りも沸いてきたかな?」ニヤニヤ
副官「だろうねぇ…国王は万にも昇る諸君の命よりも、たった1匹のホビットと結んだ友情を優先したのだから?」ニヤニヤ
王国兵12「っ……」ググッ
王国兵13「本当なのか…!?」ワナワナ
王国兵14「そんな筈……いや、でも…」
王国兵15「信じていたのに…っ!」ポロッ
王国兵14「……そんなこったろうと思ってたさ」ペッ
王国兵15「お、俺だって薄々感付いてたよ?今さらだっての!」
王国兵16「そうそう!よく考えろよな!あんなガキがまともに王様なんか出来やしないんだからさ!?」
王国兵17「くそぉ!?そんな理由で俺たちは戦わされてたのか!?」
王国兵18「…ここに来るまで何人の仲間が死んだと思ってんだ?
ホビットと仲良くする為なら…人間は死んでもいいって言うのかよ?」
王国兵19「そ、そういやホビットが集団で町や村を襲撃した時…真っ先に退治してくれたのはフィクサー軍長だったと聞いたぞ?」
王国兵20「あぁ、そんで国王の護身刀とか言われてる憲兵団長のダパーシとホビット贔屓の司祭は襲撃に関わったホビット連中を敢えて見逃したとか…」
王国兵21「なんだよ、それ…ますます馬鹿馬鹿しくなってきた。こんな戦いに命張って、どうすんだ?」
王国兵22「…西の国がイカれてるのは知ってたがウチも大概だな」
副官「(しめしめ…ようやく統制が乱れてきたな?)」ニヤニヤ
369: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:34:14 ID:m4Uz9RrgRI
副官「やっと分かってくれましたか…。時間は掛かったが共に戦う有志として団結を深められた事、まことに嬉しく思う!!」
副官「よって我々はここに…独立遊軍となる意思を宣誓しようじゃないか!!」
ザワッ
ドレッド「ど、独立遊軍…!?」
副官「今は矮小な一個大隊でしかないが…僅かながらの兵力で大国を揺るがした実績は証明済みだ?」
副官「強き者の下に人は集まり、弱き者のそばから足音は遠ざかる」
副官「それはなぜか…言うまでもないだろ?強者の懐に収まれば確実に守られるからだよ?
世の中の大多数は弱者であり、弱者は強者の影に隠れたいと願う。
ともすれば王の冠を戴く基準は血筋でも人格でもない!強者か否か!それだけさ!?」
副官「ならば答えは至極全うである!!弱者を蹴落とし、栄光を勝ち取るんだ!!」
副官「これまでを振り返れば危険な場面も多々あった!だがそこを乗り越えてきた諸君らであれば不可能な話ではない!」
副官「強者でありたければ力を示せ!?嘘に塗り固められた現実を憎むなら自分たちで真実を作り出すんだ!?」
王国兵's「……!」ゴォォォ
王国兵's「うっ……」グッ
王国兵's「おぉぉぉおおおおおおおお!!!!」バッ
オォォォオオオオオオオ………
副官「(はい、洗脳完了)」フイー
370: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:35:13 ID:m4Uz9RrgRI
フィクサー「適当な糾弾をまくし立てれば深く考えずに頷いてしまう…。
思い込みの強い国民性は、さすがに2年や3年では矯正されんな?」
ドレッド「お、おい…!あんたが言ってた俺達の時代がどうのってのはアレの事じゃないだろうな…!?」
フィクサー「呼応した者らの共鳴は我々を指導者と認め、新時代を切り開く剣となるよう切望している。応えねばなるまい?」
ドレッド「……!自分の国だぞ!?俺達が生まれ育った国だ!!分かってんのか!?」
フィクサー「……」
ドレッド「あんたにだって残してきた家族や仲間がいるだろうよ!?
大切な故郷を残虐な連中に侵させない為にも母国を守るのが俺達、兵士の役目じゃないのか!!」
フィクサー「……」
ドレッド「独立遊軍!?謳い文句だきゃご立派だが要は無作為に暴れまわる、ならず者の集団じゃねぇか!?
こんなくだらん話に全員を巻き込んで…あんた一体、何がしたいんだ!?」
フィクサー「そうか。分かってくれないか」
ドレッド「何を分かれと言うんだ!?この戦いで俺達は歴史に名を残す英雄になれるんだぞ!?
裏切り者の烙印を押されて悪名を語り継がれるなんざまっぴらだ!?」
フィクサー「…誰ぞの為と叫び、失ったところで、さして気にも病まない者らに尽くすのが、そんなに素晴らしい事なのか?」
ドレッド「はぁ…!?」
フィクサー「新時代の到来と共に歴史もまた生まれ変わる。その始まりにわたしの名をしたためよう」
フィクサー「誰もが戦いに身を費やし、争いが争いを呼び覚ます…。
純然と血を流し続けるツワモノ共の果てなき野心と憎悪の軌跡……。
そう。かつての終わらない争いを彷彿とさせる荒れ狂った時をわたしは感じたい」
ドレッド「(な…な……終わらない…争いだとぉ…!?)」
フィクサー「平和と安らぎに満ちた史書の何が面白い?
ありふれたページなど読み飛ばされ、忘却に沈みいくのを待つのみだ?
何かが巻き起こり、胸熱く疼かせる闘争本能に焦がれる至福は究極の娯楽と言って差し支えない?」
フィクサー「歴史とはこうあらねば…?それをなぜ拒み、つまらない日々に貴重な時を埋め込むのか?」
フィクサー「私利私欲で戦って何が悪い?俺を悪とするならば…己らの願望に平穏を組み込ませ、強制を促す貴様らの方がよほど罪深い…!」ギリッ
フィクサー「わたしは新時代の創造者たりえる傑物…この退屈に紛れ、忘れ去られる気など毛頭ない…」
ドレッド「(駄目だ…。こいつには何を言っても無駄だ…)」ボーゼン
371: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:39:21 ID:UdCBQzYwOk
カッカッ
フィクサー「……」チラッ
副官「あ゙〜…あ゙〜…やぁ〜喉を痛めてしまいましたよ?」ンンゥッ
フィクサー「なかなかの弁舌だったな。オドアイルよ?」
副官「いやぁ〜我らが国王陛下はお坊ちゃんながらに人気ですよ?よもや反発されるとは?
しかたなく勢いとでっち上げで畳み掛けてやったら、あっさり縮み上がりましたがね?」
フィクサー「ふっ…短い間に王の尊厳を民に思し召すとは器にかなう名声の持ち主ではあっ……!?」バッ
ビュンッ
ガキィィンッ!
ドレッド「ざ…けんなよぉ…!?」ギギギッ
フィクサー「…なんのマネだ?」ギギギッ
ドレッド「あんたに仕切らせたら……ズルズルと破滅に向かわされるだけだ…!?」ギギギッ
フィクサー「?」ギギギッ
ドレッド「だいたいにして今までも…そうだっ…友軍や身内を騙し、容赦なく…切り捨ててきたよな!?
城と共に…焼かれた奴らも…道中、制圧した領民や敵の援軍も…無抵抗の人間を!あそこまで徹底的に……殺すだけの理由があったか…!?」
フィクサー「ふっ…ふっふっ…」プルプル
ドレッド「な…に笑っ…!?」
フィクサー「殺すだけの理由…?ならば殺してはならない理由がどこにあった?」
ドレッド「あぁ……!?」
フィクサー「生かしておく必要のない連中を殺して何か問題でもあるのか…!?」ニヤァァ
ドレッド「やっぱり…あんたは…っ!!」
ドスッ!
ドレッド「」ピクッ
副官「ご納得いただけましたかな?ドレッド軍長?」グリグリ
ドレッド「ぎはっ!あぁぁがぁぁああ!!!」ボバッボフッ
372: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:40:04 ID:UdCBQzYwOk
パラパラ パラパラ
副官「イヤぁ〜な空模様ですなぁ?ポツポツと雨が……」
フィクサー「ちょうどいい。豪雨が激しく打ち付ける頃合いを見計らって作戦を決行するぞ」
副官「ははっ!」
ドレッド「」ダラァン
フィクサー「(誰かの植え付けた倫理観に操られ、あたかも己が正義と信じ込む。愚かしさに気付けぬ者共よ…)」
フィクサー「(これからはわたしが造り上げる真理を唱え、さまよい続けるがいいさ…)」
フィクサー「(終わりなき争いの世界でな…)」ニヤリ
???「……」ソーッ
373: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:41:01 ID:UdCBQzYwOk
―――東の国(城)―――
ミリア「……」ゲッソリ
東の高官「ミリア王妃…休まれてはいかがですか」
ミリア「…私は疲れておりませんことよ?」ニコッ
東の高官「…戦争が始まってからというもの、ほとんど睡眠を取っておられませんよ。お顔も少しやつれてしまわれた…?」
ミリア「ふふ……なぜだか眠くなりませんの。歳を取ると横臥するのも億劫で?」ニコニコ
東の高官「ご自愛なさいませ…。宰相殿に関してはまこと残念と申し上げるほかございませんが…」
ミリア「何も心配はしてませんよ?まだ王国の方々が戦ってくださってますもの?」ニコニコ
東の高官「……」
ミリア「ですが…南の国の方々や宰相殿には本当に申し訳なく想いますわ。
陛下と私がもっと上手にやれていたら…こんな事にはならなかったのかもしれません」
ミリア「戦争なんて…するべきではなかったのね。分かっていたつもりでも…こうなると心底、自らの過ちを悔いるばかりですわ?」ボーッ
東の高官「……」
ミリア「ふふ…そんなお顔をなさらないで?安心してよいのですよ?」ニコニコ
東の高官「は、はい…」
374: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:42:19 ID:UdCBQzYwOk
ミリア「…もしも兵が攻めてきたら皆さんで降伏を申し出なさい?」
ザワッ
ミリア「私の身柄を差し出せば…引き換えに救済措置も望めるでしょうから」
東の高官「そ、そんな事…出来る訳が…!」
ミリア「……」
東の高官「わ、私供は王妃様と共に死ぬ覚悟です!最後まで戦い抜きましょう!」
東の騎士「某もでござる!」ザッ
東の召し使い「わ、わ、私だって!」ブルッ
ミリア「あらら……」
375: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/29(日) 21:43:34 ID:UdCBQzYwOk
ミリア「あなた…家族は?」
東の高官「わ、私でございますか…?私は妻と二人の子がおります…。
王妃様にも何度かお目通しいただいたかと存じますが…」
ミリア「えぇ、若く美しい奥様で…二人の娘さんもとても可愛らしく仲睦まじい姉妹でしたわね?」ニコッ
東の高官「ま、まぁ…はは。照れますな…」
ミリア「あなたは?」
東の騎士「某は未婚だが…故郷には年老いた両親と四人の兄弟がおります」
ミリア「そう…。きっとご両親にとって城で働くあなたは誇らしいことでしょう?」ニコッ
東の騎士「い、いえ…!」
ミリア「あなたは?」
東の召し使い「わ、わわ、私は城下に石膏技師見習いの夫が…こ、子供はまだ…です」モジモジ
ミリア「…それなら、まだまだこれからですわね?」ニコッ
東の召し使い「は、はは、はいぃ!!」オドオド
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