http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
336: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:16:20 ID:1.PrppOx/o
参謀「(あぁ…そうか……)」ピクッピクッ
参謀「(この女が異常だったんじゃない…彼女の魅力に屈しまいと意地を張る僕が異常だったんだ……)」ウツラウツラ
参謀「(下品で…傲慢で…強欲で…性根から腐りきってるけれど……)」スーッ
参謀「(透明感のある澄んだ声色…細くしなやかでありながらハリのある曲線美……この世のものとは思えないほどに整いすぎたお顔……全身から滲み出る言い知れぬ魔性の魅力………)」キュッ
参謀「(勝ち目なんて……なかった……その…証拠に……)」ジッ
西兵's「」トロォン
参謀「(僕の兵も……)」
魔導師「(女王が喜んでる…。嬉しいなぁ…)」ウキウキ
参謀「(僕を殺したあいつも…)」
軍師「(脚をばたつかせて高笑いするサマもお美しい…)」ジーッ
参謀「(僕を育ててくれた師匠殿も……)」
ジョーオーウ!!! ジョーオーウ!!!
参謀「(だ…れも……ぼく、を…みてい……ない)」ダラァァァン
ファルージャ「クスス…退屈が紛れたわ…。そなたには感謝しておるぞ…?」ジッ
参謀「」ドキンッ
ファルージャ「来世でもまた妾を楽しませておくれな…?」クスッ
参謀「あ……あ…」ドキンッドキンッ
参謀「」フッ
ファルージャ「さぁて…そろそろ本命が届く頃かえ…?」ペロリ
魔導師「」ゴクリ
軍師「(な、なんと色っぽい舌使い…!)」ハナヂ タラー
337: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:24:58 ID:UavECGF.sw
―――ミラルドの町(孤児院)―――
ミシング「……」ボーッ
孤児1「ミシングねえちゃん!あそぼ!」グイグイ
孤児2「ぼくもー」グイグイ
ミシング「ん……うん、いいよー?なにしよっか?」
孤児1「勇者ごっこ!」
孤児2「じゃあぼく勇者やる!」
孤児1「勇者はぼく!」
孤児2「ぼくも勇者がいい!」
孤児1「おまえは悪者なの!」
孤児2「やーだー!ぼくが勇者だい!」
ミシング「はいはい。ケンカしないの!二人とも勇者!ね?」
孤児1「やだよ!ぼくが勇者だもん!」
孤児2「ぼくだってば!」
ミシング「がおー!!」バッ
孤児1、2「」ビクッ
ミシング「美人大怪獣ミシングちゃんが大暴れしちゃうぞー?がおー!!」ドタドタ
孤児1「わー!にげろー!」タタタッ
孤児2「あはははは!」タタタッ
ミシング「まてー!食べ散らかしちゃうもんねー!」タタタッ
ドタドタ バタバタ キャハハハハハハハ
338: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:27:10 ID:YvuzyYVhZU
―――孤児院(談話室)―――
宣教師「院の扉にこの置き手紙が…?」
母「…」コクッ
宣教師「……」カサッ
『いやしの ちからは いただきよ〜ん By.シャルウィン(はぁと)』
宣教師「……!」クシャクシャッ
母「すみません…。ご迷惑おかけして…」
宣教師「迷惑なんかではありません!」ズイッ
母「」ビクッ
宣教師「…事情を知っていながら何も対策していなかった私の責任です…!」プルプル
母「そ、そんな…あたしも移り住んでからは安心していて…目を離しがちでしたから…」オロオロ
宣教師「お母様は悪くありません…。私が責任を以て二人を救ってみせます!」
母「…あ、あたしも一緒に!」ガタッ
宣教師「いえ…お母様は残ってください」
母「でも…あたし達の問題なのに…いつも任せきりにして…」
宣教師「そうではありませんよ。私達、人間があなた方を巻き込んでしまっているのです」
母「……」
宣教師「ヒメくんもミシングの報せが届けば、すぐに対処してくれるでしょう。お母様は普段通りにお願いします」
母「ふ、普段通り…?」
宣教師「まだ幼い子たちは何も分かっていませんが…ルーボイくんとナラちゃんはとても落ち込んでいる筈です。どうかお母様から励ましてあげてください」
母「……!そ、そうよね…。あたしったら…また自分の事ばっかり…」ズーン
宣教師「しかたないですよ…。一番、身近な存在なのですから…?」
母「……」キュッ
宣教師「ですがみんなにとっても今やお母様とカロルくんは欠かせない家族となってます…。辛く苦しい状況だと窺えますが…年長者としてみんなを支えてはいただけませんか?」
母「分かりました…」
宣教師「…ありがとうございます」ペコッ
339: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:29:43 ID:YvuzyYVhZU
ガチャッ
孤児1「いんちょー!」タタタッ
孤児2「いんちょーもあそぼうよ!」グイグイ
宣教師「きゃっ!す、すみません!ちょっと大事な用事があって、また出掛けないと…?」アセアセ
孤児1「えー!なんで!?」
孤児2「いんちょー、いっつもでかけちゃうじゃん!」
ミシング「ダメダメ、おチビちゃん達!今、大事なお話してるんだから?」スタスタ
母「あ、大丈夫よ?もう終わりましたから?」ニコッ
ミシング「……マリーさん」
母「…ごはんの支度しなくちゃ!宣教師様も食べていかれたら?」ニコニコ
宣教師「え…あ、あの…私は…もう行きますから…お食事はまたの機会に…?」アセアセ
孤児1「ママのごはん、まずいからきらーい」
孤児2「ぼくもー」
宣教師「!?」ギョギョッ
母「あら、最近はミシングさんに教わって上達してきてるのよ?今日こそウンと食べてもらうんだから!」
ミシング「そうそう!マリーさんの炊いたご飯はお焦げが付いてて美味しいよー!」
孤児1「やっぱりコゲコゲじゃーん」
母「まぁ!ミシングさんったら?」
キャハハハハハハハ
宣教師「(…すっかり馴染んでますね。良かったです)」ニコッ
340: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:31:19 ID:YvuzyYVhZU
―――ミラルドの町(大通り)―――
ルーボイ「……」キョロキョロ
ナラ「…さがしたっていないよ。みんなしんぱいするから、かえろ?」
ルーボイ「……」ガサガサ
ナラ「ルーボイ!」スッ
ルーボイ「うるっせぇ!!」バッ
ナラ「」ビクッ
ルーボイ「……」スタスタ
ナラ「か、かってに…すれば!」プンスカ
ルーボイ「……」ガサガサ
ナラ「ルーボイのバカ!」ダッ
タタタッ………
ルーボイ「……」ガサガサ
宣教師「いけませんね。女の子を怒鳴ったりしては?」ザッ
ルーボイ「……!」ビクッ
341: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:32:57 ID:UavECGF.sw
ルーボイ「い、いたのかよ…。あいつが連れてかれたからか…?」
宣教師「…それもありますが久しぶりに皆さんと顔を合わせたいと思いまして?」ニコッ
ルーボイ「……なぁ、宣教師様」
宣教師「はい、なんでしょう?」
ルーボイ「パッチ…まだ見つかんねーの?」
宣教師「…えぇ、個人的に探し続けてますが未だ見つかってません」
ルーボイ「……」
宣教師「……」
ルーボイ「俺…パッチが消えていっちゃうの止めれなかった」シュン
宣教師「ルーボイくん…」
ルーボイ「友達なくして…すっげーイヤだった」
宣教師「……」オロオロ
ルーボイ「だから…カロルとラムは……なくしたくない」
宣教師「……」
ルーボイ「あいつらも…いなくなっちゃったら…俺、どうなるんだろ…?」ブルッ
宣教師「」ダキッ
ルーボイ「!?」ポフッ
宣教師「取り戻しますよ…。必ず?」ポンポン
ルーボイ「」ジワァァ
342: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:36:42 ID:UavECGF.sw
宣教師「ナラちゃんも出てきていいんですよ?」チラッ
ナラ「」ビクッ
ルーボイ「っ…な、ナラ?帰ったんじゃ…!?」ビクッ
宣教師「心配して見守ってくれてたんですよね?」ニコッ
ナラ「」コクッ
ルーボイ「な、ナラ…」
宣教師「仲直りしましょうか?」ニコニコ
ルーボイ「ど…どなって…ごめんな?」グシッ
ナラ「……うん」グスッ
宣教師「ふふ。泣いてばかりいてはいけませんよ?キミたちは院のお兄さん、お姉さんなのですから?」ナデナデ
ルーボイ「う…えっ……うんっ…」ギュウウウ
」
ナラ「…っ……」ゴシゴシ
宣教師「…またみんなで楽しく笑える日が来ますから少しの間、我慢してくださいね?」ニコニコ
ルーボイ「…おぅ」ズビー
ナラ「がんばって、ね…」ウルウル
宣教師「はい。お任せください?」ニコニコ
343: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:40:32 ID:YvuzyYVhZU
―――王国領(国境警備城塞)―――
ワァーワァーギャーギャー
「い、急げぇ!!西の軍が攻めてくるまで1ヶ月と掛からんぞぉ!!」ダダダッ
ドタドタ バタバタ
「運び出した武器の調整を怠るなよ!錆びて使えんでは話にならんぞ!」
ガラガラ ドシンドシン
団長「……」
警備隊長「此度はよくぞお越しくださいました。わたくしはこの城の警護を任されております、レーグと申します」ペコッ
団長「王家直属親衛隊、近衛師団長、ダパーシ・ルフィアスと申す。
微力であるとは存じるが、そちらと共に城塞の守護を仰せつかった。よろしく頼む?」スッ
警備隊長(レーグ)「いやいや!国家反乱を諌めた立役者であるとされる貴方と共に戦えるなど身に余る光栄!」パシッ
団長「ワシはあの場に居合わせただけだ。全ては国王と救い主の成した偉業に他ならん」パシッ
レーグ「ご謙遜を!ルフィアス殿は王国最強の剣士であると伺っております!
どうかその逞しく勇敢な腕を我らにお貸しくださいますればと!」パッ
団長「気遣わなくとも結構だ。ここにおる以上は慎み、指揮官であるレーグ殿の采配にお委ねしよう」
レーグ「は?ルフィアス殿が指揮を執られるのでは?」キョトン
団長「ワシは軍略に携わる類いの役割とは無縁だ。国王の身辺警護を旨とする私兵に過ぎん」
レーグ「そ、そうは申されましても…わたくしはてっきりルフィアス殿が指揮されるものかとばかり?」
団長「? 何か気掛かりでもおありか?」
レーグ「……」モゴモゴ
344: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:43:49 ID:YvuzyYVhZU
レーグ「じ、実はわたくし…争い事に直面するのは今回が初めてでして…」オロオロ
団長「それはそうであろうが…国境警備を務めていたのであれば多少なりとも備えておられたのでは?」ジロッ
レーグ「は、恥ずかしながら申し上げますれば…平和協定が硬く守られた現在まで、この城は国家間の行き来を審査、承認する関所のような役割を持っておりまして?」オドオド
団長「詰まる所…国境警備とは名ばかりのお役所仕事しかしてこなかったと?」
レーグ「…い、一応は不測の事態に備え、訓練されておりますが」オドオド
団長「兵の数は?」
レーグ「い、1万ほどになります…」オドオド
団長「……」
レーグ「も、申し訳ございません!まさかこのような日が来ようとは夢にも思わず…!」ペコッ
団長「お気に召されるな?」ポンッ
レーグ「」ビクッ
団長「…ワシも貴殿も同国の勇士として国家に殉ずる立場だ。こうなってしまった以上は仕方なかろう?」スッ
レーグ「……!」ブルブル
団長「委細、承知した。後で再度、煮詰め直そう」スタスタ
レーグ「うぅぅ……なんで、こんな事にぃ……」ガクガク
345: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:45:34 ID:YvuzyYVhZU
―――国境警備城塞(客室)―――
団長「城主は年老いた外交官、警備兵は役人同然ときたか…。まったく…頭を悩ませるばかりだな?」
副長「は、はは…気が立っておられますな?紅茶でも淹れましょうか?」
団長「いらんよ…。悠長に茶など啜ってられるか」
副長「そ、そうですか…」
団長「…この城が落ちれば王国は滅びるのだぞ。戦った事がないので不安です等と漏らされてもな?」
副長「危機感が足りなかったと言えば、それまでですが…平穏を信じたくなる気持ちも分かりますよ」
団長「……分かっとるよ。誰も責められん。こうなるべきではなかったのだ」
副長「この城の警備で侵攻は防げそうなのですか?」
団長「無理だな。1日ともたず突破されるだろう」
副長「……」
団長「無論、諦める気はないがな。王都に援軍を要請してある。もうじき到着する筈だ」
副長「おぉ…!」
団長「と、言ってもせいぜい2万弱だろうがな…」
副長「合わせて3万ですか…。西の軍はどれほどの規模で侵攻を?」
団長「およそ14万の兵が進軍しておるそうだ」
副長「じゅ、じゅう…よんまん…ですか!?」
団長「唯一の頼みの綱は西の国を攻めている王国軍だが…間に合うかどうか?」
副長「」ゴクリ
346: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:47:58 ID:YvuzyYVhZU
〜〜〜1週間後〜〜〜
レーグ「ルフィアス殿!援軍が!援軍が到着しました!」パァァ
団長「む?そうか…。おい!」
副長「はっ!今のところは物見の報告も挙がっておりません!」ピシッ
団長「……何か動きがあったら即座に鐘を鳴らせ」スタスタ
副長「はっ!」
レーグ「わ、私もお供致しましょう!」スタスタ
347: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:48:55 ID:UavECGF.sw
ゾロゾロ ワラワラ
ワイワイガヤガヤ
団長「……!?」ワナワナ
ヒメ「来てやったぞ?」ニヤリ
団長「へ、へへ、陛下ぁぁああ!?な、なぜここに!?」ギョギョッ
レーグ「こ、国王陛下が…直々に…!?」
ヒメ「おまえらだけじゃ心許ないんだろ?僕も手伝ってやるよ?」
団長「いぃぃいけません!いけません!いけません!いけませんぞ、陛下ぁああ!!危険ですから王都にお戻りくだされ!?」アタフタ
レーグ「そ、そうです!畏れながら陛下のお命に関わるかと存じます!?どうか引き返していただきますればと!?」
ヒメ「」イラッ
団長「いくらなんでも無茶が過ぎますぞ!?今回ばかりはお控えなされ!?」アタフタ
ヒメ「ほー?そうか、そうか?僕は邪魔者か?足手まといか?」イライラ
団長「い、いや…そういうことではなく…」タジッ
ヒメ「人がせっかく1週間も掛けて足を運んでやったのに着いた途端、休む間もなく問答無用で帰れと?」イライラ
団長「うっ……」
レーグ「あ、あの…しかしですね…?」オロオロ
ヒメ「とんだ忠義者だな、おまえらは?」ギロッ
団長「……」ダラダラ
レーグ「い、いえ…」ダラダラ
348: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:51:30 ID:YvuzyYVhZU
ヒメ「とりあえず5万人、戦える人間を集めてやったぞ」フフンッ
レーグ「ご、5万!?そんな数をどうやって!?」
ヒメ「王都の兵だけじゃ足りないだろうから道中、立ち寄った町や村を片っ端から当たってみたんだ。
一応は僕も国王だからな。皆、恭しく呼び掛けに応じてくれたよ」
レーグ「そ、それは頼もしゅうございます!」
ヒメ「政務官が全国の憲兵、各領主の私兵、賞金稼ぎや傭兵も集めてくれたんだ?」
レーグ「おぉ!我が主もリルラ様に仕えております!大変、喜ばれるでしょう!」
団長「リルラが…!?奴め、なぜお止めしなかったのだ!?」
ヒメ「助っ人もいるぞ?」
団長「は…!?」
ラキア「父上ー!!」ダダダッ
団長「ら、ラキア!なぜお前まで…!」
宣教師「私もお忘れなく?」スタスタ
団長「君もか!?」
ラキア「悪を挫き、正義に生きる!俺がいる限り、西の国の好きにはさせない!」シャキーン
宣教師「あの巡礼の時のように力を合わせ、平和を勝ち得ましょう!」
団長「……!」
アリアス「あたしもい………」ザッ
ヒメ「さぁ!ここからは王国の総力戦だ!皆の力を一つにして西の軍を追い返すぞ!!」
オォォォオオオオオ!!!
アリアス「……」ポツン
349: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:55:13 ID:YvuzyYVhZU
―――国境警備城塞(城主の間)―――
ヒメ「悪いが少しの間、おまえの席を借りるぞ?」
外交官「め、滅相も!?国王様に座っていただけるなど光栄の至りにございまする!座り心地が気に入らなければ、すぐに替えをご用意しますゆえ!?」アセアセ
ヒメ「そんなにかしこまらなくていいよ。城主はおまえなんだから楽にしていろ?」
外交官「そ、そうもいきませぬ…!国王陛下自ら御助勢くださるなど…まこと…まっこと感涙してございまする!」ウルウル
ヒメ「…大袈裟な奴?ま、いいや!団長!おおよそは見当が付いてるのか?」
団長「は、はい…!現在、敵軍はこちらに進行中、その数およそ14万と見られる!」
ザワッ
外交官「14万…!?」
レーグ「こちらの倍以上ではございませぬか…!?」ブルッ
ヒメ「…おたつくな!」
シーン
ヒメ「南国軍との戦いで奴らは二人の指揮官を失ってる。これは大きい」
団長「うむ…ですが単純な力比べでは確実に分が悪いのも確かでござる」
ラキア「父上ともあろうお方が怖じ気づいたか!敵が多いのなら一人で大勢、倒せばいい!」
団長「バカ者!?こちらは経験もなく、訓練もしておらん民間人が主戦力なのだぞ!?
敵は血に慣れた生粋の軍人!対して我々は統率の難しい寄せ集めだ!そんな子供染みた理屈が通用するか!?」
ラキア「だったら俺が一人で10万人、倒してやるさ!!」
団長「おう!出来るものならやってみせろ!後で泣き言を言ってもワシは助けんぞ!?」
ラキア「あんたの助けなんかいるか!腰抜けめ!?」
団長「貴様、父に向かってなんたる言い様……」
宣教師「」パンッパンッ
団長&ラキア「」ビクッ
宣教師「口喧嘩ではなく話し合いをしましょう?」ニコッ
団長&ラキア「……!」ムグッ
350: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:58:13 ID:YvuzyYVhZU
宣教師「具体的にはどのように戦うのですか?まさか真正面から…という訳ではありませんよね?」
団長「籠城し、攻め登る敵を迎え撃つしかあるまい」
宣教師「城の構造は?」
レーグ「階層は6つに分かれており、地上4階、地下2階となっております!」
宣教師「見たところ外壁は鉄を使ったものみたいですね」
外交官「い、一応は国境に位置しますゆえ…強度には自信がございます」
宣教師「ふむふむ…それなら…もしかすると…」ウンウン
団長「な、何か閃いたのか…!?」ゴクリ
宣教師「え?いえ、特には…」
団長「(思わせ振りな…)」ガクッ
351: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:59:37 ID:UavECGF.sw
ヒメ「兵糧はあるだけ積んできたし武器も行き渡るように手配してある。問題なのは数だ」
団長「うむ…。しかしもはや王国で集められる限界に達しております。ここにいる人間だけでどうにかせねば……」
ヒメ「それなんだけどな。実は宣教師が預かってるホビット族も協力してくれるみたいなんだ?」
団長「なに!?そうなのか!?」
宣教師「はい。私たち人間の問題に皆さんまで巻き込みたくはなかったのですが…」
外交官「ほ、ホビット…?あんな連中に頼って大丈夫なのですか…?」
宣教師「それはどういう意味ですか?」キッ
外交官「い、いや…」
ヒメ「ホビットも王国民としての自覚を持って立ち上がってくれたんだ。
こんなにありがたい話を受けない訳にはいかないな?」
外交官「……」
レーグ「そ、そのホビットたちはいかほどの数で?」
宣教師「1万ほど…6日後には到着する見込みです」
団長「1万か…。それでもやっと敵の半数だな」
ラキア「十分だ!これで戦える!」
ヒメ「いや、圧倒的に足りない」
ラキア「え…!?」
団長「……」
宣教師「……」
レーグ「……!」
外交官「や、やはり…無理なのか」ガクッ
ヒメ「項垂れるな!」
ザワッ
352: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:01:59 ID:YvuzyYVhZU
ヒメ「まだあてはある…。国内に限らなければな?」
団長「ま、まさか…!?」
外交官「そうか!参戦していない同盟国に……」
ヒメ「いや、そうじゃない」
外交官「は?で、ではどこに助けを求めようと…?」
ヒメ「東の国だ」
外交官&レーグ「ひ、ひひ……東の国ぃぃ!?」ギョギョッ
団長「東国軍は既に全滅しておるのでは…?」
ヒメ「あぁ、でもあの国には他にない特殊な領土が存在するんだ」
ラキア「と、特殊な領土…?ま、まさか正義の科学者によって秘密裏に開発された超大型兵器の製造工場が!?」
団長「そんな訳があるか!?誰だ、正義の科学者とは!?」
ヒメ「兵器とかそういうのじゃないけど…要は東の国土の一部がホビット族の領土として区画されているんだ」
宣教師「東の国の方々はホビットと共存してるのですか?」パァァ
ヒメ「残念だけど、それも違う。領土を分け与える事によってホビットと完全に決別してるらしい?」
宣教師「け、決別……ですか」シュン
ラキア「関わらずにいられる分、差別されるよりはマシなんじゃないですか?」
ヒメ「…まぁそんなのはいい。僕が言いたいのは東のホビット族を説得して共闘を持ち掛けようという話だ」
外交官「た、他国のホビットに…!?」
レーグ「か、可能なのですか…?」
ヒメ「…難しいだろうけど残った同盟国は信用ならないし、今から助けを求めるにも時間が無さすぎる。
東の国なら隣合わせで比較的、近いし無下にされる心配もない」
353: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:04:32 ID:UavECGF.sw
レーグ「っ…ですが正直、自国のホビットでさえ不安なのに」
宣教師「何が言いたいんです?」ジッ
レーグ「…い、以前に西領各地でホビット族が人里を襲撃し、大量虐殺を繰り返す問題が度々、話題に登ったじゃございませんか…。
そ、そんな連中を大事な戦いに加えて…もし裏切りにでも遭ったら…」
宣教師「なら私たちはどうなんです?」キッ
レーグ「え…?」
宣教師「ここにいる全員を含め、私たち王国民は今までホビット族を不当に差別してきました。
労働力や見世物として奴隷のように扱い、虐待し、執拗になじり、意味もなく殺戮の限りを尽くしてきたんですよ?」
レーグ「わ、私はそのような…?」
宣教師「いいえ、疑わず無関心に振る舞ってきた者は皆、彼らの眼を通せば差別した人間と同罪です」
レーグ「…あ、揚げ足取りじゃございませんか」
宣教師「何が揚げ足取りなのですか?」
レーグ「……」
宣教師「そうやって責任を逃れようとしても事実は変わりませんよ?
あなたも私も皆、往々にして、この罪と向き合わなければならないのです!」
レーグ「くっ…だ、だから私が言うのはホビット族と人間の関係性を考えるにあたり、不安要素が無い訳ではないと…!」
外交官「い、一理ある!現に巡礼の際も争いを仕掛けたのはホビットからであった!」ウンウン
宣教師「罪無き者に疑惑を向け、団結を乱そうとするあなた達の方がよほど信用なりませんね!」
外交官「な、なにを小娘が偉そうに!?」ガタッ
ヒメ「座れ!」
外交官「へ、陛下はこの無礼な娘の肩を持つのですか!?」
ヒメ「僕は公平な立場でいるつもりだ。だが会議の場で興奮した者を諌めない訳にもいかない?」
外交官「っ……」
ヒメ「多少、声を荒げるのは構わない。意見交換の範疇ならな?」
外交官「……!」ドッカ
354: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:08:35 ID:YvuzyYVhZU
宣教師「私はこの試練を協力して乗り切る事で人間とホビット族の隔たりを取り除く真の絆が生まれると信じています」
外交官「どうだかな…!」ムスッ
レーグ「獅子身中の虫とならなければいいですが…?」フンッ
宣教師「でしたら…あなた達はどうすれば満足するんですか?」
外交官&レーグ「は?」
宣教師「何がどうこう…あれがそうだからと大した理屈や信憑性もない御託を並べ立てて否定するばかり…。
そんなにホビットを信用したくないのですか?それとも小娘の意見に乗りたくないだけですか?」
外交官&レーグ「……」
宣教師「私にはあなた方が自分を優位に立たせたいと駄々をこねてるようにしか見えません」
外交官「なっ…い、言わせておけば!?」
レーグ「ルフィアス団長…!貴方からも言ってやってくださいよ!」
団長「ワシは宣教師の意見に賛成だ。今は内部で揉めている場合ではない」
ラキア「俺も同意見です。偏見で良し悪しを決め付けるのは正義の名に恥じる行いだ!」
レーグ「な、なんですとぉ…!?」
団長「だが貴殿らの意見も頷ける。ホビット族と我々の現状は未だ不安定なもので…確執を拭えない上では裏切らない保証もないとは言えん」
宣教師「だ、団長さんまで…!?」
外交官「や、やはりそう思われるか!さすがはルフィアス殿!」パチパチ
団長「…だがそこを踏まえたとしてもワシはホビット族に助力願うべきであると考える」
レーグ「え…!?」
団長「宣教師が言うように…ここが大きな分け目であるとワシも感じている。
信じられるか否かではなく信じ合う気持ちが大切だと思わんか?」
レーグ「よ、世迷い事を申されるな!奴らと我々では協力など…」
団長「なればこのまま人間のみで心中するか?」
外交官「」ゾクッ
団長「我々で14万もの軍に抗う術があると言うのなら是非ともお聞かせ願いたいものだが?」
レーグ「う……」
外交官「……」ブルブル
355: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 22:13:01 ID:YvuzyYVhZU
外交官「こ、ここ……こ…」ガチガチ
ヒメ「?」
外交官「降伏…という手も…あ、あぁるのでは…?」ガチガチ
ヒメ「……」
団長「…それこそ本気で言っておるのか?」イラァッ
ラキア「臆病者め!戦わないと敵のいいように略奪されるばかりだぞ!?」ダンッ
宣教師「論外ですね」キッパリ
外交官「て、敵は…一国の軍力で実質的に2国を壊滅させたのですぞ!?」ガタッ
レーグ「た、確かに…それでいて尚も我が国を上回る戦力を誇っている…!」ブルッ
ラキア「だったらどうした!?倒された盟友達を弔ってやる為にも俺達が仇を取らなきゃだろ!?」
外交官「…ど、どのみち戦力差がありすぎて勝負にもなりますまい!ならばいっそ降伏して命を拾うのも…!」
ダァンッ!!
外交官&レーグ「ひぃあっ!?」ビクビクゥッ
団長「そこを動くな…!素っ首跳ね落としてくれる…!」スラッ
外交官&レーグ「わ、わわわ…へ、へへ陛下ぁぁ!?」アワアワ
ヒメ「団長、やめろ!おまえ何考えてるんだ!?」
団長「たとえ降伏を認められ、我らの命が保証されようと…連合軍の盟主である陛下は戦争を起こした大罪人として全責任を負わされるんだぞ!?」
ヒメ「……」
ラキア「そ、そうだよ…!どうしたって諦めたら陛下は…!」
外交官「も、申し訳ありません!お、おぉお許しをぉ……」ペコペコ
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