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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


329: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 22:54:27 ID:DhzqO8ss.s
参謀「お戯れもほどほどにしてもらえませんかね?」

軍師「還暦を過ぎた今になって…私は真の絶頂に辿り着いたのでございます」ハァハァ

参謀「なんの話ですか?いいですから、その女を引き渡しなさい?」

軍師「」ハァハァ

参謀「僕と共に覇道を行こうと誓い合ったのをお忘れか?」

軍師「はい」キッパリ

参謀「」ポカーン

軍師「どうでもよい過去は捨て申した」

参謀「……」

軍師「これからはファルージャ様のお役に立てる事のみに余生を費やす所存」

参謀「恩師である貴方には…少なからず信頼を寄せていたつもりだったんですがね?」

軍師「知りませんな」

参謀「貴方も所詮は下品な男だった訳ですか…。なら、もういいです。ここでお別れと参りましょう」
330: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 22:57:43 ID:DhzqO8ss.s
参謀「二人まとめてお逝きなさい。細々と切り刻み、骨も残さず焼き捨て、地の底に葬って差し上げましょう」

ファルージャ「」ニヤニヤ

参謀「? これから殺されるというのに何が可笑しいのですか?」

ファルージャ「どのような気分じゃ?」ニヤリ

参謀「はぁ…?」キョトン

ファルージャ「信頼する配下を寝取られた感想…聞かせておくれな?」ニヤニヤ

参謀「……!」イラッ

ファルージャ「可愛い配下を呪縛から解き放ってやるには"女の魅力"が足りなかったようさな?」フフンッ

参謀「…そ、そんなもの…僕にはいりません…!大股開きの娼婦紛いが下品な男共を従えたくらいで図に乗らないでいただけますかっ…!」ギリッ

ファルージャ「…そうかえ?」サスサス

軍師「はっ…はっはぁ…おぉう……」ビクンッビクンッ

参謀「!?」

ファルージャ「フゥッ…」

軍師「み、耳は!あふぅ!?」ビクンッビクンッ

参謀「……!!」イライラ
331: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:00:39 ID:DhzqO8ss.s
ファルージャ「コレから聞いたが…そなたの計画、なかなか良いぞ?」スリスリ

軍師「おっおっ…」ビクンッビクンッ

参謀「なかなか良いですって…?偉そうに…!?」ワナワナ

ファルージャ「イアマンなる虚構の英雄を民衆に噂させ、情報を巧みに操作して反乱軍を結成し、指定した時と場所で暴動を起こさせる…。
そして妾をイアマンに始末させ、そなたの軍が暴動を鎮圧し、救世の勇士となりて西の皇帝に昇華してしまおうという算段よな?」

参謀「……」

ファルージャ「まぁ…コレの受け売りじゃ?内容はほとんど理解出来ぬが……」

ファルージャ「直接、妾の手を煩わせたのは皇帝を除いて、そなたしかおらぬ?誇るがいい?」

参謀「…まるで僕に勝ったような言い分ですね」

ファルージャ「はて?妾の勝ちではあるまいか?」

参謀「状況をよく見極めてご覧なさい…。包囲しているのはこちら。外の戦況も圧倒的有利、追い詰めているのは僕なんですよ?」

ファルージャ「どうであろうな?」クスッ

ダダダッ ダダダッ

直属兵's「」ジャキッ

参謀「(こいつらは…師匠殿の抱える精鋭集団…!)」

軍師「この狭い宮内では大隊の利は発揮されず…腕利きで掛かれば少数でも貴方を討てる率は跳ね上がりまするぞ?」

参謀「どいつも…こいつも…!?」イライラ
332: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:02:52 ID:DhzqO8ss.s
ジョーオーウ!!! ジョーオーウ!!!

ファルージャ「外のレジスタンス共も妾に尽くそうとよく働いておるようさな…?」ニヤニヤ

参謀「師匠殿や、その配下のみならず女王や国家そのものを憎悪していた民衆までも操っておられるのは…どういったカラクリで…?」

ファルージャ「さぁてのう…?妾はただ民衆に笑みをたたえて手を振ってやったまでよ?」

参謀「……」

ファルージャ「あれほど殺気に満ちていた集団が物の数秒もせぬ内に虜となりよったわ?」ニタァァァアア

参謀「(でたらめにも…程がある……)」イライラ

ファルージャ「一汗かいた方が、より艶も増すのであろうなぁ…?」ピチピチ ツヤツヤ

軍師「う…うぉっほん!イアマンなどという虚像よりも女王という実像を選ばれたのでございましょう」

参謀「貴方達は人をバカにしてるんですか…!?」ヒクッヒクッ

ファルージャ「?」キョトン

参謀「もう…限界だ…。こんな…あぁイライラする…!」ワシャワシャ

ファルージャ「ハァン…?なんぞ言いたい事でも?」

参謀「お前はな!貧しい庶民の出身で人格も歪んでるんだよ!!
努力を怠り、目的意識の向上もロクにしない堕落思考の体現者だ…!
自分の力では何も出来ない無能な愚か者で、はしたなく品格の欠片もない痴女の分際で……なぜこうも容易く人心を支配出来るんだ!?」ブチィッ

ファルージャ「……」

参謀「僕こそが純血の皇族!!誰よりも、その座に相応しい者だ!!
才覚も持ち合わせ、知力にも優れ、多様な教養も備わってる!!努力だって惜しまない!!」

参謀「そんな僕が…理不尽も恥辱も嫉妬も耐え抜き、薄闇に紛れて、それでも焦らず静かに煮詰め、今日まで準備し続けた計画だぞ!?」

ファルージャ「妾にも分かる言葉を選んでおくれな?」

軍師「要は嫉妬でございましょう」

ファルージャ「ふむ…それは仕方あるまい。かように美しい妾への嫉妬を挙げればキリがなかろうて?」サラッ

参謀「どこまでも…ふざけた態度を…!」ギリィッ
333: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:06:13 ID:DhzqO8ss.s
ファルージャ「しかしそなた、先ほどから醜いのう…?」ボソッ

参謀「はぁ…!?」

ファルージャ「敗者が何を叫ぼうと見苦しいだけよ…?」

参謀「」ガーン

ファルージャ「絶世の美の前では醜いそなたらなど平伏して然るべき…勝負は初めから決まっておったのじゃ?」

参謀「くっ…くく…!」

ファルージャ「のう?」ピトッ

軍師「は、はひっ!」ビクンッ

参謀「僕の完璧な計画が……お前一人の…存在感に砕かれたと言うのか…!?」

ファルージャ「左様?」

参謀「……!」パリィィィンッ
334: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:07:25 ID:DhzqO8ss.s
参謀「は…ハハ……ハハハ……」ガクッ

参謀「(緻密な策略も計算高い頭脳も積み重ねた努力も揺るがぬ意思も割り切る覚悟も…何を以てしても補いきれない圧倒的差が僕とこいつの間にはある…)」

参謀「(笑えない話だ…。優れた容姿を持って生まれただけで他人の努力を全部、帳消しにしてしまえるなんて……)」

参謀「(だが…まだ終わってはいない!)」キッ

ファルージャ「ほう?なおも反抗的な眼を向けるか……良いぞ?ゾクゾクするわ?」ヒューッ

参謀「主要な兵はこちらが先に取り込ませてもらいました…。
対して貴女に付いたのは僅かな裏切り者とみすぼらしい民兵集団……」

ファルージャ「フゥ〜…?」

参謀「ここからは単純な力比べです…?」クスッ

ファルージャ「楽しませてくれるのかえ?」ニヤニヤ

参謀「…その余裕に満ちた笑みを消して差し上げましょう」

ファルージャ「……」ニヤニヤ

参謀「こうして向かい合って感じませんか?己の自信が無根拠であてにならないものであると?」

ファルージャ「妾は美しい?自信を持つ根拠は十分にあろう?」ニヤニヤ

参謀「!!!」ブチィッ

ファルージャ「クスス…妾と同じ時代に生まれたおなごらが哀れでならぬわ?」ニヤニヤ

参謀「大いなる野望を背負って戦う僕の軍と…お前の体目当てに戦う烏合の衆とでは……話にもなりはしない!!」カッ

ファルージャ「ほうほう、なるほど、それはそれは……」ニヤニヤ

参謀「レジスタンス共と貴様を始末し、暴動鎮圧の功を納めれば…皇帝の座は僕のものだ!!」

ファルージャ「」ニヤニヤ

参謀「地獄に堕ちるがいい!!魔性のファルージャ!?」カッ
335: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:14:02 ID:1.PrppOx/o
参謀「全兵、突撃せよ!!この妾をころ……」バッ

ヌッ

参謀「」ビクッ

グワシッ

参謀「ぱか……がふっ!?」モガモガ

魔導師「やあ?」ギラッ

参謀「(こいつ…今まで、どこに…!?)」ジタバタ

魔導師「」ギュウウウ

参謀「ごぼっ…ぶがっ…ぅ…え゛え゛っ…」ゴポォッ

魔導師「ショックだなぁ…?自分は本気で女王が死んだんじゃないかと悲しんでたのに?」グッグッ

ファルージャ「妾の死は世界滅亡に勝る損失じゃ…むざむざ殺す阿呆などおるまい?」

魔導師「うんうん。自分もそう思ってた」コクコク

参謀「ぶっ…ブブ!ゲボゥ……ばっ…ばば…」ビクンビクン

魔導師「んふふ…」パッ

参謀「」ドシャアッ

魔導師「こいつはもう助からないけどいいかい?」クルッ

ファルージャ「だそうな?」チラッ

軍師「……」

ファルージャ「よいのかえ?親子同然の間柄なのであろう?」

軍師「私めの瞳に映る物はもはやファルージャ様のみ…他は些末なことにございます」

ファルージャ「そうか…そうかえ…っ……キャッハッハッハッハッ!!!」ケラケラ
336: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/5(木) 23:16:20 ID:1.PrppOx/o
参謀「(あぁ…そうか……)」ピクッピクッ

参謀「(この女が異常だったんじゃない…彼女の魅力に屈しまいと意地を張る僕が異常だったんだ……)」ウツラウツラ

参謀「(下品で…傲慢で…強欲で…性根から腐りきってるけれど……)」スーッ

参謀「(透明感のある澄んだ声色…細くしなやかでありながらハリのある曲線美……この世のものとは思えないほどに整いすぎたお顔……全身から滲み出る言い知れぬ魔性の魅力………)」キュッ

参謀「(勝ち目なんて……なかった……その…証拠に……)」ジッ

西兵's「」トロォン

参謀「(僕の兵も……)」

魔導師「(女王が喜んでる…。嬉しいなぁ…)」ウキウキ

参謀「(僕を殺したあいつも…)」

軍師「(脚をばたつかせて高笑いするサマもお美しい…)」ジーッ

参謀「(僕を育ててくれた師匠殿も……)」

ジョーオーウ!!! ジョーオーウ!!!

参謀「(だ…れも……ぼく、を…みてい……ない)」ダラァァァン

ファルージャ「クスス…退屈が紛れたわ…。そなたには感謝しておるぞ…?」ジッ

参謀「」ドキンッ

ファルージャ「来世でもまた妾を楽しませておくれな…?」クスッ

参謀「あ……あ…」ドキンッドキンッ

参謀「」フッ

ファルージャ「さぁて…そろそろ本命が届く頃かえ…?」ペロリ

魔導師「」ゴクリ

軍師「(な、なんと色っぽい舌使い…!)」ハナヂ タラー
337: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:24:58 ID:UavECGF.sw
―――ミラルドの町(孤児院)―――

ミシング「……」ボーッ

孤児1「ミシングねえちゃん!あそぼ!」グイグイ

孤児2「ぼくもー」グイグイ

ミシング「ん……うん、いいよー?なにしよっか?」

孤児1「勇者ごっこ!」

孤児2「じゃあぼく勇者やる!」

孤児1「勇者はぼく!」

孤児2「ぼくも勇者がいい!」

孤児1「おまえは悪者なの!」

孤児2「やーだー!ぼくが勇者だい!」

ミシング「はいはい。ケンカしないの!二人とも勇者!ね?」

孤児1「やだよ!ぼくが勇者だもん!」

孤児2「ぼくだってば!」

ミシング「がおー!!」バッ

孤児1、2「」ビクッ

ミシング「美人大怪獣ミシングちゃんが大暴れしちゃうぞー?がおー!!」ドタドタ

孤児1「わー!にげろー!」タタタッ

孤児2「あはははは!」タタタッ

ミシング「まてー!食べ散らかしちゃうもんねー!」タタタッ

ドタドタ バタバタ キャハハハハハハハ
338: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:27:10 ID:YvuzyYVhZU
―――孤児院(談話室)―――

宣教師「院の扉にこの置き手紙が…?」

母「…」コクッ

宣教師「……」カサッ

『いやしの ちからは いただきよ〜ん By.シャルウィン(はぁと)』

宣教師「……!」クシャクシャッ

母「すみません…。ご迷惑おかけして…」

宣教師「迷惑なんかではありません!」ズイッ

母「」ビクッ

宣教師「…事情を知っていながら何も対策していなかった私の責任です…!」プルプル

母「そ、そんな…あたしも移り住んでからは安心していて…目を離しがちでしたから…」オロオロ

宣教師「お母様は悪くありません…。私が責任を以て二人を救ってみせます!」

母「…あ、あたしも一緒に!」ガタッ

宣教師「いえ…お母様は残ってください」

母「でも…あたし達の問題なのに…いつも任せきりにして…」

宣教師「そうではありませんよ。私達、人間があなた方を巻き込んでしまっているのです」

母「……」

宣教師「ヒメくんもミシングの報せが届けば、すぐに対処してくれるでしょう。お母様は普段通りにお願いします」

母「ふ、普段通り…?」

宣教師「まだ幼い子たちは何も分かっていませんが…ルーボイくんとナラちゃんはとても落ち込んでいる筈です。どうかお母様から励ましてあげてください」

母「……!そ、そうよね…。あたしったら…また自分の事ばっかり…」ズーン

宣教師「しかたないですよ…。一番、身近な存在なのですから…?」

母「……」キュッ

宣教師「ですがみんなにとっても今やお母様とカロルくんは欠かせない家族となってます…。辛く苦しい状況だと窺えますが…年長者としてみんなを支えてはいただけませんか?」

母「分かりました…」

宣教師「…ありがとうございます」ペコッ
339: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:29:43 ID:YvuzyYVhZU
ガチャッ

孤児1「いんちょー!」タタタッ

孤児2「いんちょーもあそぼうよ!」グイグイ

宣教師「きゃっ!す、すみません!ちょっと大事な用事があって、また出掛けないと…?」アセアセ

孤児1「えー!なんで!?」

孤児2「いんちょー、いっつもでかけちゃうじゃん!」

ミシング「ダメダメ、おチビちゃん達!今、大事なお話してるんだから?」スタスタ

母「あ、大丈夫よ?もう終わりましたから?」ニコッ

ミシング「……マリーさん」

母「…ごはんの支度しなくちゃ!宣教師様も食べていかれたら?」ニコニコ

宣教師「え…あ、あの…私は…もう行きますから…お食事はまたの機会に…?」アセアセ

孤児1「ママのごはん、まずいからきらーい」

孤児2「ぼくもー」

宣教師「!?」ギョギョッ

母「あら、最近はミシングさんに教わって上達してきてるのよ?今日こそウンと食べてもらうんだから!」

ミシング「そうそう!マリーさんの炊いたご飯はお焦げが付いてて美味しいよー!」

孤児1「やっぱりコゲコゲじゃーん」

母「まぁ!ミシングさんったら?」

キャハハハハハハハ

宣教師「(…すっかり馴染んでますね。良かったです)」ニコッ
340: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:31:19 ID:YvuzyYVhZU
―――ミラルドの町(大通り)―――

ルーボイ「……」キョロキョロ

ナラ「…さがしたっていないよ。みんなしんぱいするから、かえろ?」

ルーボイ「……」ガサガサ

ナラ「ルーボイ!」スッ

ルーボイ「うるっせぇ!!」バッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「……」スタスタ

ナラ「か、かってに…すれば!」プンスカ

ルーボイ「……」ガサガサ

ナラ「ルーボイのバカ!」ダッ

タタタッ………

ルーボイ「……」ガサガサ

宣教師「いけませんね。女の子を怒鳴ったりしては?」ザッ

ルーボイ「……!」ビクッ
341: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:32:57 ID:UavECGF.sw
ルーボイ「い、いたのかよ…。あいつが連れてかれたからか…?」

宣教師「…それもありますが久しぶりに皆さんと顔を合わせたいと思いまして?」ニコッ

ルーボイ「……なぁ、宣教師様」

宣教師「はい、なんでしょう?」

ルーボイ「パッチ…まだ見つかんねーの?」

宣教師「…えぇ、個人的に探し続けてますが未だ見つかってません」

ルーボイ「……」

宣教師「……」

ルーボイ「俺…パッチが消えていっちゃうの止めれなかった」シュン

宣教師「ルーボイくん…」

ルーボイ「友達なくして…すっげーイヤだった」

宣教師「……」オロオロ

ルーボイ「だから…カロルとラムは……なくしたくない」

宣教師「……」

ルーボイ「あいつらも…いなくなっちゃったら…俺、どうなるんだろ…?」ブルッ

宣教師「」ダキッ

ルーボイ「!?」ポフッ

宣教師「取り戻しますよ…。必ず?」ポンポン

ルーボイ「」ジワァァ
342: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:36:42 ID:UavECGF.sw
宣教師「ナラちゃんも出てきていいんですよ?」チラッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「っ…な、ナラ?帰ったんじゃ…!?」ビクッ

宣教師「心配して見守ってくれてたんですよね?」ニコッ

ナラ「」コクッ

ルーボイ「な、ナラ…」

宣教師「仲直りしましょうか?」ニコニコ

ルーボイ「ど…どなって…ごめんな?」グシッ

ナラ「……うん」グスッ

宣教師「ふふ。泣いてばかりいてはいけませんよ?キミたちは院のお兄さん、お姉さんなのですから?」ナデナデ

ルーボイ「う…えっ……うんっ…」ギュウウウ


ナラ「…っ……」ゴシゴシ

宣教師「…またみんなで楽しく笑える日が来ますから少しの間、我慢してくださいね?」ニコニコ

ルーボイ「…おぅ」ズビー

ナラ「がんばって、ね…」ウルウル

宣教師「はい。お任せください?」ニコニコ
343: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:40:32 ID:YvuzyYVhZU
―――王国領(国境警備城塞)―――

ワァーワァーギャーギャー

「い、急げぇ!!西の軍が攻めてくるまで1ヶ月と掛からんぞぉ!!」ダダダッ

ドタドタ バタバタ

「運び出した武器の調整を怠るなよ!錆びて使えんでは話にならんぞ!」

ガラガラ ドシンドシン

団長「……」

警備隊長「此度はよくぞお越しくださいました。わたくしはこの城の警護を任されております、レーグと申します」ペコッ

団長「王家直属親衛隊、近衛師団長、ダパーシ・ルフィアスと申す。
微力であるとは存じるが、そちらと共に城塞の守護を仰せつかった。よろしく頼む?」スッ

警備隊長(レーグ)「いやいや!国家反乱を諌めた立役者であるとされる貴方と共に戦えるなど身に余る光栄!」パシッ

団長「ワシはあの場に居合わせただけだ。全ては国王と救い主の成した偉業に他ならん」パシッ

レーグ「ご謙遜を!ルフィアス殿は王国最強の剣士であると伺っております!
どうかその逞しく勇敢な腕を我らにお貸しくださいますればと!」パッ

団長「気遣わなくとも結構だ。ここにおる以上は慎み、指揮官であるレーグ殿の采配にお委ねしよう」

レーグ「は?ルフィアス殿が指揮を執られるのでは?」キョトン

団長「ワシは軍略に携わる類いの役割とは無縁だ。国王の身辺警護を旨とする私兵に過ぎん」

レーグ「そ、そうは申されましても…わたくしはてっきりルフィアス殿が指揮されるものかとばかり?」

団長「? 何か気掛かりでもおありか?」

レーグ「……」モゴモゴ
344: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:43:49 ID:YvuzyYVhZU
レーグ「じ、実はわたくし…争い事に直面するのは今回が初めてでして…」オロオロ

団長「それはそうであろうが…国境警備を務めていたのであれば多少なりとも備えておられたのでは?」ジロッ

レーグ「は、恥ずかしながら申し上げますれば…平和協定が硬く守られた現在まで、この城は国家間の行き来を審査、承認する関所のような役割を持っておりまして?」オドオド

団長「詰まる所…国境警備とは名ばかりのお役所仕事しかしてこなかったと?」

レーグ「…い、一応は不測の事態に備え、訓練されておりますが」オドオド

団長「兵の数は?」

レーグ「い、1万ほどになります…」オドオド

団長「……」

レーグ「も、申し訳ございません!まさかこのような日が来ようとは夢にも思わず…!」ペコッ

団長「お気に召されるな?」ポンッ

レーグ「」ビクッ

団長「…ワシも貴殿も同国の勇士として国家に殉ずる立場だ。こうなってしまった以上は仕方なかろう?」スッ

レーグ「……!」ブルブル

団長「委細、承知した。後で再度、煮詰め直そう」スタスタ

レーグ「うぅぅ……なんで、こんな事にぃ……」ガクガク
345: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:45:34 ID:YvuzyYVhZU
―――国境警備城塞(客室)―――

団長「城主は年老いた外交官、警備兵は役人同然ときたか…。まったく…頭を悩ませるばかりだな?」

副長「は、はは…気が立っておられますな?紅茶でも淹れましょうか?」

団長「いらんよ…。悠長に茶など啜ってられるか」

副長「そ、そうですか…」

団長「…この城が落ちれば王国は滅びるのだぞ。戦った事がないので不安です等と漏らされてもな?」

副長「危機感が足りなかったと言えば、それまでですが…平穏を信じたくなる気持ちも分かりますよ」

団長「……分かっとるよ。誰も責められん。こうなるべきではなかったのだ」

副長「この城の警備で侵攻は防げそうなのですか?」

団長「無理だな。1日ともたず突破されるだろう」

副長「……」

団長「無論、諦める気はないがな。王都に援軍を要請してある。もうじき到着する筈だ」

副長「おぉ…!」

団長「と、言ってもせいぜい2万弱だろうがな…」

副長「合わせて3万ですか…。西の軍はどれほどの規模で侵攻を?」

団長「およそ14万の兵が進軍しておるそうだ」

副長「じゅ、じゅう…よんまん…ですか!?」

団長「唯一の頼みの綱は西の国を攻めている王国軍だが…間に合うかどうか?」

副長「」ゴクリ
346: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:47:58 ID:YvuzyYVhZU
〜〜〜1週間後〜〜〜

レーグ「ルフィアス殿!援軍が!援軍が到着しました!」パァァ

団長「む?そうか…。おい!」

副長「はっ!今のところは物見の報告も挙がっておりません!」ピシッ

団長「……何か動きがあったら即座に鐘を鳴らせ」スタスタ

副長「はっ!」

レーグ「わ、私もお供致しましょう!」スタスタ
347: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:48:55 ID:UavECGF.sw
ゾロゾロ ワラワラ

ワイワイガヤガヤ

団長「……!?」ワナワナ

ヒメ「来てやったぞ?」ニヤリ

団長「へ、へへ、陛下ぁぁああ!?な、なぜここに!?」ギョギョッ

レーグ「こ、国王陛下が…直々に…!?」

ヒメ「おまえらだけじゃ心許ないんだろ?僕も手伝ってやるよ?」

団長「いぃぃいけません!いけません!いけません!いけませんぞ、陛下ぁああ!!危険ですから王都にお戻りくだされ!?」アタフタ

レーグ「そ、そうです!畏れながら陛下のお命に関わるかと存じます!?どうか引き返していただきますればと!?」

ヒメ「」イラッ

団長「いくらなんでも無茶が過ぎますぞ!?今回ばかりはお控えなされ!?」アタフタ

ヒメ「ほー?そうか、そうか?僕は邪魔者か?足手まといか?」イライラ

団長「い、いや…そういうことではなく…」タジッ

ヒメ「人がせっかく1週間も掛けて足を運んでやったのに着いた途端、休む間もなく問答無用で帰れと?」イライラ

団長「うっ……」

レーグ「あ、あの…しかしですね…?」オロオロ

ヒメ「とんだ忠義者だな、おまえらは?」ギロッ

団長「……」ダラダラ

レーグ「い、いえ…」ダラダラ
348: ◆WEmWDvOgzo:2015/11/10(火) 21:51:30 ID:YvuzyYVhZU
ヒメ「とりあえず5万人、戦える人間を集めてやったぞ」フフンッ

レーグ「ご、5万!?そんな数をどうやって!?」

ヒメ「王都の兵だけじゃ足りないだろうから道中、立ち寄った町や村を片っ端から当たってみたんだ。
一応は僕も国王だからな。皆、恭しく呼び掛けに応じてくれたよ」

レーグ「そ、それは頼もしゅうございます!」

ヒメ「政務官が全国の憲兵、各領主の私兵、賞金稼ぎや傭兵も集めてくれたんだ?」

レーグ「おぉ!我が主もリルラ様に仕えております!大変、喜ばれるでしょう!」

団長「リルラが…!?奴め、なぜお止めしなかったのだ!?」

ヒメ「助っ人もいるぞ?」

団長「は…!?」

ラキア「父上ー!!」ダダダッ

団長「ら、ラキア!なぜお前まで…!」

宣教師「私もお忘れなく?」スタスタ

団長「君もか!?」

ラキア「悪を挫き、正義に生きる!俺がいる限り、西の国の好きにはさせない!」シャキーン

宣教師「あの巡礼の時のように力を合わせ、平和を勝ち得ましょう!」

団長「……!」

アリアス「あたしもい………」ザッ

ヒメ「さぁ!ここからは王国の総力戦だ!皆の力を一つにして西の軍を追い返すぞ!!」

オォォォオオオオオ!!!

アリアス「……」ポツン
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名前:
sage:


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うpろだ
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