http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
21: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:23:12 ID:ghswXoejkk
母「ラムくんは図書館でお手伝いしてきたんでしょう?どうだったの?」クスッ
ラム「え?あ、えっと…普通です…。
まだ何もさせてもらってないし…掃除とか本の整理とか…雑用ばっかりですから」モジモジ
母「そんなことないわよ?雑用も立派なお仕事ですもの?」
ラム「…そうですね」
母「あなたはとても利口だから、ちゃんと続ければみんなに分かってもらえるわ?」ニコッ
ラム「……う、うん。ありがとう…ございます」ドギマギ
母「(この子はまだあたしに慣れてくれてないみたい…。それもそうよね。
友達の母親なんて関係上は割と縁遠い立場だし他人行儀になっちゃうのかも)」シュン
『ラム……いい子で待っててね。すぐ…迎えに行くから』
ラム「かあ…さん…」ズキンッ
母「え?」
ラム「あ、違います!なんでもないです?」アタフタ
母「そう…?」キョトン
ラム「(カロルくんのお母さんだって分かってるけど…なんか……)」ハァッ
22: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:24:43 ID:ghswXoejkk
母「さ、みんな先お風呂に入っちゃって?もうすぐご飯も出来上がりますからね?」グツグツ
カロル「はーい!」
ルーボイ「俺は後でいいや」
ナラ「わたし、はいってこようかな。いい?」スクッ
カロル「いいよ!」ニコニコ
ナラ「じゃあ…さきにはいっちゃうね」スタスタ
ガチャッ バタンッ
ラム「ナラが上がったら入ろうかな…。二人も洗ってあげるから入ろうね?」
孤児1「えー?いつもミシング姉ちゃんが洗ってくれるんだよー?」キョトン
ラム「ミシング姉さんは遅くまで帰ってこないから今日は僕と入ろう?」
孤児2「じゃあママはー?」
ラム「…か、カロルくんのお母さんはご飯の支度してるから」
孤児1「カロル兄ちゃんのじゃないもーん!みんなのママだもーん!」プンプン
孤児2「そうだ、そうだ!」プンプン
ラム「」チラッ
ルーボイ「げっ!お前の母ちゃんが作ってんのかよ?本当に大丈夫か…?」ビクビク
カロル「どうして?お母さまのご飯、おいしいじゃない?ね、マルク?」
マルク「わ、ゎんっ…」モゴモゴ
ラム「(カロルくんは気にしてないみたいだけど…いいのかな)」
孤児1「ママとはいるー!」ジタバタ
孤児2「ぼくもママがいいー!」
ラム「……」
23: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:26:20 ID:ghswXoejkk
ワイワイキャッキャッ
パクパク モグモグ
母「どう?ちょっとお塩入れすぎちゃったかしら?」
カロル「ちょうどいいよ!」パクッ
ルーボイ「(何がどう丁度いいんだよ…?)」ズーン
ラム「(塩の量とか関係ない…)」ブルブル
ナラ「(カロル…おいしそうにたべてる)」ヒクヒク
孤児1「うえー!まずーい!」ペッペッ
孤児2「コゲコゲだよー!」
ルーボイ&ナラ&ラム「」ビクビクゥゥッ
カロル&母「え…?」ピタッ
孤児1「ぼくたべなーい!ヘタクソだもん?」プイッ
孤児2「ぼくも!ミシング姉ちゃんに作ってもらうからいらなーい!」コトッ
ラム「ふ、二人ともなに言ってるんだよ!」オロオロ
孤児1「だ、だってまずいもん」ムスッ
カロル「そ、そんなことないよ。おいしいじゃない?」アセアセ
ナラ「そ、そう!おいしい!」パクッ
ナラ「うっ…」クラッ
孤児2「やっぱりまずいんじゃん!」
ナラ「お、おいしい…よ。うぷっ…」プルプル
ルーボイ「む、無理すんなよ……あっ」ハッ
母「無理…させちゃってたの?」
ルーボイ「ち、ちちちちげーし!してねーし!」アタフタ
ナラ「うっ…んぅ……」プルプル
母「……」
24: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:28:41 ID:jOOK1VnbDQ
ラム「作ってくれた物に文句言ったらダメだよ!」
孤児1「な、なんでよ!本当にまず……」
ラム「まずいって言うなら何も食べなくていい!ミシング姉さんにもそう言うから!」カッ
孤児1「じゃあラム兄ちゃんは食べれるの!?」
ラム「え?た、食べれるよ!当然だろ!」
孤児1「じゃあ食べてよ!ぼくのもあげる!」ササッ
孤児2「ぼくもあげるー」ススッ
ラム「え…ちょっと待っ」
ズラァァァァ
孤児1「食べれるんでしょ!」
孤児2「全部食べてよ!」
ラム「た、食べるよ…。食べるけど…食べれるかって聞かれたら…食べれるんだけど…食べるの?これ全部…?」ブツブツ
ルーボイ「ら、ラム!気持ちは分かるけど落ち着け!」アセアセ
ナラ「わ、わたしたちも…っ…て、てつだうから」ヨロッ
母「いいのよ。みんな?何か出来合いの物を買ってくるわね?」ニコッ
ラム「えっ」
ルーボイ「おばさん…?」
ナラ「だ、だいじょうぶ…だよ?」
母「ううん、いいの!自分でも味付け間違えちゃったかなーって気付いてたのよね!
食材、無駄にしちゃってミシングさんには申し訳ないわ!後で謝らないと…」スクッ
ラム&ナラ&ルーボイ「………」
母「お皿、一回全部洗い場によけちゃうわね…」サッサッ
孤児1「お腹すいたー!」
孤児2「ぼくも!」
母「あ、ごめんなさい、もう遅いものね?先にご飯買ってきましょ!」ダッ
ガチャッ バタンッ
25: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:31:14 ID:ghswXoejkk
ラム「はぁ…なんであんなこと言ったの?」ジロッ
孤児1「本当だもん!」
孤児2「そうだよ!」
ルーボイ「お前らぁ!?」ガタッ
孤児1「」ビクッ
孤児2「」ウルッ
ルーボイ「まずいとか言ったら、おばさん落ち込むに決まってんだろ!なんでそんな事も分かんねーんだよ!?」プンスカ
孤児1「びえーん!」ブワァッ
孤児2「ルーボイ兄ちゃんが怒ったー!」ブワァッ
ルーボイ「泣いてりゃなんでも許されると思ってんじゃねーぞ!?」ブチィッ
カロル「…いいよ。怒らないで?」
ルーボイ「え?」
カロル「二人は悪くないよ。好き嫌いってあるもんね?」ニコッ
ルーボイ「はぁ?こいつら、お前の母ちゃんにひでーこと言ったじゃんかよ!?」
カロル「しょうがないよ。苦手なのに我慢して食べるのってツラいじゃない?」
ルーボイ「だ、だからってまずいとか言うことねぇじゃねーか!」
ラム「そうだよ。ルーボイにしては珍しく正しい事を言ってると思うけど」
ルーボイ「"しては"ってなんだ!"しては"って!?」
26: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:32:31 ID:jOOK1VnbDQ
カロル「そういうの、まだ難しいよ。それにボクもちっちゃい頃は好き嫌いあったもの」
ナラ「カロルが…?」ビックリ
カロル「うん…。お母さまとお祖父さまと三人で旅してた時ね、あんまり食べる物がなかったんだ」
カロル「だから葉っぱと水だけとか…芋虫に蛙に栗鼠…木の幹をかじったりもしたよ」
ルーボイ「げぇっ…!そ、そんなのどうやって食うんだよ…!?」オエッ
ナラ「い、いもむし…カエル…リス…!?」ヒィー
ラム「あ、分かるなぁ。僕も人間に無理やりキリギリスとかカラスの死骸なんかを食べさせられたりしたよ」
ルーボイ&ナラ「!?」ギョギョッ
カロル「…ボクも喜んで食べてた訳じゃないから、お母さまにひどい言葉を言っちゃったりもしたんだ」
ルーボイ「そ、そりゃそんなモン食える訳ねーじゃん」
カロル「この子たちにとってはお母さまの作ったご飯がそうだったんだよ。たまたま?」
ルーボイ「(いや、正直、俺達だって食いたくねぇけど…)」
孤児1「ひっ…うえ…」グズグズ
孤児2「うわーん…」グシグシ
カロル「泣かなくていいよ。大丈夫。みんな怒ってないからね?」ヨシヨシ
孤児1「ぁぁあああん!!」バシッ
カロル「えっ?」ビクッ
孤児2「やぁぁだぁぁぁ!!!」ゴロゴロ
カロル「」アセアセ
ルーボイ「もうほっとけよ。どうせ何言ってもずっと泣いてっから?」
ラム「そうそう。こういう時はミシング姉さんか宣教師様が宥めるんだ。
どうしたって僕たちじゃ悪化させるだけだからね」
ナラ「…なきつかれたら、おとなしくなるよ?」
カロル「そうなんだ…」
27: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:35:34 ID:ghswXoejkk
〜〜〜夜〜〜〜
ミシング「はー…クッタクター……」ガチャッ
母「おかえりなさい。お疲れ様でした?」パタンッ
ミシング「あれれ?お母さん、まだ起きてたんですか?」
母「えぇ、ミシングさんが外で頑張ってらっしゃるのにあたしが先に寝てしまうのは申し訳なくて…」ウトウト
ミシング「そんなー!気にしないでいいんですって!
ここは三食昼寝付き、就労時間はご自由にがモットーなんですから!」
母「ふふふ…そういえば今日は遅かったんですね?」
ミシング「ホビットの二人の移住先が決まったんで役場で住民登録の解除手続きと移住許可証の発行をしてもらったんですよー。
その後、大聖堂まで送ってー…向こうに待機してもらってー…って感じで?
いやーこんなに遅くなるなんて思わないから…もうみんな寝ちゃってるかなーなんて!」ヌギッ
母「あぁ、前に話してましたわね…。二人は大聖堂に待機したまま帰ってこないんですか?」
ミシング「先に出発の準備だけ済ませてあったんで他の移住者と交流しながら迎えの馬車を待つみたい?
馬車は1週間くらいでこっちに着く見込みだけど…送別会とかしたかったにゃー」
母「いいじゃありませんか!是非しましょうよ?」
ミシング「…断られちゃったんですよねー」
母「まぁ?どうして?」
ミシング「『思い出はたくさんもらったから、これ以上、増やしちゃったら前に進めなくなる』って……」
母「…でしたら、ここに残る選択肢も……」
ミシング「あたしはそうしてくれて構わないんだけどー…。
二人は二人でいっぱい悩んだだろうし、それでも一人立ちしたいって決めたんならね…?
短い間だけど保護者だった身としては見送ってあげるべきなのかも?」
母「あたし達がお邪魔して…気まずくさせちゃったのかしら」シュン
ミシング「あはは!違いますよ、全然?マリーさん達が来る前から、ちょくちょく相談されてたから?」
28: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:39:08 ID:jOOK1VnbDQ
ミシング「まぁー…あの二人、ああ見えてあたしより年上だったんですよねー。びっくり!
だからか知らないけど、いろいろ考えてて…なんだかんだ自分たちで生活していくのを望んだのかにゃ?」
母「そうですか…。寂しくなりますわね?」
ミシング「うん、そうなんだけど…寂しいのはお互い様ですもんね。
あんまり名残惜しくしちゃうとホビットの二人も辛くなりますよ、やっぱり?」
母「そうですね…。子供たちもいつそういう選択をするとも限りませんし…。
そうなった時、何も言わず背中を押してあげるのが保護者の役目なのかもしれないわ…」
ミシング「そうそう。お別れを悲しむより祝福して見届けなくちゃ?」ニコッ
母「(……坊やにもいつかそんな日が来るのかしら)」
ミシング「…マリーさん?」
母「あ、すみません!ちょっとボーッとしちゃって?」ハッ
ミシング「もうこんな時間ですもんね。あたしは湯浴みして日誌書いてから寝るんで遠慮せず寝ちゃってください」
母「は、はい…。じゃあお言葉に甘えて…」
ドタバタ ガタンッ
母「あら…?二階から…?」
ミシング「んもー!あの子たちったらー…お仕置きオバケの出番かにゃ!」
タタタッ
ナラ「ま、マリーおばさん!ミシングさん!」アセアセ
ミシング「あ、ちょっと待って!まだ変身してない!」ヌギヌギ
母「こんな真夜中に慌ててどうしたの?」
ナラ「カロルが…!」
ミシング「んー?ケンカしてるの?」
ナラ「ケンカ…っていうより」マゴマゴ
ダンッダンッ ガタンッ
ミシング「…とりあえず近所迷惑だから止めなきゃだねー」
母「ぼ、坊やったら…何したのかしら?」アセアセ
ナラ「は、はやく!」
29: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:44:20 ID:ghswXoejkk
―――孤児院(共用部屋)―――
ルーボイ「だぁぁもう!やめろっつってんだろ!?」ガシッ
孤児1「やーだー!やだやだ、やーだー!!」ジタバタ
孤児2「うわーん!!」ブンッ
ガンッ
ラム「積み木なんか投げたらダメじゃないか!当たったらケガするんだよ!?」ガシッ
カロル「……」シュン
ナラ「ミシングさんたち、よんできたよ!」タタタッ
ミシング「なにやってんのー!消灯過ぎてるでしょー?」スタスタ
母「いったいどうしたって言うの?」スタスタ
孤児1「ママー!うわぁぁあああん!!」ダキッ
孤児2「兄ちゃんたちがいじめるのー!?」ダキッ
母「え…?」
ミシング「あー散らかしちゃって、もう?お掃除大魔王ミシングちゃんの腕の見せどころじゃないのよ?」キョロキョロ
30: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:46:45 ID:ghswXoejkk
ルーボイ「いじめてなんかねーよ!こいつらが勝手に……」
孤児1「うわぁぁぁんあんあん!!」バタバタ
ルーボイ「あーうるせぇ!泣くな!」
母「坊や…何があったの?」
カロル「……」
母「ちゃんと説明してちょうだい。お母さん、怒ってないから?」
ラム「あの…」
母「?」
ラム「二人が急に…カロルくんに怒り出したんです」
母「…そうなの?」
ラム「カロルくんがマリーさんの話をしてて…それを聞いたら、いきなり」
母「それだけで…?」
ラム「…『ママはぼくたちのママだ』って」
母「え…?」ジッ
孤児1「えぅ…ひっく」ウルウル
孤児2「だって…そうだもん」ウルウル
母「み、みんなで仲良くしましょ?ね?」アセアセ
孤児1「やだっ!ぼくのママがいい!!」ジーッ
孤児2「ぼくも!?」ジーッ
母「そ、そんなこと言われても…」
ミシング「マリーさんを困らせないの!めっ!」
孤児1「こまらせてない!」ガァーッ
ミシング「は、反抗期…!?」ガーン
孤児2「ぼくたちの…ママになってくれたもん…!」グスッ
母「(思ってくれていいとは言ったけど…)」オロオロ
31: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:49:22 ID:ghswXoejkk
カロル「ホントなの…?」ジッ
母「え?」
カロル「お母さまは…もうボクのお母さまじゃないの?」
母「…そんなはずないでしょ?」ナデリ
孤児1「えっ」ピシィッ
孤児2「うそ…だったんだ」ピシィッ
母「へ!?い、いや…嘘というか……」アセアセ
孤児1「ウソつき!!」パッ
孤児2「ママになるって言ったのに!?」パッ
母「え、えと…その、ね?あのー…分かるでしょ?親代わりなら…」
孤児1「おかわりなんてしない!!」
母「お、おかわりじゃないのよー?おやがわりって言ったの?」オロオロ
孤児1「おまえのごはん、まずい!おかわりしないし、食べたくない!!」
母「!?」ガガーン
孤児1「ホビットだからウソつきなんだ!」
孤児2「そうだよ!町の人たちに言われたもん!ホビットはウソつきだって!」
母「……!」
カロル「……」
ラム「……」
ルーボイ「お前ら変なこと言ってっと泣かすぞ!」ムカァァァ
ナラ「ルーボイ、やめて!」ガシッ
ルーボイ「はぁ!?なんでだよ!?」
ナラ「こういうときは、せんきょうしさまか、ミシングさんにまかせないと!」
ミシング「そゆこと!お子ちゃまはお布団でぐっすり好きな女の子の夢を見てなさい!」ポンッ
ルーボイ「っ…み、見ねぇし!」
32: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:51:30 ID:ghswXoejkk
孤児1「ウソつきホビット!」
孤児2「ホビットなんかきらい!」
母「お、落ち着きましょ!あたしを嫌いになるのはいいわ?でもラムくんや坊やは関係ないじゃない?」
孤児1「うるさーい!ウソつき!」
孤児2「きらいきらいきらい!ホビットだいっきらい!」ジダンダ
母「(あ、あぁどうしましょう…。せっかく頂いた居場所なのに…あたしが余計なことを言ったせいで良くない空気に…)」オロオロ
ミシング「はい、おしまーい!おねんねしないとお仕置きオバケが食べ散らかしちゃうぞー?」パンッパンッ
母「み、ミシングさん…?」
ミシング「今夜のところはあたしの部屋で寝かせますからマリーさんはみんなを寝かし付けちゃってくださいな?」
母「わ、分かりました…?」
ミシング「はーい、おチビちゃんたちー!今日はミシングお姉ちゃんと寝ましょうね?」ガシッ
孤児1「やーだー!!」ジタバタ
孤児2「バカホビット!いなくなっちゃえ!」
ルーボイ「こ、こ、コノヤロー……!」ワナワナ
ナラ「ルーボイはホビットじゃないでしょう?」ポンポン
ルーボイ「うるせぇ!!俺のダチをバカにしたんだぞ!?」
ナラ「……」モジモジ
33: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:53:21 ID:jOOK1VnbDQ
ミシング「はいはい!明日用に買っておいたドーナツがあるからおとなしく来なさい!」
孤児1「ドーナツ!?」ピクッ
孤児2「ほんと!?」パァァ
ミシング「ホントよー?今ならかわゆいミシングちゃんと甘いドーナツを食べながらあまーい密室デートが楽しめるよ!
特別に膝の上で歯磨きもしてあげちゃうんだから!世の男性ファン達に憎まれちゃうかも、なんてね?」
孤児1「えー!歯みがきやだー!」
孤児2「ドーナツ!ドーナツ!」
ミシング「うんうん、じゃあ、お部屋に行きましょう!」
ルーボイ「俺のドーナツは!?」
ミシング「あ、ごめんね。ルーボイくん!あたしの部屋、3人用なんだ!」
ルーボイ「いや、部屋なんかどーでもいいし!ドーナツだよ、ドーナツ!」
ミシング「2個しか買ってないよ?」
ルーボイ「はぁ!?6人いるだろ!?」
ミシング「数間違えちゃったー?てへっ!」
ルーボイ「どうやったらそんなに間違うんだよ!?」
ミシング「じゃ、おやすみーん!」ガチャッ
ミシング「(本当は明日、みんなにナイショでこっそり食べる予定だったんだもーん)」シランプリ
34: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:56:54 ID:ghswXoejkk
母「…み、みんなも寝ましょっか?」
ルーボイ「いいのかよ、おばちゃん!あんなん言われて!?」
母「え?」
ルーボイ「カロルとラムだってムカつくだろ!?」
ラム「…いいんじゃないの?」
ルーボイ「はぁ!?」
ラム「小さい子の言う事だしムキにならなくてもさ?」
ルーボイ「そ、そりゃあいつらはガキだけど…それだけで許せるかよ!」
カロル「…ボクのせいでイヤな気持ちにさせちゃったよね。みんなも…二人も…」
ナラ「へいきだよ。あしたになったらわすれてるよ?」ニコッ
母「そうよ…。あたしが軽はずみに親代わりになるなんて言っちゃったから…」
カロル「ううん…ボクも二人がお母さまを好きになってくれて嬉しかったの。
『ママができた』って喜んでくれたから…お母さまのこと、もっと知ってほしくて……」
母「坊や…」
カロル「でも…そうじゃなかったんだね。ボクの思い出は…ボクしか知らないことだから、二人には自慢に聞こえちゃったのかも」ウルッ
ラム「考えすぎじゃない?」
ナラ「カロルがやさしすぎるだけ?」
ルーボイ「ふつー逆だろ!お前があいつらに母ちゃん取んじゃねぇって怒んだよ!?」
カロル「うん…。さっき話してた時、お母さまが二人に取られるって思ったら…すごくイヤだった」
『お母さまは…もうボクのお母さまじゃないの?』
母「(……)」
カロル「きっと同じ…。こんなにツラい気持ちを二人に我慢させてたんだもの。怒るのも…しょうがないよ」シュン
ルーボイ「(こ、こいつ…)」ヒクヒク
ラム「(な、なんか…ここまでくると優しさっていうより?)」ヒクヒク
ナラ「(よくわかんない…?)」ヒクヒク
35: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 01:59:03 ID:ghswXoejkk
〜〜〜3日後〜〜〜
ルーボイ「カロル!今日、市場で祭りがあんだってよ?」
カロル「そうなの?」パァァ
ラム「町が出来た日を祝うんだってさ?」
カロル「へー!そうなんだ!」キラキラ
ルーボイ「夜にミシング姉ちゃんが連れてってくれるけどお前も行くよな?」
カロル「うん!行きたい!」キラキラ
孤児1「ナラ姉ちゃん!一緒にまわろーね!」ダキッ
ナラ「へ?」
孤児2「ぼくもナラ姉ちゃんとがいいー?」
ナラ「…で、でもみんなで?」アセアセ
孤児1「やだー?」
孤児2「ナラ姉ちゃんとまわるのー!」
ナラ「えー…?」アセアセ
ルーボイ「(まだ根に持ってんのかよ…)」
カロル「…」ズーン
ラム「じゃあ僕らはカロルくん達と回るからナラは二人をよろしく?」
ナラ「わかった…」シュン
孤児1「イヤ?」ウルウル
孤児2「ナラ姉ちゃん…ぼくらがきらいなの?」ウルウル
ナラ「そ、そんなことないよ?いっしょにまわろ?」ニコッ
孤児1「へへへー」ニコニコ
孤児2「やった!」
ナラ「(カロルとまわりたかったなぁ…)」ションボリ
ルーボイ「(ちくしょう…。ナラいねーのかよ)」ションボリ
36: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:00:57 ID:ghswXoejkk
〜〜〜夜〜〜〜
―――ミラルドの町(市場)―――
ワイワイガヤガヤ
ミシング「さぁーやってきましたよー!ミラルド名物、一夜限りの町興し記念祭ー!
こちら現場からミシングちゃんがお送りしてまーす!」
ポンポポポンポン ポポンポポン
ミシング「まずはこちらをご覧ください!町の人たちで結成された楽団による民謡奏楽に合わせて老若男女、さまざまな人が輪になって伝統舞踊を楽しんでまーす!」
ランランラン ランランラン
ミシング「月の欠けた夜とは思えないくらい明るいですよー!
多くの出店を伝って紐に吊るされた可愛い装飾の雪洞(※ぼんぼり)が町の隅々まで照らしてくれてまーす!」
ワァーワァーキャーキャー
ミシング「ではここで一旦、子供連れのご夫婦に感想を伺ってみましょう!そこの楽しげな新婚さん!」ポンポン
町人1「かれこれ結婚12年目ですかね」
ミシング「楽しんでますかー!」
町人1「えぇ!楽しんでますよ!」
町人1の妻「毎年、この日が楽しみです!」
町人1の子供「見てー!水風船!」ボヨンボヨン
ミシング「うーん!なんて幸せいっぱいなんでしょう!あー結婚したい!!」キュンッ
ゾロゾロ ゾロゾロ
ミシング「あ、そこの若い団体さん!お祭り楽しんでますかー?」
若者1「えー?つかー?まぁまぁー?みたいなー?」チャラチャラ
若者2「てかおねーさん、なに?誘ってんの?一緒に回りたい感じ?」チャラチャラ
若者3「あーそっかー!ゴメンねー?俺ら彼女いっからー?」チャラチャラ
若者4「つか早く合流すんべ!待たせんとカチキレっぞ!」チャラチャラ
チャラチャラ チャラチャラ………
ミシング「若い男女でイチャイチャお祭り……あはっ!ミシングちゃんったら奥歯がギシギシ言ってるよ!」イライラ
ミシング「あーあ、急な大雨とかで中止になんないかにゃー」ケッ
37: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:03:16 ID:jOOK1VnbDQ
ミシング「という訳でお祭りです!」
ラム「(この人、さっきから一人で喋ったり知らない人に話しかけたり何してるんだろう?)」
ミシング「ここで大事な御約束をします!まず絶対に一人で行動しないこと!」
ミシング「それからお小遣いは銅貨500枚まで!それ以上のお買い物はしちゃいけません!ミシングちゃんのお財布が餓死しちゃいます!」
ミシング「そして町人全員が行き来してるお祭りに参加するからには人に迷惑をかけちゃいけませんっ!当たり前だのクラッカーなのです!」
ミシング「あたしがみんなをここに連れてきたのは人とのふれあい、お金の管理、正しい道徳心を育んでもらう為です!」
ルーボイ「ちっ…普通に遊ばしてくれりゃいいじゃんか?」ブツクサ
ミシング「なんか言ったー?バッキバキにしちゃうよー?」コキッコキッ
ルーボイ「な、なんでもないし…」ビクビク
ミシング「今言った御約束を守れたらオールオッケー!大いに楽しんじゃってください!」
ハーイ!
ミシング「うんうん、元気が一番!じゃあみんなお小遣い渡すから並んで!」
ワーイワーイ!!
ミシング「(初めて自由に使わせるお金……これもたくさんの寄付から成り立つ物だけど)」
ミシング「(お金の使い道っていうのは自分で使っていかないと分からないんだよねー。
もちろん自分で頑張って働いて得るのが一番いいんだけど…こういうことを教えてあげられる機会ってあんまりないもんね)」
ミシング「(立派になんてならなくてもいい…。この子たちが大人になれる手助けを少しでも多くしてあげたいな。一緒にいてあげられる内に?)」
ミシング「(…任せて、宣教師。あなたの願いはあたしが叶えてあげる。
あなたが目指してる理想は到底、不可能に思えちゃうような話だけど…あたしはあんたを信じてるからね)」
38: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:06:18 ID:ghswXoejkk
―――露店通り―――
ワァーワァー!
カランカラン
輪投げ屋「はい、残念でした!全部はずれ!5等のオモチャ、どれでも一つ持ってっていいよ?」
ルーボイ「ちぇー!遠すぎんだよな?…これにしよ!」スッ ゴソゴソ
カロル「惜しかったね!あとちょっとだったよ?」
ルーボイ「そうか!?もっかいやろーかな?」
ラム「無駄遣いしたら貰ったお金無くなるよ?」
ルーボイ「うるせぇな!お前は俺の母ちゃんか!?」
ラム「違うけど」シレッ
ルーボイ「冷静に言うなし!?つーかカロルは欲しい景品ねーのかよ!」
カロル「あるけどボクじゃ取れないかも…?」シュン
ラム「どれ?」
カロル「あれ!」ビッ
ラム「昌石を原料にした貴重なインク一式……画材じゃないか?あんなの貰ってどうするんだい?」
カロル「ボク、お絵描きが好きなの?」ニコニコ
ラム「ふーん…そっか。ちょっと待ってて?」
カロル「え?」
39: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:08:39 ID:ghswXoejkk
カランカラン!
輪投げ屋「んな…アホな…!?」
ラム「思ったより簡単だったね?」クルクル
ルーボイ「すげぇ!?全部入れたし!?」
カロル「わぁぁ…!ラムくん、すごーい!」パチパチ
輪投げ屋「はぁ…まさかホビットに取られるとはな」
ラム「3等のインク、ちょうだい?」
輪投げ屋「は?こんなのでいいのか?」スッ
ラム「カロルくん」パシッ
カロル「?」
ラム「あげるよ」スッ
カロル「いいの!?」パシッ
ラム「うん。僕は絵心なんてないから?」
カロル「そ、それならラムくんが欲しい景品に…?」アセアセ
ラム「じゃあ喜んでみせてよ?」ニコッ
カロル「へ?」
ラム「一等の景品より君の笑顔が見たいな?」
カロル「え…えへへ!」テレッ
ラム「ふふ?」ニコニコ
カロル「ホントにこんなのでいいの…?ちょっぴり恥ずかしい?」テレテレ
ラム「うん、十分だよ。君にはかなり助けられたしね」
カロル「…そんなことないよ?」
ラム「君が笑顔を向けてくれたから僕はやり直せたんだ。本当にありがとう?カロルくん?」ニコニコ
カロル「ラムくん…」
ラム「受け取ってくれるかい?」
カロル「うん…!大事にするね?」ギュッ
40: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:10:43 ID:ghswXoejkk
カロル「水色の兎飴一つください!」チャリッ
飴細工屋「はいはい。銅貨70枚、ちょうど。ところでお前さんはホビットだね?」スッ
カロル「引っ越してきました!」パシッ
飴細工屋「ほー…そうかい、そうかい。この町の住み心地はどうだい?」
カロル「とっても幸せです!」ニコッ
飴細工屋「し、幸せ…?」ポカーン
カロル「はい!」ニコニコ
飴細工屋「…そか、そか。幸せか…。うん、いいこった?」ニコッ
カロル「ともだちと一緒にお祭りに来られるなんて夢みたい…えへへ!」ニコニコ
飴細工屋「…お連れさんは何人いるんだい?」
カロル「えと…二人!」
飴細工屋「じゃあこれ、おまけしてあげよう」スッ
カロル「? でも…お金が…?」キョトン
飴細工屋「町を褒めてくれたお礼さ?幸せなんて言葉…そうそう出てくるもんじゃない?」ニコニコ
カロル「だ、ダメだよ?お母さまに怒られちゃうもの?」アセアセ
飴細工屋「ならお友達に私の飴細工を広めておくれ?宣伝になるから?」
カロル「せ…でん?」チンプンカンプン
飴細工屋「商売人にとってはお金を受け取るより嬉しいことさ?宣伝してくれたらお代はいらないよ?はい?」スッ
カロル「そ、そうなの?ホントにいいのかな…」ウーン
飴細工屋「私の作った飴をたくさんの人に見せたいんだ?君はその手助けをしてるんだよ?」
カロル「そうだったんだ!がんばらなくちゃ!」
飴細工屋「ふふ…がんばっておくれ?」ニコニコ
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