2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


141: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:40:19 ID:yaXDMG2LZo
ローレン「ま、待ってくれ!兄上!!」アセアセ

ラフテン「」クイッ

親衛隊長「ローレンは生け捕りにしろ。民衆の面前でラフテン陛下自ら首を切り落とされる?ヒメ国王とその家臣共は皆殺しだ!!」バッ

親衛隊「ははっ!!」ジャキッ

政務官「や、やめろ…よせ!?」ジタバタ

ローレン「多勢に無勢か…!せめてヒメ国王の兵が自由であれば…?」タジッ

ヒメ「た、助けてくれ…!」

ラフテン「クハハハハハ!いいねぇ!もっと必死に命乞いしたまえよ!?」ゲラゲラ

ヒメ「っ……団長!!!」

近衛兵?「御意!!」ヒュッ

南の衛兵1「ばぎふっ!?」ゴカッ

ラフテン「ハハハハ……は…?」ピタッ

近衛兵?「おぉぉりゃあああ!!」シュバッ

バキッ ガゴッ ビシッ ドフッ

親衛隊「ぐわあああ!!」バタバタ

ヒメ「え…?」ジッ

親衛隊長「ちぃっ!!取り囲んで殺せ!!」

南の衛兵's「はっ!!」バッ

近衛兵?「ワシに続けぇっ!!」ブンッ

スパパパパバパッ

近衛兵's「は、ははぁっ!!」シュルリ

親衛隊長「ば、馬鹿者!!拘束を解かせるな!?」アセアセ

近衛兵?「遅いわぁっ!?」ダッ ブォンッ

親衛隊長「うごっ!!」ズサァァ
142: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:44:43 ID:tkZwUH.J0s
ギャーギャー ギャーギャー

ローレン「」ポカーン

近衛兵?「お待たせしましたな!ヒメ様!!」バッ カランカラン

ヒメ「だ、団長!?来てたのか!?」

団長「ワシなくして誰があなたをお守りすると?」ニヤリ

ヒメ「ど、どうして鎧兜なんか着込んで下級兵士に紛れてたんだよ!?いつも憲兵が着用する革の制服で行動してたじゃないか!?」

団長「……」

ヒメ「?」キョトン

団長「あまり役に立たないワシが出しゃばっても邪魔かと思い、配慮させていただいた?」ジトッ

ヒメ「あっ…」ハッ

『西の国との問題は頭を使う事になるし…そうなるとあんまり役に立たないじゃん?』

団長「思い出していただけましたかな?」

ヒメ「ご、ごめん…」シュン

団長「ふっ…主君が配下に易々と頭を下げるものではありませんぞ?」

ヒメ「…も、もっと早く助けてくれたってよかったんじゃないか?」モジモジ

団長「それではワシが頼れる忠臣であると証明出来ますまい?気長に機を探り、絶好の時を選んだ次第!」

ヒメ「おまえって意外と根に持つんだな…?」ムスッ

団長「陛下の役に立つは我が生き甲斐にござる。そこを否定されてはワシとて落胆致しますとも?」

ヒメ「ふん…だったら喋ってないで働け!役に立つところを見せてみろ!?」

団長「無論!!」ダッ

ローレン「ヒメ国王!あの方は…!?」

ヒメ「…僕の自慢の家臣です。もう心配要りません」

ラフテン「おのれぇ!!皆殺しだ!!王国の連中もローレンも八つ裂きにしろぉっ!!」

団長「数の利は敵にあるが躊躇するな!!司令塔は先に始末した!!
指揮官不在の隊の殲滅などワシら近衛に掛かれば赤子の手を捻るようなものだ!?」バッ

ウオオオオオオ!! ガキンッ ギャリンッ キンッ キキンッ
143: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:47:29 ID:tkZwUH.J0s
>>116
ブルードル陛下は自分でも書いてて楽しいキャラだったのでちょっと名残惜しいですw
ここから更に盛り上げていくつもりなので、ほどほどに期待しててくれると嬉しいですw
支援ありがとうございました!
144: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:33:13 ID:Buemia0KPk
ワァーワァー ワァーワァー!

ギンッ ガガッ カィンッ ギャリンッ

団長「ぬぁあっ!!」ブォンッ

南の衛兵3「うぐっ!」ドカッ

近衛兵's「うおおおおお!!!」バッ

南の衛兵4「くっ…て、手に負えないぞ!」ギンッ

南の衛兵5「あの騎士…強すぎる!」タジッ

ラフテン「増援を呼べ!城中の兵を掻き集めて、この不届き者共を殺すのだ!?」

団長「…ヒメ様!!道を作りますので先に避難を!?」

ヒメ「その必要はない!」スラッ

団長「なっ…!?」ギョギョッ

政務官「ま、まさか参戦する気ではございますまいな!?」

ヒメ「城の人間は城下で行われる南の国王の葬儀に取り掛かって、ほとんど出払ってる!!
そうでもなかったら、こんな大胆な手段に出なかった筈だ!!」

ラフテン「そ、それがどうした!?ここから城門まで10分も掛からん!!兵を呼び寄せるのは容易いぞ!?」

ヒメ「往復20分程度か。だったら15分……いや、10分でケリを着けるぞ!!」

政務官「へ、陛下!?これ以上、他国で騒ぎを大きくしてはまずいですぞ!?」

ヒメ「増援が来る前にラフテンを捕らえろ!」

団長「…はっ!!」ダッ

南の衛兵6「させるかっ!?」ブンッ

団長「邪魔だ!?」ヒュッ

南の衛兵6「うぎゃはっ!?」ドカッ
145: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:38:28 ID:Buemia0KPk
ローレン「…な、なぜだ。貴殿にしてみれば俺を引き渡せば済む話だろう?」

ヒメ「そうしてほしいのなら、そうしましょうか?」クスッ

ローレン「っ……い、いや」タジッ

ヒメ「悪魔に魂を売ったのは貴方だけではありませんよ」

ローレン「は…?」

ヒメ「僕も西の国を倒す為に…あんな悪魔のような男に頼ろうとしてしまいました。
でも…やっぱり一緒に戦うからには信頼の置ける味方が欲しいんです?」ニコッ

ローレン「お、俺で…いいのか?仮にも父と兄を殺し、ファルージャに国を売ろうとしたんだぞ!?」

ヒメ「自分のした事を気にかけてるんですね?」

ローレン「は…?」

ヒメ「なら大丈夫ですよ。貴方はまだラフテンほど腐ってない?」

ローレン「……」

ヒメ「してきた事は認められないけど…境遇には同情出来ます。
僕も昔は王子なんて重荷、背負いたくないとごねてましたしね」

ローレン「ヒメ国王も…?」

ヒメ「はい。ローレン王子と事情は異なりますが…自分の国に絶望していたという意味では似てるかもしれません」

ローレン「……」

ヒメ「貴方の考えは間違っていなかった。亡くなった先代やラフテンのやり方では…いずれ必ず綻びが出たでしょう。ですが手段を間違えたんです。貴方の決断は…もしかすれば国を滅ぼしかねない」

ローレン「……分かってたさ。だが俺には貴殿の臣下達のような頼もしい味方がいなかったんだ」

ヒメ「では作りましょう。今、ここで!」

ローレン「信用していいのか…?」

ヒメ「…僕の親友は信じる力を持ってました。絆で道を切り開いたんです」

ローレン「…親友?」

ヒメ「それが王国の救い主です」

ローレン「す、救い主…ホビットの…か?」

ヒメ「種族とか教えなんて馬鹿馬鹿しく思えるくらい、いいヤツですよ?」ニコッ

ローレン「……!」
146: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:41:41 ID:Buemia0KPk
ギャーギャー ギャーギャー!

ラフテン「雑兵など相手にするな!雛鳥だ!!雛鳥を狙え!?奴を人質に取ればこいつらは固まる!?」

親衛隊「ははっ!!」ダッ

団長「ぬぅ!?ひ、ヒメ様を守れ!?何人たりとも近付けるな!?」

近衛兵1「も、申し訳ございません!敵の数が多すぎて…目の前の相手に集中するのが精一杯です!」ギギギッ

政務官「こ、こうなれば私が…!」ズイッ

南の衛兵7「どけぃ!?」ブンッ

政務官「ぐわっ!?」ズサァァッ

ヒメ「リルラ!?」

政務官「お、おぐっ…ういぃっく…!」ゴロゴロ

ヒメ「…なんだ。柄で殴られただけか。心配して損した」シラー

南の衛兵7「他人の心配などしてる場合ではなかろうが?」ズイッ

ザザザッ

ヒメ「(なんとか団長達が食い止めてくれてるが…6人か。僕一人じゃ無理だな)」

ローレン「控えろ。無礼者?」ズイッ

ヒメ「ローレン王子…?」ピクッ

南の衛兵7「…なんの真似ですか?」ギロッ

ローレン「それはこちらの台詞だ。王子である俺に刃を向けるとは何事か?」

南の衛兵7「あんたはもう王子じゃない。国王殺しの逆賊だ?」

ローレン「…王位争奪に関すれば、いかなる非道も許される。それが貴様らの主のやり方だろう?」

南の衛兵7「殺るぞ!!」ダッ

ダダダッ

ローレン「来るぞ!ヒメ国王!」ジャキッ

ヒメ「…はい!」ジャキッ
147: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:44:27 ID:47qDB4JxU6
団長「…陛下の方はなんとかなりそうだな」ホッ

南の衛兵8「よそ見してる場合か!?」ヒュンッ

団長「」ブォンッ

ズバァァァッ

南の衛兵8「がぶ……」プシャアアアアア

ザワッ

南の衛兵8「」バタッ

ラフテン「……!?」ゾワッ

団長「貴様らがどこまでもやり合うと言うのなら受けて立とう」ピシュッ

親衛隊「」ブルッ

団長「だが…峰打ちで済むのはここまでだ?」ギロッ

近衛兵1「(…そうか!他国での騒動と考えて配慮してたのではなく、剣身を使わずに戦う事で格の違いを見せつけていたんだな?)」

親衛隊「……!」ガクガク

近衛兵1「(団長の圧力に敵は縮み上がってる…!これなら…!)」

ラフテン「こけおどしに怯むなぁ!!バカ共がぁ!?」

南の衛兵9「し、しかしラフテン様…!あの騎士、ただ者ではございません!
ここは一度、城門に避難し、立て直しを図るのが最善かと…」

ラフテン「」ヒュンッ

南の衛兵9「ひっ…!?な、何をなされるので!?」ピタッ

ラフテン「ガキの率いる少数部隊、下級官族出身の弟…こんなカス共を相手に一国の王が退けるかぁ!?」ズブッ

南の衛兵9「んっ…ぐえっ」ゴフッ

ラフテン「貴様らは黙って俺様の命令に従ってりゃいいんだよ!?
有象無象のお前らが何人死のうが俺様の代わりはいねぇんだ!?」クワッ

ザワザワ ザワザワ
148: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:45:57 ID:47qDB4JxU6
団長「…見ちゃおれんな」

ラフテン「なんだと…下朗が!?」ギョロッ

団長「こんなくだらん男を生涯の主と崇め奉る為に貴様らは血を流すのか?」

親衛隊「」ピクッ

ラフテン「アァ〜…!?」ピキッピキッ

団長「見てみろ?もう一人の王子を?」

親衛隊「」ジーッ

ガィンッ キキンッ ガガッ ドシュッ

団長「ワシはただなんとなく王族に仕えているのではない。
己の持てる全てを捧げるに値すると認めた主に心から忠誠を誓っておるのだ」

親衛隊「……」

団長「自ら剣を握り、逆境に立ち向かう王と…味方の背後に隠れ、あまつさえ臣下に刃を突き立てる王…貴様らはどちらを選びたい?」

ラフテン「なにを黙って聞いてるんだ!耳を貸すなぁ!?」

団長「まだ間に合うぞ。王位継承権を持つ者は二人いるのだ」

ラフテン「さっさとそいつを殺せぇ!?」

団長「南の国に忠を捧ぐ勇敢な兵士達よ!!」

親衛隊「」ビクビクゥッ

団長「二つに一つだ…!」

親衛隊「〜〜〜!!」プルプル
149: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:47:41 ID:47qDB4JxU6
ラフテン「何をやってんだ!殺せというのが分からないのか!?命令だぞ!?」

親衛隊「……」

ラフテン「このっ愚図がぁ!?」ヒュンッ

南の衛兵10「うっ…!?」ザクッ

バタッ

ラフテン「こいつのようになりたいか!?えぇっ!?」バッ

親衛隊「」ワナワナ

団長「終わったな。貴様?」

ラフテン「はぁ…!?」

クルッ クルッ クルッ クルッ

ラフテン「!?」

ジリッジリッ ジリッジリッ

ラフテン「お、おい…!待てよ?お、俺を誰だか分かって……」アセアセ

親衛隊長「む……ぐく…!」ムクッ

ラフテン「し、親衛隊長!こいつらを止めろ!?」

親衛隊長「お、お前達…何をしてる…?」ヨロッ

南の衛兵11「邪魔するのなら隊長であっても容赦しませんよ」ジャキッ

親衛隊長「な、なにぃ〜…!?」

ラフテン「こいつら…敵の甘言に踊らされて寝返ろうとしているのだ!」

親衛隊長「な、なんですと…!?」

ゾロゾロ ゾロゾロ

団長「道を空けろ!!」

親衛隊「」ビクッ

ザザザッ

ローレン「……」スタスタ

親衛隊長「ローレン…王子」
150: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:50:40 ID:47qDB4JxU6
ローレン「無様だな。兄上…?」

ラフテン「〜〜〜!!こ、殺せ!!ローレンが無防備にも貴様らに背を向けているぞ!?今なら確実に殺れる!?」

シーン

ラフテン「おい、聞いてるのか!?殺れと言ってんだよ!?命令だ!?」

シーン

ラフテン「くっ…!王族に飼われる身でありながら…許さんぞ!!」

ローレン「俺も王族だ…」

ラフテン「貴様ごときが王族を名乗るな!?
上流階級の母と国王である父の血を継ぐ俺のみが純潔な王族ぞ!?」

ローレン「貴様が殺した兄弟の中には…そんな奴がわんさかいたんじゃないのか?」ギロッ

ラフテン「知るかぁ!?あいつらは俺に敗れ、王位を奪われた負け犬だぁ!!勝ち残った俺こそが真なる王……」

ローレン「変わらんよ」

ラフテン「アァ〜!?」ギョロッ

ローレン「お前もここで俺に敗れ、王位を奪われる哀れな王族の一人だ」

ラフテン「っ……おい、何ボサッとしとるんだ!?行け!?」バシッバシッ

親衛隊長「は!?」ビクッ

ラフテン「ローレンを討つんだ!!奴の首を切り落とした者には褒美を取らすぞ!?」ハァッハァッ

ローレン「…命令だ!!」カッ

親衛隊「……!?」

ローレン「ラフテンを拘束せよ!!」

親衛隊「ははぁっ!!」ザッ
151: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/30(日) 21:55:12 ID:47qDB4JxU6
ジリッジリッ ジリッジリッ

ラフテン「ま、待て!俺に従え!褒美を…褒美を取らす!!階級も上げてやる!?女だって思うがままだぞ!?」アワアワ

親衛隊長「ふむ…」

ラフテン「くそがぁ!!親衛隊長!!殺せ!?この反逆者共を八つ裂きに…!」

親衛隊長「」ヒュンッ

ラフテン「ッッ!?」ビクッ

親衛隊長「…剣を捨て、両腕を上げろ?」ピタピタ

ラフテン「お、おい…なんの真似だ…?」ブルブル

親衛隊長「」グッ

ラフテン「ひっ!分かった!言う通りにする!?」タラァァァ

親衛隊長「ローレン国王!!私めが見事、逆賊を捕らえてご覧に入れましたぞ!?」キリッ

ローレン「…大義である」

親衛隊長「覚悟しろ!逆賊め!我らが王、ローレン様に牙を剥くなど無礼千万!
民衆の面前で、これまでの罪を暴き、首を跳ねてくれるわー!?」ボーヨミ

親衛隊「」シラー

ローレン「どうだ。兄上?味方を奪われる気分は?」

ラフテン「み、認めん…ぞ」プルプル

ローレン「……」

ラフテン「き、貴様などが王になどなれるものかぁ!?」

ローレン「城外の広場に引きずり出せ。葬儀の前に王位継承の儀に移るぞ」

ラフテン「ば、バカな…継承権は長男である俺に……」

ローレン「決闘だ」

ラフテン「は…!?」

ローレン「俺と貴様、どちらが王に相応しいか…南の王族らしく互いの血で決めようじゃないか?」

ラフテン「……!?」ゾワッ
152: 名無しさん@読者の声:2015/8/30(日) 22:17:05 ID:Jyy7L0BC1s
ローレン頑張れ!
153: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:39:42 ID:n15p5hTuR6
―――南の城下町(広場)―――

ゾロゾロ ゾロゾロ

ヒソヒソ ヒソヒソ

親衛隊長「民衆に告ぐ!!偉大なる我らが先代国王の葬儀を一時中止し、王位継承の儀を執り行う!!だがその前にだな……」

ザワザワ ザワザワ

南の高官's「」ヒソヒソ

南の貴族's「」ガヤガヤ

親衛隊長「えぇい!騒ぐな!?」

ローレン「……」

南の高官1「ローレン王子!これはどういう事だ!?」

南の貴族1「他国から慰問に訪れた要人の方々も混乱しておりますぞ!しかと説明していただかねば!?」

ローレン「皆、疑問はあるだろうが詳しく説明している暇はない。
趣旨のみを端的に伝えるので耳を傾けてくれ」

南の貴族1「…な、何が起きてるんだ!ラフテン王子が即位されるんじゃなかったのか…?」ヒソヒソ

南の貴族2「し、しかし兵に拘束されているぞ…?」ヒソヒソ

南の貴族3「ま、まさかこの場で処刑し、ローレン様が王位に返り咲こうと…?」ヒソヒソ

南の貴族4「な、なんだとぉ…!?わ、我らがこの日の為にどれだけラフテンに貢いできたか…全て台無しではないか!」

親衛隊長「鎮まれぃ!!」

シーン

親衛隊長「これよりローレン王子とラフテン王子が互いの王位を賭けて決闘なさる!!」

ザワザワ ザワザワ

親衛隊長「この国の王座を勝ち取るのはどちらか…これよりそなたらには南の民として我が国の歴史の証人となってもらう!!」

ワァァァァアアアアアア!!!
154: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:41:08 ID:n15p5hTuR6
ヒメ「ことのほか盛り上がってしまいましたね。もう後には退けませんよ?」

ローレン「20万近い城下の民が見届ける舞台…悪い気はしないな」

ヒメ「ハハハ…すごい胆力ですね?敬服しますよ?」

ローレン「兄上の粋な計らいで死線をいくつも越えてきたから…かもな?」ニヤッ

ヒメ「貴方の即位を願う一人として御武運を祈っております?」

ローレン「ここに辿り着かせてくれた貴殿には恩返しせねばならん…?
その為にも必ず王となって舞台を降りよう…」

ヒメ「……」ニコッ

親衛隊「行ってらっしゃいませ!"陛下"!!」ピシッ

ローレン「……あぁ!!」ググッ

カツンカツン カツンカツン

政務官「ろ、ローレン様に勝っていただかねば…我々も生きて、ここを出られませんな?」ドキドキ

ヒメ「心配するな、リルラ。あの方は強いよ。
共闘して見させてもらったが少なくとも剣術では僕より何枚も上手だ?」

政務官「ほ、ほう…!それほどに!?」パァァ

ヒメ「…問題はラフテンの腕のほどだな?団長、どうだった?」

団長「直接、太刀合わせした訳ではござらんが…まぁ平凡でしょうな?
王族であるだけに一応、剣術も教養には含まれていたかもしれませんがヒメ様を凌ぐ剣技をお持ちであれば心配無用かと思われる?」

ヒメ「おまえがそう言うなら安心だな?」

団長「い、いや…それほどでもござらんが!?」デレデレ

政務官「頼むぞ、ローレン王子…!」

ヒューヒュー キャーキャー
155: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:43:23 ID:n15p5hTuR6
親衛隊長「おら!じたばたと足掻くな!壇上に登れ!ローレン様がお待ちであろうが!?」グッグッ

ラフテン「くっ…いいのか?貴様?」ボソッ

親衛隊長「あぁん…!?」

ラフテン「俺が王位を勝ち取った暁には…貴様を親族もろとも凌辱し尽くし、有らん限りの方法で苦痛を与え、俺を裏切った事をあの世まで後悔させてやるぞ…!?」ギョロッ

親衛隊長「っ…!?」ゾクッ

ラフテン「楽しみにしてるんだな…?」ボソッ

親衛隊長「い、イヤだなぁー?ほんの冗談ではございませぬか!
こ、心の底ではラフテン王子を応援しておりますとも!」アタフタ

ラフテン「……」カツンカツン

親衛隊長「き、聞いておられますか!ラフテン王子?ラフテン王子!」アワアワ

ラフテン「」タッ

ローレン「」タッ

ワイワイガヤガヤ

ラフテン「……」ギョロッ

ローレン「……」ギロッ

ラフテン「…思えば王族、いや兄弟として向かい合うのはこれが初めてか?」ニヤッ

ローレン「だからどうした…?」

ラフテン「…弟よ?」

ローレン「……」

ラフテン「考え直すんだ?貴様がしてきた無礼の数々…全て許してやろう?
だから…大人しく引き下がり、王位を私に譲るんだ?良いな…?」

ローレン「断る」キッパリ

ラフテン「……貴様は王になりたくないのだろう?軍師になりたいと申していたな?その願い、私が聞き届けて……」

ローレン「あまり長引かせるな。父上の葬儀が迫っている…」

ラフテン「……!どの口がほざく!?父上を殺したのは貴様だろうが!?」ブチィッ

ローレン「あぁ、そして貴様も殺す。王となるのは俺だ?」

ラフテン「もういい…!もういいさ…!後悔しても遅いぞ、ローレン!?」ギリッ
156: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:45:07 ID:ZOCTCuwxeE
ローレン「では…始めようか」

親衛隊長「そ、それではどちらも剣を……」

ラフテン「待てぃ!!」

親衛隊長「は…?」

ラフテン「口惜しいが剣では弟に劣る…。得物を変えたいのだが?」

親衛隊長「し、しかし決闘は剣で行うものと定まっております!」

南の貴族1「ラフテン王子のおっしゃる通りだ!!」

南の貴族2「貴様ら騎士族がローレン様を王に担ぎ上げたいのか知らんが得物を限定するなど不平等ではないか!?」

南の貴族3「互いの得意な得物で闘うのが最も公平だ!!」

ブーブー ギャーギャー!

ラフテン「ほれ?皆もこう言っておるぞ…?」

親衛隊長「(ラフテン派の貴族共か…!そ、そうだった…!人脈は明らかにラフテン様が勝るんだった!あぁ〜寝返るのは早計だったか!?)」グワングワン

ローレン「俺は構わん。好きにしろ…」

親衛隊長「そ、それではラフテン王子の希望される得物を私めが用意致しましょう!何になさいますか!?」ヘコヘコ

ラフテン「弓だ!私は弓を使う!!」

親衛隊長「ゆ、弓でございますね?かしこまりました!すぐに手配致します!」

ラフテン「私の部屋にある弓だぞ…?」ニヤァァァ

親衛隊長「ははぁっ!!」ダッ

ローレン「……」
157: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:46:16 ID:n15p5hTuR6
政務官「ラフテンが武器を急遽、変更しましたが…?」

ヒメ「弓、か…」

政務官「どうなのだ?勝敗に響く程の武器か?」

団長「うむ。まずいな」

政務官「!?」

ヒメ「でも舞台はそんなに広くないぞ?飛び道具で挑むのは逆効果なんじゃないか?」

政務官「天下一武闘会の武舞台くらいの広さですな?」

ヒメ「ん?なんて?」キョトン

団長「そうとも限りませぬ。近距離から放たれた矢を避けるのはいかな達人と言えども至難の技…。
この局面で弓を選んだということはつまり…己の技術に絶対の自信があったからでしょう」

ヒメ「おまえだったら、どう対処する?」

団長「開始と同時に間合いを詰め、居合いにて両断します」

ヒメ「…そこを逃したら?」

団長「距離を取られるでしょうな。そうなれば勝ち目は非常に薄くなりましょう」

ヒメ「……!」

団長「弓は間合いが広い上、近付けば近付くほど命中率が高まる武器です。
連続して放てない欠点はあれど一撃必勝を狙うなら剣で挑むよりも勝率は数倍跳ね上がる…!」

ヒメ「開始の合図が決め手か…!」

政務官「頼む!頼むぅ…!」グッ
158: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:47:50 ID:n15p5hTuR6
親衛隊長「それでは両者、準備はよろしいか?」

ローレン「あぁ…」

ラフテン「待て」

ザワッ

親衛隊長「ま、まだ何か…?」

ラフテン「こうも距離が近いと私が不利だ。お互いの武器に適した間合い…中間距離を保ちたい」

ブーブー ブーブー

親衛隊長「(待ちくたびれた民衆がヤジを飛ばしているが……)」

南の貴族's「」ギロッ

親衛隊長「(貴族の顔を立てるのが得策…だな)」ニヤリ

親衛隊長「承知しました!公平を期す為、ラフテン王子の言い分を認めましょう!互いに5歩、下がってください!」

ラフテン「…」スッ

ローレン「」スッ

親衛隊長「今度こそ準備はよろしいか?」

ラフテン「いつでもいい?」ニヤニヤ

ローレン「……」

親衛隊長「…決闘、始め!!」バッ

ローレン「」スラッ

ラフテン「」チャッ
159: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:49:48 ID:ZOCTCuwxeE
政務官「お、おい!最初から距離を取られてしまったぞ!?」

ヒメ「…合わせて10歩か。おまえの考えてた戦法は封じられたな?」

団長「はっ…しかし最後まで権力を行使してみせる図太さはある意味、天晴れですな」

政務官「た、互いに武器を構えて見合ったまま動かないぞ?」

団長「うむ。それでいい。ここは敢えて距離を保ったまま相手の出方を窺うしかござらん」

ヒメ「そうだな。ローレン王子の立場だったら僕もそうする」

政務官「し、しかしそれでは矢の餌食に…?」オロオロ

ヒメ「放てる矢は一本だ。勝機はある」

団長「いかにも…初撃をかわせばローレン様の勝利は確実?」

政務官「う、射った後に隙が生じたとしても、ああも離れていたら立て直されるのではないか?」

団長「それは万に一つもない」

政務官「な、なぜだ!」

団長「弓使いにとって集中と的は死活問題だ。
これだけの民衆が見守り、期待と重圧を背負う場であれば気が張り詰めて緊張を抑えるのにも苦労を要する」

団長「そして奴が最も拘ってきた王位…それを得られるかが一矢に懸かっていると思えば…なおさらだろう」

ヒメ「あぁ、外せば終わりだ。ラフテンも気が気じゃないだろうな」

政務官「な、なるほど…」
160: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/31(月) 21:52:53 ID:n15p5hTuR6
ラフテン「どうした、ローレンくん?攻めてこないのかい?
小蝿のように飛び回ってみたまえよ?私の集中が削がれるやもしれんぞ?」ニヤニヤ

ローレン「……」

ラフテン「そうか…。怯えているのだな?無理もない…なにせ私の弓術は南国屈指!
すばしこく森を走り回る野兎や大空を駆け巡る鷹を捉える正確無比な狙いはもちろんのこと、重厚な象の皮膚さえ射抜いてしまう威力はまさに驚異だ?」

ローレン「……」

ラフテン「ぃやあ、君は王となるには底が浅いというか…臆病風に吹かれて縮こまるような情けない男に民は付いていきたいと願うかなぁ?」

ブーブー ブーブー

ラフテン「次第に歓声もヤジに変わってきた?怖がりな君への失望だろうか…?なぁ、ローレンくん?」

ローレン「……」

ラフテン「澄ましてみせているが…本当は決闘なんてやらなきゃよかったと後悔してるんだろう?
いいんだよ?無しにしてあげても…ただし、王位を譲ってくれたらねぇ?」

ローレン「…貴様こそ口ばかり動かしていないで射ってきたらどうだ?」

ラフテン「無理するなよ…?怖いなら怖いと正直に言え?君の周囲にいた者達はとても素直だったぞ?」

ローレン「なに…?」

ラフテン「」ニヤッ
973.18 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字