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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


117:🎏 爆発的に投下します! ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:09:39 ID:yaXDMG2LZo
〜〜〜数日後〜〜〜

―――南の国―――

南の王子1「これはこれは可愛らしいお客様だ?王国の雛鳥様がわざわざ我が国にどういったご用件で?」

ヒメ「……」

政務官「ひ、雛鳥だと…!?」イラッ

南の衛兵's「」ザッ

政務官「っ…!?」タジッ

南の王子1「お〜?何か言いたげではないか?親鳥クン?」ニヤッ

政務官「(う、噂には聞いていたが…ここまで歪んだ性格の持ち主とは…!?)」ギリッ

顧問官「お戯れもほどほどになさいませ。ラフテン王子」

南の王子1(ラフテン)「あ…?」ギョロッ

顧問官「弟君を見習われてはいかがか?」チラッ

ラフテン「ふん…ぃやあ、ローレンくん?今朝から君の声を聴いてないが喉でもイカれちまったのかい?」ニヤニヤ

南の王子2(ローレン)「……」

ラフテン「カッ…これだから下級官族の出は?愛想というものがないのかね?仏頂面で腕組みなんかして何様のつもりだい?」ボフッ

顧問官「ラフテン王子の失言、南国主席顧問官である儂が代わってお詫びを…」ペコッ

ヒメ「いえ…」

政務官「(ロクに教育も出来てないな!恥知らずめ…!)」ギロッ


ラフテン「で?なんの用だね?我々は明日に控えた現国王の葬儀、そして王位継承の儀に向けて忙しいのだが?」

政務官「王位継承…!?」

ヒメ「…世継ぎを事前に決めておられたのですか?」

顧問官「陛下自身は指定しておりませぬ…。しかし……」

ローレン「王位継承の資格は長男であること…」ボソッ

ラフテン「そう!そうだよ、ローレンくん?よく分かってるじゃないかぁ!」パァァ

ローレン「どうぞお好きになさいませ。俺は兄上ほど王の座に興味を示してはおらん…」
118:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:10:49 ID:yaXDMG2LZo
政務官「なぜ長男のみが…?資質を見定める過程などはないのですか…?」

顧問官「詮索はおやめください」ギロッ

政務官「も、申し訳ございません」

ラフテン「我が国の伝統よ?」ニヤニヤ

政務官「伝統…?」

顧問官「王子!!」

ラフテン「よいではないか?話したところでなんになる?」ニヤニヤ

顧問官「……!なりませぬぞ!
他所の人間に軽はずみな言動はせぬよう申し上げたはず!?」

ラフテン「それは貴様の失態ではないか、爺や?」ニヤニヤ

顧問官「なっ…!?」

ラフテン「軽はずみに話されたくなくば何故、この雛鳥の謁見を許した?」ニヤニヤ

政務官「(ま、またも我が王を侮辱するか…!?)」ググッ

ヒメ「リルラ…頭を冷やせ」ボソッ

政務官「」ビクッ

ヒメ「この程度で熱くなるな…。おまえらしくもない?」ジッ

政務官「はっ…!申し訳ございません…!」
119:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:11:47 ID:tkZwUH.J0s
ラフテン「簡潔に言えば競わせてるのだよ?王子同士をな?」

ヒメ「競わせるとはどのように?」

ラフテン「長男の座を勝ち取った者だけが王座に腰を据える…。簡単な仕組みよ?」

政務官「ま、まさか…?」ブルッ

ラフテン「父上は生前、実に64人の子を産ませた…?それぞれ収まる腹は違うがな?」

ヒメ「椅子取り競争…ですか?」

ラフテン「そう!そう!そう!それだよ、雛鳥くん!?理解が早いじゃないかぁ!?」パァァ

ヒメ「お褒めにあずかり光栄です」

ラフテン「そうだよ?まさしく椅子取り競争だ?王の血を引く者が玉座を狙って長男の命に食らいつく!」

ラフテン「長男は迫り来る刺客、張り巡らされた罠を掻い潜り、野望を抱いた弟共を徹底的に滅ぼしていくのだ!」

ラフテン「アァ〜…あれはいつだったろうか!初めて兄上の背に定めて弓を引き絞ったのは…そう!7歳の時だ!?」アヘアヘ

ラフテン「まだ王位争いなど自覚せぬ母親任せの暢気なお坊っちゃんが満面の笑みで狩猟を楽しむ、その背後で私は更に輝かしい笑みを湛えて矢を放ってやった!」ニヤァァァ

政務官「」ゾクゾク

ラフテン「泣き叫び、悶え苦しみ、爽やかな笑みが無様な泣きっ面へと変貌するサマはただただ笑いを誘ったよ?
その場にいた母親、付き人共もまとめて配下に殺害させた!
転げ回る兄上を見下ろした時は私こそが勝者なのだと心から胸躍ったなぁ!?」アヘアヘ

政務官「(聞くに耐えない…!この男…いや、この国の異常性は西の国に匹敵する…!)」

ラフテン「低俗な臣下の中には私を蔑む声も聞こえる?」

ラフテン「が…私は残酷ではない。無慈悲でもない…。むしろ冷静で思慮深い?」

ラフテン「なぜなら幼き頃より既に己の成すべき使命を理解していたのだから?
つまり私は誰よりも聡く、王となる才を秘めていたのさ!」カッ

ヒメ「……」
120:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:12:25 ID:tkZwUH.J0s
ラフテン「ここに来るまで32年…長いもんだ?数名の兄上を囮に残し、可愛い弟共を密かに殺して回るのは楽しくてたまらなかったよ?」ニヤァァァ

ラフテン「各専属の調理人、毒味役を買収し、王子の口にする料理を劇薬まみれにするなど日常茶飯事…。
まだ幼い赤子を何匹も拐い、城の屋上から放り投げてやったのも懐かしい?」

ラフテン「親しいフリをして話があると持ち掛け、兄上共の仕業に見せかけて騙し討ちもしたか?
ベーベー鼻水垂らして泣きわめく弟共の必死な命乞いを遮って振りかざす刃は最高に切れが良かったよ?」

ラフテン「精神的に貶めて自殺に追いやった者もいれば、女をあてがって殺させたりもした…?」

ラフテン「アァ〜そうそう!弟を麻薬浸けにして他の弟に同士討ちさせた時の城内の騒乱っぷりと言ったら……」

顧問官「王子!!」

ラフテン「……?」

顧問官「……!」

ラフテン「カッ…思い出を語っただけではないか?なぁ、ローレンくん?」

ローレン「……」

ラフテン「悔しかろう?明日の朝までに私を殺さねば貴様は全てを失うのだから?」ニヤニヤ

ローレン「興味がないと申しましたが…」

ラフテン「カッ…澄ました顔の裏に醜悪な野心が覗いておるわ?」ギョロッ

ローレン「……」

ラフテン「私が王となった暁には貴様を後押しする愚かな臣下共々皆殺しにしてくれようぞ!なぁ、爺や?」ニヤニヤ

顧問官「ぐっ…!」
121:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:14:24 ID:yaXDMG2LZo
ヒメ「…ラフテン王子」

ラフテン「ん?」

ヒメ「貴方の考える王とは何か聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

ラフテン「王のなんたるか…?」

ヒメ「はい。貴方はどういった王になりたいのですか?」

ラフテン「なぜそんな事が気になるのか理解に苦しむが…面白い問いだ?」ニヤァァァ

ヒメ「……」

ラフテン「私の思う王とは偉大で!高潔で!誰もが平伏す圧倒的な存在感を放ち、一声で全てを思うままに動かせる!」

ラフテン「謂わば全知全能の神!私の描く王とは下々の民を支配し、天高く君臨する神の化身である!!」

政務官「(な、なんと幼稚な…!?)」

顧問官「……」

ヒメ「分かりました…。ではローレン王子は?」

ローレン「」ピクッ

ラフテン「お〜…!?王の座を降りるとぬかす弱者に聞く必要があるのかね…!?」ビキィッ

ヒメ「どちらが王となるかは明日になるまで分かりません」

ラフテン「言うねぇ〜…!?雛鳥クン…!?」ビキビキィッ
122:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:14:47 ID:tkZwUH.J0s
ヒメ「お聞かせ願えますか?ローレン王子?」

ローレン「先ほど話した通りだ…。俺は王になどなりたくない」

ヒメ「では見解で構いません。貴方にとってお父君はどういう存在でしたか?」

ローレン「…一言で言えば狂ってる。我が子を殺し合わせる為に宮廷の女共を無差別に孕ませ、我関せずとばかりに淡々と役目をまっとうしていたのだから」

ラフテン「これだから下級官族の坊っちゃんは…?
伝統あるしきたりに難を示すなど愚の極みだよ?」シラー

ローレン「…下級官族の母に宿された。それが唯一の幸と言えるか」

ラフテン「あ…?」

ローレン「兄上らが謀略と殺戮の渦中にあった中で力を持たぬ家系であった俺は身を隠して学ぶ時間を貰えた」

ラフテン「何をだ…?」

ローレン「王などという下らぬ地位に踊らされた醜い馬鹿連中を相手にするよりも…己を高める方がよほど有意義であるとな?」

ラフテン「アァ〜…!?」ブチィッ

ローレン「どうぞ王座を占領してくれ?何も持たぬ兄上にこそ偽りの冠が相応しい?」

ラフテン「君にユーモアの才能があったとは意外だよ…!笑わせてくれるじゃないか!?」ガタッ

顧問官「落ち着かれよ!慰問に訪れて下さった客人を前に言い合いなど見苦しい!」

ラフテン「ッ…!」ドカッ
123:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:17:44 ID:tkZwUH.J0s
ヒメ「お二方の思う王とは何か…よく分かりました。お答えくださり、ありがとうございます」

ラフテン「で、つまらぬ雑談もほどほどに…貴様はなんの目的があって我々への謁見を求めた?」ギョロッ

ヒメ「…ラフテン王子、ローレン王子、共に関わる重大な事実をお伝えに参りました」

ラフテン「ほぉ〜う?」ニヤッ

ローレン「……?」

顧問官「その事実とは…?」

ヒメ「…此度の暗殺騒動、裏で絵を描いていた首謀者の正体を掴みました」

ローレン「」ピクッ

ラフテン「……?」

顧問官「なんだとぉ!?」

政務官「我々は東の国に赴き、ほぼ同時期に起こった国王の不審死について真相を突き止め、全容を理解しております。
この度、慰問といった形で南の国に訪れてはおりますが…その目的は真実をありのままに話し、そちらの対応をお聞かせ願えたらといった次第です」

顧問官「それが本当だとして…なぜ東国と南国で起きた騒動が同様の物だと言える?」

ヒメ「…遺体の口元、もしくは口内に異変はありませんでしたか?」

顧問官「……!?」

ヒメ「あったんですね?」
124:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:18:08 ID:tkZwUH.J0s
顧問官「なぜ無関係の貴方がそのような予測を立てられる…?」

ヒメ「その暗殺者は一度、我が国にも侵入していますので…」

顧問官「…よもや国王殿の放った刺客ではございますまいな?」ギロッ

ヒメ「だとしたらわざわざ自ら危険を犯してまで敵地に足を踏み入れる意味がありますか?」

顧問官「…我々には計り得ぬ企みをお持ちやもしれませぬ」

政務官「聞き捨てなりませんな?」ギロッ

近衛兵's「」ザザッ

顧問官「…なんじゃい?」ギロッ

南の衛兵's「」ザザッ

ヒメ「おいっ…」

ラフテン「ハハハハハハハ!!!」ゲラゲラ

ザワッ

政務官「は…?」ポカーン

顧問官「王子…!?」

ラフテン「面白い!面白い!雛鳥クン!君は素晴らしいよ!?」ニヤニヤ

ヒメ「…どうも」

ラフテン「鬼が出るか蛇が出るか…事の真相とやらを聞こうじゃないか?」ニヤニヤ

ヒメ「…ではお話させていただきます」
125:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:20:17 ID:yaXDMG2LZo
顧問官「西の国が…一連の事件を仕組んだだと?」

ラフテン「魔性のファルージャかぁ…」ニヤッ

ローレン「……」

ヒメ「勘の良い皆様方であれば…既に王国と西国の間に亀裂が生じていることも察しておられるでしょう?」

ラフテン「君も狙われたと言うのかい?」

ヒメ「いえ、狙われたのは僕ではありません」

ラフテン「他に誰がいる?」

ヒメ「救い主をご存知ですか?」

ラフテン「知っているとも?王国滅亡の危機とまで囁かれた教団による大規模な反乱…あれを治めた功労者である偉大なホビットであろう?」ニヤニヤ

顧問官「もしや…?」

政務官「狙われたのは救い主です」

顧問官「……!?」

ラフテン「分かる。分かるなぁ〜?ファルージャ女王はやはり私と馬が合いそうだ?」

ヒメ「ラフテン王子も救い主に興味がおありですか…?」

ラフテン「あぁ、実は個人的に収集していてね。美しく装飾してやったホビット共を腐らせぬよう保管しているのだ?」

ヒメ「……」

ラフテン「噂に聞くが救い主は絶世の美男子であるそうだねぇ〜?そこんとこどうなんだい?」ニヤァァァ

ヒメ「さぁ…審美眼は人それぞれですから」

ラフテン「過去、親類縁者に至るまで八つ裂きにし、奪い尽くしてやった王子共の豪奢な飾りが似合うだろうか…?」ニヤニヤ

ヒメ「どうでしょうね」サラリ

ラフテン「ファルージャ女王は美に妥協がないと言うだけあって凄まじい色香をお持ちらしい…?
救い主とファルージャ…なんと美しく羨ましい組み合わせか?
そこに是非、私も交えていただきたいものだ?」ニヤニヤ

ヒメ「救い主は現在、行方不明です。所在は僕でさえ分かっておりません」

ラフテン「おためごかしは聞こえないよ?雛鳥クン?」

ヒメ「存じ上げない事柄についてはお答えしかねます」

ラフテン「…カッ!つまらない?」ドカッ
126:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:21:39 ID:yaXDMG2LZo
顧問官「今の話が真実であるとするならば…我々も相応の対策を講じねばなりますまい」

ラフテン「父上の仇か…。と言っても王座を狙う私にとっては都合が良い?」

顧問官「なっ…!?」カッ

ラフテン「もちろん冗談だとも?本気にするなよ?」ニヤニヤ

顧問官「非常識な発言は控えなされ!」

ラフテン「やかましい爺やだ…?で、それを聞かせて君たちは何を望む?」

ヒメ「王国、東国と盟を結び、連合軍を名乗っていただきたい」

ラフテン「はぁ…?」

顧問官「連合軍だと…!?」

ヒメ「これ以上、平和の名の下にある6国を西国の策略に溺れさせる訳には参りません。3国で武力を掲げ、西国に警告を促すのです!」

ラフテン「警告?」

ヒメ「各国、それぞれの要求に応じなくば…武力行使を開始すると告げます!」

顧問官「要求とは…?」

ヒメ「我が王国からは一切手を退いてもらい、東国から拐った民を返還させます」

顧問官「我が国はどうする…!?王を殺されたとなれば…報復は欠かせんぞ!?」

ヒメ「…しかしラフテン王子もローレン王子もそれは望まれていない」

ラフテン「いかにも?」

ローレン「……」

顧問官「汚名を着たままどう落とし処を着けろと!?」

ヒメ「…西国の領地を一部没収といった案はいかがでしょう?」

ラフテン「…どこを?」

ヒメ「西の鉱石財源です」

ラフテン「……!」

顧問官「……!?」

ローレン「……」

政務官「(ば、バカな…!そんな要求…まかり通る訳がない!?)」
127:🎏 スライム:2015/8/26(水) 22:22:16 ID:yaXDMG2LZo
顧問官「せめて現実的な意見を出していただこう。ヒメ国王…!」ギリッ

ヒメ「現実的ではないと?」

顧問官「そのような馬鹿げた要求を呑む国などあるかっ!?」ダンッ

政務官「(至極真っ当な意見だ…!)」

ラフテン「そう興奮するなよ。爺や?」

顧問官「これが怒鳴らずにいられるかぁっ!?」

ラフテン「ここまでの経緯はあくまでも雛鳥クンの推測…証拠も何もない空論だよ?」

顧問官「そ、それはそうじゃが…!」

ラフテン「ところで爺や、何か忘れてないかい?」

顧問官「は…?」

ラフテン「誰に口を聞いてるか分かってんのか?俺を敬えよ?」ギョロッ

顧問官「」ビクッ

ザワザワ ザワザワ

顧問官「も、申し訳ございませぬ…」ペコッ

ラフテン「よかろう?私は心が広いからな?」

ヒメ「さすが王を志すラフテン様は器が大きくていらっしゃいますね?」

ラフテン「なかなか見所があるじゃないか?雛鳥クン!」

ヒメ「とんでもない…?」クスッ

ラフテン「恐ろしいねぇ…。親子ほど歳の離れたお坊っちゃまが…まさかこんな際どい手に打って出るとは?」

ヒメ「お気付きでしたか?」

ローレン「…ヒメ殿の要求を受けた西国は八方塞がりとなるな」

ラフテン「お〜!冴えてるねぇ、ローレンくん?」ニヤッ

顧問官「…どういうことだ?」
128:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:23:04 ID:tkZwUH.J0s
ラフテン「西の鉱石財源は我が国を含めた4つの平和協定加盟国に壌土すると明言されている?
つまり…ここで我が国が先ほどの要求を出したとなると西国からしてみれば、どちらとの約束も果たせなくなってしまう訳だよ?」

顧問官「……そ、そうか!分かりましたぞ!」

政務官「連合軍の要求を呑めば残りの加盟国との約束を果たせず敵対することになる…。
だが要求を断れば3国連合軍と争うことになる…。どちらを取っても圧倒的不利は免れない…!」

ローレン「だがそれを実行するには確証が要るのでは…?」

ヒメ「不要です」

ローレン「なに…?」

ラフテン「東、南、王国の3国で拡散すればいいじゃないか?」

顧問官「か、確たる証拠もないのにですか…!?」

ラフテン「所詮、内輪の話だ?そこまで気にはせんだろ?」

顧問官「だ、だが…もし暴かれたらどうなさるおつもりで!?」

ラフテン「暴かせなければ良い。嘘から出た真…という言葉もある?」

ローレン「悪知恵を働かせるのは兄上の得意とするところか。貴殿にとっては前向きな展開だな…?」

ヒメ「えぇ、まったくです」

ラフテン「悪知恵ねぇ…?なんであろうと知恵は知恵…賢者の特権だ?」

ヒメ「率直にお伺いします。この話、受けますか?受けませんか?」

ラフテン「いいんじゃないか?」

ローレン「…兄上の好きになさればいい」

顧問官「真相はともかく…騒動も決着し、南国の武勇を高め、西国の鉱山を手中に納められると言うのなら決して悪い話ではない」

ヒメ「聞き入れてくださり、ありがとうございます」ペコッ
129:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:24:32 ID:tkZwUH.J0s
顧問官「いくつか確認がございます?」

ヒメ「はい?」

顧問官「我が南国の要求を西の鉱山地帯一画とするならば…当然、全て我が国に壌土されるのでありましょうな?」

ヒメ「もちろんです。権利的主張を掲げていただく南国には最も政略に尽くしてもらわねばなりませんから…。
3国共同で要求を勝ち取った場合においてもそれぞれの国に要求通りの分配をさせていただきます」

顧問官「承知しました。ではもう一つ…」

ヒメ「はい」

顧問官「東国は王を失い、指定された世継ぎもおられぬと聞き及んでおります。
一体どのようにして指揮を執っていかれるおつもりか?」

ヒメ「…向こうの宰相殿にお願いしようかと思っております」

顧問官「……」

ヒメ「ご安心ください。東国は信頼の置ける国ですので?」

顧問官「委細、承知しました。ではまた改めて場を設けましょう」

ヒメ「よろしくお願いいたします」ペコッ

ラフテン「ま、物騒な話はこれくらいにして明日に備えるとしようかね…」ニヤニヤ

ローレン「……」

顧問官「ヒメ国王、ならびに家臣の皆様には城内に客室を用意させていただいております。
案内人を付けますので、どうぞ遠慮なくおくつろぎください」
130:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:26:34 ID:tkZwUH.J0s
―――南の城(客室)―――

ヒメ「……」ポフッ

コンコン コンコン

ヒメ「…なんだ?」

「リルラです。入ってもよろしいでしょうか?」

ヒメ「あぁ」

ガチャッ

政務官「…失礼します」バタンッ

ヒメ「どうした?」

政務官「事前にお伺いさせていただきたい」

ヒメ「…?」

政務官「今回、取られた策は…貴方らしいと思えませんな」

ヒメ「多少、強引に押し進めたのは自覚してるけどしょうがないだろ…?
人格者に見えたあの南の国王の治める国の内情がこんな歪んだ物だったなんて思わなかったんだ?」

政務官「いえ、話の流れ自体は見事でした。
あのような相手に取り乱さず、淡々と冷静に対応なさっていたのですから」

ヒメ「…じゃあ何がいけなかったんだ?」

政務官「本気で戦争をなさる覚悟があるのか…?」

ヒメ「反対か?」

政務官「いえ、賛成です。こうなる日が来る事は分かっておりました」

ヒメ「…そうか」
131:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:26:57 ID:tkZwUH.J0s
政務官「私がお伺いしたいのは陛下の決意が本物であるかどうか…?」

ヒメ「分からない…」

政務官「は…?」

ヒメ「それが正しいとは思えないし、間違っているとも断言出来ない…」

政務官「…生半可な覚悟で乗り切れるほど易い決断ではございませんぞ」

ヒメ「そうなってみるまで分からないよ…」

政務官「うぅむ……」

ヒメ「僕は戦争なんてしたくない。多くの者が平穏を望んでる事も知ってる…。
だけど…そうしないとまた東の国のような犠牲が産まれる」

政務官「……」

ヒメ「だから…やるしかない。それだけは分かってる」シュン

政務官「…ならば私から申し上げる事はございません。今の言葉を忘れず、胸に刻んでおいてください」

ヒメ「…あぁ」
132:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:28:02 ID:yaXDMG2LZo
コンコン コンコン

政務官「…誰だ!?」バッ

「ローレン王子が陛下にお目通し願いたいと参られましたが…いかがなさいますか?」

政務官「ローレン王子が…?」

ヒメ「通せ!」

「許可が降りました!どうぞお入りください!」

ガチャッ

ローレン「失礼する…」スタスタ

政務官「(供を連れていないのか…?)」

ヒメ「…どうしました?」ジッ

ローレン「貴殿に頼みがある…」

ヒメ「は?」

ローレン「俺を匿ってくれないか?」

政務官「匿う…?」

ヒメ「ラフテン王子の刺客から…ですか?」

ローレン「そうだ…。さすがに地位ある客人を前に仕掛けてはこないだろう…?」

ヒメ「しかし、ここにいても明日になれば…」

ローレン「あぁ、俺は殺される」

政務官「!?」

ローレン「だが…易々と殺されてやる気はない」

ヒメ「何か手を打ってあるのですか?」

ローレン「いや、何も…?」

ヒメ「……?」
133:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:30:26 ID:yaXDMG2LZo
ローレン「ラフテンは今夜、確実に仕留めにくるだろう。
しかし俺は明日の王位継承の儀まで生き延びなければならない…」

政務官「大変申し上げにくいのだが…」ザッ

ローレン「……」

政務官「我々は他国民です。そちらの御家騒動に巻き込まれる筋合いはございません」

ローレン「俺に恩を売って損はないぞ…」

政務官「ほう…?どのような見返りが望めると?」

ローレン「貴殿らは我が南国を取り込み、西の国を打倒したいのであろうが…?」

政務官「いかにもその通りです」

ローレン「では明日、王となる俺を邪険にするなど言語道断だ…。能無しが…」ボソッ

政務官「は!?」イラッ

ヒメ「…ローレン王子、貴方は王の座を降りたのでは?」

ローレン「表向きはな…?」

ヒメ「表向き…?真意は別にあると?」

ローレン「王位になど興味はないが…死ねない理由がある」

ヒメ「……?」

ローレン「城下に残した妹がいるんだ…」

ヒメ「妹…?」

ローレン「俺は元々、城下に住んでいた。身分の低い母は俺と妹を守る為に市民に紛れさせたのさ…?」

ヒメ「……嘘でしょう?」

ローレン「意外にも勘が鋭いんだな…。激情型だと聞いていたが先ほどのやり取りからしても…どうやらそうではないらしい?」

ヒメ「…それほどでも」

ローレン「あぁ嘘だよ。そんなのがいれば、とうに人質に取られるか、殺されるかしてるさ…?」

ヒメ「……」

ローレン「断るなら居座ってやるまでだ…」
134:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:32:15 ID:tkZwUH.J0s
ヒメ「急に申されましても…困ります」

ローレン「ならば追い出してみろよ…?」

政務官「なんですと…!?」

ローレン「腕付くでも構わないぞ…?」

ヒメ「…ご冗談を?」

ローレン「冗談に聞こえたか…?」ジッ

ヒメ「やめましょう?二回り以上、年下の僕に勝負を挑むなんて不毛ですよ…?」

ローレン「そうか…?貴殿からは年に見合わない武の才が窺えるがな…?」ジロジロ

ヒメ「滅相も…?」

ローレン「気に入らないな…」

ヒメ「何がです?」

ローレン「その余裕はなんだ…?俺を見下しているのか…?」

ヒメ「態度がお気に召さなければ謝罪を…ですが見下してなどいないとだけ先に申し上げておきます」

政務官「先ほどから聞いていれば…とても物を頼む言い方ではありませんな?」

ローレン「なんだ、能無し…?」

政務官「ぐっ…!」ムカァッ
135:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:33:38 ID:tkZwUH.J0s
ヒメ「分かりました…。一晩、ここにいてもらって構いませんよ。それでいいですね?」

ローレン「あぁ…それでいい」

政務官「お、お待ちください!部屋を提供していただいてる身で不躾とは存じますが…。
ほぼ初対面のローレン王子とヒメ様を二人きりになどさせられません!」

ローレン「そちらの都合は聞かん…。心配なら護衛でも付ければいい…」

ヒメ「その必要はありません。寝る為だけの部屋に大人数でいるのも落ち着きませんしね?」

政務官「はぁっ…!?」

ヒメ「リルラ、おまえは自分の客室に戻れ」

政務官「し、しかし…」

ヒメ「くどいぞ?」ジロッ

政務官「……かしこまりました」シブシブ

ヒメ「それではローレン王子…夜も長い事ですし明け方まで何か楽しい話でもしましょうか?」ニコッ

ローレン「あぁ…ゆるりと語らおう?」ニヤッ

政務官「(…付近の護衛を増強しておくか)」
136:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:35:29 ID:tkZwUH.J0s
〜〜〜朝〜〜〜

―――客室―――

ザザッ ジャキッ

親衛隊「」ギランッ

政務官「くっ…は、離せ!なぜ…!?」グッ

近衛兵's「も、申し訳ありません!陛下ぁ!?」ググッ

ヒメ「……」

ローレン「……」

ラフテン「ぃやあ!良い朝だね?目覚めに紅茶でもいかがかな?」ニヤニヤ

ヒメ「これはどういう事でしょうか?ラフテン王子?」

ラフテン「ラフテン"国王"だ?口の聞き方に気を付けたまえ?」ニヤニヤ

ヒメ「…まだ継承式も始まっていませんよ?」

ラフテン「すぐ始めるさ?君の隣の邪魔者を始末したらね?」

ローレン「……」

ラフテン「しっかしローレンくんと雛鳥クンが同じ部屋で夜を共にしているなんて…随分と仲が良いんだねぇ?愛でも芽生えてしまったのかい?」ニヤニヤ

ヒメ「説明してください。これはなんですか…?」

ラフテン「処刑さ?王位奪取を目論む不届き者は断罪せねばならない?」

ローレン「…兄上、いったいなんの話だ?」

ラフテン「貴様を取り巻く役人に追及してやったら…なんとも笑える計画を聞かされたよ?」

ローレン「……!」

ラフテン「なぁ、爺や?」

顧問官「…見損ないましたぞ。ローレン王子」ザッ

ヒメ「え…?」チラッ

ローレン「……」
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うpろだ
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