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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
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1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


2: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:02:01 ID:Uy/w6CDiOE
〜〜〜回想(マリー)〜〜〜

タッタッ タッタッ

フィズス「早くおいでよ、マリー!」クルッ

マリー「はぁっ…ちょっと!置いてかないでよ!」タタタッ

フィズス「ごめん、ごめん。女の子の足にこの丘は急すぎた?」アセアセ

マリー「それもあるけど…あなたに走られたら追い付けないのよ。ホビットと人間じゃ歩幅が違うんだもの!」プンプン

フィズス「おぶってあげた方がよかったかな?」ニコッ

マリー「そ、そんな恥ずかしい…じゃなくて村の人間に見られたらどうするのよ!」アセアセ

フィズス「もうとっくに知られてるよ。君とぼくの仲がただ事じゃないのなんて?」

マリー「え!うそ…!?」サァァァ

フィズス「あぁ、大丈夫だよ。今はまだみんな知らん顔してるし父さんも何も言ってこないから?」

マリー「で、でも…もし知られたら…」ズーン

フィズス「うん。もう村にいられなくなるだろうね」サラッ

マリー「」ガーン

フィズス「そんな事よりさ」

マリー「そんな事よりって……」カッ

フィズス「見てよ、ほら?」ビッ

マリー「? その木がどうかしたの?」キョトン

フィズス「よく見て?太い枝が二本あるだろ?その間にさ……」

マリー「鳥の巣…?」ジーッ

フィズス「ね?」ニコッ

マリー「……も、もしかしてこれだけの為にわざわざ村から外れた高地まで歩かせたの?」ジロッ

フィズス「うん。そうだよ」ニコニコ

バチンッ!!
3: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:03:59 ID:/WYEXwH6vk
フィズス「喜んでもらえると思ったんだけどなぁ…?」ヒリヒリ

マリー「あのねぇ!人間がホビットを連れ立って村の外に出歩くだけでも不信感を持たれるのに何してるの!?
ましてやあなたは次の村長になる人なのよ!?人望を失うような事したらダメじゃない!?」

フィズス「そうだけどさ…」

マリー「もっと考えて行動してちょうだいよ!?
ただでさえあたしみたいなホビットなんかに構うから村人達にも嫌な顔されて…お父様からもお叱りを受けてるんでしょう!?」

フィズス「……」

マリー「ひょっとしたら…なにか大事な話があるんじゃないかって意識してた自分がバカみたい…」プイッ

カラッ パキパキッ

フィズス「あっ!見てみて?」パァァ

マリー「ちょっと!マジメに聞いてるの!?」プンプン

ピヨピヨ ピヨピヨ

フィズス「わぁー…!」キラキラ

マリー「…まぁ?」ハッ

バサバサッ ピヨピヨ

フィズス「親鳥が飛んできた?きっと雛たちが産まれるのを知ってたんだね?」

マリー「素敵…!まさかこんな奇跡に立ち会えるなんて?」マジマジ

フィズス「そうだね」

マリー「…ねぇ、フィズス」

フィズス「ん?なんだい?」

マリー「もしかしてこうなるのを知ってて…あたしを連れてきてくれたの?」ジッ

フィズス「ううん、隣村に行った時、高地の一本杉に鳥の巣があるなぁって気付いたから見せたかったんだ」

マリー「そう…よね。奇跡を演出なんて出来っこないものね。ちょっぴり期待しちゃったわ?」シュン

フィズス「……」
4: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:05:47 ID:Uy/w6CDiOE
フィズス「奇跡を作り出すことはできないけどさ、奇跡に気付くのは簡単だよ?」

マリー「…なによ、それ?」

フィズス「今、こうやって雛の誕生日に立ち会えたのもそうだけど…」

マリー「……?」

フィズス「そこにいたのがぼくと君だった。これもすごい奇跡じゃないかな?」ニコッ

マリー「えっ…」ドキッ

フィズス「あの親鳥がなぜだかこの丘を選んで巣を作って、それをたまたまぼくが見つけて、ぼくが一緒に見に行きたかった相手が君だった。
たったそれだけの事なのに…とてもいい瞬間に巡り会えたんだよ?」

マリー「……!」カァァ

フィズス「どう?さっきまで君が抱えてた不安も掻き消すくらい素晴らしい奇跡に思えない?」ニコニコ

マリー「き、急にやめてよっ!」ドキドキ

フィズス「へ?なにが?」キョトン

マリー「な、なんか…ずるい!そういうの!」ドキドキ

フィズス「…ごめん。気を悪くしたなら謝るよ」シュン

マリー「そ、そうじゃなくて!」アセアセ

フィズス「だったらなんなのさ?」

マリー「て、照れくさいっていうか…恥ずかしいのよ!すごく!」ドキドキ

フィズス「どうして?」

マリー「どうしてって…だって…う、うまく言えないわよ、そんなの!」アセアセ

フィズス「そっか?」ニコッ

マリー「!」キュンッ

フィズス「今日の君はいろんな表情を見せてくれるね?」ニコニコ

マリー「だから…そういうのが恥ずかしいって言ってるの!?」プンプン
5: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:08:43 ID:/WYEXwH6vk
フィズス「でもさ、考えてもごらんよ?」

マリー「こ、今度はなによ…!」ムスッ

フィズス「ぼくと君は違う種族で…本当ならお互い、ここにはいなかった筈だよ?」

マリー「……」キュッ

フィズス「ホビットが大昔に罪を犯したなんて馬鹿馬鹿しい話が出回ったせいで君たちも住み処を追われて…こうやってここにいる訳だけどさ」

マリー「そう…ね」

フィズス「君たちにとっては心底辛くて浮かばれないのかもしれないよ?でもね……」

マリー「…出会っちゃいけなかったのよ。あたしたちなんて……」

フィズス「マリー?」

マリー「そうよね…。あなたは人間、あたしはホビット。こんな関係、どうかしてたのよ」

フィズス「……」

マリー「…ほんのちょっとだけ、本当に…少しだけど……もしかしたらなんて…」ブルッ

フィズス「?」

マリー「もしかしたら…あたしも…あなたと普通の恋人同士みたいに…そういう運命を期待していいのかも、とか…」ブルブル

フィズス「え…!?」ギョギョッ

マリー「(『え…!?』………)」ビクッ
6: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:09:58 ID:Uy/w6CDiOE
マリー「やっ…ぱり……」ウルッ

フィズス「そ、そんな…」ワナワナ

マリー「ご、めんなさい…!」ブワァッ

フィズス「!?」

マリー「わあああああん……」ガクッ ポロポロ

フィズス「マリー!?どうしたのさ!?」アタフタ

マリー「ダメに…決まってるわよね…っ!ごめ…なさい!あたしみたいな…ホビットなんかがっ…!」ポロポロ

フィズス「……!」

マリー「ひん…ぇっ…!ごめ…なさい…ごめんなさぁぁい……!!」ポロポロ

ガシッ

マリー「」ビクッ

チュッ

マリー「」ビクビクゥゥッ!

フィズス「……はっ…泣かないで、マリー?」スッ

マリー「!!!」ボンッ
7: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:12:53 ID:/WYEXwH6vk
マリー「」ポカーン

フィズス「マリー?マリー!」フリフリ

マリー「」ハッ

フィズス「大丈夫かい?目が虚ろだったから…」ホッ

マリー「ね、ねぇ…今のって……」オソルオソル

フィズス「?」

マリー「そ、そうよね?あたしの勘違いよね?そんないきなり口付けなんて……」アタフタ

フィズス「え?したけど?」

マリー「!?」カァァ

フィズス「弱々しく泣く君を見てたら愛しくなっちゃって?」クスッ

マリー「ば、ばばバカバカバカバカ!!は、はじ…初めてだったのに!?」ポコポコ

フィズス「あはは!ごめんよ。イヤだった?」ジッ

マリー「そ、そんな訳…ないじゃない」プイッ

フィズス「そう。よかった?」ニコッ

マリー「〜〜〜!」ドギマギ

フィズス「ありふれてるけど…一つ一つの出会いって奇跡に等しいよね。出会えたのが君で本当によかった」ニコニコ

マリー「な、なによ…!さっきは…言葉に詰まってたじゃない!」グスンッ

フィズス「だって…先に言われちゃうと思わなかったからさ?」テレッ

マリー「え?」ジッ

フィズス「今日、しようと思ってたんだ。告白?」テレテレ

マリー「えぇっ!?」ドッキン
8: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:14:22 ID:/WYEXwH6vk
フィズス「指輪とか…ちゃんとした式は用意できなかったんだけどね…。
ぼくが伝えて、君が受け入れてくれたら、それでいいかなって…?」カァァ

マリー「!」キュンッキュンッ

フィズス「や、やっぱり変だよね!いきなりこんな…困らせちゃってごめんね!」アセアセ

マリー「バカぁっ!!」ガバッ

フィズス「わっ!?」ドサッ

マリー「ホントに…あなたってバカ!」ギュッ

フィズス「え…?」オロオロ

マリー「鳥の巣を見せてから告白って…どうしたらそんな訳の分からない事が思い付くのよ!?」キッ

フィズス「あ、あはは…ぼくも迷ったんだけど…二人きりになれる口実が欲しくて?」アセアセ

マリー「バカっ…」チュッ

フィズス「っ…!?」

マリー「ぷあっ…もう!今度はちゃんと考えてよ!?」ジッ

フィズス「…うん。君に喜んでもらう為だったら、頑張るよ?」ニコッ

マリー「そ、そういうのがずるいの!?」ドキドキ

フィズス「?」
9: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:16:07 ID:/WYEXwH6vk
〜〜〜〜〜〜

マリー「はぁ…結局、村から追い出されちゃったわね…」トボトボ

フィズス「分かってもらえるなんて思ってなかったしいいよ」スタスタ

マリー「あのねぇ…!そんな気楽に構えてられないでしょ!?」キッ

祖父(マリーの父)「これ、マリーや。興奮してはいかん。腹に宿る命を労らんか?」スタスタ

マリー「…うん」

フィズス「お腹蹴ってる?」

マリー「まだそんな時期じゃないわよ…。全然膨らんでないでしょう?」ハァッ

フィズス「ふふふ!」ルンルン

マリー「なにはしゃいでるのよ?」クスッ

フィズス「また一つ、君と大きな奇跡を分かち合えたなぁって?」

マリー「…もう!お父様からも言ってあげてよ?フィズスったら、いっつもこんな恥ずかしい事ばっかり言ってくるのよ!?」テレテレ

祖父「言葉の割には嬉しそうに見えるぞ」

マリー「そ、そんなことないわよ!」テレテレ

フィズス「産まれたら、お義父さんに名前をもらいたいですね?」ルンルン

祖父「いやいや…お前たちの子なのだから、そういう訳にはいかん?」

マリー「うーん…それはあたしも賛成?」

祖父「なっ…!?」

マリー「思えばお母様が病で亡くなった時、あたしはまだちっちゃくて…それからここまで育ててもらうまで、とても苦労をかけてきたから」

フィズス「それにぼくたちが結ばれた時も快く許してくれて…本当に感謝してます。マリーの親があなたでなかったら、きっとこうはなれなかった」

祖父「い、いやしかし…!」

マリー「おねがい?あたしたちはお父様に名前をもらいたいの…?」ジッ

フィズス「お腹の子の名付け親になってください。お願いします!」ペコッ

祖父「む、むぅぅ…!」
10: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:19:10 ID:/WYEXwH6vk
祖父「で、では…"カロル"というのはどうだ?」

フィズス「いい名前ですね。どういう意味が込められてるんですか?」

祖父「昔のホビット族が使っていたクレオール語という古語が由来だが人間の言葉に訳すと…」

マリー「"親愛"……」

祖父「ん…?知ってたのか?」

マリー「お母様が昔、ちょこっとクレオール訛りが強かったから、それを聞きかじってただけ?」

祖父「…まぁ妻と私が生まれ育った集落は人間の文化に適応していなかったからな」

フィズス「"親愛"で"カロル"……いい!すごくいいですよ!」パァァ

祖父「そ、そうかね?」

フィズス「はい!ぼくは気に入ってます!マリーはどう?」

マリー「…あたしもいいと思うわ?」ニコッ

祖父「ふぅ…それはよかった。しかし孫の名付け親にしてもらえるとは…なんとも言えないが喜ばしい気持ちでいっぱいだ?」ニコッ

フィズス「カロル。聴こえるかい?お祖父様が君に名前をくれたよ?
君が受け取った最初の贈り物は何より素敵な意味が込められたかわいらしい名前だよ?
お母様のお腹から出たら最初にお礼を言おうね…」ピトッ

マリー「…だから、まだそんなにお腹も膨らんでないったら?」

フィズス「まだ性別も分からないけど、どっちに似るかなぁ?君に似たらすごく美人な女の子になるだろうなぁ…」

マリー「美人だなんて…別に普通よ。でもあなたに似たら…誠実で優しい子になるでしょうね」スリスリ
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