前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
653: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/23(月) 21:33:48 ID:p5IP.S./Mo
政務官「お…のれぇ!最初から私を利用していたのか!アントリアぁ!?」
アントリア「…筋書き通りに動いてくれて助かったよ。リルラ君?」
大臣「なっ!あ、あなた達繋がってたんですかぁ!?」
政務官「黙れ!ホビットの暴動も貴様の仕業か!」
アントリア「それは誤解だ?」
政務官「とぼけるなぁ!?」
アントリア「とぼけるも何も僕はただ……」
アントリア「こうなると分かっていただけじゃないか?」ニヤリ
政務官「貴様ぁあああ!?」グオッ
信者1「暴れるな!」グッ
政務官「くそぉ!くっそぉ!?さんざんお前に尽くしてやった私を切り捨てるのかぁ!?」ジャリッ
大臣「は、反逆者め!処刑してやる!」ギチギチ
アントリア「やれやれ…?」
654: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/23(月) 21:35:37 ID:p5IP.S./Mo
アントリア「この騒動で他国が王国を攻める大義名分は出来上がった?」
大臣「はぁ!?それはどういう意味ですか!?」
アントリア「実は他国の役人達と密談を交わしていてね?
領土の一部を無条件で明け渡す代わりに有力者不在の王都に侵攻してもらっているのだ?」
政務官「そ、その為に国交行事と偽って他国に接触したのか!?」
アントリア「最初はただ大樹の前に来られればよかったのだ?急ぐ気もなかったのでね?」
大臣「でしたら何故!?」
アントリア「無能な王がごねていると…君が手をこまねいていたからだ?」
大臣「な、なん…!」
アントリア「他国を巻き込めば政に関われない国王は押し黙る?
そして同時に邪魔な王国を葬れて一石二鳥という訳だよ?」
妃「むー!」プンスカ
アントリア「君たちを始末し、王国軍にはホビットと共倒れしてもらう?」
大臣「わ、我々なしで政ができるかぁ!」
アントリア「安心したまえ?
今回の奇跡を目の当たりにした役人達は教団の威光をまざまざと思い知った?
伝承よりもよほど印象に残る偉業だ。なにせ実際に見ているのだから?」
アントリア「そして我々の創る新しい国は神聖なものとして敬われ、国々の頂点に立つことだろう?」
???「どういう事だ…アントリア!」ザッ
655: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/23(月) 21:38:23 ID:p5IP.S./Mo
アントリア「…おや、陛下?」クルッ
国王「許さんぞ!お前の好きにはさせん!」スラッ
大臣「陛下!」
妃「むー!」モガモガ
アントリア「ハッハッハ!物騒なマネはよさないか?ケガをするぞ?」
国王「黙れ!」ジャキッ
アントリア「拝借するよ…と言っても死体には聞こえないか」ヒョイッ
兵士13「」
アントリア「剣、か…」ジャキッ
アントリア「久しぶりに握るな…。かれこれ50年ぶりだろうか?」マジマジ
国王「…きえぇぇぇい!!」ダッ
アントリア「ふむ…」チャッ
信者's「神官!?」オロオロ
656: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/23(月) 21:40:05 ID:p5IP.S./Mo
シュバッ ドシュッ ブバァッ
国王「……!」
アントリア「……」
国王「」ドサッ
アントリア「…これでも昔は都で1、2を争う剣術家だったのだよ?」ヒュンッ ビシャッ
国王「…あ…ぐぅ!余は…!余はぁ…!」プルプル
アントリア「…無様なものだ?」
国王「すまん…!最期まで…情けない父であった…!」ズズッ
アントリア「誰と話してるのかね?」
国王「お前に託す…!お前なら…お前ならきっと…!」ズズッズズッ
アントリア「」ヒュンッ
ズドッ
国王「」ピクピク
アントリア「親の心子知らず。陛下の想いは届きませんよ?」ブシュッ
オオオオオオオオオオ!
妃「むー!?」モガモガ
政務官「陛下ー!!」
大臣「ちっ!あんな老いぼれに敗れるなんてどこまで役立たずなんだか!」ブツブツ
アントリア「さて、結末を眺ようか…」
657: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 20:45:51 ID:T8J8lxPkS6
―――客席最前列―――
団長「ふんぬぅあああ!!」ズバッ
近衛兵1「団長に続けぇいい!!」ドドドッ
ドドドドドドッ
バンパ「や…ばいぜ!ラム!」キンッ
ラム「…あの人間が中心になってから明らかに変わった…!もう遊んでられないよ!」ギリッ
シープ「黒装束の二人は傷付いた仲間を運ぶって!」タタタッ
バンパ「てりゃあっ!…っておい!なにチョロチョロ逃げ回ってんだ!?」ガキィンッ
近衛兵2「待てー!切り殺してやる!」タタタッ
シープ「わーん!来ないでよー!」タタタッ
近衛兵2「ぶほっ!」ズシャアッ
ティラーナ「何をしてる…!戦わないと死ぬぞ…!」ブシュッ
シープ「う、うっさいな!裏切ったクセに!」アッカンベー
ティラーナ「くっ…今は助けてやった…!」
ラム「シープ!ティラーナの言う通りだよ!戦わなきゃ生き残れない!」
シープ「ら、ラムまでいじわる言う〜!」ウルッ
バンパ「うるせっ!いいから…戦えよ!」ガキンッ
シープ「バンパうるさい」
バンパ「えっ」
658: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 20:48:56 ID:T8J8lxPkS6
「わあああ!」ブンッ
「くらえっ!」ビュッ
「はあぁあああ!」バッ
近衛兵1「ま、まずい!3匹の同時攻撃だ!団長に加勢を……」
バンパ「そうはいくかよ!」バッ
シープ「にんぽー!通せんぼの術!」バッ
近衛兵1「くっ!邪魔だ!」タジタジ
ザシュッ ドバッ バシュッ
ドサッ ドサッ ドサッ
団長「無用だ。ワシの心配より己の敵に集中しろ!」ザッザッ
近衛兵1「さすが団長だ!見たか、ホビット共め!?」
バンパ「さ、三人の一斉攻撃を…あっさり返り討ちにした…!化け物だ!?」
ティラーナ「あいつは隙がない…。今までみたいに小細工を練っても倒せないぞ…」
ラム「…僕がやるよ」スッ
ティラーナ「…君にはムリだ。手段を選ばずに不意討ちや卑怯な手を使う小賢しさは認める…。だが!」ガキンッ
近衛兵3「やあ!」ブンッ
ドシュッ
近衛兵3「」バタッ
ティラーナ「はっきり言って正面から戦えば君は弱い…」スッ
ラム「…やってみないと分からない!」
ティラーナ「分かる…瞬殺だよ…」ジッ
ラム「みんなを扇動して巻き込んだのは僕だ!」
ティラーナ「だから進んで命を張るのか…?」
ラム「自分だけ生き残ろうなんて…最初から考えてないよ…!」フルフル
ティラーナ「足が震えてる…」
ラム「震えてなんかない!」フルフル
659: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 20:50:48 ID:MLrZ7onf8Q
ティラーナ「君は境遇からか大人びていて、とても冷淡に見せようとしてる…」
近衛兵4「らああい!」ビュンッ
近衛兵5「糞ホビット共があああ!?」バッ
ティラーナ「邪魔…」シュバッ
近衛兵4「んきゃっ!」バシュッ
ラム「黙れよ…!」ドンッ
近衛兵5「うっ…ぐっ!」ゴパァッ
ドサッ ドサッ
ティラーナ「本当の君は…か弱いただの少年だ…」
ラム「か弱い?どこが?今だって人間の喉を突き刺して殺したけど?」ジロッ
ティラーナ「自分を大切にしろ…。自ら命を捨てるなんてバカのすることだ…と私の大事な人も言ってた?」ジッ
ラム「…裏切り者が分かった風に言うなよ!」キッ
ティラーナ「そう…。私は裏切り者だ…」スタスタ
ラム「分かってるなら黙って戦えよ!一人でも同族が生き残れるように…進んで命を捨てろよ!?」
ティラーナ「分かってる?責任は取るよ…。生き残っても君たちに合わせる顔がないから…」スタスタ
近衛兵6「うりぁあああ!?」ブオンッ
ドシュッ
近衛兵6「あぁああ…」バタッ
ティラーナ「」ブシュッ
660: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 20:58:40 ID:T8J8lxPkS6
ティラーナ「…もう一つだけ?」
ラム「なに?」
ティラーナ「仲間の背中に刃を向ける者は…必ず別の仲間に刃を向けられる」
ティラーナ「私とタワンテさんは覚悟を持って仲間に刃を向けたんだ…」
ラム「最低だね、お前もタワンテも?」
ティラーナ「ホビットを裏切り、人間に裏切られて、今は人間を裏切ってる…」
ティラーナ「私達が幸せになれる筈はなかった…。それでも生きたかったんだ」
ティラーナ「二人で…生きたかった」
ラム「……」ジロッ
ティラーナ「こんなつまらない理由で君たちを裏切ったんだ…。私達は……」
ラム「あっそ?どうでもいいんだけど?」
ティラーナ「……すまない。ただ…生きる理由はさまざまで…方法はどうあれ、みな必死に今を生きようとしてる」
ティラーナ「ここで殺し合ってる人間もそれは変わらない…」
ラム「さっきから何が言いたいの?」
ティラーナ「別に…ただなんとなく、とりとめのない話をしてみたくなった」
ラム「…まじめに聞いて損した」ムスッ
661: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:00:13 ID:MLrZ7onf8Q
ティラーナ「私はみじめな死を選ぶよ。タワンテさんとの誓いも破れた事だし、未練もない…?」
ラム「なにする気?」
ティラーナ「…君たちの勝利を願ってる…。きっとタワンテさんも同じ気持ち…」スタスタ
ラム「一人で行くのかい…?」
ティラーナ「勝てないのは分かってる…。なんとか道連れくらいにはできたらいいな…」スタスタ
ラム「ティラーナ…」
ティラーナ「……?」ピタッ
ラム「…安心して殺されてきなよ?」
ティラーナ「……」
ラム「君が殺されてる間にできる僅かな隙を…僕がもらってあげるから?」ニコッ
ティラーナ「…ありがとう。裏切り者の私を利用してくれて…?」ニコッ
ラム「いいよ。君にはそのくらいしか使い道がないからさ?」ニコニコ
ティラーナ「フフフ?殺されてくるよ…!」ダッ
662: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:02:18 ID:MLrZ7onf8Q
団長「少年や少女、女や老人まで戦っているのか…」
団長「些かためらいがいるな…」ジャキッ
ザッ ビュバッ
ガキィンッ!
団長「…なかなか鋭い一撃だ。男の腕力であれば受けきれなかったやもしれん?」ギギッ
ヒョイッ スタッ
ティラーナ「女は切れないか…?」チャッ
団長「女、か…騎士道に反するが国の為ならば切る他ない?」ズイッ
ティラーナ「……」スッ
団長「…女の身でありながらワシに一対一で挑む姿勢は買うが」ズズッ
ティラーナ「……」ザッ
団長「情けはかけぬぞ…?」ギロッ
ティラーナ「はっ!」ビュッ
団長「む!」キンッ
ティラーナ「」タタタッ
団長「隠し持っていた短剣を投げたか…。その程度でワシが隙を見せるとでも?」チラッ
ヒュンッ ガキィンッ!
団長「…速いな。ホビットに産まれていなければと惜しまずにはいられん」ギギッ
ギャリィンッ!
ティラーナ「」サッ
団長「が…これまでだ?」スタッ
663: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:04:05 ID:MLrZ7onf8Q
団長「あまり時間がないのでな…悪いが終わらせるぞ?」スチャッ
ティラーナ「(構えた…)」ジーッ
団長「……!」カッ
ティラーナ「(同族を捕らえる時に何度か憲兵や旅人に襲われた…)」
団長「」ダッ
ティラーナ「(その中には時折、武芸の達人もいて…何度か死にかけた)」
ティラーナ「(…そんな時、タワンテさんはいつもある状況を狙って達人を敗ってきた)」
団長「はぁぁ!!」ブオンッ
ティラーナ「(弱い私達が達人に勝てる唯一の隙間…それは……)」シュバッ
ギャリィィン!
664: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:05:19 ID:MLrZ7onf8Q
団長「…くっ!」ギリッ
ティラーナ「(勝負が決まる瞬間だ……)」スタッ
団長「狙いはよかった…!しかし……」
ドォォッ
団長「相手が悪かったな?」ジロッ
ティラーナ「(ダメだった…か)」ダラダラ
団長「せめて楽に死なせてやろう」グッ
ティラーナ「(タワンテさん…ごめんなさい。せっかく逃げ延びる時間を残してくれたのに…)」グワングワン
団長「むんっ!」ズアッ
ティラーナ「(できることなら…あなたと共に死にたかった)」フッ
ドシュッ
ティラーナ「」プシャアアアア
団長「」ブシュッ
団長「……!」
665: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:06:44 ID:T8J8lxPkS6
ラム「へー?すごいね?咄嗟に急所を避けたんだ?」ズブッ
団長「きさ……ま…!?」ギリッ
ラム「でも敵に背中を見せたらダメだよ?こうなっちゃうか…ら!?」グリィッ
団長「う…ぬあぁあああ!!」ブンッ
ラム「」サッ
団長「小癪な…!」タラー
ラム「…知ってるよ?人間が一番、隙を見せる瞬間は……」トットッ
団長「これしきの傷で仕止めたと思うなよ…!」スチャッ
ラム「偉そうに勝ち誇ってる時さ?」クスッ
団長「ぬぅ…!」
ラム「僕を倒して隙を見せてごらん?その瞬間がお前の最期だよ?」クスクス
団長「ちぃっ!ナメるな!」ダッ
ラム「あはは!」ニコッ
ラム「(やっぱり一回で仕止めるのはムリか…。僕も死んじゃうな)」
団長「ずあああ!」ブンッ
ラム「(こいつの一撃を受けたらカロルくんの所までもたないな…。後はみんなに……)」
ズバァッ!
666: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:08:50 ID:MLrZ7onf8Q
ブシャアアアアア
ラム「……え?」
団長「……!?」ピクッ
???「なぁ…に…あきらめよう…としてんだ?ラ…ム!」ボタボタ
ラム「な、なにしてるの…!バンパ!?」ハッ
バンパ「へっ…へへ!」ニヤリ
ズドッ
団長「うぐっ…!?」バタッ
ラム「え!?」ビクッ
シープ「よくもバンパを殺ったな!死んじゃえ!」ザクッザクッ
団長「かっ…はぁっ!?」ズンッズンッ
ラム「シープ!?」
バンパ「」クラッ
バタァッ
ラム「ちょっと!どうなってるのさ!?」アセアセ
667: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:10:27 ID:MLrZ7onf8Q
バンパ「ふぅっ…はぁっ…」ゼェゼェ
シープ「バンパが盾になってくれたの。で、ぼくが後ろから?」
ラム「な、なんで…そんなこと…」
黒装束1「大丈夫か!?」タタタッ
黒装束2「今、運んでやるからな!」ガシッ
バンパ「うぅぅ…わりーな?」ゼェゼェ
セッセッ セッセッ
ラム「バンパ…なにやってるんだよ」
シープ「『なにやってるんだよ』はラムの方でしょ?」キッ
ラム「え?」
シープ「ぼくらは生きたいから戦ってるんじゃん?」
ラム「……」
シープ「それなのに…どうしてラムは死ぬつもりで戦ってるの!?」プクー
ラム「…シープ」
シープ「勝って生き残ったってラムが死んじゃったらイヤだよ!ぼくらは仲間でしょ!?」
ラム「」ウルッ
シープ「それにぼく…バンパもラムも大好きだもん」
ラム「し、シー…!」ウルウル
団長「大した友情だ…」ググッ
ラム&シープ「」ビクッ
668: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:13:46 ID:MLrZ7onf8Q
団長「身を呈して仲間を庇う…口にしてみればたやすいがなかなか出来ることではない」スクッ
団長「うむ、軽く表面を破られたが…童の細腕では急所には踏み込めなかったようだな…」パッパッ
シープ「なんで立てるの…!?」アワアワ
団長「中に鎖帷子を着込んでいてな…。首か後頭部を狙われていたら、まず立てなかった」ジャラジャラ
シープ「そ、そんな…!」
団長「と言っても、その背丈では上半身に届かせるのが精一杯か?」ジロジロ
ラム「バンパが命を駆けてくれたのに…!」ギリッ
団長「…うむ。敵ながら称賛に値する勇気だった」
シープ「ひ、ひどいよ…!それじゃバンパは切られておしまいじゃん!?」
団長「そんなことはなかろう?このワシに膝を着かせたのだからな?」
ラム「」チャキッ
団長「貴様らとて守りたい物があり、決死の覚悟で挑んだ戦いなのだろう」
団長「たかがホビットと軽んじる気はない…。いや、むしろ立派だと思っている?」
ラム「…人間に褒められたって嬉しくないね!」キッ
団長「…だからこそ偲ばれる。傲り高ぶった人間に利用されてきた貴様らを…ワシは切らねばならん?」ジャキッ
669: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:21:06 ID:T8J8lxPkS6
ラム「は…?」ピクッ
団長「む?」
ラム「僕らに罪なんてないのを知ってて…?」
団長「ある幼いホビットと変わり者の宣教師が教えてくれたのだ…」
ラム「そうじゃないだろ…!」ワナワナ
団長「……」
シープ「ら、ラム…?」オロオロ
ラム「全部知ってて…なんで僕らを苦しめるんだよ!?」カッ
団長「…遅すぎたのだ。もはや手の尽くしようがない程にホビットと人間の関係性は出来上がってしまった」
ラム「そんなので納得できる訳ないだろ!」
団長「人間として生まれ、人間として生きてきた…。ワシも貴様らと同様に守らねばならぬ物が山ほどある」
ラム「お前なんかと一緒にするなぁっ!!」
団長「…恨んでくれていい。言い訳はせん」
ラム「はぁ…!?」イラッ
団長「だが…貴様らとて大勢の人間を殺めたのだ。その報いは受けてもらおう?」
ラム「今までたくさん最低な人間を見てきたけど…お前みたいな汚い人間は初めてだよ!」
団長「……容赦はしない。それがワシに出来る、せめてもの償いだ」ザッ
ラム「殺してやる!!」バッ
シープ「ら、ラム!?」アタフタ
670: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:28:02 ID:HyvtXC.lJU
ワアアアアアアア!
団長「!?」ピタッ
ラム「!?」ピタッ
シープ「な、なに!?なに騒いでんの!?」アタフタ
近衛兵1「だ、団長!大変です!」タタタッ
団長「何事か!?」
「ラム君!シープ君!こっちへ!」
ラム「え?」
シープ「もー!なんなの!?」
近衛兵1「い、いつの間にやら王子が……」
「カロル君が壇上で敵を……」
団長「王子が?」
ラム「カロルくんが?」
近衛兵1「王子が人質に取られました!」
「カロル君が敵を人質に取ったんだ!」
団長「なんだとぉぉおおお!?」
ラム「えぇぇぇ!?」
シープ「ひとじち…?」ポカン
671: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:29:16 ID:HyvtXC.lJU
―――舞台―――
カロル「」ガシッ
ヒメ「うわー!優雅に散歩してたら運悪くたまたま戦場に入ってしまって、あっさり敵に捕まったー!?」ボーヨミ
カロル「あ、あんまり動かないで?刺さったら危ないでしょ…?」ボソボソ
ヒメ「ぎゃー!なんて日だ!まさか王子の俺が敵に刃物を突きつけられてしまうとはー!?」ボーヨミ
カロル「説明しすぎじゃないかな…?なんか変に見えるよ?」ボソボソ
ヒメ「…さっきからうるさい。オレの完璧な演技で全員の目を釘付けにしてるんだ!黙って見てろ?」ボソボソ
カロル「釘付けになるかなー?」アセアセ
ワアァアアアァアアアア!
近衛兵7「お、王子!?」
近衛兵8「何故ここに!?」
近衛兵9「い、今お助け致します!」ダッ
近衛兵10「うおおお!ホビットぉ!?卑怯なりぃ!?」
カロル「あ、ホントだ!釘付けになってるよ?」パァァ
ヒメ「だから言っただろ?王族にかかれば不可能はないんだよ!」エッヘン
672: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:30:40 ID:kg947O/4iY
近衛兵11「王子を救出するぞ!手の空いてる奴は壇上に上がれー!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
カロル「ひゃっ!あ、上がってきちゃうよ!?」アタフタ
ヒメ「ナイフでオレの頬をピタピタ張れ?」ボソボソ
カロル「う、うん?こう?」ピタピタ
ヒメ「うわぁーーー!殺されるー!これ以上、近付いたら殺す気だ〜〜?お前ら下がれ、下がれー!」ボーヨミ
近衛兵11「うっ…ま、待て!一旦、下がれ!」ピタッ
ヒメ「えー?なんだってー?容姿端麗、眉目秀麗、才色兼備、王族の中の王族であらせられるヒメ王子を助けたかったら〜〜?」ボーヨミ
カロル「? ボクなんにも言ってないよ?」キョトン
ヒメ「お前がなんも言わないから代わりに言ってやってんだよ!バカ!ドジ!スカ!」ボソボソ
カロル「ご、ごめんなさい…」シュン
近衛兵10「さっさと要求を言え!」
ヒメ「はぁ!?お前、誰に向かって……!」カッ
近衛兵10「えっ」
近衛兵11「な、何故王子がお怒りに?」
ヒメ「……ってこいつが言ってる。な?」チラッ
近衛兵7「そうなのか、貴様!?」
カロル「は、はい。言いましたです…」モジモジ
近衛兵8「図に乗るなよぉ!身柄を取り返したら八つ裂きにしてくれるわぁ!!」
ギャーギャー
カロル「(なんにも言ってないのに…)」ガーン
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