前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
633: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 21:52:44 ID:RvsogzPv8w
兵士11「兵士長を助太刀せねば!」ダッ
シープ「キーック!」ピョンッ
兵士11「あがぁ!?」ドカッ
シープ「どーだ!まいったか!?」シャキーン
兵士11「こ、このガキ!?横から攻撃するとは卑怯だぞ!?」ムクッ
シープ「やーい!やーい!弱虫ー!」ベロベロバー
兵士11「殺す…!」スクッ
シープ「あー!後ろで兵士長が!?」ビッ
兵士11「なに!?」クルッ
ブオンッ
兵士11「ぶぁげひゅっ」ドチャッ
シープ「アッハハハハハ!」ケラケラ
黒装束1「ヘマトのテントにあった金槌…すごい威力だ。兜ごとぺしゃんこ」ググッ
黒装束2「うく…すごいけど…おんもっ…!」ググッ
シープ「ねー!もっかいやろー!」キャッキャッ
黒装束1「え…二人がかりでも重いよ」
黒装束2「普通の武器で戦いたい…」
シープ「いーじゃん!ほら、また来たよ?」
黒装束1「えー…」
黒装束2「えー…」
634: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 21:53:57 ID:w4WKmrgy6I
―――舞台―――
カロル「」パシッ
フワッ
「うぅ…こっちも…頼む!」
カロル「うん!」パシッ
「よし!行ってくる!」フワッ
ギャアアアアア
カロル「……!」ダッ
「待て!どこに行くんだ!」ガシッ
カロル「離して!仲間が切られてる!」
「君に動かれたら運ばれてくる仲間はどうすんだ!決まった場所にいてもらわないと?」
カロル「……!」
「焦る気持ちはよく分かる!だが傷付いた仲間を確実に助けたかったら動き回っちゃいかん!」
カロル「でも…」チラッ
「確かに間に合わなかった仲間もいる。だからといって冷静さを失えば、また同じ悲劇が起こるぞ」
カロル「……」
「敵の数が多すぎて…はっきり言って傷付いた仲間を運ぶ余裕が無くなってきてる。けど君はじっと耐えて待つんだ!いいな?」
カロル「はい…」シュン
セッセッ セッセッ
「ほら、運ばれてきたぞ!」
カロル「うん!」タタタッ
635: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 21:55:47 ID:w4WKmrgy6I
―――客席最後列―――
信者1「なにが起こってるのです!神聖な大樹にホビットが群がってますぞ!」
信者2「お、おのれ!神の意思に背き、またしても大樹を枯らせる気か!」
信者3「そうはさせん!皆で祈るのだ!罪深きホビットに神罰を!」パンッパンッ
兵士12「どけ!邪魔だ!」
信者4「何故か!我々は正当な信者だぞ!」
兵士13「まずは要人の避難が先だ!」
信者5「なんで役人が逃げるんだ!役人なら我々民の為にホビットを粛清してみせろ!」
信者6「そうだ、そうだ!辺境の町々で田畑を耕す我々の苦労も知らず、都ばかりを豊かにして!」
信者7「やれ税だ、認可料だと貧しい者からむしっておいて田舎町には一切、支援する気概を見せない!
おまけにベルメロ牛や馬などの家畜を要求して精魂込めて育てた大切な作物や米、麦まで奪った!」
信者8「おかげで発展も望めず、見返りのない農作業に嫌気を差した若い連中は後を発っていくばかりだ!」
信者9「医術の供給や学問をタダで提供してくれる教団を見習え!実質的に我々を支えているのは国じゃなく教団だ!」
信者10「さっき国外の人が馬車で引き返してたな!あれも俺達の金じゃないのか!」
信者11「だいたい我々は今日の巡礼の為に一週間かけて歩いてきたのに…なんでお前らだけ馬を使って来てんだ!」
信者12「おかしいだろ!我々に何もしてくれないお前らが悠々と豪奢な乗り物を使って最前列を陣取るのに…身銭を切って旅をしてきた我々が最後尾の平原まで遠ざけられるなんて!」
兵士12「う…!」
大臣「ごちゃごちゃごちゃごちゃとうるっさいですなぁ!?」
ワァァ ワァァ
政務官「あ、あまり刺激するな…!」
大臣「はぁ?なぜです?庶民の分際で弁えもせずにぐちぐち御託ばっか並べて……」ブツブツ
政務官「今、こいつらが暴動でも起こしてみろ…!武器を持たない庶民といえ1万以上の人間を抑える手立てはないぞ…!
ただでさえホビットの制圧に兵が駆り出されているのだ!」
大臣「」ゾワァ
政務官「なんとか穏便に済ませなければ…前門の虎、後門の狼、四面楚歌になるのは免れんぞ!」
大臣「し、しかし…どうやって!かなり興奮してますぞ?」
アントリア「お困りかな?」スタスタ
636: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 21:57:53 ID:RvsogzPv8w
政務官「助かりました!神官、あの信者共を黙らせてください!」
アントリア「…ふむ」スタスタ
信者1「おお!アントリア神官だ!」
信者2「お教えください!なぜあのような事に!」
アントリア「罪深きホビットが懲りずに罪を重ねようとしているのだ。悲しいものだよ?」
信者3「やはりか!許せん!」
アントリア「大樹にホビットの血を注ぎ、不浄の血を洗い清め、天へと昇らせる事で神の赦しを得た大地は大樹を蘇らせたのだが…ホビットは再び枯らせようと大樹に迫っている?」
アントリア「私たち人間はこの愚行を許すべきだろうか?」
信者4「絶対にゆるしてはなりません!」
信者5「我々の手で大樹を取り戻すのだ!」
アントリア「よろしい。さすれば強く祈りなさい」
シーン
アントリア「……」パンッパンッ
637: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 21:59:13 ID:w4WKmrgy6I
政務官「お、収まったか!」
大臣「では我々を避難させてくれませんか?こうも行く手を阻まれては逃げられませんぞ?」
アントリア「……」
大臣「な、なんとか言いなさいよ!」
アントリア「諸君、この役人たちは事態の収拾よりも身の保身を求めているようだ」
信者's「」ピクッ
アントリア「はたしてそれは正しい選択なのだろうか?
それならば危険を顧みずに祈祷する我々は一体なんなのか……」
大臣「し、神官?」
アントリア「ここで諸君に問わせてほしい。人間とはどういうものだろうか?」
信者's「……」
アントリア「例えば国という一つの形態を一人の人としてなぞらえ、解き明かしてみよう?」スタスタ
アントリア「王国と民の関係性とは?その中に信仰はどう関わるか?」スタスタ
アントリア「…あなたはどう思われる?」クイッ
信者5「わ、わたしは…ちょっと…」モゴモゴ
アントリア「物事を難しく考えてはいけない?単純でいいのだよ?」
信者5「は、はぁ…」
アントリア「人で言うなら王国は頭だ。あらゆる物事の決定権を持ち、体に命令を与えては酷使する」スタスタ
信者6「で、では体は民ということですか?」
アントリア「間違ってはいない?しかし体だけだろうか?」
信者7「わ、我々は作物や家畜を育て、納税や土地の維持にも務めて義務を果たしております!」
アントリア「あぁ、君たちは手足の役割を果たすと共に体を働かせる原動力まで確保している。それは頭にとっても素晴らしい貢献だ?」
大臣「…なんの話をしてるんだか?ばっかばかしい…」
638: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/20(金) 22:00:46 ID:w4WKmrgy6I
アントリア「では最後に宗教とは人のどの部分に当たるのか?」
信者8「心です!体である我々を支え、道を示してくれるんだから!」
アントリア「素晴らしい!」ビッ
信者8「あ、ありがとうございます!」ペコッ
アントリア「その通りだよ?宗教とはすなわち良心!体を支配下に置く絶対権力の持ち主、頭に待ったをかけられる唯一無二の部分だ!」
オォォォォオォォォォ!
大臣「いい加減にしてくれませんかねぇ?こんな危なっかしい所にいつまでもいたくないのですよ?」イライラ
アントリア「これまでは邪念の巣食う頭に操られ、体は酷使されてきた…」
アントリア「だが心と体が一つになれば負の螺旋から逃れられる!」
アントリア「民でありながら信者でもある諸君は今まさに千載一遇の好機を手にしている!」
アントリア「僕は良心として訴えかけよう!今こそ体が自由を取り戻す時!心身一体となりて頭という名の邪念を払い清めるのだ!」
ワァァァァアアアアア!
大臣「なぁに言ってんですか?訳の分から……」
アントリア「諸君、恐れる必要はない?正しい行いには神が背を押してくださる!邪念に報復するのだ!」
オォォォォオォォォォオォォォォ!
政務官「神官?いったい何を……」
ドドドドドドッ!
大臣「げぇっ!?な、な…なぁっ!?」ビクビク
兵士13「ひ、ひいぃぃ!?」
639: 名無しさん@読者の声:2014/6/22(日) 10:36:48 ID:slxpB8VfjM
支援
640: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:01:12 ID:PTzgul6XOc
―――客席―――
団長「向こうが慌ただしいな?」
近衛兵1「なにかあったんでしょうか?」
団長「…なにかあっては困る。今はホビットの制圧にのみ力を注ぎたい」
近衛兵2「報告致します!呼び掛けに応じ、全近衛が揃いました!」ピシッ
団長「うむ!いよいよだ!」
ズラァァァァァ
団長「全兵に告ぐ!敵は狡猾に策を練り、地の利を活かしてこちらを翻弄する小賢しい曲者だ!」
団長「しかし恐れるな!我々は武人なり!ちょこざいな策など力付くで叩き潰せ!」
オォォォォオォォォォ!
団長「覆うように進撃せよ!一匹たりとも生かすな!分を弁えぬ罪深き種族に命を以て償わせよ!」
団長「勝利は我らが頂く!人間の力を思い知らせるのだ!」
オォォォォオォォォォオォォォォ!
団長「進撃開始ぃぃ!!」
ザッザッザッザッザッザッザッザッ
641: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:02:53 ID:PTzgul6XOc
―――客席最前列―――
兵士14「く、来るなぁ!」ビュバッ
ティラーナ「」ヒョイッ
兵士14「うおおおおお!」ブンッブンッ
ティラーナ「遅い…!」ズバッ
兵士14「」プシャァァァ
バタッ
ティラーナ「」クルッ
ティラーナ「……!」ビクッ
ティラーナ「(静観してた兵が迫ってくる…!)」キッ
642: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:03:43 ID:.0eEYiSGwU
兵士長「そ、そんな…バカな…」ドサッ
バンパ「このおっさん、結構強かったな。二人で協力してなかったら危なかったぜ?」
ラム「まぁね。ティラーナやシープ達が食い止めてくれたおかげで一人に専念できたよ」
兵士15「貴様ら、よくもぉ!」ダダダッ
ダダダダダッ
バンパ「ちっ!4人か…!二人じゃキツいな?」
ラム「多分ここからはもっと追い込まれるよ?新手がこっちに向かってきてる?」
バンパ「はぁ…踏ん張らなきゃだな」
ラム「頼りにしてるよ?」クスッ
バンパ「お、おう?」
ラム「なにさ?」
バンパ「い、いや…いつもお前とシープは俺をからかってばっかいるから…驚いた」
ラム「バカだなぁ?本気にしてたの?」
バンパ「だってなぁ…」
ダダダッ
ラム「来たよ?」
バンパ「へいへい…やりますよ」ジャキッ
643: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:04:55 ID:PTzgul6XOc
―――舞台―――
カロル「…だ、誰も来なくなっちゃった」ポツン
ワアアアア ワアアアア
カロル「相手の数が多いから倒れた仲間にまで手が回らないのかも!」アタフタ
カロル「…ぼ、ボクもみんなと一緒に!」ダッ
???「動くな!」
カロル「え?」クルッ
ヒメ「…お前だったんだな。この騒動の首謀者は」
カロル「お、王子さま!?」
ヒメ「嫌な予感がしたから乱戦を掻い潜って来たんだ…」ジロッ
カロル「よ、よく来れたね…」
ヒメ「教養を受けて武芸も染み付いてるからな」
カロル「そ、そう…なんだ」
ヒメ「なんでこんな事したんだよ?」
カロル「え?」
ヒメ「お前が始めたんじゃないのか?」
カロル「う、うん…。まぁ…」モジモジ
ヒメ「はっきりしろ!」
カロル「」ビクッ
ヒメ「もし…お前が自分の意思で報復に出たのなら…僕は貴様を軽蔑する!」ビッ
カロル「……!」
ヒメ「なんとか言ってみろ!」
644: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:06:14 ID:.0eEYiSGwU
カロル「……」ワナワナ
カロル「な…にが…分かるのさ?」ワナワナ
ヒメ「なに!?」
カロル「キミに何が分かるのさ!?」
ヒメ「な、なんだと?」
カロル「軽蔑する!?ふざけないでよっ!?」
カロル「ボクがどんな想いでいたかも知らないのに!?」
カロル「苦しむ仲間もお母さまの涙も見たことないのに勝手なこと言わないでよ!?」
ヒメ「だったらなんだ!?死人を出してまで戦う事になんの意味がある!?」
カロル「キミはホビットが一方的に殺されるのを見なかったの!?」
ヒメ「う…!」
カロル「ボクは失いたくなかっただけだ!お母さまも仲間も!みんな!!」
カロル「何度も人間を信じたよ!何度も騙された!それでも分かり合えると思ってた!」
カロル「戦うのを決意したのはボクかもしれないけど…戦う道しか選ばせなかったのはキミたちじゃない!」
ヒメ「か、カロル…」
645: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:09:16 ID:.0eEYiSGwU
カロル「他にどうしたらよかったのさ!ボクだって人間と争いたくなかったよ!」
カロル「でもこれ以上、誰も悲しませたくないんだ!」
カロル「だから…しょうがないんだ…!全部終わらせる為には…こうするしかなかったんだよ!」キッ
ヒメ「…大きな悲しみが産まれるぞ?」
カロル「え?」
ヒメ「お前は間違ってないさ?ある意味正しい?」
ヒメ「だが…お前のやってる事は悲しみの上に更に大きな悲しみを被せてるだけだ!」
ヒメ「それが分からないお前じゃないよな!?」
カロル「……」
ヒメ「もうやめるんだ。今なら……」
カロル「…だったらボクたちは悲しいまんま、人間の幸せに押し潰されるしかないの?」
ヒメ「誰がそんな事言った!オレが言うのは……」
カロル「そういうことでしょ!?ホビットは悲しみに耐えて、人間は一方的に悲しみを与えてるじゃない!?」
ヒメ「ち、ちが…」
カロル「違わないよ!キミもホントはホビットのボクが嫌いだったんじゃないの!?」
ヒメ「…なんだと!」カッ
646: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:10:27 ID:.0eEYiSGwU
ヒメ「この…!」ダッ
カロル「」ビクッ
ヒメ「」ガシッ
カロル「わっ!」グイッ
ヒメ「」バッ
カロル「ひっ!」キュッ
ヒメ「……!」ワナワナ
カロル「…ぶ、ぶつなら…ぶてば?」ブルブル
ヒメ「はぁ!?」イラッ
カロル「ぼ、ボクは…ケガしたって怖くないもの!癒しの力で…!」
ヒメ「」ブンッ
カロル「あうっ!」ガスッ
ヒメ「」ブンッ
カロル「う!」ズダァン
ヒメ「立てよ!」
カロル「っ…!」ググッ
ヒメ「立てぇ!?」ダッ
バキッ ガッ ドカッ ゴスッ
647: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:11:39 ID:.0eEYiSGwU
カロル「う……あう…」ヨロッ
ヒメ「治せるんだろ?治してみろよ?」ジロッ
カロル「…」フワッ
ヒメ「ふん?癒しの力なんて、そんなものさ!攻撃され続けたらどうしようもないだろ?」
「お、お前!彼に何してるんだ!」ダッ
ヒメ「…お前の仲間だな」
カロル「ボクなら平気だから傷付いた仲間を連れてきて!」
「で、でも…」
カロル「こうしてる間もみんなが必死で戦ってる!ボクを守るんじゃなくて戦ってるみんなを助けてあげなきゃ!」
「わ、わかった…」ダッ
カロル「……!」キッ
ヒメ「いいのか?僕はお前への攻撃をやめないぞ!」
カロル「ボクを止めたって遅いよ…!もう誰も止まれないもの…!」
ヒメ「」スラッ
カロル「……!」
ヒメ「止められるさ?お前が死んだら、あいつらもじきに死ぬ?」ジャキッ
カロル「死なない…!絶対に死なせない!」グッ
648: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:12:57 ID:.0eEYiSGwU
ヒメ「お前とは友人になれると思ってたよ。残念だ?」ジリジリ
カロル「ボクだって…!」トットッ
ヒメ「結局、人間とホビットじゃ無理だったんだな」ジリジリ
カロル「人間が…そうさせたんじゃない!……あっ」トットッ
ヒメ「それ以上下がれば舞台から落ちるぞ?」ジャキッ
カロル「うっ…!」ピタッ
ヒメ「じゃあな?」スッ
カロル「……!」ブルッ
ヒメ「」ピクッ
カロル「え?」
ヒメ「」フッ
カロル「…王子…さま?」キョトン
649: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:15:35 ID:PTzgul6XOc
ヒメ「やっぱり僕にはできない」ポイッ
カンッ カランカラン
カロル「……?」
ヒメ「…お前は初めての友達だ。お前が人間を憎んで復讐に走ったとしても…僕はお前を憎めない」
カロル「……」
ヒメ「好きなだけ戦えよ。そして出来る事なら…生きて幸せになれ?」
カロル「…王子さま」
ヒメ「じゃあな?止めてやれなくて悪かった…」スタスタ
カロル「どこに行くの?危ないよ!」ガシッ
ヒメ「…離せよ」グッ
カロル「う…」パッ
カロル「王子さままで…死んじゃうの?」ウルウル
ヒメ「…僕は人だからな。お前たちホビットが勝利したら、どうせ死ぬだろ?」
カロル「やだよ!そんなの絶対やだ!」
ヒメ「しかたないだろ?人間が憎いんじゃないのか!?」
カロル「憎んでなんかない!ボクは復讐なんて望んでない!」
ヒメ「矛盾してるぞ!?」
650: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:18:52 ID:.0eEYiSGwU
ヒメ「…オレだってお前と争いたくないさ!でもオレは王子でお前は反乱の首謀者だ!」
カロル「…やだ!やだ!やだ!」ブンブンッ
カロル「友達が欲しかっただけなのに…!ただそれだけだったのに…!」
カロル「人間と仲良くなって…一緒に遊んでみたくて…!」グシグシ
ヒメ「…なに言ってんだよ!なんの話だ!」
カロル「ホビットが幸せになっちゃいけないの…!?ホビットが人間に何をしたの…!?」
カロル「もう…わからないよ…!どうすればよかったの…!?」ブワッ
カロル「う…ぇぇぇん!わあぁぁぁ…!」ポロポロ
ヒメ「な、なんで泣くんだよ!」
カロル「ひっ…ひっ…!」ポロポロ
ヒメ「泣くなよ!」
カロル「えぇぇぇん!あぁぁ!」ポロポロ
ヒメ「…泣くなって」ズキッ
カロル「わあぁぁぁん!」ポロポロ
ヒメ「…オレにも分からないよ」
651: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/22(日) 18:20:41 ID:PTzgul6XOc
>>639
支援ありがとうございます!
久しぶりなので身に染みますw
652: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/23(月) 21:32:39 ID:p5IP.S./Mo
―――客席最後列―――
信者1「神官!命じられた通り、拘束しました!」
信者2「民の怒りを知れ!俗物共め!」
アントリア「強固な信心の成せる技だ。君たちのような信者を持って誇りに思うよ?」
大臣「神官!これはなんのマネです!?」ギチギチ
政務官「わ、私達を拘束してどうするつもりだ!」ギチギチ
妃「むー!むー!」モガモガ
アントリア「ハッハッハ!分からないかね?支配者が変わる運命の瞬間だよ?」
大臣「はぁいぃ〜!?冗談はよしなさい!」
アントリア「冗談?マヌケだな?ここまでしておいて冗談じゃ済まされないだろう?」
政務官「その通りだ!分かってるなら今すぐ解放しろ!」
アントリア「残念だが…君らは王都に連行した上で処刑する」
妃「むー!?」
アントリア「無能な王族、私利私欲にまみれた役人、どれも不要だ?」
大臣「な、なんですとぉ!?」ギリッ
アントリア「諸君、この先の未来は教団が保証する!新しき旗を掲げようじゃないか!」
オオオオオオオオオオ!
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