前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
521: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:37:49 ID:MLrZ7onf8Q
宣教師「」ダッ
ダガ「っておい!?」ガシッ
宣教師「っ…!離しなさい!」ジタバタ
アリアス「油断も隙もあったもんじゃないわね…」
カロル「……!」キッ
ダガ「お?なんだ?その生意気な目は?」
カロル「宣教師さまを離して!」
ダガ「俺に命令してんのか…?」ピキィッ
アリアス「離してやりなさい?その子はなるべく刺激しないように言われてるでしょう?」コショコショ
ダガ「ふ…わかってらぁ?」パッ
宣教師「…汚らわしい」プイッ
ダガ「ガキが…!図に乗んじゃねぇぞ…!?」イラッ
カロル「…行かせてくれないならボクも約束守らないから!力も使わないよ!」
ダガ「あぁ!?」
カロル「どうして平気で約束を破ろうとするの!?ボク達にばっかり…ずるいよ!」
アリアス「だ、だから…約束は守るわよ?」アセアセ
カロル「それなら行かせてよ!なんにもなかったら戻ってくるから!」
アリアス「お、落ち着きなさいよ…。もうすぐ神官と司祭様が戻って説明なさるから」アセアセ
アントリア「揉め事かな?」スタスタ
アリアス「神官!?」
カロル「アントリアさん!」
522: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:40:38 ID:MLrZ7onf8Q
アントリア「ふむ…。すでにショーが始まっていると?」
マルク「わんっ!」
母「か、勘ですけどマルクの様子がおかしいから…」
アントリア「今はノワールの布教演説の最中だが…まあ構わないよ。そう疑うのなら予定より早いが始めてしまおうか」
宣教師「予定…?」
アントリア「ショーが始まる直前がちょうどいいんじゃないかと踏んでいたが…君たちも待ちきれないようだしね」
カロル「うん!早くやって助けようよ!」
アントリア「だがそうなるとヘマトバザールがホビットを解放していない状態になるから救出は困難だがね」
カロル「え?じゃあどうしたら…」
アントリア「本来なら彼らがショーに取り掛かってホビットを解放した時が狙い目だが…そうでないなら無理やり奪還するしかなさそうだ」
宣教師「……」
アントリア「とりあえず今の戦力を整理して分析してみようか。
老人の僕とノワールは言うまでもなく戦力外。君たち3人も似たようなものだろう」
宣教師「そ、それは…」
アントリア「頼みの綱はアリアス君とダガ君だが…はっきり言って多勢に無勢だな。返り討ちに遭うのは目に見えてる」
ダガ「お、俺は御免ですよ…」
アリアス「私も引き受けられません」
アントリア「…という訳だ。どうする?」
宣教師「そ、それなら…大樹に気を取られてる民衆の目を盗んで救出するというのは?」
アントリア「おすすめはできない。まずあれだけの人間が集まる場で遮蔽物もない大樹の周囲を200のホビットを連れて動くのは不可能だ」
母「…や、やめときましょうか」
アントリア「賢い選択だ。ではノワールが来るのを待とうか?」
カロル「は、はい…」シュン
523: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:42:28 ID:MLrZ7onf8Q
―――舞台―――
ブツッ ピュッ ピュ〜〜
ホビット2「びゃっびゃっ!びゃっ!」アガアガ
ウォルター「ハーイ!これで全部抜けましたぁ!この歯が欲しい人は手を上げて!」
ハーイハーイ ハーイハーイ
ウォルター「んじゃ投げますよー?ほれっ!」ビュンッ
手下1「おらっ!血はここに入れんだよ!」ガシッ グイッ
ホビット2「あひゅうぅぅ」ピュピュッ
手下2「…桶に血なんか溜めてどうすんだ?」
手下1「知るかよ!全部ウォルターさんの指示だ!」ポチョポチョ
ウォルター「さぁて…次は目ん玉くり貫くぞ!スプーン用意しろ?」
手下1「うっす!」チャッ
ウォルター「おめーはそのホビットが目閉じらんねぇように瞼を開いて針で固定しとけ」
手下2「わっかりやしたー」ガッ
ホビット2「ひっ…!」キュッ
手下2「ちっとイテーけど我慢しろー?」グググッ
ホビット2「あびゃっ!うひゅひゅ!ひゃひゃ!」ガクガク
ブスッ
フャアアアアア!
524: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:47:54 ID:MLrZ7onf8Q
大臣「ぐふ…ぐふふふふ。イイ!イイですなぁ!」ブヒッ
政務官「楽しんでおられますな?」
大臣「いえね?わたくし、以前にも別の場所でショーの観覧に伺いまして、それからというものすっかり虜になってしまったんですよぉ?ぐふふ!」ブヒヒ
政務官「(気色の悪い…)」
大臣「先程の泣き叫んで命乞いするホビットも惨めでたまらなかったですが…ああやって喋る事も出来ず残酷に痛め付けられるサマもなかなか…!」ジュルリ
政務官「(大臣のような変態は稀だろうが文化としてホビットへの憎悪が根付いていると…意外に抵抗がないものだな)」
国王「……」ジーッ
政務官「(伝承が嘘だと分かっている陛下ですら見入っている…。かくいう私も些か興奮してきた…)」
ワァアァアァアァア
政務官「…ショーの印象で先ほどの出来事もうやむやになればいいがな」
525: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:53:33 ID:T8J8lxPkS6
ホビット3「いだっ…いだい…あるけないよぉ…」グスンッ
手下2「おら!どしたぁ!歩け歩けぇい!?」
ホビット4「どこぉ…!お兄ちゃん!どこにいるの!?」フラッフラッ
ウォルター「さてさてお涙ちょうだいの時間がやって参りました!皆様、ハンカチの準備はよろしいか!?」
ペタッペタッ ズズズ
ウォルター「片や兄は足の裏の皮を剥がされ、片や妹は両目を失ってしまった!」
ウォルター「そこでだ!俺はそんなかわいそうな兄妹に哀れみをかけ、離れた地点から歩み寄って5分以内に抱き締め合えたら助けてやる事にした!」
ウォルター「幼いホビットの兄妹が互いを助ける為に頑張る姿!くぅ〜!泣ける!」グシッ
ブーブー ブーブー
ウォルター「いや、不満に思われるのも承知の上!
だが俺の良心が助けてやれと言ってんですわ!」
ウォルター「…さて一歩踏み締める度に強烈な痛みに喘ぐ兄と闇の中で愛しい兄を探す妹!今、二人の絆が試される!」
オォオォオォオ オォオォオォオ
ウォルター「(ククク!効き目はバッチリだなぁ…)」
ウォルター「(事前に舞台の周りに仕込んでおいた無臭のタイマ…ステルスベリーで興奮させられてるとも知らずによ?)」ニヤァ
スゥー
526: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:55:09 ID:MLrZ7onf8Q
手下1「残り30秒ー」
ホビット3「あ…まって!いま…いくから!」ダッ
ホビット4「お兄ちゃん…!お兄ちゃん!」フラッフラッ
ホビット3「うごくな!うごかなくていい!お兄ちゃんがいくから!」タッタッ
ホビット4「う、うん」ブルブル
ホビット3「いま…いっ」ズルッ
ドタッ
手下2「あー!大事なとこで転んでやんの!?」
手下1「残り10秒ー」
ホビット3「ま、まって!いくから!いくから!」スクッ
ホビット3「あうっ」ズルッ
ドタッ
ホビット3「な、なんで?あしが…」ググッ
ウォルター「バーカ?そのずる剥けの足で走れる訳ねーだろ?」
ホビット3「うそ…!そんな…!」ズルッズルッ
手下1「はい時間切れー」
手下2「次の演目があるんでチャチャッと殺っちゃいたいと思いまーす!」ブンッ
ホビット4「お兄ちゃん!お兄ちゃぶしゅっ」ゴキャッ
ホビット4「」バタッ
ホビット3「あ…あ…わあぁぁぁぁあああ!!!」ブワァッ
手下1「お兄ちゃんも死んじゃおーね?」ブンッ
ザクッ
ホビット3「か…ばはっ」ゴパァッ
ウォルター「そいつらの血は固まる前に搾って桶に溜めとけ」
手下1「うっす!」
527: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:57:11 ID:MLrZ7onf8Q
イギャアアアアアア!
ホビット5「」ベチャッ
ワァァァァァア ヒューヒュー
ウォルター「まだまだ終わりませんよー!期待の更に上を行くショーをご用意してますんで!」
手下2「あの…ウォルターさん」
ウォルター「あ!?今イイとこだろうが!?」ギロッ
手下2「す、すんません!」
ウォルター「で、なんだ?さっさと言えや?客前だぞ?」
手下2「そ、それが…桶が満パンでもう血が溢れてこぼれそうなんすよ」
ウォルター「…よーし!んじゃ会長の指示通り始めっか?」
手下2「どうすんすか?」
ウォルター「おい、おめーも来い!演目は後回しだ!」チョイチョイ
手下1「うっす!」タタタッ
ウォルター「おめーら、その桶を運んで大樹にぶっかける準備しとけ」
手下1&2「…は?」キョトン
ウォルター「黙って言うこと聞いときゃいいんだよ。こぼすんじゃねーぞ?」シッシッ
手下1「う、うっす」
手下2「わっかりやしたー!」
528: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 22:01:24 ID:T8J8lxPkS6
手下1「この辺でいいっすかー?」
ウォルター「どこだって構やしねーよ。樹にかかりゃいいんだ!」
手下2「しっかし重いなー?二人がかりでも引きずるのが精一杯だったぜ?」
手下1「血も積もれば川となるってやつか」
ウォルター「だぁっとけ!ボケ共が!?」
ウォルター「っと一旦ここで特別な企画を行います!」
ウォルター「あちらをご覧ください!」
ウォルター「先ほどから巨大桶に溜めておいた無数のホビットの血!」
ウォルター「これをどっぷりまるごと大樹にぶっかけたいと思います!」
ワァァァァァア ワァァァァァア
ウォルター「(会長が前フリ入れてたおかげか、異常な盛り上がりだな。こりゃなんも起きなきゃおっかねーぞ?)」
ウォルター「(会長にゃ悪いが…保険打っとくか)」
ウォルター「さて!教団の代表がおっしゃったように大樹は蘇るのか!?運命の時です!」
手下1「ウォルターさーん!こっちはいつでもイケます!」
ウォルター「ククク…よっしゃ!豪快にぶちまけろや!!」
手下1&2「せー…のっ!!」ガバッ
ザッバァン!
529: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:20:42 ID:rVoFyN4TxM
………………
「なにも起こらんぞ!」
「司祭様の言葉は嘘だったのか!?」
「どうなってるんだ!?大樹は蘇らんのか!?」
「貴様らの言い出した事だろう!答えろ!」
ウォルター「やっべぇー…」
手下1「ど、どーすんすか?」
手下2「俺ら教団じゃねーし、知ったこっちゃねーって話っすよね」
「おい!なんとか言ったらどうなんだ!?」
「国王はどこだ!?こんな枯れ木の為に呼びつけておいて…我々をからかったのか!?」
「場合ニヨッテェハ責任ヲ追及サセテクダサイマシテゴザイマスデス!」
ウォルター「あー…まぁ気を取り直して続きと参りましょうや?」ヘラヘラ
「ふざけんなぁ!?」
「だいたい神聖な大樹に血をかけるとは暴挙にも程がある!しかもホビットの穢れた血だぞ!」
ウォルター「…おいおい、なんて言やぁいいんだ?言い訳なんか思い付かねーぞ?」
手下2「バックレちまいますか!」
ウォルター「ボケ!あれが見えねーのか!」
パタパタ パタパタ
手下1「…なんか赤い旗が上がってんなぁ」
ウォルター「他国の役人が連れてきた兵隊に号令出したんだ。威嚇のつもりだろうが…この騒ぎじゃ最悪もあり得るぜ」
手下1&2「えっ」
530: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:22:08 ID:rVoFyN4TxM
―――大樹の根元―――
司祭「」タッタッ
カロル「あ!」
アントリア「…来たか!」スクッ
司祭「はぁ…はぁ…」ガクンッ
宣教師「…は、始まったのですか?」
母「た、たいへん!」オロオロ
司祭「ぜぇっぜぇっ!はっ…はやくっ…!」
アントリア「今だ!大樹に癒しの力を!?」
カロル「うん!任せて!」ピトッ
カロル「……」キュッ
カロル「……」
宣教師「な…なにも起こりませんね」アセアセ
ダガ「どうなってんだ!?マジメにやれよ!?」クワッ
母「あ、あぁぁ…やっぱりムチャだったのよ…!」サァァ
アントリア「静かに!彼を集中させるんだ!」
シーン
カロル「……」
カロル「」フワッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
全員「」ビクッ
531: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:25:47 ID:v7XI0TYKOw
バウンッ!
ズザザザザザザザッ!
司祭「ほ、ほっほっほ!!ほーっほっほ!!キタキタキタァァ!!」パァァ
マルク「わぅっ!?」ピョンッ
宣教師「樹が…見る見る内に若返って…!?」
ブワァッ! バッサァッ!!
母「か、勝手に枝分かれして葉がびっしり生えてきたわ…!?」パチクリ
アリアス「ど、どこまで成長するワケ…?頂が見えないじゃないのよ…!?」
ダガ「見上げるだけで首がいてぇ…」
アントリア「ハッハッハ!!アーッハッハッハッハ!!!」ゲラゲラ
ズオォォォォオオン
カロル「…良かった。元気になったんだね?大樹さま?」ニコッ
アントリア「素晴らしい…!素晴らしい…!素晴らしい!!」
司祭「か、叶う!ついに叶うんじゃな!」
532: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:27:04 ID:rVoFyN4TxM
宣教師「だ、大丈夫ですか?なんともありませんか?」ハラハラ
母「お腹痛くない!?熱は!?」ダキッ
カロル「あはは!平気だよ!これって別に疲れたりしないもの?」ギュッ
マルク「あんっ!」スリスリ
宣教師「よくやりましたね!キミならできると信じてましたよ!」
カロル「えへへ…そうかな?」テレテレ
司祭「わははは!見事と言う他ないわ!ようやったわい!」
ヒューン ポトッ
カロル「?」
母「なにか落ちてきたわ?」
宣教師「…果実のようですね。大樹から実ったのでしょうか?」
アントリア「ふっふっ…クックックックッ!」クツクツ
カロル「大きな実だね?みんなで分けて食べようよ!」
宣教師「それよりもまずは向こう側に移動しましょう。ホビット達が逃げられるように手助けしなくては!」
母「そうね!まだ終わった訳じゃないわ!」
マルク「はっ!はっ!」
アントリア「いや、君たちの役目は終わったよ」
カロル「へ?」
宣教師「」ビクッ
母「……?」
533: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:28:13 ID:v7XI0TYKOw
―――大樹―――
ウォオオオオオオオオ!!!!!
国王「あ……あ…あ」パクパク
大臣「は、ははひゃひゃぁ!?」ジョー
政務官「た、た、たい…たいじゅ…たい…」メダパニ
他国の役人3「よ…蘇ったゾォォオオオオ!!」ガタッ
ワアァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
国王「お…おぉぉおおお!!!」ガタッ
大臣「(あ、あまりの出来事に漏らしてしまった…)」ジワァ
政務官「た、たたた…たいじゅ」メダパニ
534: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:29:08 ID:v7XI0TYKOw
ワアァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
ヒメ「ッッッ!こ、今度は…なんだ!?」キーン
団長「」ポカーン
ヒメ「き、聞いてるのか!?この奇声と地響きはなんだ!?」
団長「お、面を上げなされ。とてつもない場面に遭遇しておりますぞ…」
ヒメ「え?なに?聞こえないぞ!?」キーン
妃「キャー!!!キャー!!!」パチパチ
団長「いいから見てみなされ!!」
ヒメ「な、なんなんだ…」チラッ
ヒメ「!?」ギョギョッ
ヒメ「な、なぜ…枯れていた樹が…!?」
団長「ワシにも分かりません!とにかく…大樹が蘇ったのです!!」
ヒメ「はぁ!?」
535: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:30:43 ID:v7XI0TYKOw
―――平原―――
ウオオオオオオオオ ウオオオオオオオオ
司教「み、見たか!?見たか!?」ユサユサ
教団員「み、見ましたとも!地鳴りの後に大樹が伸びて色づき、枝を通して葉がまんべんなく付きましたよ!?」ドキドキ
信者1「か、神だ!神の仕業だ!」
信者2「天より降りてこられたのだ!」
信者3「い、行こう!間近で拝まなければ!」ダッ
信者4「お、俺が先だ!」ダッ
信者1「あ、待て!狡いぞ!」ダッ
司教「あ、いや…み、皆さん!待ちなさい!私供はここで祈るようにと司祭様から……」アセアセ
信者2「どけ!」ドンッ
司教「おつっ!?」ドサッ
ダダダダダダダッ
司教「あぎっ!ぐふっ!まっ…わ、私を踏んでいくとはどういう…ぎゃっ!?」ドカッ ドスッ
教団員「ほ、他の…ぎっ!し、信者たちも…あつっ!行っちゃいますよ!?」ドンッ ドフッ
司教「ぼ、冒涜者共めぇー!!………がっ!?」ゴツンッ
司教「」バタンキュー
教団員「し、司教様ぁーーー!!!」
536: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:31:59 ID:rVoFyN4TxM
ダダダダダダダッ
ミシング「」タタタッ
ルーボイ「あのじーちゃん、なんか言ってなかった?」タタタッ
ナラ「わ、わかん…ない」タタタッ
ミシング「いい、いい!気にしないで行っちゃお!」タタタッ
ルーボイ「そうだな!おもしろそうだし!」ニカッ
ナラ「はぁっ…つ、つかれ…」クラッ
ルーボイ「がんばれよ!置いてっちゃうぞ!?」タタタッ
ミシング「うーん。私らだけ集団から外れて歩いちゃおっか?」タタタッ
ルーボイ「やだよ!俺は走れるもん!」タタタッ
ミシング「あー!女の子に合わせられない男はモテないぞ〜?」ニヤニヤ
ルーボイ「は、はぁ!?意味わかんねーし!?別にいいし!?」カァァ
ナラ「だ、だいじょ…ぶ。はしれるよ?」ニコッ
ルーボイ「」ドキンッ
ミシング「休みたくなったら言っていいからね?」タタタッ
ナラ「うん…」タタタッ
537: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:32:59 ID:v7XI0TYKOw
―――大樹(舞台)―――
ウォルター「おーおー?どうなるかと思ったがギリギリ助かったぜぇ〜」フイー
手下1「どうなってんすか?なんなんすか、あれ?」
手下2「客も相当盛り上がってますぜ?」
ウォルター「知るかよ。この勢いに乗じてドンドンいくぞ!」
手下1「うっす!おい、テントから次の持ってこい!」
手下2「おうともよ!」ダッ
ウォルター「お待たせしました!時間がかかりましたがお約束通り、見事大樹が蘇りましたよ!」
ウオオオオオオオオ
ウォルター「では続けてショーの方もお楽しみください!
まだまだホビットに罰を与えて神様にその血を捧いでやりましょうや!」
ワアァァァァアアアアアアアアアア
538: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/7(土) 23:33:30 ID:Q0OIY//CZQ
―――平原(荷車の仮置場)―――
ドカッ ドサッ ズシャアッ
カロル「わっ!」
母「いった…!なにするの!?」
ダガ「ふ…もうてめぇらの顔を見なくていいと思うとせいせいするぜ?」ガララッ
バンッバンッ
ダガ「バカが…壁を叩いたって誰も出しちゃくれねぇよ…。ククク!」クツクツ
手下3「すんませんね。わざわざ?」ヘコヘコ
ダガ「ふ……気にすんな。ちゃんと始末しとけよ?」
手下3「えぇ、えぇ、どうも!会長によろしくお伝えください!」ヘコヘコ
ダガ「あぁ…」スタスタ
手下3「…しっかしこんな時にあんな上物を寄越してくるなんて会長も抜け目ないなー」
バンッバンッ
手下3「うるせぇな…。中に薬撒いてあっから、しばらくしたら痺れて動けねぇよ!諦めちゃえよ!」
バンッバンッ
手下3「ちっ…うるせぇな」
539: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/7(土) 23:35:51 ID:cj4.h9Yvsk
ガシャンッ
カロル「こんなのってないよ!?約束は守ったじゃない!?」ムクッ
母「出しなさいよ!閉じ込めてどうする気なの!?」
シーン
母「なんとか言いなさいよ!変態ムキムキ男ー!」バンッバンッ
シーン
カロル「……」シュン
母「また…騙されたのね…!」ガクッ
ウウウ ウウウ〜
母「ひっ…な、なに?後ろで何かが蠢いてるわ?」ビクッ
カロル「ま、真っ暗でなにも見えないよ…?」ビクビク
「その声は…カロルくんかい?」
カロル「え?だ、誰?」クルッ
「僕だよ…。覚えてないかな?ほら、森で会った…?」
カロル「…ラムくん!?」ビクッ
母「まぁ…!?」
ラム「ひ、久しぶり…だね」ギチギチ
カロル「ラムくん!なんでこんなところにいるの!?」
ラム「ヘマトに捕まってね…。同族たちもいるよ?」
ウウウ ウウウ〜
母「…この呻き声は同族の?」
カロル「ヘマト…バザールって…アントリアさんが言ってたショーの…」
540: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/7(土) 23:39:29 ID:cj4.h9Yvsk
ラム「君こそどうしたのさ?教団の本部に友達を助けに行ったんじゃなかったの?」
カロル「そ、そうなんだけど…」モジモジ
ラム「…どうせ騙されて、ここに連れてこられたんだろ?だから言ったじゃないか?」ジト
カロル「う、うん…」シュン
ラム「同族の言うことも…少しは信用してよね…っ!」ズキン
母「ケガしてるの…!?」
ラム「だ、大丈夫ですよ…」
母「大丈夫な訳ないでしょ!人間に何をされたの!」
ラム「こんなの…これからされる事に比べたら…」
母「え…!まさか…あなたみたいな子供にまで!?」
ラム「関係ないんですよ。人間には僕らの命なんて…」
母「ゆ、許せないわ…!どこまですれば気が済むのよ…!?」ワナワナ
カロル「……」
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