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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


341: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:05:01 ID:hg1/.Xxc/A
カランカラン

シーン

ダガ「……誰もいねぇぞ?」

アリアス「カウンターの奥に扉がある…。入ってみましょう」

ガチャッ

小男「誰だ!?」

ダガ「ふ……いかにもそれっぽいのが出てきやがった?」

小男「てめぇら憲兵か!?」

ダガ「客が来たのに酒はどうした?」

小男「兄ぃ!」

大男「今日は店仕舞いだぜぃ?」

ダガ「でけぇな…」

アリアス「いけそう?」

ダガ「なめんじゃねぇよ…。チビとデカブツなんざ軽くノしてやらぁ…!」ムキムキ

大男「へへ!おいでなすったか!憲兵さんよぅ?」ニタニタ

ダガ「客だってんだ…。いいから一番高い酒を出せ…?」

大男「いいぜぃ?ご馳走してやるよぅ?
まずは身代金の話を肴にしようかぃ?」

ダガ「身代金?なんの話だ?」

大男「下っ端に言ったってしゃあねぇかぁ!もっと上の人間を呼んでくれよぅ?」

ダガ「ふ…俺に勝てたらいいぜ?」

大男「」ピキィッ
342: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:06:34 ID:iVakDA.HWg
ダガ「かかってこいよ…」クイッ

大男「…オレサマをなめんなぃ!?」ダッ

ダガ「ふ……」ニヤリ

大男「へっ!」ブンッ

ドガッ!

ダガ「……!」ググッ

大男「ひゅー!踏ん張りやがったかぁ?やるじゃねーの?うりゃっ!」ブンッ

ゴッ!

ダガ「……!」ググッ

大男「……!?」

ダガ「ふ…!」ブンッ

バキィッ!

大男「ぶべふっ!?」ビューン

ドンガラガッシャン!

小男「兄ぃ!?」

大男「ひ、ヒヨコが一羽…二羽…」ピューヒャラリラ

ダガ「ザコが…」タラー

アリアス「血が出てる?口切ったんじゃないの?」

ダガ「…ぺっ!」ビチャッ

小男「ち、ちくしょう!?」ダッ

アリアス「待ちなさい!」

ダガ「このやろう…!」ダッ
343: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:08:31 ID:hg1/.Xxc/A
バァンっ!

カロル「あっ」

ヒメ「ま、まずい!」

小男「おめぇら!!」バッ

カロル「ご、ごめんなさい!壁に穴を空けて逃げようって言ったのはボクなんです!」

ヒメ「ち、違う!オレが王族の立場から、この庶民に命令したんだ!こいつは言いなりになって…!」

小男「うるせぇ!」ガバッ

ヒメ「うわっ!?な、なにするんだ!離せ!?」

カロル「王子さまに乱暴しないで!悪いのはボクなんだ!」ガシッ

小男「いいからおとなしくしやがれ!くそっ!邪魔すんじゃねぇ、この!」ドンッ

カロル「あうっ!」ドサッ

ヒメ「カロル!」

ダダダッ

アリアス「追い詰めたわ!観念なさい!」

ダガ「ふ…酒好きにゃたまらねぇ匂いだな…」クンクン

小男「く、来るな!それ以上近付くと王子を殺すぞ!」スチャッ

ヒメ「……!」ゴクッ
344: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:10:04 ID:hg1/.Xxc/A
ダガ「王子?そんな奴は知らねぇなぁ…?」ニヤリ

アリアス「王国で一番えらい人の息子、それが王子よ?」

ダガ「バカにすんな!そんぐらい知ってらぁ!」

アリアス「バカにするなって方が無理よ?あなたバカでしょ?」

ダガ「ぶっ殺すぞ!?」

小男「じ、じゃれあってんじゃねぇよ!ホントにやっちまうぞ!?」ギラッ

ヒメ「くっ…」ググッ

カロル「憲兵さん!王子さまを助けて!?」

アリアス「…そこにいたのね?探す手間が省けたわ?」

ダガ「何度も何度もどっかしらに拐われやがって…?
てめぇが神官と散歩してる間、こちとらビゴパノチェスに何ヵ所噛まれたか…!」

カロル「……?」

アリアス「まだ分からないのね…」ファサッ

ダガ「ちっ!めんどくせぇ…!」ファサッ

カロル「あぁー!?」ビシッ

アリアス「指を差さないでくれる?」

小男「じゃれあうなってんだろが!刺すぞ!王子を刺しちまうぞ!?」イライラ
345: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:11:46 ID:hg1/.Xxc/A
ヒメ「…カロル!お前の知り合いか!?」

カロル「うん!ボクとお母さまがお世話になってるの!」

小男「勝手に喋るんじゃねぇ!このぉ!」グワシッ

ヒメ「うぐっ…」ビタンッ

カロル「あっ!ちょっと……!」スクッ

ダガ「おい、なにしてんだ?早く来いよ?」

カロル「へ?」

アリアス「教会に帰るわよ?」

カロル「待って…王子さまはどうするの…?」

ダガ「知ったこっちゃねぇな…?」ニヤリ

アリアス「もう少ししたら本物の憲兵が駆けつけてくれるでしょ」

小男「お、おめぇら憲兵じゃねぇのか?王子を取り返しに来たんじゃ…?」

アリアス「いいえ?」キッパリ

ダガ「用があんのはそのホビットだ」ズカズカ

小男「う、動くな!」ギランッ

アリアス「王子様なら刺しちゃって構わないわよ?私達には関係ないのだし?」

小男「はぁ!?」

ヒメ「……!」

ダガ「おら…行くぞ?」ガバッ

カロル「や、やだ…!王子さまも…!」ジタバタ

ダガ「先に出てるぞ?ちっ!肩の上で暴れんな!落っこちちまったらどうすんだ!?」スタスタ

カロル「離し…て!王子さまが一緒じゃなきゃ…やだ!?」ジタバタ

アリアス「さよなら?あなたは置いてくけど…死んでも恨まないでね?」ニコリ

ヒメ「……」
346: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:13:32 ID:iVakDA.HWg
小男「このアマぁ!生きて出られると思ってんのか!」チャッ

アリアス「まだなにか用?」

小男「こんだけ派手に暴れられて、そのまま帰せるかってんだ!?」

アリアス「ダガがいなくなった途端に強気だこと?私も見くびられたものね?」

小男「てめぇだけでもぶっ殺しておかねぇと俺ら兄弟のメンツが立たねぇんだよ!?」

アリアス「…自分の立場を考えて物を言いなさい?
あなた、どのみち憲兵に取り押さえられて終わりなのよ?」

小男「う、うるせぇ!トンズラこいてやらぁ!今ならまだ……」

アリアス「頭が悪いわね…。だからこんな無茶も出来たんでしょうけれど?」

小男「あぁん!?」

アリアス「すでに憲兵団の包囲網が敷かれて完全に封鎖されてしまったわよ?
いくらバックヤードが広いと言っても身を隠せる場所は限られてるのじゃない?」

小男「う…!」タジタジ

アリアス「もう逃げ場なんてないのだし自首したら?まぁ死罪は免れないでしょうけど?」

小男「ど、どうすりゃいいんだよ…!」

アリアス「さぁ?自分で考えて?」クスッ

小男「ひぃぃぃぃ……!」ガタガタ

ヒメ「ふっ…ハッハッハッハ!」ケタケタ

小男「ひぃっ!?」ビクッ

ヒメ「どうする?僕を道連れにあの世に行くか、このまま憲兵が来るのを待つか…選んでいいぞ?」ニヤリ

小男「あぁぁぁあああっ!!!」ガスッ

ヒメ「ぐあっ!!」バンッ

小男「うる…うるうるせぇ!?大人をなめんじゃねぇぞぉ!?」ガスッ ガスッ

ヒメ「あっ!ぐっ!っぁ…!」バンッ バンッ

アリアス「……早くしないと30分経ってしまうわね。急ぎましょ」スタスタ
347: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:46:04 ID:YfxFmfmEbs
―――バックヤード(酒場の前)―――

ダガ「なんだ、てめぇは!?あいつらの仲間か!?」

ウォルター「てめぇこそなんだぁ?顔面クソまみれが!?」ヘラヘラ

ダガ「く、く、クソまみれ…!?俺の顔面のどこにクソがまみれてんだぁ!?」ピクッピクッ

カロル「ひょっとして…ウォルターさん?」パチクリ

ダガ「ガキ!こいつを知ってんのか!?」

カロル「宣教師さまとボクを助けてくれた人間だから…悪い人じゃない、かも?」マゴマゴ

ウォルター「よう!またやらかしたってなぁ?しょうがねぇから来てやったぜ?」

ダガ「あぁ…?よくわかんねぇが敵じゃねぇのか?」

ウォルター「なんでもいいけどよ?とりあえずそのホビット寄越せ?」

ダガ「ふざけんじゃねぇ!なんで後から来たてめぇに渡さなきゃならねぇんだ!?」

ウォルター「力づくでもいいんだぜぇ?」ニヤリ

ダガ「上等だ!肩から降りろ、ガキ!」

カロル「お、降ろしてくれなきゃ降りれない…ですよ?」ビクビク

ダガ「ちっ…!じゃあ降ろしてやる!」スッ

カロル「は、はい…」ストッ

ウォルター「ぎゃはははは!こりゃとんだバカチンだなぁ!?」ゲラゲラ

ダガ「じゃかあしゃあ!?」ブチィッ
348: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:49:47 ID:xLaDjm5IU.
ダガ「メッタメタのギッタンギッタンにぶちのめしてやんよ…!」ズイッ

ウォルター「やれるもんならなぁ?」ニヤニヤ

カロル「や、やめなよ!二人とも!今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!?」アタフタ

ダガ「邪魔だ!どきやがれ、ドブネズミが!」ドンッ

カロル「きゃっ」ドサッ

ウォルター「ハッハー!死にたくなきゃ離れてな!」

ガチャッ

アリアス「!?」

カロル「アリアスさん!なんとかして!二人とも聞いてくれないんだよ!」スクッ

ダガ「あぁ?今頃出てきやがったのか?おせーんだよ!」

ウォルター「おーおー?お仲間かぁ?まとめてかわいがってやんねぇとなぁ?」

アリアス「…どなたか知らないけれど後にしてくれる?今、それどころじゃないのよ?」

ダガ「てめぇはガキを持って帰れや?俺はこいつをやってから行くからよ…!」

アリアス「冷静になりなさい!」

ダガ「俺は冷静だ!だからこいつをぶっ殺すんだろうが!?」

カロル「(言ってる事がめちゃくちゃだよ…!)」ハラハラ
349: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:51:33 ID:YfxFmfmEbs
アリアス「こうしてる間にも憲兵が調べを終えて向かってきてるかもしれないのよ!?」

ウォルター「ひえー。そら恐ろしいな?んじゃ憲兵が来る前にカタを付けるか!」

アリアス「あなたの目的はなに?金銭目当てなら応じてもいいけれど…?」

ウォルター「いらねぇよ?俺の目的はそのホビットだ!」ビシッ

カロル「もういいってば…!ボクは平気だから!」

アリアス「…どういう事?あなた達、顔見知りなの…?」

ダガ「くっちゃべっててもラチがあかねぇよ!おらぁっ!」ダッ ブンッ

ウォルター「うおいっ!?危ねぇだろうが!?」サッ

ダガ「よけんじゃねぇよ…!」イラッ

ウォルター「てめぇがトロいのがわりーんだろが?」

ダガ「殺す…!」ブチブチィッ

アリアス「はぁー…。面倒だけれどやるしかなさそう…」

カロル「あ、アリアスさんまでなに言ってるの!?」ギョギョッ
350: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:53:00 ID:YfxFmfmEbs
ウォルター「2対1…か!ククク!」

ダガ「勘違いすんじゃねぇよ…?てめぇの相手は俺だ?」コキッコキッ

アリアス「用心して…。こいつ、多分そこそこ強いわよ?」ジリジリ

カロル「ダメったら!そんな事より戻って王子さまを助けようよ!」アセアセ

ウォルター「中にあのワガママ王子もいるのか?」

カロル「そうだよ!公園で遊んでたら無理やり連れてこられたんだ!」

ウォルター「そいつは災難だったなぁ?」

カロル「あ、そうだ?ボクなんかいいからウォルターさんは王子さまを助けてよ!
それならケンカしなくていいでしょ?」

ウォルター「やなこった?そんなん自業自得だ?」

カロル「どうして!王子さまがケガしたら大変じゃない!」ムッ

ウォルター「お前もこうなってみて分かんねぇか?
あそこまでの身分になると関わっただけでこっちが面倒を背負い込まなきゃならねぇんだよ?
その証拠にお前は巻き添え喰って拐われたんだろうが?」

カロル「……!」

ウォルター「んでもって拐われたお前を取り返す為にまた俺が呼び出し受けてんだぜ?
これ以上、めんどくせぇ事に巻き込むんじゃねぇよ?」

カロル「そ、それはごめんなさい…。
でも少しだけどウォルターさんもお話したでしょ?
その王子さまがすごく怖い目に遭ってて…なんとも思わないの?」

ウォルター「お話?いやいや、とんでもない?愚民Bの俺が王子様と会話なんて〜?もう畏れ多くてたまりませんよぉ〜?」ニヤニヤ

カロル「うぅ〜…!い、いじわるっ!」プンスカ

ウォルター「ぎゃはははは!わるぅござんした〜!
あんなクソガキがどうなろうが痛くも痒くもねぇわなぁ〜?」ヘラヘラ
351: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:57:01 ID:YfxFmfmEbs
ダガ「おらっ!!」ブンッ

ウォルター「っとと!まぁた不意討ちか?」サッ

ダガ「ふ……ダラダラ喋ってんのがわりー?」ニヤァ

カロル「ちょっ…」

アリアス「」ダッ

ウォルター「はっ?近付かせねぇよ!」ビュンッ

アリアス「くっ!」ゴロンッ

ザクッ

ウォルター「外したか…。いい反射してんなぁ?」チャキッ

アリアス「どこに隠し持ってたのか知らないけれど…女性に刃物を向けるのはどうなの?」

ウォルター「無理すんなよ、おばちゃん?ケガするぜ?」

アリアス「おば……!?」

ダガ「背中がガラ空きだぜ!」ブォンッ ドゴッ

ウォルター「…ぐおっ!」ズダンッ

ダガ「それ、もう一発…!」ブンッ

ウォルター「てぇな…!ほっ!」バウンッ グルッ

バキィッ

ダガ「ごふっ!?」ドターン

ウォルター「ククク!後ろ回しが綺麗に決まったな?こりゃ今日の運勢は花丸だ?」

カロル「」ボーゼン

カロル「」ハッ

カロル「あぁ…どうしよう!だ、誰か!誰か止めて!?」オロオロ

アリアス「…任せなさい。止めてあげるから」スクッ

カロル「アリアスさん!」パァァ

アリアス「私がおばさん?ありえない…!息の根を止めてあげなきゃ…!?」ピクッピクッ

カロル「アリアス…さん?」ゾクッ
352: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 21:58:59 ID:xLaDjm5IU.
カロル「落ち着いて!もっとひどくなっちゃうったらぁ!」ズリズリ

アリアス「邪魔!邪魔!邪魔ぁ!離さないとあんたも殺すわよ…!」ズイズイ

カロル「おねがいだから…あれ?待って!誰か来るよ!?」ギョッ

アリアス「殺してやる…!」ズイズイ

カロル「ぜんぜん聞いてない!?」ガーン

ダガ「ふんっ!ちょこまかとうざってぇ…!」ビシッバシッ

ウォルター「当ててみろ、ウスノロがぁ!…あーらよっとぉ!」ガッガッ

カロル「あっちも気付いてない!?」ガガーン

ゾロゾロ ゾロゾロ

団長「ついに突き止めたぞ!鼠賊共め…!」スタスタ

憲兵4「向こうに誰かいるぞ!?」スタスタ

憲兵3「先回りしてた二人かもしれないな!」スタスタ

憲兵5「団長!どうやら交戦中のようです!」スタスタ

団長「急げ!加勢するぞ!」ダッ

憲兵's「はっ!」ダダッ
353: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 22:01:01 ID:YfxFmfmEbs
ダダダダダッ

カロル「来ちゃうよ!ねぇ?来ちゃうってば!?」アタフタ

アリアス「殺……え?」ピタッ

ウォルター「ちっ…やめやめ!やめだ!」サッ

ダガ「あぁ?」ギロッ

ウォルター「邪魔が入った!わりーが俺はズラかるぜ!」ダッ

ダガ「待ちやがれ!?」

団長「何をしてる!取り逃すな!」タタタッ

ダガ「はぁ?げげげっ!?」ビクッ

アリアス「ダガ!逃げるわよ!」ダッ

ダガ「お、おうっ!」ダッ

カロル「だから言ったのに…ぜんぜん聞いてくれないんだもの」ポツンッ

団長「!」

憲兵3「どういうことだ!あの二人も逃げたぞ!?」

団長「…犯人を追った訳ではなさそうだ!奴らも捕らえろ!」

憲兵3「ち、ちくしょう!偽物だったのか…!」ダッ
354: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/20(木) 22:06:10 ID:YfxFmfmEbs
憲兵4「子供がいます!拐われた一人かもしれません!」

団長「王子じゃないな…。保護して話を聞くぞ!」

カロル「団長さん!」タタタッ

団長「ワシを知って…お、お前は先日の!?」

憲兵4「ん?この子の眼…なんかおかしくないか?」

憲兵5「どれどれ?」

カロル「早く!王子さまが中にいるよ!ボクらを連れてきた人間も!」

団長「なにぃ!?」

憲兵5「なっ…!」

憲兵4「やっぱりホビットだ!?」

団長「今はどうでもいい!中に突入するぞ!?」

憲兵4「で、ですが!」

団長「ホビットに構う暇はない!王子の安否が先だ!」

憲兵5「団長!奴らはどうします!?」

団長「封鎖してある以上、どうせ裏通りからは出られん!
王子の身柄を最優先に考えろ!他は些末な問題だ!」

憲兵's「ははっ!」
355: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:01:04 ID:VTUPJwu2H6
―――バックヤード(裏通りの酒場)―――

バァンッ!

ダダダダダダッ

カロル「」タタタッ

団長「王子…!」ドタドタ

憲兵's「」ズカズカ

大男「」ピューヒャラリラ

団長「こいつは!?」

カロル「ボクたちを連れてきた人間!もう一人仲間がいて王子さまを閉じ込めてるの!」

憲兵4「こいつは我々にお任せください!縄をかけておきます!」ガッ

憲兵5「左様!団長は奥へ!」ガッ

団長「すまん!頼む!」ドタドタ

カロル「……こっちだよ!」タタタッ

大男「……ぅうん?」パチッ

憲兵4「神妙にしろ!」スラッ

憲兵5「暴れるなよ!?」シュルッ

大男「うへぇっ!?」ビクッ
356: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:04:27 ID:b3J50V5QKY
カロル「王子さま!助けに来たよ!」ガチャッ

団長「ご無事ですか!?」ダンッ

ヒメ「」グッタリ

カロル「えっ」

団長「あ、あ、あぁぁあぁぁあ!?」ガクンッ

小男「は、ははは…俺じゃないもんね…。こいつが勝手に……」ヘナヘナ

カロル「血…血が…いっぱい…?どうして…?」ワナワナ

団長「キサマぁぁぁああ!?このお方に何をしたぁぁぁあ!?」ダッ ガシッ

小男「し、しらねー…こいつが自分でやったんだ…。どっから出したかわかんねぇけど…」ユサユサ

団長「なんだとぉぉおぉぉ…!」ギリッ

カロル「…王子さまの剣だ…」スッ

ヒメ「」ダラーン

団長「そのお方に気安く触れるな!?」ポイッ

小男「ひいっ!?」ドサッ

カロル「教えて……なんでこんなことしたの?」ギュッ

ヒメ「」フワッ

団長「触れるなと言ってるんだ!貴様のようなホビットが…!」

ヒメ「うるさい」ムクッ

団長「えっ」

小男「えっ」

カロル「よかった…。間に合ってくれて」ニコッ

ヒメ「あー痛かった。二度と腹なんか切るもんか」スクッ

団長「あ、あの…?」

小男「マジ?マジ?」
357: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:08:17 ID:b3J50V5QKY
ヒメ「浅く刺すつもりが焦って手元が狂ってさ?」

カロル「自分で自分を傷付けるのはよくないよ?」

ヒメ「…命を救われたな。感謝するぞ。褒美に握手してやろう!」パッ

カロル「どういたしまして!」ギュッ

団長「も、もしや貴様が王子のケガを治したのか…?」

カロル「……」

団長「一体どうやって…そ、そうか!癒しの力だな!?」

カロル「そ、それは…」アタフタ

ヒメ「バーカ!」

団長「は?」

ヒメ「冗談に決まってるだろ?そいつの手から離れる為に死んだふりをしてただけだ?」

団長「では…血は?大量に……」

ヒメ「偽物だ。こんな事もあろうかと鶏の血を懐に忍ばせておいたのさ!すごいだろ!?」

団長「さ、さすが…何時なんどきも万全を期しておられるとは感服致しましてございます!ヒメ様!」パチパチ

ヒメ「その名で呼ぶな!紛らわしいから!」

小男「嘘つけぇ!?俺は見てたんだぞ!おめぇがナイフを取り出して腹かっさばいたのを!?」

ヒメ「名演技だったろ?オレが舞台に立つ日も近いな!」エッヘン

小男「んなアホな…!?」

カロル「ホント。名演技だよね?」クスッ

ヒメ「…まーな!」

団長「え?」

ヒメ「団長!ボーッとしてないでそいつを捕まえろ!部屋から出ようとしてるぞ!」ビシッ

団長「」ハッ

小男「ひぃぃ!」ダッ

団長「ま、待てぃ!!」ダッ

バタンッ
358: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:09:58 ID:VTUPJwu2H6
ヒメ「…行ったか」

カロル「遅くなってごめんね?」

ヒメ「ホントだよ!なにしてたんだか?」ジトー

カロル「そ、それは……えーと?」アセアセ

ヒメ「おかげでこっちは死にかけた!」プンスカ

カロル「あ、やっぱり…?」

ヒメ「何がやっぱりだ?気付いてたクセに?」

カロル「えへへ?」テレテレ

ヒメ「さっきのあれ、癒しの力なのか?」

カロル「知ってるの?」

ヒメ「教えを聞き流しててもそれぐらい知ってるさ?常識だろ?」

カロル「常識なんだ…」

ヒメ「ホントにあるんだな。びっくりしたよ?」

カロル「ボクにしか出来ないんだって?アントリア神官が言ってた!」

ヒメ「ホビットは全員、使えるんじゃないのか?」

カロル「ううん、ボクだけなの。なんでかは分かんないけど」

ヒメ「…ふーん?おまえだけが?」ジロジロ

カロル「?」キョトン

ヒメ「そんな特別には見えないぞー?へなちょこだし?」

カロル「そこまでハッキリ言わなくたって…」ヒクヒク
359: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:11:17 ID:b3J50V5QKY
ヒメ「ずーっと言いそびれてたけど」

カロル「うん、なに?」

ヒメ「…一回しか言わないからよく聞け!」ジーッ

カロル「……?」

ヒメ「すっごくありがたい言葉だぞ!この重みは金貨を積み上げて宝飾品を散りばめても敵わないからな!」

カロル「そんなに?期待していい?」ニコッ

ヒメ「…そう言われると、少し困る?」モジモジ

カロル「いいよ、言ってみて!すっごく期待してるから!」ニコニコ

ヒメ「むっ!う、うるさい!やっぱりなしだ!」プイッ

カロル「えー?気になるよ?」クスクス

ヒメ「…ホントは大したことじゃない。恥ずかしいし…」マゴマゴ

カロル「ホントは聞いてほしかったりして?」

ヒメ「…おまえってホントめんどくさいヤツだな!?」ムキー

カロル「ボクじゃないでしょ?王子さまが素直じゃないんだもの?」キョトン

ヒメ「な、なんだとぉ…!」ギリギリ
360: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/23(日) 21:13:05 ID:b3J50V5QKY
ヒメ「…巻き込んで悪かったな!」ムスッ

カロル「気にしてないよ?それより無事でよかったね!」ニコッ

ヒメ「ふん!」

カロル「それで言いたい事ってなーに?」

ヒメ「」スッテンコロリン

カロル「大丈夫!?まだ痛むの!?」ビクッ

ヒメ「…だから!今言っただろ!?」スクッ

カロル「?」

ヒメ「巻き込んで悪かったな!それだけだ!!」

カロル「えー?あんなにもったいぶったのに!?」

ヒメ「王族が頭を下げてやったんだぞ!?それ以上の何を期待してたんだ!?」

カロル「うーんと…世界の半分をくれるとか?」

ヒメ「やれるかぁ!?だいたい世界の半分もらってどうするんだよ!?」

カロル「お母さまがお家欲しがってたから」

ヒメ「家なら別に世界の半分じゃなくてもいいだろ!?」

カロル「おっきい方がお得じゃない?」

ヒメ「大きすぎるだろ!?もらっても逆に困るだろ!?」
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名前:
sage:


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