前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
321: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/12(水) 21:58:28 ID:3iR/3Imybo
大男「なんだぃ!うるせぇなぁ!こちとらどうやって交渉しようか頭ひねってんのによぅ!」ズシンズシン
小男「バッキャロー!兄ぃのバッキャロー!こいつはとんでもねぇんだぜ!」
大男「アニキに向かってバッキャローたぁなんだぃ!?殺されてぇのか!?」ゴツンッ
小男「あだっ!いてて!ちげーよ、兄ぃ!とにかくこいつを見てくれよ!」ヒリヒリ
大男「……?」チラッ
カロル「……」
大男「……異人かぁ?眼の色、変だぞぅ?」
小男「バッキャロー!兄ぃのバッキャロー!そりゃ異人じゃねぇよ!ホビットだ!」ギャーギャー
大男「バッキャロー言うなぃ!つかホビット?マジかよ、マジかよ?オレサマ初めて見るぜ!?」
小男「まちがいねぇよ!おらぁ見たことあんだ!薬売りんとこで粉モノ買いに来る貴族が連れて歩いてんの!
噂通り黄色い瞳で真っ白な肌でチビなんだよ!見てみ!まんまじゃねぇか!?」
大男「」ジロジロ
カロル「」ドキドキ
小男「な!?な!?こりゃめでてぇや!売り飛ばしゃ金貨になるぜ!?」
大男「おめぇよぅ?」
カロル「は、はい!」ピシッ
大男「オス?メス?どっちだぃ?」
カロル「……?」キョトン
大男「どっちか聞いてんだ!?さっさと答えねぇとひん剥いて確かめっぞ!?」
カロル「ひっ!お、男…です…」ビクビク
大男「ハズレじゃねぇか!?メスなら高く売れんのによぅ!?」
小男「いいじゃんか!それでもまともなホビットなら十分、金になるぜ!?」
大男「あぁちくしょっ!どうせならメスだったらよかったのによぅ…!」
小男「そうだ!名案思い付いたぜ!こいつのチンコを切り取っちまえばいいんだ!」
カロル「えっ」
ヒメ「は……!?」ゾワァッ
322: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/12(水) 22:00:41 ID:63GrbQ9zKk
大男「いいねぃ!バッサリいっちまうかぁ?」
小男「待ってろよ!でっけぇハサミ買ってくるぜ!?」ダッ
カロル「ちょ…ちょっと…」アセアセ
大男「薬売りから痛み無くす薬も買ってこいよぅ!」
小男「おうともよ!任せときなって!」バタンッ
カロル「……うそ?」ポカーン
ヒメ「(どうしよう。自分はやられないって分かってても震えが止まらない…)」ブルブル
大男「なぁ?おかあちゃんいたよなぁ?あれもホビットけ?」
カロル「……!」
大男「へへへ…おかあちゃんだからメスだよなぁ?」
カロル「!」ブンブン
大男「ぶわぁ〜か!首振ったって分かるもんねーだ!」ベロベロバー
カロル「ほ、ホントに違うの!ボク、教会に拾われたんです!」
大男「嘘付いたってダメダメ〜!」ニタニタ
カロル「アントリア神官とお母さ…シスター・マリーが親代わりなんです!みんな人間で…!」アセアセ
大男「本当にぃ…?なんでホビットが教会に拾われんだよぅ?」ジトー
カロル「え、えっと…ボクが金貨200枚で売れて…でも捨てられちゃったんです!」アタフタ
大男「金貨200枚ぃぃぃぃいいい!!?」ギョギョッ
323: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/12(水) 22:02:50 ID:63GrbQ9zKk
大男「お、おいおい…オレサマをおちょくろうったってそうはいかねぇよぅ?」タジタジ
カロル「ホントです!」パシッ
大男「ひぃっ!手なんか握んじゃねぇ!」ビクッ
カロル「シスター・マリーはホビットなんかじゃないんです!」ギュッ
大男「う……」ムラッ
カロル「信じてよ…!おねがい…!」ジーッ
大男「うぉい!やめろぃ!なんか危ねぇ扉開けそうじゃねぇか!?」バッ
カロル「危ない扉?」キョトン
大男「ちぃっ!このオレサマが男にムッシュムラムラするたぁな…!これが金貨200枚の威力かぃ…!」ダラダラ
カロル「信じてくれるの!?」パァァ
大男「悔しいがよぅ…!たしかにおめぇ200枚貰えるツラしてやがる!」
カロル「ボクはおじさま達の好きにしていいから!
みんなには何もしないでね!約束だよ!?」
大男「うぅ…いちいち思わせ振りなこと言うなぃ!?
オレサマはそっちにはいかねぇかんな!?オレは女が好きなんだ!?」
カロル「? さっきから何言ってるの?」
ヒメ「(醜い葛藤だな…)」
324: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/12(水) 22:04:41 ID:63GrbQ9zKk
バァンッ!
小男「たっだいまー!たった今ー!でっけぇハサミ買ってきたぜー!」ウキウキ
カロル「」ビクッ
小男「路地に薬売りがいなかったから痛み止め買ってねぇけど我慢すんだぞぉ!?」シャキンッ
カロル「ま、待って…!なにする気なの?」ブルブル
小男「なにってお前のをぶった切るんだよぉ!メスの方が高いからなぁ!」
カロル「やだ…!どうやっておしっこしたらいいのさ!?」ズザァッ
小男「うるせ!おとなしく……」ジャキッ
大男「やめねぇか!」
小男「え?」
大男「傷モンにしたら値が下がるだろうがぃ!?」
小男「あ、そっか!兄ぃは頭がいいんだなぁ!?」
カロル「」ホッ
ヒメ「」ホッ
325: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/12(水) 22:19:46 ID:63GrbQ9zKk
大男「へへへ!王子さまとホビットかぁ?こりゃ一生遊んで暮らせるぜぃ!」
小男「てめぇら絶対逃げんじゃねぇぞ!?
なんかあったら酒樽にぶちこんでアル中にしてやっからなぁ!?」
バタンッ!
カロル「…はあっ!た、助かったね?」
ヒメ「…そうだな」
カロル「あ、えと…ごめん」
ヒメ「なにが?」
カロル「隠すつもりじゃなかったんだ…」
ヒメ「だからなにが?」
カロル「ボクがホビット…っていうこと」
ヒメ「…そんな話は後にしろ。こんな汚い場所にいつまでもいたくないんだ」
カロル「イヤじゃないの?」
ヒメ「…習い事の中に教団の教えも入ってるけど聞き流してるよ。だからホビットがどうとかは知らない」
カロル「…そう」
ヒメ「おまえは僕と一緒にアイスキャンディーを食べた仲だしな?
城だとアレの美味しさが分かるヤツはいないし、そういう意味で言えばおまえは特別だ」
カロル「え?あんなにおいしいのにみんな食べないの?」
ヒメ「僕の周りのヤツは見栄えが良くて高そうに見えればなんでもいいのさ?」
カロル「ふーん…もったいないね?」
ヒメ「…僕は味の分からない上流階級の人間より味の分かるホビットの方が好きだぞ?」ニコッ
カロル「……!」パァァ
326: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:08:59 ID:qNUcx.7liA
―――城下町(教会)―――
母「お願いします!坊や達を拐った人間を一緒に探してもらえませんか!?」
ダガ「ちっ!なんで俺たちが行かなきゃならねぇんだよ…?めんどくせぇ…!」イライラ
母「そこをなんとか…!あんな凶暴そうな人間に拐われて…何をされるか…!うぅ…!」シクシク
アリアス「もちろんご協力させていただくわ?
城下に住まう教団員の助勢も仰いで全力でお子様の救出に臨みます」
ダガ「はぁ?なぁに言ってんだ?くだら……」
アリアス「ダガ。あなたは司祭様を探しなさい?不審な男が出歩く城下で一人にしておく訳にはいかない」
ダガ「…分かった。司祭様の為だってんならしょうがねぇな」
母「あたしにも何か手伝わせてください!
もう不安でたまらなくて…いてもたってもいられないんです!」
アリアス「必要ないわ?おとなしく待っててくだされば十分?」ニコッ
母「そんな…!こんな状況でおとなしくなんてしてられません!」
アリアス「…自覚してくださる?
ホビットのあなたに事情を知らない人間の前をうろつかれると迷惑なんですよ?」
母「…け、けど」
アリアス「お気持ちだけ頂くわ?後は私共に委ねて…勝手な動きをしないよう心掛けてください?」
母「分かり…ました」シュン
アリアス「ダガ!行くわよ!」スタスタ
ダガ「ふ……」スタスタ
327: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:10:49 ID:qNUcx.7liA
〜〜〜夜〜〜〜
―――教会(客室1)―――
母「まだかしら…」ズーン
マルク「クゥン…」
シスター「大変なことになっちゃいましたね…」
母「……」フルフル
シスター「気をたしかに持って…きっと大丈夫!」サスサス
母「そ、そうね…。教団の皆さんも手を尽くしてくださってますものね…」
シスター「お子さんがケガ無く帰ってこられるように祈りましょう!お母さんも手を重ねて!」
母「は、はい…。マルク?」
マルク「わんっ!」シュバッ
母「いい子ねぇ…」ナデナデ
シスター「あの…できたら自分の手で…」アセアセ
母「…この子も坊やを心配してますの。ね?」
マルク「…あぅん」ションボリ
シスター「そ、そうですよね!祈りは多い方がいいですよね!」
母「えぇ…」ナデナデ
マルク「……」
328: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:12:52 ID:qNUcx.7liA
―――城下町(広場)―――
憲兵1「…以上が聞き込み調査で得た証言になります!」
憲兵2「現場の証言から分かった特徴は単独による犯行で犯人はかなり大柄な男…。
子供二人を脇に抱えて逃げていった事から衝動的で無計画な…要約すると馬鹿の仕業ですね」
団長「そうか…。なら証言を元に犯人が通ったと思われる箇所に探りを入れろ!
目撃証言を手掛かりに行き先を辿れば居場所も掴める筈だ!」
憲兵3「団長!大通りでの聞き込みを終えました!」タタタッ
団長「ご苦労さん。なにか分かったか?」
憲兵3「はっ!犯人とおぼしき大男が裏通りに入っていくのを見掛けたと!」
団長「…バックヤードか。あそこは管轄の部署が通行証を目印に見張りを立てておるだろ?」
憲兵3「それが…王子の捜索に駆り出されていて見張りが不在だったと…」
団長「ぅ…采配を誤ったか!迂闊だったな…!」ギリッ
憲兵1「王子もとんでもない時に抜け出してくれましたなぁ…」
憲兵2「強盗の件も片付いてませんしねぇ?」
憲兵3「こうも重なると…人員をどう回すかによるだろうなぁ」
団長「…王子は絶対に見つけなければならん。かといって拐われた子供らも疎かには出来ん!」
憲兵1「しかし子供らの身元が判明してないんですよ?」
憲兵2「一人は修道服を着てたみたいですから教団の関係者でしょうね?
もう一人はまだ分かってませんけど…」
憲兵3「なら教会にも……」
憲兵4「団長ー!」ダダダッ
団長「…?」
329: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:16:24 ID:KiY5PTKIcc
憲兵4「現場周辺の住民に確認してみたところ有力な情報を…手に入れました!」ハァハァ
団長「よし、言ってみろ!」
憲兵4「は、はい!拐われた子供と一緒にいた子達が話してくれたのですが!
なんでも片方は王子を自称していたそうです!」
団長「なに!?」ピクッ
憲兵1「それが事実だとすれば…拐われたのは王子ってことになるぞ!?」
憲兵2「な、なん…ど、ど、どうします?」アタフタ
憲兵3「ま、まだ分からん!騙っていた可能性もある!」
団長「…全団員に報せろ!バックヤードを封鎖する!一切の出入りを許すな!」
憲兵3「ふ、封鎖するんですか!?まだ拐われたのが王子だと決まった訳じゃ…!」
団長「責任はワシが持つ!本部に残った団員も全て動かせ!」
憲兵1「し、しかしですよ、団長!」アセアセ
団長「王子の安全が最優先だ!!」
憲兵's「…っ!」ゴクッ
団長「以上!」
憲兵's「ははっ!」ピシッ
330: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:18:42 ID:KiY5PTKIcc
―――城下町(市場)―――
ザワザワ ザワザワ
司祭「騒がしいのう…。何があったというんじゃ?」
ダガ「司祭様!」ダッ
司祭「む?なんじゃ、お前か?」
ダガ「さ、探しました…!」
司祭「…なんぞあったか?」
ダガ「ま、またガキが拐われました!ホビットのガキです!」
司祭「はぁ!?またか!?」
ダガ「はっ!」
司祭「アントリアはどうした!?」
ダガ「さ、さぁ…どこにいるのか?」
司祭「ふむ…」
ダガ「と、とにかく教会に…!」
司祭「たわけがっ!」ガツンッ
ダガ「ぐおっ!?」
司祭「わしらも探すに決まっておろうが!?行くぞ!?」
ダガ「は、はっ!」
アントリア「残念だが探すのは無理だよ」スタスタ
司祭「アントリア!」
ダガ「し、神官!」
331: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:20:35 ID:qNUcx.7liA
司祭「貴様が付いていながら何をしとるんじゃ!」
アントリア「君にだけは言われたくないな…。同じ轍を踏んだろうに?」
司祭「犯人は!?どこに逃げた!?小僧は無事なんじゃろうな!?」
アントリア「一度に聞かれても困るんだが」
司祭「探すのは無理だと言ったな!説明せい!?」
アントリア「向こうへ行けば分かるさ?」
司祭「なんじゃと!?」
アントリア「説明するより見た方が早い」スタスタ
司祭「ぬぅ…!ダガ!貴様も付いてこい!」スタスタ
ダガ「はっ!」スタスタ
332: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:26:55 ID:qNUcx.7liA
―――城下町(大通り)―――
ワイワイガヤガヤ
司祭「おっと…すまんが道を空けてくれんか?」グイッグイッ
ダガ「すげぇ人だかりだな…」ギュウギュウ
アントリア「なんとか最前列まで来れたね…。見てごらん?」
司祭「む…?」
憲兵1「これより一切の立ち入りを禁ずる!」
憲兵2「はいはい!立ち止まらない!皆さんは速やかにお帰りください!今夜は外を出歩いちゃいけませんよ?」
司祭「な、なんじゃ、こりゃ…?」
アントリア「裏通りと表通りを繋ぐ道を憲兵に塞がれて入れないのだよ」
司祭「通行証を見せてもか?」
アントリア「交渉してみたが無理だったよ」
司祭「ふむ…」
アントリア「見ての通りだよ。
犯人はバックヤードに逃げたらしいんだが…これでは入りようがない」
ダガ「ふ……分かりました。俺が憲兵をぶっ飛ばして道を開けてきます…」ズイッ
司祭「バッカモォォォン!!!!」
ダガ「」ビクッ
司祭「愚図が!貴様は黙っとれ!」
ダガ「す、すいません…」
333: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:29:24 ID:KiY5PTKIcc
司祭「犯人はバックヤードにいると言ったな!小僧もか!?」
アントリア「あぁ。王子と一緒にいるよ」
司祭「王子?」
アントリア「どういう訳か僕らのいた公園に現れてね。王子に巻き込まれた形で癒しの力も拐われたのだよ」
司祭「…厄介事ばかり呼び込むのう。あの小僧は!」
アントリア「僕の教え子だった憲兵に言伝てを頼んでおいた。後は知り合いが動いてくれるのを待とう」
司祭「…大臣の屋敷を襲撃した男か?」
アントリア「あぁ。腕の立つ男だ。きっと今回もなんとかしてくれるさ」
司祭「一体何者じゃ?わしも知っとる奴か?」
アントリア「我々は戻ろうか。ここで立ち尽くしていても始まらないよ?」
司祭「む?なぜはぐらかすんじゃ?」
ダガ「(武闘派の俺が…ここまで何一ついいところがない…)」
司祭「どうした?教会に戻るぞ?」
ダガ「司祭様!神官!俺も行かせてくれないですか!」
司祭「どこに行くんじゃ?」
ダガ「俺も役に立ちてぇ…。ここに来てからなんもしてねぇ!」
司祭「はぁ?」
アントリア「……」
334: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:35:50 ID:qNUcx.7liA
アリアス「奇遇ね?私もよ?」
ダガ「!?」
司祭「…アリアス?お前なぜ…?」
アリアス「ホビットの母親に頼まれたので教団員を集めて調査してましたの。
犯人の居所はだいたい見当が付いたけれど…憲兵団が邪魔で入れないんですよ」
アントリア「ふむ…ではどちらにしろ君らは関われないのではないかな?」
アリアス「いいえ?バックヤードに入る方法なら見つけました?」
ダガ「なにぃ!?」
アリアス「あなたも来る?二人の方が都合がいいのだけれど?」
ダガ「あったりめぇだ!」
アントリア「なにか策があるのかね?」
アリアス「私達にお任せあれ?」
司祭「二人で行く気か!?」
アリアス「ご安心を?知っての通り、私もダガも腕には覚えがありますわ?そうよね?」ニヤリ
ダガ「ふ…まぁな」ニヤリ
アントリア「ノワール…どうするかね?」
司祭「ふん…好きにしたがええわい?憲兵より先に小僧を取り返せるのならな?」
アリアス「もちろんです?30分で終わらせてみせましょう?」
ダガ「ふ…腕が鳴るぜ!」コキッコキッ
335: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:39:53 ID:KiY5PTKIcc
―――ヘマトバザール本部(地下通路)―――
カツンカツン カツンカツン
ウォルター「……」カツンカツン
ウォルター「…いい眺めだぜ」
ズオオオオン
ウーウー ズルズル ウーウー ズルズル
ウォルター「そう思わねぇか?」
タワンテ「おもいマス。大変スバラシイ!」
ウォルター「幽閉されてんのが同族だとしてもか?」
タワンテ「ハイ!」
ウォルター「ククク!お前はよ?」
ティラーナ「……素晴らしいです」ボソッ
ウォルター「へぇ〜?」ガチャッ
ギィィィ
タワンテ&ティラーナ「?」
モガモガ ジタバタ
ウォルター「クックッ!こいつにするか!」シュルリ
ラム「ぷはっ…!はぁ…!」ギチギチ
ウォルター「おい?こいつらを見てみろよ?」
タワンテ「……」
ティラーナ「……」
ウォルター「この二匹はなぁ…自分が助かる為にお前らを売ったんだ?」ニヤニヤ
ラム「はぁ…!ふぅ…!」キッ
336: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:48:37 ID:KiY5PTKIcc
ウォルター「…芋虫みてぇに這いずるお前らを見て素晴らしい眺めだと笑った!
さんざん語った種族の絆がこれだ!ちょろいモンだなぁ?」ニヤニヤ
ラム「……!」ギリッ
ウォルター「これでもまだ!同族だなんだとほざけるか!?」
ラム「だま…れよ!」
ウォルター「あ?」
ラム「お前のせいだ…!全部…!全部!人間が悪いんだ!!」
ウォルター「らぁっ!!」ドカッ
ラム「がふっ…」ガンッ
ウォルター「タワンテ!こいつの頭を踏んでやれ?」
タワンテ「喜んで」スッ
ラム「っ…!」
ガスッ!
タワンテ「スミマセンね」ゴリ・・ゴリ・・
ウォルター「傑作だなぁ、おい!?仲間に踏みにじられる気分はどうだ?
ショーの本番はこんなモンじゃねぇぞ!期待しとけよ!ぎゃはははは!?」ゲラゲラ
ティラーナ「……!」プイッ
ウォルター「…目ぇそらすんじゃねぇよ?」ギロッ
ティラーナ「…はい」ボソッ
タワンテ「……」ゴリ・・ゴリ・・
ラム「う…あぁぁああ……!」グシッ
337: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/17(月) 21:50:55 ID:qNUcx.7liA
手下「ウォルターさん!」カツンカツン
ウォルター「……?」
手下「お楽しみの最中にすんませんが憲兵が訪ねてきました!」
ウォルター「大臣の屋敷を襲ったのがバレちまったか?」ニヤリ
手下「いえ、伝言だそうで!」
ウォルター「伝言…?」
手下「アントリア神官からだそうです」
ウォルター「……!分かった。すぐ行く!」
タワンテ「」グリグリ
ラム「うぁっ…」
ウォルター「お前らはもういい。もっぺん猿轡噛まして見張ってろ?」
タワンテ「かしこまりマシタ」パッ
ティラーナ「……」
ラム「う…うぅ…」グッタリ
タワンテ「…ティラーナ、どうしマシタ?」
ティラーナ「タワンテさん…私はもう…限界…」ボソボソ
ラム「ゆる…さない」
タワンテ「……」
ラム「許さないからな…!」ギリッ
ティラーナ「……」
タワンテ「」ガッ シュルシュル
ラム「っ!っ!」モガモガ
タワンテ「もう後戻りできないんデスヨ。同族も人間も味方ではありマセン」
タワンテ「頑張りマショウ。頑張って生き残るんデス。二人で……」
ティラーナ「……」
338: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 20:56:28 ID:hg1/.Xxc/A
―――バックヤード(城下町裏通り)―――
アリアス「相変わらず陰気臭い雰囲気ね?早めに済ませて帰りましょう?」スタスタ
ダガ「まさかあんな簡単に入れるとはな…」スタスタ
アリアス「信者の中には元憲兵もいるのよ。
制服を借りてなりすませば誰でも気軽に入れる」
ダガ「バレんじゃねぇかとドキドキしたぜ…」
アリアス「警備がザルなのよ?よく確かめもせずに入れてあきれるわ?」
ドタバタ ギャーギャー
アリアス「あら?あそこにいるの…この前の薬剤師?」
ダガ「憲兵に引っ張られてんな…。なにやらかしたんだ…?」
アリアス「さぁ?危ない薬でも見つかったんじゃないの?
なんにしても憲兵の注意がそれてくれるのはありがたいわね」
ダガ「どうでもいいけどよ…。犯人はどこにいんだ?」
アリアス「路地裏に入って入り組んだ道を抜けると酒場があるそうよ。
そこを営んでる兄弟が怪しいと聞いたわ?」
ダガ「どうやって調べたんだ?」
アリアス「バックヤードに住んでる信者がいろいろ詳しく教えてくれただけよ」
ダガ「信者便利だな、おい…」
アリアス「信仰って大事よね?こんな時に実感するとは思わなかったけれど」
339: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:01:41 ID:iVakDA.HWg
―――バックヤード(裏通りの酒場)―――
ダガ「で、どうすんだ?」
アリアス「客を装って様子を見ましょう?」
ダガ「めんどくせぇな…」
アリアス「強行突破しようにも人質がいる訳だし、隙を見て……」
憲兵3「おい!」
ダガ&アリアス「」ビクッ
憲兵3「早かったな!俺も聞き込みでそこが怪しいと踏んで来たんだが先を越されたか!」
ダガ「お、おう。まぁな」
アリアス「…私は喋れないから頼んだわよ」ボソボソ
ダガ「?」
アリアス「女の憲兵なんかいないの…。声で気付かれるでしょ?」ボソボソ
ダガ「俺がいた方が都合がいいってのはそういう意味か…」
アリアス「そうよ?適当にごまかして?」ボソボソ
ダガ「分かった…」
340: ◆WEmWDvOgzo:2014/3/19(水) 21:03:10 ID:iVakDA.HWg
憲兵3「よーし!一緒に入るか!」
ダガ「いや、だ、ダメだ!」
憲兵3「は?なんでだ?」
ダガ「い、いいから…他見てこい、他!」シッシッ
憲兵3「なに言ってんだ?ハハーン?さてはお前……」
ダガ「」ギクッ
憲兵3「俺に手柄を取られたくないんだろ!?」
アリアス「」ホッ
ダガ「そ、そうだ…!」
憲兵3「手柄立てたいのは分かるがムチャはやめとけ!」
ダガ「ま、まだ犯人のアジトかもわからねぇだろ…!確かめるだけだ…!」
憲兵3「ん?それもそうか?じゃあ俺は他を回るとするよ!
なにか分かったらすぐに知らせるんだぞ?」
ダガ「お、おう!」
スタスタ スタスタ
アリアス「危なかったわね…」
ダガ「ここが嗅ぎ付けられんのも時間の問題だな…」
アリアス「しょうがないわね…。悠長に構えてはいられなそうだし、憲兵団が来る前にカタを付けるわよ」
ダガ「当たり前だ…。行くぞ!」ガチャッ
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