前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
253: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/12(水) 14:41:16 ID:l5W1Sce4Lg
ガチャッ
シスター「あの…宣教師さんにお客様がお見えになられました」オズオズ
宣教師「私に…?」キョトン
ダガ「あぁ!いてぇ!ケツを咬むな!」ジタバタ
マルク「あんっ!わぅん!」グルルルル
シスター「……な、なにをしてらっしゃいますの?」
宣教師「…お気になさらず」シラーッ
シスター「…と、とにかくお呼びですので」
宣教師「分かりました」スタスタ
ダガ「ま、まちやがっ…うごぉっ!?」
マルク「きゃんっ!きゃんっ!」ガブリンチョ
シスター「(関わり合いになったらいけない気がする)」スタスタ
宣教師「(ご懸命な判断です)」スタスタ
バタンッ
ダガ「クソォォォ!!」ドタドタ
マルク「わんっ!」ダッ
254: 名無しさん@読者の声:2014/2/13(木) 12:54:36 ID:Jt692V/v/E
ダガ哀れwwC
255: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:43:34 ID:RCXCl5If6k
―――城下町(市場)―――
店主「お客様にはこれなんかおすすめですよー!」パッ
司祭「どれどれ…?」
店主「こちらの眼鏡!お歳を召されたお客様には大変人気な代物となっておりますー!
一度かけてごらんなさい!ショボショボした視界も澄み渡り、遥か遠くの景色まで一望出来るようになっちゃいますから!」
司祭「……」カチンッ
店主「おやおやおや?どうなされました?お買い上げですか!?
そうですよね!?もう歳ですし目なんか見えちゃいませんもんね!?」
司祭「」ブチッ
店主「ありがとうございます!!お代は銅貨120枚になります!!」
司祭「やっかましいぃぃぃぃい!!!!」
店主「!?」ビクビクゥッ
司祭「誰が買うか、こんなもん!?わしを年寄り扱いするでないわ!!」
店主「も、申し訳ございませんでしたー!!」ペコペコ
司祭「ふん!気分が悪い!他を当たるぞ!」ズンズン
アリアス「かしこまりました」スタスタ
店主「あぁっ!お客様!」
店主「トホホ…今日はまだ一個も売れてないのに…」ショボーン
256: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:45:06 ID:Zn..IGjcXM
司祭「なんじゃ、あれは!人をバカにしとるのか!?」プンプン
アリアス「おっしゃる通りです」
司祭「それにしても…どこも賑わっとるが、その割りには良い店がないのう」
アリアス「あの雑貨屋など込み合ってますが…」
司祭「雑貨屋じゃと?くだらんガラクタの為に並びとうないわい!もっと空いた店はないのか?」
アリアス「そんな基準で選ぶから質の悪い店に入るんじゃないでしょうか……」ボソッ
司祭「む?なんぞ言うたか?」
アリアス「…そういえば司祭様は未だに宣教師を疑ってらっしゃるのですか?」
司祭「…なんじゃ、いきなり?」
アリアス「いえ…ただわざわざ大臣に押し付けたあの娘が戻ってきてしまったのを懸念しておられるのではと」
司祭「ふん!じゃからこそお前たちに見張らせとるんじゃ!いつ本性を表し、癒しの力を狙うか分かったものではないからな!」
アリアス「……」
司祭「…なんじゃ?まだ言いたい事があるのか?」
アリアス「これはわたしの勝手な推測ですが…宣教師は癒しの力に興味を示していないのではないでしょうか?」
司祭「ほっ!なにを言い出すかと思えば!奴は大聖堂でさんざん嗅ぎ回っておったじゃろうが?」
アリアス「…それがもし癒しの力を狙っていた訳ではないとしたら?」
司祭「他に何がある?」
アリアス「分からないです…。けれど彼女から癒しの力を利用しようとする気は感じられませんでした」
司祭「あてにならんな…。だいたいなぜそんな事が分かる?」
アリアス「…女の勘、ですかね」
司祭「…ますますあてにならん。なんでもいいが奴への注意は怠らんようにな」
アリアス「はっ…」
257: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:47:08 ID:RCXCl5If6k
―――回想(アリアス)―――
宣教師「か、カロルくん…です」ボソッ
宣教師「悪いんですか!?ホビットが好きじゃ悪いんですか!?」
宣教師「知りませんよ!愛に歳の差も種族もありませんもん!いいじゃないですか!?」
――――――
アリアス「……」
司祭「行くぞ!この調子では日が暮れるわい!」
アリアス「はっ…」
司祭「」キョロキョロ
アリアス「そもそも何を探しておいでなのですか?」
司祭「杖を新調したいんじゃが…なかなかいい店が無くてのう」
アリアス「…それでしたらあちらに専門の店がございましたが」
司祭「む?どこじゃ?案内せい!」
アリアス「こちら……ん?」キョトン
司祭「どうした?」
アリアス「見間違いでしょうか…?宣教師に似た娘が憲兵に連れられているような…?」
司祭「なにぃ!?」
アリアス「見えませんか?あそこなのですが…人だかりの向こうに…」
司祭「くっ…ボヤけて分からん」ゴシゴシ
アリアス「老眼鏡…買えばよかったですわね…」ボソッ
司祭「行くぞ!」スタスタ
アリアス「はっ…」スタスタ
258: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:48:44 ID:Zn..IGjcXM
ザワザワ ザワザワ
憲兵「ほらほら、道を空けた空けた!見せ物じゃないんだぞ!」パッパッ
宣教師「……」スタスタ
司祭「あ、あれは紛れもなく…!一体どうなっとるんじゃ?」
アリアス「…仮にも大臣のお屋敷に忍び込んで連れ出してしまった訳ですし、憲兵が動くのは自然ですわね…」
司祭「…まずいのう。教会におったと知れれば大臣の怒りを喰うのは間違いあるまい」
アリアス「…あの娘もホビットを庇う以上、余計なことは言わないと思いますよ。
なにかしらの理由をつけて誤魔化すんじゃないでしょうか?」
司祭「うむ…。まぁそうなればあやつはまた大臣の屋敷に戻されるだけじゃろうが…憲兵団は小僧も探しとるはずじゃ。
アントリアに相談してすぐにでも安全な場所に隠さねばならんのう」
アリアス「…では神官を探しますか?」
司祭「うむ。お前さんは向こうを探せ。わしは大通りを探ってみる」
アリアス「かしこまりました」ペコリ
259: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:56:16 ID:RCXCl5If6k
―――憲兵団本部(取調室)―――
憲兵「…で、気が付いたらいつの間にか知らない男に連れられていたと」
宣教師「はい」
憲兵「その割りにはあんた、あの男と親しげに話していたじゃないか?」
宣教師「冗談言わないでください!誰があんな変人と!?」カッ
憲兵「分かった分かった…じゃあ教会にいたのはなんでだ?」
宣教師「旅の宣教師のフリをして匿ってもらっていたんです」
憲兵「昨日、一緒だった犯人と子供もか?」
宣教師「犯人は子供が目当てだったようで…私を置いて姿を眩ましてしまいました。
なのでどこにいるのかも分かりませんし、少なくとも教会には来てません」
憲兵「ほんとかぁ?」ジロジロ
宣教師「……」
ガチャッ
団長「失礼するぞ」ズカズカ
憲兵「だ、団長!」ガタッ ピシッ
宣教師「……!」
団長「かしこまらんでよろしい。順調か?」
憲兵「はっ…!そ、それがおかしな証言をしておりまして…」
団長「そうか。では切り上げていいぞ。あとはワシがやる」
憲兵「えっ!いや、しかし…!」
団長「あぁ、別にお前を責めてる訳じゃないぞ?個人的に聞きたい事があるだけだ」
憲兵「は、はぁ…了解しました!では自分は失礼します!」ピシッ
団長「うむ。ご苦労さん」
スタスタ ガチャッ バタンッ
260: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 20:59:20 ID:Zn..IGjcXM
団長「昨日は世話になったな…。よっこいせ!」ストッ
宣教師「ど、どうも…」ペコリ
団長「腰が悪くてな…。最近では座るのも億劫だ。やれやれ」
宣教師「は、はぁ…?そうですか…」
団長「さて、と…どこから話そうか?」
宣教師「……?」
団長「まぁ…率直に言うか」
宣教師「は、はい」ドキドキ
団長「消えてくれないか?」
宣教師「えっ」
261: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:01:53 ID:RCXCl5If6k
宣教師「き、消え…え?」チンプンカンプン
団長「うむ」
宣教師「だ、大臣が私を殺すように命じたのですか?」
団長「いや、そうじゃない。これはワシの個人的な意思だ」
宣教師「な、なぜです…!私になんの恨みが…!」ガタッ
団長「…座んなさい」
宣教師「昨日初めてお会いしたあなたに殺される筋合いはありま…!」
団長「いいから。座んなさいと言ってるんだ」
宣教師「っ……!」ワナワナ
宣教師「……」ストンッ
団長「勘違いしないでほしい。一言も殺すとは言ってないだろ?」
宣教師「消えてくれとは言われました…!」ムスッ
団長「誤解を招く言い方をして悪かったな…」
宣教師「いえ…」プイッ
団長「恨みなどないよ。むしろ感謝しているんだ。君は王子に笑顔を与えてくれた…」
宣教師「それならどうして…?」
団長「唯一心を開いて接した君が大臣の奴隷だったと知れば…王子は更に塞ぎこんでしまうだろう」
宣教師「ど、奴隷などでは…ありませんよ」ゴニョゴニョ
団長「どういう経緯で大臣の屋敷にいたかは知らないが…使用人でないのなら、似たような扱いだったのではないか?」
宣教師「……」プイッ
団長「…まぁいい。ワシもその辺を深く掘り下げるつもりはない」
宣教師「…要は王子の目の前に現れなければいいのですか?」
団長「…というより王都から別の地まで離れてもらえるとありがたいな」
宣教師「……」
262: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:03:57 ID:RCXCl5If6k
団長「一緒にいた二人…少さい方はホビットで大人の方は君らを拐った犯人なのだろう?」
宣教師「そ、それは…!」
団長「いい、いい。ワシも伊達に長年憲兵を務めてきた訳じゃないんだ。なんとなく分かる…」
宣教師「……」
団長「調べればすぐに確証も得られるだろうな…。
王都に残るというのなら立場上、犯人を捕らえて司法の下に裁き、君も大臣に引き渡さなければならん」
宣教師「そ、それは…困ります!もうあんな所には戻りたくありません!」アセアセ
団長「…やはりお慰みに使われてたのか」
宣教師「……!?」
団長「あの方の女癖の悪さは城内でもたびたび話題に上がるのだ。
大臣の行き先では必ず何人かの女性が行方知れずになると囁かれている」
宣教師「…半ば無理やり連れてこられ、合意を得ずに…犯されました」ググッ
団長「うむ。本来なら裁かれるべきは…いや、やめておこう。ポツリと漏らして消されてはかなわん」
宣教師「……!」ググッ
263: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:07:35 ID:RCXCl5If6k
団長「全てこちらで手配する…。このまま静かに消えてくれまいか?」
宣教師「(確かに現状は司祭と神官に利用されてるかもしれない訳ですし、全てを白紙に戻して誰の手も届かない地へ避難した方がカロルくん達の為かも……)」
団長「…君の安全は全力で確保する。王子の恩人はワシの恩人でもあるからな」
宣教師「分かりました…」スクッ
団長「すまんな」
宣教師「いえ、お気遣い頂いてありがとうございます」ペコリ
団長「…ところで君と一緒だったホビットは教会にいるのか?」
宣教師「……?」
団長「いやな、始末しておかねばならんのだ。
薄汚いホビットと関わった事実など王子の将来に汚点を残す事になる…」
宣教師「は…?」ピクッ
団長「あのホビットには確実に消えてもらう…。今も徹底的に探して……」
宣教師「なにを言ってるんですか…?」
団長「ん…?」キョトン
宣教師「冗談にしても不謹慎ですよ。彼を始末するだなんて…」
団長「冗談?なんでワシが冗談を言うのだ?」
宣教師「え…だ、だって…私と彼を王都から遠い地へ避難させてくださるんですよね?」
団長「…いや?」
宣教師「う、嘘をついたんですか!?」
団長「嘘?最初から君に向けてしか話していなかった筈だが?」
宣教師「……!」ワナワナ
264: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:10:28 ID:RCXCl5If6k
宣教師「どういうことですか!?」バンッ
団長「急に興奮して…なんだと言うんだ?」
宣教師「…彼が何をしたと言うんです!彼が一番、王子様と親身に接していたじゃありませんか!?」
団長「あぁ、とんでもないな。穢れた手で王子に触れたのだから?」
宣教師「あ、あなたは…さっきから何を言ってるんです!?」
団長「君こそどうしたのだ?さっきまで納得してくれてたじゃないか?」
宣教師「あなたが突然、変な話をするからでしょう!?」
団長「…ホビットは忌むべき種族だぞ?排除するのは当たり前だろうが?」
宣教師「」ピシィィッ
団長「貴族や高官の中には好んで飼ってるのもおるようだが…悪趣味でならんよ」
宣教師「あぁ…そうでしたね…」
団長「ん?」
宣教師「(これが本来の見方なんでしたよね…。
明確な理由は無くてもホビットを悪とする…不確かな価値観。これが……)」ブルッ
265: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:13:04 ID:RCXCl5If6k
宣教師「やはり今すぐには決められません。もう少し時間をください…」
団長「は…?な、なんでだ…!?」
宣教師「…申し訳ございません」ペコリ
団長「……」
宣教師「……」
団長「そうか…。分かった。何かと支度もあるのだろう」
宣教師「……」
団長「だが明日までに決めてくれ。それ以上は待てないぞ?」
宣教師「はい。必ずお返事をしに参ります」
団長「…うむ。帰っていいぞ。ご足労願ってすまなかったな」
宣教師「いえ…失礼します」スタスタ
ガチャッ バタンッ
団長「…何か気に障るような事を言ったのだろうか」ウーン
266: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/13(木) 21:17:44 ID:RCXCl5If6k
>>254
今のところダガはいいところが一つもありませんね(笑)
日頃の行いの悪さが災いしてるんだと思います(笑)
支援ありがとうございました!
267: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 20:55:41 ID:QsZCryh2P.
―――美術館―――
カロル「…えへへ!一回来てみたかったんだ?」ルンルン
アントリア「意外だね。まさか芸術に関心を示すとは思わなかった?」スタスタ
母「昔からお絵描きが大好きで、よく落ちてる枝なんかを筆代わりにして地面に書いたりしてたんですよ。
親バカっていう訳じゃないんですけどびっくりするくらい上手でして!」ニコニコ
アントリア「なるほど…。果てはその道を志そうと考えてるのかな?」
母「まさか?あたし達には披露する場がありませんもの…?」クスリ
カロル「…ねぇ、アントリアさん。これ、なんていうの?」
アントリア「それは画家イットル・ネブチェンの『夕食』だ」
カロル「へぇ…」
母「ほんとにただ食卓に料理が並んでるだけの絵なんですね」
カロル「でも見てるとあったかい気持ちになるよ?」
母「…ふふ。そうね?なんだか安心させられるわ?
そのアイル・ネヴァーチェンジさんはどんな方なんですか?」
アントリア「彼の名誉の為に訂正しておこうか。イットル・ネブチェンだ?
階級や身分に左右されがちな華々しい芸術、創作の世界では珍しく…。
貧しい家柄に生まれ育ちながら、その才を認められて個展を開いたり、こういった場に作品を展示されている。
今、都で最も活躍する若き芸術家は誰かと聞けば、まず彼の名前が上がるだろう」
母「苦労なさったからこそ、こんなに暖かい絵が描けるんですのね。きっとその方も素敵な人物なんだわ?」
アントリア「それはどうだろう?噂に聞く限りでは大した偏屈らしいがね」
母「まぁ?ちょっぴり残念です…?」
アントリア「優しい絵を描ける人間が必ず優しいとは限らない。あまり期待しない方がいいな」
カロル「…隣の絵はヘンテコリンだけどおもしろいよ?」
アントリア「ん?あぁ…それは芸術家ランベルヤ卿のご子息、バルガン氏の『高貴なる血族』という作品だよ」
母「うーん…造形っていうのかしら?なんか…全体的におかしくないですか?
足や腕の長さとかもまるでバラバラですし…体もお腹?のところがへこんでたり…背景もたくさんの色をグチャグチャに塗りたくっただけみたいな…」
カロル「んー…。濃い色ばっかり…目がクラクラするなぁ」ムズムズ
アントリア「この作品にもう一つ名前を付けるとするなら…『親の七光り』といったとこかな」ボソッ
268: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 21:03:38 ID:X/e8SDb5uw
カッカッ カッカッ
カロル「……?」チラッ
貴族1「…ふんふん、今回も素晴らしい作品が揃っておりますぞ?」チョロリン
貴族2「ふんふん、な・る・ほ・ど?どれもこれもあれもそれもすんばらしい!」チョロリン
カロル「!」プッ
母「どうしたの?吹き出したりして…」
カロル「お、お母さま…あの人間、お髭がチョロリンってしてるよ…?カミナリみたい…?」プルプル
母「はしたないわよ?他人を見て笑ったりしちゃダメじゃない…!」
カロル「だ、だって…見えちゃったんだもん…」プルプル
アントリア「そろそろ抑えた方がいい。こっちへ来るよ?」
母「い、いけない!坊や!もう笑うのやめなさい!」
カロル「うぅ…は、はい」ヒクヒク
貴族1「これはこれは!アントリア神官ではございませんか!ごきげんよう!」カッカッ
貴族2「今日はお付きの者を連れて芸術鑑賞ですかな?」カッカッ
アントリア「えぇ、まぁ…。各々方も?」
貴族1「言わずもがな!我々は芸術には滅法うるさい方でしてな!」
貴族2「こうして足を運んでは物の良し悪しを見比べてやってるのですよ?」
アントリア「ははは…そうでしたか」
269: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 21:08:47 ID:QsZCryh2P.
カロル「お、お母さま…笑っちゃいけないんでしょ…?」プルプル
母「だ、だって…!間近で見せられたら…!?」プルプル
貴族1「ムムム?」
アントリア「…いかがなさいました?」
貴族1「…いやいや、後ろの二人がなにやら蹲って震えておりますので?」チョロリン
貴族2「…体調を崩したのか?」
カロル&母「……!」プルプル
アントリア「…あぁ、持病の発作です。少し休めば落ち着くので心配は入りませんよ」
貴族1「はぁ…まぁ他人に移るようなものでないならいいんだが」チョロリン
カロル「ぷっ……」プルプル
母「だ、ダメ…よ。が、我慢なさい…!」プルプル
貴族2「本当にだいじょ……」
アントリア「大丈夫ですとも?」ニコリ
貴族1&2「……」
アントリア「二人ともゆっくり息を吸い込んで…勢いよく吐くんだ。落ち着くまでそれを繰り返しなさい」
カロル「すーっ……」
母「はーっ……」
カロル「すーっ……」
母「はーっ……」
貴族1「……なんなんだ、こいつらは」
貴族2「この場に不相応ですなぁ。神官、連れてくる人間を間違えたのでは?」
アントリア「(人間ではなくホビットなんだがね…)」
270: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 21:10:39 ID:X/e8SDb5uw
貴族1「ほうほう!これは新作じゃないか?」マジマジ
貴族2「ふんふん…期待の若き芸術家、バルガンとネブチェンの作品ですか…」ジロジロ
アントリア「確かな目を持つお二方から見て、この二つの作品はどう映りますか?」
貴族1「…ひどい。ひどいなぁ」ポツリ
貴族2「まったく同感!」
アントリア「……」
カロル「…やっぱりみんなも同じなんだね?」コショコショ
母「…あんまり他人の描いたモノにどうこう言いたくないけど、子供の落書きみたいだもの?」コショコショ
貴族1「このネブチェンとかいう庶民の落書き?いやはや芸術とは程遠い!」
貴族2「ただ漠然と食卓に並んだ安っぽい料理の絵など…誰が評価するのか?」
カロル「えっ」
母「まぁっ」
貴族1「ん?」
貴族2「なんだ?」
アントリア「二人とも発作が治まったのだね。よかった、よかった」
カロル「あ、えと…」
母「は、はい!ご心配おかけしてすみません!」アセアセ
貴族1「…ふぅ。気が散るよ」
貴族2「神官…。この二人は外に置いた方がいいのでは?さっきから落ち着いて見れませんよ?」
アントリア「まぁまぁそう言わずに?これ以上、迷惑はかけませんよ」
カロル「ごめんなさい…」シュン
母「(なによ…。偉そうにして…!)」ムッ
271: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 21:12:32 ID:X/e8SDb5uw
貴族1「逆にこちらのバルガン氏の作品は素晴らしい!抽象的で何か強い訴えを感じさせる!」
貴族2「ふんふん、こっちの雑な落書きとは違い、濃厚な色味をふんだんに使っており、強烈な印象を受けるが…いやはやどこか繊細さも見られる独特な世界観だ!」
アントリア「ふむふむ。詳しい方にはそう見えるのだね…。僕らは素人なので全く逆の評価を下していましたよ」
貴族1「はっはっは!それは失礼。しかし見る目がないとしか言いようがない!」
貴族2「私どもは幼い頃より数々の名画や彫刻など美しい芸術に触れてきました。評価としてはこちらが正しいと思われますぞ?」
アントリア「…そうでしょうか?ここに展示されている以上、ネブチェン氏の作品も一定以上の評価を受けているのでは?」
貴族1「…まず夕食という作品名からして品がない。内容もそのまんま?
その上、夕食という題材にも関わらず人の姿も描かれておらず殺風景で寂しげな印象だ…。そう思いませんかぁ?」
貴族2「然り!バルガン氏は人も描いており、造形からして想像の上をいく美!すんばらしい!」
貴族1「詰まる所ネブチェンの作品などなんの芸もない写生に過ぎない」
貴族2「視野が狭いというか…陳腐で貧困で芸術的感性の無さを露呈してますよ、これは。
これを評価した専門家もどきの審美眼を問いたいものだ」
貴族1「まぁ加えて言うなら生まれが仇となったんでしょうかねぇ?
陰気で下等な貧民の巣窟、バックヤードなどで育った人間には価値ある芸術など造れっこないんですよぉ…」
アントリア「……」
母「(…結局、貧しい人間が気に入らないだけじゃない?なにが芸術よ!くだらない!)」
貴族1「おっと!ここばかり見ていても仕方ないな!ではごきげんよう!」
カロル「そうかなぁ?ボクはこっちの絵も好きだけど…?」ボソッ
貴族2「」ピクッ
272: ◆WEmWDvOgzo:2014/2/16(日) 21:16:58 ID:QsZCryh2P.
貴族2「…今、なんと言ったぁ…?」ギヌロォッ
カロル「え?」ビクッ
貴族1「ネブチェンの作品の方が好きだと、そう聞こえた!」
カロル「…は、はい。どっちもいいと思うけど……」
貴族2「神官はまだ分かるが…お前の発言は聞き捨てならないぞ!
さっきから邪魔ばかりしておいて我々の確かな目を疑う気か!?」
カロル「う、疑ったりしない…です。ボクはこっちが好きかなって…?」マゴマゴ
貴族1「あぁ〜…失礼だが生まれは?」
カロル「生まれ?ボクはホビットだから……むぐっ!?」バッ
母「平民です!田舎生まれの!それはもう途方に暮れるくらいの田舎者ですわ!おほほほほ!?」ガシッ
貴族1「…今、ホビットって言わなかったか?」
貴族2「我輩にもそう聞こえたぞ…」
母「まぁ?ホビット?そんなバカおっしゃらないで!?」アタフタ
カロル「んぅーっ!んぅーっ!?」モガモガ
貴族1「ば、バカ…!?」ヒクヒク
貴族2「おい、貴様!誰に向かって……」
アントリア「そこまでだ!」ピシャリッ
貴族1&2「」ビクッ
カロル&母「」ビクッ
アントリア「非常識な振る舞いはよしたまえ。ここは品評会の会場でも無ければ自分の家でもない。館内だ!
芸術を語る者が公共の場で節度も考えずに声を荒げるのはいかがなものだろうか?」
貴族1「…お、おっしゃる通り…」
貴族2「そ、それも…そうですねぇ」ポリポリ
カロル「むぐ……おふぁあふぁわ?」ポンポン
母「すみません…」パッ
カロル「ぷあっ…ご、ごめんなさい…?」ペコッ
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