高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───続行。
【前スレ目次】
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【登場人物】
>>2-3
【当スレ目次】
>>768-769
515: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:31:54 ID:r12WCtJTeY
鈴木「人よりずれている事くらい自覚はあった。協調性を持っていない事くらい自覚はあった」
鈴木「けれど、どうすればいいか分からない。そうしている内に、私に声を掛けてくれる人は居なくなった」
鈴木「私には、こんな風にはしゃぎ回る友達なんて居なかったよ」
橘「……すまない、軽率な発言だった」
鈴木「どうして謝るの?ごめんなさいは、悪い事をした時だけでいいんだよ」
鈴木「それにね、私は今が凄く楽しいの。君達のお陰だよ。ありがとう」
橘「……素直に礼が言える奴に、協調性が欠けているとは俺は思わんがな」
橘「少しお前の事を甘く見ていた。さっきのはその謝罪という事にしておけ」
鈴木「橘くん……」
橘「まあ、その……俺だって喧しいクズ共に助けられてる部分はあるからな。一応感謝くらいはしてるつもりだ」
橘「喜べ、貴様もそのクズ共の内の一人だ」
516: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:32:57 ID:r12WCtJTeY
ベシャッ!
鳴海「いえーい!雪団子命中!」
橘「このクソチビめが……俺の眼鏡を濡らすなと何度言えば……」ポタポタ
橘「許さん……絶対に許さんぞ……風邪を引くまで雪塗れにしてやるわ!!」
鈴木「雪合戦をするには雪が足りないと思うけど」
橘「掻き集めてでも団子を作れ!お前の感謝の気持ちをあのチビにぶつけるんだ!」
鈴木「感謝の気持ち……、了解した」
鳴海「なっ、おい!二人がかりはズルいだろ!」
橘「ふははは!一年前の水風船の思い出が蘇るようだな!なぁ、おチビちゃんよ!」
鈴木(感謝の気持ち、感謝の気持ち……)ニギニギ
517: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:33:53 ID:6.GQMZQyxE
橘「食らえ!クソチビィィィ!」
ベシャッ!
桃山「……」ポタポタ
橘「……あ、」
鳴海「な、何やってんだよメガネ……」
鈴木「桃ちゃん、大丈夫?」
桃山「一年前の思い出が蘇るようね……?」スッ
鈴木「あれ、何だか変なポーズしてる」
桃山「下がってなさい、鈴木ちゃん。今だけはアタシ、乙女を捨てるから」ゴゴゴゴ…
橘「ち、ちょっと待て。違うんだ、元はと言えばこいつが……」
鳴海「落ち着けよオカマ、当てたのはこのメガネだろ?な?」
桃山「問答無用!」カッ!!
518: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:34:43 ID:6.GQMZQyxE
ギャアァァアァァァ…
清瀬「ふえ?な、なんか、叫び声が……」
清瀬「雪だるま作るんに必死になってしもてたっ……」ガバッ
篠原「うわっ!?い、いきなり立ち上がるからびっくりしちゃった」
清瀬「し、しの、篠原くんごめんなさいすみません篠原くん!!」
篠原「あはは、大丈夫だから落ち着いて」
清瀬「あの、い、今さっき叫び声が……!」
篠原「ああ、うん。桃ちゃんが鳴海と橘を懲らしめてた」
清瀬「こ、懲らしめて……って、何かあったんですか?」
篠原「いつもの事だよ。二人がはしゃぎすぎちゃって、桃ちゃんを怒らせたの」
清瀬「は、はあ……」
清瀬(前から思てたけど、桃さんて其処らの男の子より強いんじゃ……)ビクビク
519: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:35:26 ID:6.GQMZQyxE
篠原「清瀬さんは何してたの?ずっとしゃがんでたから気になって覗きに来たんだけど」
清瀬「あ、あの、雪だるま作っとったんです。あんまり雪積もってへんから、手の平サイズの小さいやつ……」
篠原「おー、本当だ!一杯作ったんだ。可愛いねー」
清瀬「えへへ、つい夢中になってしもて」テレテレ
篠原「あれ、もしかして素手でやってたの?真っ赤になってる」
清瀬「あ、はい。手袋してきてなかったんで」
篠原「言ってくれたら貸したのに。気付かなくてごめんね」
清瀬「いえ、そんな!謝らんといて下さっ……!?」
篠原「こうしたら少しはあったかくなるでしょ?」ヘラリ
清瀬「し、篠原く……」
篠原「清瀬さん小っこいから、簡単に包み込めるね」
清瀬「篠原、くん……」
520: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:36:24 ID:r12WCtJTeY
清瀬「あの、顔にまでマフラー巻かれたら前が見えやんのやけども……」
篠原「あれ?身体が冷えた時って鼻冷たくならない?」
清瀬「は、鼻……?」
清瀬「あの、でも、あ、ありがとうございます」
篠原「うん。どう致しまして」
清瀬(さっきまで篠原くんが巻いてはったから暖かい……)ヌクヌク
篠原「俺も作ろっかな、雪だるま」
清瀬(……篠原くんの匂いがする)
篠原「うわー、雪ってやっぱり冷たいね。氷だもんねー」
清瀬(こないしてたら、後夜祭の事思い出すなあ……後夜祭……の、事……///)
清瀬「えーい!何を考えとるんや阿呆!」
篠原「ご、ごめんなさい!シロップかけてもかき氷にはならないよね!雪だもん!」
清瀬「へ?」
篠原「下らない事考えてごめんなさい!」
清瀬(ま、また声に出してしもてた……?)カァ
521: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:37:31 ID:6.GQMZQyxE
篠原「……雪、冷たいね。こんな小さい団子作るだけで手が痛くなる」ギュッギュッ
篠原「冷たいね。凄く、冷たい」
清瀬「……?」
篠原「ハルはこんなに冷たい雪の中で、一人で死んだんだ……俺の所為で」
清瀬「篠原くんっ……」
篠原「自分を責めずに生きるのなんて無理だよ。俺はそれだけの事をしてしまったから」
清瀬「そんな……」
篠原「ずっと考えてたんだ。もしかしたらこれは、ハルが見ていた筈の世界かもしれない。今、此処に居るのは俺じゃなくて、ハルだったのかもしれない」
篠原「……皆とこうしてはしゃぎ回っていたのは、ハルだったのかもしれない」
篠原「だから、あの日から俺はアキを捨てたんだ。ハルみたいにのんびりして、ハルみたいに笑って……ハルみたいに、生きようって」
篠原「そんな事したってハルにはなれやしないのにね」
522: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:39:24 ID:r12WCtJTeY
清瀬「確かに篠原くんはお兄さんを傷付けて突き放して、過ちを犯したかもしれへんけど……」
清瀬「お兄さんの人生を背負う事が償うって事にはならんと思う」
篠原「……違うんだ」
清瀬「え?」
篠原「気付いたんだ。俺がしてるのは償いじゃない。平気で人を傷付ける、人殺しの自分を隠す為のものだった」
篠原「じゃなきゃ地元から離れた学校なんか行かないよね」
清瀬「……」
篠原「よし、ミニ雪だるま完成!ずっとしゃがんでると足だるくなるねー」ヨイショ
篠原「……離れてかないでね」
篠原「他人にどう思われたって構わない。咎められて当然だから。でも、清瀬さんや皆には、嫌われたくない」
篠原「だから、離れてかないでね……」
523: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:40:56 ID:r12WCtJTeY
篠原「さてと、身体冷えちゃったね。皆呼んで家の中戻ろっ、か……」
清瀬「……」キュッ
清瀬「う、うち、嫌いになったりしません、から……!ずっと此処に居ます。ずっと、こうやって手の届く距離に」
清瀬「お兄さんを忘れずに生きてくのは大事な事やけど、でも、でも……」
清瀬「アキくんを消さんといて下さい……っ」
篠原「……こんな風に誰かと手を繋ぐのなんて何年ぶりだろ」
清瀬(ああああまた勢い余って手なんか握ってしもた……!)
篠原「ありがとう、清瀬さん。もう、大丈夫だから」キュッ
清瀬「!」
篠原「あはは、二人共冷たくなってるからあんまり手の感覚ないや……って、清瀬さん?」
清瀬「しのしの篠原くんがうちの手を手を握り返しっ……ああ、いや先に握ったんはうちやないかい!う、うち……」フラフラ
篠原「え?何?誰か助けて清瀬さんが故障した!」
524: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:42:22 ID:r12WCtJTeY
──────‐‥
\ ゴチソウサマデシター! /
鳴海「ふぃー、腹一杯!もう動きたくねぇー」ゴロン
桃山「食べてすぐ寝転ばないの!お行儀悪いわね、もう!」
橘「自分が使った皿くらい下げろクズめ。まったく、お、お母さんに迷惑だろうが……!」
篠母「いいのよ、沢山手伝ってくれたものね。片付けはおばさんがやるから皆はゆっくりしてて」
鈴木「橘くん、今日はよく赤面するね」
篠原「橘はお兄ちゃんだからねー。たまには息子になればいいんだよ」
鈴木「なるほど。よく分からないけど了解した」
篠母「清瀬さんもゆっくりして頂戴。皿洗いなんてしなくていいから」
清瀬「あ、いえっ……これくらいは!」カチャカチャ
篠母「ふふ、娘が居たらこんな風に並んでキッチンに立ってたのかしらね」
清瀬「む、むすっ!?むすむす娘にキッチン!?そうです!そうですね!そうですよ!」
篠母「」ビクッ
篠母(さっき皆が故障したって言っていたけど、もしかしてこれの事かしら……)
525: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:43:40 ID:r12WCtJTeY
篠母「そうだ、ケーキもあるから後で皆で食べましょうね」ニコニコ
鳴海「ケーキあんの!?クリスマス最高ー!」
桃山「ふふ、スイーツは別腹よねー」
篠母「その前に皆にお願いがあるんだけど……いいかしら?」
橘「何なりと」キリッ
篠母「ツリーを出そうと思って。今更だけどね」
篠原「ツリー……?」
篠母「ずっと出していなかったけど、貴方達出したがっていたものね。ハルも毎年煩かったのよ」
篠原「ハルも……」
鳴海「約束してたんだろ、お前。ツリー飾るって。三年掛かっちまったけど、やろうぜ」
桃山「お手伝いくらいならアタシ達にも出来るものね。やりましょうよ」
526: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:44:28 ID:6.GQMZQyxE
『来年はツリー飾ろうか、二人で』
『わーい、約束だからね!アキ!』
『うん、約束』
篠原「……っ」
篠原「約束、守れなかったけど……今更だけど……」
篠原「ハル、喜んでくれるかな……」
篠母「見ていてくれてるわよ、きっと。今日という日に雪を降らせてくれたのも、もしかしたら……なんてね」
篠原「あの、じゃあ、俺からもお願いします。クリスマスツリー、一緒に飾ってくれないかな」
篠原「一人じゃちょっと、踏み出せないから……」
527: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:47:59 ID:r12WCtJTeY
清瀬「勿論!お手伝いさせて下さい!」
鈴木「ツリー、キラキラしてて可愛らしいから好きだよ」
橘「まあ、お、お母さんに頼まれたのなら仕方ない。手伝ってやろう」
篠原「ありがとう、皆。今日は本当に……ありがとう」
桃山「やだもう、お礼言い過ぎよ!ほら、ジングルベール、ジングルベール!」
鳴海「気持ち悪い歌声聞かせんじゃねぇよ」
桃山「何ですって!?アタシのエンジェルボイスを気持ち悪いだなんて!」
鳴海「はいはい、メリークリスマス」
桃山「何よもう、メリークリスマス!」
篠原「あはは、メリークリスマス!」
鈴木「ほら、息子。メリークリスマスだよ」
橘「は?息子……?」
篠母(メリークリスマス、ハル、アキ……)
篠母(生まれてきてくれて、ありがとう)
528: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:52:53 ID:6.GQMZQyxE
>>513-527
これにて投下終了します。
十二月に入って、世間はすっかりクリスマスシーズンですね。
私の家には小学三年生の時を最後にサンタさんが来てくれません。良い子にしてるつもりなのに、まったく酷い老人です。
というような事を母の前で言ったら何故か舌打ちされました。私はサンタさんに言っているのに何故でしょうか。
それでは、読んで下さった皆さんに最大級のありがとうを!
529: 名無しさん@読者の声:2012/12/4(火) 21:22:20 ID:hwdGEjLyHs
メリークリスマス☆
と、自分も混ざってみたりしてw
ほんと、いいSSに出会えて幸せですよ。
支援支援☆
橘、赤面でお母さんて呼ぶのかわいいな、おいwww
そして、篠くん。
雪でかき氷って…子どもの頃に一度は考える事を高校生で、素で考えてるのが可愛い過ぎでしょw
あーもー絶対、幸せになってくれ!!
530: 名無しさん@読者の声:2012/12/4(火) 22:09:41 ID:Y4XW.gVyow
こっそり絵スレに駄絵をうpさせていただきました…
このSS好き過ぎて、個人的に3センチまとめノート作ってますw
手書きで。
暇か?と言われれば………暇ですwww
モブ達もそのうち…ふっふっふっ…
愛しちゃったのよC///
531: 名無しさん@読者の声:2012/12/5(水) 17:01:09 ID:Gnjn2EBu0g
前スレから読み直して追い付いた
皆がどんな子か理解して読み直すと色んな所に伏線散りばめられてて脱帽しましたw
>>1さんはSSを書く時、人物像から考える?それともストーリー?
兎にも角にも支援致しますわ!
532: 名無しさん@読者の声:2012/12/6(木) 13:48:05 ID:ANJP2Mgvgk
なんだよこいつら、リア充じゃないか爆発しろ!
サンタさん…俺にピヨみたいな彼女をくださいw
っCCCCC
533: ◆UTA.....5w:2012/12/7(金) 22:42:59 ID:DQKEsv8xrE
>>529
此方こそいつも嬉しいお言葉を頂けて本当に幸せです。
お母さんという言葉を口にするのは久しぶりなので、照れがあったのでしょうね。しかし、彼のお母さんではないのですがねw
篠原に至っては精神年齢が子供なのか、書いている本人ですら謎です。馬鹿だという事だけは確かなのですが。
>>530
拝見させて頂きました。そしてあちらで長々とレスさせて頂きました。
大変感動させられる纏めノートでした。本当に本当にありがとうございます!
こっそりと言わず、堂々とうpして下さい。とても素敵なイラストでしたので、他の方々にも見て頂きたいですよ(`・ω・´)
>>531
前スレから読み直して下さったですと……!?こんな長いSSを!
ありがとうございます、お疲れ様でした!
今回はこういう話を書きたいな、とぼんやりと思い浮かべて、人物、ストーリーの順番でした。
いつも何かを思い付く時は大抵ストーリーを先に考えています。それから、なるべく矛盾が生じないように人物構想を練るようにしています。
大した答えになっていなくて申し訳ございません……!
>>532
何も恋人が居る事だけがリア充とは呼ばないですよね。そう考えると、男女できゃっきゃうふふをしている彼らはリア充というやつなのでしょう。爆発してもらいたい限りです。
サンタさんの話題を振ると、もれなく1の母の舌打ちがプレゼントされますよw
534: ◆UTA.....5w:2012/12/7(金) 22:46:36 ID:DQKEsv8xrE
──始業式 in 体育館
校長「皆さん、明けましておめでとうございます。えー、昨年度は──」
一年女子「あーもう、校長の話ってなんでこんなに長いんだろ。つまんないし」
鈴木「つまらなくないよ。ちゃんと聞くと結構良い事言ってる」
一年女子「生徒の半分以上がちゃんと聞いてないと思うけどねー」
鈴木「そう。良い事言ってるのに。勿体ない」
一年女子「勿体ない、ね。鈴木さんって本当変り者だわ」
鈴木「昔から変わっているとよく言われていたけれど、そんなに変かな」
一年女子「え?んー、そうだなあ……」
鈴木(今まで皆、そんな事はないと言いながら離れていった。でも──)
一年女子「超が付く程ぶっ飛んでる!イカしてますよ、鈴木さん」ケラケラ
鈴木(──この子達は、変だと言いながら傍に居てくれる)
鈴木「クズ共の内の一人になれてよかった」
一年女子「えっ何それ」
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