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3センチメンタル・ヤング・ピーポー【2】
[8] -25 -50 

1: ◆UTA.....5w:2012/7/31(火) 17:25:45 ID:N3rkjbtVuM


高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───続行。


【前スレ目次】
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1327757079/993-995

【登場人物】
>>2-3

【当スレ目次】
>>768-769


513: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:28:31 ID:6.GQMZQyxE

鳴海「うおー、雪だー!冷てぇー寒ぃー!」

桃山「篠くんと過ごす初めてのクリスマスに雪。なんてロマンチックなの……」

清瀬「わー……雪ってなんでこんなテンション上がるんやろ。一杯積もるかな。大きい雪だるまも作れるようになるやろか?」キラキラ

鳴海「手の平サイズなら作れたぞ!」

清瀬「か、可愛い……!帰ったらいっぱい作ってお家の冷凍庫に入れよ!」

桃山「空から降る白い雪、肩を寄せ合う二人、互いにの体温を肌に感じて……きゃーっ///」ジタバタ

橘「喧しい!!貴様ら本当に高校生か!ガキみたいにはしゃぎやがって!!」

鈴木「いつも子守り大変だね」

橘「まったくだ。家でも外でもこれじゃあ、気の休まる時がない」

鈴木「その割には橘くん、楽しそうな顔してる」


514: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:29:06 ID:6.GQMZQyxE

鳴海「ん。鈴木にもミニだるまやるー!」ズイッ

鈴木「……ありがとう」

清瀬「鳴海くん、此処めっちゃ綺麗に雪積もってる!真っ白や!」

鳴海「マジ?雪団子作れんじゃん!後でメガネにも作ってやるから待ってろ!」

 キャッ キャッ

橘「おいおい、あんまりはしゃいでると転ぶぞ」

鈴木「……」

橘「何をまじまじと……雪だるま好きなのか?」

鈴木「ええ。たった今、好きになりました」

橘「本当に鈴木は変な奴だな。今までの友人に同情する」

鈴木「……私には、こんな風に一緒にはしゃぎ回る友達なんて居なかった」


515: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:31:54 ID:r12WCtJTeY

鈴木「人よりずれている事くらい自覚はあった。協調性を持っていない事くらい自覚はあった」

鈴木「けれど、どうすればいいか分からない。そうしている内に、私に声を掛けてくれる人は居なくなった」

鈴木「私には、こんな風にはしゃぎ回る友達なんて居なかったよ」

橘「……すまない、軽率な発言だった」

鈴木「どうして謝るの?ごめんなさいは、悪い事をした時だけでいいんだよ」

鈴木「それにね、私は今が凄く楽しいの。君達のお陰だよ。ありがとう」

橘「……素直に礼が言える奴に、協調性が欠けているとは俺は思わんがな」

橘「少しお前の事を甘く見ていた。さっきのはその謝罪という事にしておけ」

鈴木「橘くん……」

橘「まあ、その……俺だって喧しいクズ共に助けられてる部分はあるからな。一応感謝くらいはしてるつもりだ」

橘「喜べ、貴様もそのクズ共の内の一人だ」


516: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:32:57 ID:r12WCtJTeY

 ベシャッ!


鳴海「いえーい!雪団子命中!」

橘「このクソチビめが……俺の眼鏡を濡らすなと何度言えば……」ポタポタ

橘「許さん……絶対に許さんぞ……風邪を引くまで雪塗れにしてやるわ!!」

鈴木「雪合戦をするには雪が足りないと思うけど」

橘「掻き集めてでも団子を作れ!お前の感謝の気持ちをあのチビにぶつけるんだ!」

鈴木「感謝の気持ち……、了解した」

鳴海「なっ、おい!二人がかりはズルいだろ!」

橘「ふははは!一年前の水風船の思い出が蘇るようだな!なぁ、おチビちゃんよ!」

鈴木(感謝の気持ち、感謝の気持ち……)ニギニギ


517: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:33:53 ID:6.GQMZQyxE

橘「食らえ!クソチビィィィ!」


 ベシャッ!


桃山「……」ポタポタ

橘「……あ、」

鳴海「な、何やってんだよメガネ……」

鈴木「桃ちゃん、大丈夫?」

桃山「一年前の思い出が蘇るようね……?」スッ

鈴木「あれ、何だか変なポーズしてる」

桃山「下がってなさい、鈴木ちゃん。今だけはアタシ、乙女を捨てるから」ゴゴゴゴ…

橘「ち、ちょっと待て。違うんだ、元はと言えばこいつが……」

鳴海「落ち着けよオカマ、当てたのはこのメガネだろ?な?」

桃山「問答無用!」カッ!!


518: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:34:43 ID:6.GQMZQyxE

 ギャアァァアァァァ…


清瀬「ふえ?な、なんか、叫び声が……」

清瀬「雪だるま作るんに必死になってしもてたっ……」ガバッ

篠原「うわっ!?い、いきなり立ち上がるからびっくりしちゃった」

清瀬「し、しの、篠原くんごめんなさいすみません篠原くん!!」

篠原「あはは、大丈夫だから落ち着いて」

清瀬「あの、い、今さっき叫び声が……!」

篠原「ああ、うん。桃ちゃんが鳴海と橘を懲らしめてた」

清瀬「こ、懲らしめて……って、何かあったんですか?」

篠原「いつもの事だよ。二人がはしゃぎすぎちゃって、桃ちゃんを怒らせたの」

清瀬「は、はあ……」

清瀬(前から思てたけど、桃さんて其処らの男の子より強いんじゃ……)ビクビク


519: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:35:26 ID:6.GQMZQyxE

篠原「清瀬さんは何してたの?ずっとしゃがんでたから気になって覗きに来たんだけど」

清瀬「あ、あの、雪だるま作っとったんです。あんまり雪積もってへんから、手の平サイズの小さいやつ……」

篠原「おー、本当だ!一杯作ったんだ。可愛いねー」

清瀬「えへへ、つい夢中になってしもて」テレテレ

篠原「あれ、もしかして素手でやってたの?真っ赤になってる」

清瀬「あ、はい。手袋してきてなかったんで」

篠原「言ってくれたら貸したのに。気付かなくてごめんね」

清瀬「いえ、そんな!謝らんといて下さっ……!?」

篠原「こうしたら少しはあったかくなるでしょ?」ヘラリ

清瀬「し、篠原く……」

篠原「清瀬さん小っこいから、簡単に包み込めるね」

清瀬「篠原、くん……」


520: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:36:24 ID:r12WCtJTeY

清瀬「あの、顔にまでマフラー巻かれたら前が見えやんのやけども……」

篠原「あれ?身体が冷えた時って鼻冷たくならない?」

清瀬「は、鼻……?」

清瀬「あの、でも、あ、ありがとうございます」

篠原「うん。どう致しまして」

清瀬(さっきまで篠原くんが巻いてはったから暖かい……)ヌクヌク

篠原「俺も作ろっかな、雪だるま」

清瀬(……篠原くんの匂いがする)

篠原「うわー、雪ってやっぱり冷たいね。氷だもんねー」

清瀬(こないしてたら、後夜祭の事思い出すなあ……後夜祭……の、事……///)

清瀬「えーい!何を考えとるんや阿呆!」

篠原「ご、ごめんなさい!シロップかけてもかき氷にはならないよね!雪だもん!」

清瀬「へ?」

篠原「下らない事考えてごめんなさい!」

清瀬(ま、また声に出してしもてた……?)カァ


521: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:37:31 ID:6.GQMZQyxE

篠原「……雪、冷たいね。こんな小さい団子作るだけで手が痛くなる」ギュッギュッ

篠原「冷たいね。凄く、冷たい」

清瀬「……?」

篠原「ハルはこんなに冷たい雪の中で、一人で死んだんだ……俺の所為で」

清瀬「篠原くんっ……」

篠原「自分を責めずに生きるのなんて無理だよ。俺はそれだけの事をしてしまったから」

清瀬「そんな……」

篠原「ずっと考えてたんだ。もしかしたらこれは、ハルが見ていた筈の世界かもしれない。今、此処に居るのは俺じゃなくて、ハルだったのかもしれない」

篠原「……皆とこうしてはしゃぎ回っていたのは、ハルだったのかもしれない」

篠原「だから、あの日から俺はアキを捨てたんだ。ハルみたいにのんびりして、ハルみたいに笑って……ハルみたいに、生きようって」

篠原「そんな事したってハルにはなれやしないのにね」


522: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:39:24 ID:r12WCtJTeY

清瀬「確かに篠原くんはお兄さんを傷付けて突き放して、過ちを犯したかもしれへんけど……」

清瀬「お兄さんの人生を背負う事が償うって事にはならんと思う」

篠原「……違うんだ」

清瀬「え?」

篠原「気付いたんだ。俺がしてるのは償いじゃない。平気で人を傷付ける、人殺しの自分を隠す為のものだった」

篠原「じゃなきゃ地元から離れた学校なんか行かないよね」

清瀬「……」

篠原「よし、ミニ雪だるま完成!ずっとしゃがんでると足だるくなるねー」ヨイショ

篠原「……離れてかないでね」

篠原「他人にどう思われたって構わない。咎められて当然だから。でも、清瀬さんや皆には、嫌われたくない」

篠原「だから、離れてかないでね……」


523: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:40:56 ID:r12WCtJTeY

篠原「さてと、身体冷えちゃったね。皆呼んで家の中戻ろっ、か……」

清瀬「……」キュッ

清瀬「う、うち、嫌いになったりしません、から……!ずっと此処に居ます。ずっと、こうやって手の届く距離に」

清瀬「お兄さんを忘れずに生きてくのは大事な事やけど、でも、でも……」

清瀬「アキくんを消さんといて下さい……っ」

篠原「……こんな風に誰かと手を繋ぐのなんて何年ぶりだろ」

清瀬(ああああまた勢い余って手なんか握ってしもた……!)

篠原「ありがとう、清瀬さん。もう、大丈夫だから」キュッ

清瀬「!」

篠原「あはは、二人共冷たくなってるからあんまり手の感覚ないや……って、清瀬さん?」

清瀬「しのしの篠原くんがうちの手を手を握り返しっ……ああ、いや先に握ったんはうちやないかい!う、うち……」フラフラ

篠原「え?何?誰か助けて清瀬さんが故障した!」


524: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:42:22 ID:r12WCtJTeY

──────‐‥


\ ゴチソウサマデシター! /


鳴海「ふぃー、腹一杯!もう動きたくねぇー」ゴロン

桃山「食べてすぐ寝転ばないの!お行儀悪いわね、もう!」

橘「自分が使った皿くらい下げろクズめ。まったく、お、お母さんに迷惑だろうが……!」

篠母「いいのよ、沢山手伝ってくれたものね。片付けはおばさんがやるから皆はゆっくりしてて」

鈴木「橘くん、今日はよく赤面するね」

篠原「橘はお兄ちゃんだからねー。たまには息子になればいいんだよ」

鈴木「なるほど。よく分からないけど了解した」

篠母「清瀬さんもゆっくりして頂戴。皿洗いなんてしなくていいから」

清瀬「あ、いえっ……これくらいは!」カチャカチャ

篠母「ふふ、娘が居たらこんな風に並んでキッチンに立ってたのかしらね」

清瀬「む、むすっ!?むすむす娘にキッチン!?そうです!そうですね!そうですよ!」

篠母「」ビクッ

篠母(さっき皆が故障したって言っていたけど、もしかしてこれの事かしら……)


525: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:43:40 ID:r12WCtJTeY

篠母「そうだ、ケーキもあるから後で皆で食べましょうね」ニコニコ

鳴海「ケーキあんの!?クリスマス最高ー!」

桃山「ふふ、スイーツは別腹よねー」

篠母「その前に皆にお願いがあるんだけど……いいかしら?」

橘「何なりと」キリッ

篠母「ツリーを出そうと思って。今更だけどね」

篠原「ツリー……?」

篠母「ずっと出していなかったけど、貴方達出したがっていたものね。ハルも毎年煩かったのよ」

篠原「ハルも……」

鳴海「約束してたんだろ、お前。ツリー飾るって。三年掛かっちまったけど、やろうぜ」

桃山「お手伝いくらいならアタシ達にも出来るものね。やりましょうよ」


526: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:44:28 ID:6.GQMZQyxE

 『来年はツリー飾ろうか、二人で』

 『わーい、約束だからね!アキ!』

 『うん、約束』



篠原「……っ」

篠原「約束、守れなかったけど……今更だけど……」

篠原「ハル、喜んでくれるかな……」

篠母「見ていてくれてるわよ、きっと。今日という日に雪を降らせてくれたのも、もしかしたら……なんてね」

篠原「あの、じゃあ、俺からもお願いします。クリスマスツリー、一緒に飾ってくれないかな」

篠原「一人じゃちょっと、踏み出せないから……」


527: ◆UTA.....5w:2012/12/4(火) 18:47:59 ID:r12WCtJTeY

清瀬「勿論!お手伝いさせて下さい!」

鈴木「ツリー、キラキラしてて可愛らしいから好きだよ」

橘「まあ、お、お母さんに頼まれたのなら仕方ない。手伝ってやろう」

篠原「ありがとう、皆。今日は本当に……ありがとう」

桃山「やだもう、お礼言い過ぎよ!ほら、ジングルベール、ジングルベール!」

鳴海「気持ち悪い歌声聞かせんじゃねぇよ」

桃山「何ですって!?アタシのエンジェルボイスを気持ち悪いだなんて!」

鳴海「はいはい、メリークリスマス」

桃山「何よもう、メリークリスマス!」

篠原「あはは、メリークリスマス!」

鈴木「ほら、息子。メリークリスマスだよ」

橘「は?息子……?」


篠母(メリークリスマス、ハル、アキ……)

篠母(生まれてきてくれて、ありがとう)


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