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3センチメンタル・ヤング・ピーポー【2】
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆UTA.....5w:2012/7/31(火) 17:25:45 ID:N3rkjbtVuM


高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───続行。


【前スレ目次】
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1327757079/993-995

【登場人物】
>>2-3

【当スレ目次】
>>768-769


429:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/9(金) 23:47:38 ID:Mq1eC4fuRs

篠原「……でも、楽しかったなあ。久しぶりにあんなに笑った」

篠原「これって皆のお陰だよね。ありがとね」ヘラリ

桃山「やぁね、改まっちゃって。しんみりしちゃうじゃないの」

橘「まあ、確かに色々とあった文化祭だったな。主に準備期間に」

鈴木「色々あったけれど私は嬉しかったよ、皆との距離が近付いた気がして」

篠原「うーん、それって俺の台詞だよね」

篠原「清瀬さんもありがと。いっぱい迷惑掛けてごめんね」

清瀬「いえ、そん、なっ……」


篠原の大きな手が清瀬の頭をわしゃわしゃと撫でる。

その手が温かかったからか、それとも気恥ずかしさからなのか。

触れられた部分が、じんわり熱を帯びてゆく。


清瀬「……」ギュッ


430:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/9(金) 23:54:12 ID:7lh7q/CYCQ

桃山「そうだ、最後のフォークダンス参加しにいきましょうよ!」

鳴海「……はあ?嫌なんすけどー」

鈴木「いや、行こう。今すぐに」グイッ

鳴海「ちょっ、何でっ……嫌だっつってんだろ馬鹿!引っ張るんじゃねー!」


嫌がる鳴海を半ば引き摺るようにして鈴木が教室を出た。

それを何かの合図とするように、桃山も笑顔で橘の腕を掴む。


橘「何のつもりだ。俺はオカマと踊る気なんかないぞ」

桃山「あら、じゃあ今だけ特別に男の部分見せちゃおうかしら」ニッコリ

橘「いっ……!?痛い痛い!骨が折れたらどうする、この怪力オカマが!」

桃山「ちょっとリストロックしただけじゃない。このまま脇固めしてやろうかしら、この軟弱メガネ男子め」


みしみしと関節が軋む音と鋭い痛みに、抵抗する術もなく橘は前へ前へと背中を押される。

彼が解放されたのは、廊下を少し歩いてからだった。

決して表現を誇張している訳ではない。本当に骨が折れるのではないかと思う程の激痛を伴うので、どうか良い子は真似をしないでほしいのである。


431:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/9(金) 23:55:38 ID:Mq1eC4fuRs

──廊下


鈴木「あーあ、パーカーが伸びちゃってる」

鳴海「お前が引っ張ったからな!」

鈴木「ごめんね、私達が居たら邪魔だと思ったから」

鳴海「邪魔?何が?」

橘「分かった分かった!ちゃんと歩くからもう放してくれ!」

桃山「……」パッ

橘「……っ、このオカマ……!」

桃山「まったく、アンタ達ときたら……もうちょっと空気読みなさいよね」ハァ

橘「?」キョトン


432:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:01:22 ID:Mq1eC4fuRs

鳴海「お前何かしたの?」

橘「いや、俺はただつまらん花火を眺めていただけだが?」

鳴海「俺もだけど?」

鳴&橘「?」キョトン

鈴木「鳴海くんは知っている筈だけど」

鳴海「俺?何をだよ」

鈴木「……」ヤレヤレ

桃山「んもうっ!ピヨちゃんでしょうが!」

桃山「これだから男子ってやぁね。乙女心をちっとも理解してないんだから……」ブツブツ

鳴海「ピヨ……乙女心……?」

鳴海「……あ、分かったかも」

橘「おい、俺にも分かるように説明しろ」

桃山「アンタは一人でダンスでも踊ってなさい!鈍感軟弱メガネ男子!」リストロック

橘「い゙っ……折れる折れる!手首が取れる!!」


433:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:02:25 ID:7lh7q/CYCQ

──教室


ギャアァァアァァァ…(鈍感軟弱メガネ男子の叫び声)


篠原「な、なんか叫び声が聞こえるんだけど……」ビクビク

篠原「皆いきなりどうしたんだろうね?俺達も行く?」

清瀬「……」

篠原「清瀬さん……?」

清瀬「あ、あの……うち……」


清瀬の手が篠原の服の裾に伸びる。

もごもごと口を動かしてはいるものの、喉の奥が震えて声が出せない。

もどかしい気持ちが彷徨って、裾を掴んだ手に力が入る。


清瀬「うち、篠原くんを傷付けてしもたんやないかって、思てました……」


434:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:06:14 ID:7lh7q/CYCQ

篠原「え?なんで?」

清瀬「だ、だって、うち……中途半端な気持ちのまま篠原くんの事、知りたいやなんて……」

清瀬「篠原くんの気持ち、全然考えてへんかった」

清瀬「じ、自分の好奇心だけ押し付けて、嫌われてしもたんやって、当然やって思てました」ジワァ

篠原(あ、泣いちゃう……)

清瀬「で、でも、篠原くんは話してくれました」グッ

篠原(……堪えた)

清瀬「うち、前に言いましたよね」

清瀬「篠原くんは格好良くて、いつも笑てて、キラキラしとって、友達思いの優しい人やって」

篠原「あー……うん。なんか恥ずかしい。褒め過ぎだよね」フヘ

清瀬「今でもやっぱり、そう思うんです」

篠原「えぇ!?」


435:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:09:25 ID:7lh7q/CYCQ

清瀬「あ、でもそれだけやないって分かったんで……!」

篠原(それだけで十分過ぎる程の評価だけどなあ……)

清瀬「泣いたり怒ったり、色んな篠原くんを見て、思たんです」

清瀬「憧れとか、好奇心とか、そ、そんなんとちゃうって」

清瀬「篠原くんはうちの、い、一番です。友達とは、また別の……」

篠原「ん?え?いち、ばん……?」

清瀬「もっと篠原くんの事知れたらって思うんやけど……だ、駄目ですか……?」

篠原「……」


436:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:10:23 ID:Mq1eC4fuRs

二人きりの教室に沈黙が流れた。

思い切った事をした所為か、清瀬にはやけに長く感じられる。

篠原の表情を伺おうにも、羞恥心が勝って顔を上げられない。


清瀬(うう……えらい事言うてしもた……)

清瀬(篠原くん、何も言うてくれへん……)


顔を伏せたままの清瀬には篠原の表情が見えていない。

口元を押さえた彼の頬が紅潮している事にも、当然気付いてはいない。


篠原(うわ、うわー……)

篠原(……一番だって、俺)


ぽん、と清瀬の頭に何かの重みを感じる。

わしゃわしゃと撫でまわすそれが、先程の掌だと気付くのに時間は要さなかった。


437:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:12:52 ID:Mq1eC4fuRs

篠原「……ありがと」

清瀬「へ?」

篠原「傷付いたとか嫌いだとか、そんな事思ってないよ。聞こえてない振りしてたけど、あの時も本当は嬉しかったんだ」

篠原「俺にも清瀬さんの事、沢山教えてほしいな」

清瀬「……」


ふにゃりと柔らかい笑みを浮かべる篠原を、放心状態で見上げる清瀬。

彼女の瞳はうるうると揺れて……


篠原「うぇ!?き、清瀬さん!?」

清瀬「ご、ごめんなさい……嫌われてないんや思たら、なんかっ……」ポロポロ

篠原「え、あの、ごめんなさい!泣かないでー!」


438:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:24:51 ID:7lh7q/CYCQ

清瀬「し、篠原くんは何も悪ないです。ホンマに、そんなんやなくて……」グシグシ

清瀬「すぐ、すぐ泣き止みますから……ううー……」ポロポロ

篠原「……ごめんね、これくらいしか思い付かないや」

清瀬「ふ、えっ……?」


不意に身体が引き寄せられ、清瀬の視界が暗くなる。

低身長の小さな身体は、すっぽりと篠原の腕の中に収まっていた。


清瀬(なななっ、何が起こって……どないしよ、どないしよ……!)

篠原「なんか俺、泣かしてばっかりだ。ごめんね」


激しく脈打つ心臓が煩い。

全身から自分の鼓動が鳴り響いているような感覚に目眩を起こしそうだ。

それでも背中を叩く篠原の手の心地好さに、清瀬は離れる事が出来なかった。


439:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:25:58 ID:7lh7q/CYCQ

橘「おい、何だそれ……何だそれええええ!」

篠原「」ビクッ

清瀬「」ビクッ


二人が向けた視線の先──窓の向こう側にグラウンドから叫ぶ橘の姿があった。

即座に距離を取る清瀬。
篠原は悪怯れる様子もなく、間の抜けた笑顔で友人達へと手を振った。


鳴海「え?マジ?上手くいったのかよ、あの二人」

鈴木「さあ。悪い結果にはなっていないようだけど」

桃山「篠くん……アタシの王子様が……」グスン

桃山「ううん、でもいいの。誰のものになろうとも、篠くんがアタシの王子様である事には変わらない」ゴシゴシ

桃山「篠くん!アイラービュー!」

橘「おい!俺は説明を要求するぞ!今すぐ降りて説明をしろ!」


440:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:26:57 ID:Mq1eC4fuRs

篠原「うわー、なんかむちゃくちゃ怒ってるよ、橘」

清瀬「ご、ごめんなさい、うちの所為で……」

篠原「ん?なんで清瀬さんの所為になるの?」

清瀬「……だって、」

篠原「あはは、大丈夫だよー」


心配ないと笑ってみせても清瀬の表情は晴れない。

どうしたものかと考えた結果、篠原は清瀬の手を取り満面の笑みを浮かべる。


清瀬「篠原、くん……?」

篠原「逃げちゃえ!」ダッ

清瀬「え?え?」


グラウンドから聞こえる橘の怒号を背に、突如として走りだした二人。

階段を降りた先で友人達が待ち構えている事には、まだ気付いてはいない。

そうして清瀬が肝心な事を伝えていないと気付いたのは、もう少し先のお話。


441:🎏 ◆UTA.....5w:2012/11/10(土) 00:32:18 ID:Mq1eC4fuRs
>>423-440
これにて投下終了します。

何だか最後の方はやっつけ感が凄いですが、少女漫画な展開を書こうなどと無茶な事をした結果です。
私の乙女心は何処へ行ってしまったのでしょうか。書いていて体が痒くて大変でした。

それでは、読んで下さった皆さんに最大級のありがとうを!
442:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/10(土) 00:49:40 ID:LbqPYmeHgU
やだ…キュンキュンする!キュンキュンするぅぅ!
可愛くて可愛くて震えるw

幸せな気分をありがとうC
443:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/10(土) 05:29:13 ID:Hg2zDz.Ujs
いいね!
すごくいいいいいいい!!

篠くんがピヨちゃんのを頭くしゃくしゃに撫でる仕草とか、引き寄せて包み込む時の表情まで行間からにじみ出てて…禿げたよ…やられたよおおおお!!


よかったな、ピヨちゃん。よかったな、篠くん。
橘、うるさいwww
鳴海は、ピヨちゃんの幸せなを喜んでいるんだろうなー(;∀;)イイハナシダナー


全力でしええええええええんんんんん!!
444:🎏 443:2012/11/10(土) 12:10:46 ID:IYtf.Fifp2
すません…↑脱字が酷いわ自分///
ぃやあ〜寝起きで興奮しちゃったよ…もう…恥ずかしい///


つ痒み止め
つCCC
橘に
つオクラホマミキサーの相手w

445:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/10(土) 13:07:58 ID:hXdwkOhFSM
えんだああああああ!
これは禿げるww髪の毛返せwww
PC見ながらニヤニヤしてしまったww
ご馳走様w

つCCCCCCCC
446:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/10(土) 15:34:21 ID:vJ5YwfnO9A
完結したなら保管庫依頼したほうがいいよ
ランキング1つ分空くし
447:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/10(土) 16:57:33 ID:Jrfetqurxk
>>446
まてまて、はやまるな!!>>1先生が『完結』って書いたならまだしも、今はまだ外野が言う事じゃないよ

完結したら勿論保管庫希望するけどさw
まだイベントが…年越したら女の子の告白イベントが待ってるんだよおおお!!
鈴木嬢には鳴海といい感じになって欲しいんだよおおおぅ…
読みたいおおぉぉ…

448:🎏 名無しさん@読者の声:2012/11/11(日) 17:51:01 ID:5j15m2A/Rg
この続き読みたい!
いいねー!こんな恋したいゼこのやろう!
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sage:


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