男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
59: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/26(水) 22:31:48 ID:nL.3mzOnnk
今回は此処までとさせて頂きます。支援して下さった方、本当にありがとうございます愛してます(´;ω;`)
二人の物語も後半戦に突入です。と言ってもそんなに長くはならないと思いますが…
もう少しお付き合い頂けると嬉しいです!
60: 名無しさん@読者の声:2011/10/27(木) 12:51:16 ID:PhXpzQBaE2
なんだか切なくなるよ〜CCCC
その内イラスト描いてもいいですか?
61: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/27(木) 23:24:57 ID:JR4yEITmE.
>>60
支援ありがとうございます!
ちゃんとハッピーエンド(私の中では)で終わる予定なので温かく見守ってやって下さい。
描いて頂けるなら喜んで!嬉しすぎて踊り狂います(*´・ω・`*)
62: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/27(木) 23:32:47 ID:VxWkJSWhZ2
男(しかしまぁ…随分とはしゃいじゃって。昨日とはえらい違いだな)
漠然と広がる景色を見ながら、昨日のめぐを思い出す。
男「何だか濃い一日だった…」
めぐ「?」
男「ああ、いや。ただの独り言」
63: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/27(木) 23:34:06 ID:VxWkJSWhZ2
暫く両足をぶらつかせながらはしゃいでいためぐだったが、一点を見つめるとその動きをピタリと止めた。
めぐの瞳がゆらゆらと揺れる。
青年がめぐの視線を辿ると、その先にはあの路地が見えた。
男「………」
訊きたい事は沢山ある。しかし、知ってしまうと別れが訪れるような気がして何も訊ねる事ができなかった。
青年は木の幹から手を離すと、その手でめぐの頭をポンポンと叩いた。
64: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/27(木) 23:45:21 ID:VxWkJSWhZ2
めぐ「お、男…あの、ね」
男「あー、えーっと…そうだ、」
青年がめぐの言葉を遮る。
あまりにも白々しいその態度に、出鼻をくじかれためぐは首を傾げた。
男「あのさ、前に話しただろ?猫のめぐ。あいつと出会った時も、こんな風に雨降ってたんだよな」
めぐ「…うん」
男「あいつも雨の中ずっとあそこに居てさ。なんか、放っておけなくて連れて帰っちゃってさ」
めぐ「……」
男「あいつと出会ったのも、めぐと同じ場所だったんだ」
65: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/27(木) 23:56:13 ID:JR4yEITmE.
二人の視線は静かに路地に流れた。
灰色の空の下、降り続ける雨に濡れる景色の中には未だに人の気配は感じられない。
肉眼で確認する事は出来ないが、あの路地にも人は居ないのだろう。
男「……何もしてやれなかったけど、めぐは幸せだったのかな」
ぽつりと呟く青年の肩にめぐは頭を預けた。少し強ばった青年の体は、風に揺れるめぐの髪に触れる度にその姿勢を崩していく。
やがて青年の表情から緊張の色が消えて、上目遣いのめぐと視線がぶつかった。
66: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 00:09:50 ID:JR4yEITmE.
めぐ「しあわせ…だったよ。めぐは、幸せだった」
男「…うん、そうだといいな」
めぐ「…だけど、そうじゃないかもしれない」
男「え?」
めぐ「とても暖かかったから。男の手が、とても暖かかったから。手放したくないと思ってしまった」
男「……」
青年は不思議な気持ちだった。
隣に座っている少女と共に過ごした黒猫は全く異なる存在である事は分かっているのに、まるで“めぐ”がそう言ってくれているようだった。
67: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 00:12:57 ID:VxWkJSWhZ2
二人の間に緩やかな沈黙が流れる。初めて会った時のような緊張感はなく、静かに寄り添っていた。
男「よし、帰るか!」
めぐ「うん」
青年は木の幹に手を掛けると、ゆっくりと下に向けて体をずらして動きを止めた。
男「……めぐちゃん」
めぐ「うん?」
男「コワイタスケテシンジャウ」
めぐ「……」
68: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 00:17:25 ID:VxWkJSWhZ2
今回の投下はこれにて終了です。
書き溜めが…底を突いた…orz
頑張ります。おやすみなさい。
69: 名無しさん@読者の声:2011/10/28(金) 01:03:45 ID:f79T6dgeUQ
支援だ
70: 60:2011/10/28(金) 01:43:37 ID:eKKdJuU0ww
許可してくださり有難うございます!!イラストスレに投稿しました!!
そしてつC
71: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 14:54:38 ID:H0rKvEN9d2
>>69
支援ありがとうございます!
男「ありがtごじゃmやべー咬んだ」
少女「日本語もまともに話せないなら喋らない方がいいと思うよ」
めぐ「激しく同意する」キリッ
男「」
>>70
拝見させて頂きました!そしてめぐの可愛さに興奮…!!
めぐがあんなに可愛い奴だとは…(*´д`*)ハァハァ
皆さんにも是非>>70さんの絵を見て頂きたいです!
男「……めぐたん」ゴクリ
少女「止めろ変態」
めぐ「」ビクビク
男「めぐたんhshs」ハァハァ
少女「もう駄目だこいつ」
72: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 22:21:10 ID:H0rKvEN9d2
***
男「〜♪」
鼻歌混じりに青年は歩き、そのテンポに合わせてめぐが歩いた。
時折くるくると回ってみせ、その度にパシャリと水の音が立つ。
物寂しい路地に二人のメロディーだけが響いていた。
めぐ「…っ」
二人が出会った場所、あの電柱の前で、ふと、めぐが足を止めた。
男「?めぐ?どうした?」
めぐ「……」
男「めぐ…?」
青年が前方に目をやると、電柱の陰に黒いワンピースを着た少女が一人、此方を見て立っていた。
その目はめぐに向けられており、憤慨しているように見える。
少女「…本当に懲りないね、君」
73: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 22:30:23 ID:aaFLsViIeI
少女の黒目がちなその瞳はどこかめぐに似ている。年はめぐと同じくらいだろうか。
幼い少女の眉間には皺が寄っていた。
男「な、なんか怒ってるけど…知り合い?」
青年がめぐに耳打ちをすると、少女は目を見開いて青年を見つめた。
少女「……驚いた、私まで分かるんだね。これは例外…いや、今の状態ならあり得ない事ではない?」
「いや、でも私は…」顔を顰めてぶつぶつと呟く少女を見て、青年は思わず笑った。
74: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 22:44:21 ID:H0rKvEN9d2
男「驚いたって、幽霊じゃあるまいし」
クスクスと笑う青年を目の前に、少女の表情は変わらない。
腕を組んでフンと鼻を鳴らすと、半ば投げ遣りな態度で青年に言った。
少女「そう見えるなら幽霊とでも呼ぶといいよ。名前なんて私は貰っていないからね」
男「え?どういう意味…」
少女は先程と同じ目をめぐに向ける。めぐはピクリと体を揺らすと、口を結んで俯いた。
青年はそんな二人を怪訝な目で交互に見る。めぐと少女の関係は分からないが、二人の間に流れる空気の重圧は感じていた。
75: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 22:57:37 ID:H0rKvEN9d2
男「あのー…二人はお友達?もしかして、めぐの待ち人って…」
少女「その質問に関してはどちらに対しても答えはNOだね」
少女は横目で青年を見やると溜め息を吐いた。
少女「…骨折り損のくたびれ儲けどころじゃないね。何の為にこれと一緒に居るんだい、めぐ?」
男「こ、これ!?これ呼ばわり!?」
76: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 23:06:20 ID:aaFLsViIeI
少女の問い掛けにめぐは口を結んだまま答えないでいた。俯いためぐの髪からは雫が滴り、雨具のフードで隠れてその表情は伺えない。
ただ、少女がその態度に苛立ちを覚えている事だけは青年にも明白だった。
少女「ねぇ、そこの君」
男「は、はい…?」
少女「君は本当に何も聞かされていないの?」
男「何もって、何が……」
チラリとめぐに目をやる。
俯いためぐの拳は固く握り締められ、小刻みに震えていた。
77: ◆b.qRGRPvDc:2011/10/28(金) 23:17:35 ID:aaFLsViIeI
少しですが今日はこれで投下終了です。支援して下さった方ありがとうございます!
少女「書き溜めがまた尽きたらしいよ」
男「変な所で止めやがって…気まずい事この上ないわ!」
少女「気まずいのは君じゃなくてめぐじゃない?」
めぐ「……ッチ」
男&少女「え…?」
めぐ「早く書けや>>1!!」
男&少女(キャラ違くね!?)
頑張ります。頑張りますとも(´;ω;`)
78: 名無しさん@読者の声:2011/10/29(土) 01:17:34 ID:sRkUVeeHaQ
続きが気になる…支援支援!!
質問なんですがめぐだけ名前があるのには何か意味があるのだろうか?
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