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出会う感情の名は、
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1: 1 ◆b.qRGRPvDc:2011/10/16(日) 19:19:06 ID:f4A63ChN1o
男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」

住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。

辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。

灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。

男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」

散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。


532: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2012/1/11(水) 21:33:58 ID:MRSrxwshJs

弟「ノエル、どうして…駄目だよ、そんなの嫌だ」

ノエルは穏やかな笑みを浮かべ、ゆるゆると首を横に振った。
運命に逆らってでも、姉を死なせてなるものか。例えそれが、自分という存在をなくしてしまうのだとしても。
ノエルの真っ直ぐで、決して揺るがない決意だった。

ノエル「言ったでしょう?君も、君のお姉さんも、沢山の人に愛されている。その中に、私も含まれているんだよ」


533: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2012/1/11(水) 22:03:14 ID:7sLdf6eHp.

語り掛けるノエルの体は光の粒に変わり、流れ続けた。少しずつ、少しずつ、ノエルの存在が消えてゆく。
あれ程にまで焦がれていた救いが、今となっては馬鹿馬鹿しくも思える。そんなものに縋らずとも、ノエルはこんなに満たされていた。

ノエル「……めぐに、謝らなくてはいけないね」

ノエルの視線が、手首に落とされる。
今のノエルを見て、めぐは何と言うのだろう。救いの道は開けたというのに、馬鹿な奴だと笑うのだろうか。よくやったと、褒めてくれるだろうか。
小さく鳴らした鈴の音に、ノエルは微笑んで頷いた。


534: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2012/1/11(水) 22:26:24 ID:MRSrxwshJs

ノエル「君に出会えて、私は十分に救われた」

弟「ノエル、ノエル…!嫌だ、消えないでよ」

ノエル「友達だと言ってくれて、“ノエル”と名付けてくれて、本当に嬉しかったよ」

ありがとう、と涙を流すノエルの表情に、以前の仏頂面は見る影もない。弟の前に立っているのは、艶めかしく輝く黒髪が眩しい、美しい少女だった。

弟「ノエル…」

ノエル「弟くん、私を見付けてくれて、ありがとう」

そうしてノエルは唇に弧を描いたまま、いつものように弟に言う。さあ、良い子は帰る時間だ、と。


535: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2012/1/11(水) 22:51:08 ID:MRSrxwshJs

ノエルの身体は今にも消えてしまいそうな程に色を失い、サラサラと流れ続けている。
弟は堪らずノエルを抱き締めた。その存在を確かめるように、しっかり腕の中に捕まえた。

ノエル「悲しむ事はないよ。私という存在は、君の記憶と共に消えるんだ。元に戻るだけさ」

弟「嫌だ!忘れない!忘れたくない!」

ふと、ノエルの手が弟をがっちりと掴んだ。

ノエル「もしも、ほんの少しでも私の欠片を残す事が許されるのなら…」


536: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2012/1/11(水) 23:23:22 ID:7sLdf6eHp.

涙に濡れるノエルの顔が、抱き締めた身体が、光となって消えてゆく。流れる涙をも黄金色に輝かせ、ノエルは声を上げた。

ノエル「どうか君だけは、君だけは私を──‥」

チリン、と鈴の音だけを残し、ノエルの声は途絶えた。僅かに残った光の粒が惜しむように弟の頬を掠め、何処かへ消えた。


弟「───…ノエル」


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