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絵を描き続けたら人生救われた

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Part6
469 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:13:35.18 ID:P1VUjXiJ0
書くの遅くてゴメン…
お盆にあるコミケの後にするか、前にするかで、悩んだ。
でも善は急げだって言って、コミケの前に行くことにした。
そに子にも話すと、
そに子「え、今なのww でも嬉しい、すごく」
と言ってくれた。そに子も、板尾の死にはショックを受けていたから。
そに子「どうしよう。スケブ持ってくよね?あとは…」
そこまでワクワクしてくれると、こっちも嬉しい。
良かった。
そして美大に行った。俺はそに子と二人で向かった。
正門の前に友人が立っていて手を振った。
友人「こっちこっちー」

470 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:18:46.94 ID:P1VUjXiJ0
友人「みんな来てくれるかと思ったけどねーwさすがに夏休みだし予定がw
でも石田は来てくれたよー良かったね」
石田「久しぶり!」
二人はニコニコしてなんだか楽しそうだった。
俺「久しぶりだね。今日はありがとう。」
自分でも分かるくらいもう女性に対しての苦手意識はなくなっていた。
俺はとにかく早く学芸受験の相談も聞いて欲しかった。

474 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 19:26:55.44 ID:P1VUjXiJ0
友人「長期休暇中だからねー、ほとんど建物の中入れないけど
色々見てまわろうかー」
美大の中を歩いていると、色々思い出した。
よく板尾に案内してもらった。
一緒に歩いた、去年のコミケのことも思い出された。
この計画も本当は…なんて思った。
なんだかとっても辛くなった。
そに子がずっと笑っていたのが救いだったかもしれない。
板尾のおかげでこの子にも会えたし…
そんな感傷モードに浸っているうちに美大探訪は過ぎていった。

475 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:33:07.89 ID:P1VUjXiJ0
支援ありがとう。ごめんなんだか書くの辛くて少し遅くなるかも。許してくれ。
友人「ほんじゃ、そろそろゆっくり話とかもしたいし、
俺の家に行ってゲームでもやろうよ」
友人はゲーム好きだった。
確かにゆっくり話もしたいとこだったし、家に行くってのはみんな賛成だった。
石田「あたしなんか作るねー」
そに子「わ、わたしも…手伝います…」
そに子は実家暮らしなのでそこまで料理はできなかった。
俺は、女性陣は可愛いなあ、なんて心のなかで思っていた。

477 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:39:47.02 ID:P1VUjXiJ0
友人の家につくと、石田さんが料理を作った。
そに子も少しは頑張ったらしいw
美味しかった、なんか感動した。
同級生の女の子が作った料理…
その後そに子は友人とゲームを始めた。
俺は色々と石田さんに話を聞くことにした。


478 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:52:06.23 ID:P1VUjXiJ0
俺「実は自分、学芸に行って美術の先生になりたくて…」
石田「らしいね。聞いたよ。あたしも受けたよ〜学芸」
石田「現実的に考えるなら母校の高校の美術の先生とかにも相談したら…?
あたしも高校の時は受験のために美術の先生と仲良くなったよw」
石田「田舎だから予備校も長期休暇とかしか行けなかったし」
俺「なるほどなあ。」
この日話していて分かったんだが、石田さんと俺は
地元が一緒だということも分かった。これには本当に驚いた。

479 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 19:56:30.34 ID:P1VUjXiJ0
石田「華丸君はきっと頭いいんだから、まず勉強頑張ればセンターで差がつくし
受験は大丈夫。あたしは応援しちゃうな〜」
これが美大生の思考なのだろうか。迷わず応援してくれた。
俺は自分の補って欲しいところを補ってくれるような、
そんな存在が現れた気がした。
石田「華丸君絵を描くの好きなんだね。板尾も上手かったもんね」
話は板尾の話にもなった。
同じ地元に受験、板尾の話…共通の話題が尽きることはなく、
石田さんとは本当に長い時間話している気がした。

481 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:02:22.31 ID:P1VUjXiJ0
その日はそんな感じで過ぎた。
そに子に帰り道でちょっとすねられた。ずっと話していたせいだ。
そに子「でも学芸受験のこと相談できる相手できてよかったね。
わたしはそういうの全然分からないし…」
あんたはエライ子だよ。
そして、このすぐ後にコミケが来る。
楽しみ半分、不安半分。
去年のことが懐かしく感じられた。

482 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:05:26.39 ID:P1VUjXiJ0
この時までは、本当に失うものが何もなかったんだと思う。
夢を追おうが、捨てようが、自分の選択次第だし、自由だった。
この時までの自分はある種幸せだったなあと思う。
悩んで、苦悩して。
色んな人に迷惑かけてみて。

483 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:09:11.22 ID:P1VUjXiJ0
そして、夏のコミケが来た。
夏コミは青春って感じがして、ほんとうに楽しい。
あくまで個人的感覚だが、若さと情熱で溢れている。
俺は友人のスペースで、そに子と友人と一緒に、本を売った。
前回同様、マッタリとだが本ははけてくれた。
すると、予期せぬ人が訪ねてきたのだ。

484 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:13:37.25 ID:P1VUjXiJ0
来たのは、石田さんだった。
石田「よ、頑張ってるねー」
友人「おっすー」
俺「あーおつかれー」
正直、ドキッとしてしまった。
純粋に、来てくれたことを嬉しく感じた。
この時、そに子はどんな風に思っていたんだろうか。

485 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:16:48.03 ID:P1VUjXiJ0
その後は特にイベントもなく
コミケ終わった後
石田さん含めて俺たち4人でメシを食べに行った。
俺は、その最中も石田さんに受験関連のことを聞き続けた。
石田さんに少し惹かれていたのか、
「美術の先生のなるんだ」ってことばかり考えていたのか。
両方だったと思う。
そに子はどう思っていたのだろうか。

486 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:19:37.07 ID:P1VUjXiJ0
その後、定期的に石田さんから連絡がくるようになった。
俺はそれが悪い気はしなかった。
もちろん、そに子への好意は全然生きていたし、
石田さんとの関わりは自分でもよく分からない感情だった。
でも9月に入ると、そんな寝ぼけたことを言ってられない
大きな壁にぶち当たる。

487 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:23:24.35 ID:P1VUjXiJ0
母の体に癌が見つかった。
元々俺の家は片親だった。
母と、社会人の兄。稼ぎ手も二人いたので、経済的に困ったことはなかったが。
兄に一度帰ってくるように言われた。
母は入院したらしい。
「これからどうなるんだ?」
「母さんは、どうなるんだ?」
混乱した。とりあえず実家に帰ることにした。

489 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 20:26:17.35 ID:AxZ3KAvM0
最終的に救われるのかと思いながら読んでるけど
なんかドキドキするわ

490 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:29:40.85 ID:P1VUjXiJ0
母は手術をした。
手術は上手くいった。しかしリウマチを発症した。
リウマチとは、手足がかたまって、時期に動かなくなる病だ。
それに進行の早いものだったらしい。
兄「母さんはなんとか大丈夫だったけど、分かってるよな?」
俺「うん…もう働けないし、段々世話も必要になる、ね…」
兄「お前大学辞めるとか言ってたけど」
兄「今まで俺たち散々母さんに迷惑かけてきたんだから」
俺「……」
兄「諦めろ。母さん生きているウチに自立して、立派なとこ見せるんだぞ」
この時俺は号泣していた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
自分が世界で一番不幸なんじゃないか、って思うくらいだった。

491 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:36:48.85 ID:P1VUjXiJ0
夢が敗れた気がした。
夢を追いたい、でも今から大学に一から行き直したら…
母が生きてるうちに、立派な社会人になりたい…
母にはどれだけ迷惑をかけたか。
幼い頃から、俺たち兄弟をずっと育ててくれた。
いつか恩返しをする。
そして、俺は人一倍人の死に敏感になってた。
板尾を失った時のことを思い出して、どうしようもなくなった。
諦める。そして真面目に就活して、絵は趣味にする…
そう、決心した。

492 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 20:38:03.72 ID:/qSLdoGG0
波乱万丈すぎわろた・・・

493 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:44:14.84 ID:P1VUjXiJ0
母が退院するまでしばらく俺は実家にいて、
兄と協力して車を出したり、病院に行ったりしていた。
地元にいると大学の友だちと会えなくて辛かった。もう授業も始まっていた。
でも、俺はこの「諦める」と決心した時、
まず最初に石田さんにメールした。泣きながら。
特に深い意味はなかったと思う。今まで散々学芸受験の相談にのってもらったし、
諦めるなら、はやくそのフシを石田さんに伝えるべきだと思った。
もちろんそに子とは電話とかたくさんしていたし。
俺は石田さんに細かい経緯とかも伝えた。
今思えば、石田さんにはそんなに込み入った事情まで言うべきじゃなかったって反省してる。
でもこういう時って、本当に誰かに話したくなるんだよな。
俺辛い、辛いんだよ〜って。

494 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 20:51:17.46 ID:9RSbwjTk0
あぁ…あぁ…(´・ω・`)


495 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:54:00.76 ID:P1VUjXiJ0
話ももう佳境です。八割くらいきたと思います。
今日中に終わることを目標にします。ごめん、長くて。
それから数日経った日の夜、石田さんから、
「〇〇駅に来て」とだけのメールが来た。
その駅は俺の実家の最寄りだった。
駅に行くと、石田さんが笑ってベンチに座っていた。
田舎の駅だから、平日夜でも人はまばらだった。

496 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 20:56:04.00 ID:rM5uJZI6O
がんばれ…!
見てるぞ!

497 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 20:58:11.18 ID:P1VUjXiJ0
石田「ちょうど私も地元に帰ってきたからさー、元気かなと思って」
明らかに嘘だった。こんな時期に、大学生が帰郷なんかするか?
まあ本当に何かあったのかもしれないが。
俺「そうなんだ」
石田「直接話したかった…元気かなって。無理してるんじゃないかって」
石田さんはきまり悪そうに笑った。
なんて言ったらいいか分からなかった。
上手く話せなくて何時間くらいそこに座っていたんだろう。

502 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 21:04:06.78 ID:P1VUjXiJ0
今思えば、石田さんは真っ直ぐな人だったんだろう。
一瞬美保を想起したが、それは考え過ぎだった。
石田「華丸くんはさ…そに子ちゃんが大事だよね。」
俺「誰よりも大事だと思うよ。」
石田「わたしはさ…ダメかな、ダメかもね…」
俺「……」
嫌な予感はした。告られたらリア充とか言われそうだが、
この時の精神状態で、誰かを振るというのは、きつかった。
なにしろ石田さんとの関係性は失いたくなかった。

503 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 21:06:07.55 ID:OdZOWMJl0
あああああああああ

504 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 21:06:27.45 ID:KTrBpjk70
石田さんずるいぞーこのタイミングはずるいぞー

506 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 21:07:46.30 ID:P1VUjXiJ0
石田「あたしはね…華丸くんが好きなんだ…」
嬉しいことである。とても嬉しい。
でも、今言わないで欲しかった。もっと別に仲良くやっていく方法もあったはずだ。
俺「ありがとう…でも…俺は…」
石田さんは強かった。表情一つ変えなかった。覚悟もしていたのかな。
石田さんは笑って、
石田「じゃあさ、儀式しようよ!」
と言い出した。
俺「儀式…?」

507 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 21:08:41.29 ID:SrZVKWX1O
くあああー

509 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 21:14:21.47 ID:P1VUjXiJ0
石田「わたくし、石田ゆり子は、博多華丸のことが、大好きです。
良かったら…付き合ってください!」
俺「ありがとう、ごめんなさい…」
石田「ふられちゃった」
石田さんはニシシとばかりに苦笑いした。
正直、その時俺は気持ちが持って行かれるんじゃないかと思った。
石田「恋人がいる人に告白するなんて、あたし卑怯だー」
石田「そに子ちゃんはいい子だもんね、あたしもがんばる」
何も言えなかった。

511 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 21:17:31.10 ID:P1VUjXiJ0
石田「華丸君は頑張りすぎないでね」
石田さんはそう言って改札をくぐっていった。
最後まで何も言わなかった気がする。
遠くで手を振られて、ただ振り返すしかなかった。
あまりに叙情的な景色だったから、ハッキリと覚えている。
自分でもなんだこの状況?ってなった。
心にぽかんと穴が開いたみたいだった。

526 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 22:45:45.48 ID:P1VUjXiJ0
石田さんとの時間は、夢を見ているかのようだった。
まるで、中学生に戻ったかのような、そんな青臭い自分を感じた。
家に戻ると兄が玄関にいた。
兄「女か。」
昔から兄は鋭かった。
母の病院に行かない夜は何があってもいいように
一緒に家にいて、二人で格ゲーをやっているのが普通だったからだ。
遅い時間に帰ってきたから不審に思ったんだろう。
兄「地元の友達にでも会ってきたのか」
俺「ま…そんなとこ…」

528 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 22:52:33.79 ID:P1VUjXiJ0
俺は、次の日かかりつけの眼科に行った。
思えば、小さい頃はよく母と病院にきたものだ。
この眼科もそうだった。
俺は診察の時先生に言った。
俺「実は母が…」
先生「そんなことがあったのか…華丸君が小さい時から知ってたからなあ
辛いけど、今はそばにいてあげて」
先生は初老のじいちゃんだ。
これが田舎の地元のいいところだ。
地元に戻れば、家族みたいな人がたくさんいる。
俺は元気をだそうと思った。

529 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 22:58:29.16 ID:P1VUjXiJ0
このじいちゃんにも、半年に一回の受診でしか会わないのに、
こうやって心配してくれるんだ。
石田さんだって、心配だったんだろう…
母のことで鬱屈としていた俺は元気をだそうと思った。
じきに、母は退院した。癌の方は一旦おk、ということになったようだった。
これからは自宅で、クスリで再発防止の抗がん治療をするようだった。
しかしリウマチがあったので、しばらく自宅で療養することになった。
あまり大学を休み続けるわけにもいかなかったので、俺は実家から戻ることにした。

530 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:05:12.39 ID:P1VUjXiJ0
久しぶりにもどってきた。
大学、絵、何もかもが久しぶりに思えた。
そに子がすごく心配してくれた。
なんだかほっとした。
だんだんと、日常をとりもどしていく気がした。
できる限り、実家のことを思い出さないようにしていた。
逃げていたのだろう。向き合うのが辛かった。

531 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:08:14.48 ID:P1VUjXiJ0
目的を失った俺はどうしたらいいか分からなかった。
夢…就活…
この頃絵を描くのがすごくつまらなくなった。
なんで描いているんだろう?
分からなくなった。
板尾がいたらなんて言ってくれたろう。
なんでアイツはあんなに絵を描くのが好きだったんだろう。
俺は分かって気になっていたが、分かっていなかったんだ。

534 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:14:57.61 ID:P1VUjXiJ0
そもそも、俺が絵を描くきっかけだったのは板尾。
板尾がいなくなって、俺は板尾の代わりに夢を追うような、
そんな気持ちで居たのかもしれない。
異性不信を克服するため、また恋ができるように、落ち込んでいた俺を板尾が
変えるために絵を薦めた。
今ではすっかり異性不信もなくなったし、
そに子がいた。
絵を描く意味が分からなかった。絵を描く必要があるのか。
そう考えだした。

535 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:18:46.30 ID:P1VUjXiJ0
そんな俺に、そに子が言ってきた。
そに子「冬のコミケの当落、もうすぐだね〜」
コミケ…?
俺は夏にそに子と一緒に冬コミの申し込みをしたのだった。
と言っても、そに子が張り切っていたので、全部そに子に任せていたのだが。
俺「コミケ…ね。一人で本出すってのでも…いいんじゃない?」
そに子「…え?」
俺「いや…絵を描ける気がしないし、本出せないわ、絶対」

536 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:23:25.78 ID:P1VUjXiJ0
そに子「絵…描かないの?」
俺「もう、描かないかもね…わかんね」
そに子「そんなん嫌だよ…そんな華丸さん嫌だ」
俺「なにが?」
そに子「なんで…絵楽しいって言ってよ、一緒に楽しく絵描こうよ」
俺「うるさいなあ、お前に何が分かるんだよ」
そに子「なんで?急に?絵描くでしょ?描かないなんて言わないでよ!」
俺「描かないもんは描かないんだよ、大体こんなもんなあ…!」
珍しく、大喧嘩だったと思う。

540 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:33:35.79 ID:P1VUjXiJ0
そに子は泣きしだした。
そに子「どうしちゃったの…嫌だよ、こんなの嫌だ…」
俺「俺だって分からないんだよ、なんで絵を描くのか。
絵を描いて夢を追う、それが全てだったんだよ。それがなくなった今意味なんて…」
そに子「絵を描くことに意味なんているの?楽しくて描いてたんでしょ?」
俺「板尾がいた時は楽しく描いてたよ…わかんねえんだよ俺も…アイツがいないと、描く意味ないんだよ…
夢を追ってれば俺の中で板尾がい続ける気がしてたんだよ…」
そに子「そんなの全部言い訳にしか聞こえないよ!そもそも、板尾さんの夢は板尾さんだけの夢じゃないの!?」
そに子は珍しく感情むき出しだった。
そに子「逃げないでよ!現実から!受け止めてよ…夢を諦めたって、
華丸さんが絵を描き続ければ板尾さんは生き続けるでしょ!?板尾さんが華丸さんに絵を教えてくれたんでしょ!?
そこで描くのやめてどうするの……?」

542 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:37:38.68 ID:P1VUjXiJ0
もう、ボロボロだった。
そに子「それに、私は華丸さんの絵が好きだもん…
わたしだけじゃないよ、きっと、今まで本を買ってくれた人も、PIXIVを見てくれる人も…
そういう人たち、みんな寂しい想いするんだよ…」
最早聞き取れないくらいに泣いていた。
俺「……」
俺はあっけに取られて、何も言えないでいた。

543 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 23:44:18.29 ID:RYEBXq840
ちょっ、そに子があまりにいい人すぎて涙出てきそうだわ。

544 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:46:47.23 ID:P1VUjXiJ0
そに子がこんなに泣いている。
俺は、俺は……
そに子「絵を描くのは…好きでしょ?」
俺「……好きに決まってるだろ」
絵を描くのは好きだ。だから今までずっと描いてきた。
下手なりに、もがきながら、見てくれる人たちがいたし、
ひたすら描きたいものを描いてきた。
思えば、絵を通してどれだけの人に出会い、どれだけの人に支えられたのか。
板尾もそう、そに子もそう、遠藤や石田さんだってそうだったろう…。
コミケで俺の本を買ってくれた一人一人の顔も覚えてる。
あの日、完売した俺たちに拍手をしてくれた隣のスペースの人たちのことも…
気づけば俺もボロボロだった。
俺「…描いて…みるわ…」
そに子「わたしより可愛い女の子、描いてよ」
俺「…それはどうかな…w」
泣きながら笑っていた。よく分からなかった。

545 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/13(火) 23:53:00.75 ID:P1VUjXiJ0
俺は、この年の冬コミに全力でぶつかることにした。
と言っても、普段通りに描くだけだったのだが。
普段通りのページ数で、普段通りの絵で、普段通りのイラスト本。
一緒に一冊作ろうと思っていたが
俺はこの一件で怒られたので
そに子「どっちが早く完売するか勝負する!」
と言われて結果個人本を描くことになった。
頑張りつつも普段通り。
それが楽しかった。絵を描くのが、楽しかった。

546 :名も無き被検体774号+:2011/12/13(火) 23:53:20.52 ID:2vWT++QeO
涙で画面が見えないんだが。
まじそに子がいいこだよ…。
>>1の周りには本当にいい人ばかりだな。大切にしろよ。

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