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絵を描き続けたら人生救われた

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Part2
82 :華丸:2011/12/12(月) 02:40:14.77 ID:C73jG/nL0
これは素直に嬉しかった。
板尾以外に自分の絵を見てくれる人がいるのも嬉しかったが、
自分の絵を気に入ってくれる人がいることが嬉しかった。
そして、そこに思いもよらぬ展開があった。
受付と言っても割と暇なので、俺はせまいギャラリー内をフラフラしていた。
俺の絵の前で立ち止まってる女の子がいた。
「うわ、俺の絵の前でずっと立ち止まってる…」
そしてその子はぼそっと「これいいな」と言って
俺の絵を写真に収めた。(撮影おkなので)

84 :華丸:2011/12/12(月) 02:43:24.07 ID:C73jG/nL0
(うわ…どうしよう言いたいわ。それ俺が描きましたって言いたい…)
すごく悶々とした。こんなことは初めてだった。
目の前で自分の絵を気に入ってくれた人がいる。
でも女の子だったし俺はすごく話しかけるのに戸惑った。
制服を着ていたし明らかにJKであることは分かった。

88 :華丸:2011/12/12(月) 02:51:27.13 ID:C73jG/nL0
すると向こうから来た。
その子は胸が大きい子だった。なのでそに子と呼ぶ。
そに子「あの…この絵描いた人って今ここにいますか?」
「(…!!)あ、それは…自分が…」
そに子「え、あなたが…すごいですね…!何使ったんですか?」
「え、えとデジタルで…ペインターとSAIで…」
もう、頭がクラクラしてどうにかなりそうだった。
今この状況が信じられない。

92 :華丸:2011/12/12(月) 02:57:25.26 ID:C73jG/nL0
よく覚えていないが、信じられないくらい質問攻めにあった気がする。
向こうも自分も顔真っ赤だったんじゃないだろうか。
そに子「また、明日も来ますね…!!」
そう言ってそに子は去った。展示会は二日間だったのだ。
ちなみに俺は二日目もシフトがあるようだった。
遠藤「ちょっとなんすか今のJK〜?」
ここで遠藤である。
「いや、初対面で…なんか俺の絵が良かったらしくて…」
不思議と、俺はこの時は動悸はあったが吐き気を催さなかった。
遠藤「で、連絡先聞いたんスか〜?」
お前はその喋り方をどうにかしろ。
「いやいや、そこまでしないだろ普通…」
遠藤「ふーん…」
しかしこの遠藤がやってくれるのである。
ちなみに二日目のシフトもコイツと一緒だった。

96 :華丸:2011/12/12(月) 03:04:39.98 ID:C73jG/nL0
展示会二日目。
二日目も割と盛況のようだった。
シフトはまた午後。
俺は一日目ほどの緊張はなく、なんだかゆったりとやれた。
でも部員の女の子と話すのは避けていた。
遠藤「おっす!昨日の子来るといいねww」
「お前はまだそんなことを…」
遠藤「なんか楽しいんだもんwってかずるいww」


97 :華丸:2011/12/12(月) 03:09:38.67 ID:C73jG/nL0
その時ギャラリーは静かだった。
受付の俺ら二人と、見てる方一人だけ。
遠藤「お、あの子来たぞ…」
入り口付近で遠藤が囁く。
(うるさいやつだなぁ…)
そに子「こんにちは…」
遠藤「昨日も来てくれましたよね、ありがとう」
そに子「はい、素敵な展示なので…」
遠藤の対応は予想以上に紳士的だった。

98 :華丸:2011/12/12(月) 03:13:51.67 ID:C73jG/nL0
「こ、こんにちは…」
笑ったつもりだったけど声すら出てなかった気もする、今となっては。
そに子「こんにちは、実は今日何回か来てたんですwやっと会えたw」
遠藤「そこまでして華丸に会いたいのかよーw」
そに子「い、いえ…」
正直、この時既に動悸起きすぎて氏ぬかと思ってた。

99 :華丸:2011/12/12(月) 03:21:20.20 ID:C73jG/nL0
耐えられなかったので、とりあえず展示の中に誘導した。
「お前何いってんだよ…」
遠藤「いいじゃない、もうファンだよ、ファンw」
でもファンって響きは良かった。
そに子「それじゃ…良い展示でした。ありがとうございました…」
「あ、はい…」
遠藤「あ〜ちょっと待ってよ!君高校生?」
そに子「はい…受験生です…」
そに子「でもこの〇〇大学さんの展示すごくよかったです。
ちょっと大変ですが頑張って絶対〇〇大学に来ます!」
遠藤「あ、おう、それはありがたい…」
遠藤が、ちょっとひいた。
そに子は顔を真っ赤にしている。なぜそんなことを言ったのか…

102 :華丸:2011/12/12(月) 03:26:41.17 ID:C73jG/nL0
そに子「華丸さんの絵すっごく気に入りました。私もああいう絵描きたいです」
「あ…いや…ありがとうございます…」
遠藤「わざわざ二日間来てくれる人なんて、きっといないよねー」
遠藤「せっかく来たんだし、連絡先くらい交換したらどうなのよ?」
遠藤のぶっぱが炸裂した。
そに子「いや…でも悪いですよいきなり」
「だよね…」
遠藤が俺の足を踏む。

103 :華丸:2011/12/12(月) 03:31:25.44 ID:C73jG/nL0
(いって…なんだ?)
まあその足踏みが何を言ってるのかは分かった。
「じゃあ…アドレス交換…しとく?これも何かの縁だし」
そに子「いいんですか…ありがとうございます…!!」
まさかこんな事になるとは思わなかった。
高2のあの日以来、初めて新たにできた女友達だった。
そに子「また連絡します!絵のこと教えて下さい!」
そに子は笑って帰った。
遠藤「……」

104 :華丸:2011/12/12(月) 03:38:24.71 ID:C73jG/nL0
遠藤「く、俺とも連絡先交換してくれると思ったのに…」
「いやそれはねーだろ」
遠藤「だってJKだよ?いいなあ、おかしいよ…」
確かにオカシイ。今自分の身に何が起きてるかよくわかってなかった。
俺は興奮してたのか、その日の作品搬出の作業で貧血で倒れそうになったので
ほとんど力になれなかったw
結果ずっと遠藤と話していた。と言うか搬出に男が遠藤しかいなかった。

105 :華丸:2011/12/12(月) 03:45:58.06 ID:C73jG/nL0
でもこの出会いは、すごく嬉しかった。
異性不信だった俺が凄く頑張れた、って本当に前向きになれた。
その後喜んで板尾に報告した。
板尾「やったじゃねえかwwきっとお前にとってその子は
どんな形であれ重要な存在になるよ。ゆっくり向きあっていきなよ」
「え、でもどうしようwwJKだよwww」
板尾「焦る必要はないよwwそれに来年同じ大学になるかもしれないんだろ?w
ゆっくりメールでもしてろよ」

106 :名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 03:47:30.63 ID:P77FgRo90
高校部活やってて貧血とは・・・えらく作品製作に根詰めたな

107 :華丸:2011/12/12(月) 03:48:52.97 ID:C73jG/nL0
>>106 そうなんだよ、とにかく大学に来てからの俺は貧弱の極みなんだよね。

108 :華丸:2011/12/12(月) 03:54:32.89 ID:C73jG/nL0
それからそに子と俺はちょくちょくメールをやりとりする仲になった。
割と定期的にって感じかな?でも会うことはなかった。
久しく女の子とメールなんてしてなかったけど、メールだと本当楽しく話せた。
どうやら彼女は本気で俺のいる大学を目指すことにしたらしい。
俺はといえば、板尾と一緒にコミケに申し込んで、
本格的に同人を始めることにした。
それが、大学1年の夏だった。

109 :華丸:2011/12/12(月) 04:00:32.50 ID:C73jG/nL0
さすがに人減ってきたかな?
俺はそれから板尾と一緒にコミケに向けて頑張ることにした。
各自一冊ずつ本を刷ろうってことにした。
板尾は上手いから個人でイラスト本刷っても多分全然イケる。
でも俺はまだまだ…って感じだった。
板尾は親友だけどそれ以上に憧れや妬みもあった。
板尾くらい上手く描きたい…そう思った。

113 :華丸:2011/12/12(月) 04:07:03.45 ID:C73jG/nL0
この頃割と板尾に対してただの親友って感情以外も、
絵に関わると妬みとかの感情も抱いてた。
馬鹿だなぁって今になって思う。俺は馬鹿だった。
でもちょっと上手くなってきて初心者の頃と違うから、
色々分かっちゃうんだよね。それが辛かった。
大学1年の夏〜秋は毎日泣いて絵を描くこともあった。
板尾に追いつきたいって、すごい必死だったとおもう。
絵を描くのが辛かったな、この時は。
もう当初の目的とかも忘れてたよ。

115 :名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 04:09:58.02 ID:GQSvVsZpO
今言われてもねw
この頃は1日何時間くらい描いてたんですか?

117 :華丸:2011/12/12(月) 04:14:51.64 ID:C73jG/nL0
>>115 大学サボることもけっこうあったし、一日10時間は描くようにしてたと思う。
でもその割に全然上手くならないから焦ってたんだと思う。

116 :華丸:2011/12/12(月) 04:13:00.41 ID:C73jG/nL0
俺にとっては、絵に関して言えば板尾が全てだった。
板尾がいなきゃ絵に出会えなかったし、立ち直ることすらなかったかもしれない。
だからこそ壁に感じてしまった。
板尾「そんなに焦らないで、自分なりの絵を探せばイイよ」
そう言ってアドバイスしてくれた。
でもそれすらも焦れったく感じた。
よく、優等生な兄弟に劣等感抱く人とかいるだろ?
多分そんな感じだったんだと思う。
必死こいて、板尾がびっくりするような本を描こうと頑張った。


118 :華丸:2011/12/12(月) 04:18:54.21 ID:C73jG/nL0
この時、俺は辛くなった時、板尾じゃなくて
割とそに子にメールとかするようになってたと思う。
元々絵がきっかけで知った子だったし、絵のことを相談しやすかった。
そして、コミケには落ちていた。板尾は落選した。
サークル参加はできなくなった。
なので、板尾の大学の友人のスペースに委託で本を置かせてもらうことにした。
サークルチケットも3枚あるので、俺と板尾と板尾の友人の3人で
売り子はできそうだった。

119 :名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 04:22:31.98 ID:CQ6F6M0FO
凄く青春って感じ
青年時代に好きなこと目一杯やるのが青春だ

120 :華丸:2011/12/12(月) 04:25:06.76 ID:C73jG/nL0
初めての同人誌制作はなかなかキツかった。
板尾に色々教わりながら、印刷所のことや原稿の形式とかを覚えた。
ジャンルは創作だった。これは絵を描き始めた時から決めてた。
オリジナルの女の子を描く。
俺は20ページ、オンデマンドでフルカラーのイラスト本を刷った。
50部。果たしてはけるのか。
板尾はオフセットでフルカラーのイラスト本を100部。
お互いはけるかどうか凄い不安だったと思う。

122 :華丸:2011/12/12(月) 04:28:15.52 ID:C73jG/nL0
今思うと、なんでこの時二人で合同本を出さなかったのか
それが今でも分からない。
自然にそうなってしまって…この時は二人で個人本を出すことになっていた
そに子は、なんとコミケに来てくれると言った。
実はあれから一度も会っていない。
こっちは絵を描くのに必死だし、こっちから会おうなんて言わないし…
向こうは向こうで受験勉強ですごく忙しそうだったからだ。

126 :華丸:2011/12/12(月) 04:37:12.44 ID:C73jG/nL0
美保「久しぶり、元気?」
メールだった。
ちなみに俺は中3の頃からアドレスを変えていない。
なぜこのタイミングで…?
俺はとにかく嫌な予感がした。
返信を返すべきか、2日くらい迷ったと思う。

128 :華丸:2011/12/12(月) 04:41:22.44 ID:C73jG/nL0
それと同時に、コミケ前だというのに凄く体調を崩した。
メシが食えなくなった。あの時と同じである。
トラウマって、やっぱすげーんだね。
さらに、知ってる人は知ってると思うんだけど
この年のクリスマスイブにフジファブリックってバンドのボーカルが亡くなったんだよ。
すっごく好きなバンドだったから俺はそれも凄いショックで、
クリスマスは家で一人で寝込んでたんだよ。
本当この年のクリスマスは色々と最悪だった。

131 :華丸:2011/12/12(月) 04:47:56.79 ID:C73jG/nL0
とりあえず俺は、
「元気にしてるよ」
とだけ返しておいた。返信しないならしないで角が立ちそうだったからだ。
でもこの選択でのちのち色々面倒なことが起こるのだが…
俺はこの時初めてそに子に電話してみた。
勇気を出して電話したと思う。それほど何かにすがりたかった。
書くほどでない内容のことを話しただけだと思う。
勉強頑張ってる?とかコミケなんて来て平気?とか。
そに子はひたすら、「なんとかなるんだよ」
としか言わなかった。
この時のこの一言にすごく元気づけられたのは今でも覚えてる。

135 :華丸:2011/12/12(月) 04:54:40.07 ID:C73jG/nL0
「異性不信」だった俺を、そに子が現れたことによって
ただの「美保不信」に変えてくれたのかもしれない。
とにかく俺の中でそに子の存在はどんどん大きくなっていった。
そう、もうこの時点でだいぶ異性不信はイイ方向に向かっていた。
あの時、美術部に思い切って籍を入れて良かった。
展示会に出て良かった。

136 :名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 04:54:53.70 ID:CQ6F6M0FO
1の文章が上手い故にトラウマ女に吐き気をもよおして来たが最後まで見るぞー

137 :華丸:2011/12/12(月) 04:58:55.81 ID:C73jG/nL0
>>136 ありがとう。
俺はそに子のお陰でなんとか点滴を打つまでにならずに済んだ。
病は気からとはまさにその通りだ。
今は板尾もいるしそに子もいる。なにせ絵だってある。
俺は意気揚々とコミケ当日を迎えた。
自分の本が早く見たい。苦労して描いた。
どれくらいの人が俺の本を見てくれるかな。
憧れの作家さんに会える。
そに子は本当に来るのかな。
もう、なんていうか楽しみなことしかなかった。

138 :華丸:2011/12/12(月) 05:06:33.56 ID:C73jG/nL0
ビッグサイト到着。
みんな大好き国際展示場である。
俺、板尾、板尾の友人の三人は、サークル参加。
サークル入場だからスムーズに入れるのである。
やぐら橋の前にはものすごい数の人の群れがある。
板尾「うはwwwこれ全部一般参加かwwwすごいなwww」
友人「あっちにはホストっぽい集団もいるよ…あれオタク?」
「色んな人がいるんだね…w」
見た目完全なオタクからホストっぽいイケメン集団まで、なんていうか本当に
色んな人がいた。なにより人の多さに圧倒された。

139 :名も無き被検体774号+:2011/12/12(月) 05:09:13.53 ID:8zSXZ0roO
読みやすくてイイネ
俺は夢を諦めたが1には頑張ってほしい

140 :華丸:2011/12/12(月) 05:12:27.80 ID:C73jG/nL0
スペース…!!俺達のスペース…!!
俺たちは創作ジャンルだったから西だった。
とりあえず机の上にあるビラをどけて、椅子を下ろして…
スペース作り。俺も板尾も興奮気味。
板尾「ちょwwwダンボール来てるww俺の本www」
「落ち着けよwwあ、俺のもあるよ!ww」
友人「…w」
板尾の友人は経験者なので、至って冷静だった。

142 :華丸:2011/12/12(月) 05:17:37.32 ID:C73jG/nL0
コミケ行ったことない人は分かりにくいかもしれないけど
コミケはサークル参加者ってのがいわゆる本を売る側。
スペースって言って自分たちの場所が与えられてそこで本を売る。
一般参加者の人たちはそれを購入しに来る人達のこと。
ちなみに俺と板尾はこのコミケの前の夏コミに二人で一般参加した。
板尾はひたすら創作を、俺は創作ととらドラとかの同人を漁った。

143 :華丸:2011/12/12(月) 05:24:48.83 ID:C73jG/nL0
初めて自分の本を見た時の感動はすごかった。言葉に出来ない。
これが…これが俺の初めての本…呆然とした。
その後俺は、コミケが開場する前の準備時間にひたすら憧れてる
作家さんのところに挨拶へ行った。
絵を描く上で影響になった人は数多い。
そして、スペースに戻って
「おい、板尾」
板尾「お、どした…今ポスタースタンド立てるのに手こずって…ハァハァ」
「いつもあなたの絵見てます、憧れです。これ、僕が描いた本です、良かったら…」
板尾「なにそれwwww」
「」
板尾「はいはい、ありがとう。これ、俺の本。俺だって華丸の絵は好きだよw」
俺たちは何やってんだw

154 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 16:23:35.35 ID:C73jG/nL0
とにかく、俺と板尾にとっては初コミケってこともあって本当に緊張だった。
スペースの準備が終わると、いよいよコミケ開始である。
「…只今より、コミックマーケットを開催致します」
パチパチパチパチ…!!
場内アナウンスと共にコミケが始まった。
板尾「うおお…始まるんだな…」
「こええ…」

155 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 16:28:35.17 ID:C73jG/nL0
「…ォオオオオ……!!」
遠くから地鳴りのようなものが聞こえる。
板尾「これが…俗に言う…!開幕ダッシュ…!!」
友人「なんだよそのテンションw」
こういったものを味わえるのもサークル参加の面白いところであった。
果たして、俺たちの本を買ってくれるお客さん第一号はどんな人なのか。
ドキドキ…女性がいるわけでもないのにやたら動悸がした。
正直けっこうしんどかったけど、板尾たちには黙っていたのはいい思い出だ。

157 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 16:39:30.67 ID:C73jG/nL0
開幕して5分、10分…くらいだったか。板尾は割と自身のサイトでも宣伝していたことがあり
早々に一発目が売れた。
俺・板尾・友人「ありがとございます!」
人のよさそうなお兄さんが買っていった。
板尾「おお、お…売れたぞ…この手で…直接…売った…」
板尾は感極まっているようだった。

158 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 16:44:18.55 ID:C73jG/nL0
俺もただ感動していた。
本当に、自分の絵を気に入ってくれた人に
直接向い合って、直接自分の作品を渡す…
板尾はやっぱり繁盛で、すぐに二人目が来る。
「板尾さん…ですか?いつもサイト拝見してます…」
俺たちと同年代くらいの、若い男の子だった。
板尾「マジですか…ありがとうございます…!」
その時の板尾の笑顔がとても嬉しそうで、今でも時々フラッシュバックする。

163 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 16:57:31.26 ID:C73jG/nL0
俺は予想以上に落ち着いた。
このまま仮に一部もはけなくてもいいな、なんて思い出したのを
今でもよく記憶してる。
でも、そんなことはなかった。
俺はこの時サイトやPIXIVで雀の涙ばかりの宣伝をしていた。
それが功を奏したのか。
俺より一回りの歳の離れた男性だった。
客「あなたが華丸さん…ですか。新刊一部お願いします」
「え、おお…は、ハイありがとうございます…!」

165 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 17:02:15.55 ID:C73jG/nL0
客「楽しみにしてました(ニコッ」
そう言ってその方は去っていった。
記念すべき、初めてのお客さん。
この記憶はもう一生忘れられないだろう。
「ちょちょ…み、見た!?俺の本!!売れた!売れたよ!!」
板尾「良かったなあ。ほんと、俺たち頑張ってよかったなあ」
自分の描いた絵を、誰かが確かに見ていてくれた。
その事実が本当に嬉しくて、感極まった。
この時の体験が、のちの俺を支える本当に貴重な体験だった。

168 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 17:08:24.62 ID:C73jG/nL0
なんやかんやで、板尾の本はペースを保ち続けて売れていった。
流石である。
俺はといえば鳴かず飛ばずかと思えば、案外ぼちぼち売れていった。
昼過ぎ…くらいだったか。
そに子が来た。本当にきてくれるなんて…
実に半年ぶりの再会であったが、すぐに気付いた。
ドキッとした。でも普段の動悸とは違うものだってすぐ分かった。

171 :華丸 ◆vk8BsG8fow :2011/12/12(月) 17:13:56.43 ID:C73jG/nL0
彼女自身、けっこうなオタでコミケには来ようか迷っていたらしい。
そして俺もいるし、結局来る決心をしたんだとか。
そに子「新刊一部、ください」
彼女は笑いながら言った。
俺も吹き出して、
「いやいや、お金はいりません」
なんて言ってそに子に本を渡した。
そに子「うわ、すいません…ありがとうございます…」
急に真面目になるそに子。

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