サシャ「味を占めちゃいましたかね?」
Part2
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:01:04 ID:D6Fg1C/A
ベルトルト「……つけたよ」
アニ「じゃあ、くるっと回って鳴いてみて」
ベルトルト「……」クルッ
ベルトルト「……わん」
アニ「……よし」ホッコリ
ベルトルト(あっ珍しい……アニが和んでる……)
アニ「じゃあ、この件はこれで終わりでーー」
ミーナ「ちょーっと待ったアニ、それはフェアじゃないよ? 喧嘩は痛み分けなんだから、アニもやってみせてあげないと」ガシッ
ベルトルト「え? いや、元々僕が悪いんだから、それは別に……」
ミーナ「だーめ。ーー私、アニがベルトルトから逃げてたの知ってるんだから」
アニ「ちょっ、なんでバラすのっ」アセアセ
ベルトルト「そうなの?」
ミーナ「本当本当。私、何度か『ベルトルトいないか見てきて』ってアニに頼まれーーおっと危ないっ」サッ
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:02:04 ID:D6Fg1C/A
アニ「避けるんじゃないよミーナ……お尻に当たらないでしょ……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ミーナ「だからぁ、喧嘩両成敗って言ってるでしょ? ベルトルトに謝る機会を与えなかったアニも同罪です。ーーほら、アニもやるやる」
アニ「……」チラッ
ベルトルト「……」ビクッ
アニ「……しょうがない、か」ハァ
ベルトルト「え? いいよアニ、無理してやらなくてもーー」
アニ「一度しか言わないから、耳の穴かっぽじってよく聞きなよ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ベルトルト(あわわわわわわわ僕の話聞いてない)
アニ「……」
アニ「…………………………にゃ、にゃあっ」ボソッ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:02:46 ID:D6Fg1C/A
ベルトルト(……あ、いいかも)ホッコリ
アニ「……」グッ
ミーナ「ベルトルト蹴ったらポーズも追加でもう一回ね」
アニ「…………」ピタッ
ミーナ「はいっ、これで仲直り! いいよね? 二人とも」
アニ「……」
ベルトルト「……」チラッ
アニ「……もう謝ったんだから、ビクビクするのやめなよ」ムスッ...
ベルトルト「あっ……うん、ごめん」
ミーナ「全くもう、アニったら素直じゃないんだから」クスクス
ベルトルト「ミーナ。……どうもありがとう」
ミーナ「ふふっ、どういたしまして!」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:03:27 ID:D6Fg1C/A
ユミル「ダメだ、私にはわからん……! 猫耳か犬耳かうさ耳かクマ耳か……どれが正解なんだ……!! くそっ!!」バシッ!!
コニー「うぉっ!? ーーなんだなんだ危ねえな。どうしたユミル」
ユミル「あえてクマ耳をつけてギャップ萌えを楽しめばいいのか……? いやでもぴょんぴょんしてるうさ耳クリスタも捨てがたい……」ブツブツ
コニー「お前自分の耳選んでるんじゃねえのかよ」
ユミル「私なんかその辺の草頭に刺しときゃそれで充分だ!!」クワッ!!
コニー「それ叱られるだろ。……おっ、これでいいんじゃね?」ヒョイッ
クリスタ「……おさかなの帽子?」
コニー「おう。被ってみ」
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:04:00 ID:D6Fg1C/A
ユミル「……」
クリスタ「きゃっ……この帽子大きいね……」ズルッ
コニー「魚の鳴き声ってなんだろうなー」ウーン...
クリスタ「……ぎょぎょぎょ?」
コニー「わかんねえことはアルミンに聞くのが一番だ。ーーおーいアルミン、魚の鳴き声ってなんだー?」
アルミン「魚は鳴かないよ、コニー」
コニー「そっか、ありがとなー! ーーというわけでクリスタ。鳴かなくていいらしいぞ。楽でよかったな」
クリスタ「えっ、喋っちゃダメってこと? それは困るなぁ……」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:08:19 ID:D6Fg1C/A
ユミル「……コニー」
コニー「なんだよ。箱の中にあったんだからこれでもいいだろ?」
ユミル「お前いい仕事したな」
コニー「お? ……おお、そうかよ」
ユミル「ぶかぶか帽子も……いいな……!」キラキラキラキラ
コニー「なんで新しい扉開いてんだ」
クリスタ「でも、これじゃ帽子がずり下がってくるし、お仕事できないよ……やっぱり猫耳にする」ゴソゴソ
クリスタ「がおーっ!」
コニー「あんまり怖くねえなー」
クリスタ「……」ショボン
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:08:59 ID:D6Fg1C/A
サシャ「ライナー! この耳どうですか? ミカサに選んでもらったんですけど」
ライナー(結婚しよ)ボーッ...
サシャ「……ライナー?」
ライナー「あっ……あー………………に、似合ってるな」ボソッ
サシャ「本当ですか!?」
ライナー「ああ。……かわいいんじゃないか?」
サシャ「私に聞かれても」
ライナー「………………かわいいぞ」
サシャ「……へへー」ニヘラ
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:09:49 ID:D6Fg1C/A
ライナー「おっとそうだ。今日は近道だとかうまいもんあるとか言って裏路地に入るなよ? 柄の悪い連中がいつもより多いからな」
サシャ「子どもじゃないんですからそんな簡単に入りませんってば。大丈夫ですよ」
ライナー「……あのな、忘れてるかもしれないが前科一犯だからな? 春にホイホイ知らない奴らについてったのはどこのどいつだ?」
サシャ「……あの時はご迷惑をおかけしました」ズーン...
ライナー「そう思ってるなら食欲で物を考える癖をなんとかしろ」
サシャ「はーい、気をつけます……」
ユミル「躾はちゃあんとしないとなぁ、飼い主さんよ。そいつ馬鹿犬だからな」ニュッ
クリスタ「もう、ユミルってば! サシャだってやればできる子なんだから!」
ミカサ「……ここは飼い主のお手並み拝見と行こう」チラッ
ライナー「見えてる間はなんとかなるんだがなぁ」
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:10:30 ID:D6Fg1C/A
クリスタ「そろそろ時間だから行こうよ、サシャ。私たちは西班だよね?」
サシャ「あっ、そうですね……じゃあみなさん、また後で!」
ライナー「……ちょっと待った。ーークリスタ、もう少しサシャを借りていいか? すぐ終わる」
クリスタ「? じゃあ私、ゆっくり歩いて先に行ってるねー」テクテク...
サシャ「どうかしました? ……あっ、拾い食いはしませんから大丈夫ですよ? ちゃんとお金出して食べますから!」グッ
ライナー「違う。ーー今日の空き時間、二人で出店回るか?」ヒソヒソ
サシャ「えっ? いいんですか? でもライナーは班長でしたよね? 時間取れないんじゃーー」
ライナー「少しくらいなら取れるだろ。とはいえいつになるかわからんからな、時間ができたらこっちから迎えに行く」
ライナー「あまり期待はするなよ? 行けない可能性のほうがずっと高いからな」
サシャ「……いえ、約束だけでも充分です。今日はお互い頑張りましょうね」
ライナー「ああ。……じゃあ、また後でな」ポン
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:11:40 ID:D6Fg1C/A
サシャ「……」
サシャ(さて、クリスタを追いかけないと……)スタスタ...
サシャ「……」
サシャ(「期待するな」って言われても……しちゃいますよね)
サシャ「……」
サシャ「ふーんふふーんふふーん♪」ピョンピョン
クリスタ「あれ? サシャ?」
クリスタ「……スキップしながら行っちゃった」
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:12:31 ID:D6Fg1C/A
ーー 誘導・南班 待機場所
アニ「……」ムスッ
ジャン「なあアニ、お前もうちょっと愛想よくしろって。ガキが逃げてくぞ?」
アニ「今ここにいないでしょ」
ジャン「そりゃそうだけどよ……」
ライナー「ジャンの言う通りだぞ、アニ。今からそんな調子でどうする」
アニ「……なんで誘導係なんて面倒くさいの、私たちがやらなきゃいけないんだろうね」ハァ
ユミル「同感だな。飲んだくれてる駐屯兵団だのふんぞり返ってる憲兵団だの使えばいいだろ」
ジャン「いや、そういうわけにもいかねえだろ。出店の仕切りもしなくちゃなんねえし、あちこちでスリだの恐喝だの盗みだの物騒なことばかり起きてやがる。駐屯兵団や憲兵団だけじゃ手が回んねえよ」
アニ「……祭でハメを外しすぎ」
ライナー「それだけじゃないぞ。冬の備蓄の買い付けに、遠くの村や町から来てる奴もいるからな。全員がハメを外してるわけじゃない」
ユミル「ああ、なるほど……右も左もわからないお上りさんが多いってわけか。ならず者にとっちゃあ稼ぎ時だな」
ライナー「そういうことだ。訓練兵は数だけは多いからな。こういう人手が必要な時に使わない手はないだろう」
アニ「……どうでもいい」ハァ
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:13:29 ID:D6Fg1C/A
ジャン「まあ、面倒くさがるアニの気持ちもわかるけどな。誘導係なんて当たり障りのねえ名前が付いてっけど、中身はただの雑用係だ。迷子もババアもまとめて面倒見てやらなくちゃなんねえ、クソ面倒くせえ仕事だよ」ケッ
ユミル「門の近くにいる案内係とか楽そうだよなぁ……。ありゃ実質ニコニコ笑って座りながらチラシ配ってるだけだかんな」ケッ
アニ「……なんだかギスギスしてるね」
ライナー「色々あったんだろ」
ユミル「最近のガキはませてるからなぁ……何度殴りたくなったものやら……」ウフフ
ジャン「ガキよりおばちゃんのほうが面倒だろ。目的がフワッフワしてる上に移り気だからな。何度聞いてもどこに行きたいのかわかんねえんだよ」
ライナー「誘導したことがあるのか? ジャン」
ジャン「何を隠そう、俺の訓練兵一年目はおばちゃんと過ごして終わった」フッ
ユミル「あーお前おばちゃん受けしそうだもんなー」
アニ「……へえ」
ジャン「ババアにモテてもちっとも嬉しくねえんだよ」ケッ
アニ「は? モテてるだけいいでしょ……?」イラッ
ジャン「!? ……なんでキレてんだ?」
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:14:19 ID:D6Fg1C/A
ジャン「そういやお前耳はどうしたんだよ、ユミル」
ユミル「あー、どっかに置いてきたー」
ライナー「おいおい……アニを見習えアニを。本当は恥ずかしいのにミーナに選んでもらったからって理由で律儀に着けて」
アニ「うるさい」ゲシッ
ライナー「いってぇ!?」ドサッ
ジャン「おいおい、ライナー大丈夫か!?」
ライナー「……ケツが割れた」ジンジン
ジャン「よし正常だ」
ユミル「問題ねえな」
アニ「砕け散ったらよかったのに」
リコ「ーーおい、何を騒いでいる?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:15:02 ID:D6Fg1C/A
アニ(駐屯兵団……!)バッ
ユミル(やっべ……耳着けてないのバレるかも)バッ
ジャン「ライナー倒れてる場合じゃねえって! 起きろ!」ヒソヒソ
ライナー「ちょっと待ってくれ、ケツが痛くて立てん……」ジンジン
リコ「そこの訓練兵! 耳はどうした!」
ユミル「申し訳ありません紛失しました!!」バッ
リコ「大丈夫だ。予備がある」ザラッ
ユミル「」
リコ「よりどりみどりだ。好きなものを選ぶといい」フフン
ユミル「……あの、自分はですね」
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:15:57 ID:D6Fg1C/A
リコ「なんだ? 好みの色が見つからないのか? そんな贅沢を言うくらいなら忘れ物はするものじゃないな」
ユミル「はあ、それはそうなんですが……」
リコ「特に気に入るものがないならうさ耳をおすすめしておこう。リボンのオマケ付きという豪華仕様だからな。ーーさあ、観念して選べ」
ユミル「……失礼ですが、上官殿には恥じらいや慎みといった感情はないのですか?」
リコ「恥だと……? そんな役に立たんものは、訓練兵のうちに巨人にでも食わせておくんだな」
ユミル「……じゃあ、これで」
リコ「結構。以後紛失しないように」スタスタ...
ジャン「……おっかねえ姉ちゃんだな」
ライナー「色々あるんだろ」
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:16:48 ID:D6Fg1C/A
リコ「……」スタスタ...
イアン「おーいリコ、こんなところにいたのか。ピクシス司令がお前を呼んで……」
リコ「ーーあぁん?」ギロッ
イアン「ひっ」ビクッ
リコ「……なんだイアンか。悪いね、気が立ってたんだ」
イアン「あ、いや……俺もいきなり声をかけてすまなかった」
リコ「それで何? 司令が呼んでるって?」
イアン「ああ。ーーなあ、司令と何かあったのか? 今の怒り方は尋常じゃなかったぞ?」
リコ「……イアン。私ね、ピクシス司令に呼び出されるのはこれで十四回目なんだよ」
イアン「……」
リコ「今は午前中。祭が始まってまだ一時間も経ってない。ーー意味わかる?」
イアン「……がんばれ」
リコ「だったら代わってよ」
イアン「…………すまん」
リコ「……」チッ
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:17:29 ID:D6Fg1C/A
ーー トロスト区 中央広場付近
サシャ「お、重かった……」ゼエハア
クリスタ「お疲れさま、サシャ。重いほう持たせちゃってごめんね?」
サシャ「いえ、じゃんけんで負けたから仕方がないですよ……さっきの人って駐屯兵団の人なんでしょうかね? 大きい看板のあるテントのほうに行っちゃいましたけど」
クリスタ「違うと思うな。仕立てのいい服を着てたから、内地から来た人なんじゃない?」
サシャ「クリスタもなかなかいい観察眼をお持ちですね。狩人になりますか?」
クリスタ「考えておくね」
サシャ「内地、ということは憲兵団の人ですかね? 運んだ荷物も立体機動装置のケースにそっくりでしたし」
クリスタ「ううん。あれはたぶん……ホルンのケースだね」
サシャ「ほるん? お菓子か何かですか?」キラキラキラキラ
クリスタ「そうだなぁ……角笛って言ったほうがサシャにはわかりやすいんじゃないかな?」
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:18:13 ID:D6Fg1C/A
サシャ「おおっ、なるほど……角笛ですか! 昔お父さんが片手間に作ってたりしました!」ポンッ
クリスタ「そうそう、その角笛だよ」
サシャ「……でもあんなに大きい角ってちょっと手に入りにくい気がするんですが」
クリスタ「元になったのが角笛ってだけで、楽器には動物の角は使ってないよ。ホルン自体は金属製だと思うなぁ」
サシャ「金属製ってことはラッパと同じ材質ってことですか? うるさそうですね」
クリスタ「ううん、そんなことないよ。ホルンはね、とっても柔らかい音がするんだよ。私は好きだなぁ……」
サシャ「へえ、クリスタはホルンの音を聞いたことあるんですか? でもあの楽団の人、内地から来たんじゃーー」
クリスタ「って本に書いてあったから一度聞いてみたいなぁって思ってたのっ!!」アセアセ
サシャ「へー、そうなんですかー」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:18:52 ID:D6Fg1C/A
クリスタ「ずっと話してたらみんな待たせちゃうよね。そろそろ行く?」
サシャ「ああ、お腹が空いて力が出ない……」ヨロヨロ...
クリスタ「クッキーは食べちゃダメ」
サシャ「……一枚くらいなら」
クリスタ「ダメ」キッパリ
サシャ「……」グスン
クリスタ「泣いてもダメ。……ほら、早く行こう?」
サシャ「私はもう少し休憩してから行きます、疲れましたし……」
クリスタ「クッキー」
サシャ「食べませんってば」
クリスタ「じゃあ信じるからね? 先に戻ってるよ?」
サシャ「はい、また後で会いましょう」フリフリ
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:19:35 ID:D6Fg1C/A
サシャ「……」
サシャ「クリスタ様神様すみません、私は悪い子です」スクッ
サシャ「本当はこれっぽっちも疲れてません。元気でした。でもクッキーは食べないので許してください」ペコッ
サシャ「……よし」
サシャ(さーて、では出店をちょろっと見て回りましょうかね。休み時間だけじゃ全部見て回れないですし)クルッ
サシャ(やっぱり普段より数が多いですねー……あっ、串焼きおいしそう)テクテク...
サシャ(場所を覚えといて、後で一緒に来ましょうか。えーっと、あの店とあの店と……)キョロキョロ
サシャ(ーーこんなものですかね。大体チェックしましたし、そろそろ戻りますか)クルッ
サシャ「……」スタスタ...
サシャ(……売り切れたりしませんよね?)ピタッ
サシャ「……」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:20:19 ID:D6Fg1C/A
サシャ(だって、後で一緒に回るって約束しましたしね。……いつ迎えに来るか全然わかりませんけど)グルグル
サシャ(買って持って行ってあげるって手もありますけどタイミング悪い可能性もありますしでもおいしいかどうか調査しておくことって大事ですよねでもでもでもでもでも)グルグル ウロウロ
サシャ(ああっ……後ろ髪ひかれる思いです……! まるで本当に後ろの裾を引っ張られているような……!)
サシャ「……裾?」クルッ
???「……」ジーッ...
サシャ「……?」キョトン
???「おかしくれなきゃいたずらするぞ!」
サシャ「……私にですか?」
???「そう!」
サシャ「……そちらの手に持ってる芋は?」
???「べつばら!」
サシャ「なるほど」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:20:59 ID:D6Fg1C/A
サシャ「えーっと、えーっと……クッキークッキー」ガサゴソガサゴソ
サシャ(ありましたありました、割れてませんね。これを渡せばいいわけですね)ジッ...
サシャ「……」
???「どうしたのー? くれないのー?」
サシャ「いえ、その……」
サシャ(支給品とはいえ、食べ物を人に渡すのは……うぐぐぐぐ)
サシャ「ど、どうぞ……」グスッ...
???「おねえちゃんお腹すいてるの? おいもさん半分あげようか?」パカッ
サシャ「ううっ、ありがとうございますぅ……」グスグス
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:21:39 ID:D6Fg1C/A
サシャ「やっぱりふかし芋はおいしいですね!」モグモグ
???「ねー」モグモグ
サシャ「ふぅ。ーーそれではごちそうさまでした。このご恩は忘れませんから」ペコペコ
???「ううん、いいよ。クッキーありがとう」
サシャ「いえいえ、芋に比べたら私のクッキーなんて大したことありませんよ」
???「そうかなぁ、クッキーもおいしいよ?」サクサク
サシャ「まあクッキーがおいしいのは当然なんですが……ところであなた、お母さんかお父さんはどうしました? 一人でこの辺りを歩いてちゃ危ないですよ?」キョロキョロ
???「……あれ?」キョトン
サシャ「……もしかして、迷子になっちゃいました?」
???「ちがうもん! おかあさんが迷子になったんだよ!」ブンブン
サシャ「はぁ、そうですか」
サシャ(迷子札……はつけてませんよね)ジーッ...
ベルトルト「……つけたよ」
アニ「じゃあ、くるっと回って鳴いてみて」
ベルトルト「……」クルッ
ベルトルト「……わん」
アニ「……よし」ホッコリ
ベルトルト(あっ珍しい……アニが和んでる……)
アニ「じゃあ、この件はこれで終わりでーー」
ミーナ「ちょーっと待ったアニ、それはフェアじゃないよ? 喧嘩は痛み分けなんだから、アニもやってみせてあげないと」ガシッ
ベルトルト「え? いや、元々僕が悪いんだから、それは別に……」
ミーナ「だーめ。ーー私、アニがベルトルトから逃げてたの知ってるんだから」
アニ「ちょっ、なんでバラすのっ」アセアセ
ベルトルト「そうなの?」
ミーナ「本当本当。私、何度か『ベルトルトいないか見てきて』ってアニに頼まれーーおっと危ないっ」サッ
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:02:04 ID:D6Fg1C/A
アニ「避けるんじゃないよミーナ……お尻に当たらないでしょ……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ミーナ「だからぁ、喧嘩両成敗って言ってるでしょ? ベルトルトに謝る機会を与えなかったアニも同罪です。ーーほら、アニもやるやる」
アニ「……」チラッ
ベルトルト「……」ビクッ
アニ「……しょうがない、か」ハァ
ベルトルト「え? いいよアニ、無理してやらなくてもーー」
アニ「一度しか言わないから、耳の穴かっぽじってよく聞きなよ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ...
ベルトルト(あわわわわわわわ僕の話聞いてない)
アニ「……」
アニ「…………………………にゃ、にゃあっ」ボソッ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:02:46 ID:D6Fg1C/A
ベルトルト(……あ、いいかも)ホッコリ
アニ「……」グッ
ミーナ「ベルトルト蹴ったらポーズも追加でもう一回ね」
アニ「…………」ピタッ
ミーナ「はいっ、これで仲直り! いいよね? 二人とも」
アニ「……」
ベルトルト「……」チラッ
アニ「……もう謝ったんだから、ビクビクするのやめなよ」ムスッ...
ベルトルト「あっ……うん、ごめん」
ミーナ「全くもう、アニったら素直じゃないんだから」クスクス
ベルトルト「ミーナ。……どうもありがとう」
ミーナ「ふふっ、どういたしまして!」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:03:27 ID:D6Fg1C/A
ユミル「ダメだ、私にはわからん……! 猫耳か犬耳かうさ耳かクマ耳か……どれが正解なんだ……!! くそっ!!」バシッ!!
コニー「うぉっ!? ーーなんだなんだ危ねえな。どうしたユミル」
ユミル「あえてクマ耳をつけてギャップ萌えを楽しめばいいのか……? いやでもぴょんぴょんしてるうさ耳クリスタも捨てがたい……」ブツブツ
コニー「お前自分の耳選んでるんじゃねえのかよ」
ユミル「私なんかその辺の草頭に刺しときゃそれで充分だ!!」クワッ!!
コニー「それ叱られるだろ。……おっ、これでいいんじゃね?」ヒョイッ
クリスタ「……おさかなの帽子?」
コニー「おう。被ってみ」
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:04:00 ID:D6Fg1C/A
ユミル「……」
クリスタ「きゃっ……この帽子大きいね……」ズルッ
コニー「魚の鳴き声ってなんだろうなー」ウーン...
クリスタ「……ぎょぎょぎょ?」
コニー「わかんねえことはアルミンに聞くのが一番だ。ーーおーいアルミン、魚の鳴き声ってなんだー?」
アルミン「魚は鳴かないよ、コニー」
コニー「そっか、ありがとなー! ーーというわけでクリスタ。鳴かなくていいらしいぞ。楽でよかったな」
クリスタ「えっ、喋っちゃダメってこと? それは困るなぁ……」
ユミル「……コニー」
コニー「なんだよ。箱の中にあったんだからこれでもいいだろ?」
ユミル「お前いい仕事したな」
コニー「お? ……おお、そうかよ」
ユミル「ぶかぶか帽子も……いいな……!」キラキラキラキラ
コニー「なんで新しい扉開いてんだ」
クリスタ「でも、これじゃ帽子がずり下がってくるし、お仕事できないよ……やっぱり猫耳にする」ゴソゴソ
クリスタ「がおーっ!」
コニー「あんまり怖くねえなー」
クリスタ「……」ショボン
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:08:59 ID:D6Fg1C/A
サシャ「ライナー! この耳どうですか? ミカサに選んでもらったんですけど」
ライナー(結婚しよ)ボーッ...
サシャ「……ライナー?」
ライナー「あっ……あー………………に、似合ってるな」ボソッ
サシャ「本当ですか!?」
ライナー「ああ。……かわいいんじゃないか?」
サシャ「私に聞かれても」
ライナー「………………かわいいぞ」
サシャ「……へへー」ニヘラ
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:09:49 ID:D6Fg1C/A
ライナー「おっとそうだ。今日は近道だとかうまいもんあるとか言って裏路地に入るなよ? 柄の悪い連中がいつもより多いからな」
サシャ「子どもじゃないんですからそんな簡単に入りませんってば。大丈夫ですよ」
ライナー「……あのな、忘れてるかもしれないが前科一犯だからな? 春にホイホイ知らない奴らについてったのはどこのどいつだ?」
サシャ「……あの時はご迷惑をおかけしました」ズーン...
ライナー「そう思ってるなら食欲で物を考える癖をなんとかしろ」
サシャ「はーい、気をつけます……」
ユミル「躾はちゃあんとしないとなぁ、飼い主さんよ。そいつ馬鹿犬だからな」ニュッ
クリスタ「もう、ユミルってば! サシャだってやればできる子なんだから!」
ミカサ「……ここは飼い主のお手並み拝見と行こう」チラッ
ライナー「見えてる間はなんとかなるんだがなぁ」
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:10:30 ID:D6Fg1C/A
クリスタ「そろそろ時間だから行こうよ、サシャ。私たちは西班だよね?」
サシャ「あっ、そうですね……じゃあみなさん、また後で!」
ライナー「……ちょっと待った。ーークリスタ、もう少しサシャを借りていいか? すぐ終わる」
クリスタ「? じゃあ私、ゆっくり歩いて先に行ってるねー」テクテク...
サシャ「どうかしました? ……あっ、拾い食いはしませんから大丈夫ですよ? ちゃんとお金出して食べますから!」グッ
ライナー「違う。ーー今日の空き時間、二人で出店回るか?」ヒソヒソ
サシャ「えっ? いいんですか? でもライナーは班長でしたよね? 時間取れないんじゃーー」
ライナー「少しくらいなら取れるだろ。とはいえいつになるかわからんからな、時間ができたらこっちから迎えに行く」
ライナー「あまり期待はするなよ? 行けない可能性のほうがずっと高いからな」
サシャ「……いえ、約束だけでも充分です。今日はお互い頑張りましょうね」
ライナー「ああ。……じゃあ、また後でな」ポン
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:11:40 ID:D6Fg1C/A
サシャ「……」
サシャ(さて、クリスタを追いかけないと……)スタスタ...
サシャ「……」
サシャ(「期待するな」って言われても……しちゃいますよね)
サシャ「……」
サシャ「ふーんふふーんふふーん♪」ピョンピョン
クリスタ「あれ? サシャ?」
クリスタ「……スキップしながら行っちゃった」
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:12:31 ID:D6Fg1C/A
ーー 誘導・南班 待機場所
アニ「……」ムスッ
ジャン「なあアニ、お前もうちょっと愛想よくしろって。ガキが逃げてくぞ?」
アニ「今ここにいないでしょ」
ジャン「そりゃそうだけどよ……」
ライナー「ジャンの言う通りだぞ、アニ。今からそんな調子でどうする」
アニ「……なんで誘導係なんて面倒くさいの、私たちがやらなきゃいけないんだろうね」ハァ
ユミル「同感だな。飲んだくれてる駐屯兵団だのふんぞり返ってる憲兵団だの使えばいいだろ」
ジャン「いや、そういうわけにもいかねえだろ。出店の仕切りもしなくちゃなんねえし、あちこちでスリだの恐喝だの盗みだの物騒なことばかり起きてやがる。駐屯兵団や憲兵団だけじゃ手が回んねえよ」
アニ「……祭でハメを外しすぎ」
ライナー「それだけじゃないぞ。冬の備蓄の買い付けに、遠くの村や町から来てる奴もいるからな。全員がハメを外してるわけじゃない」
ユミル「ああ、なるほど……右も左もわからないお上りさんが多いってわけか。ならず者にとっちゃあ稼ぎ時だな」
ライナー「そういうことだ。訓練兵は数だけは多いからな。こういう人手が必要な時に使わない手はないだろう」
アニ「……どうでもいい」ハァ
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:13:29 ID:D6Fg1C/A
ジャン「まあ、面倒くさがるアニの気持ちもわかるけどな。誘導係なんて当たり障りのねえ名前が付いてっけど、中身はただの雑用係だ。迷子もババアもまとめて面倒見てやらなくちゃなんねえ、クソ面倒くせえ仕事だよ」ケッ
ユミル「門の近くにいる案内係とか楽そうだよなぁ……。ありゃ実質ニコニコ笑って座りながらチラシ配ってるだけだかんな」ケッ
アニ「……なんだかギスギスしてるね」
ライナー「色々あったんだろ」
ユミル「最近のガキはませてるからなぁ……何度殴りたくなったものやら……」ウフフ
ジャン「ガキよりおばちゃんのほうが面倒だろ。目的がフワッフワしてる上に移り気だからな。何度聞いてもどこに行きたいのかわかんねえんだよ」
ライナー「誘導したことがあるのか? ジャン」
ジャン「何を隠そう、俺の訓練兵一年目はおばちゃんと過ごして終わった」フッ
ユミル「あーお前おばちゃん受けしそうだもんなー」
アニ「……へえ」
ジャン「ババアにモテてもちっとも嬉しくねえんだよ」ケッ
アニ「は? モテてるだけいいでしょ……?」イラッ
ジャン「!? ……なんでキレてんだ?」
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:14:19 ID:D6Fg1C/A
ジャン「そういやお前耳はどうしたんだよ、ユミル」
ユミル「あー、どっかに置いてきたー」
ライナー「おいおい……アニを見習えアニを。本当は恥ずかしいのにミーナに選んでもらったからって理由で律儀に着けて」
アニ「うるさい」ゲシッ
ライナー「いってぇ!?」ドサッ
ジャン「おいおい、ライナー大丈夫か!?」
ライナー「……ケツが割れた」ジンジン
ジャン「よし正常だ」
ユミル「問題ねえな」
アニ「砕け散ったらよかったのに」
リコ「ーーおい、何を騒いでいる?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:15:02 ID:D6Fg1C/A
アニ(駐屯兵団……!)バッ
ユミル(やっべ……耳着けてないのバレるかも)バッ
ジャン「ライナー倒れてる場合じゃねえって! 起きろ!」ヒソヒソ
ライナー「ちょっと待ってくれ、ケツが痛くて立てん……」ジンジン
リコ「そこの訓練兵! 耳はどうした!」
ユミル「申し訳ありません紛失しました!!」バッ
リコ「大丈夫だ。予備がある」ザラッ
ユミル「」
リコ「よりどりみどりだ。好きなものを選ぶといい」フフン
ユミル「……あの、自分はですね」
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:15:57 ID:D6Fg1C/A
リコ「なんだ? 好みの色が見つからないのか? そんな贅沢を言うくらいなら忘れ物はするものじゃないな」
ユミル「はあ、それはそうなんですが……」
リコ「特に気に入るものがないならうさ耳をおすすめしておこう。リボンのオマケ付きという豪華仕様だからな。ーーさあ、観念して選べ」
ユミル「……失礼ですが、上官殿には恥じらいや慎みといった感情はないのですか?」
リコ「恥だと……? そんな役に立たんものは、訓練兵のうちに巨人にでも食わせておくんだな」
ユミル「……じゃあ、これで」
リコ「結構。以後紛失しないように」スタスタ...
ジャン「……おっかねえ姉ちゃんだな」
ライナー「色々あるんだろ」
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:16:48 ID:D6Fg1C/A
リコ「……」スタスタ...
イアン「おーいリコ、こんなところにいたのか。ピクシス司令がお前を呼んで……」
リコ「ーーあぁん?」ギロッ
イアン「ひっ」ビクッ
リコ「……なんだイアンか。悪いね、気が立ってたんだ」
イアン「あ、いや……俺もいきなり声をかけてすまなかった」
リコ「それで何? 司令が呼んでるって?」
イアン「ああ。ーーなあ、司令と何かあったのか? 今の怒り方は尋常じゃなかったぞ?」
リコ「……イアン。私ね、ピクシス司令に呼び出されるのはこれで十四回目なんだよ」
イアン「……」
リコ「今は午前中。祭が始まってまだ一時間も経ってない。ーー意味わかる?」
イアン「……がんばれ」
リコ「だったら代わってよ」
イアン「…………すまん」
リコ「……」チッ
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:17:29 ID:D6Fg1C/A
ーー トロスト区 中央広場付近
サシャ「お、重かった……」ゼエハア
クリスタ「お疲れさま、サシャ。重いほう持たせちゃってごめんね?」
サシャ「いえ、じゃんけんで負けたから仕方がないですよ……さっきの人って駐屯兵団の人なんでしょうかね? 大きい看板のあるテントのほうに行っちゃいましたけど」
クリスタ「違うと思うな。仕立てのいい服を着てたから、内地から来た人なんじゃない?」
サシャ「クリスタもなかなかいい観察眼をお持ちですね。狩人になりますか?」
クリスタ「考えておくね」
サシャ「内地、ということは憲兵団の人ですかね? 運んだ荷物も立体機動装置のケースにそっくりでしたし」
クリスタ「ううん。あれはたぶん……ホルンのケースだね」
サシャ「ほるん? お菓子か何かですか?」キラキラキラキラ
クリスタ「そうだなぁ……角笛って言ったほうがサシャにはわかりやすいんじゃないかな?」
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:18:13 ID:D6Fg1C/A
サシャ「おおっ、なるほど……角笛ですか! 昔お父さんが片手間に作ってたりしました!」ポンッ
クリスタ「そうそう、その角笛だよ」
サシャ「……でもあんなに大きい角ってちょっと手に入りにくい気がするんですが」
クリスタ「元になったのが角笛ってだけで、楽器には動物の角は使ってないよ。ホルン自体は金属製だと思うなぁ」
サシャ「金属製ってことはラッパと同じ材質ってことですか? うるさそうですね」
クリスタ「ううん、そんなことないよ。ホルンはね、とっても柔らかい音がするんだよ。私は好きだなぁ……」
サシャ「へえ、クリスタはホルンの音を聞いたことあるんですか? でもあの楽団の人、内地から来たんじゃーー」
クリスタ「って本に書いてあったから一度聞いてみたいなぁって思ってたのっ!!」アセアセ
サシャ「へー、そうなんですかー」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:18:52 ID:D6Fg1C/A
クリスタ「ずっと話してたらみんな待たせちゃうよね。そろそろ行く?」
サシャ「ああ、お腹が空いて力が出ない……」ヨロヨロ...
クリスタ「クッキーは食べちゃダメ」
サシャ「……一枚くらいなら」
クリスタ「ダメ」キッパリ
サシャ「……」グスン
クリスタ「泣いてもダメ。……ほら、早く行こう?」
サシャ「私はもう少し休憩してから行きます、疲れましたし……」
クリスタ「クッキー」
サシャ「食べませんってば」
クリスタ「じゃあ信じるからね? 先に戻ってるよ?」
サシャ「はい、また後で会いましょう」フリフリ
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:19:35 ID:D6Fg1C/A
サシャ「……」
サシャ「クリスタ様神様すみません、私は悪い子です」スクッ
サシャ「本当はこれっぽっちも疲れてません。元気でした。でもクッキーは食べないので許してください」ペコッ
サシャ「……よし」
サシャ(さーて、では出店をちょろっと見て回りましょうかね。休み時間だけじゃ全部見て回れないですし)クルッ
サシャ(やっぱり普段より数が多いですねー……あっ、串焼きおいしそう)テクテク...
サシャ(場所を覚えといて、後で一緒に来ましょうか。えーっと、あの店とあの店と……)キョロキョロ
サシャ(ーーこんなものですかね。大体チェックしましたし、そろそろ戻りますか)クルッ
サシャ「……」スタスタ...
サシャ(……売り切れたりしませんよね?)ピタッ
サシャ「……」
サシャ(だって、後で一緒に回るって約束しましたしね。……いつ迎えに来るか全然わかりませんけど)グルグル
サシャ(買って持って行ってあげるって手もありますけどタイミング悪い可能性もありますしでもおいしいかどうか調査しておくことって大事ですよねでもでもでもでもでも)グルグル ウロウロ
サシャ(ああっ……後ろ髪ひかれる思いです……! まるで本当に後ろの裾を引っ張られているような……!)
サシャ「……裾?」クルッ
???「……」ジーッ...
サシャ「……?」キョトン
???「おかしくれなきゃいたずらするぞ!」
サシャ「……私にですか?」
???「そう!」
サシャ「……そちらの手に持ってる芋は?」
???「べつばら!」
サシャ「なるほど」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:20:59 ID:D6Fg1C/A
サシャ「えーっと、えーっと……クッキークッキー」ガサゴソガサゴソ
サシャ(ありましたありました、割れてませんね。これを渡せばいいわけですね)ジッ...
サシャ「……」
???「どうしたのー? くれないのー?」
サシャ「いえ、その……」
サシャ(支給品とはいえ、食べ物を人に渡すのは……うぐぐぐぐ)
サシャ「ど、どうぞ……」グスッ...
???「おねえちゃんお腹すいてるの? おいもさん半分あげようか?」パカッ
サシャ「ううっ、ありがとうございますぅ……」グスグス
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/15(火) 18:21:39 ID:D6Fg1C/A
サシャ「やっぱりふかし芋はおいしいですね!」モグモグ
???「ねー」モグモグ
サシャ「ふぅ。ーーそれではごちそうさまでした。このご恩は忘れませんから」ペコペコ
???「ううん、いいよ。クッキーありがとう」
サシャ「いえいえ、芋に比べたら私のクッキーなんて大したことありませんよ」
???「そうかなぁ、クッキーもおいしいよ?」サクサク
サシャ「まあクッキーがおいしいのは当然なんですが……ところであなた、お母さんかお父さんはどうしました? 一人でこの辺りを歩いてちゃ危ないですよ?」キョロキョロ
???「……あれ?」キョトン
サシャ「……もしかして、迷子になっちゃいました?」
???「ちがうもん! おかあさんが迷子になったんだよ!」ブンブン
サシャ「はぁ、そうですか」
サシャ(迷子札……はつけてませんよね)ジーッ...
ショートストーリーの人気記事
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
神様の秘密とは?神様が叶えたかったこととは?笑いあり、涙ありの神ss。日常系アニメが好きな方におすすめ!
→記事を読む
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
→記事を読む
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
→記事を読む
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
→記事を読む
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
→記事を読む
同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
→記事を読む
妹「マニュアルで恋します!」
→記事を読む
きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
→記事を読む
月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
→記事を読む
彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
→記事を読む