サシャ「落ち着く味だといいですね」
Part3
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:54:53 ID:zUVEe6QU
ーー 十分後
サシャ「ただいま帰りましたよー。そっちはどうです?」タタタッ...
コニー「あんまりいねえな、虫。今はミミズ探してるところ」ホジホジ
サシャ「そうですか、なら私も手伝います」ホジホジ
クリスタ「ね、ねえ……虫を使わないとダメ? その辺の木の実で代用できないかな……?」
サシャ「試したことはないのでわかりませんけど、たぶん食いつかないと思いますよー? ……あ、いた」ホジホジ
コニー「まあ、どうしても嫌だってんならススキで代用もできるぜ。食いついた後が大変だけど」ブチッ
アルミン「ススキを使うの? ーー何それニンジャっぽい……///」ポッ
エレン「え? そこときめくところか?」
アルミン「ニンジャはね、必要に迫られればどんなものだって利用するんだ。とにかく身の回りにあるものを敵に投げつけたりね。これを乱定剣って言うんだけどーー」ペラペラペラペラ
ミカサ「アルミン、アルミン。話はそこまでにしよう。日が暮れてしまう」
アルミン「ーーつまりなんでも身の回りにあるもので削ごうとするミカサは生粋のニンジャとも言えるのさ!」ドヤァ
ミカサ「……ほ、褒めてもだめ。話はそこまで」
サシャ(あ、満更でもなさそうな顔してますね)
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:55:48 ID:zUVEe6QU
コニー「ーーほい、釣り竿できたから持ってっていいぞー。餌は自分で付けろよな」ポイッ
ライナー「おお、意外としっかりしてるんだな」ブンブン
サシャ「糸が頼りないのでせめて枝だけでもと思って、しっかりしたのを選んできましたからね! ーーさあ、みんなでガンガン釣りましょう!」
エレン「よっしゃ、じゃあ誰が一番多く魚を釣れるか勝負するか?」シュッシュッ
ミカサ「私は身体を支配できる……ので、魚を釣ることなどたやすい」フフン
アルミン「僕も予習復習はばっちりだからね! そう簡単には負けないよ!」フフン
クリスタ「こ、コニー……私、やっぱりススキで釣るよ……」ガタガタガタガタ
コニー「大丈夫大丈夫。そのうち慣れるって」ニョロニョロ
クリスタ「ひぃっ!?」ビクッ!!
ライナー「おいおい、無理強いはするなよ?」
コニー「んなこと言ってたらいつまで経ってもできないだろー? ーーよし決めた。俺がクリスタを“ミミズを見たら頬染める系女子”にしてやるよ」ニシシ
クリスタ「」
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:56:50 ID:zUVEe6QU
ーー 三十分後
アルミン「……釣れないね」
ミカサ「……なぜ」
アルミン「僕たち、魚に嫌われちゃったのかな……」
ミカサ「あっちはあんなに大盛況なのに」チラッ
クリスタ「!? こっ、コニー! また来たあああああああっ!」プルプルプルプル
コニー「そろそろ慣れろよクリスタ。引け引け」
クリスタ「どっち!? どっちに!?」アタフタアタフタ
コニー「え? あー……手前? いや後ろか??」
クリスタ「どっちなの!?」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:57:45 ID:zUVEe6QU
エレン「おっ……きたきた!」グイッ
サシャ「エレン、調子いいですねー。これで三匹目ですか?」
エレン「ああ! ……でもちっちゃいな。俺の」チマッ
サシャ「あーそれは川に返したほうがいいですね」
エレン「えー、またかよ……これで三連続だぞ?」
サシャ「運がいいのか悪いのかわかりませんねー。ーーよいしょっと」ヒョイッ
エレン「……でっけえな。サシャの」ジトッ...
サシャ「鮎としては小さいほうですよ、これでも」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:59:12 ID:zUVEe6QU
ライナー(眠いな……)ウツラウツラ
サシャ「ライナー、どうです? 釣れました?」
ライナー「さっぱりだな。引く気配すらない」
サシャ「もしかしたら餌食べられちゃったのかもしれませんね。ちょっと持ち上げてみてくれます?」
ライナー「……」ヒョイ
サシャ「あらら……針ごと持ってかれちゃいましたね。新しいのつけましょっか」ゴソゴソ
ライナー「……」ウツラウツラ
サシャ「ライナー、顔色悪いですよ? 眠いなら先に帰ってます?」
ライナー「いや、平気だ」ブンブン
サシャ「……そうですか」
サシャ(うそつき……眠いの我慢して、無理しちゃってるのバレバレですよ)ムー...
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:00:10 ID:zUVEe6QU
ーー 二時間後
エレン「結構釣れたなー。……と言ってもほとんどサシャとコニーが釣った魚だけど」
アルミン「僕たち全然だめだったのにね」
コニー「まあ、大きさはまちまちだけど一人一匹渡るから充分だろ」
アルミン「ということは七匹か……結局どっちが多く釣ったの?」
コニー「お互い三匹だよ。残り一匹はクリスタな」
アルミン「クリスタが?」
コニー「クリスタは今日かなりツイてたよなー。ビビって逃がしまくってたのがもったいなかったけど」
エレン「……俺だって小さいのは釣ったし。数だけだったら多かったし」イジイジ
アルミン「うんうん、エレンも頑張ってたねー」ナデナデ
クリスタ「ねえ……そのまま焼くの? そのお魚」
コニー「ん? そうだな、夏だったら雑草で包み焼きとか色々できるけどな。今は時間もねえし、枝に刺してがっつり焼くくらいしかできねえよ」
クリスタ「そうじゃなくて、その……」
アルミン「……? クリスタ、言いたいことがあるならちゃんと言ったほうがいいよ?」
コニー「そうだぞー、俺馬鹿なんだからちゃんと言わねえとわかんねえよ」
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:01:00 ID:zUVEe6QU
クリスタ「じゃあ言うけどーーお腹の中に、その、さっき食べた餌が……入ってるんだよね?」モジモジ
アルミン「……あー、そっか、そうだね」
エレン「まあ……入ってるよな」
コニー「腹の中……? ああ、ハラワタのことか? 川魚はよくねえ虫が多いからな、ちゃんと取ってしっかり焼くぞ」
クリスタ「あっ、そうなの……? そっか、ちゃんと取るんだね、よかったぁ」ホッ
コニー「クリスタ、暇なら手伝えよ。ハラワタの取り方教えてやっからさ」
クリスタ「うん、手伝う手伝う。どうやってやるの?」
コニー「坪抜きって言うんだけどな。ーーまずはこう、口の中に棒を二本突っ込むだろ?」グサグサッ
クリスタ「」
コニー「そしてこの二本の棒をしっかりと掴んで回転させる」グッ
クリスタ「やめてやめてやめてやめてコニーのばかぁっ!! 変態!!」
コニー「はぁ!? 人が親切に教えてやってんのに変態はねえだろ変態は!」
アルミン「馬鹿はいいの?」
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:01:45 ID:zUVEe6QU
エレン「……で、そっちは何やってんだ?」ノゾキコミ
サシャ「パァン作りでーす」マゼマゼ
ミカサ「右に同じく」マゼマゼ
ライナー「こっちの瓶は何に使うんだ? 一緒に混ぜなくていいのか?」ヒョイ
サシャ「その瓶はできあがった後に使いますよ、お楽しみに。ーーミカサ、それくらいでいいですよ。あとは適当に生地を分けちゃって、細長ーくして枝に巻き付けてください」
ミカサ「木の枝に直接?」
サシャ「泥がついてなければ大丈夫ですよ。一応表面はあぶっときますけど。そうそう、先っちょが燃えやすいのでしっかり巻きつけてくださいねー」マキマキ
ミカサ「合点承知の助」マキマキ
アルミン「自然のものを利用するって、なんかニンジャ食っぽいね……!」キラキラキラキラ
エレン「どんだけニンジャになりたいんだよ。アルミン」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:02:43 ID:zUVEe6QU
ミカサ「サシャ、巻けた。これでいい?」
サシャ「はい、大丈夫ですよ。あとは火の上でクルクル回してあぶって完成です!」
ミカサ「……ふむ」クルクル
サシャ「……」クルクル
ミカサ「……」クルクル
エレン「なんか楽しそうだな。俺もやりたい」ウズウズ
アルミン「うん、僕もやってみたいな」
ライナー「俺もやるかな。まだ枝はあるんだろ?」
サシャ「一人一本で七人分ですからねー、まだありますよ。手伝ってもらえるなら助かります」
エレン「よーし、任せとけ!」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:03:37 ID:zUVEe6QU
ミカサ「ところでなんで棒を回すの? この行為に意味はあるの?」クルクル
サシャ「ありますよー。そのままあぶってるだけだと焦げちゃいますし、万遍なく焼けませんからね。ーーエレン、火に近すぎです。もう少し離してください。ライナーは回す速度が速すぎですから少し緩めてください」クルクル
エレン「お、おう、火から離すんだな……?」クルクル
ライナー「ぎこちないぞ、エレン」クルクル
エレン「むしろなんでみんなそんなスムーズに回せるんだよ、結構難しいぞこれ」クルクル
アルミン(……ん? 何か忘れてる気がする……)クルクル
コニー「なんだよお前ら。楽しそうだな」ヒョコッ
サシャ「コニー、そっちはどうです? 終わりました?」
コニー「今クリスタがケタケタ笑いながら血まみれになってハラワタ取り除いてる」
アルミン「わーお」
ライナー「おい大丈夫なのかそれ」
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:04:41 ID:zUVEe6QU
サシャ「ーーはい、最初の一個目できました! 誰が最初に食べます?」
アルミン「そりゃあ……」チラッ
ミカサ「考えるまでもない」チラッ
ライナー「……俺は最後でいいぞ。先にお前らが食え」
コニー「なんだよ、誰も食わねえんなら俺がもらうぞ?」ヒョイ
サシャ「あっ、待ってくださいコニー、そのまま掴んだらーー」
コニー「ぁあっちぃっ!?」アタフタアタフタ
サシャ「あーあ……だから言ったのに……」
アルミン「まあ、直火であぶってるわけだしそうなるよね」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:05:40 ID:zUVEe6QU
クリスタ「コニー、ハラワタ抜き終わったよー。次は何するの?」テクテク...
コニー「……サシャ、お前は魚最後だからな。しかもちっさいの」
サシャ「ええっ!? 今のはコニーの自爆じゃないですか!!」
コニー「うるせえよ熱いなら最初に言えっての!! ーークリスタ、後は俺がやっとくから休憩していいぞ。あと顔についてる血は拭いとけ」スタスタ...
クリスタ「はーい。ところで、みんなで何作ってるの?」フキフキ
ミカサ「三時のおやつ。……はい、二つできたから片方はクリスタにあげよう。熱いので気をつけて」スッ
クリスタ「わあっ、ありがとうミカサ! じゃあいただきまーす!」
ミカサ「……うん。カリモフしている」モグモグ
クリスタ「焼きたてのパンなんて滅多に食べられないもんね。おいしい!」モグモグ
エレン「……なあ、俺の焦げて煙が出てきたんだけど」
ライナー「俺のは焼き色がつかないんだが」
サシャ「だから、エレンは火に近すぎるんですってば。ライナーは回すのまだ速いです」
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:07:46 ID:zUVEe6QU
アルミン「……焦げちゃった」ションボリ
サシャ「それくらいなら全然平気ですよ。むしろちょっと焦げたほうがいいんですよねー……むふふ」モグモグ
エレン「んー……正直に言えば、ちょっと味が物足りねえかなぁ、俺は」モグモグ
サシャ「普通のパンよりどうしても風味は劣りますからね。ーーというわけでそういう時はこれ! はちみつです!」パンパカパーン
ライナー「さっきの瓶か? 用意がいいんだな」
サシャ「こうなるのを見越してアニから分けてもらったんですよ! ……有料ですけど」
クリスタ「えっ? 有料って……もしかして、アニははちみつやさんだったの?」
エレン「なんだって……!? あいつ、クールな顔して部屋ではちみつ舐めてたのか……!!」
ミカサ「いえ、そんな光景は見たことがない。……もしかすると、ベッドの上で布団を被ってペロペロしていたのかもしれないけれど」
エレン「マジかよ……布団に零したら洗濯が大変じゃねえか!」
アルミン「いや、待ってくれ……部屋にアリが入り込むほうが大変だよ……!」
ライナー「お前ら思い込み激しいな」
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:09:07 ID:zUVEe6QU
コニー「おーい、魚焼けたぞー」ブンブン
エレン「おおっ! 待ってました!」
コニー「ほい、この中から好きなの選んでくれ。クリスタはこっちな」
クリスタ「え? 私、こんな大きいのじゃなくてもいいよ?」
コニー「いや、これはお前のだよ。自分で釣って自分でハラワタ抜いたんだからな。遠慮なく食え」
クリスタ「……うん、わかった」
サシャ「……」チマッ
ライナー「なあ、俺のと交換するか? サシャ」
サシャ「いいです、我慢します……ライナーが大きいの食べてください……」モソモソ
ライナー「……」
ライナー(どう見ても物足りなさそうだが、断られたら何もできないな……)ウーン...
サシャ「……コニーにはあとで復讐します」ボソッ
ライナー「!?」
69 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:09:54 ID:zUVEe6QU
エレン「……」ジーッ
ミカサ「エレン、どうしたの? 早く食べないと冷めてしまう。もったいない」
エレン「……なあ、魚にはちみつかけたらどうなると思う?」
アルミン「実に興味深い話だね。詳しく聞こうか」ズイッ
ミカサ「全くもう……エレンとアルミンは昔からそう。混ぜたら危険なものばかり混ぜたがる。どうしていつもそうなの?」
エレン「わかってねえな、ミカサ。……どうしてだって?」
アルミン「ああ、そんなの……決まってるだろ?」
エレン「俺が!! この世に生まれたからだ!!」
アルミン「そしてっ! 僕たちはみんな生まれた時から自由なんだ!!」
ミカサ「またそうやって誤魔化す……」ハァ
エレン「というわけでサシャ。よかったらはちみつ少し分けてくれ」
サシャ「分けてもいいですけど、本当にやるんですか? 味の保証はしませんからね? 自己責任ですよ?」
エレン「ああ、誓ってお前のせいにはしねえよ。……というわけでもらうぞ」
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:11:06 ID:zUVEe6QU
エレン「……よし、準備はできたぞ」ドロッ...
アルミン「こっちもだよ、エレン」ドロッ...
ライナー「お前らやめておくなら今のうちだぞ? 絶対まずいだろそれ」
エレン「おいおい、何言ってるんだよライナー……お前もこっち側の人間だろ?」
ライナー「……何?」ピクッ
エレン「いくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある。ーーそれを教えてくれたのはライナー、お前だろ……?」
アルミン「そうだよ。男には……引けない時がある! 今がそうだ!」
ライナー「!! ーーそうか……そうだったな、俺がお前にそう言ったんだった……」
エレン「ライナー……やるんだな!? 今……! ここで!」
ライナー「ああ!! 勝負は今、ここで決める!!」
アルミン「はーいじゃあはちみつ入りまーす」ドロッ
71 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:12:04 ID:zUVEe6QU
サシャ「あーあ、ライナーにもなんか変なスイッチ入っちゃいましたねー」モグモグ
ミカサ「止めないの? サシャ」
サシャ「あの三人を止める術を私は持ってません」モグモグ
ミカサ「なるほど。……コニーは参加しないの?」
コニー「俺はおいしくいただきたいからやらねえ」モグモグ
クリスタ「ねえねえコニー、魚って骨も食べられる?」クイクイ
コニー「かじって無理そうならやめとけ」
クリスタ「わかったー」バリボリバリボリ
ミカサ「……コニー、クリスタに何を教え込んだの?」
コニー「んあ? 大したことはしてねえよ?」モグモグ
サシャ「……今のクリスタをユミルが知ったら怒り狂いそうですね」
ミカサ「いえ、逆に天使の開眼と言って喜ぶかもしれない」
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:13:19 ID:zUVEe6QU
ライナー「全員注目!!」バンッ!!
コニー「なんか始まったぞ」
アルミン「調査兵団とは……変革を求める人間の集団だ」
サシャ「やめときましょうよーまだ私たち訓練兵じゃないですかー」
エレン「俺はーーいや、俺たちは偉大なる一歩を切り開く!」
ミカサ「あまり必要な一歩じゃないと思う」
クリスタ「そのまま食べたほうがおいしいのにねえ」バリボリバリボリ
エレン・アルミン・ライナー「それじゃあーーいただきます!!」
ーー ガブッ!!
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:14:13 ID:zUVEe6QU
ーー しばらく後 川原
ライナー「……」
サシャ「どうぞ、お水です」スッ
ライナー「……あの二人は?」
サシャ「エレンとアルミンはミカサたちが看てますよ。ライナーが一番重症でしたし、移動させられませんでしたから……あの二人は少し離れたところに移動してもらってます」
ライナー「……そうか」
サシャ「背中擦りましょうか?」
ライナー「少し休めば収まる。大丈夫だ」
サシャ「そうですか。……それにしても、ライナーもああいうことするんですね。驚きました」
ライナー「意外だったか?」
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:15:10 ID:zUVEe6QU
サシャ「はい。てっきり二人を止めるんだと思ってたんですけど、一緒になって騒いでるんですもん。なんだか新鮮でしたよ?」
ライナー「そう……だな。柄じゃないよな、こういうのは」
サシャ「止めなかった私も悪いですけど……でも、何故か止める気にならなかったんですよね。なんででしょうかね……?」ウーン...
ライナー「……なあサシャ。ちょっと一人にしてくれないか?」
サシャ「えっ? でも……」
ライナー「頼む」
サシャ「……わかりました。後でまた様子を見に来ますね?」
ライナー「ああ、後でな」
75 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:16:14 ID:zUVEe6QU
ライナー(今日は……何をしに来たんだろうな、俺は)
ライナー(やらなきゃいけないことがいくつもある、考えることも山積みだ)
ライナー(それなのに、私情でやるべきことを放り出して、あいつらと一緒になって騒いで……そもそも、ここに俺が混ざっていいわけないのにな)
ライナー(……このままじゃだめだ。やっぱり、今のうちにベルトルトが言うとおり、突き放しちまったほうがいい)
ライナー(「俺に構うな」って言えば、きっと少し悲しそうな顔して、それをこらえて……「わかりました」って言って従うだろうな)
ライナー(……ああ、もう簡単に想像できるくらいになっちまった)
ライナー(わかってるんだ。本気であいつの幸せを考えるなら、俺が身を引くべきだ。ここに……一緒に来るべきじゃなかった)
ライナー(あいつが幸せになれるなら、それでいいよな……)
ライナー(………………眠い……)
76 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:17:05 ID:zUVEe6QU
コニー「……」ジーッ...
サシャ「どうです?」
コニー「……寝てら」
サシャ「ですよね。やっぱり」
アルミン「このまま寝てると風邪引くよね。起こそうか?」
サシャ「あの……このままにしておくのはだめでしょうか。せっかく寝てるので起こしたくないんです」
ミカサ「でも、このままだと身体が冷えてしまう」
サシャ「私の上着をかけておきますから大丈夫ですよ。ーーねえクリスタ。ライナーにマフラーを貸してあげてもいいですか?」
クリスタ「それは私がサシャにあげたものだよ。だから、サシャの好きに使って?」
サシャ「じゃあ、ありがたく使わせてもらいますね」マキマキ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:18:49 ID:zUVEe6QU
コニー「ぷっ……さ、サシャ、お前もっと上手に巻けって……っくく、はははは」
エレン「おいこらコニー、わらっ、笑うなって……ははっ」
サシャ「えー……? ちゃんと巻いてるつもりなんですけど」
ミカサ「まるでマフラーに埋もれてるみたい」
クリスタ「そうだね。ちょっと変かも」クスクス
サシャ「うーん……どこがおかしいんでしょう……?」ムムム
エレン「さてと。……じゃあ、静かに片付けしようぜ。できるよな? みんな」
ミカサ「お安いご用」ニンニン
アルミン「お茶の子さいさい」ニンニン
クリスタ「合点承知!」
コニー「うーん…………焼き肉定食」キリッ
サシャ「コニー、四字熟語っぽいものを言えばいいわけじゃないと思いますよ」
78 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:19:44 ID:zUVEe6QU
ーー 夕方 川原
コニー「よし、火の始末も完璧だな」
ミカサ「さすが天才」パチパチ
アルミン「コニーは頼りになるなぁ」パチパチ
コニー「まあな」キリッ
クリスタ「本当に先に帰ってていいの? サシャ」
サシャ「はい。間に合わなくなりそうだったらちゃんと起こしますから」
エレン「目が覚めそうになかったら頭叩くといいぞ。ライナーは大抵それで起きるからな」
サシャ「……それ、どんな人も起きると思うんですが」
クリスタ「じゃあサシャ、頑張ってねー」フリフリ
サシャ「はーい、みなさんもお気をつけて。コニー、森の外まで頼みましたよ?」
コニー「おうっ! 天才の俺に任せとけ!」
ミカサ「コニー、静かに」シーッ
コニー「……悪い」
ーー 十分後
サシャ「ただいま帰りましたよー。そっちはどうです?」タタタッ...
コニー「あんまりいねえな、虫。今はミミズ探してるところ」ホジホジ
サシャ「そうですか、なら私も手伝います」ホジホジ
クリスタ「ね、ねえ……虫を使わないとダメ? その辺の木の実で代用できないかな……?」
サシャ「試したことはないのでわかりませんけど、たぶん食いつかないと思いますよー? ……あ、いた」ホジホジ
コニー「まあ、どうしても嫌だってんならススキで代用もできるぜ。食いついた後が大変だけど」ブチッ
アルミン「ススキを使うの? ーー何それニンジャっぽい……///」ポッ
エレン「え? そこときめくところか?」
アルミン「ニンジャはね、必要に迫られればどんなものだって利用するんだ。とにかく身の回りにあるものを敵に投げつけたりね。これを乱定剣って言うんだけどーー」ペラペラペラペラ
ミカサ「アルミン、アルミン。話はそこまでにしよう。日が暮れてしまう」
アルミン「ーーつまりなんでも身の回りにあるもので削ごうとするミカサは生粋のニンジャとも言えるのさ!」ドヤァ
ミカサ「……ほ、褒めてもだめ。話はそこまで」
サシャ(あ、満更でもなさそうな顔してますね)
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:55:48 ID:zUVEe6QU
コニー「ーーほい、釣り竿できたから持ってっていいぞー。餌は自分で付けろよな」ポイッ
ライナー「おお、意外としっかりしてるんだな」ブンブン
サシャ「糸が頼りないのでせめて枝だけでもと思って、しっかりしたのを選んできましたからね! ーーさあ、みんなでガンガン釣りましょう!」
エレン「よっしゃ、じゃあ誰が一番多く魚を釣れるか勝負するか?」シュッシュッ
ミカサ「私は身体を支配できる……ので、魚を釣ることなどたやすい」フフン
アルミン「僕も予習復習はばっちりだからね! そう簡単には負けないよ!」フフン
クリスタ「こ、コニー……私、やっぱりススキで釣るよ……」ガタガタガタガタ
コニー「大丈夫大丈夫。そのうち慣れるって」ニョロニョロ
クリスタ「ひぃっ!?」ビクッ!!
ライナー「おいおい、無理強いはするなよ?」
コニー「んなこと言ってたらいつまで経ってもできないだろー? ーーよし決めた。俺がクリスタを“ミミズを見たら頬染める系女子”にしてやるよ」ニシシ
クリスタ「」
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:56:50 ID:zUVEe6QU
ーー 三十分後
アルミン「……釣れないね」
ミカサ「……なぜ」
アルミン「僕たち、魚に嫌われちゃったのかな……」
ミカサ「あっちはあんなに大盛況なのに」チラッ
クリスタ「!? こっ、コニー! また来たあああああああっ!」プルプルプルプル
コニー「そろそろ慣れろよクリスタ。引け引け」
クリスタ「どっち!? どっちに!?」アタフタアタフタ
コニー「え? あー……手前? いや後ろか??」
クリスタ「どっちなの!?」
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:57:45 ID:zUVEe6QU
エレン「おっ……きたきた!」グイッ
サシャ「エレン、調子いいですねー。これで三匹目ですか?」
エレン「ああ! ……でもちっちゃいな。俺の」チマッ
サシャ「あーそれは川に返したほうがいいですね」
エレン「えー、またかよ……これで三連続だぞ?」
サシャ「運がいいのか悪いのかわかりませんねー。ーーよいしょっと」ヒョイッ
エレン「……でっけえな。サシャの」ジトッ...
サシャ「鮎としては小さいほうですよ、これでも」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 09:59:12 ID:zUVEe6QU
ライナー(眠いな……)ウツラウツラ
サシャ「ライナー、どうです? 釣れました?」
ライナー「さっぱりだな。引く気配すらない」
サシャ「もしかしたら餌食べられちゃったのかもしれませんね。ちょっと持ち上げてみてくれます?」
ライナー「……」ヒョイ
サシャ「あらら……針ごと持ってかれちゃいましたね。新しいのつけましょっか」ゴソゴソ
ライナー「……」ウツラウツラ
サシャ「ライナー、顔色悪いですよ? 眠いなら先に帰ってます?」
ライナー「いや、平気だ」ブンブン
サシャ「……そうですか」
サシャ(うそつき……眠いの我慢して、無理しちゃってるのバレバレですよ)ムー...
ーー 二時間後
エレン「結構釣れたなー。……と言ってもほとんどサシャとコニーが釣った魚だけど」
アルミン「僕たち全然だめだったのにね」
コニー「まあ、大きさはまちまちだけど一人一匹渡るから充分だろ」
アルミン「ということは七匹か……結局どっちが多く釣ったの?」
コニー「お互い三匹だよ。残り一匹はクリスタな」
アルミン「クリスタが?」
コニー「クリスタは今日かなりツイてたよなー。ビビって逃がしまくってたのがもったいなかったけど」
エレン「……俺だって小さいのは釣ったし。数だけだったら多かったし」イジイジ
アルミン「うんうん、エレンも頑張ってたねー」ナデナデ
クリスタ「ねえ……そのまま焼くの? そのお魚」
コニー「ん? そうだな、夏だったら雑草で包み焼きとか色々できるけどな。今は時間もねえし、枝に刺してがっつり焼くくらいしかできねえよ」
クリスタ「そうじゃなくて、その……」
アルミン「……? クリスタ、言いたいことがあるならちゃんと言ったほうがいいよ?」
コニー「そうだぞー、俺馬鹿なんだからちゃんと言わねえとわかんねえよ」
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:01:00 ID:zUVEe6QU
クリスタ「じゃあ言うけどーーお腹の中に、その、さっき食べた餌が……入ってるんだよね?」モジモジ
アルミン「……あー、そっか、そうだね」
エレン「まあ……入ってるよな」
コニー「腹の中……? ああ、ハラワタのことか? 川魚はよくねえ虫が多いからな、ちゃんと取ってしっかり焼くぞ」
クリスタ「あっ、そうなの……? そっか、ちゃんと取るんだね、よかったぁ」ホッ
コニー「クリスタ、暇なら手伝えよ。ハラワタの取り方教えてやっからさ」
クリスタ「うん、手伝う手伝う。どうやってやるの?」
コニー「坪抜きって言うんだけどな。ーーまずはこう、口の中に棒を二本突っ込むだろ?」グサグサッ
クリスタ「」
コニー「そしてこの二本の棒をしっかりと掴んで回転させる」グッ
クリスタ「やめてやめてやめてやめてコニーのばかぁっ!! 変態!!」
コニー「はぁ!? 人が親切に教えてやってんのに変態はねえだろ変態は!」
アルミン「馬鹿はいいの?」
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:01:45 ID:zUVEe6QU
エレン「……で、そっちは何やってんだ?」ノゾキコミ
サシャ「パァン作りでーす」マゼマゼ
ミカサ「右に同じく」マゼマゼ
ライナー「こっちの瓶は何に使うんだ? 一緒に混ぜなくていいのか?」ヒョイ
サシャ「その瓶はできあがった後に使いますよ、お楽しみに。ーーミカサ、それくらいでいいですよ。あとは適当に生地を分けちゃって、細長ーくして枝に巻き付けてください」
ミカサ「木の枝に直接?」
サシャ「泥がついてなければ大丈夫ですよ。一応表面はあぶっときますけど。そうそう、先っちょが燃えやすいのでしっかり巻きつけてくださいねー」マキマキ
ミカサ「合点承知の助」マキマキ
アルミン「自然のものを利用するって、なんかニンジャ食っぽいね……!」キラキラキラキラ
エレン「どんだけニンジャになりたいんだよ。アルミン」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:02:43 ID:zUVEe6QU
ミカサ「サシャ、巻けた。これでいい?」
サシャ「はい、大丈夫ですよ。あとは火の上でクルクル回してあぶって完成です!」
ミカサ「……ふむ」クルクル
サシャ「……」クルクル
ミカサ「……」クルクル
エレン「なんか楽しそうだな。俺もやりたい」ウズウズ
アルミン「うん、僕もやってみたいな」
ライナー「俺もやるかな。まだ枝はあるんだろ?」
サシャ「一人一本で七人分ですからねー、まだありますよ。手伝ってもらえるなら助かります」
エレン「よーし、任せとけ!」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:03:37 ID:zUVEe6QU
ミカサ「ところでなんで棒を回すの? この行為に意味はあるの?」クルクル
サシャ「ありますよー。そのままあぶってるだけだと焦げちゃいますし、万遍なく焼けませんからね。ーーエレン、火に近すぎです。もう少し離してください。ライナーは回す速度が速すぎですから少し緩めてください」クルクル
エレン「お、おう、火から離すんだな……?」クルクル
ライナー「ぎこちないぞ、エレン」クルクル
エレン「むしろなんでみんなそんなスムーズに回せるんだよ、結構難しいぞこれ」クルクル
アルミン(……ん? 何か忘れてる気がする……)クルクル
コニー「なんだよお前ら。楽しそうだな」ヒョコッ
サシャ「コニー、そっちはどうです? 終わりました?」
コニー「今クリスタがケタケタ笑いながら血まみれになってハラワタ取り除いてる」
アルミン「わーお」
ライナー「おい大丈夫なのかそれ」
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:04:41 ID:zUVEe6QU
サシャ「ーーはい、最初の一個目できました! 誰が最初に食べます?」
アルミン「そりゃあ……」チラッ
ミカサ「考えるまでもない」チラッ
ライナー「……俺は最後でいいぞ。先にお前らが食え」
コニー「なんだよ、誰も食わねえんなら俺がもらうぞ?」ヒョイ
サシャ「あっ、待ってくださいコニー、そのまま掴んだらーー」
コニー「ぁあっちぃっ!?」アタフタアタフタ
サシャ「あーあ……だから言ったのに……」
アルミン「まあ、直火であぶってるわけだしそうなるよね」
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:05:40 ID:zUVEe6QU
クリスタ「コニー、ハラワタ抜き終わったよー。次は何するの?」テクテク...
コニー「……サシャ、お前は魚最後だからな。しかもちっさいの」
サシャ「ええっ!? 今のはコニーの自爆じゃないですか!!」
コニー「うるせえよ熱いなら最初に言えっての!! ーークリスタ、後は俺がやっとくから休憩していいぞ。あと顔についてる血は拭いとけ」スタスタ...
クリスタ「はーい。ところで、みんなで何作ってるの?」フキフキ
ミカサ「三時のおやつ。……はい、二つできたから片方はクリスタにあげよう。熱いので気をつけて」スッ
クリスタ「わあっ、ありがとうミカサ! じゃあいただきまーす!」
ミカサ「……うん。カリモフしている」モグモグ
クリスタ「焼きたてのパンなんて滅多に食べられないもんね。おいしい!」モグモグ
エレン「……なあ、俺の焦げて煙が出てきたんだけど」
ライナー「俺のは焼き色がつかないんだが」
サシャ「だから、エレンは火に近すぎるんですってば。ライナーは回すのまだ速いです」
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:07:46 ID:zUVEe6QU
アルミン「……焦げちゃった」ションボリ
サシャ「それくらいなら全然平気ですよ。むしろちょっと焦げたほうがいいんですよねー……むふふ」モグモグ
エレン「んー……正直に言えば、ちょっと味が物足りねえかなぁ、俺は」モグモグ
サシャ「普通のパンよりどうしても風味は劣りますからね。ーーというわけでそういう時はこれ! はちみつです!」パンパカパーン
ライナー「さっきの瓶か? 用意がいいんだな」
サシャ「こうなるのを見越してアニから分けてもらったんですよ! ……有料ですけど」
クリスタ「えっ? 有料って……もしかして、アニははちみつやさんだったの?」
エレン「なんだって……!? あいつ、クールな顔して部屋ではちみつ舐めてたのか……!!」
ミカサ「いえ、そんな光景は見たことがない。……もしかすると、ベッドの上で布団を被ってペロペロしていたのかもしれないけれど」
エレン「マジかよ……布団に零したら洗濯が大変じゃねえか!」
アルミン「いや、待ってくれ……部屋にアリが入り込むほうが大変だよ……!」
ライナー「お前ら思い込み激しいな」
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:09:07 ID:zUVEe6QU
コニー「おーい、魚焼けたぞー」ブンブン
エレン「おおっ! 待ってました!」
コニー「ほい、この中から好きなの選んでくれ。クリスタはこっちな」
クリスタ「え? 私、こんな大きいのじゃなくてもいいよ?」
コニー「いや、これはお前のだよ。自分で釣って自分でハラワタ抜いたんだからな。遠慮なく食え」
クリスタ「……うん、わかった」
サシャ「……」チマッ
ライナー「なあ、俺のと交換するか? サシャ」
サシャ「いいです、我慢します……ライナーが大きいの食べてください……」モソモソ
ライナー「……」
ライナー(どう見ても物足りなさそうだが、断られたら何もできないな……)ウーン...
サシャ「……コニーにはあとで復讐します」ボソッ
ライナー「!?」
69 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:09:54 ID:zUVEe6QU
エレン「……」ジーッ
ミカサ「エレン、どうしたの? 早く食べないと冷めてしまう。もったいない」
エレン「……なあ、魚にはちみつかけたらどうなると思う?」
アルミン「実に興味深い話だね。詳しく聞こうか」ズイッ
ミカサ「全くもう……エレンとアルミンは昔からそう。混ぜたら危険なものばかり混ぜたがる。どうしていつもそうなの?」
エレン「わかってねえな、ミカサ。……どうしてだって?」
アルミン「ああ、そんなの……決まってるだろ?」
エレン「俺が!! この世に生まれたからだ!!」
アルミン「そしてっ! 僕たちはみんな生まれた時から自由なんだ!!」
ミカサ「またそうやって誤魔化す……」ハァ
エレン「というわけでサシャ。よかったらはちみつ少し分けてくれ」
サシャ「分けてもいいですけど、本当にやるんですか? 味の保証はしませんからね? 自己責任ですよ?」
エレン「ああ、誓ってお前のせいにはしねえよ。……というわけでもらうぞ」
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:11:06 ID:zUVEe6QU
エレン「……よし、準備はできたぞ」ドロッ...
アルミン「こっちもだよ、エレン」ドロッ...
ライナー「お前らやめておくなら今のうちだぞ? 絶対まずいだろそれ」
エレン「おいおい、何言ってるんだよライナー……お前もこっち側の人間だろ?」
ライナー「……何?」ピクッ
エレン「いくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある。ーーそれを教えてくれたのはライナー、お前だろ……?」
アルミン「そうだよ。男には……引けない時がある! 今がそうだ!」
ライナー「!! ーーそうか……そうだったな、俺がお前にそう言ったんだった……」
エレン「ライナー……やるんだな!? 今……! ここで!」
ライナー「ああ!! 勝負は今、ここで決める!!」
アルミン「はーいじゃあはちみつ入りまーす」ドロッ
71 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:12:04 ID:zUVEe6QU
サシャ「あーあ、ライナーにもなんか変なスイッチ入っちゃいましたねー」モグモグ
ミカサ「止めないの? サシャ」
サシャ「あの三人を止める術を私は持ってません」モグモグ
ミカサ「なるほど。……コニーは参加しないの?」
コニー「俺はおいしくいただきたいからやらねえ」モグモグ
クリスタ「ねえねえコニー、魚って骨も食べられる?」クイクイ
コニー「かじって無理そうならやめとけ」
クリスタ「わかったー」バリボリバリボリ
ミカサ「……コニー、クリスタに何を教え込んだの?」
コニー「んあ? 大したことはしてねえよ?」モグモグ
サシャ「……今のクリスタをユミルが知ったら怒り狂いそうですね」
ミカサ「いえ、逆に天使の開眼と言って喜ぶかもしれない」
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:13:19 ID:zUVEe6QU
ライナー「全員注目!!」バンッ!!
コニー「なんか始まったぞ」
アルミン「調査兵団とは……変革を求める人間の集団だ」
サシャ「やめときましょうよーまだ私たち訓練兵じゃないですかー」
エレン「俺はーーいや、俺たちは偉大なる一歩を切り開く!」
ミカサ「あまり必要な一歩じゃないと思う」
クリスタ「そのまま食べたほうがおいしいのにねえ」バリボリバリボリ
エレン・アルミン・ライナー「それじゃあーーいただきます!!」
ーー ガブッ!!
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:14:13 ID:zUVEe6QU
ーー しばらく後 川原
ライナー「……」
サシャ「どうぞ、お水です」スッ
ライナー「……あの二人は?」
サシャ「エレンとアルミンはミカサたちが看てますよ。ライナーが一番重症でしたし、移動させられませんでしたから……あの二人は少し離れたところに移動してもらってます」
ライナー「……そうか」
サシャ「背中擦りましょうか?」
ライナー「少し休めば収まる。大丈夫だ」
サシャ「そうですか。……それにしても、ライナーもああいうことするんですね。驚きました」
ライナー「意外だったか?」
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:15:10 ID:zUVEe6QU
サシャ「はい。てっきり二人を止めるんだと思ってたんですけど、一緒になって騒いでるんですもん。なんだか新鮮でしたよ?」
ライナー「そう……だな。柄じゃないよな、こういうのは」
サシャ「止めなかった私も悪いですけど……でも、何故か止める気にならなかったんですよね。なんででしょうかね……?」ウーン...
ライナー「……なあサシャ。ちょっと一人にしてくれないか?」
サシャ「えっ? でも……」
ライナー「頼む」
サシャ「……わかりました。後でまた様子を見に来ますね?」
ライナー「ああ、後でな」
ライナー(今日は……何をしに来たんだろうな、俺は)
ライナー(やらなきゃいけないことがいくつもある、考えることも山積みだ)
ライナー(それなのに、私情でやるべきことを放り出して、あいつらと一緒になって騒いで……そもそも、ここに俺が混ざっていいわけないのにな)
ライナー(……このままじゃだめだ。やっぱり、今のうちにベルトルトが言うとおり、突き放しちまったほうがいい)
ライナー(「俺に構うな」って言えば、きっと少し悲しそうな顔して、それをこらえて……「わかりました」って言って従うだろうな)
ライナー(……ああ、もう簡単に想像できるくらいになっちまった)
ライナー(わかってるんだ。本気であいつの幸せを考えるなら、俺が身を引くべきだ。ここに……一緒に来るべきじゃなかった)
ライナー(あいつが幸せになれるなら、それでいいよな……)
ライナー(………………眠い……)
76 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:17:05 ID:zUVEe6QU
コニー「……」ジーッ...
サシャ「どうです?」
コニー「……寝てら」
サシャ「ですよね。やっぱり」
アルミン「このまま寝てると風邪引くよね。起こそうか?」
サシャ「あの……このままにしておくのはだめでしょうか。せっかく寝てるので起こしたくないんです」
ミカサ「でも、このままだと身体が冷えてしまう」
サシャ「私の上着をかけておきますから大丈夫ですよ。ーーねえクリスタ。ライナーにマフラーを貸してあげてもいいですか?」
クリスタ「それは私がサシャにあげたものだよ。だから、サシャの好きに使って?」
サシャ「じゃあ、ありがたく使わせてもらいますね」マキマキ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:18:49 ID:zUVEe6QU
コニー「ぷっ……さ、サシャ、お前もっと上手に巻けって……っくく、はははは」
エレン「おいこらコニー、わらっ、笑うなって……ははっ」
サシャ「えー……? ちゃんと巻いてるつもりなんですけど」
ミカサ「まるでマフラーに埋もれてるみたい」
クリスタ「そうだね。ちょっと変かも」クスクス
サシャ「うーん……どこがおかしいんでしょう……?」ムムム
エレン「さてと。……じゃあ、静かに片付けしようぜ。できるよな? みんな」
ミカサ「お安いご用」ニンニン
アルミン「お茶の子さいさい」ニンニン
クリスタ「合点承知!」
コニー「うーん…………焼き肉定食」キリッ
サシャ「コニー、四字熟語っぽいものを言えばいいわけじゃないと思いますよ」
78 : ◆H4iwFNXQsw:2013/10/05(土) 10:19:44 ID:zUVEe6QU
ーー 夕方 川原
コニー「よし、火の始末も完璧だな」
ミカサ「さすが天才」パチパチ
アルミン「コニーは頼りになるなぁ」パチパチ
コニー「まあな」キリッ
クリスタ「本当に先に帰ってていいの? サシャ」
サシャ「はい。間に合わなくなりそうだったらちゃんと起こしますから」
エレン「目が覚めそうになかったら頭叩くといいぞ。ライナーは大抵それで起きるからな」
サシャ「……それ、どんな人も起きると思うんですが」
クリスタ「じゃあサシャ、頑張ってねー」フリフリ
サシャ「はーい、みなさんもお気をつけて。コニー、森の外まで頼みましたよ?」
コニー「おうっ! 天才の俺に任せとけ!」
ミカサ「コニー、静かに」シーッ
コニー「……悪い」
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