サシャ「味も見ておきましょう」
Part3
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:11:46 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「ということは、これで僕たちが検証できる七不思議はおしまいだよね? あと何があるんだっけ?」
アルミン「誰もいないトイレから聞こえる謎の声、丑三つ時の魔の十三階段、天井からぶら下がる黒髪の女、営庭を這う巨人、技巧室の怪、存在しない立体機動訓練場、食料庫に潜む怪……」
エレン「ひぃっ……」ガタガタガタ
ライナー(……最後はサシャだな)
ベルトルト(サシャかな、最後のは)
アルミン(まあ、最後はサシャだよねー)
ミカサ「……なるほど、食料庫」ピクッ
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:13:06 ID:QRdnkGNU
ミカサ「アルミン、最後の『食料庫に潜む怪』のことを詳しく教えてほしい」
アルミン「夜な夜な食料庫で何かを貪る音が聞こえるんだって」
ミカサ「なんと、それは大変。……真実かどうか早急に確認すべき。ライナーが」グイグイ
ライナー「待て、なんでそうなる」
ミカサ「ライナーがこの中で一番丈夫だから」
ライナー「俺が病み上がりだってこと忘れてないか?」
ミカサ「まあまあ。……手間が省けて助かった」ボソッ
ライナー「? ……今何か言ったか?」
ミカサ「言ってない」キリッ
アルミン「待ってよミカサ、だったら僕が行くよ。言い出しっぺは元々僕だし……」
ミカサ「いや、危ないのでやめておいたほうがいい。アルミンが危険な目にあったら私が悲しむ」
ライナー「俺はいいのか?」
ミカサ「それでもライナーなら……ライナーならきっとなんとかしてくれる……!」グッ
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:14:39 ID:QRdnkGNU
ライナー「……仕方ない、行ってくるか」ハァ
ベルトルト「えっ? でもそろそろ点呼始まるよ?」
ライナー「すぐ帰ってくるさ。それに……何か理由がありそうだしな」ジロッ
ミカサ「……」プイッ
ベルトルト「そっか……じゃあ、気をつけてね」
アルミン「うん、いってらっしゃい」
エレン「幽霊に負けんじゃねえぞ……!」ガタガタガタガタ
ライナー「ああ、間に合わなかったら適当に誤魔化しといてくれ。それじゃ後でな」バタンッ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:15:33 ID:QRdnkGNU
ミカサ「さて。……仕込みは済んでいるから、私は隠密行動に入る」ニンニン
アルミン「……待ってよミカサ。どうしてライナーを食料庫に行かせたの?」
ミカサ「……ちょっと、私も焦っているのかもしれない」
アルミン「? 何を?」
ミカサ「……なんでもない。それじゃあ、おやすみなさい」シュッ
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:16:36 ID:QRdnkGNU
ーー 数十分前 女子寮 ユミルたちの部屋
ミカサ「……」コソコソ
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……zzz」スースー
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……zzz」ムニャムニャ
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……」ムクッ
サシャ「……つくだにぃ」ボソッ
サシャ「……」トテトテ
ミカサ「任務……いや、忍務成功」ニンニン
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:17:26 ID:QRdnkGNU
ーー 現在 食料庫
ライナー(今日は満月か……周りがよく見えるな)スタスタ...
ライナー(さて、ミカサは何を企んでるんだろうな……)ガチャッ...
サシャ「……」ゴソゴソ...
ライナー「……」
サシャ「……」モグモグ...ピタッ
ライナー「……」
サシャ「……こんばんは」ペコッ
ライナー「……おう」
サシャ「……」
ライナー「……」
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:18:08 ID:QRdnkGNU
ライナー「……だよなぁ、お前がいるよなぁ」ハァ
サシャ「何のことですか? ……ていうかどうしたんですこんなところで」キョトン
ライナー「お前こそ何やってるんだ? また盗みか?」
サシャ「違いますよ、最近はしてません! 今日はイナゴの佃煮が盗まれないか心配になって来ただけです! 味見してるのはついでです!」プンスカ
ライナー「また虫か……。そんなに好きか?」
サシャ「……私は食べるのが好きなだけですもん」ムーッ...
ライナー「知ってるよ。悪かった」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:24:20 ID:QRdnkGNU
サシャ「というか、その……久しぶり、ですよね」モジモジ
ライナー「そうだな。この前の休みに川で遊んで以来か?」
サシャ「……そうですね。それくらい前です。それからは一回も会ってないです」
ライナー「だよな。……そういえば、上着もちゃんと受け取ったぞ。わざわざ洗ってくれて……」ハッ
ライナー(そうだ……俺は、一番単純なことを見逃していた……!)ワナワナ
ライナー(「借りた上着を洗って返した」ってことは……、洗わなければならないほど匂いがきつかったからということじゃないのか……!?)ワナワナ
ライナー(他の奴らが何と言おうと、この事実だけは揺らがない……!)
サシャ「……あの、上着を受け取ったってことは、手紙も読んでもらえました?」
ライナー「ああ、そのことなんだがーー」
サシャ「よかったぁ……ちゃんと、届いたんですね!」ニコッ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:25:01 ID:QRdnkGNU
ライナー「……」
サシャ「どうしました? 変な顔して」
ライナー「……いいか。どうでも」
サシャ「? 何がですか?」キョトン
ライナー「悩むのが馬鹿らしくなっただけだ。気にするな」
サシャ「!! 悩みがあるなら聞きますよ! 私になんでも言ってください!!」
ライナー「安心しろ。お前のおかげでさっき一つなくなった」
サシャ「えっ? 私、何もしてませんけど……」
ライナー「したした」ナデナデ
サシャ「……なんで私の頭を撫でてるんです?」キョトン
ライナー「気にするな」ナデナデ
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:25:58 ID:QRdnkGNU
サシャ「そもそも病み上がりの体でこんな遅くに出歩いちゃダメですよ? まだ鼻声じゃないですか」
ライナー「これくらい平気だろ。そのうち治る」
サシャ「ライナーが平気でも、私が心配なんです。だからダメです。禁止です」
ライナー「だが、いつまでも休んでられないだろ? 俺たちは兵士なんだから」
サシャ「もう、私が言いたいのはそうじゃなくてですねーー!?」
ライナー「? サシャ、どうした……っ!?」
サシャ「……静かに!」シーッ!!
\コツコツコツ.../
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:27:25 ID:QRdnkGNU
ライナー(足音が一つ……見回りか?)
サシャ「まずいですね……この時間は食料庫の中まで確認するんですよ。簡易的ですけど」ボソボソ
ライナー「本当か?」ボソボソ
サシャ「私の腹時計は正確なんです。時間はぴったりですよ」ボソボソ
ライナー「……どうする?」ボソボソ
サシャ「決まってます。やり過ごすんですよ。……というわけで隠れてください」ボソボソ
ライナー「隠れるったって、ろくに隠れる場所なんかないぞ?」ボソボソ
サシャ「あそこにあるじゃないですか」ボソボソ
ライナー「……あんな小さな机の下に俺の体が収まるはずないだろ」ボソボソ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:28:34 ID:QRdnkGNU
サシャ「無理矢理詰めれば入りますよ。ほら早く」グイグイ
ライナー「待て待て、仮に入れたとしてもだ。どう見たってバレるだろ」ボソボソ
サシャ「入り口からランタンでサッと照らされるだけですから大丈夫ですよ。ほら、入ってください」グイグイ
ライナー「だったら物陰に隠れても一緒じゃないか?」ボソボソ
サシャ「一度それでバレたんですよ、いいから早くしてくださいってば」グイグイ
ライナー「こら、無理矢理詰めるんじゃーー」
サシャ「ーー来た!!」ギュウッ
ライナー「むぐっ!?」
\コツコツコツ.../
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:29:46 ID:QRdnkGNU
\ガチャッ.../
サシャ「……動かないでくださいね」
ライナー(おい、肩に胸が当たってるぞ……!? サシャの奴、どうやって口塞いでるんだ……!?)
ライナー(首に腕を回して、抱きついてるんだよな、これは……)
ライナー(ということは、口を塞いでるのは……二の腕!? 嘘だろなんでこんなに柔らかいんだ!?)
ライナー(待てよ、この位置からなら胸元が……見え……)チラッ
ライナー(って見られるわけないだろう! 見られるわけないだろう!!)
サシャ「……私がついてますから、大丈夫ですよ。安心してください」ギュウッ...
ライナー(いやいやいやいや俺が大丈夫じゃない!! ちっとも安心できん!!)
ライナー(くそっ……この体勢はやばい……!! まだか? まだなのか……!?)
\バタンッ コツコツコツ.../
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:30:56 ID:QRdnkGNU
サシャ「……ふぅ、行ったみたいです」
ライナー「ああ、危なかったな……いろんな意味で」グッタリ
サシャ「あらら……お疲れですね。もう今日は帰って休んだほうがいいですよ?」
ライナー「そうだな、帰るか。……お前、一人で帰れるよな?」
サシャ「……」ジッ...
ライナー「……?」
サシャ「あー……ちょっと腹時計の調整が必要みたいです」
ライナー「? ここに時計の類はないぞ?」
サシャ「いいえ、必要なのは時計じゃないんですよ」ギュッ...
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:31:43 ID:QRdnkGNU
ライナー「……病み上がりで無理するなって言ったのはお前だよな」
サシャ「さっき平気だって言ってましたよね?」
ライナー「……」
サシャ「……私だって、これでも気を遣ってたんですよ?」
サシャ「でも、最近二人きりで会うこともありませんでしたし……寂しかったんです、とても」
サシャ「……だから、今日はこっちの味も見させてくださいね?」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:32:31 ID:QRdnkGNU
ミカサ「そしてライナーの首筋を指先でなぞると、その跡を辿るようにサシャは舌を這わせて汗を舐めとった」
アニ「……ミカサ」
ミカサ「『身体、熱いですね。まだ熱があるんですか?』とサシャが聞くと、ライナーは『違う』とぶっきらぼうに答えた」
アニ「ミカサってば。ねえ」
ミカサ「『もしかして緊張しちゃってます? ふふっ、久しぶりですもんね』とサシャがいたずらっぽく笑うとライナーは」
アニ「ミカサ、ミカサってば。眠いんだけど」
ミカサ「何? ……これからがいいところ。アニは気にならないの?」
アニ「ならない。眠い」
ミカサ「……なら寝る」シュン
アニ「うん、そうして。……おやすみ」モソモソ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:33:23 ID:QRdnkGNU
ーー 消灯時間後 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「ただいまでーす……」コソコソ
サシャ(ユミルとクリスタは……寝てますね。起こさないようにっと……)ソロソロ
サシャ(佃煮、なかなかの出来でしたね……明日辺り、教官のところにお裾分けに行きましょう)ゴソゴソ
サシャ「……」
サシャ(……やっぱり、私が行ったこと知りませんよね。当然ですけど)
サシャ(ちょっと、寂しいな……)
サシャ「……」ペタペタ
サシャ(まだ感触が残ってる気がする……)
サシャ「……おいしかった、な」ボソッ
おわり
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:34:12 ID:QRdnkGNU
読んでくださった方ありがとうございましたー 十回目なので原点回帰です
あと今回おまけがあります。本編に絡まないベルトルト×アニで1レスだけなんですが、消すのがもったいなかったので貼っときます。読みたい人だけどうぞ。序盤でサシャたちのところからアニが立ち去った後です
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:35:17 ID:QRdnkGNU
アニ「……」スタスタ...
ベルトルト「ーーあれっ、アニ? 女子のほうの草刈り終わったの?」
アニ「! ベルトルト……」
ベルトルト「終わったなら鎌はちゃんと返してこないとダメだよ? 危ないからーー」
アニ「……ねえ、ちょっと後ろ向いてよ。ベルトルト」
ベルトルト「? いいけど……」クルッ
アニ「……」ギュッ...
ベルトルト「!? あ、アニ? どうしたの?」オロオロ
アニ「……」グスッ...
ベルトルト「!? どうしたの? もしかして泣いてるの?」アセアセ
アニ「うるさいばか……」ボソッ
ベルトルト「で、でも……」オロオロ
アニ「……こっち向いたら、もう口聞いてやんない」グスッ
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:33:27 ID:YR1m/P/k
このシリーズ好きです!
頑張ってください!!
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:36:29 ID:QRdnkGNU
っていう後ろからベルトルトにしがみつきながら虫を思い出して泣いちゃってるアニを妄想したんですけど本筋に関係ないからカットしました
>>62 さんありがとうございますー嬉しいです!
途中レスくださった方もありがとうございました!次回はいよいよダブルデート編ですのでお楽しみに!
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:37:22 ID:QRdnkGNU
今回遅かったのは最後の机のシーンであーでもないこーでもないとフィギュアーツを絡ませてたからです
真夜中に一生懸命ゴーカイレッドとキュアサンシャインで遊びながら>>1は割と本気で泣きたくなりました
SS読んでくださっているみなさんはこんな大人にならないで真っ当な相手を見つけてくださいね というわけで今度こそ終わり
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:42:34 ID:YR1m/P/k
乙です!
次も楽しみにしてます!
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:58:27 ID:L2tBco9c
相変わらずキュンキュンする、のでまだまだ続けてほしい
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:59:37 ID:A94dnFEY
乙 面白かった 次も
期待
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:14:38 ID:Mv33pXJ2
いつも面白いよー
乙!
ベルトルト「ということは、これで僕たちが検証できる七不思議はおしまいだよね? あと何があるんだっけ?」
アルミン「誰もいないトイレから聞こえる謎の声、丑三つ時の魔の十三階段、天井からぶら下がる黒髪の女、営庭を這う巨人、技巧室の怪、存在しない立体機動訓練場、食料庫に潜む怪……」
エレン「ひぃっ……」ガタガタガタ
ライナー(……最後はサシャだな)
ベルトルト(サシャかな、最後のは)
アルミン(まあ、最後はサシャだよねー)
ミカサ「……なるほど、食料庫」ピクッ
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:13:06 ID:QRdnkGNU
ミカサ「アルミン、最後の『食料庫に潜む怪』のことを詳しく教えてほしい」
アルミン「夜な夜な食料庫で何かを貪る音が聞こえるんだって」
ミカサ「なんと、それは大変。……真実かどうか早急に確認すべき。ライナーが」グイグイ
ライナー「待て、なんでそうなる」
ミカサ「ライナーがこの中で一番丈夫だから」
ライナー「俺が病み上がりだってこと忘れてないか?」
ミカサ「まあまあ。……手間が省けて助かった」ボソッ
ライナー「? ……今何か言ったか?」
ミカサ「言ってない」キリッ
アルミン「待ってよミカサ、だったら僕が行くよ。言い出しっぺは元々僕だし……」
ミカサ「いや、危ないのでやめておいたほうがいい。アルミンが危険な目にあったら私が悲しむ」
ライナー「俺はいいのか?」
ミカサ「それでもライナーなら……ライナーならきっとなんとかしてくれる……!」グッ
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:14:39 ID:QRdnkGNU
ライナー「……仕方ない、行ってくるか」ハァ
ベルトルト「えっ? でもそろそろ点呼始まるよ?」
ライナー「すぐ帰ってくるさ。それに……何か理由がありそうだしな」ジロッ
ミカサ「……」プイッ
ベルトルト「そっか……じゃあ、気をつけてね」
アルミン「うん、いってらっしゃい」
エレン「幽霊に負けんじゃねえぞ……!」ガタガタガタガタ
ライナー「ああ、間に合わなかったら適当に誤魔化しといてくれ。それじゃ後でな」バタンッ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:15:33 ID:QRdnkGNU
ミカサ「さて。……仕込みは済んでいるから、私は隠密行動に入る」ニンニン
アルミン「……待ってよミカサ。どうしてライナーを食料庫に行かせたの?」
ミカサ「……ちょっと、私も焦っているのかもしれない」
アルミン「? 何を?」
ミカサ「……なんでもない。それじゃあ、おやすみなさい」シュッ
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:16:36 ID:QRdnkGNU
ーー 数十分前 女子寮 ユミルたちの部屋
ミカサ「……」コソコソ
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……zzz」スースー
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……zzz」ムニャムニャ
ミカサ「わーこの佃煮おいしそー食べちゃおー」ボソボソ
サシャ「……」ムクッ
サシャ「……つくだにぃ」ボソッ
サシャ「……」トテトテ
ミカサ「任務……いや、忍務成功」ニンニン
ーー 現在 食料庫
ライナー(今日は満月か……周りがよく見えるな)スタスタ...
ライナー(さて、ミカサは何を企んでるんだろうな……)ガチャッ...
サシャ「……」ゴソゴソ...
ライナー「……」
サシャ「……」モグモグ...ピタッ
ライナー「……」
サシャ「……こんばんは」ペコッ
ライナー「……おう」
サシャ「……」
ライナー「……」
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:18:08 ID:QRdnkGNU
ライナー「……だよなぁ、お前がいるよなぁ」ハァ
サシャ「何のことですか? ……ていうかどうしたんですこんなところで」キョトン
ライナー「お前こそ何やってるんだ? また盗みか?」
サシャ「違いますよ、最近はしてません! 今日はイナゴの佃煮が盗まれないか心配になって来ただけです! 味見してるのはついでです!」プンスカ
ライナー「また虫か……。そんなに好きか?」
サシャ「……私は食べるのが好きなだけですもん」ムーッ...
ライナー「知ってるよ。悪かった」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:24:20 ID:QRdnkGNU
サシャ「というか、その……久しぶり、ですよね」モジモジ
ライナー「そうだな。この前の休みに川で遊んで以来か?」
サシャ「……そうですね。それくらい前です。それからは一回も会ってないです」
ライナー「だよな。……そういえば、上着もちゃんと受け取ったぞ。わざわざ洗ってくれて……」ハッ
ライナー(そうだ……俺は、一番単純なことを見逃していた……!)ワナワナ
ライナー(「借りた上着を洗って返した」ってことは……、洗わなければならないほど匂いがきつかったからということじゃないのか……!?)ワナワナ
ライナー(他の奴らが何と言おうと、この事実だけは揺らがない……!)
サシャ「……あの、上着を受け取ったってことは、手紙も読んでもらえました?」
ライナー「ああ、そのことなんだがーー」
サシャ「よかったぁ……ちゃんと、届いたんですね!」ニコッ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:25:01 ID:QRdnkGNU
ライナー「……」
サシャ「どうしました? 変な顔して」
ライナー「……いいか。どうでも」
サシャ「? 何がですか?」キョトン
ライナー「悩むのが馬鹿らしくなっただけだ。気にするな」
サシャ「!! 悩みがあるなら聞きますよ! 私になんでも言ってください!!」
ライナー「安心しろ。お前のおかげでさっき一つなくなった」
サシャ「えっ? 私、何もしてませんけど……」
ライナー「したした」ナデナデ
サシャ「……なんで私の頭を撫でてるんです?」キョトン
ライナー「気にするな」ナデナデ
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:25:58 ID:QRdnkGNU
サシャ「そもそも病み上がりの体でこんな遅くに出歩いちゃダメですよ? まだ鼻声じゃないですか」
ライナー「これくらい平気だろ。そのうち治る」
サシャ「ライナーが平気でも、私が心配なんです。だからダメです。禁止です」
ライナー「だが、いつまでも休んでられないだろ? 俺たちは兵士なんだから」
サシャ「もう、私が言いたいのはそうじゃなくてですねーー!?」
ライナー「? サシャ、どうした……っ!?」
サシャ「……静かに!」シーッ!!
\コツコツコツ.../
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:27:25 ID:QRdnkGNU
ライナー(足音が一つ……見回りか?)
サシャ「まずいですね……この時間は食料庫の中まで確認するんですよ。簡易的ですけど」ボソボソ
ライナー「本当か?」ボソボソ
サシャ「私の腹時計は正確なんです。時間はぴったりですよ」ボソボソ
ライナー「……どうする?」ボソボソ
サシャ「決まってます。やり過ごすんですよ。……というわけで隠れてください」ボソボソ
ライナー「隠れるったって、ろくに隠れる場所なんかないぞ?」ボソボソ
サシャ「あそこにあるじゃないですか」ボソボソ
ライナー「……あんな小さな机の下に俺の体が収まるはずないだろ」ボソボソ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:28:34 ID:QRdnkGNU
サシャ「無理矢理詰めれば入りますよ。ほら早く」グイグイ
ライナー「待て待て、仮に入れたとしてもだ。どう見たってバレるだろ」ボソボソ
サシャ「入り口からランタンでサッと照らされるだけですから大丈夫ですよ。ほら、入ってください」グイグイ
ライナー「だったら物陰に隠れても一緒じゃないか?」ボソボソ
サシャ「一度それでバレたんですよ、いいから早くしてくださいってば」グイグイ
ライナー「こら、無理矢理詰めるんじゃーー」
サシャ「ーー来た!!」ギュウッ
ライナー「むぐっ!?」
\コツコツコツ.../
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:29:46 ID:QRdnkGNU
\ガチャッ.../
サシャ「……動かないでくださいね」
ライナー(おい、肩に胸が当たってるぞ……!? サシャの奴、どうやって口塞いでるんだ……!?)
ライナー(首に腕を回して、抱きついてるんだよな、これは……)
ライナー(ということは、口を塞いでるのは……二の腕!? 嘘だろなんでこんなに柔らかいんだ!?)
ライナー(待てよ、この位置からなら胸元が……見え……)チラッ
ライナー(って見られるわけないだろう! 見られるわけないだろう!!)
サシャ「……私がついてますから、大丈夫ですよ。安心してください」ギュウッ...
ライナー(いやいやいやいや俺が大丈夫じゃない!! ちっとも安心できん!!)
ライナー(くそっ……この体勢はやばい……!! まだか? まだなのか……!?)
\バタンッ コツコツコツ.../
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:30:56 ID:QRdnkGNU
サシャ「……ふぅ、行ったみたいです」
ライナー「ああ、危なかったな……いろんな意味で」グッタリ
サシャ「あらら……お疲れですね。もう今日は帰って休んだほうがいいですよ?」
ライナー「そうだな、帰るか。……お前、一人で帰れるよな?」
サシャ「……」ジッ...
ライナー「……?」
サシャ「あー……ちょっと腹時計の調整が必要みたいです」
ライナー「? ここに時計の類はないぞ?」
サシャ「いいえ、必要なのは時計じゃないんですよ」ギュッ...
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:31:43 ID:QRdnkGNU
ライナー「……病み上がりで無理するなって言ったのはお前だよな」
サシャ「さっき平気だって言ってましたよね?」
ライナー「……」
サシャ「……私だって、これでも気を遣ってたんですよ?」
サシャ「でも、最近二人きりで会うこともありませんでしたし……寂しかったんです、とても」
サシャ「……だから、今日はこっちの味も見させてくださいね?」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:32:31 ID:QRdnkGNU
ミカサ「そしてライナーの首筋を指先でなぞると、その跡を辿るようにサシャは舌を這わせて汗を舐めとった」
アニ「……ミカサ」
ミカサ「『身体、熱いですね。まだ熱があるんですか?』とサシャが聞くと、ライナーは『違う』とぶっきらぼうに答えた」
アニ「ミカサってば。ねえ」
ミカサ「『もしかして緊張しちゃってます? ふふっ、久しぶりですもんね』とサシャがいたずらっぽく笑うとライナーは」
アニ「ミカサ、ミカサってば。眠いんだけど」
ミカサ「何? ……これからがいいところ。アニは気にならないの?」
アニ「ならない。眠い」
ミカサ「……なら寝る」シュン
アニ「うん、そうして。……おやすみ」モソモソ
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:33:23 ID:QRdnkGNU
ーー 消灯時間後 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「ただいまでーす……」コソコソ
サシャ(ユミルとクリスタは……寝てますね。起こさないようにっと……)ソロソロ
サシャ(佃煮、なかなかの出来でしたね……明日辺り、教官のところにお裾分けに行きましょう)ゴソゴソ
サシャ「……」
サシャ(……やっぱり、私が行ったこと知りませんよね。当然ですけど)
サシャ(ちょっと、寂しいな……)
サシャ「……」ペタペタ
サシャ(まだ感触が残ってる気がする……)
サシャ「……おいしかった、な」ボソッ
おわり
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:34:12 ID:QRdnkGNU
読んでくださった方ありがとうございましたー 十回目なので原点回帰です
あと今回おまけがあります。本編に絡まないベルトルト×アニで1レスだけなんですが、消すのがもったいなかったので貼っときます。読みたい人だけどうぞ。序盤でサシャたちのところからアニが立ち去った後です
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:35:17 ID:QRdnkGNU
アニ「……」スタスタ...
ベルトルト「ーーあれっ、アニ? 女子のほうの草刈り終わったの?」
アニ「! ベルトルト……」
ベルトルト「終わったなら鎌はちゃんと返してこないとダメだよ? 危ないからーー」
アニ「……ねえ、ちょっと後ろ向いてよ。ベルトルト」
ベルトルト「? いいけど……」クルッ
アニ「……」ギュッ...
ベルトルト「!? あ、アニ? どうしたの?」オロオロ
アニ「……」グスッ...
ベルトルト「!? どうしたの? もしかして泣いてるの?」アセアセ
アニ「うるさいばか……」ボソッ
ベルトルト「で、でも……」オロオロ
アニ「……こっち向いたら、もう口聞いてやんない」グスッ
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:33:27 ID:YR1m/P/k
このシリーズ好きです!
頑張ってください!!
っていう後ろからベルトルトにしがみつきながら虫を思い出して泣いちゃってるアニを妄想したんですけど本筋に関係ないからカットしました
>>62 さんありがとうございますー嬉しいです!
途中レスくださった方もありがとうございました!次回はいよいよダブルデート編ですのでお楽しみに!
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:37:22 ID:QRdnkGNU
今回遅かったのは最後の机のシーンであーでもないこーでもないとフィギュアーツを絡ませてたからです
真夜中に一生懸命ゴーカイレッドとキュアサンシャインで遊びながら>>1は割と本気で泣きたくなりました
SS読んでくださっているみなさんはこんな大人にならないで真っ当な相手を見つけてくださいね というわけで今度こそ終わり
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:42:34 ID:YR1m/P/k
乙です!
次も楽しみにしてます!
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:58:27 ID:L2tBco9c
相変わらずキュンキュンする、のでまだまだ続けてほしい
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:59:37 ID:A94dnFEY
乙 面白かった 次も
期待
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:14:38 ID:Mv33pXJ2
いつも面白いよー
乙!
ショートストーリーの人気記事
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
神様の秘密とは?神様が叶えたかったこととは?笑いあり、涙ありの神ss。日常系アニメが好きな方におすすめ!
→記事を読む
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
→記事を読む
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
→記事を読む
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
→記事を読む
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
→記事を読む
同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
→記事を読む
妹「マニュアルで恋します!」
→記事を読む
きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
→記事を読む
月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
→記事を読む
彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
→記事を読む