サシャ「味も見ておきましょう」
Part2
23 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:48:05 ID:QRdnkGNU
ライナー「……わかった、アルミン。どこでも行きたいところに行け。その代わり俺もついていく」ハァ
アルミン「えっ? いや、僕が一人で行くからいいよ!」オロオロ
ライナー「どっちにしろ、点呼に間に合わなかったら室長の俺も叱られるんだ。ここで見送っても結果は同じだ」
アルミン「でも……」
ライナー「じゃあ、行くのをやめるか?」
アルミン「……ごめん、行きたい」シュン
ライナー「気にするな。後悔しないように、やりたいことは全部やればいいさ。ーーベルトルトはどうする? ここに残ってもいいが……」
ベルトルト「いや、僕も行くよ。病み上がりの人に全部任せるわけにはいかないし。エレンはどう?」
エレン「行かない」キッパリ
ベルトルト「だよね。じゃあ、ここに一人で残ることになるけどいい?」
エレン「……やっぱり行く」モソモソ
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:48:59 ID:QRdnkGNU
ーー 男子寮 廊下
ライナー「……誰もいないな。よし、行くぞ」
アルミン「わーい! 出発進行!!」キラキラキラキラ
エレン「」ガタガタガタガタ
ベルトルト「エレン、エレンってば、シャツが伸びるから……」
???「……これは好都合」コソコソ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:49:39 ID:QRdnkGNU
ーー 男子寮 トイレ前廊下
ライナー「それで、その七不思議ってのはどういう話なんだ?」
アルミン「えっと……男子寮一階トイレの一番奥の個室から『紙をください』って声が聞こえるんだって」
ライナー「……アルミン、どこが怖いのかわからないんだが」
アルミン「一番奥の個室にはね、何故かいつも紙が置いてないんだよ。だから普段はみんな用足しには使わないんだ」
ライナー「誰もいないはずのトイレから聞こえる声、ってことか。……確かにそいつは謎だな」
アルミン「うん! わくわくするよね!」
ライナー「ああ。今度掃除当番になんできちんと紙を補充しないのか問い詰めないとな」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:50:22 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……ねえエレン。心なしか、アルミンの顔が生き生きしてるように見えるんだけど」
エレン「ああ、アルミンはこういうよくわからないものが大好きだからさ」
エレン「怖い話の大半は元ネタがあるらしくて、それについて考えるのが楽しみなんだとよ」
ベルトルト「へえ、元ネタか……」
エレン「ただ、夢中になりすぎて周りが見えなくなるのだけは勘弁してほしいよな。……ほら、前に本を読んでる時もそうだったろ?」
ベルトルト「ああ、あの時は怖かったね……」ゾクッ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:50:57 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……僕は、ライナーがああいう言い方をすればアルミンは諦めるかと思ってた」
エレン「頑固なんだよ、アルミンは。しっかりした芯がある男だからな」
ベルトルト「……すごいんだね、アルミンは。僕には真似できないや」
エレン「? すごいって思うならベルトルトも真似すればいいんじゃないか? 誰かのようになりたいって思うのは自由だろ? 俺もライナーみたいなカッコイイ奴になりたいって思ってるしな!」
ベルトルト「……そうだね。思うのは、自由だよね」
エレン「……?」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:51:57 ID:QRdnkGNU
ライナー「奥の個室だったよな。……よし。じゃあ中に入るぞ」ガチャッ
アルミン「!? ライナー、危ないよ? 病み上がりなのに……」
ライナー「病み上がりって言っても鼻が少し詰まってるだけだ。大したことない」スタスタ...
ライナー「さっさとすませようーー!?」
アルミン「どうしたの、ライナー?」
ライナー「……使用中だ。中に誰かいる」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:53:22 ID:QRdnkGNU
ーー 数分前
ジャン「……」コソコソ
ジャン(よしよし、消灯直前だから誰もいねえな……)キョロキョロ
ジャン(部屋だと集中できな……、いや、迷惑がかかるからな。でも、男である以上は仕方ねえことだしな、これは)ゴソゴソ
ジャン(っつーわけで、この前アルミンから借りた黒髪貧乳おねいさん、今晩はお世話になります!!)ゴソゴソ
\ガチャッ/
『ーーーー、危ないよ? 病み上がりなのに……』
ジャン「!?」
ジャン(アルミンの声!? こんな時に……タイミング悪すぎだろ!!)
ジャン(ちっ、この場はやり過ごすしかねえ……取り敢えずおねいさんは背中に隠して……)カサカサ
『……使用中だ。中に誰かいる』
ジャン(!? ライナーもいるのか!? ーーくそっ、逃げ場もねえし、このままじっとしてるしか……)
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:54:04 ID:QRdnkGNU
ーー 現在
アルミン「これは……つまり」ゴクッ
ベルトルト「そういうこと、だよね……」
エレン「」ガタガタガタガタ
ライナー「……よしエレン、中を見てこい」
エレン「は!? やだよ! やだよ!!」ブンブン!!
ライナー「俺やベルトルトが登ったら仕切りが壊れるかもしれん。お前しかいないんだ」
エレン「じゃあアルミンに頼めばいいだろ言い出しっぺなんだから!!」ガタガタガタガタ
アルミン「僕はここで脱落するわけにはいかないんだ。七不思議を解明する使命があるからね」
エレン「俺が脱落する前提なのかよ!!」ガタガタガタガタ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:55:02 ID:QRdnkGNU
『おいこら死に急ぎ野郎! 覗くんじゃねえぞ!!
エレン「!? ーーほらぁっ! いもしねえジャンの声が聞こえんじゃねぇか! 無理だって! 絶対無理!!」ジタバタジタバタ
『いるっつってんだろ! だからやめろ! 入ってっから! 俺が入ってるから!!』
アルミン「さあエレン! 上からトイレを覗くんだ!!」ワクワク
ライナー「よーしベルトルト。エレンを持ち上げるぞー」ガシッ
ベルトルト「しょうがないなぁ」ガシッ
エレン「嫌だあああああああああ!! ライナーとベルトルトはおかしくなったんだああああああ!!!」ジタバタジタバタ
ライナー「ほら行くぞー」グイッ
ベルトルト「よいしょっと」グイッ
エレン「嫌だってえええええええええええええええ!!」ヒョイッ
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:56:02 ID:QRdnkGNU
エレン「……」ジーッ
ジャン「……」
エレン「……」
ジャン「……」
エレン「……」
エレン「……」スタッ
アルミン「……どうだったー?」
エレン「……ジャンだった」
ライナー「あー……」
ベルトルト「やっぱりかー……」
ジャン「お前らなんだよ新手のイジメか!?」バーン!!
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:56:45 ID:QRdnkGNU
ジャン「ライナーにベルトルトォッ!! お前らもノリノリになってるんじゃねえよ!! エレン持ち上げる前に俺だってわかってたろ!?」
ライナー「最初に入った時に物音が聞こえたからな、誰かいるとは思っていた。悪いな」ニヤニヤ
ベルトルト「ははは、ごめんね。ジャンだってわかったからもう何してもいいやって」ニコニコ
ジャン「親しき仲にも礼儀ありっていうだろうがぁっ!!」
エレン「ジャンにも礼儀って概念あったのか……!?」
ジャン「変なところで驚いてんじゃねえよ死に急ぎ野郎が!!」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:57:32 ID:QRdnkGNU
ーー 廊下
ジャン「……七不思議ねえ。お前ら妙なことしてんなぁ」
アルミン「違うよ! これは男の浪漫だよ!!」プンスカ
ジャン「へいへい。わかったわかった」
エレン「……ところでなんでジャンがついて来てんだ? お前の部屋逆方向だろ?」
ジャン「ちょっとアルミンに用があるんだよ」チラッ
アルミン「? 何?」
ジャン「……帰りに一冊貸してくれ」ボソボソ
アルミン「アルレルト書院の本日の営業は終了しました。またのお越しをお待ちしております」
ジャン「ぐっ……!」ギリッ...
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:58:40 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……あれ? 僕らは七不思議を検証してるんだよね? どうして部屋に戻ることになってるの?」
ライナー「そういえばそうだな。アルミン、どういうことだ?」
アルミン「二つ目の七不思議、魔の十三階段は真夜中の二時にしか発生しないから、今は検証不可能なんだよ」
ベルトルト「でも、七不思議はもう一つあるって言ってなかったっけ?」
アルミン「うん。最後の一つは僕らの部屋だよ」
エレン「」
アルミン「髪の長い女が天井に貼りついているっていう話なんだけどね、そもそもこの話の由来はーー」ペラペラ
エレン「……ジャン。俺と部屋替わってくれ」プルプルプルプル
ジャン「なんだよエレン、幽霊が怖いのか?」プーックスクス
エレン「ライナー、次の生け贄はジャンでいいよな?」
ライナー「ああ、問題ない」
ジャン「おい生け贄ってなんだよ!?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:59:45 ID:QRdnkGNU
ーー エレンたちの部屋の前
\ガンバッテー/
ジャン「……なんでエレンとベルトルトはあんなに離れてるんだ?」
アルミン「部屋に近づきたくないんだって。主にエレンが」
ジャン「ったく、怪奇現象が怖くて兵士やってられっかよ」ケッ
ライナー「……ジャン。特攻する前に聞きたいことがあるんだが」ボソボソ
ジャン「あぁ? なんだよ? っていうか特攻って言うな不吉だろ」ボソボソ
ライナー「……俺の体臭ってキツイか?」ボソボソ
ジャン「? いや、気にしたことはねえけど……まあ汗臭いんじゃねえの? それなりに」
ライナー「そうか……」
ライナー(それなり、か……いまいち参考にならんな。できれば女子の意見も聞きたいところだ)ウーン
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:02:18 ID:QRdnkGNU
ーー エレンたちの部屋
ジャン「そんじゃ、失礼しますよーっと」ガチャッ
ジャン(ったく……ビビりすぎだろエレンの奴。怖い話が苦手なんてガキじゃねえか)
\パサッ.../
ジャン(? なんだ、部屋の中央に何か落ちてる……?)ヒョイッ
ジャン(んだよ、野郎のパンツかよ……ちゃんとしまえよなー洗濯物は)チッ
\パサッ.../ \パサッ.../
ジャン(ん? 後ろにも二枚落ちて……)
\パサッ.../ \パサッ.../ \パサッ.../ \パサッ.../
ジャン(はっ!? なんで下着が増えたんだ!?)
ジャン(上から降ってきたのか……!? 天井か!!)バッ!
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:03:11 ID:QRdnkGNU
ジャン「……」
ミカサ「……」クンカクンカスーハースーハー
ジャン「……」
ミカサ「……こんばんは」ペコッ
ジャン「あっ……どうも……」ペコッ
ミカサ「……」
ジャン「……」
ミカサ「……」
ジャン「……」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:03:57 ID:QRdnkGNU
アルミン「ジャン、どうだったー?」ガチャッ
ジャン「……下着を抱えたミカサが天井に貼りついてた」ユビサシ
ライナー「あー……やっぱり」
ジャン「つまり……そういうこと、だよな……?」
アルミン「うん……天井に貼りついている、髪の長い女って……」
ミカサ「わたしです」ハーイ
ライナー「お前だったのか」
ミカサ「こんなに早く帰ってくるとは思わなかった。不覚」
ライナー「まあ……とにかく降りてこい」
ミカサ「わかった」スタッ
アルミン「なんだぁ……ミカサだったのかぁ……」ショボーン...
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:04:57 ID:QRdnkGNU
ライナー「……で、今日は何してたんだ?」
ミカサ「選別作業中。エレンのパンツを物色していた」
アルミン「確実に僕たちの下着も混ざってるよね、それ」
ミカサ「大丈夫。匂いでわかる」
ライナー「匂い……」ピクッ
ジャン(!! 匂い……!?)ピクピクッ
ミカサ「そう……私は、他人の匂いをそれなりの精度で嗅ぎ分けることができる!」ニンニン
ジャン「!!」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:05:37 ID:QRdnkGNU
ジャン「な、なぁミカサ……! 俺の匂いとかも、もしかしてわかったりするのか……?」
ミカサ「わかる」キリッ
ジャン「!! 因みにどんな匂いなんだ!?」
ライナー(!? また自分で地雷を踏みに……!?)
アルミン(ジャン……! 君はなんて無謀……いや勇敢な奴なんだ……!!)
ミカサ「……うーん」
ミカサ「……タンポポのような、匂い?」
ジャン「」
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:06:42 ID:QRdnkGNU
ジャン「……帰る」スタスタ...
アルミン「あっ、うん……そうだ、帰る前にエレンとベルトルト呼んできてくれる? もう平気だよって」
ジャン「……ああ」ガチャッ...バタンッ
ライナー「……」
アルミン「……」
ミカサ「……?」
ライナー「……満面の笑みだったが、声は沈んでいたな」
アルミン「こちらとしてもどう接すればいいのか判断に困る表情だったね」
ミカサ「? ……正直に言ったのだけれど、間違いだった?」キョトン
ライナー「正直な気持ちだったんならいいんじゃないか? きっと」
アルミン「そうそう、ジャンなら大丈夫だよ。たぶん」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:10:07 ID:QRdnkGNU
ライナー「なあミカサ。ここにいるついでに聞きたいんだが……俺の匂いって気になるか?」
アルミン「!? ライナー、それは……」
ライナー「いいんだ。女子の意見も聞きたいからな。それで、どうなんだ?」
ミカサ「……ほほぅ」ニヤッ
ライナー「変な笑い方をするんじゃない」
ミカサ「男性の匂いが好きな女性は少なからずいる。ので、安心するといい」
ライナー「そうじゃなくてだな。……変な匂いがしないかってことだ」
ミカサ「今のところ、訓練兵の中に極端に匂う人はいない。だから、気にすることはない」
ライナー「……気は遣わなくていいんだぞ?」
ミカサ「……そんなに気になるなら、別の人に聞いてみればいい。私じゃない女の人に」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:11:11 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「ただいま。もう終わったの?」ガチャッ
ライナー「ああ。正体はミカサだった」
ミカサ「わたしでした」ニンニン
エレン「お前かよ! お前かよ!!」
アルミン「まあまあエレン、幽霊じゃなくてよかったじゃない。これで今日もここで普通に寝られるね?」
ミカサ「エレン、眠れないなら私が横で子守歌を歌ってあげる。一晩中」
エレン「頼むからもうこれ以上七不思議を増やさないでくれ!!」
アルミン「エレンってば、増えたら七不思議じゃなくて八不思議だよ?」ウフフ
ライナー「……わかった、アルミン。どこでも行きたいところに行け。その代わり俺もついていく」ハァ
アルミン「えっ? いや、僕が一人で行くからいいよ!」オロオロ
ライナー「どっちにしろ、点呼に間に合わなかったら室長の俺も叱られるんだ。ここで見送っても結果は同じだ」
アルミン「でも……」
ライナー「じゃあ、行くのをやめるか?」
アルミン「……ごめん、行きたい」シュン
ライナー「気にするな。後悔しないように、やりたいことは全部やればいいさ。ーーベルトルトはどうする? ここに残ってもいいが……」
ベルトルト「いや、僕も行くよ。病み上がりの人に全部任せるわけにはいかないし。エレンはどう?」
エレン「行かない」キッパリ
ベルトルト「だよね。じゃあ、ここに一人で残ることになるけどいい?」
エレン「……やっぱり行く」モソモソ
24 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:48:59 ID:QRdnkGNU
ーー 男子寮 廊下
ライナー「……誰もいないな。よし、行くぞ」
アルミン「わーい! 出発進行!!」キラキラキラキラ
エレン「」ガタガタガタガタ
ベルトルト「エレン、エレンってば、シャツが伸びるから……」
???「……これは好都合」コソコソ
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:49:39 ID:QRdnkGNU
ーー 男子寮 トイレ前廊下
ライナー「それで、その七不思議ってのはどういう話なんだ?」
アルミン「えっと……男子寮一階トイレの一番奥の個室から『紙をください』って声が聞こえるんだって」
ライナー「……アルミン、どこが怖いのかわからないんだが」
アルミン「一番奥の個室にはね、何故かいつも紙が置いてないんだよ。だから普段はみんな用足しには使わないんだ」
ライナー「誰もいないはずのトイレから聞こえる声、ってことか。……確かにそいつは謎だな」
アルミン「うん! わくわくするよね!」
ライナー「ああ。今度掃除当番になんできちんと紙を補充しないのか問い詰めないとな」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:50:22 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……ねえエレン。心なしか、アルミンの顔が生き生きしてるように見えるんだけど」
エレン「ああ、アルミンはこういうよくわからないものが大好きだからさ」
エレン「怖い話の大半は元ネタがあるらしくて、それについて考えるのが楽しみなんだとよ」
ベルトルト「へえ、元ネタか……」
エレン「ただ、夢中になりすぎて周りが見えなくなるのだけは勘弁してほしいよな。……ほら、前に本を読んでる時もそうだったろ?」
ベルトルト「ああ、あの時は怖かったね……」ゾクッ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:50:57 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……僕は、ライナーがああいう言い方をすればアルミンは諦めるかと思ってた」
エレン「頑固なんだよ、アルミンは。しっかりした芯がある男だからな」
ベルトルト「……すごいんだね、アルミンは。僕には真似できないや」
エレン「? すごいって思うならベルトルトも真似すればいいんじゃないか? 誰かのようになりたいって思うのは自由だろ? 俺もライナーみたいなカッコイイ奴になりたいって思ってるしな!」
ベルトルト「……そうだね。思うのは、自由だよね」
エレン「……?」
ライナー「奥の個室だったよな。……よし。じゃあ中に入るぞ」ガチャッ
アルミン「!? ライナー、危ないよ? 病み上がりなのに……」
ライナー「病み上がりって言っても鼻が少し詰まってるだけだ。大したことない」スタスタ...
ライナー「さっさとすませようーー!?」
アルミン「どうしたの、ライナー?」
ライナー「……使用中だ。中に誰かいる」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:53:22 ID:QRdnkGNU
ーー 数分前
ジャン「……」コソコソ
ジャン(よしよし、消灯直前だから誰もいねえな……)キョロキョロ
ジャン(部屋だと集中できな……、いや、迷惑がかかるからな。でも、男である以上は仕方ねえことだしな、これは)ゴソゴソ
ジャン(っつーわけで、この前アルミンから借りた黒髪貧乳おねいさん、今晩はお世話になります!!)ゴソゴソ
\ガチャッ/
『ーーーー、危ないよ? 病み上がりなのに……』
ジャン「!?」
ジャン(アルミンの声!? こんな時に……タイミング悪すぎだろ!!)
ジャン(ちっ、この場はやり過ごすしかねえ……取り敢えずおねいさんは背中に隠して……)カサカサ
『……使用中だ。中に誰かいる』
ジャン(!? ライナーもいるのか!? ーーくそっ、逃げ場もねえし、このままじっとしてるしか……)
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:54:04 ID:QRdnkGNU
ーー 現在
アルミン「これは……つまり」ゴクッ
ベルトルト「そういうこと、だよね……」
エレン「」ガタガタガタガタ
ライナー「……よしエレン、中を見てこい」
エレン「は!? やだよ! やだよ!!」ブンブン!!
ライナー「俺やベルトルトが登ったら仕切りが壊れるかもしれん。お前しかいないんだ」
エレン「じゃあアルミンに頼めばいいだろ言い出しっぺなんだから!!」ガタガタガタガタ
アルミン「僕はここで脱落するわけにはいかないんだ。七不思議を解明する使命があるからね」
エレン「俺が脱落する前提なのかよ!!」ガタガタガタガタ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:55:02 ID:QRdnkGNU
『おいこら死に急ぎ野郎! 覗くんじゃねえぞ!!
エレン「!? ーーほらぁっ! いもしねえジャンの声が聞こえんじゃねぇか! 無理だって! 絶対無理!!」ジタバタジタバタ
『いるっつってんだろ! だからやめろ! 入ってっから! 俺が入ってるから!!』
アルミン「さあエレン! 上からトイレを覗くんだ!!」ワクワク
ライナー「よーしベルトルト。エレンを持ち上げるぞー」ガシッ
ベルトルト「しょうがないなぁ」ガシッ
エレン「嫌だあああああああああ!! ライナーとベルトルトはおかしくなったんだああああああ!!!」ジタバタジタバタ
ライナー「ほら行くぞー」グイッ
ベルトルト「よいしょっと」グイッ
エレン「嫌だってえええええええええええええええ!!」ヒョイッ
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:56:02 ID:QRdnkGNU
エレン「……」ジーッ
ジャン「……」
エレン「……」
ジャン「……」
エレン「……」
エレン「……」スタッ
アルミン「……どうだったー?」
エレン「……ジャンだった」
ライナー「あー……」
ベルトルト「やっぱりかー……」
ジャン「お前らなんだよ新手のイジメか!?」バーン!!
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:56:45 ID:QRdnkGNU
ジャン「ライナーにベルトルトォッ!! お前らもノリノリになってるんじゃねえよ!! エレン持ち上げる前に俺だってわかってたろ!?」
ライナー「最初に入った時に物音が聞こえたからな、誰かいるとは思っていた。悪いな」ニヤニヤ
ベルトルト「ははは、ごめんね。ジャンだってわかったからもう何してもいいやって」ニコニコ
ジャン「親しき仲にも礼儀ありっていうだろうがぁっ!!」
エレン「ジャンにも礼儀って概念あったのか……!?」
ジャン「変なところで驚いてんじゃねえよ死に急ぎ野郎が!!」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:57:32 ID:QRdnkGNU
ーー 廊下
ジャン「……七不思議ねえ。お前ら妙なことしてんなぁ」
アルミン「違うよ! これは男の浪漫だよ!!」プンスカ
ジャン「へいへい。わかったわかった」
エレン「……ところでなんでジャンがついて来てんだ? お前の部屋逆方向だろ?」
ジャン「ちょっとアルミンに用があるんだよ」チラッ
アルミン「? 何?」
ジャン「……帰りに一冊貸してくれ」ボソボソ
アルミン「アルレルト書院の本日の営業は終了しました。またのお越しをお待ちしております」
ジャン「ぐっ……!」ギリッ...
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:58:40 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「……あれ? 僕らは七不思議を検証してるんだよね? どうして部屋に戻ることになってるの?」
ライナー「そういえばそうだな。アルミン、どういうことだ?」
アルミン「二つ目の七不思議、魔の十三階段は真夜中の二時にしか発生しないから、今は検証不可能なんだよ」
ベルトルト「でも、七不思議はもう一つあるって言ってなかったっけ?」
アルミン「うん。最後の一つは僕らの部屋だよ」
エレン「」
アルミン「髪の長い女が天井に貼りついているっていう話なんだけどね、そもそもこの話の由来はーー」ペラペラ
エレン「……ジャン。俺と部屋替わってくれ」プルプルプルプル
ジャン「なんだよエレン、幽霊が怖いのか?」プーックスクス
エレン「ライナー、次の生け贄はジャンでいいよな?」
ライナー「ああ、問題ない」
ジャン「おい生け贄ってなんだよ!?」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 18:59:45 ID:QRdnkGNU
ーー エレンたちの部屋の前
\ガンバッテー/
ジャン「……なんでエレンとベルトルトはあんなに離れてるんだ?」
アルミン「部屋に近づきたくないんだって。主にエレンが」
ジャン「ったく、怪奇現象が怖くて兵士やってられっかよ」ケッ
ライナー「……ジャン。特攻する前に聞きたいことがあるんだが」ボソボソ
ジャン「あぁ? なんだよ? っていうか特攻って言うな不吉だろ」ボソボソ
ライナー「……俺の体臭ってキツイか?」ボソボソ
ジャン「? いや、気にしたことはねえけど……まあ汗臭いんじゃねえの? それなりに」
ライナー「そうか……」
ライナー(それなり、か……いまいち参考にならんな。できれば女子の意見も聞きたいところだ)ウーン
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:02:18 ID:QRdnkGNU
ーー エレンたちの部屋
ジャン「そんじゃ、失礼しますよーっと」ガチャッ
ジャン(ったく……ビビりすぎだろエレンの奴。怖い話が苦手なんてガキじゃねえか)
\パサッ.../
ジャン(? なんだ、部屋の中央に何か落ちてる……?)ヒョイッ
ジャン(んだよ、野郎のパンツかよ……ちゃんとしまえよなー洗濯物は)チッ
\パサッ.../ \パサッ.../
ジャン(ん? 後ろにも二枚落ちて……)
\パサッ.../ \パサッ.../ \パサッ.../ \パサッ.../
ジャン(はっ!? なんで下着が増えたんだ!?)
ジャン(上から降ってきたのか……!? 天井か!!)バッ!
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:03:11 ID:QRdnkGNU
ジャン「……」
ミカサ「……」クンカクンカスーハースーハー
ジャン「……」
ミカサ「……こんばんは」ペコッ
ジャン「あっ……どうも……」ペコッ
ミカサ「……」
ジャン「……」
ミカサ「……」
ジャン「……」
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:03:57 ID:QRdnkGNU
アルミン「ジャン、どうだったー?」ガチャッ
ジャン「……下着を抱えたミカサが天井に貼りついてた」ユビサシ
ライナー「あー……やっぱり」
ジャン「つまり……そういうこと、だよな……?」
アルミン「うん……天井に貼りついている、髪の長い女って……」
ミカサ「わたしです」ハーイ
ライナー「お前だったのか」
ミカサ「こんなに早く帰ってくるとは思わなかった。不覚」
ライナー「まあ……とにかく降りてこい」
ミカサ「わかった」スタッ
アルミン「なんだぁ……ミカサだったのかぁ……」ショボーン...
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:04:57 ID:QRdnkGNU
ライナー「……で、今日は何してたんだ?」
ミカサ「選別作業中。エレンのパンツを物色していた」
アルミン「確実に僕たちの下着も混ざってるよね、それ」
ミカサ「大丈夫。匂いでわかる」
ライナー「匂い……」ピクッ
ジャン(!! 匂い……!?)ピクピクッ
ミカサ「そう……私は、他人の匂いをそれなりの精度で嗅ぎ分けることができる!」ニンニン
ジャン「!!」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:05:37 ID:QRdnkGNU
ジャン「な、なぁミカサ……! 俺の匂いとかも、もしかしてわかったりするのか……?」
ミカサ「わかる」キリッ
ジャン「!! 因みにどんな匂いなんだ!?」
ライナー(!? また自分で地雷を踏みに……!?)
アルミン(ジャン……! 君はなんて無謀……いや勇敢な奴なんだ……!!)
ミカサ「……うーん」
ミカサ「……タンポポのような、匂い?」
ジャン「」
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:06:42 ID:QRdnkGNU
ジャン「……帰る」スタスタ...
アルミン「あっ、うん……そうだ、帰る前にエレンとベルトルト呼んできてくれる? もう平気だよって」
ジャン「……ああ」ガチャッ...バタンッ
ライナー「……」
アルミン「……」
ミカサ「……?」
ライナー「……満面の笑みだったが、声は沈んでいたな」
アルミン「こちらとしてもどう接すればいいのか判断に困る表情だったね」
ミカサ「? ……正直に言ったのだけれど、間違いだった?」キョトン
ライナー「正直な気持ちだったんならいいんじゃないか? きっと」
アルミン「そうそう、ジャンなら大丈夫だよ。たぶん」
ライナー「なあミカサ。ここにいるついでに聞きたいんだが……俺の匂いって気になるか?」
アルミン「!? ライナー、それは……」
ライナー「いいんだ。女子の意見も聞きたいからな。それで、どうなんだ?」
ミカサ「……ほほぅ」ニヤッ
ライナー「変な笑い方をするんじゃない」
ミカサ「男性の匂いが好きな女性は少なからずいる。ので、安心するといい」
ライナー「そうじゃなくてだな。……変な匂いがしないかってことだ」
ミカサ「今のところ、訓練兵の中に極端に匂う人はいない。だから、気にすることはない」
ライナー「……気は遣わなくていいんだぞ?」
ミカサ「……そんなに気になるなら、別の人に聞いてみればいい。私じゃない女の人に」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/25(木) 19:11:11 ID:QRdnkGNU
ベルトルト「ただいま。もう終わったの?」ガチャッ
ライナー「ああ。正体はミカサだった」
ミカサ「わたしでした」ニンニン
エレン「お前かよ! お前かよ!!」
アルミン「まあまあエレン、幽霊じゃなくてよかったじゃない。これで今日もここで普通に寝られるね?」
ミカサ「エレン、眠れないなら私が横で子守歌を歌ってあげる。一晩中」
エレン「頼むからもうこれ以上七不思議を増やさないでくれ!!」
アルミン「エレンってば、増えたら七不思議じゃなくて八不思議だよ?」ウフフ
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