しんのすけ「フシギなちからが、そなわったゾ!」
Part2
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:10:07.36 ID:J1rHTBq80
ネネちゃんが開いたシャツの胸元に手を突っ込み、二体のぬいぐるみを取り出した。
もちろん、ウサギのぬいぐるみだ。
ボーちゃんに向けてそれを放ると、二匹のウサギはふわふわと宙に浮いた。
目測でカザマ君の二歩先とマサオ君の五歩先までウサギを飛ばし、それぞれ落とした。
がこん!!!
派手な音と共に地面にぽっかりと穴が開いた。
マサオ君が発火で照らすと、一瞬だけ底が覗けた。
いや、底など無かった。奈落に程近い落とし穴だったのだ。
ウサギの落ちた音は聞こえずじまいだった。
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:13:20.05 ID:J1rHTBq80
ネネ「カザマ君、落ちる時『ママー』って叫んでたわよ」
ネネちゃんはくすくすと上品に笑った。
カザマ君とマサオ君は顔を合わせて苦笑した。
ーープレコグニション
予知能力だ。
マサオ君の一瞬のあかりで再び真っ暗になってしまったオラたちは、
しばらくその場にとどまって、目を慣らしてから歩をすすめた。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:20:49.81 ID:J1rHTBq80
やっとのことで松明までたどり着いたオラたちを待っていたのは、鉄製のドアだった。
カザマ君が用心深くドアノブを引くと、拍子抜けするほど簡単にドアは開いた。
想像以上の光量に、みんなは目を閉じた。
そして、ゆっくりと目を開けるとそこは広い部屋になっていた。
豪奢な家具が並び、暖炉まで設けられている。
部屋の真ん中で、ロッキングチェアに座る二人の背中が見えた。
一人はティーカップを片手にゆらゆらと揺れ、
もう一人は、ピクリともしていなかった。
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:23:56.58 ID:J1rHTBq80
マサオ「……愛ちゃん?」
揺れていたロッキングチェアが止まり、やつれた女性が振り向いた。
愛「あら、誰でしたっけ、あなた?」
マサオ「僕だよ、僕。マサオだよ」
愛「……?」
愛「ああ、ああ、あのオニギリ頭」
口もとに手を置いて笑う愛ちゃん。
カザマ君とネネちゃんは笑わなかった。
愛「と言うことは、隣の二人はネネちゃんとカザマ君ね」
二人は無言でうなずいた。
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:28:30.06 ID:J1rHTBq80
愛「同窓会でもあったのかしら? 呼んでくれないなんて、ずいぶん冷たい級友ね」
愛ちゃんは、まあそんなこといいけど、と言わんばかりにカップに口をつけた。
マサオ君の震える肩を、名前も挙がらないボーちゃんが叩いた。
カザマ君もネネちゃんも黙り込んでいる。
愛「ほら、しん様も挨拶なさったら?」
「懐かしい顔ぶれよ」と笑いながらもう一つのチェアを引き、こちらに向けた。
屋敷に入って来た『四人』は顔をそむけた。
しんのすけの腐乱死体から。
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:29:19.00 ID:pjkvnqRP0
どういうことなんだ
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:29:35.10 ID:5zhs+DNB0
急展開
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:30:03.17 ID:Z77edo0U0
oh...
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:30:05.02 ID:+OK4i8FE0
なん…だと…
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:31:23.88 ID:1Ak6mb4n0
これは
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:32:45.68 ID:J1rHTBq80
ああ、そういえば、オラ死んだんだった。
死ぬ直前に、四人に連絡したんだ。
ーーテレパシー
超感覚的知覚
オラのちからで、みんなに言ったのすっかり忘れてたゾ。
最初にカザマ君が差し伸べてくれたのはオラの遺影で、
四人たす遺影の五人で集まったんだ。
だからびみょうに会話が成り立ってなかったんだな!
もー、むねがどきどきしてたゾ!
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:36:45.66 ID:bJFaJkFp0
オラのむねもドギマギしてきたゾ
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:37:44.77 ID:J1rHTBq80
愛「二か月くらい前、偶然町でしん様をみかけたの」
愛ちゃんは訊いてもいないのに語り始めた。
愛「ほんとに、変わらず素敵でしたわ」
だから、この部屋に閉じ込めたの。
私だけのものにしたかったの。
もちろんご家族から捜索願もだされてたみたいだけど、
一ヶ月もしたら警察は捜査を辞め、自殺ってことになったわ。
お金って素敵よね。
どうして貴方達がここを知ったのかわ分からないけれど、
つい三日くらい前までは、身体は腐っても息はあったのよ?
さすが、私のしん様だわ。
恍惚とした表情の愛ちゃんは、お金って素敵ねとまたうわごとのように言った。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:40:00.18 ID:zyWp7nNQ0
なんと・・・
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:43:45.00 ID:J1rHTBq80
カザマ「ほんとに、あいつは馬鹿だな」
マサオ「うん、もっとはやく連絡すれば良かったのにな」
ネネ「そうね」
マサオ「しかも、久しぶりにしんちゃんの声がしたと思ったら」
カザマ「ああ、助けてくれとか、そんなんじゃなかったよな」
ネネ「なんであんなこと、最期に言ったのかしらね」
マサオ「そんなこと、わかってるっつのな」
カザマ「ああ、まったくだ」
ネネ「当り前よ」
ボー「当然」
ーー「かすかべ防衛隊は、永遠に不滅だゾ!」
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:53:56.16 ID:J1rHTBq80
愛「なにをごちゃごちゃ言ってるのか知らないけれど、しん様は渡しませんわよ!」
愛ちゃんが「ナカムラ」と言うと、貫禄のあるスーツ姿の初老の男がどこからともなく現れた。
ナカムラは手際よくしんのすけを担ぎあげ、ずっしりとした本棚を側面から押した。
裏にあった隠し扉に愛ちゃんとしんのすけを担いだナカムラが滑りこむと、
扉はすぐに閉まり、四人は取り残されてしまった。
すべては一瞬の出来事だった。
カザマ「やられた」
ネネ「予知はできてたんだけど、ちょっと、ショックで」
マサオ「……あれを見たら、しかたねーよ」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:00:07.23 ID:J1rHTBq80
カザマ「さて、どうしようかな」
カザマ君が隠し扉を押したり引いたりしてみるがびくともしない。
部屋には、敗戦の色が濃く落ちていた。
マサオ「言ったん出て、作戦の練り直しか」
ネネ「そうね。いったん引きましょう」
三人が苦しそうな顔でいると、ボーちゃんが口を開いた。
ボー「待てない」
三人がボーちゃんを見た。
ボー「待ってなんか、いられない!」
マサオ「でも、ここは行き止まりじゃ
ボー「あの執事が現れた入口があるはず!」
顔を合わせ、無言でうなずく、四人。
カザマ君はすぐさま地に手をあてた。
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:04:12.23 ID:J1rHTBq80
カザマ君はすぐさまベッドの下に別の出入り口を見つけた。
そして、四人は迷うことなくその中に飛び込んだ。
四つん這いになってやっと一人通れるくらいの通路をすすむと、
一般的な教室程度のひらけた場所に出た。
そこでは、みるからに頑丈そうな鉄製の鎧を身にまとった男が仁王立ちで立っていた。
男「ようこそ愛様の級友」
男は続けた。
男「ジャンプ漫画みたいな展開は嫌いかい?」
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:07:23.12 ID:8Hzpzqqz0
いいえ、好物です
支援
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:08:22.01 ID:9ayGOMnj0
いいね
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:08:31.12 ID:J1rHTBq80
マサオ「ここは俺が請け負う、先に行け」
男の先にはまた扉があった。
逆にいえば扉は二つしかない。後は、密閉された鉄の立方体だ。
男「あらかじめ言っておくと、この先には愛様がいるよ」
マサオ君以外の三人は走り出す姿勢を取っていた。
男「いや、先の先の先の先かな」
男が笑ったのと、マサオ君が指を鳴らしたのは同時だった。
男の目の前が発火し、咄嗟に男は目をつむる。
その隙に、三人は駆け出し次のドアへと進むことが出来たのだ。
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:14:55.98 ID:ot8t1q2o0
この展開は大好物です
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:15:36.22 ID:J1rHTBq80
マサオ「初めから行かせる気だったな」
男「まあね」
男は兜のようなものをかぶった。
鎧というよりは、西洋の甲冑に近いのかもしれない。
とにかく、男は完全に外界から遮断された。
男「この素材はね、燃えないんだよ、どんなに高温でもね」
男はククク、とマンガみたいに笑いながら言った。
男「門番も浮かばれるってもんだ」
マサオ君はやれやれと言わんばかりにネクタイを緩めた。
男「ここで死んでも、誰も気付かないんだよね」
いやらしい笑い方をする男だ。
マサオ「しんちゃん、俺はもう泣き虫じゃねえよ!」
マサオは手に力を込めた。
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:20:55.24 ID:J1rHTBq80
次の扉を開けると、さっきと全く同じ形をした部屋があった。
無機質な立方体だ。そして、やはり男が仁王立ちしていた。
男「……」
ネネ「!」
カザマ「ネネちゃん? どうした?」
ネネ「……この人、視えない」
男はジーパンに白シャツといった軽装だったが、
瞳は海のように深く、まったく思考が読み取れそうになかった。
ボー「じゃあ、ここは僕が行く」
カザマ「ああ、頼むぞボーちゃん」
ボーちゃんが一歩前に出ると、男は首を振ってネネちゃんを指さした。
ネネ「……ご指名はいっちゃったみたい」
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:25:08.16 ID:J1rHTBq80
ネネ「多分、私が残れば二人は見逃してくれると思うの」
カザマ「でも」
ネネ「さっきのマサオ君を見たでしょ。あれは一人ずつ分散させるのが目的なのよ」
カザマ「……視えないんだろ?」
ネネ「話し合ってる間に、しんちゃんは遠くにいっちゃう!!」
ボー「……行こう!」
カザマ「……」
カザマ「……ちゃんと追いついてくれよな」
ネネ「当然よ」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:28:46.47 ID:J1rHTBq80
二人が駆け出すと、案の定軽装の男は二人をスルーした。
軽装の男はつかつかとネネちゃんに歩み寄ると、ニタリと笑った。
ネネちゃんは演技がかった声色で言う。
ネネ「ご指名ありがとうございまーす」
男が飛びかかった。
ネネ「リアルおままごとに、こんな設定なかったんだけどなあ」
ネネちゃんは男の拳を寸前で避けた。
ネネ「まあ、いいわ」
胸元からウサギのぬいぐるみを取り出す。
ネネ「レパートリーが増えるわね、しんちゃん」
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:32:36.03 ID:zsJ6+uhb0
なんか泣けてきた
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:35:12.92 ID:J1rHTBq80
また扉、また部屋、また男。
今度の男は岩のような巨体だった。
腰に巻いた布以外はなにも身に着けておらず、鼻息荒く座っている。
立ってしまうと、部屋に入りきらないのだ。
カザマ「……どうやってこの部屋に入ったんだよ」
ボーちゃんは目をつむり力を入れてみたが、男はピクリとも動かない。
ボー「この部屋は、僕の担当みたい」
カザマ「……持ちあがらないの?」
ボー「うん。本気出せば少しは浮くと思う。でも、それだけ」
カザマ「……」
ボー「わかってるよね」
カザマ君は無言で走り出した。
次の扉へ向かって一直線に。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:36:13.53 ID:cmMEEZDq0
(´;ω;`)
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:40:29.93 ID:J1rHTBq80
巨体の男はカザマ君が部屋を駆け出ると、そのドアを殴りつけた。
それは暴力の塊のような一撃で、扉はひしゃげ、つぶれてしまった。
男は大きな口をゆっくりと開き、かたことで言った
男「オレ、タタカワナイ」
ボー「……」
男「デモ、オマエ、イカセナイ」
ボーちゃんは煙草に火をつけ、ため息と一緒に紫煙を吐いた。
二口吸って、煙草を地面に落とし、踏み消す。
ボー「しんちゃん……」
男が興奮からか鼻息を荒げ、言った。
男「オレト、ガシ、シロ」
ボー「すぐ行くよ」
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:46:55.56 ID:J1rHTBq80
カザマ君は嘔吐した。
最後であろう部屋に待っていたのは、他でもないしんのすけだった。
正確にいえば、『しんのすけだったモノ』。
つぎはぎだらけの着ぐるみ。
いや、着ぐるみだなんてそんな可愛いものではない。
あちこちからどす黒い液体が滴り、腐敗臭があたり一面に漂う。
現実味のなさが、それがしんのすけであることをかえって主張していた。
しんのすけの皮を剥ぎ、それを被っているのは。
愛「待ちくたびれましたわ」
カザマ君は再び嘔吐した。
ネネちゃんが開いたシャツの胸元に手を突っ込み、二体のぬいぐるみを取り出した。
もちろん、ウサギのぬいぐるみだ。
ボーちゃんに向けてそれを放ると、二匹のウサギはふわふわと宙に浮いた。
目測でカザマ君の二歩先とマサオ君の五歩先までウサギを飛ばし、それぞれ落とした。
がこん!!!
派手な音と共に地面にぽっかりと穴が開いた。
マサオ君が発火で照らすと、一瞬だけ底が覗けた。
いや、底など無かった。奈落に程近い落とし穴だったのだ。
ウサギの落ちた音は聞こえずじまいだった。
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:13:20.05 ID:J1rHTBq80
ネネ「カザマ君、落ちる時『ママー』って叫んでたわよ」
ネネちゃんはくすくすと上品に笑った。
カザマ君とマサオ君は顔を合わせて苦笑した。
ーープレコグニション
予知能力だ。
マサオ君の一瞬のあかりで再び真っ暗になってしまったオラたちは、
しばらくその場にとどまって、目を慣らしてから歩をすすめた。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:20:49.81 ID:J1rHTBq80
やっとのことで松明までたどり着いたオラたちを待っていたのは、鉄製のドアだった。
カザマ君が用心深くドアノブを引くと、拍子抜けするほど簡単にドアは開いた。
想像以上の光量に、みんなは目を閉じた。
そして、ゆっくりと目を開けるとそこは広い部屋になっていた。
豪奢な家具が並び、暖炉まで設けられている。
部屋の真ん中で、ロッキングチェアに座る二人の背中が見えた。
一人はティーカップを片手にゆらゆらと揺れ、
もう一人は、ピクリともしていなかった。
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:23:56.58 ID:J1rHTBq80
マサオ「……愛ちゃん?」
揺れていたロッキングチェアが止まり、やつれた女性が振り向いた。
愛「あら、誰でしたっけ、あなた?」
マサオ「僕だよ、僕。マサオだよ」
愛「……?」
愛「ああ、ああ、あのオニギリ頭」
口もとに手を置いて笑う愛ちゃん。
カザマ君とネネちゃんは笑わなかった。
愛「と言うことは、隣の二人はネネちゃんとカザマ君ね」
二人は無言でうなずいた。
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:28:30.06 ID:J1rHTBq80
愛「同窓会でもあったのかしら? 呼んでくれないなんて、ずいぶん冷たい級友ね」
愛ちゃんは、まあそんなこといいけど、と言わんばかりにカップに口をつけた。
マサオ君の震える肩を、名前も挙がらないボーちゃんが叩いた。
カザマ君もネネちゃんも黙り込んでいる。
愛「ほら、しん様も挨拶なさったら?」
「懐かしい顔ぶれよ」と笑いながらもう一つのチェアを引き、こちらに向けた。
屋敷に入って来た『四人』は顔をそむけた。
しんのすけの腐乱死体から。
どういうことなんだ
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:29:35.10 ID:5zhs+DNB0
急展開
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:30:03.17 ID:Z77edo0U0
oh...
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:30:05.02 ID:+OK4i8FE0
なん…だと…
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:31:23.88 ID:1Ak6mb4n0
これは
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:32:45.68 ID:J1rHTBq80
ああ、そういえば、オラ死んだんだった。
死ぬ直前に、四人に連絡したんだ。
ーーテレパシー
超感覚的知覚
オラのちからで、みんなに言ったのすっかり忘れてたゾ。
最初にカザマ君が差し伸べてくれたのはオラの遺影で、
四人たす遺影の五人で集まったんだ。
だからびみょうに会話が成り立ってなかったんだな!
もー、むねがどきどきしてたゾ!
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:36:45.66 ID:bJFaJkFp0
オラのむねもドギマギしてきたゾ
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:37:44.77 ID:J1rHTBq80
愛「二か月くらい前、偶然町でしん様をみかけたの」
愛ちゃんは訊いてもいないのに語り始めた。
愛「ほんとに、変わらず素敵でしたわ」
だから、この部屋に閉じ込めたの。
私だけのものにしたかったの。
もちろんご家族から捜索願もだされてたみたいだけど、
一ヶ月もしたら警察は捜査を辞め、自殺ってことになったわ。
お金って素敵よね。
どうして貴方達がここを知ったのかわ分からないけれど、
つい三日くらい前までは、身体は腐っても息はあったのよ?
さすが、私のしん様だわ。
恍惚とした表情の愛ちゃんは、お金って素敵ねとまたうわごとのように言った。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:40:00.18 ID:zyWp7nNQ0
なんと・・・
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:43:45.00 ID:J1rHTBq80
カザマ「ほんとに、あいつは馬鹿だな」
マサオ「うん、もっとはやく連絡すれば良かったのにな」
ネネ「そうね」
マサオ「しかも、久しぶりにしんちゃんの声がしたと思ったら」
カザマ「ああ、助けてくれとか、そんなんじゃなかったよな」
ネネ「なんであんなこと、最期に言ったのかしらね」
マサオ「そんなこと、わかってるっつのな」
カザマ「ああ、まったくだ」
ネネ「当り前よ」
ボー「当然」
ーー「かすかべ防衛隊は、永遠に不滅だゾ!」
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:53:56.16 ID:J1rHTBq80
愛「なにをごちゃごちゃ言ってるのか知らないけれど、しん様は渡しませんわよ!」
愛ちゃんが「ナカムラ」と言うと、貫禄のあるスーツ姿の初老の男がどこからともなく現れた。
ナカムラは手際よくしんのすけを担ぎあげ、ずっしりとした本棚を側面から押した。
裏にあった隠し扉に愛ちゃんとしんのすけを担いだナカムラが滑りこむと、
扉はすぐに閉まり、四人は取り残されてしまった。
すべては一瞬の出来事だった。
カザマ「やられた」
ネネ「予知はできてたんだけど、ちょっと、ショックで」
マサオ「……あれを見たら、しかたねーよ」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:00:07.23 ID:J1rHTBq80
カザマ「さて、どうしようかな」
カザマ君が隠し扉を押したり引いたりしてみるがびくともしない。
部屋には、敗戦の色が濃く落ちていた。
マサオ「言ったん出て、作戦の練り直しか」
ネネ「そうね。いったん引きましょう」
三人が苦しそうな顔でいると、ボーちゃんが口を開いた。
ボー「待てない」
三人がボーちゃんを見た。
ボー「待ってなんか、いられない!」
マサオ「でも、ここは行き止まりじゃ
ボー「あの執事が現れた入口があるはず!」
顔を合わせ、無言でうなずく、四人。
カザマ君はすぐさま地に手をあてた。
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:04:12.23 ID:J1rHTBq80
カザマ君はすぐさまベッドの下に別の出入り口を見つけた。
そして、四人は迷うことなくその中に飛び込んだ。
四つん這いになってやっと一人通れるくらいの通路をすすむと、
一般的な教室程度のひらけた場所に出た。
そこでは、みるからに頑丈そうな鉄製の鎧を身にまとった男が仁王立ちで立っていた。
男「ようこそ愛様の級友」
男は続けた。
男「ジャンプ漫画みたいな展開は嫌いかい?」
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:07:23.12 ID:8Hzpzqqz0
いいえ、好物です
支援
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:08:22.01 ID:9ayGOMnj0
いいね
マサオ「ここは俺が請け負う、先に行け」
男の先にはまた扉があった。
逆にいえば扉は二つしかない。後は、密閉された鉄の立方体だ。
男「あらかじめ言っておくと、この先には愛様がいるよ」
マサオ君以外の三人は走り出す姿勢を取っていた。
男「いや、先の先の先の先かな」
男が笑ったのと、マサオ君が指を鳴らしたのは同時だった。
男の目の前が発火し、咄嗟に男は目をつむる。
その隙に、三人は駆け出し次のドアへと進むことが出来たのだ。
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:14:55.98 ID:ot8t1q2o0
この展開は大好物です
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:15:36.22 ID:J1rHTBq80
マサオ「初めから行かせる気だったな」
男「まあね」
男は兜のようなものをかぶった。
鎧というよりは、西洋の甲冑に近いのかもしれない。
とにかく、男は完全に外界から遮断された。
男「この素材はね、燃えないんだよ、どんなに高温でもね」
男はククク、とマンガみたいに笑いながら言った。
男「門番も浮かばれるってもんだ」
マサオ君はやれやれと言わんばかりにネクタイを緩めた。
男「ここで死んでも、誰も気付かないんだよね」
いやらしい笑い方をする男だ。
マサオ「しんちゃん、俺はもう泣き虫じゃねえよ!」
マサオは手に力を込めた。
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:20:55.24 ID:J1rHTBq80
次の扉を開けると、さっきと全く同じ形をした部屋があった。
無機質な立方体だ。そして、やはり男が仁王立ちしていた。
男「……」
ネネ「!」
カザマ「ネネちゃん? どうした?」
ネネ「……この人、視えない」
男はジーパンに白シャツといった軽装だったが、
瞳は海のように深く、まったく思考が読み取れそうになかった。
ボー「じゃあ、ここは僕が行く」
カザマ「ああ、頼むぞボーちゃん」
ボーちゃんが一歩前に出ると、男は首を振ってネネちゃんを指さした。
ネネ「……ご指名はいっちゃったみたい」
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:25:08.16 ID:J1rHTBq80
ネネ「多分、私が残れば二人は見逃してくれると思うの」
カザマ「でも」
ネネ「さっきのマサオ君を見たでしょ。あれは一人ずつ分散させるのが目的なのよ」
カザマ「……視えないんだろ?」
ネネ「話し合ってる間に、しんちゃんは遠くにいっちゃう!!」
ボー「……行こう!」
カザマ「……」
カザマ「……ちゃんと追いついてくれよな」
ネネ「当然よ」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:28:46.47 ID:J1rHTBq80
二人が駆け出すと、案の定軽装の男は二人をスルーした。
軽装の男はつかつかとネネちゃんに歩み寄ると、ニタリと笑った。
ネネちゃんは演技がかった声色で言う。
ネネ「ご指名ありがとうございまーす」
男が飛びかかった。
ネネ「リアルおままごとに、こんな設定なかったんだけどなあ」
ネネちゃんは男の拳を寸前で避けた。
ネネ「まあ、いいわ」
胸元からウサギのぬいぐるみを取り出す。
ネネ「レパートリーが増えるわね、しんちゃん」
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:32:36.03 ID:zsJ6+uhb0
なんか泣けてきた
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:35:12.92 ID:J1rHTBq80
また扉、また部屋、また男。
今度の男は岩のような巨体だった。
腰に巻いた布以外はなにも身に着けておらず、鼻息荒く座っている。
立ってしまうと、部屋に入りきらないのだ。
カザマ「……どうやってこの部屋に入ったんだよ」
ボーちゃんは目をつむり力を入れてみたが、男はピクリとも動かない。
ボー「この部屋は、僕の担当みたい」
カザマ「……持ちあがらないの?」
ボー「うん。本気出せば少しは浮くと思う。でも、それだけ」
カザマ「……」
ボー「わかってるよね」
カザマ君は無言で走り出した。
次の扉へ向かって一直線に。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:36:13.53 ID:cmMEEZDq0
(´;ω;`)
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:40:29.93 ID:J1rHTBq80
巨体の男はカザマ君が部屋を駆け出ると、そのドアを殴りつけた。
それは暴力の塊のような一撃で、扉はひしゃげ、つぶれてしまった。
男は大きな口をゆっくりと開き、かたことで言った
男「オレ、タタカワナイ」
ボー「……」
男「デモ、オマエ、イカセナイ」
ボーちゃんは煙草に火をつけ、ため息と一緒に紫煙を吐いた。
二口吸って、煙草を地面に落とし、踏み消す。
ボー「しんちゃん……」
男が興奮からか鼻息を荒げ、言った。
男「オレト、ガシ、シロ」
ボー「すぐ行くよ」
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:46:55.56 ID:J1rHTBq80
カザマ君は嘔吐した。
最後であろう部屋に待っていたのは、他でもないしんのすけだった。
正確にいえば、『しんのすけだったモノ』。
つぎはぎだらけの着ぐるみ。
いや、着ぐるみだなんてそんな可愛いものではない。
あちこちからどす黒い液体が滴り、腐敗臭があたり一面に漂う。
現実味のなさが、それがしんのすけであることをかえって主張していた。
しんのすけの皮を剥ぎ、それを被っているのは。
愛「待ちくたびれましたわ」
カザマ君は再び嘔吐した。
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