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女騎士「くっ、殺せ!」 オーク「お前料理できるか?」

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Part3
70: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:12:09 ID:Bx2ajIMo
【王立騎士団営門前】
後輩騎士「ふっふーん♪ 今日は久しぶりの非番だ~」
元女騎士「あ、出てきた。おーい、後輩ちゃーん! 久しぶr」
後輩騎士「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
元女騎士「」ビクッ
後輩騎士「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」ドドドドド
元女騎士「ひっ……久しぶり……」

71: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:13:17 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「先輩ッ! 先輩! 先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩クンカクンカスーハスーハー……」ギュー
元女騎士「あ、あの……」
後輩騎士「はぁん……」ウットリ
元女騎士「……」
後輩騎士「はっ! 先輩! 久しぶりですねっ!!」ツヤツヤ
元女騎士「う、うん」

72: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:14:03 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「一体どうしたんですか!? まさか、私に会いに!?」
元女騎士「そ、そうだよ」
後輩騎士「なるほど……そうですよね。先輩もそろそろ我慢できなくなる頃ですもんね……」ヌギヌギ
元女騎士「えっ、何が?」
後輩騎士「さあ! 存分に嗅いでください!! 私の匂いを!!」ババーン
元女騎士「あ、そういうのじゃなくて……」

73: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:14:33 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「じゃ、じゃあ一体何を……ま、まさか! 匂いだけじゃ飽き足らず私の身体を!? いいですよ、先輩なら……私……」モジモジ
元女騎士「いったん距離を置いてみると、この子こんなに面倒くさい子だったんだなぁ……」
後輩騎士「さぁどうぞ! 私を食べてください!!」ウェルカム
元女騎士「い、いや……食べないよ」
後輩騎士「えっ」
元女騎士「食べないよ」

74: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:15:07 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「えっ……じゃあひょっとして……逆に先輩の料理を……? 私に……食べさせ……いっ、嫌あああああああああああああああ!!!」ガクガク
元女騎士「ちょ、ちょっと落ち着いて」
後輩騎士「いくら先輩の手料理でもそれだけは嫌ああああああああああ!!」
元女騎士「どうすればいいんだろうこれ……」


75: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:15:57 ID:Bx2ajIMo
……
後輩騎士「へ? 例の出前の話?」
元女騎士「そうそう。前に王立魔法協会で転送魔法を使った出前をやってるって言ってたよね?」
後輩騎士「あー、あれですか……実は先輩が騎士団を辞めるのと同じくらいに閉店してしまって……」
元女騎士「えっ!? そうなの!?」

76: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:16:37 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「はい。なんでも魔法を使った出前っていうのが魔法協会内では違反行為だったとからしくて……」
元女騎士「え、許可とってたんじゃないんだ……でも、美味しくて人気だって言ってたよね?」
後輩騎士「それで噂が広まりすぎて逆にばれちゃった、ということみたいですね」
元女騎士「そうなんだ……」
後輩騎士「いっそのこと正式に許可してあげればいいのに、魔法協会も融通が利きませんよねー」

77: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:17:20 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「うーん、そっか。困ったなあ、ちょっとその出前をしていた魔道士に相談したいことがあったんだけど」
後輩騎士「相談?」
元女騎士「うん。いまうちの常連さんで、体動かせない人……じゃなかった、魔物がいてね。例の転送魔法で私の料理を届けてあげられたら~って思ったんだけど……」
後輩騎士「トドメ刺す気ですか!?」
元女騎士「ち、違うよ!! なんでそうなるの!?」

78: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:18:52 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「あっ……ごめんなさい、つい人間の尺度で考えちゃいました」
元女騎士(この子ヒドイ……)
後輩騎士「でも、そういうことならちょっと調べてみますよ! 例の出前やってた魔道士のこと」
元女騎士「えっ、ホント!?」
後輩騎士「もちろん! ほかならぬ先輩の頼みですから!!」
元女騎士「ごめんね……でも後輩ちゃん、今日非番だったんだよね?」

79: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:19:24 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「先輩が騎士団にいた頃から色んな意味でお世話になりましたからねえ……せめてこうやって恩返しできるなら、かるいもんです!!」
元女騎士「(色んな意味で?)……ありがとう! 今度なんかご馳走するね!!」
後輩騎士「嫌あああああああああああああああああああ!!! 殺さないでええええええええええええ!!!」
元女騎士「わ、私の手料理以外で……」ションボリ
後輩騎士「はいっ! じゃあ何かわかったら連絡しますねっ!!」

80: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:20:02 ID:Bx2ajIMo
【数日後】
後輩騎士「どうやら例の魔道士ですが、違反がばれて王立魔法協会から追放されていたようですねー」
元女騎士「えっ」
後輩騎士「ふふふ、けれどご安心ください。先輩の名前を出したら、王国管理事務局を通じてその方の現在の住所を入手することができましたから!」
元女騎士「えっ、私の名前でそんなことできるの!?」

81: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:20:33 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「そりゃもう、先輩はいまや王国の在魔界親善大使みたいな扱いですからねー」
元女騎士「わ、私そんなにすごいことになってたんだ……」
後輩騎士「元騎士団員でもありますし、国王陛下の許可もあるのでこれぐらいなら朝メシ前ですよ!!」
元女騎士「み、身に余る光栄……って言っていいのかな……?」
後輩騎士「はい、これがその方の住所です。一応個人情報なので、厳秘でお願いしますね!」

82: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:21:10 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「ありがとね、後輩ちゃん!」
後輩騎士「いやぁ、そんなぁ……いいんですよぉ」デレデレ
元女騎士「もしよかったら、今度ウチの店に来てね! サービスするから!!」
後輩騎士「嫌あああああああああああああああああああああああああああ!!!」ガクガク
元女騎士(おもしろい)

83: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:21:59 ID:Bx2ajIMo
【とある荒野の一軒家】
元女騎士(こんな城下から離れたところに一人で住んでるんだ……魔道士っていうのは、変わり者が多いのかな?)
男「誰だ」
元女騎士「あ、これは失礼……ひょっとして、ここの家主の方ですか?」
男「そうだが?」
元女騎士「初めまして。私、元王立騎士団所属で……現在は魔族向けの料理人をしている者なのですが……」

84: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:22:34 ID:Bx2ajIMo
男「……そうか、君が例の」
元女騎士「あの、あなたが以前城下で転送魔法を使って料理を出前をされていた魔道士さんときいて伺ったのですが、お間違いありませんか?」
男「ああ……そうだが」
元女騎士「実は、その転送魔法のことでご相談したいことがありまして……」
男「いいだろう。中へ入ってくれ」

85: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:23:27 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「一人で暮らされているのですか?」
男「ああ。魔法協会を追放されると同時に、相棒も失ってしまってな……」
元女騎士「あ……す、すみません」
男「いや、構わない。それで、話とは?」
元女騎士「実は……貴方が出前に使っていた転送魔法について、ご協力いただきたいことがあるのです」

86: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:24:19 ID:Bx2ajIMo
男「協力? 具体的には何を?」
元女騎士「実は……今、私の店の常連のうち一人が、怪我で身動きが取れなくなっているのです。なんとか彼の元に私の料理を届けたいのですが……」
男「なるほど……君は、魔族に料理を振る舞っているといったな?」
元女騎士「はい……元は敵同士とはいえ、料理を食べさせるのに、人も魔物もありませんから……」
男「人も魔物もない、か……俺もそう思うよ」
元女騎士「なんとかご協力いただけませんでしょうか?」

87: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:24:56 ID:Bx2ajIMo
男「……よし、分かった。例の転送魔法の術符を作って君に渡そう」
元女騎士「本当ですか!?」
男「ああ。これを使えば、魔道士でなくとも転送魔法を使うことができるはずだ」
元女騎士「ありがとうございます!!」
……

88: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:25:32 ID:Bx2ajIMo
【数日後】
老ガーゴイル「いやあー!! お前さんのメシのおかげ様で羽根の傷もすっかり癒えたわい!!」バッサバッサ
元女騎士「それはよかった」
リザードマン「なんだジジイ、まだくたばってなかったのか」
老ガーゴイル「ここのメシが美味いウチゃまだまだ死ねんて!!」
元女騎士「はは、ありがとうございます」

89: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:26:11 ID:Bx2ajIMo
オークA「おー、やってっかー」
元女騎士「あ、いらっしゃい」
オークA「やれやれどっこいしょ……いつものくれ」
元女騎士「はいはい」
オークB「おっ、なんだ爺さん。動けるようになったのか?」
老ガーゴイル「うむ。こんな美味いメシを毎日届けてもらっちゃあ、治らん怪我なんてないわな!」ワッハッハ


90: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:27:16 ID:Bx2ajIMo
オークA「メシを届けるって……なんだ、いつの間にそんなこと始めたんだ?」
元女騎士「特別だよ。ちょっと、昔の伝手でねー」
オークC「なんだよー、そんなんできるんだったら俺んとこにも届けてくれよ」
元女騎士「贅沢言わないの。それに、お店で出来たてを食べたほうが美味しいでしょ?」
オークC「ま、それもそうだなー。あ、大盛りな」

91: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:28:02 ID:Bx2ajIMo
<ドササッ
元女騎士「ん?」
後輩騎士「」パクパク
元女騎士「あれ、後輩ちゃん!? 一体どうして!?」
リザードマン「なんだ人間かよ……」
オークA「お前の知り合いか?」
元女騎士「うん。前の職場の後輩」

92: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:28:35 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「先輩が……先輩がっ……」プルプル
オークB「なんか震えてるぞ」
元女騎士「ど、どうしたの?」
後輩騎士「先輩が魔物相手に食堂のおばちゃんやってる!!」ガクガク
元女騎士「おい」
ゴーレム「ウオオオオオオオオオオオオオオン」

93: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:29:39 ID:Bx2ajIMo
後輩騎士「ひいっ!? ゴ、ゴーレム!?」
元女騎士「あら、久しぶり。いらっしゃい」
後輩騎士「しかもこなれた女将感まで出しちゃってる!? うわああああああああああああ!!」ガクガクガク
オークA「なんだこいつ」
元女騎士「ごめんね。この子昔からこんな感じで」
リザードマン「やかましい奴だ……」

94: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:30:18 ID:Bx2ajIMo
ゴーレム「ウオオオオ、オ、オオオオオン! ウゴゴゴゴゴ……」ゴソゴソ
<キシャアアアアアア!! キシャキシャアアアアアアアアア!! ビタンビタンビタン!! ウネウネウネウネウネ……
元女騎士「え、どうしたのこれ?」
リザードマン「生きのいい地獄コウモリと砂漠オオトカゲがたくさん手に入ったから料理してくれ、だとよ」
後輩騎士「ひっ、ひいいいいいいいいいいいいい!!?」ガクガクブルブル

95: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:30:58 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「あー、はいはい。活け造りでいい?」
ゴーレム「ウオオオオオオオオン」コクコク
後輩騎士「」
元女騎士「うーん、結構数が多いなあ……あ、ちょうどいいや。後輩ちゃん、ちょっと手伝ってくr」
後輩騎士「絶対無理ですううううううううううううううう!!!」ビクビク

96: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:31:37 ID:Bx2ajIMo
オーク戦士長「おー、なんだ? 今日は一段と盛り上がってるじゃないか!」
オークA「あっ、戦士長!! 今日はもう上がりですか!?」
オーク戦士長「ガーゴイル翁の傷が癒えたと聞いたものでな。元気が出たようで、安心しましたぞ」
老ガーゴイル「かっかっか。やっと戦争が終わったというのに、そう簡単には死ねんよ」
オーク戦士長「よし、それじゃあ今日はガーゴイル翁の快気祝いと行くか! おい、酒を持ってきてくれ!! 今日は俺のオゴリだ!!」
<ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

97: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:32:09 ID:Bx2ajIMo
【調理場】
後輩騎士「……みんな、楽しそうですね」
元女騎士「魔族とはいえ、食べる楽しみは変わらないんだよ」ゴキゴキ
後輩騎士「……というか、よく素手で触れますね」
元女騎士「もう慣れたからね。トゲさえ気を付ければ大丈夫だよっ!」ブチブチ
後輩騎士「そんなカワイイ笑顔を浮かべながらトカゲの首もぎ取らないでください……怖いです……」

98: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:32:50 ID:Bx2ajIMo
リザードマン「チッ……向こうは騒がしくてかなわねぇや」
後輩騎士「ひっ! りゅ、竜人……」ビクッ
リザードマン「あぁ? なんだ? 別にお前を取って食おうなんざ思っちゃいねえよ。そんなことよりこないだの約束、覚えてんだろうな?」
元女騎士「ハイハイ、店番してくれたお礼ね」ドロリ
リザードマン「ん」
後輩騎士「ひっ!? な、何ですかソレ……?」

99: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:33:26 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「あぁ、コレ? 蠍をすり潰してから腐らせて造ったお酒だよ」
後輩騎士「き、聞かなきゃよかった……」ゲンナリ
リザードマン「……ふぅー。おい、代わりをよこせ」
元女騎士「飲みすぎんなよー」
後輩騎士「よ、よく竜人と平気で会話できますね先輩……」

100: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:33:59 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「この(竜)人、酔っぱらうと結構甘え上戸だから」
後輩騎士「えっ」
リザードマン「う、うるせえ! 殺すぞ!!」
元女騎士「私を殺したらもうお酒も料理も出せなくなるけど?」
リザードマン「……チッ」
後輩騎士(完全に魔族を手なずけてはる……怖いお人やでぇ……)ガクガク

101: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:34:35 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「それで、後輩ちゃんは何でここに?」
後輩騎士「じっ、実は……私! 騎士団を辞めてきたんです!!」
元女騎士「えっ」
後輩「戦争も終わったし……騎士でいるよりは転職したほうがいいかな、って……」
元女騎士「そ、そうだったんだ」

102: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:35:09 ID:Bx2ajIMo
後輩「そ、それに先輩のこと心配だったしっ……一緒に居たかったし……」モジモジ
元女騎士「そっかー」ナデナデ
リザードマン「……俺もお前が居なくなると、困るからさ……頼むから、長生きしてくれよ……ヒック」
後輩(うわ酔うの早ッ! しかもめっちゃデレとるやんけ!!)
元女騎士「はいはい」ナデナデ
後輩「わ、私も頑張りますから!! お願いですから先輩のそばにいさせてくださいっ!!」

103: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:35:41 ID:Bx2ajIMo
元女騎士「うん、もちろん。いいよいいよー」
後輩「ホントですか!?」
元女騎士「じゃ、まずは魔界生物を〆られるようになろうね!」ニッコリ
後輩「うっ……が、がんばります……」
リザードマン「Zzz……」

104: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:36:16 ID:Bx2ajIMo
こうして彼女たちは魔族の料理人として、その後も長きにわたって彼らに大切にされましたとさ。
おわり

105: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:36:56 ID:zEnQC0qU
なんか普通にいい話だぞ
おつ

107: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/10/08(日) 22:56:43 ID:jZXUaqAo
ほのぼの乙
続くならうれしいな

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