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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 『作者』編

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Part9
383 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)00:51:01 ID:jqz
裸の王様の世界 裸王の城 廊下
タッタッタッタッ
ヘンゼル(とにかくグレーテルの所へ急ごう。裸王さんが言うようにグレーテルが不機嫌なら…それは間違いなく僕のせいだ)
ヘンゼル(あの魔女から逃げ出してからグレーテルは感情表現が少なくなってしまった、今では随分感情を表すようになったとは言っても…初対面の裸王さんの前でも不機嫌をあらわにするなんて事をグレーテルは普通、しない)
ヘンゼル「つまり…グレーテルは今、相当に不満を抱えてる。急がないと…」タッタッタッタッ
小夜啼鳥「だからと言って廊下を走るのは紳士としてどうですかね?ここはお城なんですからそれ相応のマナーを持たなければいけませんよ」ピチチチ
ヘンゼル「君は本当に神出鬼没だね、消えたと思ったら突然戻ってくる…でも僕は急いでるんだ、今は大目に見てよ」タッタッタッ
小夜啼鳥「まぁグレーテルちゃんが心配なのは分かりますよ。でもあなたの不躾な行動は周囲からの女王様への評価を貶める事にもなります、妹様方を見る目にも影響するでしょうね」
ヘンゼル「…分かったよ。君は僕を従わせる一番の言葉がそれだって知って言ってるよね、本当によく調べてるよ僕達のことを…ちょっと
憎らしいくらいだ」フゥ…
小夜啼鳥「それはどうも、賞賛として受け取っておきます」ピチチチ
ヘンゼル「…まぁいいけどさ、言ってることは正しいし。でも僕は妹が心配だ、僕に歩けと言うのなら君だけでも先に行ってグレーテル達の様子を見てきてくれないかな?」
小夜啼鳥「その必要はありませんよ、既にグレーテルちゃんとお千代さんの様子は伺ってきましたから。ヘンゼル君が気にしてると思ってずっと陰で様子を見てたんですよ、あなたが一番大切なのはあの二人ですもんね?」
ヘンゼル「…本当によく解ってるよね僕のこと、でも助かるよ。ありがとう」
小夜啼鳥「私はあなたのお目付役なんですから。それに見守るにしろ監視にしろスパイにしろ、かげから様子をうかがうのは鳥類の十八番ですよ」ピチチチ

384 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)00:53:13 ID:jqz
小夜啼鳥「とりあえず慌てて走っていくほどではないかと。とはいえ…まぁグレーテルちゃんは機嫌悪そうでしたね。ああもふくれっ面ばかりだとせっかくの可愛い顔が台無しです」ピチチチ
ヘンゼル「そうなんだ…でもグレーテルはふくれっ面でも可愛いと思うけど」スタスタ
小夜啼鳥「……」
ヘンゼル「何?」スタスタ
小夜啼鳥「いえ、別に」
ヘンゼル「でもグレーテルとお千代をこの世界へ連れてきたのは失敗だったかもね…。僕が君といる理由やアリスと戦うことになった事、色々と話さなきゃいけないから来て貰ったんだけど…」
ヘンゼル「でも僕はライオンやかかしを迎えに行かなきゃいけなかったから、グレーテル達をしばらくほったらかしにしちゃったし……事情も言わずにいきなり別世界に連れだしてほったらかしなんてそりゃあ機嫌も悪くなるよね、悪いことしちゃったな」
小夜啼鳥「確かに少々配慮には欠けてました、一言言うべきでしたね」
ヘンゼル「そうだね、相手が家族だから後で言えば大丈夫だなんて考えはちょっと良くなかったね」
小夜啼鳥「親しき仲にも礼儀ありと言いますからね。ですが…グレーテルちゃんが不機嫌なのは別の理由もあるでしょうね」
ヘンゼル「そうなの?僕、他にグレーテルが機嫌悪くするようなことしてないと思うけど…」
小夜啼鳥「…それならこれを期に自覚した方がいいかもしれませんね、ヘンゼル君」
ヘンゼル「自覚…?」
小夜啼鳥「えぇ、知っておくべきですよ。君がグレーテルちゃんを守るために一人きりで行動すればするほど…彼女の不満は募っていくという事を」

385 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)00:56:15 ID:jqz
ヘンゼル「……」
小夜啼鳥「まぁ君もその事を全く考えてない訳じゃないんでしょうけどね」
ヘンゼル「グレーテルは寂しがり屋だ、それにずっと僕と一緒にいたから…自分で言うのもなんだけど相当なお兄ちゃん子だ。それは解ってるよ」
小夜啼鳥「なら君と一緒にいられない事が、お兄ちゃんの側にいられないというのがどれだけグレーテルちゃんにとって苦痛かわかるはずでは?」
ヘンゼル「それは…わかってる。僕を慕ってくれるのはとても嬉しいし同時に悪いとも思ってるよ。でも…仕方がないことだよ」
小夜啼鳥「仕方がない、ですか」
ヘンゼル「おとぎ話の世界にも現実世界にも悪い奴は大勢いる。とくに現実世界のあの国ではグレーテルの容姿は良くも悪くも目立つ、悪い奴に目を付けられる可能性は高いんだ」
ヘンゼル「お千代は今は大人だから僕達を養ってくれるし守ってくれるよ、でも本来…妹を守るのは僕の役割なんだ。でも僕は子供だし二人を守るための力を十分には持っていない」
小夜啼鳥「そうですね、君は元々は自分を変え…そして強くなるためにこの世界へ来たのですしね」
ヘンゼル「グレーテルが寂しい思いをしているのもお千代に心配をかけてるのも悪いとは思うけど…今の僕じゃ二人を守れない、だからその力を付けるまでは少し我慢して貰わなきゃいけない」
ヘンゼル「今は辛いかもしれないけど…いつの日か僕がどんな悪意からでも二人を守れるようになったらその時はずっと一緒にいられる。だから…僕が強くなるまでの辛抱なんだ」
小夜啼鳥「なるほど…それがヘンゼル君の思いというわけですね」

386 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)00:58:22 ID:jqz
ヘンゼル「そうだね。それに…誰にも言わないで欲しいんだけど、僕だって二人の側にいられないのは辛い」
小夜啼鳥「でしょうね。ヘンゼル君ほどのシスコ…いえ、妹思いの少年が平気な訳ないですから、辛いのはお互い様というわけですか」
ヘンゼル「だからって僕は自分自身を正当化するつもりはないけど…でもやっぱり仕方がないことだよ。僕の旅にグレーテルを同行させるわけにも行かないし…」
小夜啼鳥「おや、どうしてですか?グレーテルちゃんと君が一緒に旅をすれば兄妹はお互いに会えない寂しさを感じず済むでしょう」
ヘンゼル「無茶だよ、そんな事考えられない」
小夜啼鳥「どうしてですか?」
ヘンゼル「言ったじゃないか、今の僕は二人を満足に守ることができない。火打ち箱だって完全に使いこなせているわけじゃない。この【裸の王様】の世界は平和で治安も良いけど、この次にいく世界が同じだとは限らない」
ヘンゼル「おとぎ話の世界には盗賊や殺人鬼が登場するような治安の悪い世界だってある、そんな所にはなるべく行かないようにはしたいけど…やむを得ないことだってあるかもしれない」
ヘンゼル「何が起きるか分からない旅先にグレーテルを連れていけないし連れて行きたくないんだ。僕が未熟なうちはね」
小夜啼鳥「私が思うにグレーテルちゃんは君に守って貰わなければいけないほど弱くはありませんよ、もう少し肩の力を抜いてもいいのでは」
ヘンゼル「弱くないだって?それはグレーテルが魔法を使うことが出来るから言ってるの?残念だけどグレーテルは魔法を使うことを禁止されているし僕も魔力を分けるつもりは…」
小夜啼鳥「違いますよ、魔法が使えるかどうかではなく…もっと精神的なことですね」

387 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:00:43 ID:jqz
ヘンゼル「精神的な…?」
小夜啼鳥「えぇ、君が妹を守りたいと考えているように…おそらくグレーテルちゃんもまたお兄ちゃんである君を守り手助けがしたいと思っている…思い当たる節、あるはずですよ」
ヘンゼル「……確かに、僕があの悪い魔女に捕まっているときグレーテルはあの魔女を殺してまで僕を助けてくれた」
小夜啼鳥「私はその件は正当防衛だと思いますしグレーテルちゃんを責めるつもりはありません。ですが…いくら辛くても幼い少女が殺しを選択するというのは余程の事です」
ヘンゼル「それだけあの魔女に虐げられた日々が辛かったって事だ…」
小夜啼鳥「それだけでしょうか?自分が助かるためだけではなく…君を助けるためにグレーテルちゃんは魔女を殺したと考える方が自然では?」
ヘンゼル「…そうかもしれない。でもだから何だって言うの?」
小夜啼鳥「グレーテルちゃんは何もできずに助けを待って泣いているだけの女の子ではないという事です。グレーテルちゃんは君を…大切なお兄ちゃんを助けるために悪い魔女と戦う覚悟を決めたんですから」
ヘンゼル「…それはこじつけだよ。追い詰められてやっただけかもしれないじゃないか」
小夜啼鳥「そうでしょうか?私はそうは思いませんし覚悟を決められるというのはある程度の精神の強さがなければ出来ませんよ」
ヘンゼル「……」
小夜啼鳥「ヘンゼル君は…立派なお兄ちゃんであろうとするあまりグレーテルちゃんの気持ちが見えていないんですよ」


388 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:04:05 ID:jqz
ヘンゼル「そんなはずないよ。僕は誰よりグレーテルのことを愛している、グレーテルの気持ちが見えていないなんて事…」
小夜啼鳥「君はさっき言いましたね、自分が強くなるまで離れ離れになるのは仕方がないと」
ヘンゼル「言ったよ。そうでしょ、今は辛くてもそれが将来のためになるんだから仕方ない」
小夜啼鳥「グレーテルちゃんは今…今この時に君と一緒にいられないのが辛いんです。将来を見据えるのは大切ですが…今現在を蔑ろにする理由にはならないでしょう?」
ヘンゼル「……」
小夜啼鳥「それにねヘンゼル君…どんな理由があろうと大切な人と会えないというのはそれはもう辛いものですよ。私にも経験あるので分かりますが」
ヘンゼル「…【小夜啼鳥】での出来事のこと?」
小夜啼鳥「えぇ、ご存じだとは思いますが…私の過去、おとぎ話【小夜啼鳥】の事を少し話しても?」
ヘンゼル「うん、構わないよ」
小夜啼鳥「では失礼して…私はとある国に住んでいました。その国は豊かで多くに旅人が訪れていたのですが…その旅人達は皆様口をそろえて私のさえずりが美しいと誉めてくださいました」
小夜啼鳥「それは素直に嬉しかったです。けれどもっと嬉しかったのは陛下が…その国の皇帝が私の声を気に入り、側に置いてくださったことです」
小夜啼鳥「宮廷での豪奢な暮らしに興味はありませんでしたし自由の利かない鳥籠での生活は息苦しくもありましたけど…けれど楽しそうに私のさえずりを聞いてくれる陛下のことを私は愛していましたし、一緒にいられることを幸せに思っておりました」
小夜啼鳥「しかし…陛下との楽しい生活はある日突然終わりを迎えました」

389 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:07:51 ID:jqz
ヘンゼル「確か…皇帝の元に外国から贈り物が届いたんだったかな?」
小夜啼鳥「えぇ、その贈り物…ゼンマイ仕掛けの細工鳥は立派なものでした。空を飛ぶ事は出来なくともその翼にはまばゆい宝石がちりばめられていました」
小夜啼鳥「それに何よりどんなときでもゼンマイを巻けば同じメロディを奏でるのです。その美しい音色に陛下は心を奪われ…その細工物の小鳥を大切になさいました」
ヘンゼル「そうだったね。その結果、君の居場所は…」
小夜啼鳥「なくなってしまいました。私はもう王宮にいることも出来ず…愛しい陛下と離れることを惜しみながらも空へ帰るしか無かったのです」
ヘンゼル「理不尽というか、君のおとぎ話もなかなかに辛い物があるよね…」
小夜啼鳥「もちろん陛下に捨てられてしまったことは悲しいことでした。ただ、それより何より愛する陛下のお側にいられないことがずっと辛かったです。それまではずっと一緒に食事をしたり楽しく過ごしていた相手と離ればなれになったんですから」
ヘンゼル「…そりゃあ、そうだね」
小夜啼鳥「それから数年経っても私の寂しさは癒えませんでした。そしてある時、陛下が病に倒れられたとの噂を聞きつけて私はこっそり宮殿へ向かったのです」
小夜啼鳥「陛下の寝室をのぞいて唖然としました。細工鳥はゼンマイを巻く者が居ないためさえずることはなく、息荒く横たわる陛下の傍らにいたのは死神だったのですから」
ヘンゼル「君の主…皇帝は死神に魅入られてしまったんだったね。そして側近や国の人はもう…陛下の命は短いと言って諦めていた」
小夜啼鳥「その先…この物語に結末がどうなったかヘンゼル君なら知って居るでしょう。ただ、死神に魅入られた陛下の姿を見て私は後悔しました」
小夜啼鳥「どうして言わなかったんだろう、私があのとき陛下のお側にいたいと言えば…そして一緒にいればこんなことにはならなかったのにと」

390 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:16:41 ID:jqz
小夜啼鳥「離れていても愛があれば想いは通じるとかそういう言葉を否定はしません。しませんが…側にいなければどうにもならないこともあります」
小夜啼鳥「グレーテルちゃんの身を案じるヘンゼル君の気持ちも理解できます。が…グレーテルちゃんがあなたと一緒に居たいというのならその気持ちを受け止めてあげて欲しいのです」
小夜啼鳥「あなたに何かあったとき…あなたに家族は皆涙を流すでしょう、しかしその時グレーテルちゃんの涙は悲しみだけではなく後悔も含むはずです」
小夜啼鳥「側にいられなかった事を悔いるはずです。自分を責めてしまうでしょう。大切な人を苦しめたのは自分だと…あんな思いをするのは私だけで十分です。ですから、どうか」
ヘンゼル「…分かった、グレーテルがもしも…僕と一緒に居たいと言うなら僕はグレーテルと一緒に居るよ。正直、怖いけどね…」
小夜啼鳥「それが良いです。もちろん私もヘンゼル君とグレーテルちゃんの身を守るために協力しますからご安心を」
ヘンゼル「頼むよやっぱり今の僕じゃ今一つ頼りないから」
小夜啼鳥「お任せください、私にはこのさえずりもあります。お目付役だけが私の役目でないことを証明して見せましょう」
ヘンゼル「そうだね、君の特別なさえずりはとても頼もしい能力だ。よろしく頼むよ、君がそうするよう薦めたんだからね?」フフッ
小夜啼鳥「えぇもちろん。あぁ…でも見たところグレーテルちゃんはとてもヤキモチを妬いていましたからそっちはご自分で何とかしてくださいね。私にはどうにもできませんから」
ヘンゼル「ヤキモチ…?なんでそんなものを?」
小夜啼鳥「なんでって…大好きなお兄ちゃんが突然同年代の可愛い女の子と一緒にいるからに決まってるでしょう」
ヘンゼル「それドロシーの事?いや、彼女はただの友達じゃないか。なんでグレーテルがヤキモチを妬く必要があるの?君の勘違いなんじゃない?」
小夜啼鳥「本当にヘンゼル君は相手の気持ちを汲み取る練習をすべきですね。……まぁ例え刺されても助けを呼ぶくらいはしますよ」ボソッ
ヘンゼル「だからたまに小声で物騒なこというのやめて欲しいんだけど…」
・・・

391 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:17:59 ID:jqz
現実世界 キモオタの部屋
ティンカーベル「えーっと、スリングショット持った。弾も大丈夫、ハンカチと着替え良し!イチゴジャムも良し!おやつはキモオタに任せて…うんうん!荷造り完了!」フンス
キモオタ「ティンカーベル殿www荷造りに気合いが入っておりますなwwwいつもは我輩のリュックに雑に突っ込むだけでござるのにwww」コポォ
ティンカーベル「今回は特別じゃん!作戦決行の三日後まで現実世界には戻ってこないつもりだからね。忘れ物して戻ってくるのも時間もったいないし、しっかり確認しなきゃね!」
キモオタ「まったくその通りですなwwwところがどっこい我輩の荷造りは遅々として進まないのでござるなぁwww」コポォ
ティンカーベル「『ござるなぁwww』じゃないでしょ!さっさと準備してくれなきゃ私まで出遅れちゃうんだからね!」プンスカ
キモオタ「面目ないwwwしっかし持って行きたいものが多すぎましてなwww必須アイテムとしてはおはなしウォッチとおはなしサイリウム…マッチ売り殿から頂いたマッチを始めとする魔法グッズなどでござるかねwww」
ティンカーベル「あと着替えと歯ブラシとおかしと…。っていうか…これなに?なんでリュックにポータブルDVDプレイヤーとか入ってるの?」
キモオタ「良いところに目を付けましたなwwwこれにはきちんとした理由があるのでござるよwww我々はこのあと雪の女王殿の宮殿に向かうでござろう?」
ティンカーベル「うん、悪魔の鏡の破片も譲って欲しいし女王なら何かいい感じの特訓してくれるかもしれないからそのお願いに行くんだよね?」
キモオタ「そうですぞwwwただ気になる点があるとすれば…我々は今ひとつ女王殿と打ち解けてないという事でござるな。せいぜい顔見知り程度の関係なのでござる…」
ティンカーベル「あー…確かにそれはあるかもね、こないだ結構お話しはしたけど、まだ仲良し!とは言えないもんね」
キモオタ「そうなのでござる。実際、おはなしサイリウムを振っても雪の女王殿の能力を使うことは出来ないでござるし、ウォッチで呼び出すことも当然出来ないでござるなぁ」
キモオタ「女王殿はそんな事関係なく我々に協力してくれるでござろうし、まぁ言ってしまえば特に問題はないのでござるが……とはいえ我々は目的を同じくする仲間、親睦を深めたいという気持ちが我輩にはあるのでござるなwww」

392 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:18:43 ID:jqz
ティンカーベル「うん、だよね!遊んでる時間はないけど…でも折角なんだから女王ともいろいろお話ししたいし、もっと仲良くなりたいよね。困ったときだけ協力して貰うだけの関係なんて寂しいもん」
キモオタ「我輩も同感でござるwwwそこで活躍するのがこのポータブルDVDプレイヤーですぞwww」コポォ
ティンカーベル「だからそれがわかんないんだよ、なんで?まさか…女王と一緒にアニメでも見るの?さすがにそんなわけないよn」
キモオタ「ドゥフフ御名答www雪の女王殿にちなんだディズニーの例のアレを見るのでござるwww一緒にアニメを見ることで仲間意識的なものが芽生え、更にアニメの感想に話題を持って行けば話も弾みますぞwwwこれぞキモオタ式交友術www」コポォ
ティンカーベル「……」ポイッ ガシャーン
キモオタ「ぬああぁー!我輩のポータブルDVDプレイヤーがより一層コンパクトにぃぃぃ!!」ガビーン
ティンカーベル「遊びに行くんじゃないんだからこんなのいらないでしょ!女王とは仲良くなりたいけど、もっと他の方法にしなさい!」プンスカ
キモオタ「ぬぅぅ無念…。しかし女王殿との距離を埋める手立てはこれだけではないですぞwww先程デパ地下で購入したこの総菜やスイーツの数々…!これを手土産にすれば我々は一目置かれること間違いなしwww親睦を深めるのにも大いに役立つでござろうwww」ドッサリ
ティンカーベル「いや、女王と仲良くなることが今回一番の目的じゃないからね?それにあの宮殿には女王とカイしかいないんじゃない?そんなに大量に持って行っても食べきれないよ!」
キモオタ「この料理には我々の分も含まれているのでござるよwww食卓を囲み同じ料理を食べることで親睦を深めていく…名付けて同じ釜の飯作戦ですぞwww」
ティンカーベル「うーん…ご馳走が私の口にも入るならその作戦には賛成だけど、でも一緒にご飯食べただけで仲良くなれるもんなのかなぁ?」
キモオタ「それは確実になれるでござろうwww我輩とお主は同じピザを分け合い、同じ唐揚げの山を崩し、共にバーガーをかじりながら今日まで過ごしてきたのでござるしなwww」
ティンカーベル「あはは、確かな実績があったね。まぁ色々おいしい物食べながら私達は仲良くなったんだねぇ…というかこっちでもおとぎ話の世界でも食べてばっかりで確実に前より体重増えた感あるんだけどね…」
キモオタ「体重計に乗らない覚悟。それこそがうまい飯を食べるための秘訣ですぞwww」

393 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:20:55 ID:jqz
・・・しばらくして
キモオタ「ドゥフフwww荷造りに思いの外時間がかかってしまいましたなwwwしかし時間をかけた分、計量でありながら充実した装備が実現できましたなwww我輩のこの完璧な旅支度を見るがいいですぞwww」
ティンカーベル「ふむふむ、魔法具にお菓子に…まぁキモオタにしては上出来だね。合格にしといてあげよう」フフン
キモオタ「ちょwww何故に上から目線wwwまぁ問題ないならいいでござるけどねwww」コポォ
ティンカーベル「それとこれも入れといたげるよ。今回は気が抜けない戦いになるかもだからね〜、ティンクさんが特別に妖精の粉を瓶に詰めておいたよ!感謝せよ!」グイグイ
キモオタ「おおwwwそれはありがたいdちょwwwそれジャムの空き瓶でござろうwww妖精の粉、扱いがぞんざいすぎますぞwww」
ティンカーベル「いいんだよ!ちゃんと洗ってるんだから!ジャムとかの瓶もラベルを綺麗に剥がしたらオシャレな容器として使えるって昼間のテレビでやってたの!」
キモオタ「主婦でござるかお主はwwwとはいえありがたく頂戴しますぞwww」
ティンカーベル「そんじゃあ準備もバッチリだし出発しよう!あっ、その前に寒さ対策していかなきゃね!【雪の女王】の世界は極寒の地だし!」
キモオタ「ドゥフフwwwその点はぬかりありませんぞwww『ダッフルコート買ったったwww』というスレを立てたいが為に購入したこいつを纏えば防寒は完璧でござるwww」ファサ
ティンカーベル「……」
キモオタ「ちょwww何故無言wwwどうかしましたかなwww」
ティンカーベル「ううん、完璧ならいいや。んじゃポケットにホッカイロを入れて…と、私はそこに入っとくね!」ポイポイッ
キモオタ「低温やけどせぬように気をつけるのですぞwwwさて、出発ですぞ!ティンカーベル殿、お願いしますぞwww」コポォ
ティンカーベル「任せて!そんじゃ行くよ!【雪の女王】の世界へ!」
キィィィィィン

394 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:23:02 ID:jqz
雪の女王の世界 女王の宮殿前
ビュオオオォォォォォ
キモオタ「ブヒイィィイイイィィィ!?さささ寒いでごござるる…!げげ解せぬ…!すす数万したこここのコートのおかげでわわ我輩のののぼぼ防寒はかか完璧のはずず…」ガタガタガタ
ティンカーベル「まぁそうなるよね…日本の冬の寒さはしのげても女王の世界の寒さはしのげないよそのコートじゃあ。だってほら見てよオーロラ出てるし、自然をなめちゃ駄目だよ!」
キモオタ「ちょwwwそそそれ気がついてるならさささ先に言ってもももらいたかったですぞぞぞwww優しさがたりないいいwww」ドドドフゥフフ
ティンカーベル「そ、それは違うじゃん!言おうかなーって思ったけどキモオタが完璧だって言うから私はそれに賭けたんだよ!友達を信じてあえて言わなかったの!」
キモオタ「ちょwwwそんな言い方されるとと責められないいwwwとととにかく女王殿の宮殿はめめ目の前、ここはひとつ急いで向かいいい暖をとらせてもらうとしますぞぞぞwww」ザクザク
ティンカーベル「そだね、せっかくの手土産が凍っちゃったら台無しだもん。保温出来るかなと思って念のためにホッカイロ入れといたから少しは大丈夫だと思うけど」
キモオタ「ちょwwwか唐揚げへの気遣いの半分でも我輩に向けて欲しいのでござるがががwww」コポォ
ティンカーベル「ほら!コポコポ言ってないで急がなきゃ!もたもたしてたら凍え死んじゃうよ!」
キモオタ「そそそれは嫌ですなななwwwそそそれにお主だからぶっちゃけるでござるががが我輩、雪が若干トラウマなのでござるよよよwww実は精神と肉体の両方にダメージを受けているのでござるなwww」
ティンカーベル「雪がトラウマ?あー…マッチ売りちゃんの事があるから?」
キモオタ「そそそうなのでござるよ恥ずかしながらwwwただし女王殿や他の皆には内緒にしていただきたいwww特訓して貰おうというのに気を使わせては悪いですからなwww」
ティンカーベル「…そっか、わかった。仕方ないから私のホッカイロ一個使ってもいいよ!だから頑張って女王のとこ行こうね、おとぎ話の世界が平和になればマッチ売りちゃんもお空の上で喜んでくれるよ」スッ
キモオタ「そそそうだとしたら喜ばしいことですなwwwさぁ、弱音吐きタイムはここまでですぞwwwささぁ先を急ぎますかなななwww」コポォ

396 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/06(月)01:29:42 ID:jqz
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
今でも読んでくれてる人本当にありがとうね!レス感謝!
小夜啼鳥、あんがい可愛そうなんです作者が作者だけに結構辛い展開
バッドエンドではないからまぁまだマシなのかな
次回、雪の女王とカイ再登場
キモオタとティンクは凍らずにすむのか!?次回、お楽しみに

400 :名無しさん@おーぷん :2016/06/06(月)22:19:48 ID:uny
乙です!
キモオタサイド来た!
そしてヘンゼルファイト(笑)
続き待ってます!!

401 :名無しさん@おーぷん :2016/06/07(火)00:45:15 ID:KVE
乙です!
戦いでティンクとお別れになるかもって考えると2人のいつも通りすぎるやり取りが胸にしみるぜ……

403 :名無しさん@おーぷん :2016/06/08(水)19:44:35 ID:hMC
久々のキモオター!(゚∀゚)
登場するだけで嬉しいキモオタなんてキミくらいだぜw
ディズニーのアレ見たり歌ったりしながら仲良くなる、いいと思うけどーw

404 :名無しさん@おーぷん :2016/06/08(水)20:37:10 ID:Abq
乙!
久しぶりのキモオタ&ティンカーベルコンビ!

407 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/13(月)00:17:19 ID:xVI
雪の女王の世界 女王の宮殿 エントランス
ドンドンッ ドンドンッ
カイ「あーうっせぇな…わかってる!んなノックしなくても今開けるから待ってろ!ったく…女王が余計な事に首突っ込んでから客が来すぎなんだよ。毎度毎度俺が客の案内しなきゃなんねぇし…」スタスタ
カイ「何で俺の読書時間が奪われなきゃならねぇんだクソッ。せめて書庫をエントランス近くに移設するとかそういう配慮あるだろうがよぉ…」ブツブツ
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ
カイ「うるせぇ!待てって言ってんだろうが!一体誰だっt」ガチャッ
キモオタ「ぶひいぃぃーっ!!やっと開いたでござるぅ!外寒すぎでござるぅぅ!!」ズサーゴロゴロゴロ
ティンカーベル「いやー、宮殿まであと一歩!ってところ急に吹雪いて来ちゃったもんねぇ、まいったまいった!…あっ、おじゃましまーす」ヒラヒラ
カイ「お、おう…お前等か」ヒキッ
キモオタ「おおっと、挨拶が遅れましたなwwwお久しぶりでござるカイ殿www扉開けていただいて助かりましたぞwww我輩、危うく冷やしラードになるとこでござったwww」コポォ
カイ「さほど久しくもねぇだろ。名前、覚えてるぜ。ヘンゼル達の連れ合いのティンカーベルと…キモオタだろ。しかしまた随分と軽装だな、追い剥ぎにでもあったのか?」
キモオタ「いやいやwwwそう言うわけではなくwwwちょっと自然をなめておりましてなwwwもっと厚着すべきでしたなwww」
カイ「まぁどうだっていいが…んなことより女王に用事があって来たんだろ?あいつなら自室だ、呼んできてやるからお前等は応接室に…」
カイ「いや、その様子じゃあ体を温めるのが先か。ついて来な、先に暖かい茶を淹れてやる、その方がいいだろ」スタスタ
キモオタ「おおおwwwそれは嬉しい気遣いですなwww我輩、サトウマシマシミルクオオメで頼みますぞwww」コポォ
ティンカーベル「あっ!じゃあ私はサトウマシマシマシマシ…」
カイ「増しすぎだろ。今は砂糖の備蓄がそんなにねぇんだ、グレーテルがいねぇからな。ちょい増しで我慢しろ」スタスタ

408 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/13(月)00:21:13 ID:xVI
女王の宮殿 ダイニング
キモオタ「くぅ〜www吹雪で冷え切った体に温かい紅茶が染みますなぁwwwあっ、カイ殿www紅茶のおかわりを頂けますかなwww」コポォ
ティンカーベル「あっ、私もおかわり!あと何かお茶菓子があったら嬉しいよ!」
カイ「何しれっと要求してんだ。ったく、お前等みたいな図々しい客初めてだぜ…あいつらがいねぇから菓子っつってもラスクくらいしかねぇぞ」コトッ
キモオタ「かたじけないwwwしかし申し訳ありませんでしたなwww急に押し掛けた上にお茶までごちそうになってしまいwww」コポォ
カイ「まったくだ。お前等の相手をしなけりゃ俺はもっと読書に没頭できたはずなんだがなぁ…」
ティンカーベル「まぁまぁそう言わないでよー、今はこの広い宮殿にカイと女王の二人で住んでるんでしょ?たまにはお客さんが来た方が寂しくなくていいじゃん!」
カイ「必要ねぇな、俺は本さえありゃあそれで良い。しいていうなら…数学でも文学でも何でも構わねぇから心躍るような難題に挑戦出来りゃあ上々だな。一人が静かで良い、客だの家族など煩わしいだけだ」
キモオタ「ほうwwwそうは言いつつもお千代殿やヘンゼル殿にグレーテル殿達www家族が次々家を出て行ってしまって寂しいのではないですかなwww」コポォ
カイ「無いな。そもそもあいつらの居場所はここじゃねぇんだ、いつまでもこの宮殿にいる方が間違ってんだろ。所詮あいつらは余所者だからな」
ティンカーベル「ちょっと!家族なんでしょ?そんなひどい言い方しなくていいじゃん!」プリプリ
カイ「事実だろ、余所の世界のあいつらが目的も無くこの宮殿に残っても良いことなんざねぇよ。というかお前おとなしく待ってろ、もうじき女王も来るだろうしよ」ズズー
ティンカーベル「むむぅ…カイは薄情者だよ。ヘンゼルやグレーテルはカイの事ちゃんち家族だと思ってるみたいなのに。やっぱり悪魔の鏡の破片のせいで心が冷たくなっちゃってるのかな?」ヒソヒソ
キモオタ「だとしたら我々に茶を振る舞ったりせんでござろうwwwそれに口は悪いでござるが、ヘンゼル殿や女王殿と家族だということを否定しない辺り…まぁそう言うことでござろうなwww」ムシャムシャ
ティンカーベル「あー確かにそっか。こないだも急に戻ってきたヘンゼルに色々世話焼いてたしね」モグモグ
キモオタ「今だって我々をほったらかしにする事も出来るはずなのにこの場に残ってくれておりますしなwww素直になれないだけの思春期ボーイでござるよwww」コポォ
カイ「チッ…お前等聞こえてんだぞ、黙って待てねぇのか」

409 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/06/13(月)00:24:07 ID:xVI
ガチャッ
雪の女王「やぁ、キモオタにティンカーベル。待たせてしまってすまない、ようこそ私の宮殿へ。そんな軽装じゃあ外は寒かっただろう遠慮なくくつろいでくれ」フフッ
キモオタ「これはこれは女王殿www申し訳ありませんな忙しいときにアポ無しで押し掛けてしまってwww」コポォ
ティンカーベル「ごめんね!でも女王にお願いとか報告とか色々あってねー…あっ!キモオタ、例の物を渡すの忘れちゃ駄目だよ!」
キモオタ「もちろんですぞwww女王殿、これ冷えてしまいましたが手土産でござるwww現実世界のうまいものを色々と持ってきたのでカイ殿と食べてくだされwww」スッ
雪の女王「あぁ、ありがとう。そんな気を使わなくて良かったんだぞ?だがせっかくの好意だ、頂くよ。ほう、これは高島屋の地下の…なんとも美味しそうな物が揃っている」
キモオタ「ちょwwwなんで高島屋だってわかったでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「まさかこの世界にも高島屋が……!?」
カイ「何言ってんだお前。そんなわけねぇだろ、お千代がこの宮殿に帰って来るときなんかによく手土産にしてんだよ」
雪の女王「実家に帰るのに手土産なんか必要ないというのに、律儀な娘だよ。しかしキモオタ、この料理は私とカイの分にしては多すぎるように思えるが…さては二人ともこの宮殿に滞在しようと言う考えだな?」フフッ
キモオタ「ドゥフフwwwバレてしまいましたなwww実は我々もご相伴に預かろうかと思っておりましてなwww」
ティンカーベル「実はね、私達は女王に特訓して貰いたいなって思ってるの!アリスとの戦いが近いからもっと強くなりたいんだ!」
キモオタ「魔力も豊富でこんな立派な宮殿を作り出してしまうほどの女王殿ならばなんかこう…いい感じの特訓をしてくれるのではないかと期待しておりましてwww」
ティンカーベル「他にも色々と用事はあるんだけどね、そういうことだからなんかいい感じの特訓して欲しいの!それでちょっとの間だけこの宮殿に泊めてくれるともっと助かるんだけど…」
カイ「いい感じってなんだよ、雑すぎんだろこいつら」
雪の女王「フフッ、随分と買いかぶられているようだ。そういうことならば協力しよう、私はこの世界から離れられないから特訓の相手をする時間も取れるだろう。部屋も貸そう、後で案内するよ」フフッ

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彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」