キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編
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560 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:33:42 ID:ClV
ドロシー「うふふっ、キモオタさんとティンクちゃんは仲がすごく良くて羨ましい…」
キモオタ「そんなことないのでござるよwww我輩は家主なのに蔑ろにされがちでござるし、最近特に口が悪くて困ってますぞwww気も短いからすぐに腹を立てるでござるしwww」
ティンカーベル「そんなの言いがかりだよ!私は気が短くなんか無いもん!いい加減な事言ってると怒るからね!」プンス
キモオタ「言ったそばからお主はwww」コポォ
ティンカーベル「もぉー私達の事なんかどうでもいいんだよ!それより私が聞きたいのはなんでかぐやは帽子屋を逃がしちゃったの?って事だよ!」
ドロシー「あっ、それは私も気になってました…かぐやさんのことだからきっと考えがあってだと思うけれど…」
ティンカーベル「でしょ?折角捕まえたのにあんな危険な奴を逃がすなんて…どうせまたすぐに悪さするよ!納得が行かないよ!危なすぎるもん!」
かぐや「確かに、ティンクちゃんが言うようにまた悪さをすると思うわ。私や悟空を始末できてないもの、きっと襲いに来るわね」
ティンカーベル「襲いに来るって解ってるのになんで逃がすの?まさか罪を償って反省してくれるかもしれないなんて思って帽子屋を逃がしたんじゃないよね?だとしたら甘過ぎるよ!」
かぐや「…正直なところ、そういう気持ちは少なからずあるわね。私がそうであるように例えどんな悪さをしても人はやり直せる…あれだけ暴れて悪さした帽子屋君だって罪を償えばまたやり直せると私は思ってるわ」
ティンカーベル「むむぅ…その考えは立派だけど……でも!」
かぐや「大丈夫よティンクちゃん、帽子屋君を逃がした理由はそれだけじゃないから」
キモオタ「別に理由があると?我輩、帽子屋殿を逃がしたのはてっきりかぐや殿の優しさかとwww」
かぐや「ふふっ、流石におとぎ話の危機だというのにそんな勝手はできないわよ。考えてみてくれる?ここで私達が帽子屋君を捕らえたらどうなるかしら?」
561 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:35:29 ID:ClV
キモオタ「むむっ、そうですなぁ…我々が帽子屋殿を捕えて監禁するでござる…そうすれば帽子屋殿が戻ってこないとアリス殿側は騒ぎになるでござる、それで…」
ティンカーベル「あんなに強い帽子屋を見捨てるなんて思えないから…アリスが取り返しに来るんじゃない?」
かぐや「今のアリスちゃんはドロシーの魔法の靴を履いているし、強さの方向性は帽子屋君とは違うと思うけれどそれでも…私達は苦戦を強いられるはず」
かぐや「それに帽子屋君を捕えたりすればアリスちゃんから標的にされるわ。私や悟空はともかく、キモオタ君達やドロシーまで標的にされてしまう」
キモオタ「我輩やティンカーベル殿は既に標的にされてる感ありますがなwwwしかし、ドロシー殿は違いますなwww今の所彼女の標的ではないでござるwww」
ドロシー「で、でも私はアリスちゃんに用済みだと言ってこの世界に飛ばされたんですよ?きっと私の事も始末するつもりなんです…」
ティンカーベル「そーかな?だったらすぐに殺すと思うよ?なんていうか、その、きっと…別に居ても居なくても一緒だと思ったから別の世界に飛ばしたんだと思うし…」
ドロシー「うぅ…居ても居なくても一緒……」ズーン
ティンカーベル「ち、違うよ!そういう意味じゃなくて…!キモオタァ!私の代わりに説明してよぉ!」クルッ
キモオタ「要するにwwwアリス殿はドロシー殿を敵に回しても脅威ではないと判断したわけでござるな。だからそこ殺さずに敢えて別の世界に一人で飛ばすことでドロシー殿に苦労させようと思ったのではwww
身よりの無い少女が人並みに暮らすのが難しいのは何処でも同じでござろうし…ひとつの嫌がらせですなwww」
ティンカーベル「そういうこと!」フンス
キモオタ「しかし、大切な仲間である帽子屋殿に手を出したとなれば話は別でござる。かぐや殿はドロシー殿を可愛がっているでござるし、見せしめに命を奪う…などいかにもやりそうな感じでござろう?」
ドロシー「た、確かにそうです…!」
孫悟空「帽子屋の口ぶりじゃあ…アリスとは随分硬い絆があるようだったからな。大切な仲間が捕えられりゃ誰だって本気で相手を憎むし、全力で奪還に向かうだろうよ」
562 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:39:50 ID:ClV
かぐや「それに彼を逃がしたところで、他のおとぎ話に危険が及ぶ事はないでしょう。彼は目的を達成していないから、準備が整えばまたこの世界に来るはず」
かぐや「私の能力について知られてしまったし、またこの辺りの村を襲うかもしれないけど…でも、それは私や悟空や玉龍でも防ぐ事は出来る」
かぐや「別の世界に行っているあなた達や現実世界の事まで護りきる事は出来ないから…だから今回は彼を逃したの」
キモオタ「なるほど、どっちに転んでも自体が好転しないなら被害を抑えられそうな方を…ということですなwww」
ドロシー「で、でもそれじゃ私達は良くてもかぐやさん達が…」
かぐや「大丈夫よ、彼らも対策をして来るでしょうけど私達だって迎え撃つ準備は出来る。条件は対等よ」フフッ
孫悟空「あぁ、今度は準備を整えてあいつ等を歓迎してやらねぇとなぁ!」
玉龍「ウチもやられっぱなしじゃ嫌ッスからね!そうと決まればキモオタ!さっき話していた友人とやらにあの薬草の事聞いて欲しいッス!」
キモオタ「わかりましたぞwww」
ティンカーベル「えっと、あの大鎌と薬草…確か帽子屋言ってたよね『死神の鎌』だって、あと『死神の薬草』とも言ってた!」
キモオタ「恐らく、別のおとぎ話から奪って来た魔法具でござるから、それらが登場するおとぎ話がないかどうか聞けば、その正体がわかるやもしれませんぞwww」
ティンカーベル「それじゃ、やっぱり司書さんに聞く感じ?」
キモオタ「そうですぞwwwそれに司書殿にはもうひとつ聞いておきたい事があるのでござるよ、とにかくおはなしウォッチで話し掛けてみるでござるwww」コポォ
563 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:43:40 ID:ClV
・・・
司書の声「…その鎌と薬草はグリム童話のひとつ、【死神の名付け親】の魔法具ですね」
司書の声「そのおとぎ話の中では鎌に特別な力はありませんけど、薬草の方は死の至るような病ですら癒す効果があります。このおとぎ話の主人公はその薬草を使って名医になるんですけど…とにかく傷を癒す魔法具だと思ってもらえばいいです」
キモオタ「流石司書殿wwwやはりお主に連絡してよかったでござるwww」
司書の声「いえいえそんな…死神が持っている傷を癒す薬草と言えばこのおとぎ話ですから。現実世界では既に消滅しているおとぎ話ですから間違いないと思いますよ」
玉龍「それで、この魔法具を使えばもがれた腕も治るんスかね?」
司書の声「どうでしょうか…でもその帽子屋さんが【こぶとり爺さん】の鬼の能力で腕をもいだとなると、もがれた腕は生きているはずですから傷を癒すという行為に当たるかどうか…」
玉龍「なるほどッス…なんだか期待はできそうにないッスね。まぁ、戻らなかったら戻らなかったでセンパイの嫁にして貰うッスから問題ないスけど」
孫悟空「しねぇよ、妙なところで食い下がんじゃねぇ」
司書の声「ふふっ…でもその魔法具は病でも傷でも癒す事は出来ますから有用なものではありますよ」
キモオタ「なるほどwww玉龍殿の腕を治せなさそうなのは残念でござるが、便利なものを手に入れた事には違いないでござるなwww」
孫悟空「キモオタの魔法具もすげぇがこの女もすげぇな…僅かな情報からどのおとぎ話の魔法具なのか検討をつけるたぁただ者じゃねぇ」ヒソヒソ
かぐや「【キジも鳴かずば】のお千代ちゃんと言っていたけれど…彼女ほどの辛い思いをした娘が現実世界で夢をかなえる為に頑張ってるなんて、偉いわね」
564 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:45:40 ID:ClV
ティンカーベル「いやー、凄く助かっちゃったよ!ありがとうね司書さん!」
司書の声「いえいえ、お礼を言わないといけないのはこっちの方です。聞きました、ヘンゼルの為に色々としてくれたんですよね?」
キモオタ「我々がした事などたかが知れているでござるwwwヘンゼル殿が向かった【裸の王様】の世界は治安もいいでござるし、なにより裸王殿が立派で親切な方故、ご安心をwww」
司書の声「ふふっ、キモオタさんがヘンゼルの為に勧めてくれた行き先ですから危険なはずはないと…私は信じていましたけどね。だから心配してません」フフッ
キモオタ「おおっとwwwこれは司書殿にフラグ立ちましたかなwww」コポォ
司書の声「? えっと、他に何かありますか?キモオタさん?」
キモオタ「ちょっと待っていただきたいwwwもうひとつ聞きたい事があるのでござるwww」
ドロシー「えっと、聞きたい事って…なんなんですか?キモオタさん?」
キモオタ「帽子屋殿、会話の中にアリス殿の為…と何度か口に出しておりましたが、その度にとある名前を出していたでござろう?」
玉龍「言っていたッスね!アリスを護るのは自分の使命だと、そしてそれを与えたのがえっと…ルイスだったッスか?」
ティンカーベル「ルイス…ルイス…?どっかで聞いたような見たような気がするけど…」
キモオタ「我輩も聞き覚えがあるのでござるが曖昧でしてなwwwしかし、司書殿に聞けば何者なのかはっきりするでござるよwww」
キモオタ「司書殿。帽子屋殿がしきりに『ルイス』という名前を口にしていたでござる。アリス殿を護るのはルイス殿から与えられた使命だとも言っていたようで…」
キモオタ「その者…『ルイス』とは何者なのか、解りますかな?」
565 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:48:16 ID:ClV
司書の声「ルイス…帽子屋さんがその名を口にしたんですね?」
キモオタ「そうでござる。【不思議の国のアリス】にその様な登場人物が居たとは記憶していないでござるし…別のおとぎ話の登場人物ですかな?」
司書の声「……」
キモオタ「司書殿?流石の司書殿でも見当がつかないですかな?」
司書の声「いいえ、アリスさんに関係する人物でルイスという名なら間違いなくそれは……ルイス・キャロルのことですね」
キモオタ「ルイス・キャロル…一体、何者ですかな?」
司書の声「1800年代のイギリスに住んでいた男性で……【不思議の国のアリス】の作者です」
キモオタ「なんですと…アリス殿のおとぎ話の作者…!通りでなんか聞いたことあると思ったのでござるよ!」
ティンカーベル「作者…だから帽子屋は言ってたんだね、アリスを護る事がルイス…作者から与えられた使命だって。作者に生み出された存在だからそう考えれば使命かも…」
司書の声「でも、それは少し不思議ですね。【不思議の国のアリス】で確かにアリスさんは様々なトラブルに巻き込まれ、大変な目にもあいますけど…」
司書の声「おとぎ話の中での帽子屋さんはアリスさんの味方ではありません。と言っても敵と言うわけでもないですけど」
キモオタ「確かにそうでござったな、と言うか基本あの物語に敵も味方も無いでござるしな」
司書の声「作者が登場人物に与えた役割を使命と言うのなら、ルイス・キャロスが帽子屋さんに与えた使命は狂ったお茶会でアリスさんを小馬鹿にすることと裁判で証言をする事…」
司書の声「作中でアリスさんを護るなんて事は一切しません。帽子屋さんがアリスさんを護る事が使命だというのなら…」
司書の声「それは【不思議の国のアリス】のストーリーの中では無いどこかで……帽子屋さんがルイス・キャロルから与えられた使命。という事になりますね」
566 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:51:07 ID:ClV
今日はここまでです
柿おいしいよね
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます
567 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)00:53:26 ID:v9p
お疲れ様です
568 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)01:58:44 ID:Bot
支援
話がどんどん核心に近づいていくーー
続きが楽しみ
569 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)10:07:42 ID:Qmt
乙!
かぐやの深謀遠慮、さすがよのう
570 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)14:39:57 ID:21c
さすが日本最古のおとぎ話……かぐや強いですね
おとぎ話かどうかはわからないけど
死神つながりで
枕元に死神が立っていればその人は助かり
足元に死神が立っていればその人は助からない?とかいう話が何処かで聞いた覚えがあるんだけど
これってどうなのかな
571 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)16:17:38 ID:FPB
>>570
まさに名前あがってる死神の名付け親そのものでは
575 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/14(木)22:57:34 ID:AAE
レスありがとう!明日更新予定ですー
>>570
>>571も言ってるようにそれが【死神の名付け親】ですね
主人公は死神と「私(死神)が病人の枕元に居るときは薬草を使って治していいですよ、でも足下にいるときは薬草使っちゃだめですよ」って約束をする
だけど王様やお姫様の命を助けたいからってその約束を破っちゃうっておとぎ話だね
578 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:27:02 ID:ADc
キモオタ「むむっ…しかし妙ですぞ。【不思議の国のアリス】の作者ルイス・キャロル殿が帽子屋殿にアリス殿を護るよう命じたというのが事実として…」
キモオタ「ルイス殿は一体何からアリス殿を護ろうとしたのでござろうか?」
玉龍「そりゃ…おとぎ話に出てくる悪い奴からアリスを護ってくれっていう意味じゃないッスか?」
孫悟空「考えてもみろ、作者は【不思議の国のアリス】を生み出した張本人だぞ?物語の中に敵を作るも味方を作るも作者の自由だ、当然アリスに降りかかる危機だって自分で取り除けるだろ?」
ティンカーベル「それじゃあさ、【不思議の国のアリス】が消滅しないようにして欲しいってお願いかな?」
かぐや「それなら『アリスを護るのが使命』じゃなく『【不思議の国のアリス】を護るのが使命』になるんじゃないかしら?」
ティンカーベル「そっか、確かにそうだね。だったらうーん…わかんないよ、作者のルイスは何からアリスを護りたかったんだろう?」
司書の声「うーん、そこまでは私にもちょっと見当がつかないですね…」
ドロシー「あ、あの…ちょっといいですか?その、ルイスさんの事なんですけど…」
キモオタ「おぉ、これはうっかりしてましたな…!ドロシー殿はアリス殿と共に行動をしていたのでござった、何か知っているでござるな!?」
ドロシー「あの…そんな期待して貰うような事でも無いんですけど、私が【不思議の国のアリス】の世界に居た時のことなんですけど…」
ドロシー「えっと、その作者さんの名前を口にしていたのは帽子屋さんだけじゃないんです。あの世界のほとんどの人たちがそのルイスさんの事を知っていて、会話の中にもよくその名前が出て来てました」
ティンカーベル「えっ!?じゃあ【不思議の国のアリス】の登場人物のほとんどが作者の存在や名前まで知ってるって事!?」
ドロシー「はっ、はい。帽子屋さんも白ウサギさんもハートの女王様も三月ウサギさんも…事あるごとにルイスさんの名前を出してました。でも、あの世界で一番ルイスさんの名前を口にしていたのはきっと…アリスちゃんです」
579 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:30:08 ID:ADc
キモオタ「多くの登場人物が作者の存在を認知しているなど…そのようなおとぎ話、今までに一度も見た事がありませんぞ!?」
ティンカーベル「だよね…おとぎ話とは言っても事情を知らない人たちにとっては現実なわけだし」
司書の声「そうですね、でも私はアリスさん達が作者の存在とその名前をどういう経緯で知る事になったのかが気になります」
司書の声「雪の女王様やヘンゼルは自分のおとぎ話を生み出した作者について知っていましたけど、それは現実世界に渡ったりそこから手に入れた文献で知ったからですからね、初めから知っていたわけではないでしょうし…」
かぐや「初めから知っていたわけではないとしたら、ルイスが【不思議の国のアリス】の世界へ渡ったか…あるいはアリスが現実世界に渡ってそこで知ったか、そうなるわね」
キモオタ「そう考えるのが自然でござる。しかし…以前、現実世界で会ったアリス殿はこう言っていたでござる…『こんな世界に来たくなかった』と」
玉龍「それじゃあアリスが現実世界に来たのはその時が初めてって感じッスかね?酷い世界だって聞いていたから『こんな世界に来たくなかった』って事ッスよね?」
孫悟空「そうとも限らねぇぞ?以前現実世界で酷い目にあったからもう二度と『こんな世界には来たくなかった』って事かもしれねぇ。その言葉だけで判断するのは難しいだろうな」
キモオタ「でも少なくともアリス殿はルイス殿と面識があったと考えてもいいと思うでござるよ、見ず知らずの他人や文献のみで得た情報ならばそこまでルイス殿にこだわるとも思えんでござるし」
ドロシー「あの、私にもそこまでは解らないです、ルイスさんの事を詳しく聞いた事はなかったですから…でもルイスさんの名前を口にする時のアリスちゃんはなんだか嬉しそうで愛おしげで…そしてどこか決意に満ちている感じがしてました」
ドロシー「きっとアリスちゃんにとってすごく特別な人なんだなって思いました…だからアリスちゃんの願いと言うか目的って、ルイスさんが関係しているんじゃないかって私は思うんです」
キモオタ「ドロシー殿の話を聞いた感じだと、おそらくそうでござろうな…その経緯や理由は全く分からんでござるけど」
ティンカーベル「でもさぁ…何があったのか知らないけどさ、作者ってそんなに特別なものなのかな?」
ティンカーベル「【ピーターパン】にも作者は居るんだろうけど…なんだか私はピンとこないよ。ウェンディと空を飛んだりフックと戦ったりするお話だし、きっとドキドキワクワクが好きな人なんだろうなぁ…くらいの感想しかないもん」
580 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:32:01 ID:ADc
玉龍「まぁ…ぶっちゃけそんなもんッスよね。よく知らないあった事も無い奴を慕う理由があるわけないッスから…あっ!でもウチを女の子にしなかったのは失敗だったって伝えてやりt」
孫悟空「まぁ今だから言うが、俺は作者の事を恨んでた時期もあるぜ?師匠から俺の住んでた世界がおとぎ話だって聞かされてしばらくの間な」
玉龍「えぇっ!?そうなんスか!?よく暴れなかったッスね?その時はまだ今よりもずっとガラ悪かったッスのに…」
孫悟空「うるせぇよ、もう昔の話だ。納得がいかなかったんだな、何百年も封印されたり緊箍児なんてもんを頭に巻かれたり人使いの荒い師匠に付き合ったりさせられてな、そして思ったもんだ」
孫悟空「【西遊記】を生み出した作者の野郎が俺に試練を与えたせいで苦労する羽目になっちまってんじゃねぇかふざけんな!ってな」
司書の声「事情は違いますけど、自分の…というよりグレーテルの恵まれない境遇への憤りを作者に向けたヘンゼルと少し似てますね…彼もまた作者を憎悪していましたから」
孫悟空「あぁ、あいつもそんな事言ってたっけなぁ…でもまぁ、文句言ってもどうにもならねぇ。師匠と共に天竺への旅を続けて行くうちにそんなことはどうでもよくなっちまった」
孫悟空「作者が決めたもんだろうとなんだろうと、俺の運命には違いねぇんだ。他人に文句言う間があるんなら少しでも強くなった方が良いって思ったしな」
かぐや「なんだか悟空らしい考え方ね」フフッ
孫悟空「まあなんだ、話がそれちまったが…要は俺達おとぎ話の住人にとっちゃ余程特別な事情でも無い限り作者を好く理由なんかねぇって事だ」
キモオタ「そしてアリス殿は世界を敵に回すほどの騒動を起こしてでも叶えたい願いがある…それがルイス殿関連だとすれば二人の間にはただならぬ絆があるという事でござるな」
ティンカーベル「うーん、やっぱわかんないなぁ…いくら仲の良いキモオタやピーターパンの為だとしても、私そこまでしないと思うよ?っていうか他の世界を消してでも手に入れたい事なんてある?」
キモオタ「逆に言えばアリス殿にとってその目的は世界を破壊してでも叶えたいもの…という事でござる、どっちにしろ皆目見当つきませんがな」
司書の声「うーん…アリスさんとルイス・キャロスの関係が鍵なんでしょうか?【不思議の国のアリス】はその成り立ちも特殊ですから、そのあたりも関係しているのかもしれませんね…」
582 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:34:45 ID:ADc
玉龍「成り立ちが特殊?それってどういう事ッスか?」
司書の声「えーっとですね、どう説明しましょう…まず前提として【不思議の国のアリス】はルイス・キャロルによる創作童話です、ここはいいですか?」
ティンカーベル「うんうん、ずっと昔から伝えられてるおとぎ話じゃなくて作者がちゃんと存在しててその人が生み出したおとぎ話って事だよね?」
司書の声「そうですね【雪の女王】や【マッチ売りの少女】…ドロシーさんの【オズの魔法使い】もこの創作童話に分類されます」
司書の声「創作童話は基本的に童話作家が読み手を意識して作る作品です。生み出された経緯やそこにどんな思いが込められているかという話は別として、創作童話に共通する部分がひとつあります」
司書の声「それは大勢の読み手を想定しているという事です。自分の作品を世に出して、たくさんの人に読んで貰うことを前提としている…プロの作家さんの作品だから当然と言えばそうなんですけど」
キモオタ「作家ならば世に評価される物語を生み出してなんぼでござるからなwww」
司書の声「でも【不思議の国のアリス】は例外なんです。このおとぎ話は不特定多数の読者の為じゃなく、元を辿ればただ一人の少女の為に作られたおはなしだったんです」
ティンカーベル「へぇー、たったひとりの女の子の為に作られただなんてなんだか贅沢な話だね」
司書の声「きっかけはなんてことないものだったようですけどね、ルイス・キャロルにはとても親しくしている少女がいたんですが、彼女にせがまれて即興で作った物語が元になってると聞いています」
司書の声「ある時、彼は手作りの本を一冊、その少女に送りました。内容は少女にせがまれて作った即興の物語をまとめたおはなし…後の【不思議の国のアリス】です」
キモオタ「なるほど…初めはあくまで個人的な贈り物だったというわけでござるか」
司書の声「そうですね。でもそのおはなしはあまりによく出来ていて、やがて正式に出版される事になりました。あとはキモオタさんも知っているように世界で愛されるおとぎ話になったというわけです」
キモオタ「現実世界ではおとぎ話離れが進んでいるというのにその人気たるや凄まじいですからな。アリス殿、どんなソシャゲにも大体出てくるでござるしな…ディズニー映画のグッズとか本屋で見るでござるし…我々としては複雑でござるが、人気である事に違いはあるまいwww」
583 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:36:16 ID:ADc
司書の声「そうですね…【不思議の国のアリス】はうちの図書館でも人気高いです、他の作家へ与えた影響も大きいと聞いていますから」
ピルルルルッ
司書の声「…あっ、ごめんなさいキモオタさん。仕事の電話が掛かってきてしまって…こんな時間に何なのかな…」
キモオタ「おおwww長々と時間を取らせてしまい申し訳ありませんでしたなwwwおかげで色々と知ることができて助かったでござるwww」コポォ
司書の声「いえ、私には戦う力がありませんからこういった手助けしかできませんけど。必要ならばいつだってお手伝いしますから、遠慮無く言って下さいね。それでは、また」
キモオタ「わかりましたぞwwwそれではまたwww」
ピッ
孫悟空「しっかしテメェの仲間は大したもんだな、おとぎ話の内容どころかどうやって出来たとかそんなことまで知ってるなんてな」
かぐや「私達おとぎ話の住人も別のおとぎ話を知識として知っている事はあっても、成り立ちや作者の事は現実世界でないと知りようがないものね」
キモオタ「お千代殿こと司書殿は現実世界とおとぎ話の世界、両方の視点から物語を見る事のできる特殊な立場でござるからなwww知識面ではシェヘラザード殿と並んで頼れるインテリタイプの仲間なのでござるww」ドヤァ
ティンカーベル「でもアリスは変わってるって思ってたけどさ、まさかおとぎ話までちょっと特別な感じだったなんてね」
キモオタ「アリス殿のおかれた状況や気持ちが理解出来れば、彼女の行動の意図にもたどり着けると思ったでござるけど…確かに情報は増えたでござるが、その反面謎も増えてしまった感ありますなぁ」
ドロシー「ルイスさんの存在やアリスちゃんのおとぎ話の成立はわかったんですけど…でも、アリスちゃんの真意はやっぱりわかんないですね…」
ティンカーベル「うん、それにアリスにとって作者がどれだけ大切なのかわかんないけどさ、あいつがやってる事はやっぱり理解出来ないよ…」
かぐや「でも、理解出来ない事やわからない事だけじゃないわ。私達にはわかっている事もある、そうよね?」
584 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:39:25 ID:ADc
孫悟空「ああ、帽子屋がこの世界に来た目的…だな?」
玉龍「帽子屋は自分で語っていたッスからね!あいつの目的のひとつは悟空センパイとかぐやを始末することッス!」
キモオタ「悟空殿もかぐや殿も方向性は違うでござるけど戦闘においてスペック高いでござるからなwww」コポォ
ティンカーベル「格闘メチャクチャ強い悟空と重力操作できるかぐやが一緒にいるとかもうチートだよ!早めに倒しておきたいってのもわかるもん」
玉龍「その上可愛い玉龍ちゃんもいるッスからね。それでそしてもう一つの目的は…それはかぐやが持つ龍玉だったッスよね?」
孫悟空「ああ、そう帽子屋が言ってやがったな。んなこと知ってるって事ぁ俺達の事どこかで覗き見てたんだ、気色悪ぃ奴だぜ」
ドロシー「うぅ…嫌ですねそれ…。でも龍玉って確か…【かぐや姫】のおとぎ話にも出てくるとても貴重な宝物ですよね?」
ティンカーベル「あれでしょ?かぐやが求婚してきた男の人に持って来いっ!って無茶振りした五種類の宝物のひとつ!」
かぐや「そうね、でも未来の私はきっと無理難題を言って諦めて貰おうとしただけよ?それを無茶振りだなんて人聞きが悪いわ」ウフフ
キモオタ「いや、おとぎ話史上稀に見る無茶振りでござるよwwwしかし、あれは求婚者をそれとなく断る為のお題故、本来手に入る事の無いレアアイテムでござろう?その様なものをどうやって…」
玉龍「フッフッフ…ウチのあまりの可愛さに忘れちゃったッスか!?龍玉は龍の持つ宝玉ッス!ここに一匹頼れる龍がいる事を忘れては困るッスよ!」ドヤァ
ティンカーベル「そっか!龍の宝物なんだもん、玉龍になら簡単に手に入れる事ができるよねっ!」
玉龍「そうッスね!ちょっと雲の上を数日間飛んで百何匹かの龍に声をかけてようやく龍玉を生成できる龍を見つけてお願いしただけッスからね!」
キモオタ「ちょwww難易度クッソ高いwwwそんなもん要求された求婚者が可哀そうですなwww」コポォ
かぐや「ふふっ、もう求婚者の事は良いわよ。これがその龍玉よ」スッ
ピカピカ
キモオタ「おおwwwこれはふつくしいwwwしっかしボーリング玉みたいなの想像しておりましたがピンポン玉サイズでござるなwww」
ティンカーベル「帽子屋はこれを狙ってるわけかぁ…手に入れるのが難しいレアな宝物だしね。それで、この魔法具は何ができるの?」
585 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:41:59 ID:ADc
かぐや「魔法具…?この龍玉が?」
ティンカーベル「うん!そうなんでしょ?特別な力が備わってるに決まってるよ、なんかこう…七つ集めたら龍が願いを叶えてくれるとか!」
キモオタ「つっwwwかっwwwもっwwwうっwwwぜっwwwドwwwラwwwゴwwwンwwwボwwwーwwwルwww」コポォ
かぐや「あなた達の世界には龍玉を集めるとそんな事が起きるって伝説でもあるの?そんな話は初めて聞いたけれど…どうなの?玉龍?」
玉龍「いや、これはただの綺麗な玉ッス。魔力は相当な量が込められてるッスけど、不思議な力なんて宿って無いッスよ?」
ティンカーベル「えぇーっ!?そうなの!?見かけ倒しじゃん!」
玉龍「なんてこと言うんスか!綺麗なだけでもいいじゃないッスか!何にでも不思議な力が宿ってると思ったら大間違いッスよ!」
ティンカーベル「そ、そうだけど!でもレアアイテムだっていうから期待しちゃうのも無理ないじゃん!」
孫悟空「まぁ気持ちは解らんでもねぇがな。おおかた龍玉を伝説でしか聞いた事の無い奴らもティンクと同じように考えたんだろうな」
かぐや「龍玉には願いを叶える力がある…なんて言い伝えもあるくらいだから」
キモオタ「なるほど…しかし、玉龍殿は何故そのような代物をかぐや殿に贈ったのでござるか?」
玉龍「まぁ日ごろのお礼って感じッスかね。かぐやって結構貴族から贈り物とか貰うんスよ、まぁご機嫌取りの贈り物がほとんどッスけど…」
玉龍「で、その贈り物の中に結構可愛い服とか装飾品とかあるんスよね!ウチ、変化したりとかで着物破く事もあるッスからよく譲って貰ってるンスよー、だからそのお礼ッス」
キモオタ「ちょwww思ったよりwww軽い理由でしたなwww」コポォ
玉龍「まぁ、お守り代わりッスよ。ウチら龍なら手に入れるのも難しくないッスからねー」
玉龍「それに願いが叶うっていうのは言い伝えッスけど。もしも本当に叶ったりしたら…素敵じゃないッスか!そういう期待もちょっぴりあるッス!」
586 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:46:36 ID:ADc
かぐや「世間ではこの龍玉は値が付けられないほどの宝物だけど、私にとっては友達から貰った大切なお護り。宝物って事に違いはないけれど、ね」
かぐや「でも帽子屋君達がこの龍玉を狙っているのは、これに含まれる魔力に目をつけたからでしょうね」
キモオタ「恐らくそうですな、アリス殿達は魔力を集めて【アラジンと魔法のランプ】の結界を破るつもりでござるからね。故に邪魔者の排除と魔力の強奪を目的としてるわけですな」
ドロシー「私がアリスちゃんの所にいた時も、他のおとぎ話を襲う理由は大抵同じでした…敵になりそうな相手を倒しておくこと、それと魔力や魔法具の確保…」
キモオタ「【不思議の国のアリス】が結末を迎えて帽子屋も動けるようになったから本気出すみたいに言ってたっけ、だから遂に強敵の悟空やかぐやの所に来たんだね!」
孫悟空「ああ、だが……俺達を倒すって目的も龍玉を奪うって目的も、俺にはどうも表向きの理由にしか見えねぇんだよな」
キモオタ「…というと?どういうことでござるかな?」
孫悟空「俺とかぐやが邪魔だってのは事実だろう、龍玉だって手に入れたいはずだ。だが、さっき帽子屋と戦っている時も感じたが…どうもひっかかる部分が多い」
玉龍「センパイも感じてたッスか。ウチも引っ掛かってる部分あるんスよね…例えば、そう、そもそも村を襲った事ッスね」
ティンカーベル「それはあれでしょ?村を襲えば悟空やかぐやをおびき寄せると思ったんでしょ?実際、二人とも村に駆け付けたわけだしさ」
孫悟空「おびき寄せるって発想がそもそも不自然なんだよティンク。いいか?帽子屋はアリスの邪魔になりそうな俺達を殺したいんだぞ?」
ティンカーベル「わかってるって、だから三人をおびき寄せてまとめて殺そうとしたんでしょ?」
キモオタ「…いや、殺そうとしているのなら尚更強敵を三人一度に相手するのはおかしいのでござるよ」
ドロシー「確かにそうです…!村を襲ったりすれば三人とも来ちゃう可能性が高いです…!」
かぐや「そうなってしまえば殺せる可能性は減るわね、帽子屋君は一人で来ていたみたいだし。だったら一人ずつ始末する方が確実ね」
ティンカーベル「…っ!それじゃあ本当は三人を殺すつもりはなかったって事!?」
ドロシー「うふふっ、キモオタさんとティンクちゃんは仲がすごく良くて羨ましい…」
キモオタ「そんなことないのでござるよwww我輩は家主なのに蔑ろにされがちでござるし、最近特に口が悪くて困ってますぞwww気も短いからすぐに腹を立てるでござるしwww」
ティンカーベル「そんなの言いがかりだよ!私は気が短くなんか無いもん!いい加減な事言ってると怒るからね!」プンス
キモオタ「言ったそばからお主はwww」コポォ
ティンカーベル「もぉー私達の事なんかどうでもいいんだよ!それより私が聞きたいのはなんでかぐやは帽子屋を逃がしちゃったの?って事だよ!」
ドロシー「あっ、それは私も気になってました…かぐやさんのことだからきっと考えがあってだと思うけれど…」
ティンカーベル「でしょ?折角捕まえたのにあんな危険な奴を逃がすなんて…どうせまたすぐに悪さするよ!納得が行かないよ!危なすぎるもん!」
かぐや「確かに、ティンクちゃんが言うようにまた悪さをすると思うわ。私や悟空を始末できてないもの、きっと襲いに来るわね」
ティンカーベル「襲いに来るって解ってるのになんで逃がすの?まさか罪を償って反省してくれるかもしれないなんて思って帽子屋を逃がしたんじゃないよね?だとしたら甘過ぎるよ!」
かぐや「…正直なところ、そういう気持ちは少なからずあるわね。私がそうであるように例えどんな悪さをしても人はやり直せる…あれだけ暴れて悪さした帽子屋君だって罪を償えばまたやり直せると私は思ってるわ」
ティンカーベル「むむぅ…その考えは立派だけど……でも!」
かぐや「大丈夫よティンクちゃん、帽子屋君を逃がした理由はそれだけじゃないから」
キモオタ「別に理由があると?我輩、帽子屋殿を逃がしたのはてっきりかぐや殿の優しさかとwww」
かぐや「ふふっ、流石におとぎ話の危機だというのにそんな勝手はできないわよ。考えてみてくれる?ここで私達が帽子屋君を捕らえたらどうなるかしら?」
561 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:35:29 ID:ClV
キモオタ「むむっ、そうですなぁ…我々が帽子屋殿を捕えて監禁するでござる…そうすれば帽子屋殿が戻ってこないとアリス殿側は騒ぎになるでござる、それで…」
ティンカーベル「あんなに強い帽子屋を見捨てるなんて思えないから…アリスが取り返しに来るんじゃない?」
かぐや「今のアリスちゃんはドロシーの魔法の靴を履いているし、強さの方向性は帽子屋君とは違うと思うけれどそれでも…私達は苦戦を強いられるはず」
かぐや「それに帽子屋君を捕えたりすればアリスちゃんから標的にされるわ。私や悟空はともかく、キモオタ君達やドロシーまで標的にされてしまう」
キモオタ「我輩やティンカーベル殿は既に標的にされてる感ありますがなwwwしかし、ドロシー殿は違いますなwww今の所彼女の標的ではないでござるwww」
ドロシー「で、でも私はアリスちゃんに用済みだと言ってこの世界に飛ばされたんですよ?きっと私の事も始末するつもりなんです…」
ティンカーベル「そーかな?だったらすぐに殺すと思うよ?なんていうか、その、きっと…別に居ても居なくても一緒だと思ったから別の世界に飛ばしたんだと思うし…」
ドロシー「うぅ…居ても居なくても一緒……」ズーン
ティンカーベル「ち、違うよ!そういう意味じゃなくて…!キモオタァ!私の代わりに説明してよぉ!」クルッ
キモオタ「要するにwwwアリス殿はドロシー殿を敵に回しても脅威ではないと判断したわけでござるな。だからそこ殺さずに敢えて別の世界に一人で飛ばすことでドロシー殿に苦労させようと思ったのではwww
身よりの無い少女が人並みに暮らすのが難しいのは何処でも同じでござろうし…ひとつの嫌がらせですなwww」
ティンカーベル「そういうこと!」フンス
キモオタ「しかし、大切な仲間である帽子屋殿に手を出したとなれば話は別でござる。かぐや殿はドロシー殿を可愛がっているでござるし、見せしめに命を奪う…などいかにもやりそうな感じでござろう?」
ドロシー「た、確かにそうです…!」
孫悟空「帽子屋の口ぶりじゃあ…アリスとは随分硬い絆があるようだったからな。大切な仲間が捕えられりゃ誰だって本気で相手を憎むし、全力で奪還に向かうだろうよ」
562 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:39:50 ID:ClV
かぐや「それに彼を逃がしたところで、他のおとぎ話に危険が及ぶ事はないでしょう。彼は目的を達成していないから、準備が整えばまたこの世界に来るはず」
かぐや「私の能力について知られてしまったし、またこの辺りの村を襲うかもしれないけど…でも、それは私や悟空や玉龍でも防ぐ事は出来る」
かぐや「別の世界に行っているあなた達や現実世界の事まで護りきる事は出来ないから…だから今回は彼を逃したの」
キモオタ「なるほど、どっちに転んでも自体が好転しないなら被害を抑えられそうな方を…ということですなwww」
ドロシー「で、でもそれじゃ私達は良くてもかぐやさん達が…」
かぐや「大丈夫よ、彼らも対策をして来るでしょうけど私達だって迎え撃つ準備は出来る。条件は対等よ」フフッ
孫悟空「あぁ、今度は準備を整えてあいつ等を歓迎してやらねぇとなぁ!」
玉龍「ウチもやられっぱなしじゃ嫌ッスからね!そうと決まればキモオタ!さっき話していた友人とやらにあの薬草の事聞いて欲しいッス!」
キモオタ「わかりましたぞwww」
ティンカーベル「えっと、あの大鎌と薬草…確か帽子屋言ってたよね『死神の鎌』だって、あと『死神の薬草』とも言ってた!」
キモオタ「恐らく、別のおとぎ話から奪って来た魔法具でござるから、それらが登場するおとぎ話がないかどうか聞けば、その正体がわかるやもしれませんぞwww」
ティンカーベル「それじゃ、やっぱり司書さんに聞く感じ?」
キモオタ「そうですぞwwwそれに司書殿にはもうひとつ聞いておきたい事があるのでござるよ、とにかくおはなしウォッチで話し掛けてみるでござるwww」コポォ
563 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:43:40 ID:ClV
・・・
司書の声「…その鎌と薬草はグリム童話のひとつ、【死神の名付け親】の魔法具ですね」
司書の声「そのおとぎ話の中では鎌に特別な力はありませんけど、薬草の方は死の至るような病ですら癒す効果があります。このおとぎ話の主人公はその薬草を使って名医になるんですけど…とにかく傷を癒す魔法具だと思ってもらえばいいです」
キモオタ「流石司書殿wwwやはりお主に連絡してよかったでござるwww」
司書の声「いえいえそんな…死神が持っている傷を癒す薬草と言えばこのおとぎ話ですから。現実世界では既に消滅しているおとぎ話ですから間違いないと思いますよ」
玉龍「それで、この魔法具を使えばもがれた腕も治るんスかね?」
司書の声「どうでしょうか…でもその帽子屋さんが【こぶとり爺さん】の鬼の能力で腕をもいだとなると、もがれた腕は生きているはずですから傷を癒すという行為に当たるかどうか…」
玉龍「なるほどッス…なんだか期待はできそうにないッスね。まぁ、戻らなかったら戻らなかったでセンパイの嫁にして貰うッスから問題ないスけど」
孫悟空「しねぇよ、妙なところで食い下がんじゃねぇ」
司書の声「ふふっ…でもその魔法具は病でも傷でも癒す事は出来ますから有用なものではありますよ」
キモオタ「なるほどwww玉龍殿の腕を治せなさそうなのは残念でござるが、便利なものを手に入れた事には違いないでござるなwww」
孫悟空「キモオタの魔法具もすげぇがこの女もすげぇな…僅かな情報からどのおとぎ話の魔法具なのか検討をつけるたぁただ者じゃねぇ」ヒソヒソ
かぐや「【キジも鳴かずば】のお千代ちゃんと言っていたけれど…彼女ほどの辛い思いをした娘が現実世界で夢をかなえる為に頑張ってるなんて、偉いわね」
564 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:45:40 ID:ClV
ティンカーベル「いやー、凄く助かっちゃったよ!ありがとうね司書さん!」
司書の声「いえいえ、お礼を言わないといけないのはこっちの方です。聞きました、ヘンゼルの為に色々としてくれたんですよね?」
キモオタ「我々がした事などたかが知れているでござるwwwヘンゼル殿が向かった【裸の王様】の世界は治安もいいでござるし、なにより裸王殿が立派で親切な方故、ご安心をwww」
司書の声「ふふっ、キモオタさんがヘンゼルの為に勧めてくれた行き先ですから危険なはずはないと…私は信じていましたけどね。だから心配してません」フフッ
キモオタ「おおっとwwwこれは司書殿にフラグ立ちましたかなwww」コポォ
司書の声「? えっと、他に何かありますか?キモオタさん?」
キモオタ「ちょっと待っていただきたいwwwもうひとつ聞きたい事があるのでござるwww」
ドロシー「えっと、聞きたい事って…なんなんですか?キモオタさん?」
キモオタ「帽子屋殿、会話の中にアリス殿の為…と何度か口に出しておりましたが、その度にとある名前を出していたでござろう?」
玉龍「言っていたッスね!アリスを護るのは自分の使命だと、そしてそれを与えたのがえっと…ルイスだったッスか?」
ティンカーベル「ルイス…ルイス…?どっかで聞いたような見たような気がするけど…」
キモオタ「我輩も聞き覚えがあるのでござるが曖昧でしてなwwwしかし、司書殿に聞けば何者なのかはっきりするでござるよwww」
キモオタ「司書殿。帽子屋殿がしきりに『ルイス』という名前を口にしていたでござる。アリス殿を護るのはルイス殿から与えられた使命だとも言っていたようで…」
キモオタ「その者…『ルイス』とは何者なのか、解りますかな?」
司書の声「ルイス…帽子屋さんがその名を口にしたんですね?」
キモオタ「そうでござる。【不思議の国のアリス】にその様な登場人物が居たとは記憶していないでござるし…別のおとぎ話の登場人物ですかな?」
司書の声「……」
キモオタ「司書殿?流石の司書殿でも見当がつかないですかな?」
司書の声「いいえ、アリスさんに関係する人物でルイスという名なら間違いなくそれは……ルイス・キャロルのことですね」
キモオタ「ルイス・キャロル…一体、何者ですかな?」
司書の声「1800年代のイギリスに住んでいた男性で……【不思議の国のアリス】の作者です」
キモオタ「なんですと…アリス殿のおとぎ話の作者…!通りでなんか聞いたことあると思ったのでござるよ!」
ティンカーベル「作者…だから帽子屋は言ってたんだね、アリスを護る事がルイス…作者から与えられた使命だって。作者に生み出された存在だからそう考えれば使命かも…」
司書の声「でも、それは少し不思議ですね。【不思議の国のアリス】で確かにアリスさんは様々なトラブルに巻き込まれ、大変な目にもあいますけど…」
司書の声「おとぎ話の中での帽子屋さんはアリスさんの味方ではありません。と言っても敵と言うわけでもないですけど」
キモオタ「確かにそうでござったな、と言うか基本あの物語に敵も味方も無いでござるしな」
司書の声「作者が登場人物に与えた役割を使命と言うのなら、ルイス・キャロスが帽子屋さんに与えた使命は狂ったお茶会でアリスさんを小馬鹿にすることと裁判で証言をする事…」
司書の声「作中でアリスさんを護るなんて事は一切しません。帽子屋さんがアリスさんを護る事が使命だというのなら…」
司書の声「それは【不思議の国のアリス】のストーリーの中では無いどこかで……帽子屋さんがルイス・キャロルから与えられた使命。という事になりますね」
566 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/12(火)00:51:07 ID:ClV
今日はここまでです
柿おいしいよね
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます
567 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)00:53:26 ID:v9p
お疲れ様です
568 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)01:58:44 ID:Bot
支援
話がどんどん核心に近づいていくーー
続きが楽しみ
569 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)10:07:42 ID:Qmt
乙!
かぐやの深謀遠慮、さすがよのう
570 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)14:39:57 ID:21c
さすが日本最古のおとぎ話……かぐや強いですね
おとぎ話かどうかはわからないけど
死神つながりで
枕元に死神が立っていればその人は助かり
足元に死神が立っていればその人は助からない?とかいう話が何処かで聞いた覚えがあるんだけど
これってどうなのかな
571 :名無しさん@おーぷん :2016/01/12(火)16:17:38 ID:FPB
>>570
まさに名前あがってる死神の名付け親そのものでは
575 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/14(木)22:57:34 ID:AAE
レスありがとう!明日更新予定ですー
>>570
>>571も言ってるようにそれが【死神の名付け親】ですね
主人公は死神と「私(死神)が病人の枕元に居るときは薬草を使って治していいですよ、でも足下にいるときは薬草使っちゃだめですよ」って約束をする
だけど王様やお姫様の命を助けたいからってその約束を破っちゃうっておとぎ話だね
578 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:27:02 ID:ADc
キモオタ「むむっ…しかし妙ですぞ。【不思議の国のアリス】の作者ルイス・キャロル殿が帽子屋殿にアリス殿を護るよう命じたというのが事実として…」
キモオタ「ルイス殿は一体何からアリス殿を護ろうとしたのでござろうか?」
玉龍「そりゃ…おとぎ話に出てくる悪い奴からアリスを護ってくれっていう意味じゃないッスか?」
孫悟空「考えてもみろ、作者は【不思議の国のアリス】を生み出した張本人だぞ?物語の中に敵を作るも味方を作るも作者の自由だ、当然アリスに降りかかる危機だって自分で取り除けるだろ?」
ティンカーベル「それじゃあさ、【不思議の国のアリス】が消滅しないようにして欲しいってお願いかな?」
かぐや「それなら『アリスを護るのが使命』じゃなく『【不思議の国のアリス】を護るのが使命』になるんじゃないかしら?」
ティンカーベル「そっか、確かにそうだね。だったらうーん…わかんないよ、作者のルイスは何からアリスを護りたかったんだろう?」
司書の声「うーん、そこまでは私にもちょっと見当がつかないですね…」
ドロシー「あ、あの…ちょっといいですか?その、ルイスさんの事なんですけど…」
キモオタ「おぉ、これはうっかりしてましたな…!ドロシー殿はアリス殿と共に行動をしていたのでござった、何か知っているでござるな!?」
ドロシー「あの…そんな期待して貰うような事でも無いんですけど、私が【不思議の国のアリス】の世界に居た時のことなんですけど…」
ドロシー「えっと、その作者さんの名前を口にしていたのは帽子屋さんだけじゃないんです。あの世界のほとんどの人たちがそのルイスさんの事を知っていて、会話の中にもよくその名前が出て来てました」
ティンカーベル「えっ!?じゃあ【不思議の国のアリス】の登場人物のほとんどが作者の存在や名前まで知ってるって事!?」
ドロシー「はっ、はい。帽子屋さんも白ウサギさんもハートの女王様も三月ウサギさんも…事あるごとにルイスさんの名前を出してました。でも、あの世界で一番ルイスさんの名前を口にしていたのはきっと…アリスちゃんです」
579 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:30:08 ID:ADc
キモオタ「多くの登場人物が作者の存在を認知しているなど…そのようなおとぎ話、今までに一度も見た事がありませんぞ!?」
ティンカーベル「だよね…おとぎ話とは言っても事情を知らない人たちにとっては現実なわけだし」
司書の声「そうですね、でも私はアリスさん達が作者の存在とその名前をどういう経緯で知る事になったのかが気になります」
司書の声「雪の女王様やヘンゼルは自分のおとぎ話を生み出した作者について知っていましたけど、それは現実世界に渡ったりそこから手に入れた文献で知ったからですからね、初めから知っていたわけではないでしょうし…」
かぐや「初めから知っていたわけではないとしたら、ルイスが【不思議の国のアリス】の世界へ渡ったか…あるいはアリスが現実世界に渡ってそこで知ったか、そうなるわね」
キモオタ「そう考えるのが自然でござる。しかし…以前、現実世界で会ったアリス殿はこう言っていたでござる…『こんな世界に来たくなかった』と」
玉龍「それじゃあアリスが現実世界に来たのはその時が初めてって感じッスかね?酷い世界だって聞いていたから『こんな世界に来たくなかった』って事ッスよね?」
孫悟空「そうとも限らねぇぞ?以前現実世界で酷い目にあったからもう二度と『こんな世界には来たくなかった』って事かもしれねぇ。その言葉だけで判断するのは難しいだろうな」
キモオタ「でも少なくともアリス殿はルイス殿と面識があったと考えてもいいと思うでござるよ、見ず知らずの他人や文献のみで得た情報ならばそこまでルイス殿にこだわるとも思えんでござるし」
ドロシー「あの、私にもそこまでは解らないです、ルイスさんの事を詳しく聞いた事はなかったですから…でもルイスさんの名前を口にする時のアリスちゃんはなんだか嬉しそうで愛おしげで…そしてどこか決意に満ちている感じがしてました」
ドロシー「きっとアリスちゃんにとってすごく特別な人なんだなって思いました…だからアリスちゃんの願いと言うか目的って、ルイスさんが関係しているんじゃないかって私は思うんです」
キモオタ「ドロシー殿の話を聞いた感じだと、おそらくそうでござろうな…その経緯や理由は全く分からんでござるけど」
ティンカーベル「でもさぁ…何があったのか知らないけどさ、作者ってそんなに特別なものなのかな?」
ティンカーベル「【ピーターパン】にも作者は居るんだろうけど…なんだか私はピンとこないよ。ウェンディと空を飛んだりフックと戦ったりするお話だし、きっとドキドキワクワクが好きな人なんだろうなぁ…くらいの感想しかないもん」
580 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:32:01 ID:ADc
玉龍「まぁ…ぶっちゃけそんなもんッスよね。よく知らないあった事も無い奴を慕う理由があるわけないッスから…あっ!でもウチを女の子にしなかったのは失敗だったって伝えてやりt」
孫悟空「まぁ今だから言うが、俺は作者の事を恨んでた時期もあるぜ?師匠から俺の住んでた世界がおとぎ話だって聞かされてしばらくの間な」
玉龍「えぇっ!?そうなんスか!?よく暴れなかったッスね?その時はまだ今よりもずっとガラ悪かったッスのに…」
孫悟空「うるせぇよ、もう昔の話だ。納得がいかなかったんだな、何百年も封印されたり緊箍児なんてもんを頭に巻かれたり人使いの荒い師匠に付き合ったりさせられてな、そして思ったもんだ」
孫悟空「【西遊記】を生み出した作者の野郎が俺に試練を与えたせいで苦労する羽目になっちまってんじゃねぇかふざけんな!ってな」
司書の声「事情は違いますけど、自分の…というよりグレーテルの恵まれない境遇への憤りを作者に向けたヘンゼルと少し似てますね…彼もまた作者を憎悪していましたから」
孫悟空「あぁ、あいつもそんな事言ってたっけなぁ…でもまぁ、文句言ってもどうにもならねぇ。師匠と共に天竺への旅を続けて行くうちにそんなことはどうでもよくなっちまった」
孫悟空「作者が決めたもんだろうとなんだろうと、俺の運命には違いねぇんだ。他人に文句言う間があるんなら少しでも強くなった方が良いって思ったしな」
かぐや「なんだか悟空らしい考え方ね」フフッ
孫悟空「まあなんだ、話がそれちまったが…要は俺達おとぎ話の住人にとっちゃ余程特別な事情でも無い限り作者を好く理由なんかねぇって事だ」
キモオタ「そしてアリス殿は世界を敵に回すほどの騒動を起こしてでも叶えたい願いがある…それがルイス殿関連だとすれば二人の間にはただならぬ絆があるという事でござるな」
ティンカーベル「うーん、やっぱわかんないなぁ…いくら仲の良いキモオタやピーターパンの為だとしても、私そこまでしないと思うよ?っていうか他の世界を消してでも手に入れたい事なんてある?」
キモオタ「逆に言えばアリス殿にとってその目的は世界を破壊してでも叶えたいもの…という事でござる、どっちにしろ皆目見当つきませんがな」
司書の声「うーん…アリスさんとルイス・キャロスの関係が鍵なんでしょうか?【不思議の国のアリス】はその成り立ちも特殊ですから、そのあたりも関係しているのかもしれませんね…」
582 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:34:45 ID:ADc
玉龍「成り立ちが特殊?それってどういう事ッスか?」
司書の声「えーっとですね、どう説明しましょう…まず前提として【不思議の国のアリス】はルイス・キャロルによる創作童話です、ここはいいですか?」
ティンカーベル「うんうん、ずっと昔から伝えられてるおとぎ話じゃなくて作者がちゃんと存在しててその人が生み出したおとぎ話って事だよね?」
司書の声「そうですね【雪の女王】や【マッチ売りの少女】…ドロシーさんの【オズの魔法使い】もこの創作童話に分類されます」
司書の声「創作童話は基本的に童話作家が読み手を意識して作る作品です。生み出された経緯やそこにどんな思いが込められているかという話は別として、創作童話に共通する部分がひとつあります」
司書の声「それは大勢の読み手を想定しているという事です。自分の作品を世に出して、たくさんの人に読んで貰うことを前提としている…プロの作家さんの作品だから当然と言えばそうなんですけど」
キモオタ「作家ならば世に評価される物語を生み出してなんぼでござるからなwww」
司書の声「でも【不思議の国のアリス】は例外なんです。このおとぎ話は不特定多数の読者の為じゃなく、元を辿ればただ一人の少女の為に作られたおはなしだったんです」
ティンカーベル「へぇー、たったひとりの女の子の為に作られただなんてなんだか贅沢な話だね」
司書の声「きっかけはなんてことないものだったようですけどね、ルイス・キャロルにはとても親しくしている少女がいたんですが、彼女にせがまれて即興で作った物語が元になってると聞いています」
司書の声「ある時、彼は手作りの本を一冊、その少女に送りました。内容は少女にせがまれて作った即興の物語をまとめたおはなし…後の【不思議の国のアリス】です」
キモオタ「なるほど…初めはあくまで個人的な贈り物だったというわけでござるか」
司書の声「そうですね。でもそのおはなしはあまりによく出来ていて、やがて正式に出版される事になりました。あとはキモオタさんも知っているように世界で愛されるおとぎ話になったというわけです」
キモオタ「現実世界ではおとぎ話離れが進んでいるというのにその人気たるや凄まじいですからな。アリス殿、どんなソシャゲにも大体出てくるでござるしな…ディズニー映画のグッズとか本屋で見るでござるし…我々としては複雑でござるが、人気である事に違いはあるまいwww」
583 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:36:16 ID:ADc
司書の声「そうですね…【不思議の国のアリス】はうちの図書館でも人気高いです、他の作家へ与えた影響も大きいと聞いていますから」
ピルルルルッ
司書の声「…あっ、ごめんなさいキモオタさん。仕事の電話が掛かってきてしまって…こんな時間に何なのかな…」
キモオタ「おおwww長々と時間を取らせてしまい申し訳ありませんでしたなwwwおかげで色々と知ることができて助かったでござるwww」コポォ
司書の声「いえ、私には戦う力がありませんからこういった手助けしかできませんけど。必要ならばいつだってお手伝いしますから、遠慮無く言って下さいね。それでは、また」
キモオタ「わかりましたぞwwwそれではまたwww」
ピッ
孫悟空「しっかしテメェの仲間は大したもんだな、おとぎ話の内容どころかどうやって出来たとかそんなことまで知ってるなんてな」
かぐや「私達おとぎ話の住人も別のおとぎ話を知識として知っている事はあっても、成り立ちや作者の事は現実世界でないと知りようがないものね」
キモオタ「お千代殿こと司書殿は現実世界とおとぎ話の世界、両方の視点から物語を見る事のできる特殊な立場でござるからなwww知識面ではシェヘラザード殿と並んで頼れるインテリタイプの仲間なのでござるww」ドヤァ
ティンカーベル「でもアリスは変わってるって思ってたけどさ、まさかおとぎ話までちょっと特別な感じだったなんてね」
キモオタ「アリス殿のおかれた状況や気持ちが理解出来れば、彼女の行動の意図にもたどり着けると思ったでござるけど…確かに情報は増えたでござるが、その反面謎も増えてしまった感ありますなぁ」
ドロシー「ルイスさんの存在やアリスちゃんのおとぎ話の成立はわかったんですけど…でも、アリスちゃんの真意はやっぱりわかんないですね…」
ティンカーベル「うん、それにアリスにとって作者がどれだけ大切なのかわかんないけどさ、あいつがやってる事はやっぱり理解出来ないよ…」
かぐや「でも、理解出来ない事やわからない事だけじゃないわ。私達にはわかっている事もある、そうよね?」
584 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:39:25 ID:ADc
孫悟空「ああ、帽子屋がこの世界に来た目的…だな?」
玉龍「帽子屋は自分で語っていたッスからね!あいつの目的のひとつは悟空センパイとかぐやを始末することッス!」
キモオタ「悟空殿もかぐや殿も方向性は違うでござるけど戦闘においてスペック高いでござるからなwww」コポォ
ティンカーベル「格闘メチャクチャ強い悟空と重力操作できるかぐやが一緒にいるとかもうチートだよ!早めに倒しておきたいってのもわかるもん」
玉龍「その上可愛い玉龍ちゃんもいるッスからね。それでそしてもう一つの目的は…それはかぐやが持つ龍玉だったッスよね?」
孫悟空「ああ、そう帽子屋が言ってやがったな。んなこと知ってるって事ぁ俺達の事どこかで覗き見てたんだ、気色悪ぃ奴だぜ」
ドロシー「うぅ…嫌ですねそれ…。でも龍玉って確か…【かぐや姫】のおとぎ話にも出てくるとても貴重な宝物ですよね?」
ティンカーベル「あれでしょ?かぐやが求婚してきた男の人に持って来いっ!って無茶振りした五種類の宝物のひとつ!」
かぐや「そうね、でも未来の私はきっと無理難題を言って諦めて貰おうとしただけよ?それを無茶振りだなんて人聞きが悪いわ」ウフフ
キモオタ「いや、おとぎ話史上稀に見る無茶振りでござるよwwwしかし、あれは求婚者をそれとなく断る為のお題故、本来手に入る事の無いレアアイテムでござろう?その様なものをどうやって…」
玉龍「フッフッフ…ウチのあまりの可愛さに忘れちゃったッスか!?龍玉は龍の持つ宝玉ッス!ここに一匹頼れる龍がいる事を忘れては困るッスよ!」ドヤァ
ティンカーベル「そっか!龍の宝物なんだもん、玉龍になら簡単に手に入れる事ができるよねっ!」
玉龍「そうッスね!ちょっと雲の上を数日間飛んで百何匹かの龍に声をかけてようやく龍玉を生成できる龍を見つけてお願いしただけッスからね!」
キモオタ「ちょwww難易度クッソ高いwwwそんなもん要求された求婚者が可哀そうですなwww」コポォ
かぐや「ふふっ、もう求婚者の事は良いわよ。これがその龍玉よ」スッ
ピカピカ
キモオタ「おおwwwこれはふつくしいwwwしっかしボーリング玉みたいなの想像しておりましたがピンポン玉サイズでござるなwww」
ティンカーベル「帽子屋はこれを狙ってるわけかぁ…手に入れるのが難しいレアな宝物だしね。それで、この魔法具は何ができるの?」
585 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/01/16(土)00:41:59 ID:ADc
かぐや「魔法具…?この龍玉が?」
ティンカーベル「うん!そうなんでしょ?特別な力が備わってるに決まってるよ、なんかこう…七つ集めたら龍が願いを叶えてくれるとか!」
キモオタ「つっwwwかっwwwもっwwwうっwwwぜっwwwドwwwラwwwゴwwwンwwwボwwwーwwwルwww」コポォ
かぐや「あなた達の世界には龍玉を集めるとそんな事が起きるって伝説でもあるの?そんな話は初めて聞いたけれど…どうなの?玉龍?」
玉龍「いや、これはただの綺麗な玉ッス。魔力は相当な量が込められてるッスけど、不思議な力なんて宿って無いッスよ?」
ティンカーベル「えぇーっ!?そうなの!?見かけ倒しじゃん!」
玉龍「なんてこと言うんスか!綺麗なだけでもいいじゃないッスか!何にでも不思議な力が宿ってると思ったら大間違いッスよ!」
ティンカーベル「そ、そうだけど!でもレアアイテムだっていうから期待しちゃうのも無理ないじゃん!」
孫悟空「まぁ気持ちは解らんでもねぇがな。おおかた龍玉を伝説でしか聞いた事の無い奴らもティンクと同じように考えたんだろうな」
かぐや「龍玉には願いを叶える力がある…なんて言い伝えもあるくらいだから」
キモオタ「なるほど…しかし、玉龍殿は何故そのような代物をかぐや殿に贈ったのでござるか?」
玉龍「まぁ日ごろのお礼って感じッスかね。かぐやって結構貴族から贈り物とか貰うんスよ、まぁご機嫌取りの贈り物がほとんどッスけど…」
玉龍「で、その贈り物の中に結構可愛い服とか装飾品とかあるんスよね!ウチ、変化したりとかで着物破く事もあるッスからよく譲って貰ってるンスよー、だからそのお礼ッス」
キモオタ「ちょwww思ったよりwww軽い理由でしたなwww」コポォ
玉龍「まぁ、お守り代わりッスよ。ウチら龍なら手に入れるのも難しくないッスからねー」
玉龍「それに願いが叶うっていうのは言い伝えッスけど。もしも本当に叶ったりしたら…素敵じゃないッスか!そういう期待もちょっぴりあるッス!」
かぐや「世間ではこの龍玉は値が付けられないほどの宝物だけど、私にとっては友達から貰った大切なお護り。宝物って事に違いはないけれど、ね」
かぐや「でも帽子屋君達がこの龍玉を狙っているのは、これに含まれる魔力に目をつけたからでしょうね」
キモオタ「恐らくそうですな、アリス殿達は魔力を集めて【アラジンと魔法のランプ】の結界を破るつもりでござるからね。故に邪魔者の排除と魔力の強奪を目的としてるわけですな」
ドロシー「私がアリスちゃんの所にいた時も、他のおとぎ話を襲う理由は大抵同じでした…敵になりそうな相手を倒しておくこと、それと魔力や魔法具の確保…」
キモオタ「【不思議の国のアリス】が結末を迎えて帽子屋も動けるようになったから本気出すみたいに言ってたっけ、だから遂に強敵の悟空やかぐやの所に来たんだね!」
孫悟空「ああ、だが……俺達を倒すって目的も龍玉を奪うって目的も、俺にはどうも表向きの理由にしか見えねぇんだよな」
キモオタ「…というと?どういうことでござるかな?」
孫悟空「俺とかぐやが邪魔だってのは事実だろう、龍玉だって手に入れたいはずだ。だが、さっき帽子屋と戦っている時も感じたが…どうもひっかかる部分が多い」
玉龍「センパイも感じてたッスか。ウチも引っ掛かってる部分あるんスよね…例えば、そう、そもそも村を襲った事ッスね」
ティンカーベル「それはあれでしょ?村を襲えば悟空やかぐやをおびき寄せると思ったんでしょ?実際、二人とも村に駆け付けたわけだしさ」
孫悟空「おびき寄せるって発想がそもそも不自然なんだよティンク。いいか?帽子屋はアリスの邪魔になりそうな俺達を殺したいんだぞ?」
ティンカーベル「わかってるって、だから三人をおびき寄せてまとめて殺そうとしたんでしょ?」
キモオタ「…いや、殺そうとしているのなら尚更強敵を三人一度に相手するのはおかしいのでござるよ」
ドロシー「確かにそうです…!村を襲ったりすれば三人とも来ちゃう可能性が高いです…!」
かぐや「そうなってしまえば殺せる可能性は減るわね、帽子屋君は一人で来ていたみたいだし。だったら一人ずつ始末する方が確実ね」
ティンカーベル「…っ!それじゃあ本当は三人を殺すつもりはなかったって事!?」
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編
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