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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 ヘンゼルとグレーテル編

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Part22
623 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:41:28 ID:apV
ヘンゼル「ちょっと待ってよ、お千代が宮殿を出ていく?そんなの聞いてない。僕は嫌だよ、お千代が居なくなるなんて」ガタッ
グレーテル「そうだよ……私、お千代ちゃんと一緒に住めないの……寂しい……だから出て行っちゃうなんて言わないで……」
お千代「うちだってみんなと離れ離れは寂しいんよ。だから二人とも寂しそうにしないでほしいんよ…」
雪の女王「ほらヘンゼルにグレーテル、お千代が困っているだろう?お千代は自分の夢をかなえる為に宮殿を出て行く、家族なら引きとめたりせず応援してあげるべきだろう?」
ヘンゼル「そうかもしれないけどでもこんな急に…今日だって僕が聞かなかったら言わずにいたつもりなんでしょ?お千代も女王もなんでそんな大切な事教えてくれないんだ…!」
カイ「落ち着けよヘンゼル。俺達に言えば心配かけちまうから黙ってたんだろ、察してやれ」
ヘンゼル「察しろって……僕達は家族なんだぞ、心配するのはあたりまえじゃないか」
カイ「心配だからどこにも行くなって言うのが家族か?こいつになにかやりたい事があってそれを叶えるために出て行くってなら別にいいじゃねぇか」
お千代「黙っててごめんねヘンゼル、時期を見てみんなにはちゃんと報告するつもりだったんよ」
ヘンゼル「…いや、僕こそごめん。突然の事過ぎて取り乱してしまった。お千代が良く考えて決めた事だろうし、僕が反対する事じゃないよね」
グレーテル「夢をかなえる為って言ってたよね……お千代ちゃんが夢をかなえられるなら……私も嬉しい。でも、寂しいのは……やっぱり寂しい……また、すぐに会えるよね……?」
お千代「もちろんなんよっ。うちは別の世界でお仕事をする事になってるんだけど、お休みの日なら会えるんよ!だからその時はいっぱい遊ぶんよ、たまには帰ってくるんよ」ニコニコ
グレーテル「うん……約束……」
カイ「それにしても…夢、ねぇ…俺お前からそういう話聞いた事ねぇけど…お前の夢ってのはなんなんだ?」
お千代「うん、うちの夢はね……」
お千代「大勢の子供達を幸せに出来るような、優しい大人になる事。なんよ」

624 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:43:46 ID:apV
ヘンゼル「それがお千代の夢なの?」
お千代「そうなんよヘンゼル。うちは優しい大人になって…たくさんの子供達を笑顔にしたいんよ」ニコニコ
カイ「なんて言うか、もう少し具体的なもんを想像してたんだがな。そもそもお前はもう優しいじゃねぇか、年齢的にも大人だろ」
グレーテル「うん……お千代ちゃん……もう優しいと思うよ……?十分、優しい大人だよ……?」
雪の女王「キミ達の気持ちはわかるがここはお千代の話を聞こう。お千代、続けて。子供たちの笑顔を望むキミは何を決意したのか…三人に聞かせてやるといい」
お千代「そうやね、どこから話したらいいんかな……」
お千代「実はね、うちが優しい大人になりたいと思ったのはヘンゼルが聞かせてくれたおとぎ話がきっかけなんよ」
ヘンゼル「あぁ、そう言えばお千代が病で寝込んでいる時に僕がおとぎ話を聞かせた事があったね、でもきっかけになるようなおとぎ話…聞かせたかな?」
お千代「あの時ヘンゼルと一緒に読んだ【マッチ売りの少女】の絵本…あのおとぎ話を初めて聞いたとき泣いて泣いて、二人に心配かけちゃったの今でも覚えてるんよ」ウフフ
グレーテル「私も覚えてる……お千代ちゃん、マッチ売りちゃんが可哀そう可哀そうって何度も言ってわんわん泣いてた……どうしていいかわかんなかった……」
ヘンゼル「そう言えばそんなこともあったね」
お千代「その時思ったんよ…うちは優しい大人になろうって」
お千代「辛い思いをしてるマッチ売りちゃんに手を差し伸べられるような素敵な大人になりたいって…うちは【マッチ売りの少女】のおとぎ話を聞いてそう思ったんよ」

625 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:46:34 ID:apV
カイ「その気持ちは立派だと思うが具体的にはどうするつもりなんだ?」
グレーテル「具体的……?カイお兄ちゃん……それどういう事……?」
カイ「助けを求めてる子供たちにどんなふうに手を差し伸べてやるかって聞いてるんだ。マッチ売りはその最たる例なだけで、助けを必要としてる子供なんてのはどんな世界にも山ほどいるぜ?」
カイ「一つ一つの世界へ渡って腹を空かせてる子供に飯を与えてやるのか?貧しい子供に金を恵んでやるのか?言っちゃ悪いがそんなことチマチマしたところで根本的な解決にはならねぇぜ」
お千代「そうやね、うちも出来る事ならしてあげたいけど…とてもじゃないけど、実際には難しいんよ。でも考えはあるんよ?」
カイ「言ってみろ、お前はどんな方法で子供達を救うつもりなんだ?」
お千代「あくまでうちの考えなんやけどね、大勢の子供たちが幸せになる為の一番の方法って…子供たち一人一人が優しい心を持つ事だと思うんよ」
お千代「子供たちが優しい心を持てば、いつかその子供たちが大人になった時…世界には優しい心の大人たちであふれているんよ、そうすれば辛い思いをする子供は居なくなるんよ」
グレーテル「本当だ……お千代ちゃんのアイディア凄い……」
カイ「そうか?そりゃあ理屈ではそうかもしれねぇけど、俺には夢物語に思えるぜ?第一、どうやって子供たちに優しい心を持たせるんだ?難しいと思うぜ」
ヘンゼル「もしかして、お千代。キミが考えている事って……」ガタッ
お千代「ヘンゼルは察しがついた見たいやね」ウフフ
お千代「カイは難しいっていうけど…うちは子供が『優しい大人になりたい』って思う時がどんな時か知ってるんよ」
お千代「子供達は辛い境遇の子供が主人公のおとぎ話を聞いたとき、きっと優しい大人になりたいと思ってくれるんよ。かつてのうちがそうだったように」
お千代「だから、大勢の子供たちにうちがしてあげられる事は……おとぎ話を読み聞かせしてあげる事なんよ」

626 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:48:53 ID:apV
お千代「【キジも鳴かずば】の主人公のうちが言うのもおかしい話やけど、おとぎ話って凄い力があると思うんよ」
お千代「ヘンゼルがうちに話してくれたおとぎ話、書庫で読んだ絵本や女王様が聞かせてくれたたくさんのおとぎ話…本当にいろんなおとぎ話を読んだんよ」
お千代「楽しいおとぎ話、悲しいおとぎ話、恐いおとぎ話、いろんなおとぎ話に出会ったけど……その度にうちはワクワクしたり涙を流したりドキドキしたり……いろんな感情を持てたんよ」
お千代「実はうちな…あの日、父ちゃんがうちの手毬唄のせいで人柱にされた時…もう二度と喋らない方がいいんじゃないかって思ったんよ」
お千代「でも、しばらく考えて…それは違うって思ったんよ。父ちゃんを亡くしたから喋る事を封じるなんて間違ってる。だって、うちは知っていたんよ」
お千代「言葉は口にすることで誰かを不幸にする可能性だってあるけど、誰かを幸せにすることだってできるんよ」
お千代「だってヘンゼルがうちにそうしてくれたんやから。ヘンゼルが聞かせてくれたおとぎ話はうちを楽しい気持ちにさせてくれたんよ」
ヘンゼル「お千代……」
お千代「だから今度はうちが子供たちにおとぎ話を聞かせてあげる番なんよ」ニコッ
カイ「お前はさっき言ってたな、別の世界で仕事をするって。そこで子供たちにおとぎ話を聞かせてやるつもりなのか?」
お千代「うん。うちがお仕事する場所、図書館なんよ」
お千代「図書館の司書さん…書物を管理するお姉さんになって、図書館に来た子供たちにおとぎ話を聞かせたあげるんよ」
お千代「いろんなおとぎ話を知っているうちが現実世界の司書さんになって子供たちが優しい心を持てるようにおとぎ話を読み聞かせする」
お千代「それが…うちのやりたい事なんよ」

627 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:51:29 ID:apV
カイ「なるほどな、難しい事に変わりは無いと思うがやってみりゃいい。面倒じゃない程度の協力はしてやるぜ」
グレーテル「なんだか……お千代ちゃんのやりたい事……壮大なの……私じゃ思いつかないの……現実世界に行っちゃうとか……考えつかないの……」
ヘンゼル「……よりによって現実世界なんだね」ギリッ
雪の女王「……ヘンゼル」
ヘンゼル「……」ギュッ
お千代「ヘンゼルは現実世界の人の事、あんまり良く思ってないから心配してくれると思うけど……うちは大丈夫なんよ?」
お千代「現実世界ではどんどんおとぎ話が忘れられていってるようなんよ。折角素敵なおとぎ話はたくさんあるのに…そんなの寂しいんよ」
お千代「だから現実世界に決めたんよ。でも心配することないんよ、うちが現実世界に行っても大丈夫なように女王様に頼んで色々として貰ってるんよ」ニコッ
雪の女王「お千代が司書として働くのは日本という国だ。お千代の故郷の遠い未来だ。トラブルが起こらないように根回しはキチンとしてある」
雪の女王「滞りなく生活ができるように陰でお千代も色々と勉強をしていたんだ、何も心配する事は無い」
ヘンゼル「……お千代が決めた事だ、僕だって応援する。でも……僕に現実世界の奴等を信用しろって言うのは……やめてほしい。どうしても、出来ないよ」
お千代「ヘンゼル…」
雪の女王「ひとつ、話しておこうか。ヘンゼル」
雪の女王「…お千代のおとぎ話【キジも鳴かずば】は消滅してしまったが……あの後、弥平が人柱にされた後本当はどういう結末を迎えるか、詳しくは教えていなかったな?」
雪の女王「いいかいヘンゼル、これが本来お千代が歩むはずだった人生だ」


628 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:52:18 ID:apV
・・・
キジも鳴かずば(結末部分)
弥平は僅かな米と小豆を盗んだ罪で人柱にされてしまいました
お千代は自分が歌った手毬唄が原因で父親が人柱にされてしまった事を村人から聞き、犀川の土手で泣き続けました
何日も何日も泣き続けましたが、やがてその泣き声も聞こえなくなりました
それからというものお千代は一言も口を利かなくなってしまったのです
それから何年も何年もの月日が流れ、お千代も美しい娘へと成長していきました。しかし、お千代はやはり一言も口を聞きませんでした
やがてお千代は村から姿を消し、その村に弥平とお千代という親子が居た事もしだいに忘れられていきました
そんなある年の事、とある猟師がキジを撃つ為に山に入りました
ケーンと大きな鳴き声を上げて飛び立つキジを猟銃ですかさず撃ち、猟師はキジを撃ち落とした場所へと向かいました
するとそこには死んでしまったキジを抱きかかえる一人の女性が居たのです、その女性はあの日父親を人柱にされてしまったお千代でした
猟師が唖然としているとお千代はゆっくりと口を開きました
「キジよ。お前も鳴かなければ撃たれなかったのにね」
お千代は自分が手毬唄を歌ってしまったばかりに弥平を失ってしまった事を
鳴き声を上げたがために殺されてしまったキジに重ねて、そう一言つぶやきました
お千代は再び口をつぐみ、キジを抱きかかえたままどこかへ姿を消しました
それからというものお千代の姿を見たものは、もう誰もいませんでした
おしまい
・・・

629 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:55:19 ID:apV
ヘンゼル「……」
雪の女王「わかるかヘンゼル」
ヘンゼル「……女王が言いたい事はね」
雪の女王「…キミは【キジも鳴かずば】で自分の行動を悔いていたな。自分がいなければ弥平やお千代が幸せになったのではないかと悩んでいた」
雪の女王「だが、お千代が言葉を封じ込めて辛い人生を歩まず……自分の言葉で子供達を幸せにしようと考える事が出来たのは」
雪の女王「まちがいなく、キミやグレーテルが側に居たからだ。兄妹が側に居たからその考えにたどり着けた」
お千代「そうなんよ、うちが今幸せでいられるのは…ヘンゼルのおかげでもあるんよ?」
ヘンゼル「……僕は、何も出来てないよ。ただ、側にいることしかできてない」
雪の女王「キミが思っている以上にそれは重要な事だ、ヘンゼル」
グレーテル「……」コクコク
ヘンゼル「……お千代が現実世界へ行くのは、今でも僕は賛成できない。でも、反対もしない」
ヘンゼル「お千代が決めた事だから僕はもう引きとめたりしない。ただ、その代わり…僕も現実世界へ行く。だから……」
ヘンゼル「雪の女王。僕にも現実世界に行く為に必要な事、教えてほしい」

630 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:57:18 ID:apV
現在
現実世界 廃墟
ヘンゼル「それからしばらくしてお千代は現実世界へと旅立った、図書館の司書になる為にね」
グレーテル「それから少し遅れて……私とお兄ちゃんも現実世界へ来たんだよ……そのためにたくさん勉強したの……」
キモオタ「ちょ、ちょっと待っていただきたいですぞ」
ヘンゼル「なに?まぁ、これで僕の話はおしまいだけど…何か質問でもあるの?」
キモオタ「大ありですぞwwwヘンゼル殿の話だと、なんというかあれではござらんか!司書殿は実は現実世界の人間ではなく…」
キモオタ「消滅してしまった【キジも鳴かずば】の主人公、お千代殿であると言う事でござろう!?」
ヘンゼル「だからそう言ってるじゃないか、折角話してやってるのに何でまともに聞いてないの?」
グレーテル「キモオタお兄ちゃん……ヘンゼルお兄ちゃんのおはなし、ちゃんと聞いてなかったの……?もしそうなら酷いの……」
ラプンツェル「ぷぷーっ、怒られてるーっ!ちゃんとお話聞いてなきゃ駄目だよキモオター!」ケラケラ
孫悟空「あんまり理解出来てねぇ顔してるお前がそれを言うのか」
ラプンツェル「私はちゃんと聞いてたからね!あれだよね、噂のチョコレートがおいしい話でしょ?」ニコニコ
孫悟空「やっぱりお前理解出来てねぇじゃねぇか!そこは重要じゃねぇ!」バンッ
キモオタ「いやいや、お主たち騒いでいる場合では無いですぞwwwこれ結構な大事でござろうwww」ドゥフ
ヘンゼル「…まぁ、聞いていようがなかろうがどうでもいいよ。あんた達に何か期待してなんかいないから」フイッ
グレーテル「お兄ちゃん……」
キモオタ「しかし、これでハッキリしましたぞ!」
キモオタ「あの小柄な男の名を知っている理由が。あとはティンカーベル殿にこの事を伝えて司書殿……いや、お千代殿の捜索を急いでもらわねばなりませんな!」ピッポッパ

631 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/11(金)23:59:38 ID:apV
今日はここまでです
魔法で偽装した住民票を市役所に持って行く雪の女王
魔法で偽装した書類を持ってアパート契約する雪の女王
ヘンゼルとグレーテル。キジも鳴かずば編 次回に続きます

632 :名無しさん@おーぷん :2015/09/12(土)00:05:55 ID:xGd
乙です!
キモオタたちに物凄い安心感を感じたw

633 :名無しさん@おーぷん :2015/09/12(土)00:06:28 ID:ug7
乙!
何というか…すげぇな

634 :名無しさん@おーぷん :2015/09/12(土)00:06:41 ID:RUu
>>1さん、乙です!
予想外すぎる展開でこれからワクワクしてきます…
久々のキモオタやラプちゃん登場もよかったです
次回からの司書どn…お千代殿救出作戦に期待です!!

655 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/16(水)23:54:38 ID:CNh
現実世界 廃墟
キモオタ「……というわけなのでござるよ、ティンカーベル殿」
ティンカーベルの声「…わかった!犯人をやっつけるには名前当てる必要があって司書さん探せば全部解決だってことだね!でもまさか司書さんが私達と同じおとぎ話の住人だったなんてびっくりだよ!」
キモオタ「ですなwww我輩も驚きを隠せないwwwしかしヘンゼル殿グレーテル殿が犯人の名前を口に出来ない以上、司書殿に頼る他ありませんからな」
キモオタ「時間の猶予はまだあるでござる。しかし何らかの拍子に犯人が司書殿の正体に気がつく可能性もあるでござる、急かすようで悪いでござるけど…」
ティンカーベルの声「大丈夫!任せて!大急ぎでぴゅーっと探すから!だからもうちょっと待ってて!」
キモオタ「申し訳ないですな。我らが総出で司書殿を探せば解決の鍵を持っている事に感づかれるかもしれないので…ここはティンカーベル殿が頼りなのでござる」
ティンカーベルの声「うん、平気だよ!人質隠すなら建物の奥かなーって思って奥の方から探したのが悪かったかな…別の場所探してくる、じゃあ後でねキモオタ!」
キモオタ「くれぐれも気をつけていただきたいwwwでは後ほどwww」コポォ
孫悟空「離れた仲間と会話ができる魔法具か…一見地味だがありゃあ相当な魔力と知識が無いと作れねぇだろうな」
ラプンツェル「【シンデレラ】の魔法使いに作ってもらったんだって!羨ましいよねー魔法具っ!私も何か作ってもらおうかなー?」
孫悟空「羨ましいってお前…魔法具なんか無くても十分だろ。その魔力を纏った髪の毛は唯一無二のもんだ、それをまず大事にしやがれ」
グレーテル「うん……私は魔法具もないし、魔法も一人だけじゃ使えないから……ラプお姉ちゃん羨ましいな……髪の毛も綺麗で長い……」
孫悟空「だとよラプ公。髪の毛とは言ってもこの孫悟空の腕力を持ってしても引きちぎれない強靭さがある、それを自在に操れるってんだからなかなかに強力だぜ」

656 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/16(水)23:57:20 ID:CNh
孫悟空「重い物掴んで振り回せば強力な武器できるし、敵の拘束なんざお手のものだろうしな。お前の母親や王子が【ラプンツェル】でそうしたように移動なんかにも使えそうだ…汎用性の高い能力ってのは使いようによっては化けるぜ」
ラプンツェル「えっへへぇーっ、そんなにすっごく褒められると照れちゃうよーっ!でもさっきも言ったけど刃物には弱いし、操作って言っても私が操ってるから同時に何でもたくさん出来ないし、そんなに強い能力じゃないよぉー」テレテレ
グレーテル「やっぱり弱点を堂々と言っちゃうんだ……それに悟空さんも他の人褒めたりするんだね……【西遊記】読んだけど……悟空さんって自分勝手で乱暴で気づかいなんかできない暴れ者のお猿さんのイメージがあるの……」
孫悟空「俺の印象散々じゃねぇか!だがお前も大概だぞ、本人を前にして自分勝手で乱暴とかよく言えるぜ…まぁ思い切りがよくて衝動的に行動するって性格は【ヘンゼルとグレーテル】のまんまだな」
ラプンツェル「でも私がすごいなら悟空なんてもっともっと凄いよね!悟空は変身したりいっぱいになったりする魔法も使えるし、さっき棒伸ばして戦ってるの凄かった!」
孫悟空「おう、こいつは俺の武器『如意棒』だ。伸縮自在で伸ばせば天さえも穿てるってぇ代物だ。無茶苦茶重てぇから俺以外の奴じゃあまともに扱えねぇ…俺の自慢の武器だ」クルクルー
ラプンツェル「長くも短くも出来るって便利だよねー、それに長くしたらどんなにおっきなピザ生地も伸ばせるよねっ!」
孫悟空「如意棒を麺棒扱い扱いするんじゃねぇ!なんで竜宮に伝わる伝説の武器でピザ生地伸ばさなきゃならねぇんだ、何考えてんだお前」
ラプンツェル「何考えてるかって言われても…えっとね短い麺棒だとうまくピザ生地が伸ばせないでしょ?このまえピザ作ろうとしたらそれで失敗しちゃったんだ。だから如意棒をめいっぱい伸ばしてそれd」
孫悟空「そういう意味じゃねぇ!買えっ、長い麺棒を!」バンッ
ラプンツェル「でもピザなんてそんなにいつも作るものじゃないからその為だけに麺棒買っても結局そんなに使わずにキッチンの隅で埃かぶっちゃうしなぁ……そう言う事って良くあるよね?」
孫悟空「んなこたぁ俺ぁ知らねぇよ!じゃあ毎日作りゃあいいだろうが!」バンッ
ラプンツェル「でも毎日ピザだと飽きちゃわない?ねぇねぇグレーテルはなんのピザが好き?私はねぇブロッコリーとサラミとねー……」
グレーテル「ラプお姉ちゃん……なんでピザの話になってるの……?孫悟空さんも律儀に付き合わなくてもいいのに……」
孫悟空「クソッ!ラプ公と話してるとどうもこいつのペースになっちまう…おいキモオタァ!話が終わったならお前こっち戻ってこい、そしてこいつ何とかしやがれ!話がそれ過ぎなんだよこいつ!」

657 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/16(水)23:59:33 ID:CNh
キモオタ「ドゥフフwwwお待たせしましたなwwwティンカーベル殿に事情は話しておきましたぞwww急いでくれるようでござるwww」コポォ
孫悟空「おう、そりゃあ何よりだがよぉ…それよりもラプ公だ!こいつどうなってんだ!緊張感がねぇどころの騒ぎじゃねぇぞ!?」グイッ
キモオタ「ラプンツェル殿に緊張感を求める方が愚かですぞwww諦めた方が賢明ですなwww」コポォ
ラプンツェル「二人とも私に緊張感ないみたいな言い方して酷いよっ!だってお千代ちゃんが見つかればあの悪い奴の名前もわかるんでしょー?待つしかないんだから焦ったり気を張っても仕方ないよ、楽しく待とうよー」ニコニコ
ラプンツェル「ピリピリしながら待つ一時間も、ニコニコ楽しく待つ一時間も同じ一時間なんだから。それならみんな楽しい方がいいなぁ私はー」ニコニコ
キモオタ「まぁ、そりゃあそうですなwww我々に出来る事は待つ事だけでござるからなwww」
孫悟空「理屈はわかるが納得いかねぇ…こんなヘラヘラした小娘に一瞬でも拘束されちまったと思うと頭痛がしてきやがる……この世界に来て腕が鈍っちまったかクソッ!」
グレーテル「……しょうがないよ……気にしちゃダメだよ悟空さん……」ポンポン
孫悟空「なんで慰められてるんだ俺ァ……おいキモオタァ!こいつらお前の連れなんだからなんとかしろテメェ!」ボカッ
キモオタ「ちょwww痛い痛いwwwカリカリしてはいけませんぞ悟空殿wwwカリカリなのはカリカリベーコンだけで十分ですぞwww」コポォ
ラプンツェル「そうだよー!イライラしたら駄目だよ悟空ー、スマイルスマイル」ニコニコ
孫悟空「テメェが原因だろうが!お師匠の念仏から解放されたってのになんで頭痛に悩まされなくちゃなんねぇんだ俺は!」バンッ

658 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/17(木)00:00:54 ID:PiQ
ギャーギャー ワーワー
ヘンゼル「…あんた達さ、大人の癖に何で大人しく出来ないの?」
グレーテル「お兄ちゃん……」
ヘンゼル「お千代が見つかれば確かにあいつを倒せる。だけどまだ何も解決してないんだよ?」
ヘンゼル「僕達はあいつを倒したわけじゃない、倒せる見込みがあるだけだ。それなのに油断し過ぎだと思うけど、もう少し静かにティンカーベルを待てないの?」
ラプンツェル「心配なのはわかるけど大丈夫だよー、人質って言うのは傷つけたら意味が無いらしいからお千代ちゃんも大切にされてるはずだよー?きっと怪我なんかしてないy」ムギュ
孫悟空「おいラプ公やめとけ。テメェのペースに乗せられた俺が言うのもなんだが、騒いだ俺達がどう考えても悪ぃんだ」
孫悟空「勝機が見えて俺も少し油断しちまったな…まだ人質が解放されたわけじゃねぇ、気を緩めるには早ぇって事だ。ヘンゼルは間違った事言ってねぇ」
ラプンツェル「そっかぁ……私ちょっとデリカシー無かったかなー?じゃあおとなしくしてよっかグレーテルー」ナデナデ
グレーテル「うん……そうだね……」
キモオタ「ヘンゼル殿……」
ヘンゼル「……」フイッ
キモオタ(我輩はヘンゼル殿が憎む作者と同じ現実世界側の人間、故にヘンゼル殿が心を開いてくれるまでに時間がかかってしまうのはともかく……悟空殿やラプンツェル殿にも心を許せぬでござるか)
キモオタ(犯人側に居た孫悟空殿はともかくラプンツェル殿は親しみやすい人柄でござるのに…グレーテル殿は多少懐いているようでござるけどヘンゼル殿も同じように…とはいかないでござるか)
キモオタ(我輩が思っていたよりヘンゼル殿の過去は壮絶でござった。それでもヘンゼル殿の憎しみを何とかしたいと言う気持ちはあるでござるが、恐らく今の我輩には何もできないでござる)
キモオタ(司書殿を完全に救いだせるまでは…今は無理に歩み寄るよりも見守るべきでござろう。しかし、一人で思いつめ過ぎて滅多な事にならなければいいのでござるが……)

659 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/17(木)00:01:56 ID:PiQ
現実世界 廃墟 ある一室
ティンカーベル(……さっきの部屋もハズレ。司書さんどこに閉じ込められてるのかな?)ススッ
ティンカーベル(……キモオタは言ってたっけ、犯人は名前を当てられたら力を失うらしいって)
ティンカーベル(人間じゃないのは確かだけどなんていう種族なんだろう、ホビットとかドワーフかな?私達と同じ妖精じゃないと思うけど……)
ティンカーベル(でも、妖精じゃないとしてもちょっぴり私達と似てるかも)
ティンカーベル(たったひとつの言葉が弱点だってところは私達妖精と同じだし……っと、ダメダメ!今は司書さん探すのに集中しないと!)
ヒラヒラヒラ
ティンカーベル(あっ、あの部屋…扉がちょっとだけ開いてる…)ギィッ
ヒラヒラ
ティンカーベル「誰も居ないかな……?」スッ
司書「……っ!」ンーンー
ティンカーベル「居たっ!こんなところに縛られてたんだね…待ってて!今ロープ解くから!」グイグイ
パサッ
司書「ケホケホッ……助けてくれてありがとう妖精さん、でもどうして妖精さんがこんなところに…?」
ティンカーベル「もちろん司書さんを助けに来たんだよ!もう安心だからね、私が助けに来たんだからっ!」フンス

660 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/17(木)00:03:54 ID:PiQ
司書「でもどうしてこの場所がわかったの?とっさのことで助けを呼ぶことも手掛かりを残す事も出来なかったのに…」
ティンカーベル「司書さんが誘拐された後ね、ヘンゼルとグレーテルのとこに誘拐犯から手紙が届いたんだって、それでグレーテルがキモオタに助けを求めに来てくれたんだよ。あっ、司書さんの事情も簡単にだけど聞いたよ、【キジも鳴かずば】の事もね」
司書「そうだったんですね。グレーテルにキモオタさんを紹介しておいて本当に良かった…もしも二人だけなら誰にも助けを求めずにここに来たと思うから」
ティンカーベル「いくら魔法が使えるって言っても、子供二人じゃ危ないし心配だもんね。だから私達が来たんだしねっ」
司書「キモオタさんに助けを求めたのがグレーテルだけということは、ヘンゼルは私を誘拐した犯人に逆上して飛び出して言ったってところかな?」
ティンカーベル「うん、凄く怒って部屋を飛び出して行ったって聞いたよ」
司書「もう、ヘンゼルは相変わらずなんよ……」ハァ…
ティンカーベル「なんよ?」
司書「えっ、あっ、なんでもないよ!ここにいたらまた犯人が来るかもしれないから早く逃げましょ、妖精さん外まで案内してくれる?」
ティンカーベル「もちろんそれは良いけど…その前に一個だけ謝っとくね」フワフワ
司書「私、何か謝られるような事を妖精さんにされたかな?」
ティンカーベル「司書さん、私の事見えるでしょ?でもその事最初隠そうとしてたから…司書さんの事悪い人かもって疑っちゃってたんだ、ごめんね」
司書「あっ【こびとの靴屋】の読み聞かせの時の……あれは隠そうとしたわけじゃなくて、初対面のキモオタさんに妖精が見えるなんて言ったら不審に思われると思って…」
ティンカーベル「そっか、そうだよね!深い意味なんか無かったんだよね!よかったー、それならいいんだよー」ニコニコ

661 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/17(木)00:06:14 ID:PiQ
司書「もしかして妖精さんに嫌な思いさせちゃったかな?そんなつもりは無かったんだけど」
ティンカーベル「うーん、嫌な思いっていうかね…見えるのに見えないって言われるのとか、居るのに居ないって思われるのは私達妖精にとってすごく悲しい事なんだー」
ティンカーベル「だから私達の事が見えるならその存在を信じて欲しいな。誰かに変な風に思われるから見えないって言うとか、妖精が見える事がみんなと違うから居ないって言うのは…絶対にやめてほしいな、私」
司書「…妖精さんって消滅したおとぎ話【ピーターパン】のティンカーベルちゃんだよね?」
ティンカーベル「あれっ?私の名前知ってるの?そうだよっ、だから司書さんもティンクって呼んでもいいよ!でも良く考えたらキモオタが私の名前呼んでるの見てたなら、私の名前知ってるのも当然かー」ニコニコ
司書「うん、それもあるんだけど。ティンクちゃんが存在を信じて欲しいって言う理由…私、知ってるから」
ティンカーベル「そっかー、この事知ってるって事は司書さんは【ピーターパン】のおとぎ話の内容知ってるって事だよね?」
司書「うん、ワクワクする素敵なおとぎ話だったの覚えてるよ。あっ、でもピーターパン君のお友達のウェンディちゃんにヤキモチやいてあんな事するのは流石にやりすぎだよ?」
ティンカーベル「? 私ウェンディとは知りあったばっかりだけど別に仲悪くないよ?でもこれからネバーランドに行こうってところで大変な目にあってそれどころじゃなくなっちゃったからなぁ…あっ、でも初対面なのにピーターパンと仲良すぎるのはちょっと…かなりイラッとしたかも」
司書「じゃあまだネバーランドに行ってないんだね。どうなるのか知らないなら物語の展開話すような事はやめた方がいいかな」フフッ
ティンカーベル「ちょっとー!なにそれ気になるじゃん!私ウェンディの事嫌いになるの?えっ、私ウェンディに何するの?やりすぎって何?」
司書「それはちょっと私の口からは言えないかな…」
ティンカーベル「もぉーっ!いいよっ!絶対に【ピーターパン】の世界を元に戻すから!そして【ピーターパン】がどんなに素敵なおとぎ話なのか自分で確かめるから!」プンスカ
司書「!? ティンクちゃん…!危ないっ!」
ヒュッ ガシッ
ティンカーベル「……っ!?」ウグッ
小柄な男「おいおいおい、どういう事だこりゃあ……この世界には魔法だの妖精だのは存在しねぇんじゃねぇのか…?」

662 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/09/17(木)00:08:32 ID:PiQ
ティンカーベル「んぐぐっ…!離してよね!離してってば!離せバカーっ!チービ!」ジタバタ
小柄な男「クソやかましい妖精だ、ちょこまかしてた小さな魔力はテメェだったってか……おい、テメェはティンクとか言ったな?」
ティンカーベル「慣れ慣れしく愛称で呼ぶなチービ!ちゃんと『さん』を付けろバーカ!」ジタバタ
小柄な男「聞き覚えの無い名前だな、どうせマイナーなおとぎ話の妖精なんだろうが……おとぎ話の住人だってことには違いねぇ」
ティンカーベル「【ピーターパン】の事マイナーとか言うな!どーせあんたのおとぎ話の方がマイナーなんでしょ!だって私も知らないもん!やーい、ドマイナー!」
小柄な男「結構じゃねぇか、俺はその方が好都合だからな。俺の名前を知ってる奴なんてのは少ない方がいい…まぁ、この世界では誰も知らないから同じだがな」
司書「名前を知ってる人が少ない方が……好都合……?」
ティンカーベル「おとぎ話は忘れられちゃったら消えちゃうんだからマイナーじゃ困ることばっかりなのに、マイナーで結構とかどーせ負け惜しみでしょ!」
小柄な男「口が過ぎるぞ小賢しい妖精め」ギュッ
ティンカーベル「うぐっ…!離せ…!離せーっ!」バタバタ
司書「その子は私を助けに来てくれただけなの、苦しんでるから離してあげて!」
小柄な男「そうだ、それだ。なんでこの妖精はテメェを助けに来てるんだ?今テメェ等が探すべきなのは人質じゃねぇ、俺の名前のはずだ。人質を助けても名前がわからなけりゃあ一緒だからな」
小柄な男「キモオタとかいう男が言うには廃墟内をうろついてる気配……つまりティンクとかいう妖精は俺の名前の手掛かりを探す為に廃墟を嗅ぎまわってる。って事だったが?どうなってる?」
ティンカーベル「言うわけないでしょバーカ!」ベーッ
小柄な男「……ああ、そうか。解ったぞテメェ等のたくらみが……!まんまと騙されちまうところだったぜ、俺の名前を探す時間をくれっていうのはただの口実で本当は人質の救出が目的だったって事か!」
小柄な男「あいつ等の気配は初めの部屋から動いてねぇ、名前探しせずに人質探しをするって事は答えはひとつだ。つまり……テメェ等はもう俺の名前に既にたどり着いているって事だな!?」

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